南北会談 南北揃って爽やかなばかりに平常飛行です
いきなり下世話な話でもうしわけないのですが、金一家揃ってのお出迎えという歓待を受けるために、韓国はいったいいくらの現ナマを専用機で運んだのでしょうね。
かつての金大中の時も、巨額の裏金が直接に2代目に手渡されたことが明らかになっています。
これが暴露されたために、金大中はノーベル平和賞はカネで買ったものと韓国国内で叩かれることになります。
「金大中政権時では、引退後の処遇を恐怖する金大中氏が、当時5億ドルの秘密支援を北に行い、南北首脳会談を実現してノーベル賞の権威付けによってこの恐怖を逃れた。秘密支援は3年後に暴露された。この時北は10億ドルを要求したという」
(産経2月10日 筑波大教授古田博司)
http://www.sankei.com/column/news/160210/clm1602100004-n1.html
今回の北の南北会談をした目的は、韓国のムンが喜びそうなことを言ってやることで米韓日の結束を分断し、時間稼ぎをすることにあるのはいうまでもありません。
そしてもうひとつの隠れた動機が、韓国から金をむしり取ることです。
推測の域を出ませんが、おそらく下の写真のような正恩の笑顔(←気持ちワルいぞ)をゲットするために、かつての15億ドルの数倍の現なまを要求されたはずです。
北からすれば、核兵器の開発までの時間稼ぎができたうえに、カネまで貰えるというひと粒で二度おいしい南北会談でした。
それを知ってか、プリンセス・ヨジョンも、得意の顎あげポーズで微笑んでおられます。
え、韓国ウォンかって、わけないでしょう。いつデフォールトするかもしれないような紙屑。ドル以外受け取りませんよ、正恩さんは。
今後韓国は、何かの節目ごとにカネをせびられ続けるはずです。
眉唾プレスリリースによれば、このような「進展」があったとされています。後に会談の内情が漏れてくるでしょうが、とりあえずこんなところです。
①4月末までの南北首脳会談を開催してやってもいいかも
②米朝対話において議題に「非核化」を出してやってももいいかも
③米朝対話の間は核実験はしないかも
④4月から米韓合同演習をしてもいいかも。
おー、なんと太っ腹。ちゃんと正恩は、裏金ていどのお土産は渡していますね。
ただし、それは非核化の進展ではまったくなく、韓国政府の米国への言い訳を作ってあげたということにすぎません。
またこの「収穫」自体も、日米が圧力をかけ続けた結果、ここに追い込まれたということをお忘れなく。
もはや正恩には、この抱きつきクリンチ戦法しか起こっていないのです。余裕で笑っているんじゃありませんから、念のため。
その上、これはあくまでもフェーク・プレスリリースの常習犯である韓国政府サイドの発言にすぎず、北の正式発表がないのでなんとも評価しようがありません。
少なくとも、北の公式の言辞とは大きく乖離しています。
では、何か北に新しい変化があったのか、北自身に語ってもらいましょう。
中央日報が北の労働新聞の論調を取り上げています。やや長いですが、引用します。
「■北労働新聞、1面には「満足した合意」…論説には「核は正義」
中央日報 2018年3月6日
http://japanese.joins.com/article/269/239269.html?servcode=500§code=500&cloc=jp|main|top_news北朝鮮労働党機関紙労働新聞が5日に行われた文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対北朝鮮特別事前代表団と金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の面談および晩餐の便りを6日、積極的に報じた。同日付の論説では「核武力は正義の宝剣」と主張して事実上核放棄の意思がないということを示唆した。
労働新聞はこの日、1面に金正恩委員長の対北朝鮮特使団との面会内容を伝えた記事と写真8枚を掲載した。労働新聞は「最高領導者同志(金正恩委員長)は特使と一行の手をいちいち熱く握り、彼らの平壌(ピョンヤン)訪問を熱烈に歓迎された」として「首脳間対面に関連した文在寅大統領の意向を伝え聞き、満足した合意を見た」と明らかにした。
新聞はまた「朝鮮半島の尖鋭な軍事的緊張を緩和して北と南の間の多方面にわたる対話と接触、協力と交流を活性化していくための問題に対しても踏み込んだ意見を交わした」として「談話は同胞愛的で真剣な雰囲気の中で行われた」と説明した。
しかし、新聞は同日「米帝の反倫理的な核犯罪歴史にけりをつけなければならない」という見出しの情勢論説で「我々の核武力は血で汚された米国の極悪な核犯罪歴史にけりをつけ、不倶戴天の核悪魔を惑星で永遠にはき捨てるための正義の宝剣」と話した。
論説は「米国の策動によって世界のいろいろな所で核戦争への脅威は日々高まっている。その中で朝鮮半島は核戦争の危険の陰が最も濃厚に落とされているところになっている」として「米国は南朝鮮に多くの核兵器を前進配置して各種挑発行為を繰り返しながら我が共和国を露骨に脅威・恐喝してきた」と明らかにした」
なんの変化もありませんね。核兵器は「不倶戴天の核悪魔を惑星で永遠にはき捨てるための正義の宝剣」だそうで、見事なまでの北の罵倒文学のレトリックです(笑)。
以上の北の論調を読んで、「非核化の進展」「平和の訪れ」「よくやった、ムン閣下」と評価できる人たちの脳味噌に幸あれ。
事実、オリンピック期間中に、北は核施設を再稼働し始めたことを38ノースが伝えています。
「ワシントン時事】米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院の米韓研究所は5日、北朝鮮・寧辺の核施設の最新の衛星画像を公開し、5000キロワットの黒鉛減速炉が稼働を続けている兆候があると指摘した。
稼働継続が事実なら、北朝鮮が核兵器計画に利用するプルトニウム生産を再開した可能性があるという。
2月25日撮影の画像によると、黒鉛炉から蒸気が立ち上っていた。稼働を示唆する冷却水の排出は確認されていないが、施設周辺の凍結した川の氷が解けており、黒鉛炉の稼働状況が監視されるのを防ぐため、冷却水排出用パイプを川の中まで延長したことが考えられるという」
(時事2018年3月6日)
https://www.jiji.com/sp/article?k=2018030600306&g=prk
北はゴリゴリと核爆弾を作り続け、一方韓国はいつものルーピーぶりという、南北揃っての爽やかなばかりに平常飛行です。
一方、米国の対応はこのようです。
「米大統領は6日、北朝鮮が非核化に向けた協議に臨む用意があると表明したことについて、「非常に前向き」と評した。一方で、米国にはあらゆる選択肢が依然開かれたままだと警告した」(AFP3月7日)
米国は既にヨーロッパで非公式秘密接触を北と持っています。スウエーデンが仲介者だと言われていますが、米国側は辞めたばかりのジョセフ・ユンでした。
ですから、米国はいまさら新たな「対話」チャンネルをほしがってはいません。
北と韓国がうるさく言うなら、考えてやってももいいという程度で、大前提はあくまでも「検証可能かつ不可逆な非核化」です。
可能性は低いのですが、仮に米朝対話があるとしても、同じテーマがテーブルに乗るというだけのことです。
ただ、このような正式の場で話が流れると、もう互いに後がない、つまりはほんとうの戦争になってしまうので、「うわーい、話あい解決だ」と浮かれ気味の皆さんはご注意下さい。
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奇しくも昨日の記事の題目が「韓国政府のプレスリリースにはご注意を」でしたね。
あまりにも適宜に過ぎて笑ってしまいました。
そもそも政府関係者以外、報道関係者等一切の随行を許しておらず、韓国政府の言っている事の検証可能性がありません。
朝鮮日報によれば青瓦台関係者の話として、正恩が「米朝対話について、積極的に臨む用意があ」ると表明し、「(米朝対話で)非核化も議題として議論できる」と述べ、「非核化の目標は先代の遺訓であり、先代の遺訓に変わりはない」と明言した、という事になってます。
「盗っ人、空々しい」とはこの事です。
そのうえで、正恩は対話の条件については「北から特別に韓国や他の国に要求したことはない。対話の相手として真摯(しんし)な待遇を受けたい」との意向を示した、のだそうです。
しかし、今日の記事にもあるように昨日までの朝鮮労働党の機関紙である「労働新聞」の論調とは一切の整合性はなく、くわえてプルトニウムの生産も再稼働してます。(しかも、これを隠す為の稚拙な努力さえ発覚しています。)
対話の条件についても「核保有国待遇」と明言しているので、これも大嘘です。
少なくとも、昨日まで正恩が言っていた事と全く整合性がなく、そこに正恩の言説が「なぜ変化したか」の合理的説明が付く要素もありません。
ですが、米国としては「核開発・運搬手段の開発停止」以外の条件は満額回答に近く、これを一時的にも受け入れる方向に行かざるを得ないのでしょう。
このような簡素であからさまに明白なウソを、同盟国に対してさえ外交の手段に用いる事は西洋社会や民主主義諸国の常識的前提としてなく、そうした方法は朝鮮半島独特の「弱者の文化」に根ざしたものとしか言いようがありません。
そこを米国は十分に理解していないフシもあります。
どっちにしても米国の常として、同盟国の立場を表面的には一時的・一旦は立てますが、逆に韓国のこうした行為が後々になって、さらに重大な事態を招く事になる事もまた明らかです。
日本としては米国や国際社会と協調して「対話」の間にも、さらに圧力を強める方向に合意を得る努力をすべきでしょう。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年3月 7日 (水) 07時58分
韓国のムンを見ていると、平昌パラリンピックのことはすっかり忘れているような体たらくですね。呆れます。
投稿: やもり | 2018年3月 7日 (水) 13時32分
お昼のTV「ひるおび!」で、コリアレポートの辺(ピョン)さんが「東西ドイツのベルリンの壁に続いて朝鮮半島の38度線が無くなる」と手放しの喜びようでした。
ベルリンの壁はソ連崩壊による東ドイツの解体、つまり民主国家西ドイツに共産国家が解体し組み込まれていく過程のものでした。
今の朝鮮半島の動きは真逆で、飢えるた民の国、共産主義独裁国家である北朝鮮に組み込まれようとしているものです。自由を知った民主?国家、韓国の人々はこの単純な構図を果たして理解しているのでしょうか。
本当に、ほんとうに不思議な光景です。
投稿: 九州M | 2018年3月 7日 (水) 15時45分
あと少しでICBMが完成するので、「ここをしのげば何とか
なる、もうわずかで我らの勝ちだ、タヌキ芝居で乗り切ろう」
というのがミエミエです。
トランプ親ビンは、「仲良くするのは良いことだ、非核
化するのなら、それでいーじゃん(するわきゃねーけど)」
と悪役にされるのをサラリとかわしてしまいました。
息をひそめている中露は、いつリング上に駆け上って来る
んだ?地政学的に、日本はなんてヒドイ所にあるんだよ、
地殻プレート入り組む地震超大国だし、とさらに悲観的に
なってしまいますわ。
極東で四面楚歌になってて、頼るのはきっつい米国親ビン
だけ。材料も技術もあるのなら作っちまえばいいのに・・
投稿: アホンダラ1号 | 2018年3月 7日 (水) 22時32分
今の状況、私はありんくりんさんや多くのこのブログの方々の見方に同調しております。マスコミでは、南北朝鮮に明るい未来が近くなったような雰囲気も出ておりますが、トランプ大統領がそんなにはしゃいでいるわけでもありませんしね、喜ぶのは早すぎます。
キムジョンウン体制が継続出来るためには、これまで強硬路線で国民を煽ってきた強国北朝鮮の実現が本当に可能性があることだと今後とも国民が信じるかどうかがカギにになると思います。もしも開発中の核兵器が製造中止になれば、国民は強国北朝鮮が実現できないだろうと無意識に思うようになる筈です。そんな状況になれば、キムジョンウンも国民の信頼を失いますね。もう、国民を弾圧する自身の力も弱くなっていくのでしょう。
キムジョンウンは核を手放すことはできないでしょう。それは、国家の指導者としての権威を失うことになりやしませんか。独裁者にも、権威や大義名分は必要なんでしょうから。
韓国大統領は北を南の経済力と文明力で善導できると考えているのかもしれません。しかし、北朝鮮の主席は自分の方が上だと考えているのでしょうね。ですから、南北の融和はホント難しかろうと思うのです。
投稿: ueyonabaru | 2018年3月 7日 (水) 23時15分
何度も騙されているのに、それでも「話し合いだ!進捗だ!平和だー」と主張するし、同調する人がいるんですよ。本当に。
そういう声があれば、やっぱりまた影響するんですよ。
ひどい話しですよ。
投稿: かつて… | 2018年3月 8日 (木) 03時01分