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2018年5月 9日 (水)

政府「財政収斂基準」を導入か?

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政府があのEUでも失敗した「財政収斂基準」なるものをやる気のようで、検討に入りました。 

これは明確に、来年の増税のシグナルととっていいでしょう。

そして消費増税後に必然的に生じるはずの増税不況に対しても、財政収斂基準を楯にして、政府の財政拡大で補うことはしないぞ、という予告宣言のようです。 

財政再建原理主義の財務省や与党政治家のプッシュでしょうが、これをまともにやれば、日本経済は消費増税と財政規律主義にバインドされて失墜すること必定です。 

それを報じる読売新聞(5月9日)です。 

「政府は、2021年度の財政収支の赤字額を名目国内総生産(GDP)の3%以内にすることを新たな財政再建目標として掲げる検討に入った。 
目標達成へ向け、高齢化による社会保障費の伸び(自然増)を19年度から21年度まで毎年5000億円程度ずつ、計1・5兆円程度に抑える方向だ。
 6月にもまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む。
 財政収支の赤字額には、過去に発行した国債(借金)の利払い費も含まれている。内閣府によると、18年度の財政赤字額は対GDP比で4・4%程度になる見通しだ。欧州連合(EU)は加盟国に、GDPに対する財政赤字の比率を3%以下にするよう求めており、日本も同水準の目標を掲げることにした」

まずはEU加盟の条件とされた、収斂基準なるものを簡単に押えておきます。
収斂基準 - Wikipedia
 

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①物価が加入検討の前年の消費者物価上昇率が、EU加盟国の中で最も消費者物価上昇率の低い3カ国の平均値の±1.5%以内であること。
②政府財政が、年間財政赤字額の対GDP比が3%以下であること。
③為替レートが、ERMの正常変動幅を維持していること。
④ 政府長期債における利回りが、EU加盟国の中で最もインフレ率の低い3カ国の政府長期債における利回りの平均から2%以上乖離しないこと。

「マーストリヒト条約の収斂条件」
http://currencyeye.web.fc2.com/ch1/pg3.html

日本が検討し始めた財政収斂基準は、このEUの収斂基準の②の財政部分をコピーしたものです。

そもそも収斂基準全体が、元来がヨーロッパの特殊事情から生まれたEU特産品にすぎません。

EUは、ヨーロッパを単一の大きな「国」に見立てて、国境の壁を取り払っていこうとする統合理念から生まれました。 

まぁ、今から見れば大脳皮質の産物で、やったほうがよかったのかどうか、はなはだ疑問ですが、ともかくやっちまったんだから仕方かありません。 

問題は多々ありました。

ヒトの自由を保証すれば、東欧圏から西欧にドドっと有能な人材が集まってしまったり、テロリストも一回EUのどこかに入ってしまえば、どこに行こうと自由です。 

また、関税自主権を撤廃したために、国内でバランスよく持っていたさまざまな産業や農業が危機にさらされました。 

特にギリシア危機で明らかになったのは、盟主ドイツが押しつける緊縮財政でした。 

これは放漫財政だったギリシアにも問題か多々あるのですが、ギリシアに言わせれば、こんな緊縮財政を押しつけられたら、不況から立ち直れるはずがないだろうということでした。 

本来、このような財政破綻に遭遇した国がやるべきことは、通貨の切り下げです。

意識的にやらないでも、デフォールトするでしょうから、通貨は投げ売られて通貨安になります。

しかし危機こそ活路で、ここぞと通貨安にすれば、輸出品が安くなりますから、おめでとうこれで国際競争力が回復するというわけです。 

このようなオーソドックスな景気回復政策が、ユーロという共通通貨があるためにできなくなりました。 

お気の毒にも、かつての自主通貨のドラクマなら、ギリシア中央銀行が独自に運用できますが、共通通貨のユーロはヨーロッパ中央銀行(ECB)がコントロールしているもんですから、まったく融通が効きません。

このように、国家ごとの独自景気対策が不可能というのが、このユーロシステムの宿命的、かつ致命的欠陥なのです。 

この時に出てきた大きな壁が、冒頭にでてきてなんと日本も導入を検討しているという「財政収斂基準」なのです。 

ユーロは西欧の狭い範囲、つまり独仏などの経済がしっかりした国の中でやっているぶんには問題がなかったはずです。 

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しかし、よしゃあいいのに、スペイン・ギリシアなどのデキンボーの国などを入れたあたりから、目算が狂ってきました。 

なにせギリシアなんか、財政帳簿を国がゴマかすというスリリングなことをする国ですからね。 

本来なら、ハナからユーロになんか加盟させなきゃよかったわけで、メルケルの拡大欲が裏目に出ました。 

あ、そうそう、EUとユーロは別ですから。ヨーロッパ連合(EU)に加盟しても、共通通貨のユーロを使うか使わないかは独自に判断可能です。

ですから、英国は賢明にもEUには入っても、ユーロは拒否して、あいかわらずポンドを使い続けていましたから、ブリグジットも比較的容易でした。

それはさておき、メルケルは決して親切心でギリシアを加入させたのではなく、関税障壁なきギリシアに雪崩のような輸出をジャブジャブするために入れてやっただけのエゴだったのですがね。 

しかもメルケルは、ドケチでした。もちろん個人の資質ではなく、モンスター財政規律主義だったのです。 

金満なくせに、出るものはベロも出したくないという落語の大家みたいに、店子の加盟国の財政を締めまくったのです。

113033ヨーロッパ中央銀行(EUB)

ヨーロッパ中央銀行(EUB)に、ドイツの息がかかった総裁を据えて、ガッチリ監視して収斂基準からの逸脱を監視していたわけです。

このギリシア危機の時のメルケルの書いた処方箋も、想像どおりギリシア政府にギチギチと財政緊縮と公務員削減を求めたものでした。

経済危機と財政緊縮を同時に受けたら、国民に浮かぶ瀬もありません。

ギリシアにとどまらす、この財政締めつけがあまりにひどすぎて、盟友のフランスまでもが悲鳴を上げてユーロ離脱を叫ぶ右派が台頭したり、自分のお膝元のドイツですらメルケルの評判は地に落ちました。 

よく移民問題だけがとりあげられますが、その社会背景には政府の財政投資不足による公共インフラの老朽化、安全保障の危機など慢性的なひずみがあったからです。 

ベルリンなどは道路が穴だらけでも補修する金がなく、連邦軍は戦闘機の大半が整備できずに使用不可能といったていたらくです。 

というわけで、ヨーロッパですら見直したほうがいいんじゃないか、という声が大きくなっている財政収斂基準なんぞを、なんで痩せても枯れても独立国家日本が採用せにゃならんのか、私には理解できません。 

日本の現在の財政赤字GDP比は、 -9.53%(2010年)~ -3.45(2018年)で推移していますので、仮にEUの財政収斂基準の3%を適用しても、日本の財政は楽勝で下回っています。 

それを18年度が4・4%になりそうだから、収斂基準を作って締めるということのようです。おいおい。

まったく度し難い緊縮病患者たちですが、与党内部は石破氏、岸田氏、野田氏など主立った総裁候補が全員ガン首並べて緊縮財政派だから、ちゃーならんさです。

こんな財政ドケチの彼らが政権を取ったら・・・、ああ、朝からエンギでもない。

※イラン核合意からの米国離脱については明日になります。

 

 

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コメント

国家が破産して、国がなくなった例ってあるのでしょうか?企業ならいざ知らず、自国通貨を発行している国が破産するなんてありえないと思いますが。企業でさえ会社更生法などで、再生の道があり、一個人でも同様な道があるのに、国にそれがないとでも言うのでしょうか?
緊縮財政規律の方々は、単に赤字が嫌いなだけなのでは?と穿ってしまいます。国債残高がいかほどになっても円の信用は崩れていないのは幻なのでしょうか?

上の書き込みは「一宮崎人」です。名前が抜けていました。すみません。

ギリシャの破綻で頭に来るのは、やはり「マルク高で苦しんでいたのにユーロ加盟した途端に横暴に貸し付けやっといて『回収!』というドイツ銀行とメルケル」ですね。

元々EEC→EC→EUの流れで、本来は戦後ドイツの暴走を防ぐのが目的(NATOともリンクします)だったはずが、マルクを捨てたら、あらまあドイツの一人天下ですよ。
もう、防衛軍とかは惨憺たるもんですけどね。それで自国だけはプライマリーバランスをプラスにしたって、アンゲラ婆さんの最悪の運営で、ヨーロッパ全体が振り回されてます。
そんなメルケルがトランプのアメリカ自国主義に難色とか、笑えないジョークです。

英国の前政権は頑迷ながら、ポイントを抑えた優秀な判断でしたと思います。

緊縮財政を唱える方々の中に高齢者よりも未来への投資に繋がる要素を優先するという踏み込んだ主張をする政治家でもいればまだ聞く耳は持てるのですが、こんな人に限ってどちらも拡充した上に酷い人になると消費減税までブチ上げたりするのでなんだかなぁ…という感想しか出てきません。

沖縄でも八重洲が独自の都市計画で右肩上がりの発展をしている一方、西原は財政破綻が危惧される状況と同じ那覇周辺の自治体でも明暗がハッキリと分かれだしています。
合併を機にチャレンジをした八重洲と現状維持に甘んじてジリ貧に陥った西原。
今後の日本を暗示する2つの可能性のような気がしてなりません。

まあ、ユーロの仕組みの最大の欠点ですからね。それを拡大しすぎたんですよ。

ユーロの仕組みは、日本でいえば地方交付税を廃止して、東京だけが税収ゴッソリとる仕組みですので、地方であるギリシャや南欧は苦悩するわけです。そしてそういう国が足引っ張ってくれるおかげでユーロが暴騰しないので、東京に相当するドイツが潤うわけです。だからギリシャが「交付税」くれよというのも一理あるわけですね。

しゅりんちゅ さん

 消費税減税には反対なのでしょうか?大方の方が反対ですね。自民党の大勢はそうなんでしょう。私は三橋氏の理論通り、消費税は減税すべきであり今はデフレからの脱却を急ぐべき時であり消費税はまず減税をするべきだと思っております。ここで詳しいことは述べられませんが、それは私の説得力の欠如であるためであり、ぜひ三橋氏の記事をご覧になってください。

 今般の「財政収斂基準」なるものも絶対に受け入れられるものではありませんね。必要な予算は、通貨を発行してでも確保しなければなりません。そして、EUのやり方はおかしいですよ。

 ギリシャはEUから脱退し、破たん財政国家であることを素直に認め、今後の厳しい再建の道を歩まねばならないと思います。

 8%への増税で国の税収額は増えたのでしょうか、増えていない筈です。消費税による税収は増えたんでしょうが税収総額は増えないのです。これっておかしくはありませんか? これについて、国民は真剣に考えなければなりませんね。

 私が現政権に不満があるのは財政政策の分野であります。日本人の個人所得は20年間下がり続けていると言うではありませんか。個人所得が下がり続けている中で消費税を増税するなんて考えられません。

 政府は所得倍増政策を掲げ、所得の増による税収の増加を図らなければなりません。

 経済に詳しい方の論評を期待します。財政政策、経済論は防衛問題の基本に横たわるものでもあります。とても大事だと思います。

 EUは間違っております。早急に解散すべきです。国家の個別の財政権を奪ってしまっては、現在EU内の赤字国に対しては援助がなされねばなりません。EU本部はギリシャへ借款を行いましたがこれによりギリシャが再興することができるのでしょうか? これはEU本部による制裁でしかないでしょう。だから、ギリシャは自分の力で立ち上がる気風を持たねばならないでしょう。それには、いったんEUから脱退してみることです。財政主権を取戻し、関税自主権も確保し、国家運営を自ら行うべきだと思いますね。厳しいでしょうが、それしかないでしょう。EUはどこかに大きな矛盾があるのではないでしょうか。国家ではないのに、国家のふりをしている異常さはどこかで破たんするのではないでしょうか。

 トランプ大統領がイラン核合意から離脱するようですね。明日、ありんくりんさんが記事にしてくれます。

 トランプ大統領の行動はまことに痛快ですね。どうぞご自身がお考えのとおりに世界で羽ばたいてください。

 中国封じ込めもよろしお願いしますね。この中国は他から制御が加わらないととんでもないことをしでかす惧れがあります。トランプ頑張れです。

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