「ヒロ楡谷」氏という人の投稿です。
「・北朝鮮は絶対に信頼出来ない国。拉致した日本人を解放しようと核兵器を放棄しようと、経済制裁解除や国交正常化は行ってはいけない。未来永劫、圧力をかけ続けて国力を削ぐのが日本の安全を保つ唯一の方法。
・沖縄を琉球読みするのは同化政策を正当化するヘイト発言と揚げ足を取られるのを防ぐため。国連でも琉球人は日本人に非ず、先住民族であると決定しているので、うかつに日本人扱いして無用なトラブルを発生させるのは好ましくない」
前段では北は信用できないからとことん圧力をかけ続けろと勇ましいことをいいながら、後段は「揚げ足をとられないため」となにが本当のこの人の認識なのかわからない書き方に逃げています。
ちなみに、蓮池薫氏も言っていますが、圧力路線はどこかで転換されねばなりません。
いかなる進捗があっても日本が圧力路線を変えないというなら、北はばかばかしくて外交交渉そのものを忌避することでしょう。
すると、拉致交渉そのものが成立しなくなります。これでは北のおもうツボです。
なんのことはない一見勇ましい圧力未来永劫論は、結局北にとって有利なのです。
圧力を選ぶか、融和を選ぶかは、一種のバルブのようなもので、その時々の状況次第です。そのていどの柔軟性を持たせないと「ヤクザ」国家とは交渉できません。
圧力路線が外交方針である以上、硬直して続けるものではないし、非核化交渉と拉致問題の進捗をにらみながら判断するものにすぎないのです。
それはさておき、この人はさらには末尾に、「迂闊に日本人扱いして無用なトラブルを発生させる」という頭が痛くなるようなことを平気で言ってのけています。
じゃあ、沖縄県民を日本人扱いしなければ、「無用のトラブル」がさけられるんですね。
私は沖縄県民が「じぶんたちは日本人ではない」といっても、間違ってはいると思いますが、頭から否定はしません。
しかし、本土人の側から「お前ら沖縄県民は日本人ではない。トラブルに巻き込まれたくない」などと言うことに対しては、強い怒りを覚えます。
冗談ではない。身勝手なことを言うなと思います。
この時期、すなわち、地域覇権国である中華帝国が南シナ海の軍事要塞化をほぼ完了し、東シナ海に触手を伸ばし沖縄をうかがおうという情勢下において、「沖縄県民は日本人ではない」と本土の側が言うことの意味です。
それは「沖縄県は日本ではない」ということに等しく、県民を中国に売り渡すことに等しいのです。
沖縄県民はまがうことなき同胞であり、日本人です。
さてこの人の唯一の根拠は、「国連が先住民と認めた」ということらしいですが、日本政府は直ちに抗議して拒否しています。
この人の認識は、なにか深い勘違いがあるようです。
2016年5月3日に、この人も言及している「国連勧告」なるものについて書いた記事を再掲載しておきます。
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「国連人種差別撤廃委員会」とやらが、沖縄県民を「先住民族」だとした「最終見解」を出したことに対して、日本政府が抗議しました。
この14年の「勧告」については、欄外に琉球新聞の記事をスクラップしておきました。
要点は以下です。
①彼らの権利の促進や保護に関し、沖縄の人々の代表と一層協議していくこと。
②琉球・沖縄の言語や歴史、文化についても、学校教育で教科書に盛り込むなどして保護するよう対策。
③2010年の「米軍基地集中」についての勧告が、今回は消えた。
④日本政府が沖縄の人々を「先住民族」と認識していないとの立場に「懸念」を表明。
⑤消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進・保護策が不十分。教科書に琉球の歴史や文化の繁栄が不十分。
また、自由権規約委は同じく14年8月に、「先住民族の天然資源の権利保護」勧告までだしています。
これはまた、ずいぶんとキナ臭いことを平気でいうものです。
「コミュニティーの伝統的な土地や天然資源に対する権利を十分保障するためのさらなる措置をとるべきだ」などと日本政府に法改正まで求めている。」(産経4月28日)
尖閣を領有しようとしている中国は沖縄県との「共同開発」を提案していますから、この「先住民族の資源保護」の概念はそのためにあつらえたような概念です。
そういえば、かつて政権党だった当時の民主党県連の会長だった喜納昌吉氏が「中沖共同開発」を唱えたことがありましたっけね。
ナバホ族のような外国との資源の競合がありえない内陸の先住民と違って、隣国の係争関係がある尖閣を持つ沖縄に対してそれを言ったら、国家間紛争の種をまくようなことだと思わないのでしょうか。馬鹿じゃないか。
政府が内政干渉と抗議するのもむべなるかなです。
(産経4月28日)
これについて反応を、沖タイが報じています。(4月28日)
※http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160428-00000002-okinawat-oki
なんと県民ではなく、ヘイトスピーチ報道で名を上げた左翼ジャーナリストの安田浩一氏が登場したのには微苦笑しました。
安田氏はこう述べています。
「ヘイトスピーチなどの問題を取材し、昨年9月には翁長雄志知事の国連演説も傍聴したジャーナリスト安田浩一さんも、沖縄の人々の人権が侵害されてきた歴史や、過重な基地負担をめぐって国と県が対立する現状を踏まえ「先住民と主張する意見はもっともだ」と理解を示す。
今回の政府の姿勢を「本土の意見に逆らうな、国益に反するようなことはするなという極端な同化主義だ」と批判し「沖縄の人は、復帰以降も変わらない過重な基地負担の軽減を訴えているにすぎず、政府は沖縄側の気持ちを無視している」と指摘。
さらに「政府は同じ日本人というのなら、沖縄の基地負担を本土も分かち合う方策を積極的に模索するべきではないのか。安全保障の名の下に不公平な立場に置かれ続けている沖縄の現状を、政府は理解していない」とした。」
毎度おなじみの「過重な基地負担」を:「沖縄差別」とする左翼陣営の定番的考え方ですね。
彼らの基地問題を、安易に,「差別」という取り扱い注意の問題に転化してしまう分別のなさがたまりません。
「ナショナリズムは少量の毒のようなものだ」という箴言がありますが、少量なら甲子園を応援するノリですが、大量に摂取したら最後、死に至ります。
こんなことを言い出せば基地問題だけにとどまらなくなり、さまざまを解決不能な事態を惹起するのはわかりきっているでしょうに。
ちなみに、沖縄左翼が「差別」と言い始めたのは、本土の部落解放同盟との交流を通してです。
沖縄左翼は、解同の永久差別論、つまり差別者と被差別者の立場は、永久にかわらないという理論を密輸したのです。
基地問題は根気よく縮小していくしか方法がないにもかかわらず、それを本土の差別だということで、沖縄県民の怨念を煽ろうするものです。
結果、かえって収拾不能の混乱を生むことになります。まったく愚かなことです。
左翼は、紛争を起こすことが存在理由だからいいでしょうが、巻き込まれた一般県民はどうなるのでしょうか。
基地の縮小という、それ自体はまっとうな要求が、いつしか本土政府との民族対決に変質してしまいました。
そして、その結果うまれたのが、「差別」からの完全解放を唱える沖縄自決論・沖縄独立論だったというわけです。
かつての復帰闘争の折りに、毛沢東主義の某過激派が「沖縄民族解放」「琉球独立」を唱えて、「沖縄民族解放戦線」などをデッチあげた故事を思い出します。
よもや、こんな亡霊がよみがえるとは思いませんでした。
彼らにかかると、今回の普天間移転問題も、「「本土の意見に逆らうな、国益に反するようなことはするなという極端な同化主義だ」ということになります。
「先住民族」の定義について、簡単に押さえておきます。
※Greller, 1997
①非支配的地位
②エスニック・アイデンティティの共有
③先住性
沖縄県民が「先住民族」であるかどうかについては、今回は置きます。(そのうち余裕があればやります)
それについては::国連人権委員会の我那覇真子氏の国連スピーチをごらん下さい。(欄外参照)
というのは、これをやりだすときりがないからです。結局は観念的な歴史認識の違いに突き当たって、立場の違いを確認するだけになります。
今は、このような「国連先住民」勧告が、現時点で政府と沖縄の間でどのような新たな紛争を生み出すのかを考えたほうが意味があるでしょう。
あ、そうそうその前に、ご承知だろうと思いますが、ここで出てくる「国連人種差別撤廃委員会」なるものは、別に「国連」そのものではありませんから誤解しないで下さいね。
今は改組されて消滅しましたが、あの悪名高いクマラスワミ報告を出した国連人権委員会は正式な国連機関ですが、こちらの「人種差別撤廃委員会」はその補助機関、下請けにすぎません。
人権委員会は、人権意識のかけらもない中国やアフリカの独裁国が理事になっているなど、大変に問題が多い組織でしたが、「人種差別委」のほうに至っては、それに輪をかけてNGO、つまりは各国の活動家たちがメンバーになって、勝手なことを言い合っているようなところです。
さて、今回の「国連勧告」を興味シンシンで見ていた国があります。中国です。
中国は、沖縄を自国領土だと宣言しています。
中国がやったことは、沖縄県に馬英九のような親中派カイライ首長の翁長知事を作るのが第一歩でした。
青山繁春氏は、中国領事館が工作していると名指ししていますが、私には裏を取りようがありません。
しかし、「オール沖縄」の背後に中国の姿が見え隠れするのはよくあることなのであって不思議はありません。
「オール沖縄」がいままでの左翼系革新勢力と一線を隠して「進化」したのは、保守寝返り組を取り込んで、「沖縄ナショナリズム」を統一イデオロギーとして押し出したことです。
というのは、従来の対立軸は<沖縄県vs本土政府>でしたが、これだけでは弱いのです。
結局、問題が解決すれば元の<日本>という鞘に納まってしまいます。
それは当然です。なにせ、沖縄県民も本土人も同じ日本民族なのですから。
彼らからすれば、納まってしまっては、その「先」にいきません。その「先」とは日米安保の廃棄と「独立」です。
元々水と油の野合勢力を接着する目的のために、<日本vs沖縄>という新たなエスニック紛争の構図を作ったのですが、この構図はいまや「国連勧告」の力を得て、一人歩きし目指すのは「その先」です。
ではその「先」とはなんでしょうか?
沖縄は米軍と自衛隊によって強固に防衛されています。外からこれを崩すのは容易ではありません。
崩そうと思うなら、城の内側から城門のカンヌキを引き抜く者が必要です。
その役を今回仰せつかった人物が、翁長氏でした。
そのために用意されたイデオロギーが、「沖縄は差別されているマイノリティだ」という「沖縄差別論」でした。
「沖縄人」というエスニックと、「日本人」というエスニックの民族対立を、人工的に作り出したのです。
民族対立の図式に持ち込むために考案されたのが、虐げられた「沖縄先住民」と、差別し暴虐の限りを尽くす支配者「日本人」という二項対立の図式です。
この図式によれば、日本人は、琉球王国という理想の平和国家を破壊し、皇民化教育で洗脳して戦争の捨て石にし、住民虐殺に狂奔したあげく、沖縄を捨てて、復帰後も沖縄にだけ米軍基地を押しつけている悪玉としてだけ描かれます。
※琉球王国についてはこちらからの記事からどうぞ
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-2d1a.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-85e9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-bc55.html
これが「沖縄差別」イデオロギーです。
その「先」は、プーチンが使ったクリミア方式が参考になるでしょう。
まずいきなりの中国への併合ではなく、いったん「一国二制度」というクッションを置きます。
手段は「民族自決」による県民投票です。しかしいきなり独立国にはなることはしません。
それをやると、「琉球共和国」ができたのはいいものの、財政的に持たないからです。
「高度な自治」をもった、「沖縄特別区」のようなものにします。おそらく外交・防衛を本土政府に預けるかどうかが焦点となるはずです。
糸数慶子議員は既に、「高度の自治権」を沖縄に与えるように主張しています。
今回の国連人種差別撤廃委員会の「最終勧告」は、まさに糸数女史の主張を100%トレースしたものでした。
(写真 2014年、先住民族世界会議に参加した糸数慶子参院議員。札に書いてあるIndigenous peoplesとは、当該国の主要構成民族から みて「原住民」と呼ばれることの多かった者で、当該国に編入する以前から住んでいた者の ことを指す。)
この両者を預けてしまうと、「全基地撤去」ができなくなりますが、財政的には安定します。
仮にいきなり完全な分離・独立をしてしまえば、3割以下の自主財源しかない沖縄は財政的に一瞬で崩壊します。
その場合、左翼政権のギリシヤと同じコースが待っています。
公務員と公共事業の大幅削減、年金・福祉などの一時凍結・切り下げ、そして消費税の大幅増などの増税をしないことには、深刻な財政危機に見舞われるはずです。
実はユーロに加盟していたことで、国力以上の福祉・厚生を得ていたギリシャと、日本に属している沖縄はよく似た内部構造を持っています。
公務員天国、製造業の弱体、観光中心の産業構造、左翼が強い政治構造などです。
沖縄県はユーロの代わりに、基地を引き受ける見返りとして、本土からの累積10兆円の振興予算で、県の経済力以上の財源を得ていました。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-1599.html
ですから、皮肉なことに、この「沖縄特別区」も、基地は維持せねばならないことになります。
米軍基地を撤去するために始めたのにナンダということになりますので、独立勢力の中で分裂含みの争いになることでしょう。
しかし考えてみれば、その「沖縄特別区」の後に予定されている、「琉球共和国」に向かう場合もまた、基地問題は同じように蒸し返されるはずです。
米国と「琉米安保」でも結ぶ腹芸が彼らに可能ならば、「独立」の目がないわけではありません。
しかし、「独立勢力」の裏オーナーはなにせ中国の大人ですから、どうなりますか。
米国と基地温存を条件にする程度の外交力があれば別ですが、今の翁長氏たち「オール沖縄」の貧弱な政治能力をみていると、まったく無理な相談でしょう。
やると分裂し、分裂を食い止めるるほどの絶対的カリスマがいませんからね。
結局、至り着くところは、「一国二制度」の美名による香港型でしょう。
そして・・・、「琉球共和国」は、中国から送り込まれる大量の中国系移民によって、社会・経済と政治のことごとくを支配され、独自の首長を選出する権利すらも奪われて、中国全人代の決めた「総督」を戴くことになります。
そして数十年後には、「中華人民共和国琉球自治区」となって、嘉手納基地に五星紅旗が翻ることを、旧沖縄県民は見ることになります。
その時、中国政府が琉球民族の「先住民自決権」などを容認するかどうかは、チベットやウイグルをみれば、特に考えないでもわかりそうなものです。
「先住民族論」や「民族自決論」、あるいはそれから発生する「琉球独立論」こそ、自由を失うための最短距離なのです。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-1dbe.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-d7ca.html
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■琉球新報2014年9月24日
「国連の人種差別撤廃委員会は29日、日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表した。「彼らの権利の促進や保護に関し、沖縄の人々の代表と一層協議していくこと」も勧告し、民意の尊重を求めた。琉球・沖縄の言語や歴史、文化についても、学校教育で教科書に盛り込むなどして保護するよう対策を促した。
委員会は日本政府に対し、勧告を受けての対応を報告するよう求めている。
同委員会は2010年に、沖縄への米軍基地の集中について「現代的な形の人種差別だ」と認定し、差別を監視するために、沖縄の人々の代表者と幅広く協議を行うよう勧告していた。今回は米軍基地問題に言及しなかった。
最終見解は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が琉球・沖縄について特有の民族性、歴史、文化、伝統を認めているにもかかわらず、日本政府が沖縄の人々を「先住民族」と認識していないとの立場に「懸念」を表明。「彼らの権利の保護に関して琉球の代表と協議するのに十分な方法が取られていない」ことに対しても懸念を表した。
また、消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進や、保護策が十分に行われていないと指摘。教科書に琉球の歴史や文化が十分に反映されていないとして、対策を講じるよう要求した。
最終見解は今月20、21日にスイス・ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所で開いた対日審査の結果を踏まえ、まとめられた。
対日審査では沖縄の米軍基地問題に関して、委員から「地元に関わる問題は事前に地元の人たちと協議して同意を得ることが大変重要だ」「政策に地元住民を参加させるべきだ」といった指摘が相次いだが、最終見解では触れなかった。
日本に対する審査は、日本が1995年に人種差別撤廃条約の締約国になって以来、2001年と10年に次ぎ、今回が3回目。」
■国連人権理事会における我那覇真子氏スピーチ全文
スピーチは英語 和訳は本人による
http://hi-hyou.com/archives/3368
2015年9月26日
被差別少数琉球民族は存在しない
~デマゴーグとプロパガンダは21世紀の国際社会には通用しない~
昨日皆様は、沖縄は紛れもない日本の一部であるにも関わらず、「沖縄県民は日本政府及び米軍から抑圧される被差別少数民族である」とお聞きになられたと思います。
それは全くの見当違いです。
私は、沖縄生まれの沖縄育ちですが、日本の一部として私達は世界最高水準の人権と質の高い教育、福祉、医療、生活を享受しています。
人権問題全般もそうで すが、日本とその地域への安全保障に対する脅威である中国が、選挙で選ばれた公人やその支援者に「自分達は先住少数民族である」と述べさせ沖縄の独立運動 を煽動しているのです。
我々沖縄県民は先住少数民族ではありません。
どうかプロパガンダ(政治宣伝)を信じないでください。
石垣市議会議員の砥板芳行氏からのメッセージです。
「沖縄県の現知事は無責任にも日本とアジア太平洋地域の安全保障におけるアメリカ軍基地の役割を無視しています。翁長知事はこの状況を捻じ曲げて伝えています。中国が東シナ海と南シナ海でみせている深刻な挑戦行為を知事と国連の皆様が認識をすることが重要 です」
ありがとうございます。
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