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2018年5月14日 (月)

日本は拉致問題を「蒸し返した」のか?

Img_0578

たぶんこれから米朝会談の開かれる6月12日まで、毎日のようにメディアから玉石混淆の情報が垂れ流されると思います。

心しておかねばならないのは、その大半が意図的に流された情報操作だということです。
 

たとえば、つい最近も拉致問題がらみで、ふたつばかり北から情報が流されてきました。 

ひとつはこんなものでした。

Kimrachisawaide
「北朝鮮の朝鮮中央通信は12日、日本人拉致問題に関する論評を報じ、安倍晋三政権が「すでに解決した拉致問題を再び持ち出し騒いでいる」と牽制し、「全世界が朝米首脳会談を歓迎しているときに、朝鮮半島の平和の流れを阻もうとする稚拙で愚かな醜態だ」と非難した」(産経5月12日)

要は、北は非核化交渉に拉致という人権問題は一番痛い腹だから、持ちだすんじゃねぇと言いたいようです。 

というのは、北はわが国だけではなく世界各国から拉致しまくっていますから、世界がこの問題に注目することを極度に恐れているのです。 

だから、日本だけのことにしたい、ましてやこれをリビア方式とやらで、国内の人権問題にまで拡大されたらたまったもんじゃないぜ、これが北のご意見のようです。

「朝鮮半島情勢を巡る対話の流れを受け、安倍晋三首相も拉致・核・ミサイル問題を包括的に解決し、過去を清算して日朝国交正常化を目指す方針を掲げているが、論評は拉致問題は既に解決済みとする従来の立場を繰り返し日本をけん制した」
(共同5月12日)

https://this.kiji.is/367967055959934049 

拉致問題は、先代が「解決済み」なはずだ、それを蒸し返しやがってというのが、北の公式見解です。 

おやおや、日本は終わっているはずの拉致問題を使って「平和を阻む」勢力にされてしまいましたね(苦笑)。 

そして北はこんなことも言っています。

「4月27日の南北首脳会談で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長に日本人の拉致問題を提起した際、金委員長が「なぜ、日本は直接言ってこないのか」と語っていたことが、FNNの取材で明らかになった。
政府関係者によると、南北会談で文大統領から、日本が拉致問題の解決を求めていることを伝えると、金委員長は「韓国やアメリカなど、周りばかりが言ってきているが、なぜ日本は、直接言ってこないのか」と語ったという。
拉致問題に関する金委員長の発言が明らかになるのは、これが初めて。
この発言は韓国側から伝えられたもので、政府は、金委員長の発言の真意を慎重に見極めることにしている」(FNN5月10日)

https://www.fnn.jp/posts/00391688CX  

韓国政府からの伝聞は、眉がピチャピチャになるくらいご用心くださいと前に書きましたが、この情報も「ムンが聞いた」というていどの話です。裏をとりようもありません。 

そもそも日本は、拉致問題が「解決済み」などということに、一度たりとも合意したことはありません。 

そして日本政府が「真意を見極める」もなにも、わが国は2014年5月に拉致被害者の調査継続することで合意した「ストックホルム合意」を結んでいます。 

そんなことも知らない野党は、鬼の首でも取ったように、こんなことを言いだす始末です。

「「日本は直接言ってこない」 もし真実なら、我が国政府は何をしてるんだということになる。そもそも、今、日朝間に、拉致問題解決に向けた交渉ルートは存在しているのか。今後の国会審議の中で確認のうえ、問題提起していきたい」
(玉木雄一郎国民民主党共同代表5月10日ツイッター)

この人、モリカケの時にも思いましたが、典型的な高学歴低知能じゃないでしょうか。仮に「交渉ルート」があったとしても、それは非公式な水面下での接触です。 

それを国会で追及されて、政府が「はい、これが非公式ルートです」なんて言うはずがありません。 

たぶんまともに拉致問題を考えたことすらないと思いますから、玉木さん、ストックホルム合意以降の流れなんて知りませんよね。

Photoストックホルム会談http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kp/page1w_00008...

いい機会ですから、5名を奪還した後の拉致問題の進展について簡単におさらいしておきましょう。 

2002年9月、北は小泉-金正日会談において5名の拉致被害者を解放させる一方、残りの被害者をいいかげんな「死因」で闇に葬ろうとしました。 

Prm1603010003p2産経2016年3月1日https://www.sankei.com/premium/news/160301/prm1603010003-n1.html 

この証拠として渡された横田めぐみさんの「遺骨」と称するするものが、科捜研の調査の結果まったく別人のものだと分かるなど不誠実を極めました。 

これに対する国民の怒りを背景にして、日本政府が継続調査の実施と、拉致被害者全員の帰還を要求して行われたのがストックホルム会談です。 

正恩が「蒸し返し」というのは、2回目の日朝会談で5名返したことで終わっているという意味です。

ならばどうして2014年の時点で、日朝共に「蒸し返し」に合意しているのでしょうか。

「解決済み」ならば、応じる必要はなかったはずです。

しかもこのストックホルム合意を結んだ両国首脳がかなり前の政権だったらいざ知らず、共に現政権の安倍氏と正恩との間での合意です。 

このストックホルム合意の成立プロセスについては、西野純也慶応大学教授の詳細な研究が存在します。
第9章 日朝協議の再開、合意、そして停滞 拉致問題再調査をめぐる日本の ... 

また概要については、外務省のHPに載っていますので参照ください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000040352.pdf 

そして北と日本はこのような合意を結んでいます。

「1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地 の遺骨、残留日本人、日本人配偶者 、拉致被害者 拉致被害者及び行方不 明者を含む 全ての日本人に 関する調査」で合意した」(前掲外務省) 

しかしご承知のように、この帰還への淡い期待は大きく裏切られることになります。

「日朝双方が相手への不信感を高めていたにもかかわらず、日朝政府間では水面下の接触が続いたようである。報道によれば、日朝両国は2015 年に入ってからも複数回にわたり非公式協議を行っていた。
日本側は、非公式協議のなかで、拉致問題に関する再調査の報告を繰り返し求めたという。
つまり、「圧力」論の高まりの中でも、日本政府が「対話」を維持する姿勢には変化がなかったことになる」
(前掲西野論文第9章4「制裁論の高まりと合意履行の停滞」)

ストックホルム合意移行も、なしのつぶての北に対して日本政府は翌年15年からいくどとなく第三国における非公式会談の場で、調査報告を求めてきています。 

「そして2014 年10 月末の平壌への日本政府団派遣以来、日朝間では公式の政府間協議は開かれていない。再調査委員会の立ち上げから1 年が経過した7 月2 日には、北朝鮮側は、「全ての日本人に関する包括的調査を誠実に行ってきたが今しばらく時間がかかる」旨の連絡を日本側にしてきた」
(前掲西野論文)
 

つまり日本はストックホルム合意を遵守して、国連制裁を除く拉致問題に対しての独自制裁を段階的に緩めてきました。 

それに対しての北の答えが、2015年7月の「今しばらく再調査には時間がかかる」というトボケたものだったわけです。 

実はこの「回答」の前に、北は3月に弾道ミサイル実験を日本海に向けて行っていますが、日本側はそれを非難しながらも北との協議自体は地道に継続しています。 

そしてむしろ、「日本側が望む拉致問題の再調査を含む報告を北朝鮮側から受け取るため、水面下で日朝協議を繰り返し行っていた」(西野前掲)のでした。 

以後、日本政府はあきらめることなく、あらゆる場とチャンネルを使ってストックホルム宣言の遵守による拉致被害者の再調査の報告と解放を働きかけています。

もちろん交渉主体だった外務省の力不足など(主体は警察庁にすべきでしたが)、こちら側の問題点はあったのは事実ですが、それは北が「解決済み」という理由とは別次元のことです。

ですから拉致問題は日本が非核化交渉に便乗して、「蒸し返し」ているわけではなく、西野氏が指摘するようにストックホルム合意以降、北の誠意を信じて制裁を段階的に解除しているのです。

よく野党・メディアが安易に言うような、「圧力一辺倒」といった単純な軌跡を描いたたわけではないのです。

二国間関係の流れにおいては、日本と北はストックホルム合意に則って再調査を合意し、北の回答引き延ばしにも応じて、働きかけを継続しながらその報告を「待っている状態」なのです。

ただし、拉致被害者家族会は、また偽装された「証拠」を渡されて調査終了とされることを警戒して、「北朝鮮による報告は再び嘘だらけの恐れがある。

だからこそ、家族は再調査から1年を迎える7月を前に、報告書ではなく、被害者の帰国だけを求め」る方針に切り替わっています。

そしてこの3年間のあいだに、日本の制裁緩和を見定めたように、北は核武装を大いに進めてしまいました。去年などは一体どれだけの弾道ミサイルを発射し、核実験を続けたのでしょうか。

このような暴挙によって、あたかも非核化と拉致問題がひとつのテーマのようになってしまいました。

別に日本が絡めたのではなく、北が勝手に自分の都合で絡めてしまったのです。

北は日本が再び北の核に対して制裁を強めたことによって、ストックホルム合意は廃棄されたと公言しているようですが、手前勝手なことよ。

北が言うようにほんとうに「解決済み」なら、なぜストックホルム合意で再調査委員会を立ち上げることに合意したのか、そこから考えてみることです。

そしていったんは約束どおり制裁緩和した日本が、なぜ再び制裁強化せざるを得なくなったのか、その理由に思いを致してみることてす。

北が隠そうとするのは、拉致被害者は多数生存しているからにほかなりません。

それを北の言い分をそのまま受け取って、非核化と絡めるなとか、直接に言ってこない日本政府がおかしい、などというのは、北の言い分そのものです。

丸飲みしてはいけません。

 

 

 

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コメント

旧民進勢だけでも有田芳生氏や松原仁氏等ストックホルム合意について国会やWeb上で発言をしてる(政権の対応に批判的な意見ではありますが)議員さんはい
るので、野党が知らない筈はないと思います。
しかし何しろ加計問題でも獣医学部の愛媛誘致に積極的な議員がいたことを無かったことにしてる方々ですからすっとぼけてるだけの
可能性はあると思います。
もし本当に玉木氏が知らない(覚えてない)で言ってるとしたら拉致問題はおろか同党議員の国会での活動にさえ興味持たなすぎですが。

北海道旭川市に住んでいる60代男性です。
 いつも冷静で、客観的に事実をしっかり認識しながら書かれている文章に、日本人としての力をもらっています。
 北海道は歴史も浅く、革新系(共産系)がきれいごとや教条主義で大手を振っているところです。永い日本の歴史や文化、伝統もあまり浸透していません。本当に「軽い」という感じです。もっと、しっかり歴史や世界情勢を認識してほしいと願う日々です。
 沖縄には、甥っ子たちが住んでいます。母親が竹富島出身で、北海道で生まれ、父親(私の弟)が亡くなってから働くために本州にわたり、その後沖縄に移りました。
 基地問題や偏向メディアで大変と思いますが、健康に気を付けて、ブログを続けてください。八重山日報もパソコンで見ていますよ。
 遠い北海道からの応援です。

国会で外交の問題を議論しても意味ないから、安倍の好きな様にやらせておいて、
モリカケ問題に集中すれば良い。

朝鮮中央通信という国内のプロパガンダを主とするメディアを真実かのように報じる国内メディアはいったい何がしたいんでしょうね?

しかしプライドを捨ててまで中国に泣きついたにもかかわらず、その中国も米国に鉄鋼に加え有力IT企業を窒息状態にされて面と向かって逆らう事もできないと、徹底して北の逃げ道を塞いでいます。
改めて恐ろしい国だと思います、米国は。

フランスやイタリア、オランダ、タイ、シンガポール、他にも何国か被害者の国が有りますが。

日本としてはこれらの国と歩調を合わせて、シンガポールで共同声明でもだして、改めて北朝鮮の人権問題として経済制裁を続けるとはっきり言ってほしいものです。

日本単独で拉致問題を言った所で、北朝鮮は「日本が悪い」しか返答しない壊れた機械なのですから、もっと別の角度から叩かないと。

皆様方の大変貴重なご意見等とても楽しく読まさせて頂いています。私が以前から気になっている事は、米
トランプ政権が拉致の事についてこんなにも一所懸命
なのに何故、日本🇯🇵国会議員は冷めているのかな?
もう一つ、もし、尖閣諸島での事態が発生した場合、
日本🇯🇵国民は「安倍さんとトランプさんの仲がいいから米軍が助けてくれるよっ❗️だから米のしたいようにさせておけばいい。」なんて本気で思っている
人達が多いようだ❗️実際、私の周辺人達は「なるようになって取られちゃうんだから」なんて平然と発言する。憲法なんて改正したって何も変わりはしないよ
。それよりも自分の事家族の事を考えた方がいいよ! このような人達をどうしたら覚醒させる事ができるのか日々細やかな運動をしながらも一人一人に声かけしています。そんな中、数名の人達に話題が途切れた時を見計らって「憲法の話ししていい?」と聞いてみました。「ああ〜っ! 戦争の話し❗️?」でした。
しかし、たった一名は「自衛隊さんがかわいそうだよね、あれじゃ〜ね〜 変えた方がいいに決まってるよ
ね〜 」と、言ってくれました。まだまだいける。

ハナっから、日本はカヤの外ですよ。最後の最後の外交
が戦争だというアタリマエの話から、軍事力を持たない
国はガチンコの外交が出来ないのですから。それは吉田
首相が軍事より経済を選んだ時から、一貫して日本国の
(日本国民の)方針でした。軍事は米国に外注したのです。

北朝鮮の世襲独裁者が核を含む軍事力で外交を仕掛け
て来たら、日本はナンも出来ません。私個人は、日本国も
核武装して民主主義の先進国の列に並んでごくフツーの
国になる方が絶対に有利だと思うのですが、現時点では
そうではないので、カヤの外から米国親ビンの交渉を応
援する以外に、実効的な仕掛けはナニも出来ません。

だいたいからして、すでに日本列島の上を何発もミサイル
が飛び越えているんです。拉致に対して効果のある解決
策を、日本が単独で交渉できるワケがありません。日本
なんて、ジョンウン君にとっては、なんにも恐くない。
経済制裁でさえ、米国の軍事力の下支えがあってこそで、
日本単独ならアチコチで瀬取りし放題になるのは目に見
えています。

自衛隊(国防軍)を憲法に明記して、ヤル時にはやりまっせ、
血ィ見ても知らんでぇー、という抑止力を持たないとダメ
ですわ。単独でのハードネゴも出来ない。警官も拳銃を
持っているから一目置かれる。警棒だけなら賊に袋叩き
にされる警官が続出ですわ。

日本人が大勢拉致されて彼等を救出するのに日本国が
出来る事はあまりない、という現実は歯がゆいですわ。
実際に、数名がドサクサで帰国出来ただけになってしま
っています。家族の方は無念だと思います。

マティス国防長官が退任され、現大統領補佐官のボルトン氏が後任の国防長官に変わった時が、
アメリカが(イスラエルを助けるために)イランに宣戦布告する時かもしれませんね。
このぶんだと東アジアは落ち着きそうですが、あちらで核使用や生物化学兵器の使用がなければいいのですが・・・。

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