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2018年5月11日 (金)

北が目指すのはイラン核合意の北バージョンだ

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米朝会談の日程が決まりました。ちょうど1カ月後の、6月12日シンガポールです。 

正恩が10年前に払い下げされたロシア政府専用機キム・ダイナスティ号でくるのか、見物です。相当にボロイ機体ですから、途中で落ちないでね。 

正恩のことですから、落ちて死んだら核報復しろくらい言い残してそうでコワイ。旅のご無事をお祈りします.。 

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英国フィナンシャル・タイムス(FT)は、このような皮肉な記事を書いています。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53044?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top

「金正恩氏のようにごく短い期間に変身を遂げた政治指導者は、たとえ存在していたとしてもまれである。
長い間、核戦争を決意した向こう見ずな男として風刺の対象になってきたにもかかわらず、今では、東アジアを70年間不安定にしてきた紛争に幕を引こうとする平和の人になっている。
この際、残酷で容赦ない政治体制の責任者であることや、核爆弾製造のために数え切れないほど多くの北朝鮮国民が飢えていることなどは気にしない、ということだろうか」

そしてFTはこんな予想を述べています。

「金王朝が三代にわたって究極の体制保障策として追求してきた核兵器開発プロジェクトを北朝鮮が果たして放棄するだろうか、という疑問だ。トランプ氏の気を引くうえで役に立つことが立証された以上、断念する理由などない。
また、金正恩氏が非核化を約束する場合、それはおそらく期限の定めのない、多国間の核軍縮交渉に参加したいという意味なのだろう。北朝鮮の核爆弾は米国、ロシア、中国などの国々の爆弾とともに、次の世紀まで続く交渉で席を得るということだ」

FTによれば、今世紀いっぱい続くだろう核軍縮交渉のテーブルを要求している、との見立てです。 

イギリス人らしく夢も希望もないディストピア的予想ですが、まぁ北が考えそうなことではあります。 

北がこの間盛んに「非核化はやるけど、それはあくまでも一気にではなくて段階にゆっくりとだ」と言っているのはこのことです。 

今、北が「非核化なんかヤダもん」と身も蓋もないことを言ってしまえば、盟友ムン・ジェインがガックリするだけではなく、米国に軍事攻撃をしないという理由がなくなります。 

ですから、できるだけ時間をかけてダラダラ戦術でやるというのが、北の思惑なのでしょう。 

できるなら、FTも言っていたような、「各国間核軍縮に参加したい」などというとぼけたことも言い出すかもしれません。 

そして正恩が目指すは、イラン核合意の北バージョンといったところです。

しかし北に核軍縮交渉に席を与えるていどが落とし所なら、そもそもトランプは米朝会談など、恥さらしなだけですからやらないでしょう。 

トランプが主張しているのは、一貫してCVIDです。つまり、「完全かつ検証可能で不可逆的」な核廃棄です。 

イラン核合意を英仏独の反対を押し切ってまで離脱したのも同じくCVIDです。その意味では、トランプは一貫した考えで核拡散に対応しているといえます。 

トランプがなぜイラン核合意を離脱したのか、考えてみると分かりやすくなります。 

このイラン核合意は、確かに大変に問題点が多い条約でした。 

728_41_nenpyo_i外務省http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics...

条約の隅々まで非核化を徹底するのではなく、限定して制限するという発想に基づいて作られています。 

たとえば、イランは核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを15年間は生産しないといいますが、15年後には許されるわけです。 

条約発効が2015年ですから、2030年までイランは辛抱すればいいだけとなります。 

また、10トンあった貯蔵濃縮ウランを300キロに削減し、1万9千基あった遠心分離機を、10年間で6104基に限定するというものです。 

言い換えれば、核製造装置・核原料は制限を受けているだけで、イランはしっかりと持っていることになります。 

Bnvo884_3g0z2_m_20171013125435http://jp.wsj.com/articles/SB127855127739611734641... 

よくこんなことで主要国が妥協したなと思うような内容のザル条約ですが、なんといっても最大の問題は、弾道ミサイルです。

「米国が主張する最も重要な項目は、イランによる弾道ミサイル開発を制限することに「失敗」した点だ。非核ミサイル開発の継続を許したことで、この合意による核開発制限が期限切れとなった場合、イランはすぐに核弾頭を搭載することが可能だと批判派は指摘している」(ロイター5月9日)
https://jp.reuters.com/article/iran-us-deal-idJPKBN1HG14O

「欧州諸国がいかなる懲罰的な対応を取ろうとも、イランが、ミサイルの射程距離に表面的な「上限」を設ける以上のミサイル開発規制に同意することは考えにくい。(イラン政府はこれまで、射程距離2000キロを超えるミサイル開発を自粛すると示している。これは、何らかの軍事衝突が起きた場合に、イスラエル中心部や中東地域の米軍基地を狙える射程だ。) 」(前掲)

整理しておきます。イラン核合意の問題点はこんなことです。 

①イランの弾道ミサイル能力を認めている。
②製造装置・核原料については制限を受けているだけにすぎない。
③条約失効後には、イランの核開発に歯止めがなくなる。
 

そしてこの危惧の背景には、イランが中東各地、特にシリアに革命防衛隊を派遣して中東の覇権国になろうとしているという観測があります。 

特にこれを警戒しているのが、イスラエルとサウジで、共に立場は違えど、条約失効後にイランが核ミサイル保有国となることを恐れています。 

トランプに言わせれば、イラン核合意は目先の痛みを取るだけの対処療法のようなものです。

彼はきっとこう言いたいのでしょう。

10年の失効後とは2025年だ。もう目の前だぜ。そうなったらもうイランを止める奴はいない。イランは公然と中東で唯一の核保有国になるんだぞ。それでいいのか、諸君!」(もちろんイスラエルが核保有国なのは公然の秘密ですが) 

今後、米国が離脱しても、英仏がイランの核合意を維持するというTPP11のような予想も一部でなされていますが、無理だと思われます。 

マクロンも、核合意の欠点は弾道ミサイルの容認にあることを分かっていて、それを条約改定に持ち込みたいと考えているようですが、ダメでしょう。 

なお、よく知られた事実ですが、このイランの弾道ミサイル技術は北が提供したもので、北はシリアには毒ガスを提供しています。

このように北は、武器の国際ブラックマーケットにおける核と毒ガスの卸元なのです。

それはさておき、イラン核合意維持派が苦戦を免れないのは、米国が独自で制裁をかける能力を持っているからです。

おそらく遠からず、イランと取引する金融機関への制裁などといった強力な手段で締めつけを開始することでしょう。 

原油輸出に関しても、核合意以前の禁輸措置が取られると思われます。

これに対してイランは激怒して、核の再開発やテロなどの強硬な対応策を打ち出すはずで、こうなってしまえば、もはや改定交渉をすること自体が不可能です。

一度低い条件で折り合ってしまうと、後からそれを高くすることは不可能に等しいのです。

これは北についても同じで、米国が同じ轍を踏むとは思えません。

これは世界の原油マーケットを一時的に押し上げるでしょうが(既にその兆候は見えていますが)、それもサウジなどの湾岸諸国の増産と、米国産シェールガスの増産で、そう長続きはしないはずです。 

ちなみに、ロシアはイランと、シリアアサド政権支援をめぐっての準同盟国のはずですが、この原油価格上昇という願ってもない天の贈り物を歓喜して迎えるはずです。 

このように考えてくると、北との非核化交渉は、FTがいうような甘ったるい交渉にはならないと私は思います。

※改題しました。いつもすいません。

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コメント

>ちなみに、ロシアはイランとシリアをめぐっての準同盟国のはずですが、この原油価格上昇という願ってもない天の贈り物を歓喜して迎えるはずです。
本題にコメントをつける時間が夜まで持たなくて残念ですが、この部分↑ロシアはひと息つけて金銭的に楽になりますね。
北への圧力は拉致と化学兵器へのバッシングも高まりつつあります。国民粛清の要素を核関係の記事に混ぜ込んだ海外通信記事も、年が明けてからぐっと増えてきました。
これは単純な条件闘争にさせないサインだと考えています。

 米国の合意離脱は、そっくり穴のないように組み立て直すための動機からのもので、米国の離脱を止める説得をしていた欧州の首脳たちも、修正する事には合意していたのですね。

正恩の目指す米朝会談での落としどころは「イラン方式」での合意にあったのに間違いなく、イラン合意を離脱した米国には譲歩する理由が一切なくなりました。
「譲歩出来なくなった」と言い換えてもいいでしょう。

会談が不調ならトランプ氏は席を蹴って海上封鎖でもやればいいのですが、さんざんヘイワ風を吹かせ宣伝戦を展開してきた正恩には「決裂」は出来ない相談です。
まだまだこの一ヶ月予断を許しませんが、現段階で記事の内容は一層的確な考察です。

ちなみに我が国のアカデミーのセンセー方は、こぞって「イラン合意に類似したもの」で決着がつくだろうと予想してました。
平岩俊司・南山大教授、川島真・東大教授、柴田哲雄・愛知学院大学など錚々たる方々ですね。
彼らが間違えるのは親北ゆえなのか親韓だからなのか、反米が過ぎて米国事情に疎いのか不明ですが、我が国の知識層は退廃的なほど深刻な状態です。

しかしこれはもう、ブログ主様としてはブログ主催者冥利に尽きるのではないかと拝察しますがいかがでしょう?(笑)


北朝鮮と中東、リンクしてますね。

イラン方式なんてザルをやったらバカバカしく米国の利益に反する。米国としては「そんな甘っちょろいことなんか認められるか!」ということです。
で、リビア方式になるなら、キム王朝をどうするかという割と単純な話です。カダフィみたいに惨殺されるのは当然まっぴらゴメンでしょうから。ならハワイに亡命でも何でもさせれば済む話なんですけどね。

ところがなかなかそうも行かないのが大国の論理なわけです。

米国のイラン核合意離脱は、私は前のアフマディネジャドと違って穏健なロウハニ政権相手には「それは悪手ではないか?」とも思いましたが、イランがシリア・イエメン・レバノン・カタール等にこの30年やってきたことを思えばどれだけ深刻に考えているのかが分かります。
オバマはとりあえず「なあなあ」で戦略的忍耐ばかり繰り返してましたが、トランプは違いますね。
批判も多いし誰も触れないようですけど、大統領就任1年そこらで「メキシコ国境の壁建設」以外の『公約』はTPP離脱等も含めて悉くやってのけている!こんな大統領いないでしょう。好き嫌いは別として。。

オバマが距離をとったサウジアラビアともタッグ組み直し。
中東が不安定化して原油価格が上がれば、それこそアメリカのシェールで利益出まくりなのもポイント。ロシアも助かる。

で、中東問題で困るのは我が国日本と日本企業です。
サウジともイランとも仲良くやってきた長い歴史がありますからね。イラ・イラ戦争で撤退させられたIJPCは三井物産でしたね。

拉致問題でアメリカを頼るな、自分で言え!といったニュースが今朝出てましたけど、んなもん無理に決まってます。ああ、『言う』だけならできますけど実効性がありません。
北の宣伝を垂れ流す日本のマスコミはなんなんでしょうねぇ。
衝撃的だった小泉訪朝の時に、「こんなフザケタ内容に付き合うな!」と、席を蹴ろうとした男が現在の首相です。
彼を持ってすら動けない上に「モリ・カケ」なんて国際・人権問題に比べたら極めて子細なことに全力を上げる野党や国営放送を含むマスコミは本当に腐ってますね。
NHKは取材能力高いし「シルクロード」の頃から好きだけど、こんなんならEテレ以外は紀行番組やスポーツ中継だけでいいわ!と。

 山形さん

 そうなんですよねぇ。
CNNのトランプ公約達成検証番組とも違い、事実はトランプ氏の公約達成率は驚異的に高いです。
そう言うと、「オバマケアも撤回出来てないだろう」という屁理屈を言う人が必ず出て来るのですが、保険加入義務をなくしたので本質的には撤回と同義で、これも「公約達成並」ですよね。

まさに言われるように「好き嫌いを別にして」当座の価値判断抜きで、ちゃんと事実を見ていないと続く真実が見えて来ないですね。
これは我が国のマスコミを中心とした反安倍症候群の方々にも間違いなく言える事です。

また、「「オバマ憎し」がトランプ氏の行動原理で、ただ反目を張っているだけ」との見方も皮相的に過ぎますね。
こういう方々は、少なくも「オバマ政権の総括」が全然出来ていないです。

中東において、歴史修正主義的に敵と味方を総入れ替えするような激越な方法を取ったオバマの方法こそ非難されるべきで、その結果が「アラブの春」に肩入れせざるを得なかったヒラリーの悲哀だったと思います。

こうしたオバマのような「ラジカルなリベラリズム」が生む変革と言うものは、常に「ためにする変革」にすぎない傾向が顕著でして、結果として「イラン合意」のような見せかけのヘイワごっこで地域の安全保障を台無しにするのです。


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