• 20250112-044948
  • 20250112-050804
  • Dsc_1204
  • Dsc_1204_2
  • Dsc_1206_2
  • Dsc_1210
  • Dsc_1211
  • Dsc_1208
  • Dsc_1188
  • 20250110-053936

« ボルトンとポンペオの温度差につけ込んだ北朝鮮 | トップページ | 北は核を諦める気などない »

2018年5月30日 (水)

正恩が最も恐れるものは

Dsc_3109
正恩は父親の影を追っています。 

親父の正日もまた、「偉大なる国父」たる日成との葛藤の中から、正日流統治を作り上げました。 

このような独裁国家において、新たな王が権力を継承する場合、必ずせねばならないことがあります。 

それは父親に仕えていた重臣たちの粛清です。 

重臣たちは、前王の権威の名において自分たちの権力を守ろうとします。

彼らにとって若き王の権威などまつり上げるだけにすぎず、今までどおりの先代流の統治方法に固執するでしょう。 

新王はこれを叩きつぶさないことには、自分の権力を確立できません。正恩はこれを権力継承と共に開始し、数百人に及ぶ粛清を生み出しました。

粛清というのは、左遷するのではなく文字通り殺すのです。

粛清の頂点は、チャン・ソンテク(張成沢)という叔父にして事実上の北のナンバー2でした。 

チャンを粛清するに当たっては、わざわざ党大会を選び、幹部たちの目前で連行し、わずか4日後に党幹部の前で機関砲でバラバラにして、死体は犬の餌にされました。 

チャンは部下であった2人の男の処刑台の横に座らされ、20ミリ機関銃で処刑された部下の大量の肉片と血がチャンの頭から降り注いだそうです。

チャンは気絶し、蘇生させられてから、彼自身が処刑台に据えられたそうです。

Photo_3
彼をこんな残虐なやり方で抹殺したのは、新王が権力を掌握したことを臣民に知らしめるためのみせしめでした。 

このチャンの粛清は、彼の党と軍の部下たちだけにとどまらず、中華文化圏特有の九族に及びました。 

九族とは直系の九9親等をさしますが、現実には関わった多くの人たちをも巻き込んだ大粛清劇であるのが一般的です。 

チャンの姉と夫のチョン・ヨンジン(全英鎮)駐キューバ大使、甥のチャン・ヨンチョル(張勇哲)駐マレーシア大使、及び彼の20代の息子2人も、ピョンヤンに召還されて相次いで処刑されています。 

また、チャンの2人の兄(故人)の息子や娘、孫まで探し出して処刑するという徹底ぶりです。 

かくして、チャン・ソンテクの党と軍の人脈、そして直系親族は全員が処刑されました

え、チャンの妻が殺されていないのはなぜだって?それはチャンの妻が父・正日の妹だったからで、それもチャンの女癖の悪さを嫌ってとうに逃げれています。

だから、叔母に気をつかうことなくチャンを処刑できたのです。

実兄の正男の暗殺も同じ文脈で、彼の直系親族は皆、潜伏を余儀なくされています。国外であっても、北の「長い手」を恐怖しているのです。 

Photo_4
一説によれば、チャン・ソンテクは中国と共謀してクーデターを起こして、正恩を抹殺する計画だったと伝えられています。 

それが成功した場合、逆のことが起きたでしょう。正恩はもとより、党・軍の支持者とその九族は粛清されていたはずです。 

さて、このように見てくると、正恩が恐れているのは、米国だけではないとお分かりになるでしょう。 

むしろ直接的な恐怖は、国内に存在します。あれだけ大量の粛清を出しながら、その根は刈りきっていないと、この男は考えているはずです。 

また各地の党・軍にもぐり込んで息をひそめて機会を狙っていると思うはずです。この根は枯れません。 

なぜなら、彼らの背後には隣の大国が控えているからです。 

中国の傀儡であるチャン・ソンテクによる権力掌握を目前にして挫折しましたが、今でも機会あらば北を完全な支配下に置くことを諦めたわけではありません。 

現在、中国は北との1400キロに及ぶ長大な国境線沿いに軍を展開しています。 

元防衛研究所主任研究官の川上高司氏によれば、国境線に配備された軍は北国内における戦闘に必要なものだとされています。 

管轄の北部戦区(旧瀋陽軍区)には東部の部隊も編入されていて、それらを黄海経由で北に上陸させることも可能だと言います。 

中国軍は、仮に北国内でクーデターが起こり内乱状態になった場合、直ちに中朝友好協力相互援助条約に基づいて「平和維持軍」として、侵攻を開始するでしょう。

あるいは、米国が会談が決裂して軍事力行使をする場合も、中国軍が北に侵攻する密約のひとつくらいは、米国と結んでいても不思議ではありません。

米国には北に陸上部隊を投入することは避けたいはずですから、それが可能な国は中国しかないからです。

おそらく中国軍が北の主要部分を制圧するまで、そう時間はかからないはずで、北朝鮮という国は地上から姿を消します。

ですから、北にとって米国の軍事力行使は、中国の陸上侵攻も想定せねばならない事態となりえるわけです。

正恩がなぜ、米国との対決を前にして中国に泣きついたのか、また遠隔地を会談場所に設定できないのかという理由がここにあります。

正恩に取って米朝会談はあくまでも、拒否するトランプを引っ張りだして、「大いなる勝利」で回収せねばならないのです。

もはやこの目論見は半分失敗していますが、ならば、会談でなにがなんでも「大いなる勝利」をもぎとらねばならないと考えているはずです。

もなくば今度粛清されて、機関砲でバラバラにされて犬の餌になるのは自分のほうだからです。

■写真 赤いしゃくなげが縮小すると思いのほか汚かったので、ブルー・ローズに差し替えました。

 

 

 

« ボルトンとポンペオの温度差につけ込んだ北朝鮮 | トップページ | 北は核を諦める気などない »

コメント

米中が密約を結んでいる可能性は十分に考えられますね。
中国とすれば対ロシアも考えないといけませんから。
港の一つ二つは許してもそれ以上は許せないでしょうから。
※距離的にそこまで防ぐのは無理でしょう。

中露も港の一つ二つをロシアに譲ると言う線で密約が出来ているかも知れませんね。

問題は中朝の軍事同盟ですがどうなんでしょうね。
短期に二回も訪中したのも軍事同盟の確認の為でしょうけど、
結果は思わしく無かったのではないでしょうか。

理由は大国同士は他所の国では対決してもお互いの国への攻撃は避けている様に思えますから。
また、米国が壊滅作戦を取った場合援軍は間に合わないでしょう。

北朝鮮内にも敵が居る。
実際に居るかどうかは関係無く、金正恩は怯えているでしょうね。

私が金正恩なら…
う~ん、
打つ手は無いですね。(笑)

死なば諸共の玉砕戦争の決断は
部下が言う事を聞くのか甚だ疑問ですね。
面子を潰す講和を結べば粛清されそう。
米中に亡命は米中共に信用出来ない。
あ、ロシアも信用して無いでしょう。

結局は、面子が保てる講和しか無いですね。(多分無理)
会談後、何処かに亡命かな~(一番延命率が高い)

解放された元大学生オットー・ワームビアさんの件もあり、北朝鮮という国(国かどうかも疑問)の悍ましい実態を少しは知っていたつもりですが、こう文字にされるとお昼に食べたものが出てきそうです^^;

記事と逸れますがこういう拷問の類をかつて日本軍が行っていたという嘘が世界でプロパガンダされていますが、日本人には到底思いつかないような残虐な手法が半島にはあるあたり、やはり日本併合時の半島人の仕業なのだろうと思わずにいられません。

またまた話は逸れますが今日のお写真のブルーローズですが、先月公開されて以来美しさに惹かれてパソコンの壁紙にさせてもらってます。今更ですが報告させていただきます<(_ _)>

金英哲朝鮮労働党副委員長が北京を経由し米国に向かったそうですね。
米国に到着は30日になる様です。

恐らく、トランプ書簡への返答の正式な親書を持って行ったのでしょう。
米国の代表団に渡さずNo.2(だと思う)の高官自ら持っていった事から
内容はトランプ帝が満足するに達していないのか、
もしくは、何らかの合意文書作成の為だと思います。

米朝会談がかなり煮詰まってきてますが、その内容も興味あるのですが、どうでもいいことかもしれませんが、どうしても気になることが、仮にマレーシアで会談が開かれるとなった場合、正恩さんは、どのようにしてマレーシアまで移動するのでしょうか?常識的に考えたら飛行機なのでしょうが、確か北朝鮮のエアフォースワンはボロボロでマレーシアまで飛べないかも?と言われてたんじゃないですかね?陸路を御成列車って言うのも中国国内ならいざ知らず、マレーシアには行けませんし、ん~?本当どうするのでしょうかね?

 粛清と強制収容所なくして独裁政権は成り立たないし、暗殺や公開処刑は政権維持の為の必須アイテムですね。

正恩は中共の関与を最も恐れつつ、中共の関与を利用しようとしました。
それを牽制して中共の関与に予め強力なストップをかけたのが、トランプ氏の「会談中止宣言」だった意味合いが強いと思います。

ただですね、記事にあるような粛清はほんの一部であるくらい北朝鮮の人権状態は凄惨な状況です。
「体制保証」がどのような意味であれ、このような国家と米国が手を結ぶとは考えられません。
「体制保証」するなら、米国は北の人権状況にどう対応するのか? 
これらは壮大な矛盾だし、このままの北を受け入れるなら「民主主義」の定義を変えざるを得ないほどのものになると思います。

ところが、ポンペイオ氏はこの体制保証に関して、「シンガポールの結果を受けて条約化し、議会にも批准を図る」としています。
これを良いように解釈すれば、現在の北朝鮮に対して、戦後の日本やドイツに対してと同種の関与政策を目指しているように感じない事もないです。
(ここに日本の意思が働いているのかどうか、これはわかりません。)

しかし、そのような事を受け入れる兆候はここに至っても現在の北朝鮮には微塵も見られません。
北朝鮮はまだ「敗戦」もしていないのですから当然とも言え、この先も一朝一夕には行かず、受け入れまでに相当の時間が必要でしょう。

拉致被害者を抱える我が日本国としては、米国による武力攻撃を推進すべく唱えるよりも、武力攻撃の選択肢を圧力としつつ、経済協力を示しながら「正恩の改心」を促す方が道が開けると考えているのだと思いますね。
「南ア」方式におけるような為政者自らからの方針転換を促すために、「圧力」と「協力」をプラスする意味でしょう。

けれど実際のところ、CVIDなどと言うものは正恩体制下では実現不可能だと思えるし、少なくともすぐには無理です。
米国からの攻撃を避けるために核やミサイルを千数百箇所に分散させているように、拉致被害者も分散させている可能性も高いです。

「最後の一人の返還まで、拉致問題は解決しない」とする安倍総理の言葉の意味は多岐に渡り相当に深いものですが、一方で北朝鮮問題が「自由と民主主義」を守る戦いに展開せざるを得ない状況になった場合の政治決断は必要だと思うのです。

しかし、そこまでの道はまだ相当に遠くにあって、日本が今すべき重要な事は会談の結果如何に関わらず、武力衝突を避けるためにこそ、国際社会が一丸となって制裁を貫徹する方向に導く事です。
安倍さんや河野大臣は今後もますます忙しくなるだろうし、重要な役割を担い続けそうです。


宮崎人さん。航続距離が不足して行くので、たぶん中国のどこかに一回下りて給油してから向かうでしょう。
落ちる可能性はそうとうにあるというのは航空専門家の意見ですが(苦笑)。

月影さん。確かに親書でしょうが、まだまだ合意には先があると思います。まだ会談が流れる可能性すら残っています。

山路さん。北の人権問題は巨大すぎて、というか北という国そのものの根底的否定に繋がります。
したがって体制保証とは矛盾します。
どこから手をつけたらいいのかわからない分野で、今回は拉致被害者奪還までいけたら大成功としたほうがいいのではないでしょうか。

管理人さんへ

書き方が悪かった様ですね。

「金英哲が親書で事足り無い部分の説明をする為」か、
そうでは無いなら、
つまり、私の予想が外れていた場合は、
「何らかの合意文書を作製する為」
かも知れないと言う意味で書きました。

「金英哲が親書で事足り無い部分の説明をする為」
私見では、こちらだと思っています。
なので、管理人さんと同じく、
>まだまだ合意には先があると思います。
>まだ会談が流れる可能性すら残っています。
私も、その様に思っています。

 本題から外れますが、日本沖縄政策研究フォ-ラム理事長 仲村覚氏の新刊本「沖縄はいつから日本なのか」が発行されました。沖縄問題は特殊な問題ではなくて、日本再生のための重要な問題点であると仲村氏は主張されます。非常に示唆的な本であることは間違いありません。琉球史にも触れておりますが、琉球と薩摩の関係も
これまで誰も明快に述べていなかったことを分かりやすく説いてくれ、大変に参考になります。

 皆さんにお勧めの本です。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ボルトンとポンペオの温度差につけ込んだ北朝鮮 | トップページ | 北は核を諦める気などない »