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2018年5月12日 (土)

米朝会談の4つのシナリオ

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手練のコリア・ウォッチャーである鈴置高史氏が、米朝会談について3つのシナリオを出しています。
「米朝首脳会談、6月12日にシンガポールで開催」日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/050500174/ 

「鈴置:大きく分けて3つの展開を予想できます。「米朝首脳会談、3つのシナリオ」をご覧下さい。首脳会談でトランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)委員長に対し「つべこべ言わずにまず、非核化しろ。見返りはその後だ」と要求するのは確実です。
 いわゆる「リビア方式」です。2003年12月19日にカダフィ大佐が非核化を受け入れると、米英の情報機関は直ちにリビアに入り、核関連施設を米国に向け運び出しました。翌2004年3月には全ての作業を終えるという早業でした。
 トランプ大統領の要求に金正恩委員長が素直に応じれば、平和のうちに北朝鮮の核問題は解決に向かいます。シナリオ①です。
 ただ、北朝鮮が素直に核を放棄するとは考えにくい。金正恩委員長がリビア方式を拒否し、トランプ大統領が席を蹴る可能性が高い。
 そうなれば米国は空爆など軍事力による解決を選ぶか、少なくとも経済制裁と軍事的な圧力を強化するでしょう。シナリオ③です。
 もちろん、金正恩委員長だって空爆されれば、あるいは経済制裁を強化されるだけでも相当に困ります。そこで、「核を放棄するから体制を保証して欲しい」などと様々の条件を付けて対話が決裂しないように持って行くでしょう。これがシナリオ②です」

 鈴置氏が便利なチャートを作ってくれました。

    ●米朝首脳会談、3つのシナリオ
                             米国、リビア方式での非核化を要求
                               ↓                                ↓
                    北朝鮮が受諾                 北朝鮮が拒否
                               ↓                                 ↓
①米国などによる核施設への査察 ②米朝対話が継続③米国軍事行動・経済軍事圧力

整理しておきましょう。 

シナリオの前提は、米国が北に「リビア方式」を突きつけることです。これはほぼ確実で、その別バージョンはありえるでしょうが、基本原則は譲らないでしょう。 

・[シナリオ1] 北朝鮮が受諾した場合・・・非核化の解決。核査察・解体・撤去の開始
・[シナリオ2]  条件つき非核化の場合・・・対話延長か?
・[シナリオ3 ]北朝鮮が拒否した場合・・・①軍事攻撃②経済制裁強化③海上封鎖
 

残念ですが、私は米朝が[シナリオ1]で妥結する可能性は大変に低いと思います。 

北が言う「体制保証」、あるいは「安全保障の確保」とは、他ならぬ核兵器を保有することだからです。 

つまり、[シナリオ2」は一見ありそうですが、そこで北が言ってくる条件は、今、述べた「体制保証」以外に考えにくいので、結局は同じです。 

つまり米朝交渉の基本は、イエスノーの2択から動かないという冷厳な事実です。 

もちろん北も軍事攻撃を受けたり、さらなる経済制裁を受けたら破局なのは目に見えていますから、中国や韓国にすがりついているわけですが、もうひとつの米国包囲網があります。 

それがこの記事で鈴置氏が述べている、「トランプ悪玉」「正恩平和の使者」「日本蚊帳の外」というイメージ戦略です。 

思い出して欲しいのですが、冬季五輪前後から異常な速度で、南北首脳会談でピークを迎えた「南北融和」という臭いお芝居が世界に流されました。 

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そして先日は世界卓球で、突然南北チームが結成され、日本と対戦するという常識ではありえない手を使って、日本を敵視することで南北融和を演出しようとしました。 

お気の毒にも惨敗しちゃいましたけどね(苦笑)。憎っくき日本に勝っていたら大騒ぎだったでしょうにね。残念。 

これはどんなイメージ形成を狙ったのでしょうか? 

まず第1に、叔父を14.5ミリ対空機関砲でバラバラにして、死骸を犬に食べさせたり、実の兄をVXガスで暗殺するような正恩が、実は心優しき「平和の人」だった、笑顔はチャーミングじゃんという好感度アップ戦略です。

韓国では言うに及ばず、正恩は今やちょっとしたスター扱いです。

日本でも安藤某キャスターが「ジョウウンさん、イメージと違って優しそう」なんて言っていましたっけね(苦笑)。

第2に、このような南北が和して平和を志向しているにもかかわらず、朝鮮半島に戦火をもたらす凶悪な米国と、その腰ぎんちゃくの日本という構図です。 

下のマンガは中央日報の英語版のものですが、非核化と書かれた車のハンドルを握るのはムン、助手席には正恩、トランプと習もちょこなんと後部座席に収まり、もうひとりはプーチンでしょうか、とまれひとり安倍氏だけがモリカケの足かせで「蚊帳の外」でジタバタという絵柄です。

悪意とナルシズムが籠もってるなぁ(笑い)

この間、日本のメディアが散々流したこの「日本蚊帳の外」論は、安倍憎しで目がくらんで北の宣伝にまんま乗ってしまった悲しき姿です。 

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 このマンガが言いたいことは、南北融和の道こそが非核化へ至る道なのだというプロパガンダです。 

同様のことを、北も言っています。(朝鮮中央通信5月6日)
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?lang=jpn&ftype=document&no=11176

「米国はわれわれが核を完全に放棄する時まで制裁・圧迫を緩めないと露骨に唱えて朝鮮半島に戦略資産を引き込み、反朝鮮「人権」騒動に熱を上げるなど、朝鮮半島情勢をまたもや緊張させようとしている。
歴史的な北南首脳の対面と板門店宣言により、朝鮮半島情勢が平和と和解の方向へ進んでいる時、相手を意図的に刺激する行為はようやくもたらされた対話の雰囲気に水を差して情勢を原点に逆戻りさせようとする危険な企図にしか見られない。
米国がわれわれの平和愛好的な意志を「軟弱さ」に誤って判断し、われわれに対する圧迫と軍事的威嚇を引き続き追求するなら、問題の解決に役に立たないであろう」

北が言いたいことは、米国はリビア方式や人権問題だなんて言い出して、朝鮮情勢が平和と和解の方向へ進んでいる時に水を差すな、と言っているわけです。 

ここで北は、韓国まで引き込んで「南北朝鮮」という平和同盟を作って見せ、「南北平和同盟」が一丸となって戦争を望むトランプと戦っているというイメージを作り出そうとしています。 

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これは大当たりしたイメージ戦略なようで、ムンにはノーベル平和賞なんて話が降って湧いているようです。 

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とまれ、今、北と韓国が進めているのは、ナショナリズムとパシフィズム(平和主義)の混合物を、米国の進める「完全かつ、検証可能な非核化」にぶつけようとしていることです。

「民族融和」という本来はコリア民族固有の問題を、 北の非核化という国際問題にまで敷衍して、その糖衣で米国をくるもうとしています。

このことによって北が狙っているのは、ぬらりくらりと[シナリオ2]の交渉延長を引き出すことです。 

そのために、まずは現在進行している事前交渉で一項目ずつ値切りまくっているようです。 

「査察方式をめぐる隔たりだ。米国はIAEAを含む視察団がいつでも疑わしい施設を調査できるよう要求している。特に豊渓里(プンゲリ)核実験場の閉鎖方法をめぐり「先にIAEAの徹底的な事前検証、後に廃棄」を要求する米国と、これに反対する北朝鮮の意見が調整できないという話が出ている。
北朝鮮が今月中に閉鎖すると約束した豊渓里核実験場の処理は北朝鮮の非核化措置の第一歩だ。それだけに徹底的な事前検証をした後に閉鎖すべきだというのが米国の強い要求だ 」(韓国中央日報5月9日)

プンゲリ核実験場という既に閉鎖が決まっている核施設の査察ですら、「先にIAEAの徹底的な事前検証、後に廃棄」を主張する米国と、それに抵抗する北とが対立しています。 

ましてや、現状で実戦配備している核ミサイル基地、核製造施設、核物質の査察について、いかに北が強固な抵抗するかは考えなくてもわかります。 

軍事用核兵器とその正続施設を技術的に査察できるのは、IAEA査察官の肩書を持った米国、ないしは中国、ロシアの軍人技術者しかいないのですから当然です。

先祖代々受け継いできた神聖不可侵の独裁王国を、外国軍人が自由に査察して回るなど、正恩にとってしに等しい苦役のはずですから。

そして、米朝会談を延長交渉に持ち込み、その中でイラン核合意のような核の全廃ではなく制限で手を打つことを米国に迫るという戦術かもしれません。 

果たしてあと1カ月で対立点を合意にもちこめるかどうか、私は絶望的な気がしてなりません。

その場合、CSISのビクター・チャ韓国部長が言うような可能性も捨てきれません。

「一方、最近の米戦略国際問題研究所(CSIS)フォーラムでビクター・チャ韓国部長は「(米朝首脳会談の)場所と時期の発表をめぐる議論が長くなれば、会談自体が延期になったり取り消しになる可能性がある」と指摘した」(前掲)

となると、シナリオ4として「米朝会談は開かれない」もつけ加えねばなりません。

 
 
   

 

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コメント

シンガポールで「イエスか?ノーか?」
あ、いやなんでもありません。。

そこに習近平も加わるとか。
まあ、53年の停戦の当事者はこの3者ですからね。韓国は関係ありません。

日本も月内に総理がモスクワに行ってプーチンと会談してからG7とか、まあいろいろと動いてますね。

次元が違いますがもう一つの選択肢。

とてつもないチャンスが生まれます。それはかつて散々言われた斬首作戦の。

米軍の追跡とステルス能力からすれば、赤子の手をひねるより簡単でしょう。無論、国際政治的には非難を浴びる行為です。しかし相手はあの嘘つきテロ国家指導者です。これに鼻血作戦を組み合わせれば、大きな混乱を与えられます。
どう収束させるかが問題になりますが。

 ついでに私も一つ、

 金正雲を殺すのではなくて拉致をするのです。それを実行するのは日本の自衛隊の秘密部隊ですね。秘密部隊は自衛隊にはあるのかな。日本人を拉致した責任者が金正雲ですからこちらにも正当性はある。本人を拉致したい。

 それにしても、来月の会談どうなるのでしょうか、心配です。日本の国会の先生方、モリカケしかやってなかったことを後々後悔することになりやしませんか。

 ある野党の代議士の顔が脳裏に浮かび、それにバカ野郎と怒鳴ったりしています。

 

なんか話が変な方向に行ってしまいすいませんです。

んな、「アホな話」でいいんなら、イリューシン62Mが勝手に墜落するか、途中で『間違って』人民解放軍に撃墜されるほうが、まだ現実的だと思います。

もし、米朝会談が行われなかった場合や、米の要求が通らなかった場合、圧力をかけたままお互いの妥協点も見いだせない状態になると、北は追い詰められていくことになります。
そうなったとき、北が暴走する可能性はないでしょうか?

米朝ともに、戦争は出来ないから合意は成立する。
仮に成立しなくてもトランプが攻撃するなんてあり得ない、あり得ないから内容に関わらず合意は成立する。
成立を目標点にして裏で一致店を調整しているはずだ。

リビア方式でしたっけ?
核を完全放棄してもアメリカは中東の独裁者を許しませんでした。
北の場合はどうなるのでしょうか。
アメリカの言う通りにすれば、
韓国と同程度の繁栄を北にも保証する、とか
かつての敵国(日本か?)が今ではアメリカと最も緊密な同盟国になっている素晴らしい事例を挙げて
北に対してもきっとそうなるだろうという希望的な見通しを持っている、とか
アメリカは交渉時に言っているようですが
北のことを東アジアだからと言って日本と同じように考えるのは甘すぎます。
アメリカから見たら同じような仕分けなんですかね。
ため息が出ます。

 トランプさんが正恩との対談に自信を持っている(ように見える)のは、米国人らしいフェアネス精神からと、よくある米国人的な勘違い、親切の押し売りグセからでもあるのかなァ、と思わないでもないです。

要は自主的に大量破壊兵器を全廃した「南ア方式」のような態度を取る事を正恩にすすめ、その恩恵に浴する利益を説きに行くのでしょう。
軍事力をチラつかせながら、ですが。

そういう南アのような態度が正恩に見られるならば、検証は自然に「リビア方式」に見えるカタチであっても全然構わないワケで、それならボルトン氏のメガネにもかなうし、自主的選択ゆえ将軍様の国内的権威も保持出来ると言えなくもない。

保守(戦後の)さんが言うような、
≫「核を完全放棄してもアメリカは中東の独裁者を許しませんでした。」
とは、トランプさんはじめ米国の保守陣営は考えていないのですね。

カダフィ大佐は核放棄から8年も生きたのだし、核放棄がカダフィを葬ったのではありません。
米国が「中東の春」を仕掛け反政府勢力を支援したのだとしても、それは核放棄とは別の問題。
あれは民主党政権(ヒラリー)が犯した愚行であって、「南ア的な米国との接着が足りなかったせいだ」とでも正恩に言うのではないでしょうか。 
正恩でなくとも、他の誰でも納得はしないでしょうが。

どっちにしても米朝会談は「もの別れ」に終わる公算が強く、逆に中身なく簡単に合意してしまった時の方が後々困ります。

テレビも新聞も格好を付けて言わないから言いますが、日本にとって最善なのは米国が早めに限定攻撃を開始する事です。

時間が経てば経つほど韓国と北朝鮮の一体化が進み、それが日本にとっての一番のガンです。
金王朝のない北朝鮮を作り出して、それを中国に押し付けるべきで、「統一」は特に日本にとって弊害があります。
日本ほどでないにしろ、米・中・露にとってすらも同様ではないでしょうか。

エントランス さん

> そうなったとき、北が暴走する可能性はないでしょうか?

 暴走したら、アメリカの全面攻撃を受けるでしょうから、暴走もできないのではないでしょうか。暴走イコ-ル自殺になるでしょう。一番望ましいのは、無血開城ですね。それを期待しております。一番可能性が少ないと皆が思っているのがこのシナリオですね。これしかないような気がしております。

 もし暴走したら、悲劇です。

中国の後ろ盾を貰ってとうとう「拉致問題は解決済」、「安倍は圧力とか何を言ってるんだ」、というような強気発言が飛び出して来ました。この後には及んでまだ「話し合い」などと言える日本人は居るのでしょうか?

アメリカから見れば、戦前の日本は北朝鮮と同じ、
昭和天皇は金正恩と同等、ということなのでしょうか?
アメリカは国の違いと国民性の違いが分からないために
北朝鮮が戦後の日本のような存在になることを疑わず
米朝安全保障条約でも結ぶ気なのでしょうか?
そういう見方をされてること自体がもう言葉が出ません。


あのねえ、仮定を評論するのはいいんだけど・・・

ueyonabaruさん。
自衛隊のどこの部隊がそんなことやるんですか?少しは何か現実的な根拠があるんでしょうか?また、もし実行した後にどうするのか?マトモに考えてますか?


トキオさん。
〇〇なはずたから〇〇に違いない!という希望的観測。
これ、全くのダメ。赤点以下。
無防備な仲の良かった貴方の御近所さんや友人が突然態度を攻撃的に変えてきたらどうしますか?例えば「引っ越し~!ババア」みたいに(あれは被害者とされる夫婦が某学会で嫌がらせしたとの反論もありますが、真実は知りません)
防衛の基本は「相手の意思ではなく能力に備えよ」が常識なんですよ。
そんなことも分からずにコメントする人がいるとは、それこそ想定外でした!

板門店案を蹴ったのは北朝鮮だと思っています。
理由:板門店開催の場合米軍が必要以上に半島に近付く口実を与えるからです。

シンガポール会談は為されると思います。
理由:対話が可能だと世界に印象付ける為です。
米国に対する「米国の武力行使」への牽制になるからです。

交渉は決裂すると思っています。
理由:条件に折り合いが付かないからです。
特に完全な核兵器等の破棄と拉致被害者の件です。

決裂した場合ですが、引き続き対話による解決はなされないと思っています。
理由:トランプ氏は現実主義者っぽいので目的の為にはどの様な手段も取ると思っているからです。
イラン核合意からの脱退がそれを伺わせています。

結論:北朝鮮が白旗を揚げない限りは戦争になるでしょう。

補足:北朝鮮は米国を舐めているだけなので萬寿台の二つの像を爆撃するだけで白旗を揚げると思っています。
この辺り、米国が総攻撃を選ぶのか威しレベルの攻撃を選ぶのかは判りません。

以上、昨今の色々なニュースを見て感じただけの推測なので根拠に乏しいのですが・・・

北が実験場の放棄&坑道爆破をメディアにアピールすることを発表。
今まで他でも言われていたことですけど管理人さんの完全な予想的中ですな。
そして、自分たちが「蚊帳の外」にされた日本メディアが不平をこぼすとw
日本メディアの反応はどうでもいいとして、10年前の冷却塔爆破の再来だけはあってはならない。

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