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2018年5月15日 (火)

小西議員への「暴言」事件からシビリアン・コントロールを考える

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後味の悪い事件がありました。 

小西洋之参議院議員に暴言を吐いたとして、空自の三佐が処分されました。 

この自衛官が、30代で統合幕僚監部勤務という重責を担っていたことから、事態がメディアで大きく取り上げられました。

「防衛省は8日、小西洋之参院議員に「国益を損なう」などと暴言を吐いたとして、統合幕僚監部の3等空佐を内部規定に基づく訓戒処分とした。品位を保つ義務を規定した自衛隊法に違反したとしたが、より重い懲戒処分にはしなかった。小西氏が当初から主張した「おまえは国民の敵だ」との発言も3佐は一貫して否定しているという。
防衛省によると、3佐は4月16日夜、国会議事堂周辺をジョギング中に遭遇した小西氏に暴言を浴びせた。「国のために働け」「ばかなのか」「気持ち悪い」などの発言もあり、政治が軍事に優先するシビリアンコントロール(文民統制)を逸脱したとして問題化。防衛省は小西氏に謝罪する一方、3佐から事情を聴き、経緯の解明を進めていた。
自衛隊法58条は隊員に常に品位を重んじ、自衛隊の威信を損するような行為をしてはならないなどと定めている」(産経5月8日)

今回、防衛省は当該自衛官を伴っての現場再現聞き取りまで行っており、通り一遍の臭いものには蓋的なお役所仕事ではないと思います。
自衛官聞き取り全文https://www.sankei.com/politics/news/180424/plt1804240032-n1.html

三佐は「国民の敵」などと言っていていないと一貫して主張しており、苦慮した防衛省は自衛隊法第58条の「品位」で処分をしたようです。 

三佐は西部方面航空隊司令部に左遷されました。会社員なら東京本社中枢から大阪支社に飛ばされたというようなもので、おそらく彼の未来は30代にして断ち切られたと思われます。 

ここで私が憂鬱な気分になるのは、この事件の報道において、当の小西氏は言うに及ばず、メディアが一斉に「シビリアン・コントロールへの暴挙」といったトーンで報じたことです。 

これはメディアの自衛隊の日報が見つからなかったことをとらえて「シビリアン・コントロールへの挑戦」という論調とも重なり、さらには改憲論争における「憲法に自衛隊を書き込まないからこそコントロールできる」という石川健治東大教授らの見解とも共通します。 

ちなみに石川氏はこう述べています。

「戦後日本において、きわめて有効に機能した軍事力統制のメカニズムの、全部ではないにしても不可欠のピースをなしていたはずなのです。それが、自衛隊の正統性を正面から認めようという今回の提案によって、すべて一気に立ち消えてしまうということになります」(「「安倍9条改憲」はここが危険だ(前編))
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017060500003.html

まるでシビリアン・コントロールという護符を貼らねば、戦争をしたくてたまらない自衛隊が暴走してすくにでも対外侵略でも始めるようです。 

ではほんとうに軍は好戦的で、それを統制して戦争をくい止めているのが文民(シビリアン)政府なのでしょうか? 

シビリアン・コントロールというのは、軍が独立した統帥権を持つのではなく、あくまでも政府の統制下に位置づけるという統治の基本を述べただけのものにすぎません。

いちおう概念を定義しておきましょう。

「文民統制・シビリアンコントロール(Civilian Control Over the Military)とは民主主義国家における軍事に対する政治優先または軍事力に対する民主主義的統制をいう。すなわち、主権者である国民が、選挙により選出された国民の代表を通じ、軍事に対して、最終的判断・決定権を持つ、という国家安全保障政策における民主主義の基本原則である」
文民統制 - Wikipedia

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上の写真(ウィキ)は、米海軍司令官交代式で、文民の海軍長官に敬礼して迎える新旧海軍大将です。

このように海軍長官は米海軍と海兵隊を指揮下に置きます。そし海軍省は国防長官の下にあり、国防長官は大統領の指揮下にあります。

この考え方の裏には、歴史的にシビリアン(文民)が軍を抑えなければ、軍は暴走してしまう、という強い危惧があったのは事実です。 

逆にいえば、シビリアン・コントロールさえしっかりていれば、軍が自ら戦争をすることはない、だから戦争は起きない、ということになります。 

日本においては、戦前の関東軍の暴走によって戦争に突入してしまったという苦い記憶が強く働いていました。 

これが、戦後生まれの自衛隊を「軍」と認めない「平和憲法」を生み出し、国際的にはありえない極度に強い統制を常態化してしまいました。 

事実は、戦後の自衛隊は、対外膨張を図るどころか、文民政府が国際社会でいい顔をするためだけに派遣するPKOにおいても、制服組は強い懸念を抱いてきました。 

民主党政権下に決められた南スーダンPKOなど、送り出すシビリアンの作った「PKO5原則」は、まったく現地状況にそぐわず、隊員を危険な状況にさらしました。 

それが今になって、日報があるだのないだの、そこに「戦闘」と書いてあるからどうのと、シビリアンの無責任をさらけ出しただけです。 

海外においても、軍がシビリアンの統制からはずれて、戦争に引きずり込むという事例はありそうでいて、意外と少ないのです。 

たとえば、よく軍が戦争を起こした事例で取り上げられることの多いフランスのアルジェリア戦争は、現地派遣軍の独立への怒りが原因があったとされています。 

しかし戦争を決断したのは、あくまでも選挙で選ばれた文民政府でした。

むしろこのように強い戦争への意志を軍が持つことのほうが、極めて例外的なのです。 

フォークランド紛争においても、英軍がアルゼンチンの軍艦を撃沈したことが原因のように言う説もありますが、強く開戦を主張したのはシビリアンのサッチャーでした。 

むしろ英国軍は、大西洋を横断するような遠距離戦力投射に対して消極的だったのです。 

ベトナム戦争の泥沼を開始したのは、米国民主党政権のケネディでした。 

また米国が戦後二度目の戦争の泥沼にはまったきっかけとなった2003年のイラク戦争は、強く反対する米軍中枢を「世論」の声を押し被せるようにして戦端を開いたものでした。 

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2006年のイスラエルによる第二次レバノン戦争でも、戦争を求める文民政府に対して、強く反対したのは国防軍や現地司令官たちだったのです。 

地上侵攻を命じる文民の首相と国防相の背中を押したのは、ここでも「世論」でした。 

当時のイスラエルのメディアは、国民に戦争を煽り、国民の大多数は戦争を求めていたのです。

今のホワイトハウスで、トランプに歯止めをかけているのが、海兵隊大将で歴戦の猛者であったマティスであるのもあながら偶然ではありません。

このように見てくると、戦争は必ずしも軍によって引き起こされるものではないということです。 

むしろ戦後に起きた多くの戦争の事例を見ると、逆だと分かります。

その多くは、敵への懲罰を望むメディアが「世論」を煽動した結果、選挙で選ばれる文民政府も戦争を叫ばざるをえなくなり、結局は渋る軍を戦争に向かわせたのです。

ですから、日本特有の「好戦的な軍」vs「平和を望む文民政府」という二項対立はほとんど意味をなさないのです。 

では、ひるがえって今回のことを簡単に考えてみます。 

小西議員はいままで、散々自衛隊に対して侮辱的な言辞を履いてきたことで有名です。

Photo小西洋之参議院議員

幹部自衛官に暴言を吐かれた、これはシビリアンコントロールに対する暴挙だと叫び立てた小西議員は、2015年9月30日のツイッターでこのようなことを言っています。

「自衛隊員は他国の子供を殺傷する恐怖の使徒になるのである」

批判を受けて小西氏は、翌10月1日にはツイートを削除して新たに書き込んだのがこれです。

「安倍総理の安保法制により、自衛隊の集団的自衛権行使を受ける国の子供達は自衛隊員を『恐怖の使徒』と思うだろう。違憲立法から自衛隊員を救わなければならない」

論評にも値しない暴言です。自衛隊を「子供を殺す恐怖の使徒」と呼ぶなど、常識では考えられません。

これについて小西氏は説明も謝罪もしておらず、言い放しのようですが、国会議員とは何を言っても許される高貴なお仕事のようです。

このような、何かことか起きれば、悪いのは必ず自衛隊のほうだとする風潮があるなら、このような事件はまた別の形で起きてしまうことでしょう。

 

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コメント

まあ、言論を戦わせる場の国会で暴れて委員長席にダイブするという愚行を身を持ってやっちゃうような人ですからね。

菅直人さんなんか、首相である自分が自衛隊の最高司令官であることすら知らなかったという体たらくでした。それこそシビリアン・コントロールの危機でしたね。

 かつて大江健三郎は「自衛隊員のところへはお嫁に行くな」と言い、「自衛隊は日本の恥部だ」と言って憚りませんでした。
一緒にバスに乗り合わせた制服を着た防大生を指して、「日本人として恥辱を感じる」と書いた事もあります。

「自衛隊が来たら、婦女暴行事件がふえる」と言ったのは元宮古島市議の石嶺香織ですが、沖縄での自衛隊員は今だに通勤時の制服着用もままならないようです。
いつか北海道に行った際には空港内でも迷彩服の隊員が集団で普通に移動していたのに、沖縄県では違うルールがあるようです。

しかし近年は、大江や石嶺元市議の「戦後イデオロギー」に基づく盲言だけでなく、小西などの暴言の基底には「弱いものいじめ」や、「言い返せない相手」だからこそ絡んでくる心性の汚さがプラスされているように感じられます。
それは官僚たちに対する態度にもあらわれていて、野党合同ヒアリングは「吊るし上げショー」でした。

これは何も小西ら野党に限った事ではなく、我が国のジャーナリズムやアカデミズムにもそうした傾向が顕著ですね。
中共の悪口を書こうものなら北京に支局を置けなくなるし、半島の悪しざまに言えば強烈な抗議を受ける。
よって、一番安心なのが「日本政府叩き」なのであって、それで彼らの「批判精神」とやらは満足かつ完結しているのです。

自衛隊加憲案でイデオロギーの面では一定の効果はあるでしょうが、汚くなった人間性の方はどうにもならないかも知れません。

西部方面司令部と言うことは、新田原基地所属ということですね。空自では結構重要基地だと思います。出征路線からは外れたかもしれませんが、此方で日本の空の安全を守ってもらいたいです。
あとよく聞く話ですが、戦前の日本軍を戦争に駆り立てたのはあの朝日新聞を筆頭にしたメデイアではなかったのでしょうか?戦後、そのことについてほっかむりを決め込んで、いかにも平和主義的新聞社であると宣うかの新聞にはほとほと嫌気がします。

司法書士や弁護士等にもある品位規定が国会議員には存在しないのもおかしな話ですね。
むしろ国民の代表だからこそ必要なんじゃないですがね。

まぁ今の国会でそんな規定があったら結構な数の議員がいなくなる気がしますが。

西部航空方面司令部であるならば、福岡の春日基地ではと思いました。
新田原の航空自衛隊の人たちも、鳥インフルの埋め作業に出動していたりします。
これから蒸し暑くなる中、クーラーのない事務所で仕事をする彼らに頭がさがります。
ROM専ですが、管理人さんケガは直られたのでしょうか。お大事に。

山路氏も言われたように石嶺は発言の内容はもちろん、辞職勧告が出ていたにも関わらず落選するまで辞めず、最後まで謝罪をしなかったのはとても卑劣ですね。
普段差別に反対している人たちが米軍や警察、自衛隊への職業差別は厭わないという矛盾。
同じような事例として最近起きた清水愛沙 室蘭工大准教授の「自衛隊は沖縄の民衆に銃を向けることができる」や志位の「こんな組織を憲法に明記」も批判されて然るべき。メディアには殆ど取り上げられていないが。

こういった連中の「反戦、平和」は天安門事件を起こし、日本の領土を侵食している中国や人民解放軍は絶対に批判しないから欺瞞でしかない

追記

石嶺元市議は小西や福島瑞穂の支持団体で講演をしていたみたいですね。類は友を呼ぶとはこのことか。こんな国会議員たちに国民の血税が払われていると思うとますます許せない。

小西氏の普段の発言や立ち周りからしてその暴言とやらにたどり着くまでにどのようなやり取りがあったのかたいへん興味があります。
この手の口論はたいてい双方に少なからず落ち度があるものですが、氏はそれに対してはまったく無かったとしています。
それなら自衛官だけでなく自らも含めたおおよその会話の内容くらい公開してもいいはずなんですけど。

ところで氏はいつ亡命なさるのでしょうか?

このセンセイのメンタリティは辺野古で機動隊に罵詈雑言をあびせる人達と同じなのでしょうね。

それにしても解せないのは、この方々は米軍どころか自衛隊も忌諱してるくせに、「人を殺す訓練」を受けることが義務のお隣の国の人は容易に受け入れることです。

話し飛びますが、翁長知事が会見してます。やはり「膵臓癌」であったとのことです。

>ところで氏はいつ亡命なさるのでしょうか?

まったく(笑)。
話によれば警察官が立ち会いのもとその場で手打ちをしたという話もあります。
もしそうでありながらこのように蒸し返したんだとすれば、
卑怯未練としかいいようがない人間ですね。

ところで、まったく今回の記事とは関係ない話で恐縮ですが
あの立民の蓮舫氏が二十数年前、某旅行会社の雑誌に
日本の国籍は都合がいいから持っているだけで
将来は台湾籍に戻したいと語っていたとか。
写真も残っているので動かしがたい事実だとおもいますが、
どう弁明するつもりなんでしょう。
柳瀬さんにはいつも通りの高飛車な物言いをされてましたが、
この超特大のブーメランかわすのはかなり難儀だと思いますが。

小西議員のような人の関係者は、いまだに自衛隊員を親に持つ子供を教壇の前に立たせて、「この子の親は人殺し」などと教師に言わせているのだろうか。

かつては平然と、このようないじめと差別が行わていたのだから、自衛隊員だって心が荒んでいってしまう。
そういう人たちを助けるのは、やっぱり「いつもありがとう」という感謝の言葉だと思う。


そういえば2018年の自衛隊好感度は、「よい」+「どちらかといえばよい」で90%近かったそうです。
2012年からの高い好感度は、やはり東日本大震災での「助けられた」という感情があるからでしょう。
野党のネガキャンなんて、実際に助けられた人からすれば戯言にすぎない。

北陸・東北・北海道は、雪掻きなどで自衛隊が出動する為、全体的に好意的なのだという話も聞いたことがあります。
沖縄も、自衛隊が民間活動(台風後の後片付けとか)することが多ければ、好感度も上がるのでしょうか。

与那国島では自衛隊は歓迎されているようです。

【与那国島への陸自配備から1年余 島民に溶け込む自衛隊 国境の砦に「活気」と「安心」もたらす「地域のために 地域とともに」】
https://www.sankei.com/premium/news/170703/prm1707030009-n1.html

与那国空港の売店員、東崎原都さん(41)は「島がより住み心地良くなった。台風などで災害に見舞われても自衛隊が近くに居てくれるから安心で頼もしい」と話した。

 陸自配備までは島内2カ所の駐在所に詰める警察官2人が持つ拳銃2丁のみが、島を守る“武器”だった。自衛隊の存在はおのずと「島民の心の安定剤」(60代男性)になった。駐屯地周辺を中心に島のインフラ整備も進んでいる。

与那国町の外間守吉町長(67)はこう語る。
 「自衛隊員と家族、子供たちを迎え、島が元気で明るい雰囲気になった。町の税収も増えて財政に大きく寄与している」


同じ事を記事にしても東京新聞だと随分と違った印象になります。
【自衛隊頼み、島活性に影 与那国駐屯地開設1年超】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201707/CK2017071702000126.html

ただ歓迎一色ではない。自衛隊配備の賛否を問う住民投票が、駐屯地開設の約一年前の二〇一五年二月にあり、島は二分された。結果は小差で賛成票が上回ったが、わだかまりは残る。反対派の飲食業、猪股哲さんは「賛成派の住民は今でも目を合わせてくれない。ぎくしゃくした空気に嫌気が差し、島を離れた人もいる」と話す。

印象操作に余念がありません。

「与那国島の防衛問題Wikipedia」
誘致反対派の要求により、この住民投票での投票権は中学生以上の未成年者や永住外国人にも与えられた[38]。この住民投票には、有権者1,276人のうち1,094人が投票し投票率は85.74%。開票結果は、賛成632票、反対445票で、賛成派が多数を占めた[39][40]。

200票近い差は小差なんでしょうか。確か反対派主導で中学生まで巻き込んだ結果、却って差が開いたようなことだったかと。若者は冷静ですよ。

暴力を伴うトラブルが発生した場面には、銃を持ってこれに対峙するための組織が必ず必要になってきます。銃は暴力を鎮圧するためであり、自らの身を守る為でもあります。この組織は国内においては警察であり、国際間においては軍隊組織です。

トラブルのすべてが話し合いで静止できないことは誰もが理解しています。しかし、国内で起きるトラブルに対峙する銃を持った警察組織は理解するが、国際間のトラブルに対峙する武装した軍隊は認めないとすると人達がいるのです。かつての私もそうでした。

言うまでもなく、このような考えを持つ人達の根っこにあるのが武力=軍隊を否定した憲法9条です。そしてこれを平和主義として学校で学んでいたのです。

私はこのおかしな平和主義の問題に気づくのに、随分時間がかかりました。

国内において最も危険な場所の仕事をする人が警察官であり、主に国際間で最も危険な場所 に行くのが軍隊=自衛隊員です。私達は素直に警察官や自衛隊員に敬意を払うべきだと思います。

私は、このごく当たり前の事に気づくのに随分時間がかかりました。

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