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2018年4月 5日 (木)

ミアシャイマーの北朝鮮情勢インタビューその2 北が核を放棄する可能性はゼロに等しい

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ジョン・ミアシャイマー・シカゴ大教授の最新のインタビューです。太字は引用者です。

非常に悲観的な見方ですが、私もおおむねそのとおりだと考えています。

ただし、私が考えうる最悪シナリオで、さすがに私もここまで悪いストーリーを口にするのは憚ったほどです。

ミアシャイマーが考える展開となれば、会談は流れ、北の核武装は固定化されます。

日本の横須賀などの枢要な米軍基地、あるいは東京、大阪など大都会を狙う北の中距離核ミサイルは、手つかずで放置される悪夢となります。

そして日本は常に北の核の恫喝の下で暮らすことになるでしょう。

一方、韓国は自衛的核武装を米国に要求します。

韓国が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を保有する了解を、既に米国と取り付けているという未確認情報もあります。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52742?page=5

今のムン政権のような「中国の鳥かごに入った半主権国家」が、米国から核武装を認められることはにわかに信じがたいとはいえます。

なぜなら、そのままその核は日米に向けられるでしょうからね。

その場合日本は、中国・北・ロシア、そして新たに韓国からの核によって完全包囲されることになります。

このような状況に立ち至った場合、わが国が防衛費を諸外国並の2%にするのは当然として、米国の了解を前提にして、独自核武装をすること以外にわが国を守る術は理論的にはなくなります。

ボルトンは日本に核をもたせるべきだというのが持論です。トランプもかつて就任前に似たことを発言したことがあります。

ちなみに、米国は日本が米国に図らずに単独で核を含む攻撃をすることができる権限を、そうそう簡単に手渡さないはずです。

核のキイを渡すなら、安保体制の枠組みを崩さずに、その中で厳しい管理をかけるのが大前提のはずです。

いずれにせよ、その場合は、ニュークリアシェアリングなどという中間的なものではなく、完全にわが国独自の技術による核武装と言うことになるでしょう。

技術的には、核実験のシミュレーションを米国から供与されれば、さほど難しいことではありません。
関連記事 日本は「自立」を真剣に考える時期に入ったようだ
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-18e5.html

私は最後の最後まで日本の核武装には反対の立場ですが、韓国が核保有すれば、その私の声も虚しいものなることでしょう。

日本が核武装に踏み切った場合、東アジアの軍事バランスは一挙に崩壊し、緊張の度合いはマックスとなります。

それはわが国にとっても、決して好ましい状況ではないはずです。

とまれ最低でも、独自核武装について現実的議論を開始すべき時なのかもしれません。

といっても、モリカケ・改竄・日報の泥沼にはまったままピクリとも動かないのが、国会の体たらくなのですが。

それはさておき、このように朝鮮半島の未来図は、どこか彼岸の景色ではなく、わが国の未来と完全に重なるということを、肝に命じてインタビューをお読み下さい。

                                      ~~~~~~~~

「国際政治学の大家」ミアシャイマー教授に聞く韓半島の未来
朝鮮日報2018年4月1日  

最近の韓半島(朝鮮半島)関連情勢を診断するためのミアシャイマー教授のインタビューは21日午前、2時間以上にわたり行われた。教授は自身の国際政治理論に基づき、よどみなく見解を語った。以下は一問一答。

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-台頭する中国が韓半島にもたらす含意は? 

 「中国がアジアで覇権国家に浮上することを阻む方法はない。覇権国家になった中国に韓国が便乗する可能性がある。そうすれば、韓国は『半主権国家(semi-sovereign state)』になるだろう 

-半主権国家は中国の植民地を意味するのか。 

 「そうではない。経済的には自立性を持つが、外交・安全保障面では思いどおりにはできず、中国のコントロールを受けることを意味する。その場合、韓国は中国という鳥かごにとらわれた鳥になるだろう」 

-中国と北朝鮮の関係の真実はどこにあるのか。 

 「中国は北朝鮮が核を持ったことにはさほど関心はない。それよりも北朝鮮が米国や日本に刺激的な行動を取ることの方が不満だ。この状況が続けば、日本が核武装しようとしかねないからだ。米国が北東アジアにさらに関心を注ぐようになることも好ましく思わない」 

-ロシアのプーチン大統領も続投が決まった。ロシアが中国のように韓半島の脅威になる可能性は。 

 「現在衰退しているロシアが過去のソ連になる可能性はない。中国の浮上だけが北東アジアにおける本当の脅威だ」 

-教授の「大国の国際政治」理論によれば、米中の協力は不可能ということになるが。 

 「中国は米国が西側を支配したことを真似し、アジアを支配しようとしている。中国はアジアで最も強い国になり、米国をここから追い出すことが目標だ。それゆえ、衝突は避けられない」 

-大国同士が平和にやっていくことは不可能なのか。 

 「大国には2つの究極的目標がある。地域の覇権国になることと他国が自国の掌握する地域でライバルとして浮上することを防ぐことだ。米中はいまそういうコースを進んでいる 

-ならば、米中間の戦争は避けられないのか。 

 「戦争の可能性よりも、緊張が高まるとみている。東中国海(東シナ海)、南中国海(南シナ海)、韓半島、台湾でもぶつかることになるだろう」 

-トランプという「異端児」の大統領の出現が米中関係にどんな影響を与えているか。 

 「トランプの最大の問題は、中国に対抗してバランスを取るための連帯を形成できずにいることだ。候補時代よりはかなりましになったが、トランプが外交をうまくやるとは思えない

-具体的にトランプが誤っていることは何か。 

 「中国が覇権を拡大することを防げずにいる。特に愚かにも中東でイランを中国寄りにさせている。トルコもそうだ。貿易戦争でも同じことだ 

-北朝鮮が非核化の意向を表明し、米朝首脳会談が5月に行われると韓国政府が発表した。見通しはどうか。 

 「見通しよりもまず、2人が首脳会談を行うかどうかが不確実だ。首脳会談の準備ができているかも不明だ 

-トランプが会いたがらないということか。 

 「トランプはブレーンたちに相談もなく、米朝首脳会談を受け入れた。トランプの立場では、『金正恩には本当に会いたいが、まだ双方の基本的な準備ができていないようだ』として、会談条件について、先に実務交渉をしようというのがスマートだと思う」 

-予定通りに会い、非核化について前向きの合意が成立する可能性は。 

 「前向きの合意が何を指すのか分からない。米国にとっては、北朝鮮が核を放棄することだが、そんな可能性はない。北朝鮮にとっては、核を放棄することは愚かしいことだと思う。北朝鮮のNSC(国家安全保障会議)の最高責任者は金正恩に核を絶対に放棄するなと言うはずだ」 

-北朝鮮が核を放棄する可能性はそれほど低いのか。 

 「その可能性は0.05%、0%と1%の間だ。分かりやすく、1%以下だとしよう(笑)。リビアのカダフィは愚かにも米国を信じ過ぎた。大量破壊兵器を放棄した結果はどうだったか。そんな事情を知っているのに北朝鮮が核兵器を放棄するだろうか」 

-韓国には交渉で北朝鮮の核放棄が可能だと考える人もいる。 

 「北朝鮮は絶対に応じない。中国もそうしろと圧力をかけない。韓国から戦術核兵器を撤収したのは、冷戦終結ムードによるものだったが、誤りだった。ウクライナが核を放棄したのも、ウクライナにとっては大きな失敗だった」 

-北朝鮮が核を放棄しない状況で、韓国が取るべき戦略は何か。 

 「核を持つ北朝鮮を抑制(containment)することがひとまず最善の戦略だ。みだりに北朝鮮の政権交代計画を進めるのは危険だ。韓米合同軍事演習、国連制裁も適切に行い、コントロールすべきだ」

                                                                                        (続く)

 

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コメント

>韓国は『半主権国家(semi-sovereign state)』になるだろう
>経済的には自立性を持つが、外交・安全保障面では思いどおりにはできず、中国のコントロールを受けることを意味する。その場合、韓国は中国という鳥かごにとらわれた鳥になるだろう
これを韓国で、マイルドな半主権宗主国であるアメリカ人学者がここまで断定的に語るところが怖いけどその通り。と思いながらインタビューを読みました。
リアリストと名のつく人々の論説の展開に「国際社会が許さない」的な言葉が一切出てこない事をもっと多くの日本人が肌で感じて知るべきだと思います。
知った上でつかう「国際社会における一員として〜」と、個人社会の延長で道義や正義思いやりを元に語るそれとは、全く響きが違うのです。

ロシアが北に力を注がないという意見はどうかな?と疑問です。たしかに体力的に無理でもありますが。

 ミヤシャイマー氏の言っている事は、一見すると米国のリベラル派の申し分に似たり寄ったりですね。
ただ違うのは「米国の国益」を第一に意識している事で、その点でトランプ氏やボルトン氏と相通じる部分があるのだと思います。

ミア氏の理論は宮家邦彦氏や三浦瑠璃氏などとも通じるところがあって、「(北朝鮮であれ、どこであれ)どこかの国に核放棄させる事は不可能(あるいは無意味?)である」との考えが前提です。

そうした考えからは当然に「日本も核武装して対抗すべき」という結論に至らざるを得ないですが、この理論家の欠点は北朝鮮相手に一般的・対等の相互確証破壊理論が適応可能と考えている事ではないでしょうか。

議論においてこの点を突かれると、必ず「事実として、現在まで核を使用したのは米国しかない」と返すのですが、このあたりが学者の限界だと感じます。

一発で大勢を決するような大型の核を米国は使う事は出来ませんし、国家体制によってその国の為政者が考える「人民そのものの価値」が違うので、核攻撃による被害の受容限度が異なります。ですので、「均衡」はしません。

それと、ミア氏は(北が核を持ったとしても)封じ込めによって使用させない事は可能であって、ブッシュ時代の北への対応は正しかったとの評価を変えていません。

ブログ主様は「韓国が核保有すれば、やむなく日本もせざるを得ない」とお考えのようですが、どうであれ日本の政治状況を考えれば、日本が核武装する道は今後20年たっても訪れるとは思えません。

そうすると、最低限「国民の安全と財産」を守る必要がある我が国の為政者が取りうる方向はひとつしかなく、穏やかに親中的な流れを作り、結果的には中国側の傘下に入る事が必須の条件となって来ます。
それが米国の国益に叶うのならばミア氏の理論も完璧ですが、たぶんそうではないでしょう。

そうして考えると、北への武力攻撃は最低の案ですが、「どの方法よりもマシ」なのだと思うしかありません。 
また、そうした覚悟を持つ事こそが正恩の「最後の譲歩」に結びつく可能性を開くものであり、結果的に戦争をせずに済む唯一の道なのだと思います。
これこそ「戦略的忍耐」じゃないでしょうか。

今はまだ、日米が行い得る「圧力」は多くのカードが残されています。
中共は今回、その「圧力」を緩和させる目的で動いている事が明白となりましたが、いかに西側の首脳たちに人気のないトランプ氏の主導でも、国際が直ちに「圧力緩和」に傾斜するとは考えられません。

しかしトランプ氏があんなふうだからこそ、「圧力緩和」の流れを作らせない重要な役割は安倍総理にしか出来ない事で、またこれで忙しくなるのでしょう。

ミアシャイマー氏を無自覚なリベラルだと斬る意見もネットにあるようで、私的には彼が何で何に類するのかよりも、学説自体がベースにしている悲観的な出発点から見つける最低ライン、そこからの前向きな生き残り展望にとても興味を持ちます。
攻撃的現実主義は、サイズ・地理的条件・軍事力で推し量るパワーバランスですので米中露がメインプレイヤーになる話ですが、中堅どころの立ち位置は国力と大国とのバランシングによって切れるカードが限られる。実は中堅どころが必要なカードを意識するためのツールになり得るのではと思います。

ミアシャイマー氏が今回韓国に言っているかごの鳥の未来というのは、8枚あるカードのうち避けるべきと名付けられている追従宥和の部類です。(ここ数年ずっとそのカードを中国に切りまくって来たので当然なのですが。)
そして日本も核武装が無理なら追従カードを切るしかないという方へ悲観する前に、これだけ核アレルギーがあった日本が核武装論議をし始める、というインパクトも少しは有効です。改憲も同様です。その有効性を彼の論は妨げていません。
リベラルでも保守でもない分厚い層への働きかけとして、使い用によって有用な論法だと思うのは私だけなのかな?

ふゆみ様

>悲観的な出発点から見つける最低ライン、そこからの前向きな生き残り展望

危機管理の基本ですよね。

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