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2018年4月10日 (火)

イラク日報問題を考える

038

財務省文書改竄問題が終わりきらぬうちに、今度はイラク日報問題です。 

自衛隊の「隠蔽」文書が出てきたというので、また野党・メディアは狂喜乱舞しているようです。 

いわく、「日報問題は、タチの悪さでは学校法人『森友学園』の問題より上だ」(立憲)、「「現行憲法の基本を守る姿勢がなければ憲法改正論議など成り立たない」(民進)、「改竄・隠蔽政権に憲法を語る資格なし」(共産)、だそうです。

その上に、人もあろうに統合幕僚長がこのようなことを述べてしまい、火に油となりました。 

「陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が見つかった問題で、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長は5日の記者会見で、『結果として、大臣、国会に対して背信的な行為を行ったと言われても仕方がない』と陳謝した」(時事 4月5日)

 見出しには、「イラク日報『背信的行為』」です。 

河野さん、誠実たらんというのはわからないではありませんが、ナイーブすぎます。 

これは自衛隊の危機管理として見た場合、危機管理初期に、事実を隠蔽しないという態度は正しいのですが、結論まで拘束するような謝罪をしてはいけません。 

「背信行為」などという決定的言辞は、調査が終わってからにしてください。 

いくら「結果として」と言っても、メディアは「背信行為」というおいしい一言に食らいつきますからね。 

ここだけ取られると、統合幕僚長以下全自衛隊が頭を剃って懺悔しているような印象を与えかねません。 

時系列を追ってみます。

・2017年2月16日 野党議員がイラク派遣の陸上自衛隊部隊の日報を資料要求し、防衛省が「不存在」と回答
・同2月20日 稲田朋美防衛相(当時)が国会で野党議員の質問に「見つけることはできなかった」と答弁
・同年3月27日 陸自研究本部(現教育訓練研究本部)が日報の存在を把握
・同年11月27日 陸上幕僚監部が全部隊に海外派遣で作成した日報などに関する調査を指示
・2018年1月12日 陸自研究本部が陸幕総務課にイラク派遣の日報が存在と報告
・同1月31日 陸幕衛生部が総務課に存在と報告
・同年2月27日 陸幕が統合幕僚監部に報告
・同年3月31日 統幕が小野寺五典防衛相に報告
・同年4月2日 小野寺氏が日報の存在を公表
・同年4月4日 小野寺氏が陸自研究本部内で日報が昨年3月に確認されていたことを公表

では、一方で開示を要求された側の、防衛省文書管理規則ができたのは、いつだったでしょうか。 

それは2011年4月1日のことで、民主党の北澤俊美大臣の時でした。 

この時に文書管理規則第2条に以下の文言が、スラっと登場します。

「防衛省行政文書管理規則第2条
この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)行政文書  防衛省の職員(以下「職員」という。)が職務上作成し、または保管した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下同じ。)であって、職員が組織的に用いるものとして、防 衛省が保有しているものをいう。ただし、法第2条第4項各号に掲げるものを除く」

防衛省行政文書管理規則

こういうとんでもないことをスラっと書いてくるのが官僚という人種なのですよ。 

それまで現場部隊は、紙媒体で保管していたのは2種類だけでした。 

ひとつは決裁をもらって発簡された公文書と、もう一つは、他部隊などが作成し、自分の部隊が受領した文書だけでした。 

それがいきなりすべての画像データ、文書ファイルも行政文書だから電磁的に保管しろとなったのですから、現場部隊はびっくりしたことでしょう。 

電磁化とひとことでいいますが、それは膨大な紙文書を、人間が手でPCに打ち込めということですからね。

当時、現場部隊にいた那覇市議会議員・大山たかお氏はこう書いています。https://ooyaman.jp/1528.html

「この時は、保存機関や行政文書として内閣府に登録するのに、部隊創設以来これまで発簡してきた、そして受領してきた数多くある文書をパソコンに一つ一つ打ち込みました。本来であれば、保存期間が過ぎた文書も参考資料として持っておきたかったんですが、破棄せざるを得ませんでした。もちろん、電子データも公文書としての取り扱いになるので、破棄をせざるを得なかったのです」

また現場部隊が上級部隊に問い合わせたり、それがまたその上に問い合わせたら違っていて変更となったりと、死ぬ思いだったそうです。 

とまれ、ひたすら膨大な文書を電磁化し続けたそうです。

自衛隊の場合、電磁化に際しては、「軍隊」ですから防衛上機密にすべき情報は廃棄しました。 

野党に言わせれば「空前絶後の暴挙」だそうなイラク日報の、文書分量をご存じでしょうか。

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日報はイラク復興支援群などの三つの部隊が、2004年1月から2006年9月に作成した延べ376日分の計約1万4000ページという恐ろしいような量です。 

しかも、これはとうぜんのこととして文書管理規則以前のものですから、当時の規則どおり廃棄してしまうか、一部の行政文書ではないデータ資料は、部内の閉鎖系チャットで、ほしがる部局があれば配布したそうです。 

それが今回、自衛隊の現場からみれば「浮世離れ」していると評されている陸自教育訓練研究本部のPCにたまたま3枚紛れ込んでいたのを、職員が偶然見つけたわけです。

今から10年以上前で、とっくのとうに教育訓練本部の担当は代わっていて、貰ったとすら忘れ去られている上に、空輸ファイルの中にまざっていたりすれば、「隠蔽」どころか、逆によく見つかったな、というところです。

このように今回の問題は、「隠蔽が安倍政権の特徴」だから起きたわけではありません。

そもそも日報が書かれ廃棄されたのは2009年で、廃棄した時の政権は民主党でした。2011年に電磁管理に移行した管理規則を作ったのも同じく民主党政権時です。

いずれにしても安倍政権ができるはるか10年以上も前のことです。

かてて加えて出てきた日報は、ただ「イラク日報」であるというだけで、「隠蔽」などする必要がないものでした。

これが「憲法を揺るがせる大問題」というなら、当時の担当政権だった民主党を母体とする各派に聞くことですね。

その上に、開示要求されたのは去年のことで、スーダン派遣の日報が炎上していたときのことです。

しかも当時、スーダン日報は野党や「市民団体」が情報開示請求をしまくったために、一日に6件も探すことになっていたと言われています。

当然、見つける努力はスーダンに傾注されたわけで、イラク日報のほうは念頭にすら登らなかったのは仕方がないのではないでしょうか。

ついでに言えば、稲田大臣がどうやら口頭で探すようにと命じていたようで、これでは文書が命令系統を律する自衛隊では通用しません。

結局、これらのことが重なって、自衛隊の教育・訓練研究所のPCの片隅にたまたま紛れ込んでいた3枚が見つかったというわけです。

見つかったこと自体を、奇跡と言うべきではないでしょうか。

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コメント

「隠蔽の連鎖」などと毎日などは書いてますけど、
財務省とは全く別問題でしょうに。。
マスコミと野党の低俗ぶりにも困ったもんです。それこそ国民を馬鹿にしてますね。

稲田さんは能力的にも疑問でしたが、現場側からも随分と舐められていたんだなぁとは思います。

おはようございます。

主人も、「文書管理が今は本当に大変だ」「検索したって、ちょっと文字が違って出てこないことも多いしさ」と、以前からよく言っていました。
末端の部隊でこうなのですから、統幕や空幕なら本当に大変だと思います。

主人は、自分達が作成し、決済を貰った文書だけ保管するようにすれば良いと思うのだが、と言っています。何かあれば、そこに問い合わせれば良いと。実際、自分達が作った文書の何十倍もの文書を保管することになっていますから、把握なんてできません。

今回は那覇市市議会議員の大山たかおさんが詳しく書いていました。
https://ooyaman.jp/1528.html

しかし、稲田さんがどんな指揮官であったとしても、自衛隊で上司を舐めるようでは部隊は成り立ちません。どんなに普段は舐めていようとも、任務で上司の指示は絶対でなければなりません。どうしても納得いかないのであれば、意見を言うなりの行動を取るべきです。無視は許されません。

 稲田さんは無能力な大臣だったのかついて、私はハッキリとした評価ができません。多くの方が無能力だと考えているようではありますが、ホントに無能力だったのでしょうか。どこがおかしかったのか皆さんのご意見もお聞きしたいと思います。

 自衛隊が隠ぺい体質があるという言論も納得できるものではありません。自衛隊は真面目に法令を順守し命令には従うのだと思っております。国防上の機密であれば秘匿する場合もあるでしょうが、そうでない限り政治や政治家をないがしろにはしないでしょう。

 隊員さんたち、おなごのあでやかな姿で指揮するというのには戸惑いは確かにあるでしょうね。わたしもそうでしたね。稲田さんを皆さんどう評価なさいますか?

 今日の記事もだいぶ参考になるものでした。マスコミ報道では分からないものです。

有本香氏がある番組で言っていましたが、軍の日報のようなものが行政文書として開示対象になること自体が世界標準から外れていることは、日本銀が肝に銘じるべきことだと思います。

今の法制度ではそういう機密管理という観点がすっぽりと抜け落ちている気がしますよ。

そして文書管理は専門部署を作って集中管理したほうがいい。自衛官は報告が済めば後の管理を専門職にゆだね、日々の務めに集中してほしいと思う。さもないと裏日報との2重管理を強いられたり、大事なものは日報に書かなくなり、一時資料としての価値を失う危険性もあります。まあ、今でも本当の機密は電子文章なんかには市内というのは自衛隊に始まったことではないと思いますが。

稲田前防衛相の評価については、様々あるとは思いますが、資質の問題ではなく経験不足なんだろうと思います。そして、自衛隊という日陰者扱いの組織が一筋縄ではいかないことや、男女差別が内在する組織であることと、南スーダンのPKOという問題で野党の難癖が付くという不運な面もありました。まあ、安倍案に任命責任のほうが重いかもしれませんね。安全保障がきな臭い時期なので、小野寺現防衛省や中谷元防衛相などベテランを起用しておく必要があるポジションに、経験不足の稲田氏を起用したのは冒険が過ぎたと思います。

1つ疑問に思ったことがあります。
日報を電磁的に保管する方法ですが、手打ちではなくコピー機でスキャンしての保管(更に原本も保管)ではいけなかったのでしょうか?
そうすれば簡単に大量に保管できたと思うのです。
しかも、手書きであれば誰が書いた字なのかともすぐわかります。
2010年代には全国どこでもそれが可能で、実際の一般企業は(沖縄、東京含め違う業種の企業でも)そうしていましたので不思議に思えて仕方ありません。
政治にはあまり詳しくありませんので、もしよろしければどなたか教えて頂けますと幸いです。

電磁化ですが、今時、零細企業だってドキュメントスキャナーでやっていると思います。スマホでも写真撮ってPDFに変換するアプリを多くの人が使っています。官僚がそういう記述を入れたのは、スキャナーを使うことが可能になり、造作無く短時間で過去文書を電磁化しPDF化も可能になったからでしょう。
電磁化で文言検索だってできます。
良かったのではないですか?
電磁化でクラウドにあげておけば、便利でしょう?

文書記録ですが、紙のまま保管している小さな企業も多いですよ。
笑われてしまうでしょうが、わざわざスキャナーで読み込んで記録媒体に保管していても紙の文書は破棄せず大事に保管してます。
二度手間ですけど媒体が壊れたらアウトですので。

ガラケーの私は驚いたのですが、娘は学生の頃から大学へ提出する書類はスマホに保存してましたし、履歴書から就職先に出した雇用契約書や身元保証書などの書類も全て保存してます。
バイト代の確定申告書(所得税還付)も保存してました(笑)
何かあると探して確認してますね。

現場の自衛隊員がどこまでやっているのか、今の時代いちいちパソコンに入力しているとしたら時間と労力を無駄に使っていると言わざるを得ないですが、そこは体育会系の性でやってそう。

今日は加計学園の文書から「首相案件」の記載が出てきたとウェイウェイです。
次から次へと…もはや笑ってしまいますね。

スキャナーか手入力かは利用する条件や文書の状態により異なるかと。
ただ保存するという名目であればスキャンして保存しておけばいいですが、文字や文章の検索が必要になる場合は元の文字がよっぽどきれいでない限り文字の認識率が下がる為、検索に引っかからなくなる場合もあります。
手間との兼ね合いを考えると文書の性質で保存方法を変えていくのがベストなんですかね。

情勢的には微妙ですがこれを機に色々と見直していってほしい物ですが、今の与野党の状態だと難しいのでしょうね。

データ保存する最大の理由は検索の高速化と複製の簡易大量高速化、そして操作履歴の自動記録化です。
システム次第ではありますが監視もできますし。

何で今だに公務員って手書きなんだろう?と個人的には思います。そんなに定形外文書が多種多様にあるのだろうか?ハンコ文化より謎。
とっととIPv6化進めればいいのに。

もひとつ個人的にはクラウド化は反対です。セキュリティが安定しない現状では情報漏洩は防ぎきれませんから。
機密情報には以ての他かと。
旬を過ぎれば価値がなくなるビジネス情報などなら構わないですけども?
せめて量子暗号が実用化されるまで待ちたいっすね。

なお、中東関連ということで、イスラエルがシリアに攻撃したようですね。トランプの宣言通りに。関連してロシアの株価がダダ下がり。極東情勢はどう動く?

自衛隊と通常の官庁を一緒にするのは間違いです。
あす書くつもりでしたが、それは「軍隊」だからです。
軍隊は情報を作戦の合理性から、あるいはそれに関わる隊員の安全性確保のために秘匿することはあり得ます。

特に日誌、つまり旧軍でいう戦闘詳報などは安易に開示すべきではないものです。
それによって、イラクなら、防御陣地の配備、警戒態勢などが漏洩するからです。
これがただの行政文書として開示請求を受ければ見せてしまうというところが、自衛隊が「軍隊」でない悲しさです。

開示請求して閲覧したいわゆる「市民団体」から、外国に流出しないという保証はありません。
こんな隊員の生命に直結しかねない日報を開示してしまうほうが、非常識です。

また、軍隊にはハイテク化だけが重要ではありません。冗長性も必要な場合があります。
たとえば、司令部と部隊、あるいは部隊間の通信を全部無線やネットに頼ると、ジャミングやサイバーアタックをかけられただけで通信途絶となります。
隊員が泥だらけでケーブルを敷くような通信方法も、同時に持っておくほうがいいのです。

このハイテク時代にと思われるかもしれませんが、ローテクのほうがけっこう強靱なのです。

ことにサイバー攻撃に非常に弱いわが国で、文書を磁気化一本にすると、流出するは当然として、中国や北のサイバー攻撃一発で、改変されたり、改竄を受けたりする可能性があります。
昨今は日本を代表する科学系国立研究所ですら侵入されて、大きな被害を受けました。

だから、自衛隊はあえてローテクである部分を残しているともいえます。もちろん予算の関係もありますけど(涙)。

ただ、今のように一定期間後に廃棄するだけではなく、重要な戦史の一次資料として自衛隊専用アーカイブに保存するべきではあります。

規則で重要なのはここ

> 職員が組織的に用いるものとして、防 衛省が保有しているものをいう

ではないかと思います。
普通に解釈すれば、中央で管理されるファイルサーバーの所定のフォルダーに保存されているものをいうのであって、そこから破棄されたならば、たとえそこにアップロードする前のものが、自衛隊所有のどこかの PC のローカルディスクにあったとしても、それは「無いもの」としてよいのではないかと思います。

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