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2018年3月16日 (金)

イランとの核合意廃棄と北への核対応

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朝鮮半島情勢について、考えを進めていくことにします。

まず昨日のティラーソン解任・ポンペオ就任がどのような展開につながって いくのか、考えてみましょう。
 

私たちは北朝鮮にのみ眼を奪われがちですが、実はトランプはもうひとつの宿敵と対決しています。それがイランです。 

このイランの核開発は、北がイランと裏で技術供与していることもあって、いわば「もうひとつの北朝鮮」といった顔を持っています。 

ですから、イランとの核合意をめぐった米国の対応を観察すれば、北の核に対してどのような対応をとるのか、ある程度予測がつきます。 

そもそもこの3月13日のトランプのティラーソン解任事件自体が、イランとの核合意(包括的共同作業計画)に対する意見の不一致が理由でした。 

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上の一覧が、オバマ政権時に米国とイランと取り交わした核合意ですが、トランプが怒るように大変に中途半端で限定的性格だと分かります。 

特にトランプが「史上最悪の取引」と批判するのは、一覧の下から2番目の核開発能力を最低限で手打ちしてしまったことです。 

つまり、イランは濃縮ウランの生産能力と保有を2015年10月18日から10年間規制され、プルトニウム生産を15年間禁止された「だけ」という限定的なものなわけです。 

つまり、イランの核に対して米国は限定的に制限をかけたにすぎないことになります。 

そのうえ、弾道ミサイルも5年から8年で解禁となるわけですから、10年後にはイランの核ミサイル以前どおりに復活するかもしれません。 

この条件で、米国はイランに対する2次制裁を解除しました。

Photo

たぶんオバマがもう一期やることになったのなら、北の核に対する落とし所は、イランとの核合意に酷似したものになったかもしれません。 

つまり核の制限封印、凍結です。 このイラン核合意をみると、米国は北に対しても似たことを考えていた、あるいはいまでも「いる」可能性があります。

つまり、弾道ミサイルにおける飛距離の制限、プルトニウム生産の10年ていど凍結、現有する核兵器の封印ていどで、北への国際制裁を解除する選択肢もありえるわけです。 

ちなみにこの案は米国内部で大変に有力で、たぶんティラーソンはこのあたりの線を狙っていた節があります。 

ですから、ティラーソンを解任しポンペオを据えたという人事は、北との対応という要素もあったにせよ、主要な理由は、今年1月12日に2次制裁を停止した際に、5月12日までの120日間が「最後のチャンス」だと宣言していたことに対応したものだと思われます。 

ただし、このトランプの決定に対して賛成しているのはポンペオくらいなようで、ティラーソンはもちろん大反対、マティス国防長官、マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官、ダンフォード統合参謀本部議長といった軍人組も反対しています。

なお、マティスはやや立場が複雑で、かつて現役大将だった時に、中東をエリアに持つ中央軍司令官として、オバマの進めたこのイラン核合意に反対して解任されています。

その彼が締結を守れと言うのは、ここで覆すとかえって状況が悪化するのが目に見えているからです。

同様に米国以外の締結国も、このトランプのチャブ台返しに賛成する国は皆無だと思われます。 

その反対理由は、イランがNPT(核拡散防止条約)に定められた以上の厳しい査察を受け入れていて、合意を忠実に履行しているからです。

このへんは合意を一方的に廃棄し、IAEAの査察官を追い出して、核開発を再開した2代目時代の北と大違いです。

これをチャブ台返しするとなると、また元の木阿弥となってしまい、逆にイランの無制限の核濃縮、弾道ミサイル保有を許す口実を与えてしまう可能性があるとみています。 

私も、おそらくそのようにイランは対応すると考えています。 

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では、イランとの核合意を米国が一方的に廃棄した場合、「イランの盟友」である北はどうでるでしょうか。 

とうぜんのこととして、北は仮に米朝会談を開いたとしても、そこでなにが決まろうと、米国は後から「致命的欠陥」としてチャブ台返しをする可能性があると思うでしょう。 

その上、北はイランとは違って、核兵器とその投射手段を限定的であっても現有しているという強みがあります。 

イランの場合、核開発を凍結すれば10年ていどのモラトリアムが得られますが、北は既に持っているものを手放せということになるわけで、はるかに非核化のハードルは高いのです。

ですから、トランプが反対を押し切ってイランとの核合意を廃棄した場合、5月とされている北との首脳会談もまた開かれるか微妙なことになるでしょう。

北の奇妙な沈黙は、このトランプのイラン合意を様子見しているためかもしれません。

このようにイランの核合意と北に対する核対応は二重写しになっていて、同時進行しているのです。

 

 

 

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コメント

管理人様
記事ありがとうございます。やはり比較対象があるとわかりやすいですね。

しかしそうすると、トランプ政権?個人?としては繰り返さない為に、北朝鮮には譲らないつもりでしょうけども
北朝鮮としてはイランという前例を盾に核開発を(最悪でも再開への道は)残そうとするのでしょう。

トランプ政権は北朝鮮とイランでなぜ対応が違うのかを、世界に大義名分を示すのでしょうね。金政権はそれを逆手に取るような動きは今のところ見られないでしょうか?理想の達成ありきに見えますが。

5月以降はG7やサッカーw

途中で送ってしまいました、すみません。

5月以降はG7やサッカーW杯、ロシアで選挙、日本も総裁選などイベントがあり大きくは動きづらいことを思うと、4月にどこまでやるのかが気になりますね。

 かつてトランプ氏がシリア爆撃を行った頃、「米国は北朝鮮に軍事攻撃という選択肢は取らないだろう」という見方をなさる識者の理由にひとつに、「緊迫する中東情勢と二正面に陥る可能性」を指摘する向きが多くありました。

ですが今日の記事からも伺えるように、中東要因がトランプの北朝鮮政策を規定している要因がかなり強いのだと思います。
トランプは中東の覇権国としてイスラエルをハッキリ据える腹を保持していて、その路線上にしか中東の安定化見ません。

そうして見ると、記事後段にあるように「米朝会談」は始める前から後に形骸化する事が明瞭だと考えられますし、そこを理解するトランプ氏の側の「何らかの譲歩」はますます有り得ない話なのだと思います。

そういえば記事を読んで思い出したのですが、最近の在韓米軍の訓練はイスラエル軍特殊部隊が多数加わっているもののようで、去年ヨルダンからサウジにあった砲撃に使われた武器弾薬の大部分が北朝鮮製であった事もわかっています。

図解と写真付きで分かりやすかったですー。

北と韓国にはウンザリだったのでつい、北と韓国すっとばして中東情勢についての分析記事を希望します。なんてコメントしましたが(笑)、

>このようにイランの核合意と北に対する核対応は二重写しになっていて、同時進行しているのです。

やっぱりそういうことなんですね。

この数日、世の中の流れが早くなっています。
うちはテレビは見ないけど、偏向報道に惑わされないようにしなくちゃです。

>北の奇妙な沈黙は、このトランプのイラン合意を様子見しているためかもしれません。
>このようにイランの核合意と北に対する核対応は二重写しになっていて、同時進行しているのです。
そうですね。半島に関しては米中対立激化へ向けての米国内でのパワーゲームもあります。
トランプ氏の個性のみでバッシングされている人事も、北を通すとプリズムのように何を増減し合おうと張り合っているのかが今回見えますね。
日本にとっての大問題は、その小さな危ういプリズムの中に拉致された人達が閉じ込められている事です。

>「大統領府の報道官は電話会談後、安倍首相が北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長との会談に意欲を示したと説明」(ロイター)

なにやら、二重三重にくさい臭いがプンプンしますね。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180316-00000063-reut-kr
これですね。
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S13403044.html
これを同時進行でぶつけるのは良い手です。
中韓は日本を迂回トンネルにして対象品の輸出を維持できなくなります。

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