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2018年6月

ワールドカップは美意識を競う場ではない

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サッカー話を続けます。 

一昨日の3戦ポーランドで、ボールキープしたことについて、ヨーロッパが批判したことに追随して、色々と言われているようです。 

得たりとばかりに、韓国は欣喜雀躍しているようです。韓国マスコミ総動員で日本バッシングに余念がありません。サッカーさえ反日ネタになるというのは微笑ましい限りです。 

「韓国MBC(文化放送)解説者の安貞桓氏は「攻撃を1分間しなければファウルになる規則を作らなければいけない」と日本のボール回しを批判し、「この試合を中継するために準備したことがもったいない」と語った。
  続いて「こんなことならいっそのことセネガルが正義を見せるためにゴールを入れてコロンビアと共に決勝トーナメントに進出してほしい」とし「韓国は美しく敗退したが、日本は醜く16強に進出した」と述べた」(中央日報6月29日)

http://japanese.joins.com/article/743/242743.html 

どうしても日本を引っ張りだしたい、比較したい、自分は世界から称賛をうけていると言われたい、日本は最低だと言って欲しいという素朴な感情むき出しです。 

こういう他民族を軽侮し、己が民族だけを高しとするような考え方を、悪しき愛国主義と言います。

うっとおしいから、こっち見るな、あっち見てな。

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さてコメントにもありましたが、あの時間稼ぎ戦術が好きか嫌いかで言えば、感性的には私も嫌いです。

あの夜、アディショナルタイムの最後の1分までパワーゲームをしかけて欲しい、という感傷めいた気分が濃厚に私の中にあったことを白状しておきます。

今の川崎だったら最後の最後まで仕掛けそうです。リーグ戦なら後がありますから、それもありでしょう。

だって、スッキリするじゃないですか。もやもやが残らないで、明日からの仕事に臨めます。

しかし第3戦の至上命題は、グループリーグを勝ち残ること、その一点につきました。

そこで西野は二つの賭をします。

ひとつめは、決勝リーグを見据えて主力を温存し、相手の守備プランを攪乱するために大幅なメンバーチェンジをします。

香川、本田、大迫、原口、乾、昌子を温存し、控え選手を投入します。

メンバーの大幅交代とシステム変更はいわば奇襲です。

西野は常道に反するこの賭によって、格上ポーランドとの引き分け狙いを考えたわけです。

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西野はその意図を、このように説明しています。

「決勝リーグに進んだ過去二大会は、すべてを出し尽くして16強に臨んだ。私はさらに勝ち上がることを前提で考えた」(産経6月30日)

ところがあろうことか、この西野の奇襲プランを、日本の馬鹿メディアは大々的に報じてしまいます。

奇襲はバラされてしまえば、それは奇襲ではなくただの控え組に替わったというだけのことです。

ポーランドは慌てて、この奇襲を迎撃するプランを練ったことでしょう。あからさまな利敵行為です。

本田はこうツィートしています。

「メディアの皆さん
ポーランド戦前にスタメンを公表してたけど、練習は非公開やったわけで・・・
真実の追求するポイントがいつもズレてるよ。
選手達も普段、後ろにファンがいるからと思って喋ってるんやから、もうちょっと考えてください」

事前に奇襲案が漏れてしまっていては、相手はそれに対応した布陣となってしまいます。

果たしてこの西野の当初の第1の賭けは失敗します。

酒井(高)と宇佐美は、チームの持ち味の短いパスを回せず、武藤のシュートはネットを揺らしませんでした。

槙野の守りはポーランドに翻弄され、オウンゴールしかねないシーンもあって、日本で見る観客の肝を冷やしました。もし入っていたら、ポーランドに亡命するしかなかったでしょう。

こういう言い方は気の毒ですが、主力メンバーとの力の差は予想以上に大きかったと思います。

後半14分にはとうとうポーランドに得点され、20分に主力の乾を投入して同点に追いつこうとしましたが、その1分後の21分には槙野がとうとうレバンドフスキに恐れていたイエローを献上してしまいます。

しかし、その後の29分にセネガルが1点ビハイドしたことを知ります。

西野はセネガルとのフェアプレイポイントを頭に入れていましたから、ここで戦術転換を決意します。

引き分け狙いから、この薄氷のようなフェアプレーポイント狙いへの転換です。これが第2の賭けでした。

37分のキャプテン長谷部投入は、この戦術転換を全員に徹底させるためのものでした。

確かにこれはセネガルが1点とったなら瓦解する戦術でしたが、勝負とは投機的要素を必ず含むものなのです。

勝てば褒められ、負ければボロクソ、これが国を背負って戦う監督の常です。西野はそれを引き受けたということです。

忘れて欲しくないことは、最後まで攻撃を仕掛けるというのは、あくまでも観客がスッキリしてたいからにすぎません。

ピッチで戦うプレイヤーや監督の立場ではないのです。したがって、テレビの前で見るしかない私達のもやもやなど一切関係ありません。 

ところで、サムライ・ブルーとか、やたら侍を代表チームにつけたがりますが、いかがなものかと思います。

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実際、批判には「侍魂どこに行った」というものもあるようです。
https://news.nifty.com/article/item/neta/12189-20161688954/

なにが「侍魂」ですか。「サムライ」という、自分たちがつけたネーミングに呪縛されています。

本物の侍は戦の前には謀略(調略)で勝ちを半ば決めておいてから、合戦に臨むのが常でした。 相手陣営を金と地位で転ばし、スパイ(細作)を大量に放ち、ニセ情報を流すなど日常茶飯事でした。

逃げ道の探索は周到に行い、退き口(撤退戦)を担うことは一番槍以上の誉れでした。 

ですから、サムライは簡単に腹切りなんかしません。

その合戦だけではなく、まだ延々と戦が継続される場合が多いのに、簡単にひとつの戦が負けたからといって、その都度サムライが腹切っていたら戦力が自滅してしまいます。

彼らが全員討ち死にを覚悟して突撃するのは、もう後がない、せめて名誉だけでも語り継いで欲しいという最後の最後の局面だけでした。

美学を要求されるようになったのは、合戦の仕方も忘れられた天下泰平の江戸時代のことで、それを最悪の形で継承したのが、昭和陸軍でした。 

伊東潤氏がこんな言葉を紹介しています。

「武者は犬ともいえ、畜生ともいえ、勝つことが本にて候」(「朝倉宗滴話記」)

私たち観客は、平和な江戸期の眼で戦国を戦っている代表チームを見ています。

西野は将として、本来の「侍」の生き方を踏襲しただけなのです。

ですから、韓国流に美しいか醜いかと問うこと自体がナンセンスです。 

審美眼で、ワールドカップというグラウンドで戦われる「ルールある戦争」を見てはいけません。 

あれはスポーツの形を借りた血の流れない「戦争」なのであって、民族の美意識を競うファッションショーではないのです。

結果として、その民族固有の美意識が戦いぶりに反映され、私たちの心を打つのであって、それが目的ではありません。

私は潔く散るサムライより、しぶとく生き残って戦う彼らを誇りに思います。

■友人から頂戴した写真です。インドネシア・スンバ島の海辺だそうです。

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西野監督は予選突破の先を見ていた

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全面的に書き換えました。 技術的分析はサッカーブログでお読み下さい。

私のいちばんの疑問はなんといっても、西野がなぜ調子がいいチームのメンバーの総入れ換えにちかいことをやったかです。 

一般的にはありえないことです。前日のテレビ(ひるおび)でも、前園も本並も言下にありえないと否定していました。 

にもかかわらず、西野はあえて控えの選手を総動員せんばかりに、実に6名も投入したわけです。 

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ヨーロッパのメディアは厳しい評価で、たぶん今日もこのような解説が日本でも流されるはずです。

「監督として他のチームの試合結果に全てを委ねるのは唖然とさせられるね。日本にはここまで良い意味で少しスポットライトが当たっていたが、私は次のラウンドでボコボコにされるのを望んでいる」(BBC)

したたかなブリテンともあろうものが、なにをウブなことを言っているのでしょう。

 極東某国のようにダーティなファールをしまくって大会ワーストというならともかく、フェアプレーで勝ち残ってなにがいけないのか、さっぱりわかりません。

脱線しますが、日本は大会一ファールが少ない国で、一方大会一カードを貰ったのはK国(あえて名を秘す)でした(苦笑)。どうしていつもここまで体質が違うんでしょうね。

それはさておき、決勝トーナメントに出るためにボールキープするていどのことで、ボコボコにされてはたまったもんじゃありません。 

では、ブリテンの諸君、日本と同じ立場になって残り10分としましょう。 

敗退が決まり、故国に一勝も得られずには帰れないポーランドに突撃を敢行して、カウンターを食らってさらに1点を献上するリスクを負うかどうかお聞きしたいものです。 

日本がボールキープに転じれば、既に1点獲得してメ,ンツをほどこしているポーランドはこれ以上攻めてはこない、そこまで西野は読んでいたはずです。

確かに、セネガルが1点入れていたらその時点で敗退でしたが、ボールプレーにはバクチはつきものです。

だし勝算なきそれではなく、勝てるためのキリギリの手だてをしたうえでの「バクチ」ですが。

このような状況下でボールキープは、これしかとりようがない唯一の戦術であって、ワールドカップは参加することに意味がある草サッカー大会ではないのです。 

決勝トーナメントに出てナンボのもの、そのピッチに立てなければ無です。 

当たり前ですが、ワールドカップにおいて決勝トーナメントに勝ち残るには、何がなんでも2位までになっておかねばなりません。 

「長谷部が入り、試合をスローダウンさせた。彼はイエローカードの差で突破できることを味方に伝えたのだろう。最後の5、6分は…。両チームとも下がり、ボールを奪おうとしなかった。本当に残念な結末だよ」(前掲) 

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言われるまでもなく、あそこで長谷部を入れたのは、このイエローカード2枚という差をキープして、予選を突破するという西野の戦術を徹底するためです。 

西野は、予選突破するのは当然として、「その先」を見ていたと思います。 

それは決勝リーグにおいて勝利し、16強から「その先」に進むことです。 

「日本は良くない出来だった。6人のメンバー変更がそうさせたのだろう。西野監督は明らかにコロンビアが勝つことを期待し、重要な選手をベンチに置いたままにした」(前掲)

 そのとおりです。西野は主力を温存したのです。香川、本田、長谷部、そして大迫も岡崎の負傷がなければ、出したくなかったはずです。 

このように見てくると、西野があえて,チームの基幹の司令塔・柴崎、サイドバック・長友、キーパー・川島をのぞいてほとんどを換えるという大手術をした理由がわかってきます。 

それは西野は決勝トーナメントを既に見据えていて、そこから逆算して第3戦の布陣を練ったのです。 

要するに、主力の温存です。

今までの日本チーム違って、「さわやかに全力疾走して敗退し涙を飲む」という負けパターンを選ばず、ずるくてもいいから勝ちにいくという西野の練れた戦略テーゼは、むしろブリテン好みではないかと思うのですが。

2_2https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201806290...

私は、ある種の感動を覚えています。

サッカー強豪がひしめくヨーロッパにおいて、日本サッカーはいみじくもこのBBCの解説ような「さわやかに戦う子供」にすぎませんでした。

彼らは日本サッカーなど相手にしておらず、子供扱いにしていたはずです。BBCの言葉の節々に、上から目線を感じるのはそのせいです。

今回、はっきりしたのは、日本選手ヨーロッパ組が個人プレーにおいても、充分に負けないフィジカルと、むしろ彼らを上回るスピードと組織性を得つつあることです。

あと日本サッカーに致命的に欠けていたのは、「ずるさ」です。したたかさ、しぶとさといってもいいでしょう。

この醒めた戦略的頭脳さえ得れば日本はそう遠くない将来、ヨーロッパに伍せる力量を持つことも不可能ではないと思います。

私はフランス大会からしか見ていませんが、あの頃のように若武者の初陣を見るような「フレッシュさ」を売る時代はとうに終わったと思います。

試合後西野は、いみじくも「不本意だが成長のためだ」と言っていましたが、まさにそのとおりです。

今回の日本代表はその端緒についたように、私には思えるます。

日本サッカーは「少年期の終わり」を迎えたのです。

 

 

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「HINOMARU」騒動のくだらなさ

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RADWIMPSの新曲「HINOMARU」が軍国主義だと騒いでいる人たちがいるようです。 

まぁ、私としてはくだらないので取り上げたくないなぁと思って、書いてきませんでした。 

歌詞の「さぁいざ行かん。日出づる国の御名のもとに」とか、「御国の御霊」あたりが左翼心に爪を立てたのでしょうね。
歌詞全文はこちらから
http://j-lyric.net/artist/a04ac97/l0469f5.html 

あ~あ、なんとまぁ息苦しき社会よ。 

「日本死ね」が流行語大賞ともてはやされる一方、この程度の歌詞があったというだけで、下のようなライブ会場前でのフンサイ行動が呼びかけられていました。 

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 結局、6名(3名という異説あり)しか集まらなかったというオチがついて、ぬるい笑いを買っていたのはご愛嬌です。 

私がこの事件でちょっとなぁと思うのは、左翼の皆さんが、自らの思想傾向に合わない芸術表現まで介入していることです。 

しかも口先介入ではなく実力介入ですから、シャレになりません。

いっそこの際、私設ポリコレ思想警察でも作りますか。

そのうち「日の丸」とか「君が代」、はては「日本」なんかも、ポリコレの取り締まり対象になるんですかね。 この人たちをみていると、あながち冗談ともいえなくなります。

そもそも芸術表現と思想表現は別次元のものです。ここが分かっていないからおかしくなります。 

「HINOMARU」という曲をくさしたかったら、その曲としてのダメさを評すればよいのであって、歌詞が気に入らないからというなら、それが楽曲をどのようにダメにしてしまったのかを解き明かさないといけないでしょう。 

曲というそれ自体が独立した芸術作品に、自分の思想を持ち込んでぶった斬っている粗雑な姿勢そのものがおかしいのです。 

作品が凡作だったら批判すればいいだけでの話で、歌詞に自分が気に食わないフレーズがあったというだけで騒いでいては、自分でも情けなくはありませんかね。 

逆に言えば、どんなつまらない芸でも、「思想」さえよければ座布団一枚ということになるわけです。

たとえば笑点の大喜利で、「耳をふさいでいるもの」という昇太のお題に、円楽がこんなことを言っていたようですが、実にくだらない。 

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このトランプからの前には「安倍首相が」とつくんですが、安倍氏がモリカケ疑惑から逃げているといいたいでしょう。笑えないんだよね。芸としてつまんないから。

この六代目円楽と言う噺家は、先代の左翼インテリ芸風だけをもらったような人で、このしたり顔がたまらない。それでも面白きゃいいんです。

芸は芸であって思想じゃない、ってあたりまえのことがこの人物には分かっていないようです。初めは嫌われ者のキャラづくりかと思っていましたが、どうもそうじゃないみたいで。

若い頃の談志は政治向きの話を噺の枕によくしていましたが、ともかく腹を抱えるほど面白かったことを覚えています。

落語は笑って浮世をひととき忘れらればいいんで、あんたに説教されたくはない。

円楽がこれで批判されると、「落語は風刺だ。反骨精神だ」と弁護する人がいましたが、なに言ってるんだか

ジョン・レノンの「イマジン」はいわばアナーキズム礼賛の唄ですし、CSN&Yの「オハイオ」などはストレートすぎるほどの政治的抗議の唄です。

しかし、一個の芸術作品として圧倒的パワーを持っています。だから半世紀後にも残っています。そこが決定的に違います。

ジョンと比べちゃ気の毒ですが、円楽のそれは「風刺」とか「反骨」なんて上等なもんじゃなくて、朝日の社説か素粒子からのベタの口移しにすぎません。

芸人としてのひねりもなければ、肝心のユーモアすらない。そのまんま自分の憎悪感情を口にしただけの素人芸です。

それも反アベを言えば受けると見て、今のモリカケの風潮に媚びています。これでは芸にならない。

つまりは、円楽は芸人としてつまらないからダメでなのです。

では、円楽が政治的に許せないから、笑点会場前でフンサイ行動をする奴がいますか。いたら、そうとうのウマシカヤローです。
 

問題はそこなんです。「HINOMARU」という曲を、言論で否定しているならなんら問題はありません。 

しかし、こともあろうにコンサート会場にまで押しかけて無届け集会(だったらしいね)をしたら、警察のご厄介になっても仕方がありません。 

そんなことを許したら、日本から表現の自由は消滅するでしょう。 

しかも、言ってはナンですが、このいど愛国心を鼓舞したからといって、その都度自己批判を迫られたり、曲の回収を要求されたらたまったもんじゃありません。

ワールドカップ日本代表の右サイドバックの酒井宏選手は、「責任をもって国のために戦う」と言っていますから、「こんな許されない軍国主義者」のプレーは断固フンサイせねばなりませんね。

ぜひ、ロシアの会場前に押しかけて下さい。ただし、ロシアの治安警察は日本のおまわりさんと違って甘くありませから、気をつけてね(苦笑)。

それはさておき、このフンサイを叫ぶ人たちは、愛国心や国のためと聞くと反射的に極右だ、軍国主義だと騒いでいるようです。 

そうなんでしょうか? 

もし、愛国心が悪いというなら、今、真っ盛りのワールドカップなんか世界の極右の大集会です。 

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愛国心を取ってしまったら、ワールドカップも世界フィギュアも、オリンピックも成立しませんからね。 

国際大会は愛国心を競い合う場ですから、そこから愛国心を取ってしまったらスカです。 

日本は敗戦症候群で、愛国心を持つことが悪だと教え込まれてきました。 

私の世代は日教組教育の真っ只中でしたから、教師から「日の丸の白はアジアの人の骨の色。赤は血の色」と教えられた者すらいるようです。 

愛国心というと、よく英国の18世紀の詩人・サミュエル・ジョンソンのこういう箴言を引用されませんか。 

「愛国心は一番悪い奴が持ち出す最後の言い訳だ」 

聞いたことあるでしょう。この言葉は、ジョンソンの言いたかったことの文脈の前後から切り離されてしまって、つごうよく「愛国心を口にする奴は悪人だ」と解釈されています。 

ちがうんです。この意味は、愛国心はいつの時代も普遍的な価値で尊ばねばならないから、誰も文句を言えないものだ。

だから、悪い奴が言い訳を言い尽くした最後になって、「あれは国を愛しているからやったんだ」と言い訳するのは聞き苦しいという意味です。

つまりは愛国心を悪用するなという意味であって、愛国心が悪だなんてゼンゼン言っていないのです。

私たちは、自分たちはこの国を愛している、だからもっとこの国をよくするために力を尽くしていくのだという意味で、愛国心という重い言葉を使うべきです。

ですから、自分の国の歴史や文化を拒絶して、日本や日の丸憎悪をすることが正義だと信じている人は、根本的にどこかで勘違いしているのだと思います。 

 

 

 

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沖縄県民は「先住少数民族」ではない

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「ヒロ楡谷」氏という人の投稿です。

「・北朝鮮は絶対に信頼出来ない国。拉致した日本人を解放しようと核兵器を放棄しようと、経済制裁解除や国交正常化は行ってはいけない。未来永劫、圧力をかけ続けて国力を削ぐのが日本の安全を保つ唯一の方法。
・沖縄を琉球読みするのは同化政策を正当化するヘイト発言と揚げ足を取られるのを防ぐため。国連でも琉球人は日本人に非ず、先住民族であると決定しているので、うかつに日本人扱いして無用なトラブルを発生させるのは好ましくない」 

前段では北は信用できないからとことん圧力をかけ続けろと勇ましいことをいいながら、後段は「揚げ足をとられないため」となにが本当のこの人の認識なのかわからない書き方に逃げています。

ちなみに、蓮池薫氏も言っていますが、圧力路線はどこかで転換されねばなりません。

いかなる進捗があっても日本が圧力路線を変えないというなら、北はばかばかしくて外交交渉そのものを忌避することでしょう。

すると、拉致交渉そのものが成立しなくなります。これでは北のおもうツボです。

なんのことはない一見勇ましい圧力未来永劫論は、結局北にとって有利なのです。

圧力を選ぶか、融和を選ぶかは、一種のバルブのようなもので、その時々の状況次第です。そのていどの柔軟性を持たせないと「ヤクザ」国家とは交渉できません。

圧力路線が外交方針である以上、硬直して続けるものではないし、非核化交渉と拉致問題の進捗をにらみながら判断するものにすぎないのです。

それはさておき、この人はさらには末尾に、「迂闊に日本人扱いして無用なトラブルを発生させる」という頭が痛くなるようなことを平気で言ってのけています。

ゃあ、沖縄県民を日本人扱いしなければ、「無用のトラブル」がさけられるんですね。

私は沖縄県民が「じぶんたちは日本人ではない」といっても、間違ってはいると思いますが、頭から否定はしません。

しかし、本土人の側から「お前ら沖縄県民は日本人ではない。トラブルに巻き込まれたくない」などと言うことに対しては、強い怒りを覚えます。

冗談ではない。身勝手なことを言うなと思います。

この時期、すなわち、地域覇権国である中華帝国が南シナ海の軍事要塞化をほぼ完了し、東シナ海に触手を伸ばし沖縄をうかがおうという情勢下において、「沖縄県民は日本人ではない」と本土の側が言うことの意味です。

それは「沖縄県は日本ではない」ということに等しく、県民を中国に売り渡すことに等しいのです。

沖縄県民はまがうことなき同胞であり、日本人です。

さてこの人の唯一の根拠は、「国連が先住民と認めた」ということらしいですが、日本政府は直ちに抗議して拒否しています。

この人の認識は、なにか深い勘違いがあるようです。 

2016年5月3日に、この人も言及している「国連勧告」なるものについて書いた記事を再掲載しておきます。

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「国連人種差別撤廃委員会」とやらが、沖縄県民を「先住民族」だとした「最終見解」を出したことに対して、日本政府が抗議しました。

この14年の「勧告」については、欄外に琉球新聞の記事をスクラップしておきました。 

要点は以下です。

①彼らの権利の促進や保護に関し、沖縄の人々の代表と一層協議していくこと。
②琉球・沖縄の言語や歴史、文化についても、学校教育で教科書に盛り込むなどして保護するよう対策。
③2010年の「米軍基地集中」についての勧告が、今回は消えた。
④日本政府が沖縄の人々を「先住民族」と認識していないとの立場に「懸念」を表明。
⑤消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進・保護策が不十分。教
科書に琉球の歴史や文化の繁栄が不十分。

また、自由権規約委は同じく14年8月に、「先住民族の天然資源の権利保護」勧告までだしています。

これはまた、ずいぶんとキナ臭いことを平気でいうものです。

「コミュニティーの伝統的な土地や天然資源に対する権利を十分保障するためのさらなる措置をとるべきだ」などと日本政府に法改正まで求めている。」(産経4月28日)

尖閣を領有しようとしている中国は沖縄県との「共同開発」を提案していますから、この「先住民族の資源保護」の概念はそのためにあつらえたような概念です。

そういえば、かつて政権党だった当時の民主党県連の会長だった喜納昌吉氏が「中沖共同開発」を唱えたことがありましたっけね。

ナバホ族のような外国との資源の競合がありえない内陸の先住民と違って、隣国の係争関係がある尖閣を持つ沖縄に対してそれを言ったら、国家間紛争の種をまくようなことだと思わないのでしょうか。馬鹿じゃないか。

政府が内政干渉と抗議するのもむべなるかなです。

Photo(産経4月28日)

これについて反応を、沖タイが報じています。(4月28日)

※http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160428-00000002-okinawat-oki 

なんと県民ではなく、ヘイトスピーチ報道で名を上げた左翼ジャーナリストの安田浩一氏が登場したのには微苦笑しました。 

安田氏はこう述べています。

「ヘイトスピーチなどの問題を取材し、昨年9月には翁長雄志知事の国連演説も傍聴したジャーナリスト安田浩一さんも、沖縄の人々の人権が侵害されてきた歴史や、過重な基地負担をめぐって国と県が対立する現状を踏まえ「先住民と主張する意見はもっともだ」と理解を示す。
 今回の政府の姿勢を「本土の意見に逆らうな、国益に反するようなことはするなという極端な同化主義だ」と批判し「沖縄の人は、復帰以降も変わらない過重な基地負担の軽減を訴えているにすぎず、政府は沖縄側の気持ちを無視している」と指摘。
 さらに「政府は同じ日本人というのなら、沖縄の基地負担を本土も分かち合う方策を積極的に模索するべきではないのか。安全保障の名の下に不公平な立場に置かれ続けている沖縄の現状を、政府は理解していない」とした。」

毎度おなじみの「過重な基地負担」を:「沖縄差別」とする左翼陣営の定番的考え方ですね。 

彼らの基地問題を、安易に,「差別」という取り扱い注意の問題に転化してしまう分別のなさがたまりません。

「ナショナリズムは少量の毒のようなものだ」という箴言がありますが、少量なら甲子園を応援するノリですが、大量に摂取したら最後、死に至ります。

こんなことを言い出せば基地問題だけにとどまらなくなり、さまざまを解決不能な事態を惹起するのはわかりきっているでしょうに。

ちなみに、沖縄左翼が「差別」と言い始めたのは、本土の部落解放同盟との交流を通してです。

沖縄左翼は、解同の永久差別論、つまり差別者と被差別者の立場は、永久にかわらないという理論を密輸したのです。

基地問題は根気よく縮小していくしか方法がないにもかかわらず、それを本土の差別だということで、沖縄県民の怨念を煽ろうするものです。

結果、かえって収拾不能の混乱を生むことになります。まったく愚かなことです。

左翼は、紛争を起こすことが存在理由だからいいでしょうが、巻き込まれた一般県民はどうなるのでしょうか。

基地の縮小という、それ自体はまっとうな要求が、いつしか本土政府との民族対決に変質してしまいました。

そして、その結果うまれたのが、「差別」からの完全解放を唱える沖縄自決論・沖縄独立論だったというわけです。

かつての復帰闘争の折りに、毛沢東主義の某過激派が「沖縄民族解放」「琉球独立」を唱えて、「沖縄民族解放戦線」などをデッチあげた故事を思い出します。

よもや、こんな亡霊がよみがえるとは思いませんでした。

彼らにかかると、今回の普天間移転問題も、「「本土の意見に逆らうな、国益に反するようなことはするなという極端な同化主義だ」ということになります。

「先住民族」の定義について、簡単に押さえておきます。
※Greller, 1997

①非支配的地位
②エスニック・アイデンティティの共有
③先住性

沖縄県民が「先住民族」であるかどうかについては、今回は置きます。(そのうち余裕があればやります) 

それについては::国連人権委員会の我那覇真子氏の国連スピーチをごらん下さい。(欄外参照)

というのは、これをやりだすときりがないからです。結局は観念的な歴史認識の違いに突き当たって、立場の違いを確認するだけになります。 

今は、このような「国連先住民」勧告が、現時点で政府と沖縄の間でどのような新たな紛争を生み出すのかを考えたほうが意味があるでしょう。 

あ、そうそうその前に、ご承知だろうと思いますが、ここで出てくる「国連人種差別撤廃委員会」なるものは、別に「国連」そのものではありませんから誤解しないで下さいね。 

今は改組されて消滅しましたが、あの悪名高いクマラスワミ報告を出した国連人権委員会は正式な国連機関ですが、こちらの「人種差別撤廃委員会」はその補助機関、下請けにすぎません。 

人権委員会は、人権意識のかけらもない中国やアフリカの独裁国が理事になっているなど、大変に問題が多い組織でしたが、「人種差別委」のほうに至っては、それに輪をかけてNGO、つまりは各国の活動家たちがメンバーになって、勝手なことを言い合っているようなところです。 

さて、今回の「国連勧告」を興味シンシンで見ていた国があります。中国です。

中国は、沖縄を自国領土だと宣言しています。

中国がやったことは、沖縄県に馬英九のような親中派カイライ首長の翁長知事を作るのが第一歩でした。

青山繁春氏は、中国領事館が工作していると名指ししていますが、私には裏を取りようがありません。

しかし、「オール沖縄」の背後に中国の姿が見え隠れするのはよくあることなのであって不思議はありません。

「オール沖縄」がいままでの左翼系革新勢力と一線を隠して「進化」したのは、保守寝返り組を取り込んで、「沖縄ナショナリズム」を統一イデオロギーとして押し出したことです。

というのは、従来の対立軸は<沖縄県vs本土政府>でしたが、これだけでは弱いのです。

結局、問題が解決すれば元の<日本>という鞘に納まってしまいます。

それは当然です。なにせ、沖縄県民も本土人も同じ日本民族なのですから。 

彼らからすれば、納まってしまっては、その「先」にいきません。その「先」とは日米安保の廃棄と「独立」です。

元々水と油の野合勢力を接着する目的のために、<日本vs沖縄>という新たなエスニック紛争の構図を作ったのですが、この構図はいまや「国連勧告」の力を得て、一人歩きし目指すのは「その先」です。

ではその「先」とはなんでしょうか?

沖縄は米軍と自衛隊によって強固に防衛されています。外からこれを崩すのは容易ではありません。

崩そうと思うなら、城の内側から城門のカンヌキを引き抜く者が必要です。

その役を今回仰せつかった人物が、翁長氏でした。

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 そのために用意されたイデオロギーが、「沖縄は差別されているマイノリティだ」という「沖縄差別論」でした。 

「沖縄人」というエスニックと、「日本人」というエスニックの民族対立を、人工的に作り出したのです。

民族対立の図式に持ち込むために考案されたのが、虐げられた「沖縄先住民」と、差別し暴虐の限りを尽くす支配者「日本人」という二項対立の図式です。 

この図式によれば、日本人は、琉球王国という理想の平和国家を破壊し、皇民化教育で洗脳して戦争の捨て石にし、住民虐殺に狂奔したあげく、沖縄を捨てて、復帰後も沖縄にだけ米軍基地を押しつけている悪玉としてだけ描かれます。 
※琉球王国についてはこちらからの記事からどうぞ
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-2d1a.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-85e9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-bc55.html

これが「沖縄差別」イデオロギーです。 

その「先」は、プーチンが使ったクリミア方式が参考になるでしょう。

まずいきなりの中国への併合ではなく、いったん「一国二制度」というクッションを置きます。

手段は「民族自決」による県民投票です。しかしいきなり独立国にはなることはしません。

それをやると、「琉球共和国」ができたのはいいものの、財政的に持たないからです。

「高度な自治」をもった、「沖縄特別区」のようなものにします。おそらく外交・防衛を本土政府に預けるかどうかが焦点となるはずです。

糸数慶子議員は既に、「高度の自治権」を沖縄に与えるように主張しています。

今回の国連人種差別撤廃委員会の「最終勧告」は、まさに糸数女史の主張を100%トレースしたものでした。

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(写真 2014年、先住民族世界会議に参加した糸数慶子参院議員。札に書いてあるIndigenous peoplesとは、当該国の主要構成民族から みて「原住民」と呼ばれることの多かった者で、当該国に編入する以前から住んでいた者の ことを指す。)

この両者を預けてしまうと、「全基地撤去」ができなくなりますが、財政的には安定します。

仮にいきなり完全な分離・独立をしてしまえば、3割以下の自主財源しかない沖縄は財政的に一瞬で崩壊します。

その場合、左翼政権のギリシヤと同じコースが待っています。

公務員と公共事業の大幅削減、年金・福祉などの一時凍結・切り下げ、そして消費税の大幅増などの増税をしないことには、深刻な財政危機に見舞われるはずです。

実はユーロに加盟していたことで、国力以上の福祉・厚生を得ていたギリシャと、日本に属している沖縄はよく似た内部構造を持っています。

公務員天国、製造業の弱体、観光中心の産業構造、左翼が強い政治構造などです。

沖縄県はユーロの代わりに、基地を引き受ける見返りとして、本土からの累積10兆円の振興予算で、県の経済力以上の財源を得ていました。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-1599.html

ですから、皮肉なことに、この「沖縄特別区」も、基地は維持せねばならないことになります。

米軍基地を撤去するために始めたのにナンダということになりますので、独立勢力の中で分裂含みの争いになることでしょう。

しかし考えてみれば、その「沖縄特別区」の後に予定されている、「琉球共和国」に向かう場合もまた、基地問題は同じように蒸し返されるはずです。

米国と「琉米安保」でも結ぶ腹芸が彼らに可能ならば、「独立」の目がないわけではありません。

しかし、「独立勢力」の裏オーナーはなにせ中国の大人ですから、どうなりますか。

米国と基地温存を条件にする程度の外交力があれば別ですが、今の翁長氏たち「オール沖縄」の貧弱な政治能力をみていると、まったく無理な相談でしょう。

やると分裂し、分裂を食い止めるるほどの絶対的カリスマがいませんからね。

結局、至り着くところは、「一国二制度」の美名による香港型でしょう。

そして・・・、「琉球共和国」は、中国から送り込まれる大量の中国系移民によって、社会・経済と政治のことごとくを支配され、独自の首長を選出する権利すらも奪われて、中国全人代の決めた「総督」を戴くことになります。

そして数十年後には、「中華人民共和国琉球自治区」となって、嘉手納基地に五星紅旗が翻ることを、旧沖縄県民は見ることになります。

その時、中国政府が琉球民族の「先住民自決権」などを容認するかどうかは、チベットやウイグルをみれば、特に考えないでもわかりそうなものです。

「先住民族論」や「民族自決論」、あるいはそれから発生する「琉球独立論」こそ、自由を失うための最短距離なのです。

※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-1dbe.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-d7ca.html

                        ~~~~~~ 

■琉球新報2014年9月24日 

「国連の人種差別撤廃委員会は29日、日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表した。「彼らの権利の促進や保護に関し、沖縄の人々の代表と一層協議していくこと」も勧告し、民意の尊重を求めた。琉球・沖縄の言語や歴史、文化についても、学校教育で教科書に盛り込むなどして保護するよう対策を促した。 

委員会は日本政府に対し、勧告を受けての対応を報告するよう求めている。
 同委員会は2010年に、沖縄への米軍基地の集中について「現代的な形の人種差別だ」と認定し、差別を監視するために、沖縄の人々の代表者と幅広く協議を行うよう勧告していた。今回は米軍基地問題に言及しなかった。
 最終見解は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が琉球・沖縄について特有の民族性、歴史、文化、伝統を認めているにもかかわらず、日本政府が沖縄の人々を「先住民族」と認識していないとの立場に「懸念」を表明。「彼らの権利の保護に関して琉球の代表と協議するのに十分な方法が取られていない」ことに対しても懸念を表した。
 また、消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進や、保護策が十分に行われていないと指摘。教科書に琉球の歴史や文化が十分に反映されていないとして、対策を講じるよう要求した。

 最終見解は今月20、21日にスイス・ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所で開いた対日審査の結果を踏まえ、まとめられた。
 対日審査では沖縄の米軍基地問題に関して、委員から「地元に関わる問題は事前に地元の人たちと協議して同意を得ることが大変重要だ」「政策に地元住民を参加させるべきだ」といった指摘が相次いだが、最終見解では触れなかった。
 日本に対する審査は、日本が1995年に人種差別撤廃条約の締約国になって以来、2001年と10年に次ぎ、今回が3回目。」

国連人権理事会における我那覇真子氏スピーチ全文
スピーチは英語 和訳は本人による

http://hi-hyou.com/archives/3368
2015年9月26日
被差別少数琉球民族は存在しない
~デマゴーグとプロパガンダは21世紀の国際社会には通用しない~
 

昨日皆様は、沖縄は紛れもない日本の一部であるにも関わらず、「沖縄県民は日本政府及び米軍から抑圧される被差別少数民族である」とお聞きになられたと思います。
それは全くの見当違いです。
私は、沖縄生まれの沖縄育ちですが、日本の一部として私達は世界最高水準の人権と質の高い教育、福祉、医療、生活を享受しています。
人権問題全般もそうで すが、日本とその地域への安全保障に対する脅威である中国が、選挙で選ばれた公人やその支援者に「自分達は先住少数民族である」と述べさせ沖縄の独立運動 を煽動しているのです。
我々沖縄県民は先住少数民族ではありません。
どうかプロパガンダ(政治宣伝)を信じないでください。
石垣市議会議員の砥板芳行氏からのメッセージです。
「沖縄県の現知事は無責任にも日本とアジア太平洋地域の安全保障におけるアメリカ軍基地の役割を無視しています。翁長知事はこの状況を捻じ曲げて伝えています。中国が東シナ海と南シナ海でみせている深刻な挑戦行為を知事と国連の皆様が認識をすることが重要 です」

ありがとうございます。 

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ポンペオが北との交渉責任者とされた理由とは

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興味深い記事が「タイム」誌にありましたので、ご紹介しておきます。http://time.com/5320779/north-korea-united-states-timeline/ 

(仮訳)米国防総省高官は、北朝鮮に対して、シンガポールの歴史的首脳会議で署名された二国間協定を実施するための米国からの「具体的な尋問」のタイムラインが間もなく発表される、とロイター通信は報じている。
ロイター通信に対し、匿名を要求した当局者は、「誠意を持って行動するかどうかはすぐにわかる」と述べた。
具体的な尋問があり、北朝鮮に首脳で決めた協定の実施がどのようになるかというコンセプトを提示するための具体的なタイムラインがある」と述べた。
タイムラインの詳細は明らかにされていないが、当局者は、タイムラインが北朝鮮のコミットメントの水準を決定するのに十分だと示唆した」

PhotoAFP/Getty Images

お待たせしました。米国国務省高官によれば、シンガポール会談を受けて、北と米国との“specific asks”のタイムラインを、そろそろ発表するとのことです。 

“specific asks”とは「特定の質問」ですが、もっと強いニュアンスの「お聞きしたいことがある」ていどの意味があるようなので「尋問」としました。 

これでやっと、シンガポール会談の本当の内容が分かることになります。 

合意文書はわずか1ページ半の極めて短いもので、何の具体策もなかったために厳しい批判を受けました。 

私も一種の謎解きのようなつもりで、自分なりの解釈をしてみました。世評とは真逆だったために、「お花畑」とか「見たいように見る」とか散々でしたが(笑)。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-7896.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-a36b.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-2.html

やっと篠原英朗氏や藤原厳喜氏などがおおむね似た分析を出しくれたので、内心ホっとしております。 

しかし圧倒的少数派で、シンガポール会談・正恩大勝利説が横行しています。 

要は、会談内容に秘密が多すぎてわからないのです。 

肝心要の、果たして米国は北が本気で非核化をする気があるのか否かの見極めができたのかどうかが謎でした。 

そこがあいまいなまま米韓合同演習を凍結してしまったために、「安全の保証」を与えるのは早計ではないのかという危惧が生まれました。 

しかも日本のメディアが、「体制の保証」(guarantee of organization)と「安全の保証」 (security guarantees )を取り違えて報じたために、なんだもう北の「体制の保証」をしちゃったのか、という誤解まで生まれました。

今でも、この「誤訳」を前提にして論じている記事は多くあります。それにしてもひどい誤訳というか、はっきり言って印象操作です。

この合意文書で米国が「体制保証」、といったら、つまりは北の金王朝を丸ごと容認するということになります。

一方、「安全の保証」は、神保謙氏によればこのような意味です。

「一般的に「安全の保証」には①北朝鮮を攻撃する意図の否定(不可侵の意思表明)(eg.「第4回6カ国協議共同声明」など)、②北朝鮮を攻撃する能力の制限(米韓演習の規模縮小・中止・在韓米軍の態勢変更等)、③これら措置の制度化(朝鮮戦争終結、平和協定の締結、関係正常化)などが考えられてきた」
神保謙『米朝交渉の舞台裏-非対称な非核化と安全の保証の取引-』キャノングローバル研究所)
http://www.canon-igs.org/column/security/20180621_5108.html

まともに自分の頭で考えないリベラル派の中には、「米国はもう北の体制を保証するって言っちゃったのに、アベだけまだ圧力一辺倒か。雪解けの流れの蚊帳の外だ」なんて言っている人が出ましたっけね。

神保謙氏はこのような状態を「非対称な非核化と安全の保証の取引」と呼んでいます。

「おそらくこの時点で言えることは、北朝鮮が「戦略的転換」を果たしたとすれば、その転換を交渉を通じて十分に支援し、北朝鮮にとって有益で不可逆的なプロセスとして確立することが重要である。
しかし仮に北朝鮮が現段階でも核兵器を手放す意図がないのであれば、早期にその意図を交渉のなかで見極めて確定判断し、米国および関係国のより厳しい「最大限の圧力」へと回帰することが肝要であろう。
もっとも避けるべきは、曖昧な合意のもとで交渉を継続させ「事実上の核保有」を既成事実化することである
(前掲)

Photo_2http://www.bbc.com/japanese/44049754

さて米国側の主役は、トランプからポンペオに移りました。ボルトンも交渉役として指名されていますが、彼は補助的位置だと思われます。

というのは、ポンペオは既に2回も平壌を秘密訪問し、正恩と直接会談している唯一の米国側の人物だからです。 

だからこそ、トランプは名指しでポンペオを指名したのであって、彼が鍵を握っているのです。 

この2回の秘密会談の内容が知りたいものです。おそらくここでポンペオは正恩に直接かなり突っ込んだことを言っているはずだからです。 

2017年7月安全保障フォーラムにおいて、ポンペオ(当時CIA長官)はこう発言しています。 

「北朝鮮の核とキム委員長が分離されることを望む、北朝鮮の人々は彼が追放されるのを見たがっている」 

この発言は、北の核の指令ボタンから正恩を放すこと、すなわち「消去」するか、亡命させることを意味すると考えられています。 

正恩もこの発言を知っていて、ポンペオとの会談冒頭で、このことに触れたそうですが、その時の彼の答えがふるっています。 

「私はまだあなたを殺そうとおもっている」 (言うか、フツー)

そしてふたりして大笑いしたとのことですが、目は笑っていなかったでしょうな。 

この会談でポンペオが間違いなく切り出したと思われるカードは、金王家の秘密口座の件です。 

推定で4兆円とも5兆円とも言われる膨大な隠し財産は、すべて海外の金融機関に置いてあり、ことごとく米国は凍結してしまっています。 

ですから、正恩は将軍や高官たちに配るカネがない状態に追い込まれています。これは独裁者にとって死を意味します。

裏を取りようがない情報ですが、 シンガポールを訪問するに際して、正恩は社会保衛部(公安警察)に対して膨大な軍人名が記された監視リストを手渡したとされています。

市民以上に軍人に対しての密告が奨励されているといいます。

彼ら被監視軍人は、携帯を没収されて外部との連絡が不可能にされ、北の全部隊は、シンガポール滞在中に訓練はおろか、兵舎からの外出も禁じられたと伝えられます。

デイリーNK(6月24日)によれば、「軍の指揮官らは上級部隊の政治部の部屋に集められ、監視下に置かれたとのことだ。トイレやタバコを吸いに行くのも制限され、食事中の私語さえ禁じられる厳しさだったという」ことです。
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12240-046900/

これらの措置は、正恩にとって、前門のトランプと話し合うために後門の「国内の敵」に備えねばならなかったものと見られています。

この正恩の置かれた状況を熟知した上でポンペオは、正恩に対して斬首作戦と秘密口座凍結という二つの手段で、首を絞めていることになります。 

Photo_3ジーナ・ハスペルCIA長官

この正恩の秘密口座の鍵を今管理しているのは、ポンペオの腹心だったジーナ・ハスペルです。
 

この女性は、CIAのダーティな工作を一手に担ってきた人ですが、ググるとゾッとすることばかりやってきた御仁ですね。笑うとかえってコワイ(笑い)。 

ポンペオは独裁者をカネと斬首作戦で締め上げたところで、「トランプ大統領はキミにグッドニュースをしたがっていると思うよ。一回会ってみたら」とささやいたのかもしれません。

私は、もし米朝密約があるなら、シンガポール会談ではなく、このポンペオ訪朝時になされた秘密口座凍結解除に関わることだと思っています。 

シンガポール会談の後、北は正恩の訪中をのぞいて、奇妙な沈黙に入っています。

このような沈黙は遅滞行為とみなされているのは自明で、米国は北に対して冒頭記事のように「もう待てない。具体的な工程表をだすように」と言っているようです。

いずれにしても、数週間以内に米国が北の非核化のコミットメントについての「尋問」の内容がわかるはずです。楽しみにしていましょう。

■タイトルを入れ忘れていました(汗)。

 

 

 

 

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ヤクザ国家は簡単に滅びない

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とても今日は記事など書ける感じではないので、昨日入れたものを、大幅に加筆修正してこちらに再度アップしました。

私はハンパなサッカーファンなので、よもや先取点を取られてから、あのセネガルに2回追いつくとは思いませんでした。川島の凡ミスがなければ勝てた試合でした。

めから勝てるとは思っていなかったので、言葉に詰まるくらい嬉しいです。

もうこうなったら決勝リーグに行くぞ!

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                                            ~~~~~~

旧記事の「大阪北部地震  こんな状況でスリーパーセルは「解凍」しない」に下のようなコメントが来ましたので、こちらに移しました。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-5784.html#comment-141852372

「北は暴発しない、スリーパーセルは解凍しないとあるが、外国人の拉致や覚せい剤の密輸などを国策として行うようなキチガイ国家をなぜそこまで信頼出来るのだろう」

う~ん、私はまったく信頼などしていないんですけどね。スリーパーセルはこんな時に使い捨てにしないというだけのことです。

ですから、このような佐竹秋田県知事の対応は、早とちりも甚だしいと思っています。     

北朝鮮による弾道ミサイル発射に備えた政府対応が一貫性を欠いている。米朝間の緊張緩和ムードを受けてミサイル発射を想定した住民避難訓練を中止する一方、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の早期導入方針は堅持。配備候補地からは「ちぐはぐだ」(佐竹敬久秋田県知事)と批判の声が上がった」(時事6月24日)
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12145-047029/

佐竹知事にお聞きしたい。米朝は「緊張緩和」をしているですって?

ならば、現時点で何か顕著な米朝の歩み寄りがあったとおっしゃるのでしょうか。

残念ながら、「米朝緊張緩和」は実体のない、いまだ空疎な言葉にすぎません。

現時点であきらかなことは、米国がいくつかの合同演習を手控えたにもかかわらず、北はなにひとつシンガポール会談合意を履行していないということです。

非核化の高官級協議すら、一回たりとももたれていないために具体的進展は皆無です。

それを受けてか、米国も北への制裁を1年間継続することを議会に通知しました。

つまり、会談前となにひとつ変わらないのです。

このように「緊張緩和」の動きが北に見られない以上、いまだ現況は北の弾道ミサイル攻撃に備えねばならない時期です。

そしてこのような状況は、米朝非核化協議の間、継続し続けます。

仮に北の非核化がなったとしても、常にそこにある中国の核ミサイルの脅威に備えねばならないだけのことです。

イージス・アショアは、だから必要なのです。

さて、コメントに戻るとしましょう。

私は北は「キチガイ」ではなく、もっと悪質だと言っているのです。

このように北を発狂国家として見る向きもネット界にはあるようですが、認識が甘いと思います。

北を信頼して言っているのではなく、みくびっていないから、そう述べたのです。

北をただのクレージーなチンピラ国と考えていると見間違えます。

発狂国家には、50年3代かけて核兵器を作れません。

北は初代金日成の頃から、旧ソ連に原子力を学ばせに留学生を派遣するところから始めて、弾道ミサイルや核兵器の専門家を養成し、それに見合う施設を作ってきました。

その費用は国家予算を食いつぶさんばかりで、農業や製造業の発展は捨ておかれ、国民は家に1灯で、飢餓線上においやられていました。

また、「先軍政治」を標榜しながら、人民軍すら通常兵器の更新や兵員の待遇は置き去りになってきました。

空海軍はなきに等しく、自慢の陸軍は陳腐化以前の鉄くずにすぎず、国境警備の兵士すら栄養状態は極めて劣悪だったことが逃亡兵によってわかっています。

こんな極端な核の一点豪華主義政策を推進し続けるため、核兵器開発の原資を得る目的で、ありとあらゆるダーティなことに手を染めてきました。

麻薬・覚醒剤密売、偽札偽造、偽たばこ偽造、アングラマネーのロンダリングから、武器、弾道ミサイル、化学兵器の密輸にまで及び、今や世界のブラック業界のハブのひとつにまで成長しています。

その意味で、北は「キチガイ」というより、むしろ「ギャング」ないしは「ヤクザ」に近い性格を持っています。

利にえげつなく、損得計算ができるヤクザ国家です。

ですから、時折り、「日本列島を沈めてやる」とか「米国を火の海に」などと発狂したようなことを言うのは、ヤクザの職業的脅迫にすぎません。

こんな国はいたずらに自滅を選びません。

ちょうどヤクザがピストルを発砲したりドスをふりまわすのは、威嚇と内部抗争だけのことだけのことで、警察署を襲ったらシャレにならないのと同じです。

ヤクザは暴力のプロなので、無駄に暴力をふるわないのです。

スリーパーセルも一緒です。これは北にとって一種の「保険の」ようなもので、対日戦争を覚悟した段階における後方攪乱として使われます。

スリーパーセルの目的は、敵策源地の後方攪乱と、そのことによって敵の軍隊や治安部隊を拘束することです。

スリーパーセルの予想される攻撃対象は、生活インフラ、エネルギー・インフラ、そして軍事施設ですが、ここには当然米軍基地も含まれます。

おそらく横須賀、岩国などが標的となるでしょう。

つまり対日戦争とは、イコール在日米軍との戦いを想定せねばならないということです。

米軍と直接対決する軍事能力は北にありません。だからこそ、核兵器を作ったのです。

ならば、北が米国と軍事的に事を構えるのは、唯一追い詰められた時のみです。

スリーパーセルはその時の保険である以上、めったやたらに解凍して消耗することはありえないのです。

ただし日本警察は、残念ながらこのようなゲリラ・コマンド(通称ゲリコマ)に対処する能力をほとんど持ち合わせていません。

広島県の刑務所からの逃亡者相手にあれだけ手を焼いているような日本警察では、訓練されたゲリコマに対してほぼ無力と言ってよいと思います。

これについては別稿とします。

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北の非核化プロセスとは

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本日は沖縄慰霊の日です。遠方より黙祷を捧げます。 

さて、いやな兆候がでています。北が予想はされていたのですが、引き延ばし戦術にでています。 

「マティス米国防長官は20日、北朝鮮が非核化に向け具体的な行動を取ったかについて『私の知る限りない』と述べ、核放棄の行程など詳細に関する米朝交渉も始まっていないとの認識を示した。ドイツのフォンデアライエン国防相との会談冒頭、記者団の質問に答えた」(産経6月21日)
https://www.sankei.com/world/news/180621/wor1806210009-n1.html

 米国は、既に北に対して米韓合同演習の中止というリトマス試験紙を渡していますから、このような事前協議すら始まらないという状況が続けば、演習の復活ていどの対抗措置だけでは済まないはずです。 

米国政府は制裁の継続を議会に通告しました。

「トランプ米大統領は22日、北朝鮮に対する米国独自の制裁を継続する方針を議会に通告した。米大統領は制裁を継続するかどうかを1年ごとに判断することになっている。北朝鮮の核・ミサイル計画などが「米国の国家安全保障にとって特別な脅威」に当たるとの見解を維持した。
 トランプ氏は、シンガポールで行われた12日の米朝首脳会談で金正義恩朝鮮労働党委員長が「完全な非核化」を再確認した後も、北朝鮮が非核化するまでは制裁を緩和しない方針を示している」(時事6月23日)

これはほんのジャブですが、今後、北がつけ込む余地があるとすれば、米国内に存在する非核化と制裁解除のテンポについての認識のズレです。 

Photo_2ジークフリート・ヘッカー米スタンフォード大学教授 

ヘッカー米スタンフォード大学教授は、完全非核化まで10年以上かかるとみています。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-9386.html 

かつてのリビアモデルと違って、北はGDPの大半を注ぎこんだ膨大な核施設と核物質、弾道ミサイル群を保有しています。 

これを一気に国外に搬出することは不可能です。

「ヘッカー教授チームは同報告書で、米国政府が迅速かつ完全な非核化方式として北朝鮮に求める「リビアモデル」を北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が受け入れるのはあり得ないことだと指摘した。彼は「リビアは核兵器の近くにも行けなかったが、北朝鮮は脅威的な核兵器と巨大な核施設を持っている」とし、「(リビアのように)北朝鮮の核兵器を国外に搬出するという提案はナイーブで危険だ」と指摘した」
(ハンギョレ2018年5月30日)

http://japan.hani.co.kr/arti/international/30721.html 

米国はこの間なんどとなく、「非核化に向けた長い道のりの始まり」という表現を使ってきました。 

非核化の代わりに「平和への道のり」という場合もありますが、意味は一緒で、非核化には多くのステップが必要だという認識は共有されているようです。

「非核化」という漠然とした概念は米国内で共有されているものの、ではどうするのかというプロセスはかならずしも共有されているとは言いがたいのです。

俗にいう、NSC派と国務省派の温度差です。

ひとつの非核化ロードマップに、ヘッカー教授の3段階非核化ロードマップがあります。 

第1段階:・1年で軍事的・人的活動を中止 
第2段階・:4年で核団地・武器・施設の削減 
第3段階・:5年で核兵器の除去・NPT加盟 
 

これがヘッカー非核化10年説です。 

ヘッカーが第2段階で提唱している「武器・施設の削減」は、いわゆる核軍縮協議を意味します。 

これは絶対に避けるべきことで、米露が1991年から2000年代始めに渡って2回に渡ってやったような戦略兵器削減交渉(START1・2)は、協議自体に極めて時間を要する上に、相互に核軍縮をするということになります。 

米国が北の自称戦略核兵器ごときとバーターで、核軍縮に臨むことはありえない以上、このプロセスは不毛な時間の浪費以外なにものでもありません。 

かくしてヘッカーによると10年という長期スパンの最終段階にならなければ、核兵器は除去できないわけで、これでは北の核の脅威を除去したとはいいきれなくなります。 

そしてこの間、北に対して制裁解除を段階的に実施すれば、次の段階に入る前にまた意図的遅延行為をして代償を要求し、困り果てた米側がハードルを下げてしまうということの繰り返しになりかねません。 

その時には、ホワイトハウスにはトランプもボルトンもいないはずで、またもやオバマのようなタイプの戦略的忍耐主義者が座っている可能性があります。 

すると北の非核化作業は竜頭蛇尾となってしまい、グズグズと10年を超えても核兵器はいっかな解体されていていないという状況もあながちないとは言い切れません。 

こうならないためには、ヘッカー教授が10年先にしてしまった第3段階の「核兵器の除去」を、最初の第1段階に持って来ねばなりません。 

これはヘッカーがいうように非現実的ではなく、その技術を持った専門家は米英露に多数います。

まず最初のステップは、北に隠し立てなく核の保管状況を申告させることが第1段階です。

第2ステップは、それに基づいての国際機関の北国内の査察です。日本は非核化に資金提供すると言った以上、国際機関に拠出する形になるでしょう。

第3ステップはこの専門家たちが、北の核の中核的部分(つまり核爆弾と弾道ミサイルですが)をなんらかの方法で国外に搬出することです。

ここまでは北の対応次第ですが、1年から2年ていどで終了できるはずです。

あとの核製造施設、核物質、核基地、に関しては、続く第4、第5のステップに委ねてもいいでしょう。

とまれ、最も危険なものからまっさきに除去していくのが大原則ではないでしょうか。

サッカーじゃありませんが、遅滞行為はイエロー、次からはレッドカードでのぞまないとダメです。 

 

 

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蓮池薫氏インタビュー

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朝日新聞が、蓮池薫氏の良質なインタビューを掲載していたので紹介します。
「米朝会談前に蓮池薫さん語る 拉致解決の鍵は2つの備え」
https://www.asahi.com/articles/ASL5R52Z4L5RUPQJ005.html 

朝日の常日頃の拉致問題の論調とは正反対の意見だと思われますが、このような異論であったとしても考えさせる素材そのものを提供する姿勢には好感が持てます。

メディアの仕事は、読者に情報を提供することであって、自社のプリズムを通した一定の論調に誘導することではないからです。

昨今まるで反アベ原理教のようになってしまった朝日にも、ジャーナリズムの良心がわずかながらも残っていたことを嬉しく思います。 

おっと、結局、朝日の悪口になりそうですので(苦笑)、蓮池氏の傾聴すべき北の分析に移りましょう。 

●対話局面に入ったか? 

「こんなに急に局面が変わるとは思っていませんでしたが、核開発と経済改革を同時に進めるとする北朝鮮の『並進路線』の行き詰まりは感じていました。
発射実験を繰り返し、米大陸まで届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)がほぼ完成した。これまでの米国なら、すぐ話し合いに応じたかもしれません。しかしトランプ米大統領は昨年、『北朝鮮を完全に破壊する』と強い言葉で非難して制裁を強化し、ミサイル防衛に巨額の予算をつけた。北朝鮮は『核兵器が完成しても体制の安全は確保できず、経済の立て直しも難しい』と見越して、並進路線を見直して対話路線へ急速に切り替えたのでしょう」 

Photohttps://dot.asahi.com/aera/2017101800067.html

と原文はここまでで、後は朝日が姑息にも有料会員記事に指定してしまったために、八幡和郎氏の要約を引用させていただくことにしました。ありがとうございます。
http://agora-web.jp/archives/2033116.html

なお、八幡氏の要約には多少編集の手をいれてあります。

①北朝鮮は、下手な言葉で挑発するやり方はトランプ政権には通用しないと思い直したかもしれない。

②従来の米国と違ってトランプ米大統領は「北朝鮮を完全に破壊する」と非難し、制裁強化などをした。北は核兵器が完成しても体制の安全は確保も経済の立て直しも困難と判断した。 

③日本が圧力重視の立場であることは、今はそれでいい。非核化であいまいな合意をしたら、交渉全体が挫折してしまう。核問題でしっかり米朝が合意した後で、日朝交渉に進めばいい。 

④日本は「拉致問題が解決するまでは支援に参加できない」という原則を強調すべきだ。拉致問題の解決は、すべての拉致被害者を救い出すこと。

⑤金正恩が、国内を説得できる形が必要だ。 

⑥どこかのタイミングで日本も態度を転換する必要が出てくる。米朝が何らかの合意をしたら、日本も歓迎し、その後のプロセスに関与していくことだ。

⑦北朝鮮の悩みは電力不足。効率のいい石炭火力や送電網の整備を日本が提供するのはありうる。

⑧金正恩は父・金正日の時代よりも自由市場をうまく利用している。

⑨戦端が開かれれば、「敵か味方か」の論理に社会が極度に支配された状態で、北朝鮮政府が日本の拉致被害者を生かしておこうと思い続けるのか危惧する。 

⑩安倍首相は、家族会の一人ひとりに会って話を聞いており、中途半端な解決でお茶を濁すことはできない。これまでの経緯もよくご存じで、北朝鮮が何を望んでいるのか、ダメだった点はなぜダメだったのか、十分に分かっている。北朝鮮も安倍さんについては『だませない』との思いがある。

付け加える余地がないほど見事な分析ですので、今日は私の蛇足は付け加えないことにいたします。

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正恩をとうとう交渉対象に据えることが出来た

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シンガポール会談において、正恩が「勝利」したという見解は、佃煮にするほど巷に溢れています。 

ひとつ見てみましょう。ざっとこんな感じです。 

「北朝鮮の「完全で検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)の具体的な道筋はおろか、米朝対話が続いている間は米韓軍事演習を一方的に中止するとまで約束してしまった。
これが不動産物件のディール(取引)だったら売り手、つまり金正恩委員長に完全に値切られて、大損したようなものだ」
(濱中賛「米朝首脳会談は100点満点、ほくそ笑む金正恩 」)

 濱中氏は在米のジャーナリストですが、米国のメディアはトランプ嫌いのCNN、NYタイムスからウォールストリートジャナルまで、濱中氏と似たようなトーンのようです。 

濱中氏は正恩が「100%勝った」と言いますが、はて、そうでしょうか? 

正恩は平壌に戻って落ち着いて考えてみると、案外やられたと思っているかもしれませんよ。 

だから今頃焦って、また習の胸元に飛びこんだりしてね。

ま、いずれにせよ、私は勝とうが負けようが、今の段階ではあまり意味がないと考えていますから、勝ち負けにはこだわりません。 

もしトランプがビジネスマン大統領だというならば、あれは言ってみれば取引開始に当たっての「完全非核化」という確約書を取り交わしたということが重要です。 

板門店宣言でも似たことを舎弟のムン・ジェインと取り交わしていますが、米国という世界最大の軍事力をもった国と取り交わすとなると、その重みがまったく違います。 

結局のところ、今後ポンペオとボルトンが、北のいいようにされて騙されるか、どうか交渉結果をみねばわからないのです。 

そして、この御両人はそんな甘いタマには見えません。その結果は数カ月後に分かることですから、その時に勝敗の判定を改めてしたらいかがでしょうか。 

つまりは、今の日本にとって大事なことは、勝った負けたと評定することではなく、このトランプが作り出した「状況」をどう国益とつなげるかということです。 

第1にこの状況とは、拉致問題と非核化を一体のものとして解決する絶好の機会が訪れたということがひとつ。 

そして第2に、その交渉相手に独裁国家のボスを引っ張りだすことが可能となった、というのが二点めです。 

一点目については、既述したので省きますが、問題は2点目の正恩を拉致問題の交渉対象に据えることがとうとう出来たということの重要性です。 

小泉訪朝以降16年間、それができないできました。

北という国は、すべてを決するのは正恩ただひとりです。米国首脳部を罵倒していた外務次官の発言など、翌日には正恩のツルの一声でチャブ台返しをくらったことを思い出してください。 

政府の上に党がそびえ立っていて、そのエグゼクティブ・スィートのただひとりの住人が正恩なのです。 

こんな国において末端の官僚と交渉することは、無意味とは言いませんが限定的です。

かつての小泉訪朝が出来たのは、北の金正日の側近と思われる「ミスターX」と、外務省アジア大洋州局長・田中均との間で合意が成立したからです。

後に判明しますが、 「ミスターX」とはキム・チョル北朝鮮・国家安全保衛部副部長でした。

平壌宣言はこの両者で密かに作られ地域局、外務省条約局すら通さなかったために、後に禍根を残すことになります。 

そのために生じたのが、平壌宣言のあいまいな表現の羅列です。 

「その果てに「拉致」はどこにも記されず、核・ミサイルの廃棄も謳われていない。その一方で「人道主義に基づく経済支援」は明記されたのだった。宣言には支援の具体的な金額こそ記されていなかったが、当時の交渉関係者は揃って支援は少なくとも「1兆円」を前提に折衝が進められていたという。
そのまま事態が推移していれば、2003年初めには日本と北朝鮮は国交を樹立し、戦後補償も含めて1兆円という巨額の資金が北朝鮮に流れ込んでいたはずだ。
宣言は「人道主義」を麗々しく謳っているが、核・ミサイルへの歯止めを欠く以上、日本の納税者の1兆円は、核・ミサイル開発に流用されたことは明らかだろう」
(手嶋龍一「日本は北の打ち出の小槌に、原罪は平壌宣言にあり」6月16日)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180616-00053334-jbpressz-int&p=1

 平壌宣言の拉致問題に関わる部分は以下です。

「3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html

 拉致という表現は使わず、「日本国民の生命と安全に関わる懸案問題」とボカしてしまっています。 

この平壌宣言は既に日朝会談以前の段階で、この二名によって完成されていたことを考えると、北には拉致被害者を解放する意志などはなかったことがわかります。

田中局長も、日朝国交回復しか念頭になく、拉致問題などは大事の前の小事でしかなかったと思われます。 

田中局長はこう平然と豪語するような外務官僚でした。

Photo_2田中均氏

北朝鮮が日朝正常化交渉で失敗したのは、政治家に頼んだからである。日本では官僚が力を持っている。私のような力のある官僚に頼まないと日朝正常化の問題は解決しない。小泉首相も私が動かしている」(重村智計『外交敗北』)

田中局長は小泉首相には、北が政府認定拉致被害者11人全員の情報を出したと報告しながら、実は面従腹背を決め込んでいました。

んとうは田中氏がメディアにリークしたように「せいぜい数名」に過ぎませんでしたが、報告を真に受けた首相は訪朝を公表します。

ウソをついてでも平壌に小泉首相を連れていけば、日朝国交ができると踏んだのです。

ではなぜ、たとえ5名であろうと帰ってきたのかといえば、直接に正日との直接会談で、日本側が強くそのことを要求し、呑ませたからです。

Photo小泉訪朝。小泉氏の後ろに当時副官房長官だった安倍氏が見える。若いね。

この日朝国交回復のためには拉致問題を犠牲にしてかまわない、いやすべきだとする姿勢は親北の野党はいうに及ばず、自民党内部にも強固に存在していました。

かくいう小泉氏も拉致問題にはほとんど関心なく、念頭には日朝国交回復しかなかったと言われています。

この流れをくい止めたのは、重村氏の前掲書によれば、拉致問題に初期から関わってきた当時の安倍官房副長官と中山恭子参与だったと言われています。

その時の事情は、このようだったと伝えられています。

「02年9月の日朝首脳会談では午前中、北朝鮮から謝罪なしで「拉致被害者8人死亡、5人生存」というメッセージが伝えられた。
日本側は昼食を断り、休憩時に日本側の部屋が盗聴されていることを知りながら、小泉純一郎首相に同行した当時の安倍晋三官房副長官が、意図的に声を出し、「北朝鮮が拉致を認め謝罪しなければ会談を蹴って帰国しよう」と言ったら、午後の会議で拉致を急に認め謝罪したという経緯もある」
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180621/soc1806210004-n1.html

田中氏に言った中山氏の言葉が残されています。

「局長、あなたがやっているのは外交ではない。北朝鮮へのお願いだ。外交官なら、お願いをやめて外交をやりなさい」(前掲書)

そしてこの拉致被害者の帰国の裏には、実は「一時帰国」にすぎず、田中-キムとの間には「2週間の一時滞在」という密約すら交わされていたのです。

田中氏は小泉氏に対して強く、「日朝間の信頼関係が崩れてしまう。日朝協議ができなくなる」として、すぐに北に返すように迫りました。

野党もその後押しをしました。 

野党だけではなく、自民党の加藤紘一元幹事長すら、「拉致被害者5人を北朝鮮に返すべきだった」と言っていたありさまでした。

それを阻止したのもまた、安倍・中山両氏だったのです。

このふたりの頑強な抵抗を見て、世論もまた「誘拐犯に人質を返すなんて馬鹿なことが許されるのか」という声が大勢を占めるようになります。

ちなみに、それまでメディアは拉致被害者を「行方不明者」と表記し、「朝鮮民主主義人民共和国・北朝鮮」と長々と呼んでいたのが、この時期を境に「拉致被害者」、「北朝鮮」へと変化していきます。

このように拉致被害者の奪還は、官僚による「水面下での交渉」にのみ任せておくことは出来ず、唯一の意志決定権者たる正恩と、日本のトップとの直接交渉なくしてはできないということです。

この正恩を会談に引きずり出すことに成功したこの状況を最大限使わないでどうしますか。

 

 

 

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北の思惑を代弁する人たち

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ワールドカップ初戦に勝ちました。大きい一勝です。正直言って、勝てるとは思っていなかったので嬉しい驚きでした。 

もらわなくていい1点でしたが、いいとしましょう。コロンビアのハンドももらわなくていい1点でしたので、おあいこです。もらった長谷部と川島はしっかりと監督から絞られて下さい。
※追記、もう一回録画をみたところ、長谷部は無罪でした。あれはレフリーの ミスジャッジです。川島については見解は変わりません。下手くそめ。

原口は名前どおり元気に走り回りました。柴崎の負傷は心配です。 

本田は本調子にはみえませんから、途中出場という監督の判断は正しかったと思います。 

うであっても本田のコーナーからの一本は精確な弾道を描きました。 

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またそれを見事に合わせて、群がる敵と競り合ってヘッドで叩き込んだ大迫に拍手です。鹿島にいた時から、いっそうたくましくなったようです。 

西野さんになって、チームの雰囲気がよくなったような気がします。このグループは全部格上ですので、苦闘が続きますが、がんばって下さい。 

                                                 ~~~~~~~~ 

さて、頭を切り換えて拉致問題について続けます。 

平壌放送は「日本だけが「無謀な対朝鮮(北朝鮮)強硬政策にしつこくしがみついている」と例の調子で例のごとく言っています。 

北によれば、「国際社会が一致して歓迎している朝鮮半島の平和の気流を必死に阻もうとする稚拙かつ愚かな醜態だ」そうです。 

おっと、どこかで聞いた台詞です。 

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現職外相の父親である河野洋平元外相は、こんなことを言っていましたね。 

「河野洋平元衆院議長は13日、都内で講演し、北朝鮮による日本人拉致問題について「植民地問題の処理もできていない国に、ただ(拉致被害者を)帰せ、帰せと言っても問題は解決しない。国と国の関係を正して、帰してもらうという手順を踏まざるを得ない」と述べ、拉致問題の解決の前に北朝鮮との国交正常化を優先すべきだとの考えを示した。 河野氏は明治43(1910)年の韓国併合以降の歴史を振り返り「今日の南北分断の遠因には日本の植民地政策があった」と述べた」(産経6月14日)
https://www.sankei.com/politics/news/180614/plt1806140010-n1.html

 この河野氏(父)の考え方でいくと、「北と正式の外交関係を結ばないと、拉致問題解決は話し合いのテーブルにすらつけない」ということになります。 

北が言う「正式の外交関係」とは、まず平壌宣言を履行して経済援助を前提とした国交関係を結ぶことです。 

これは実は、トランプがシンガポール会談で言ったとされる、この正恩へのオファーに対応したものです。トランプはこう言っています。 

「米国としては、完全な非核化が実現されれば経済制裁は解除するつもりだ。だが、本格的な経済支援を受けたいと考えるなら、日本と協議するしかないだろう」 

つまり、米国が非核化の代償としてあげられるのは経済制裁の解除だけで、本格的援助は日本からもらいなさい、ということです。 

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その法的根拠となるのが、16年も前の2002年9月17日に締結された平壌宣言です。 

整理するとこのようになります。

①北朝鮮工作員による拉致被害者問題の解決
②日本側は、植民地支配に対し、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明
③北朝側は、核問題に関し「関連するすべての国際的合意の遵守」を確認し、ミサイル発射の自制
④互いの安全を脅かす行動を取らない事を確認
⑤過去の清算は互いに請求権を放棄
⑥国交正常化後、日本側より、無償資金を始めとする幅広い経済協力を実施

平壌宣言の拉致問題に関わる部分は以下です。

「3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html

しかしこの平壌宣言は直後から裏切られます。

わずか1カ月後の10月にはすでに高濃縮ウラン(HEU)生産計画が露呈し、米国からそれを指摘されると逆切れして、同年12月にはIAEAの査察官を国外へ追放しています。 

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この時から、北は公然と核物質製造施設である寧辺(ニョンビョン)を再稼働しています。 

そして翌年の2003年1月には、核実験を強行するために核不拡散条約(NPT)からの脱退を表明し、今に至る核武装化の道をひた走ることになります。 

これに対応して日本は北の核を阻止すべく経済制裁を単独で続けてきましたが、結果はご承知のとおりで、米国に長距離核が向けられるまで、事態は一歩も進展しませんでした。 

ではもう一方の拉致問題はどうだったでしょうか。もっと悲惨です。まったく進展なしでした。 

これをもって平壌宣言の失効を宣言してもよかったのかもしれませんが、日本政府はそれを選択しませんでした。 

それはこの平壌宣言が、拉致被害者の解放の外交ツールとしていまだに有効だからです。 

それは今回、シンガポール会談でトランプが、「日本はそうはいっても、拉致問題がある限り金は出さんよ」と釘を押したことでも分かります。 

つまり日本は、拉致被害者の解放なき平壌宣言の一方的履行はありえないといういうのが原則的立場なのです。 

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シンガポール会談において正恩はなにも発言しませんでしたが、否定したりはしませんでした。これをどう読むかです。

もし正恩が、今回の放送のように、「解決は、今回の北の放送のように、「日本は既に解決された『拉致問題』を引き続き持ち出し、自分らの利益を得ようと画策している」などとを言い出したら、その場でシンガポール会談はデッドロックに乗り上げた可能性があります。 

私は、正恩はトランプの「拉致問題を解決して経済支援を受けろ」というオファーについて、結論は出していないが、検討する価値が充分にあると考えていると思います。

北が拉致被害者を対日外交のカードとして考えて温存していることは自明です。

ならば正恩に、そのカードを切るなら今しかないと背中を押してやるべきです。

もし、この会談で正恩が「いや拉致問題は解決済みだ」と繰り返したのなら、日本は正恩に会う意味はありませんし、経済支援はおろか制裁解除すら不可能となります。

今後、米国が非核化に応じて経済制裁を緩めたとしても、わが国は単独で制裁を続行するしか道はありません。

その場合、仮に非核化措置が進んで国連制裁が解除されたとしても、わが国のみは我が道を行くことになりますが、それは今は考えないことにしましょう。 

つまり、非核化と拉致はワンセットだというのが、日本の大原則であって、譲れない一線なのです。

河野(父)氏はこれを別個の問題として分断した上で、ともかく経済援助を急げと言っているわけです。誰が喜ぶのか、かんがえないでもわかります。

この人物と違って、日本の立場を米国大統領はよく理解しているからこそ、仲介の労をとったのであり、今後も非核化交渉の米側責任者となるボルトンとポンペイオにもその旨を指示していると考えられます。 

正恩としては、拉致問題は後回しにしてグズグズに引き延ばし、日本の妥協をとりつけて平壌宣言の履行の名の下に国交回復に持ち込み、そして数兆と言われる経済支援をとりつける、というあたりが本音のはずです。

正恩としては本心はそうしたい、しかしトランプの釘が効いているのでできない、これが正恩のジレンマです。

この分裂した独裁者の心情を優しく抱き抱えてやっているのが、河野氏のような薄ら甘いリベラル人士たちです。

これらの人たちは、正恩の本来の思惑をそっくりそのまま代弁し、それが話あいに基づく「外交」だと思っているから始末に終えません。

こんなどちらの味方なのかわからないような人物が、総理にならなかったのは、天の配剤でした。

洋平さん、息子がいい仕事をしているのに足を引っ張るのは止めなさい。見苦しい。

あなたはとっくに終わっているのだから、村山氏や小泉氏などと火鉢を囲んで渋茶すすっていればいいのです。

次回もこのテーマを続けます。

 

 

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大阪北部地震 こんな状況でスリーパーセルは「解凍」しない

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地震の被害にあわれた大阪の皆さまにお見舞い申し上げます。今回亡くなられました4名の方々のご冥福をお祈り申し上げます。 

もう少し情報が集まって整理できる状況になりましたら、あらためて記事にしたいと考えています。 

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ただ私は東日本大震災と福島第1事故を同時に経験した者としてひとことだけ言っておきます。 

震災直後は、今回の北大阪の地震がそうであるように、大規模な停電が生じます。それは4日、5日、ときには1週間以上も続く場合があります。 

その間、市民は情報インフラから遮断され、乾電池式のラジオや、スマホなどからの情報にだけ頼ることになります。 

ですから、絶対に無責任なデマ、風聞を流さないでください。そのことによって、2次災害を招きます。 

東日本・福島第1の場合は放射能デマでしたが、これは長きに渡って私たち被災地住民を苦しめ、復興を遅らせました。 

今回、心ない者によってこのようなデマが流されています。 

「大阪の地震のどさくさに紛れてスリーパーセルや不逞鮮人が活動を起こす可能性がある真の日本人は●●先生がおっしゃっていたスリーパーセルに警戒を」
https://twitter.com/DlK1CsI2FeHWi8X 

「新幹線の次は地震。スリーパーセルの仕業だな」
https://twitter.com/dadesigna 

馬鹿か!根拠もなしに憶測と妄想だけで、この非常事態においてデマを飛ばすな! 

第一なんですか、「不逞鮮人」(いつの時代だ!)という言葉遣いは。吐き気がします。明らかな民族差別表現です。 

前回の阪神淡路大震災の時も、「地下室に武器が大量に見つかっていた。北のアジトだ」なんてデマがまことしやかに流れました。あれはモデルガン屋です。

こんな馬鹿なことを言い続けいると、ツイッター社から削除されるのはもちろんのこと、行政からヘイト規制法で取り締まられても致し方がありません。

そしてやがてこのような差別発言は、ヘイト規制法を強化する材料に使われます。 

まったくこういう馬鹿が、「保守」や「愛国」を自称するから迷惑します。 

なるほど高い確率でスリーパーセルは国内に存在しますが、こんな程度の状況で「冬眠明け」をしません。
関連記事「スリーパー・セルはそこにいる」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-bc8f.html 

スリーパーセルが「解凍」するのは、北が日本との直接戦闘を不可避だと決意した時です。 

それも勝手に北が発火することはありえません。北は凶暴な独裁国家ですか、狂人国家ではありません。一定の条件が揃った場合のみです。 

一般的にとお断りしておきますが、北が先制攻撃を仕掛けて来る可能性は低いと思われます。 

理由は北が平和愛好国だからというわけではなく、単に弱いからです。 

軍事的に米国と北はサッカーでいえば、ブラジルと日本の差以上があります。 

こんな力関係で先制攻撃を仕掛ければ、120%北は壊滅します。 

北が攻撃を仕掛けて来るのは、粗暴犯が袋小路に追い詰められて刃物を振り回すような状況です。 

北の主要都市や軍事施設が壊滅的打撃を受け、ピョンヤンが燃えているという状況となった場合、北は米軍の策源地となっている日本列島に軍事攻撃をしかけてくるかもしれません。 

その判断がどこからどのよう下命されるのか私には分かりませんが、このような状況においてスリーパーセルが起動することはありえます。 

つまり、北にとってスリーパーセルとは、核兵器と同様に最後の最後に振り回すダンビラなのです。 

したがって、今まさに非核化をめぐる交渉の攻防が始まろうとする時に、スリーパーセルを起動させてしまえば、交渉は確実に吹き飛びます。 

それにとどまらず、北の犯行だとわかれば、北は軍事制裁の対象となり、国家は破綻します。 

いままで、北は北なりに戦争回避の努力をしてきました。それはそれなりに認めてやらねばなりません。 

時には憎い中国に泣きつき、時には小馬鹿にしていた韓国と手をつなぎさえして、やっとのことで辿りついた米国との首脳会談実現を「成功裏」に終わらせた余韻が残っている現時点で、スリーパーセルを使うはずはありません。

今の時点で必要なことは、正確な情報です。変にイデオロギーを混入させないで下さい。

ところで、昨夜の報ステは「国会で参議院予算委員会をやっている。こんなことやっている場合か。東日本大震災の時は国会をストップさせて対応にあたった。政府は国民にもっと寄り添え」などと言っていました。

あんたねぇ、野党が国会をやれというならば、政府は拒否できないのですよ。

災害対応を最優先せねばならない日の午後までモリカケ。危機管理にあたる長たる首相と閣僚を完全禁足してまでモリカケ。

こんな日の午後まで首相と閣僚をモリカケ漬けにするのか・・・、もはや脱力。

モリカケ真理教でもつくるんですな。

 

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拉致被害者は生きている

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初めはコメント欄で書きましたが、きちん論じるべきと思いなおして本記事に移しました。 

まず議論の大前提から押えておきます。 

拉致被害者はほぼ全員が生きています。これは楽観的見通しではなく、拉致被害者が北にとって重要な交渉カードだからです。 

おそらく北は、日朝交渉において拉致問題を交渉アドバンテージに使う気でいます。 あるいはカネを出させる切り札にする可能性が高いと思います。

したがって、北があえて殺害する理由がないし、すでに拉致を認めていてしまっている以上、いまさら隠滅する理由がないからです。 

拉致被害者であった蓮池薫氏はこう語っています。耳を傾けましょう。

2https://www.dailyshincho.jp/article/2016/03160510/...

「分からないが、多くの人が生きている可能性が高い。私もそうだったが、拉致被害者は自由がない代わりに生活面や医療面は保障されている。
私が横田めぐみさんを見たのは1994年が最後だが、北朝鮮が出してきた死亡の証拠はでたらめだ。2014年の日朝合意では、北朝鮮が拉致を再調査することになった。02年に発表した『8人死亡』を白紙にしたことを意味する」(日経2017年10月14日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22275940U7A011C1CC1000/

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 上の写真は左から有本恵子氏、石岡亨氏、松木薫氏です。この石岡氏は、北政府が公式に拉致を認めている事例です。

「石岡さん=失跡当時(22)=は欧州滞在中の1980年に失跡。北朝鮮政府は、同国の工作員が日本語教師の獲得のため石岡さんを拉致したことを認めた上で、85年12月に同じ拉致被害者の有本恵子さんと結婚し、娘をもうけたが、88年11月4日にガス中毒で子どもを含む家族全員が死亡したと説明した」(時事)
https://www.jiji.com/jc/d4?p=knv830-jlp01161221&d=d4_psn

北が死亡した証拠として出してきた「死亡診断書」なるものがあります。 

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この「死亡診断書」について、日本政府内閣官房拉致問題対策本部事務局の詳細な反論がありますのでお読み下さい。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/rati/mondaiten.html 

2003年、調査に赴いた日本政府調査団に対して、この「死亡診断書」を北が出した経過が伝わっています。 

「めぐみさんを除く7人について口頭でしか説明がなく、調査最終日に斎木さんが『こんな状況で帰れるか!』と机をたたくと、2時間後に持ってきたのが死亡確認書だった」(産経2012年9月17日)
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/131216/plt13121613340018-n1.html

 誠意のひとかけらもないふざけきった態度です。

そもそも北は拉致被害者を死んだことにするためにデッチ上げたのが、この「死亡診断書」なるものだったわけです。

「死亡」の“証拠”とされた「死亡確認書」は、北朝鮮に対する家族の不信感を決定づけた。横田めぐみさん=同(13)=を除く7人の死亡確認書はすべて同じ病院から発行されていた。
有本さんと石岡さんが死亡した場所とされていたのは、中国との国境近くの慈江(チャガン)道南部の煕川(ヒチョン)市。市川さんが死亡したとされたのは北朝鮮南部の元山(ウォンサン)市。他の被害者が死亡したとされる場所や時期もばらばらだった。
それなのに、7人の確認書を作成したのは平壌の「第695病院」。被害者の生年月日を間違えているものもあった」
(前掲)

7人のうち6名の「遺骨」なるものの説明は、不自然極まるもので、「豪雨でダムの堤防が壊れ、墓が流された」「大洪水による土砂崩れで流失」「ガス中毒した」などというものでした。 

そしてそれを決定づけたのが、北が横田めぐみさんと松木薫氏の「遺骨」として送りつけてきた「証拠」でした。

これは直ちに科学捜査研究所によるDNA型鑑定と骨格鑑定にかけられ、まったくの別人と判明しました。 

もし、ほんとうに死亡していたのなら、正式な証拠をだせばよいのであって、このような偽造すること自体、北の言い分がまったくでたらめだということを物語っています。 

救う会による拉致被害者は以下です。
http://www.sukuukai.jp/index.php?itemid=1160 

■日本国内で拉致された方 (年代順) 

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 ■海外で拉致された方(年代順) 

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■特定失踪者問題調査会(2015年6月2日現在)による拉致疑惑がもたれる方
・公開名簿・・・271名(拉致濃厚77名・拉致疑惑194名)
・非公開名簿・・・約200名
・計470名
 

■警察庁の警察白書(平成29年度版)に記載された平成29年度5月末現在の拉致被害者数
・883名

今、拉致被害者を奪還する、おそらくは最後の機会が煮詰まりつつあります。

奪還は日本政府の責務であると同時に日本人全体のの義務です。

今やってはならないことは、あろうことか北の立場を代弁して、「北は補償と謝罪がなければ帰さないはずだ」などとしたり顔で言ったり、9月総裁選がどうしたなどという訳知りの発言を慎むことです。

また、何名返って来るかなどという皮算用も無用です。全員の奪還、これだけが目標です。

このテーマは続けます。 

 

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日曜写真館 ブルー ローズ

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トランプのクセ球

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12日のある意味で衝撃的だったシンガポール会談の週も終わろうとしています。 

衝撃的というのは、たとえば長谷川幸洋氏は「金正恩に敗北を喫したトランプ大統領の『本当の心境』」と、会談を酷評した分析を出したことでもわかります。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56124 

青山繁晴氏も「敗北」と評していますし、神保謙氏もおおむねそのトーンですから、わが国の主立った保守論客、あるいは国際政治学者の採点は辛いようです。 

メディアは米国も含めてさんざんです。 

私もご承知のように当初は「最悪よりまし」という感想を持っていましたから、似たようなものでした。 

その私がどこか違うんじゃないか感じ始めたのは、一杯一杯の正恩の火照った顔が記憶に残ったからでしょうか。

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圧倒的貫祿のトランプと、国際舞台デビューの若造は比較するのも愚かで、ある自衛隊OBがまるで師団長と防衛大学校でたばかりの小隊長との面談のようだと評したのには笑いました。 

トランプは、100%勝利したのは自分だと考えているわけで、そうでなければ記者会見て冒頭から「こんな広い部屋での会見なんか初めてだなぁ」なんてジョークを言うはずがありません。

 ところが、日本も含めて世界のメディアが流したイメージは下の写真です。 

この写真は、朝鮮中央通信が「大勝利」としてプロパガンダで使用したものです。 

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トランプをエスコートする、われらが首領様の海のような度量というわけですが、私たち日本人も似たような陥穽に足を取られてはいませんか、というのが私の素朴な疑問の始まりでした。

さて私の疑問点は、「なぜトランプはCVDIの文言を合意文書からはずしたのか」ということに尽きるでしょう。 

合意文書にそれに対する言及がないために、トランプ敗北説が生まれました。 

国連で北への制裁の担当官だった古川勝久氏は、今回の合意を「従来より後退した失敗」ととらえた上で、その理由を「北は文言に書かれてあることしかしないからだ」と述べています。 

ならば、「北が書かれてあることしかしない」なら、書かれていないのなら逆に北にとってのリスクは無限大となってしまうのではないでしょうか。 

今回の会談は、書かれてあることより、書かれていないことを重視すべきなのです。

事細かく、いついつまでに、どのような方法で、なになにを廃棄しますと書かれてあったら、北にとってのリスクはミニマムに押さえ込めるわけです。 

しかしそれですら、正恩のメンツは丸潰れになり、国内基盤を揺るがせる事態になりかねなかったかもしれません。

米国は、今の段階で金政権を倒すつもりはありません。

そのような不安定な東アジア情勢は対中シフトまでおかしくしますから、避けたいと考えているはずです。

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トランプは大変にクセ球を投げたと、私は思います。 

トランプは宣言文書にCVDIをあえて書き込まないことで、いわば白紙委任状を取ったにもかかわらず、正恩の権力基盤を揺るがすことを寸止めしたと考えられます。 

相手に対して遅効性の毒を盛りつつ、今回は倒れないていどにしてやり、さらには核さえ手放せば「未来」があるぜ、と誘導するというわけです。 

俗に気が弱いくせに凶暴な奴は、逃げ場がないやり方で追い込むなといいます。逆上して刃物を振り回すからです。北も一緒です。

北は普通ならすぐにミサイルを打ち込んでくるようなまねはしません。

んなことをすれば、自滅するのはわかりきっているからです。

しかし追い込んで「殿、ご落城でございます」となればわかりません。ケンカ達者は、こんな相手には追い込みはするが逃げ場は作っておいてやるのです。

トランプは、正恩という自尊心だけは異常に強いくせにビビリの少年をこん棒で脅して会議場に追い込んでから、にこやかに白紙委任状に署名させ、非核化した後の「明るい未来」の扉だけを少し開けて帰してやったというわけです。 

昨日もアップしましたが、合意文書冒頭部分のこのパラフレーズに注目してください。そこにはこうあります。

"President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK, and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula" 

「トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を提供することにコミットし、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization of the Korean peninsula)への強固でゆるぎないコミットメントを再確認する」

このコミットメント(commitment)という文言に注目下さい。 

これは努力目標ではないのです。あくまでも「その行動しかとれないようにするような実効性のある仕組みをつくること」です。 

つまり、北は合意文書に「非核化への実効性のある仕組みを作ること」に合意したということです。 

ですからトランプは、記者会見でCVDIを書いてないじゃないかという記者の質問に、わざわざ文書を手にして「ここにちゃんと完全非核化( complete denuclearization )と書いてあるぞ」、と不満げに返答したのです。 

ここが合意文書の最重要部分のはずですが、メディアは完全にスルーしています。 

このようにトランプは、テロリスト(支援国家)とは交渉しない、見返りを与えない、という米国の外交原則を維持しました。 

これは大きいことで、もしなんらかの見返りを与えてしまえば、第2第3の北のような国が生まれてしまうことにつながっていきます。 

これはイラン情勢をにらんで、大変にまずいことです。

米韓合同演習を中止したことについては、批判が大きいですが、それは直ちに北が「完全非核化」の措置の第1弾をださなければ、即刻再開するというだけの話です。 

言ってみれば撒き餌のようなもので、これで「大勝利」と浮かれて「完全非核化」をネグれば、ツィートで「宣言文を無効にするように関係者に通達した」なんて返ってくるだけです。 

というわけで、まぁ、今後の展開を見てから「大敗北」と決めつけたらいいのではないでしょうか。

ほんとうにこのままでお終いならば、私はトランプを買いかぶったことになりますが、そうでないことを祈ります。

 

 

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シンガポール会談の厚化粧にダマされないようにしましょう

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昨日は仮定の補助線を引いて、アレコレと想像をたくましくしてしまいました。 

あのように考えると、シンガポール会談は政治ショーというより、むしろ正恩ひとりに対するプレゼンテーションじゃなかったのかと、私は思っています。 

公開プレゼンですから、実務的協議なんていう野暮なものはなしに決まっています。 

だから本来は骨格になるべきCVDIの工程表なんて、テーブルにも乗っていなかったことでしょう。 

したがって、実は米国は北に何も与えていないのです。 

え、雪解けしたんだから制裁は解除されていくんじゃないの、ですか。 

いえ、違うと思います。雪解けしたのは表面だけです。トランプ親分が気分の向くまましゃべり散らしたあとかたずけをするように、閣僚が飛び回っています。 

まず、制裁については日韓米の外相会議で、ポンペオがこのように説明しています。 

5amzgmtz産経6月14日より引用

「河野太郎外相は14日午前、訪問先のソウルで米国のポンペオ国務長官、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と日米韓3カ国の外相会談を行った。(略)
ポンペオ氏は会見で「北朝鮮が完全に非核化したということを示すまで制裁を解除することはない」と強調。非核化の方針で日米韓に相違はないと強調し、河野、康両氏も同意した」(産経6月14日)

https://www.sankei.com/world/news/180614/wor1806140027-n1.html

ね、なんのことはない、北が誠実に非核化プロセスを現実に実行すれば制裁は解除していくよ、ということにすぎません。 

そんなことはわかりきった話で、会談が終わったからせーので制裁解除するわけでもなんでもないのです。 

当然のこととして、この非核化プロセスについての実務者会談で、米国はリビア方式はむろんのことCVDIという名称は避けても、内容はそっくり同じことを要求するはずです。

この会談に同席したポンペオはこう述べています。

「ポンペオ長官をはじめ米政府高官はここ数週間、北朝鮮に対する経済制裁を解除するには同国が「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)に同意しなければならないと強調してきた。
ポンペオ長官はこの日、共同声明での文言には明確には記されていないものの、その要求は含まれていると記者団に説明した。(略)
ポンペオ長官は「意味合いについては議論の余地もあるだろうが、声明の文書に含まれていると保証できる」とし、「米国が準備していること、また準備できていない可能性の高いいくつかのことについて北朝鮮が理解していると私は確信する」として、「また徹底した検証が行われると北朝鮮が理解しているということも、私は同様に確信する」と加えた。」(ブルームバーク6月14日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-13/PA9ROO6K50XW01

今後、ポンペオを交渉責任者として、完全非核化はどこまでの範囲を意味するのか、検証可能のために国際機関をどう入れるのか、二度と核開発ができないためにどのように歯止めを打つのかなどについて詳細な議論になると思います。 

それもダラダラと六カ国協議のように16年かけてなどという引き延ばしを許さずに、短期間になされるはずです。 

時間稼ぎはできません。なぜなら、宣言文で「金正恩委員長は朝鮮半島の非核化を完結するための固く揺るぎない約束」をしてしまっているからです。

合意文書冒頭部分のパラフレーズに注目してください。そこにはこうあります。

President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK, and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula

トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を提供することにコミットし、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization of the Korean peninsula)への強固でゆるぎないコミットメントを再確認する」

このコミットメント(commitment)とは、「その行動しかとれないようにするような実効性のある仕組みをつくること」を意味します。
コミットメント - Wikipedia

ただの口約束でもなく努力目標でもないのです。ここが合意文書の最重要部分、いわばキモです。

国はこの一節を今後、何かというとダシに使い倒すことでしょう。 

これをもって「完全非核化」という文言を北が認めたことになるからです。

え、私が先日書いたように、それは「朝鮮半島の」という漠然とした限定つきものだろうって。

たしかに、正恩はオレは「朝鮮半島の非核化」といったはずだぞ、と正恩は言うかもしれませんが、しかしそれは通用しません。 

米国は朝鮮半島に核を配備していませんし、その予定もないからです。

したがって、「朝鮮半島の」とついていようといまいと、それは一方的に北の核のみを指すのです。 

もし米国側の「半島の核」を検証したいと北がいうなら、どうぞどうぞ、どこでも勝手に在韓米軍基地を見に来ればいいというのが米国の立場です。 

そしていったん北が在韓米軍基地の「非核化」を検証しにくれば、その対価として北の核ミサイル施設の「非核化」も検証させねばならなくなります。

米軍の核専門将校の一団が、北をくまなく検証して回ることでしょう。 

あるいは苦し紛れに、「「朝鮮半島非核化」の範囲をグアムや米本土、あるいは戦略原潜にまで拡張して解釈するのは北の勝手ですが、それは制裁解除が遠のくだけのことで、自分の首を絞めるようなものです。

そんなことでいつまでもグズグズごねていると、相手のボスが紳士のオバマではなく蛮勇のトランプだということを改めて確認するはめになるでしょう。
 

なんせ、G7サミットの宣言文を途中退席したエアフォースワンの中から、「宣言文を無効にするように関係者に通達した」なんてことをツイートした人ですからね。 

今、いっけん宣言文が北に有利に書かれていることだけで北がのぼせると、あとでヒドイことになるとご忠告しておきます。 

また、在韓米軍についても「将兵を米国に返してやりたい」などと言ったことで、有頂天になってはいけません。

20170817p2017年日米防衛相会議でのマティス国防長官と小野寺防衛相

小野寺五典防衛相は14日、米朝首脳会談を受け、マティス米国防長官と電話会談した。トランプ米大統領が在韓米軍の将来的な縮小・撤退を示唆したことに関し、小野寺氏は「在韓米軍は東アジアの安全保障に重要な役割を担っている」と維持を要請。
これに対し、マティス氏は「縮小などは検討していない」と返答した。 小野寺、マティス両氏は、北朝鮮に全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルの完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄を求めていくことを再確認。北朝鮮制裁を定めた国連安保理決議の履行を徹底し、「瀬取り」と呼ばれる洋上密輸に対する警戒・監視を継続していくことでも一致した」(時事6月14日)

在韓米軍撤退どころか、縮小も検討すらしていないとマティスは言明しています。 

早合点して、なら在沖海兵隊もいらないんだ、とばかりに欣喜雀躍してしまった琉球新報さん、お気の毒です。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-737471.html

そもそも仮に在韓米軍が撤退すれば、日本が防衛の最前線になりますから、在沖米軍は強化されることはあっても、撤退はいっそう難しくなるだけなんですが。 

国際社会も正恩も忘れないほうがいいのは、トランプがクリントンでもオバマでもないことです。 

彼はただマッチョだというだけではなく、既存の国際条約や合意など紙きれとしか考えていないという特異体質の持ち主です。 

良し悪しの価値判断以前の問題として、そのような人ですから、いままでパリ条約は蹴飛ばす、イラン核合意やTPPはひとりで離脱してしまう、そしてつい先だっても、あろうことかサミット宣言文すら破ってしまうというプロレスのヒールみたいなお人です。 

あ、そうそうトランプはほんとうにWWEのプロレス興業に関わっていたんでしたっけね。冗談のようですがホントです。

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このハチャメチャなマッドマンぶりが功を奏して、ここまで正恩を追い詰めたことを私たちは目の当たりにしました。

シンガポール会談自体があまりにもアンチ・クライマックスだったために、私も含めて多くの人が脱力しているわけですが、あの宣言は使える部分だけ使って、気にくわないことが続けばいつでも破り捨てることが可能な人が、このトランプだということです。

ああ、敵に回したくないタイプだぁ(笑い)。 

というわけで、米国はいっけんあれもこれも譲歩したようにみえますが、制裁も在韓米軍もなにも譲っていないということです。

シンガポ.ール会談の厚化粧にダマされないようにしましょう。

                                   ~~~~~~~~~

■資料 

6月12日、初めての米朝首脳会談
共同声明

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/joint-statement-president-donald-j-trump-united-states-america-chairman-kim-jong-un-democratic-peoples-republic-korea-singapore-summit/

シンガポールで開催された首脳会談における米国のドナルド・J・トラン プ大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正恩委員長の共同声明(仮訳)
https://jp.usembassy.gov/ja/joint-statement-president-trump-chairman-kim-singapore-summit-ja/

トランプ大統領の記者会見  Press Conference by President Trump
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/press-conference-president-trump/

トランプ大統領の記者会見 文字起こし
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31865230W8A610C1I00000/

ドナルド・トランプ大統領の記者会見での冒頭発言(仮訳)
https://jp.usembassy.gov/ja/press-conference-by-president-trump-singapore-summit-ja/

マイク・ポンペオ国務長官の記者会見での冒頭発言
https://jp.usembassy.gov/ja/press-briefing-secretary-state-pompeo-ja/ 

 2国間拡大会合前のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長の発言
https://jp.usembassy.gov/ja/remarks-by-president-trump-and-chairman-kim-before-expanded-bilateral-meeting-ja/

 

 

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シンガポール会談は、新しいトランプ・トラップか?

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シンガポール会談以後、私の頭を去らなかったのは、「なぜ、トランプはこのような融和劇を演じたのか」ということでした。

これを単純に失敗と片づけていいのかどうか、今回ほど分からない会談は珍しいことです。

朝日と産経が期せずして、ともに「具体策なし。検証にふれず」と書いていることからも,立場を問わず否定的分析になっています。

そこでこの難問を、三本の補助線を引いて考えてみましょう。

ひとつめの補助線は、ホンペオが直前まで言っていたCVID方式の発祥の地であるリビアです。これを実質で担当していたのがボルトンです。

ルトンはこの方式の全米指折りのプロパーといってよいでしょう。

その彼が会談に同席しながら、なぜあのような融和劇となってしまったのか、それがどうにも解せませんでした。

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ボルトン安全保障担当大統領補佐官がぶちあげた核弾頭の米国への移送などの案、いわゆるリビア方式などは、実現すれば外交史に残る金字塔になったはずでした。 

しかしそれを急がずにあえてあのような融和劇を許したのか、なにかもうひとつ先の思惑があるのではないかと私は考えました。

かつてのリビアの保有する核施設や核兵器は一握りであり、後ろ楯となる大国がないカダフィは協力的でした。

そうなったのは英米がある時は脅し、ある時は猫なで声でなだめすかしたからです。 

かつてのリビアの非核化をふりかえると、結果としてのCVIDのみが強調されますが、それはあくまでもエッセンスのようなものです。

そこに至るまでに、米国は1986年にカダフィ自宅を空爆する斬首作戦で脅し、同時に丁寧な言葉で「なだめすかす」手法を織りまぜているのがわかります。

001ec94a25c50f2069882f米空軍・海軍によって爆撃されたカダフィ自宅。とうぜん、米国は北に対しても同様の作戦が可能である。

そう見てくると、ひとつの絵が浮かんできます。

憶測の域をでないとお断りしておきますが、今回のシンガポール会談で、「脅す」ステージから「なだめすかす」ステージに入ったのではないでしょうか。 

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北にはある種の幼児性があって、ダメだ、とりあげるぞと言おうものならかえって依怙地になってしがみつきます。 

あるいは必死に核という宝物、あるいは玩具を、隠そうとします。 

それを手放させるためには、いくつかしか方法がありません。 

一番目は、殴って玩具を取り上げる方法です。 

二番目は、殴るぞと強く脅す圧力をかけることです。 

三番目には、いい子だからこれを手放せばハッピーになれるんだよと言って警戒を解くことです。 

前提として押えておきますが、北の核は未完成です。投射能力が不完全なために、「ある」というだけで、実戦に使用できるようなシロモノではありません。 

特に長距離核は、火星15のミサイル誘導と再突入技術が未完成な上に、核の小型化にも成功していないはずです。 

プンゲリ核実験場を検証する前に爆破したために、実は核実験と称してきたものもフェークではなかったのかとさえいう専門家もいます。 

核実験場のガスなどをサンプリングすれば、その威力がバレるからです。 

ですから、トランプは「正恩の宝物」が玩具でしかないことをよく知ったうえで、今回の会談をしたのかもしれません。 

ならば、どうして北の核が「存在する」という前提でこの間、圧力をかけてきたのでしょうか。 

理由は難しくありません。核というのは一定の推定する材料が揃えば、それが完全であろうとなかろうと「ある」ことを前提として対応せねばならないからです。 

仮にグレイだとしても、仮想敵国がブラックとして政治的に利用する以上、あくまでもホンモノとして対応するという外交セオリに従ったまでです。 

ただしフェークだと認識している場合、その切迫性はありません。

本当に米本土に到達しうる核ミサイルを保有したと認めたならば、ウーもスーもなく直ちに爆撃をしているはずだからです。

すから、ただちに「玩具」相手に軍事攻撃を仕掛けるというようなリスキーなまねは控えたのです。 

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トランプとマティスには一種の漫才のような役割分担があって、トランプが「炎と怒り」を叫んで明日にでも攻撃命令をだすようなそぶりをすると、マティスが「まぁまぁ」となだめてきました。 

こうやって緊張を人為的に高めて言って、その裏では先日にも書きましたが、北の外貨稼ぎの道を閉ざし、さらには金王家の秘密口座を凍結しました。 

これで正恩は独裁者としての権力の源泉を失いました。外貨はこの夏で払底するでしょうし、農業生産はとっくにズンドコです。 

民は食えず、取り巻きの将軍どもにバラまくカネがない、これが正恩の置かれた状況です。

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となればもはや中国にすがりつくしかないわけですが、それは中国の属国となることと一緒で、父祖の主体思想の教えに背くことになります。 

こうしてトランプは、シンガポールに正恩を「追い込んだ」のです。 

捕獲してしまえばこちらのもの。後は「とろかす」だけです。これが今回の融和劇だったと私は見ます。 

今回の会談は予想を超えて長引きました。何を話していたのか気になるところですが、コメントにあったような付帯文書や秘密条項ではないでしょう。 

だったらそれはそれで大変に面白いのですが、おそらくトランプはCVIDを事細かに論議していたのではなく、北の「明るい未来」を延々と口説いていたのだと思います。 

それはトランプの夕方の記者会見の前に、延々と流されたビデオ・クリップでなんとなく想像がつきます。 

あれで正恩に見せたかったものは、核を手放せば開けて来るだろう「明るい北の未来」でした。

ここで二番目の補助線が見えてきました。

それはあのプレゼン用ビデオクリップの意味です。 あのビデオ・クリップを誰に見せたかったのでしょうか?
The action-movie style trailer Trump says he played to Kim Jong-un   
https://www.youtube.com/watch?v=aYsaC2CADs0

フツーは首脳会談でこんなもの作りませんよ。米独首脳会談でこんなもの見せたら、メルケルならその場で帰っちゃいますから(笑い)。

正恩だからこんなものを用意したのです。実際にトランプは直に見せているそうです。

そうでなければ、合衆国大統領登場の前座として流すようなものではありません。オバマだったらぜったいにしないでしょう。

こんなものを米国は会談前から作っていたのですから、これを見ただけでトランプの思惑が透けて見えます。

これは「教育ビデオ」なのです。

世間知らずの核を持って何様になったと勘違いし、それで大国と張り合えるとおもっている田舎の若造に「教育」するためのものです。

では、なにを「教育」するのでしょうか?

すると、ここでもう三番目の補助線が浮かんできます。それはこのシンガポールという会談場所です。

なぜシンガポールだったのか、です。言い換えれば、トランプは何を世間知らずの田舎の若きボンボンに見せたかったのか、です。

それはシンガポールがこの会談を充分に利用し尽くしたことでもわかるように、したたかな商業都市国家であり、個人GDPで日本を凌ぐ国だからです。

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正恩が夜に出かけたマリーナ・ベイ・サンズは、カジノとショッピング・モールの複合施設として、莫大な富を生む金の卵を生むガチョウであることは有名です。 

商売人であるトランプが正恩に見せたかったものは、核のダンビラを手放せば、安心して外国人旅行者が「最後の秘境」の北に押し寄せ、マリーナ・ベイ・サンライズのようなカジノでも作れば、金が流れ込むぞという絶好の実例です。 

非核化をすれば、経済制裁を緩めて金家の秘密口座も凍結を解除してやらんでもないぞ、ということです。

締め上げられたあげく、斬首作戦も含む軍事攻撃を受けるか、カジノでも作ってウハウハするか、さぁどっちを選ぶのかね、というわけです。

えげつないですが、トランプなら考えそうなことです。

このように考えてくると、シンガポール会談とは、周到に仕組まれた新しい非核化へのトラップなのかもしれません。

■お断り 冒頭部分は主張を明確にするために全面削除して、書き換えました。いつもすいません。

 

 

 

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米朝会談 最悪よりややましな結果

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昨日はくたびれましたね。 

速報を打ってから、トランプの夕方の記者会見まで待たされたのですが、内容を読むともう一回速報打つような内容ではないので止めました。 

前日まで実務者協議をやっているので、内容的にはだいたい予想がついたのですが、こういうネガティブな予想というのはマーフィの法則なんでしょうな。 

私は、おとといに「どのような展開になるのか目が放せませんが、そう意外な展開はないような気もします」と書いて、まぁそのとおりになりました。 

意外さなさすぎです。言い方を変えると、内容がまったくありません。欄外に合意文書をアップしましたから、お読みになって下さい。 

要点は以下です。

①米国と北朝鮮は、平和と繁栄を求める両国民の希望通りに、新たな米朝関係の構築に向けて取り組む。
②米国と北朝鮮は、朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築に向け、力を合わせる。
③北朝鮮は、2018年4月27日の「板門店(パンムンジョム)宣言」を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む。
④米国と北朝鮮は、戦争捕虜、戦闘時行方不明兵の遺骨の回収、すでに身元が判明している分の即時引き渡しに取り組む。

①から③までは、特にシンガポールまで行かなくても、板門店で南北が言っていたことをなぞっているだけです。 

米国が、ボルトンまで連れてきてこだわってきたはずの、CVIDが一言も書かれていません。 

代わりにあるのが例の、「トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を与えると約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の非核化を完結」という文言です。 

なんだこれでは、米国が「体制保証」を約束したが、北は「朝鮮半島の非核化」の線から降りてこなかったことになります。 

この「朝鮮半島の非核化」は、端的に北に向けられている在韓米軍の撤退と米韓合同演習の中止を意味するのは常識です。 

つまり米国が約束した「体制保証」とはこのことなのです。 

これについては、妙に細かくトランプが記者会見でしゃべっています。 

とくに問題となるのは、トランプが米韓合同演習の中止と言っていることです。 

その上に、在韓米軍の撤退を匂わせるようなことも言ってしまっています。 

私はこんな重大なことは、最後の最後に北にCVIDを呑ませるための隠し玉にとっておくものだと思っていました。

まぁ考えてみれば、トランプは就任前から在韓米軍撤退論者なんでしたっけね。

おいおいです。マティスとすり合わせてしゃべっているのでしょうか。

いきなりこんなおいしい餌を、「朝鮮半島の非核化」ていどしか歩み寄ってこない北に与えてどうしますか。 

もしマティスがいたなら、米韓合同演習は中止という妥協はせずに、段階的縮小ていどで収めたはずです。 

今、この時期になんの収穫もないにもかかわらず、米韓合同演習と在韓米軍の撤退を匂わせて、どうするのでしょうか。
※追記 米韓合同演習は交渉中はしないという意味です。在韓米軍もその存在は重要であるという意味のこともトランプは言い添えていますので、念のため。

全体的に非核化の道筋はまったく一行も書かれていません。 

「これからそのノプロセスを始める。キム委員長は帰国してさっそくそれを開始するだろう」なんて、なんの担保があって言っているのでしょうか。

非核化の担保とは、非核化へのロードマップ(工程表)をあきらかにして、期限を切って具体的に合意することです。

トランプが「包括的だ」と言った時に、イヤーな気分になりましたが、おそらく話あわれてもいないはずです。

Photo_2右端がポンペオ、左端がキム・ヨジョン

後はポンペオ、まかせたぞ、ということのようです。

しかしポンペオは丸投げされても、すでに米朝会談で米国はたっぷりと北に報酬を与えているのですから、飴と笞という二大交渉ツールもなしに、交渉してこいということなります。

これでは交渉になりません。

だだし唯一の救いは、制裁解除がないしていることで、これだけがポンペオに与えられた武器ということです。

一方あろうことか北のほうは、ただのひとつの見返りも出していないのです。

北が出したのはなんですって、朝鮮戦争時の米兵の遺骨の返還ですって!合意文書に麗々しく書くようなことですか。

そんなもの生身で生きている拉致被害者と違って、いくらでも返しますし、北が遺骨偽造の常習犯だというのは、有名な事実です。

あ、そうそう会談で拉致問題にふれて頂いたことは日本人として感謝します。これを言わないと公平ではありません。

それが今回の会談で唯一の評価点です。

それにつけても、正恩が帰国して殊勝にも、「さぁ、同志諸君、非核化を始めるぞ」なんて言うとお思いか、トランプさん。

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■トランプ、金正恩両氏が署名した共同声明全文
https://www.sankei.com/world/news/180612/wor1806120112-n1.html 

ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長(朝鮮労働党委員長)は、初の歴史的な首脳会談を2018年6月12日、シンガポールで開催した。 

 トランプ大統領と金正恩委員長は新たな米朝関係の樹立と、朝鮮半島での恒久的で強力な平和体制を構築することについての問題に、包括的で詳細かつ誠実な意見交換を行った。トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を与えると約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の非核化を完結するための固く揺るぎない約束を再確認した。 

 新たな米朝関係の樹立は朝鮮半島と世界の平和と繁栄に寄与すると確信するとともに、相互の信頼醸成が朝鮮半島の非核化を促進できると認識し、トランプ大統領と金正恩委員長は次のように宣言する。 

 (1)米国と北朝鮮は、平和と繁栄を求める両国民の希望通りに、新たな米朝関係の構築に向けて取り組む。 

 (2)米国と北朝鮮は、朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築に向け、力を合わせる。 

 (3)北朝鮮は、2018年4月27日の「板門店(パンムンジョム)宣言」を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む。 

 (4)米国と北朝鮮は、戦争捕虜、戦闘時行方不明兵の遺骨の回収、すでに身元が判明している分の即時引き渡しに取り組む。 

 トランプ大統領と金正恩委員長は、史上初の米朝首脳会談が、両国間の数十年に及ぶ緊張と敵対を乗り越えて新たな未来を開くのに重要な意味を持つ画期的な出来事であったと認識し、この共同声明の諸条項を全面的かつ迅速に履行するよう努める。米国と北朝鮮は、米朝首脳会談の成果を履行するため、マイク・ポンペオ米国務長官と北朝鮮側の対応する高官の主導による後続交渉を可能な限り早期に開催するよう努める。 

 トランプ大統領と金正恩委員長は、新たな米朝関係の発展と、朝鮮半島と世界の平和、繁栄、安全の促進に向け協力すると約束した。 

ドナルド・J・トランプ アメリカ合衆国大統領 

金正恩 朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長 

2018年6月12日 セントーサ島 シンガポール

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速報 「包括的文書」に署名

Photo_5BBC

とりあえず速報します。

産経2018年6月12日 15:01 

■金正恩氏をホワイトハウス招待へ トランプ氏、合意文書は「非常に包括的」 

トランプ米大統領は12日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長を米ワシントンのホワイトハウスに招待する考えを示した。シンガポールで行われた米朝首脳会談を受けた合意文書の署名式で明らかにした。 

 署名式でトランプ氏は「金氏と素晴らしい時間を過ごし、関係を築けた。われわれが署名した文書は非常に包括的な文書だ。ポンペオ氏、北の高官にもお礼を申し上げたい。われわれは、特別な絆を築きたかった。朝鮮半島との関係はまったく違うことになる」と会談の成果を強調した。 

 さらにトランプ氏は、「金氏はとても良い人だ。頭もいい。優れた交渉者で才能がある。北朝鮮の国を愛していることもよく分かった」とした上で、「これから、金氏とは何回も会う。再びお目にかかりますよ」と再開を約束した。 

 一方、金氏は「歴史的な会談を通じて、過去を払拭し、歴史的な文書に署名する」と述べた。

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さぁ、今日が米朝会談当日です

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会談前夜まで事前折衝がもつれ込むという展開になりました。 

これは前から予想がついたことです。 

普通の首脳会談は1年前くらいから事務方で内容的には枝葉まで詰められて、会談そのものも事務方の指図どおりに秒単位で進みますが、今回は8割方詰められれば御の字といったとろでしょう。 

あとは会談での出たとこ勝負、というライブ感溢れるものとなりました。 

昨夕に、マイク・ポンペオが突如自分で記者会見をすると言い出した時には、「おっと、流れたか」と思ったのですが、まぁとりあえず始まるようで慶賀の至りです。 

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 「【シンガポール=黒見周平】ポンペオ米国務長官は11日夕、シンガポール市内で記者会見し、12日に行われる史上初の米朝首脳会談に関し、「『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』(CVID)が米国の受け入れられる唯一の成果だ」と述べた」(読売6月11日)

 この段階でCVIDを交渉原則として強調しているのは、悪くとれば細部は詰まっていないということになります。 

北はおそらくは、例の「総論合意・各論抵抗」作戦を展開しているようです。 

北は(韓国も同様ですが)終結宣言を「体制保証」と捉えているようです。 

なんとなく日本人は、もう実態として戦争はとっくに終わっているんだから、いいんじゃないのと軽く考えるかもしれませんが、そうではありません。

北は終結宣言をあくまでも「体制保証」の要と位置づけています。

ですから、たんなる「終わりました」という宣言ではなく、その先があるのです。

先とは国連制裁解除、米朝平和条約・米朝国交回復の道のりですが、とりあえず国連制裁決議の解除です。

また終結宣言と国連制裁決議解除が合わされば、国連軍は解体されて北の貿易・金融制裁が解除されていくことになります。

たとえば、今、豪やカナダの哨戒機まで参加して実施されている瀬取り監視や、国連制裁活動も縮小ないしは、止めることになりかねません。 

Photo_2東シナ海での瀬取り監視のため嘉手納に展開しているカナダ空軍 CP-140とオーストラリア空軍 P-8A

そして国連軍の主力である在韓米軍の法的立場が微妙になります。これは段階的撤退の始まりの合図となる可能性があります。
 

北は在韓米軍の撤退を要求していないという情報も流れましたが、現実に終結宣言は米朝平和条約・国交正常化という展開とワンセットな以上、双方がどこまでそれを折り込んで協議しているのかです。

あくまでも完全非核化の結果、終結宣言になるのであって、逆ではないのです。 

いわば出口論ですが、北は終結宣言こそ体制保証だという入り口論を言い出していることでしょう。

また、今回、北は口では「完全非核化」を宣言し、CVIDを丸飲みしたようなことを言い出す可能性があります。 

米国が不退転の覚悟で迫っている以上、これを拒否することは不可能だからです。 

さまざまな理由がありますが、その大きな理由はやはりカネです。 

北の経済が崩壊しているのは既報しましたが、それだけではなく「金家の財布」はすでにスッカラカンのはずです。 

実はこの「金家の財布」が、メディアがほとんどスルーしている、北が折れてきた最大の原因なのです。

北は今やホテル代すら払えず、政府専用機が使えずに中国機できたということも合わせると、財布が完全逼迫のご様子です。

あれほど見栄っ張りの国としては驚くべきことです。

これは米国による徹底した北の海外の秘密口座の凍結が効いているからで、北と金融取引をもった金融機関は米国との取引を強制的に停止されてしまいます。

ちなみにこのキム家締め上げ作戦を展開しているのはCIAなどの情報機関で、つい先だってまでその指揮をとっていたのが、他ならぬ今日、正恩と向かい合って座るはずのポンペオでした。

それはさておき、そのために一説で400億ドル(4兆円)という途方もない隠し金庫を、まったく利用できないでいるようです。 

この隠し金庫で、正恩はスイスで高級マンション暮らしをしたり、部下の将軍たちに金品をバラまくことができました。 

これが人望のない若輩の3代目にとって、唯一の人心をつなぎ止めておく術なのですから、つらいところです。 

このように書いてくると、一国の指導者の財布具合で外交方針が決定されるのか、という素朴な疑問をもたれると思います。 

安倍氏の財布が空になったからといって、民主主義国家ではそれが国の方針を決定づけることはありえないからです。 

しかし北は違います。理由は独裁者が君臨する国家だからです。 

「独裁者はたいていの場合、反体制派を排除するため国内に相互監視システムや密告システムを構築しており、敵対的な人物は徹底的に粛正するなど、いわゆる恐怖政治を行っている。
だがこうした独裁体制は恐怖だけでは長続きしない。独裁者に媚び、協力してくる人物に対しては相応の利益をもたらし、秩序を維持する必要がある。
このため独裁者の多くが、不正に蓄財した莫大な富を持っており、これを統治に利用している。また、いつ国を追われるか分からないので、その一部は海外に送金し資産保全を図るケースがほとんどだ。
つまり独裁者は多分に資産家としての側面を持っていることになる」
(東経オンライン 加谷 珪一)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52887

これは独裁国家共通の現象で、中国に至っては党幹部の海外逃避させている隠し金はひとり数兆はあたりまえだと聞きます。

ところで父親の正日は毎夜毎夜将軍たちや党の幹部たちと、馬鹿げた酒池肉林の宴を催していたことはつとに知られています。

そこで惜しげもなくばらまかれる高級舶来品や「喜び組」の女性の接待は、独裁者の富の分配だったのです。

この財源こそが、秘密口座のあるマカオのバンコデルタでした。

Photo_3バンコデルタ・アジア

ですからブッシュ政権によってこれが凍結されると、飛び上がるようにして融和的な態度に転換しました。 

例の核施設の排気塔爆破はその時のものです。これで米国は、テロ支援国家を解除してしまったわけです。

このように北にとっての外交とは、独裁者の資産の保全という側面を濃厚に持っているのです。

正恩は、国という体裁をとっているからわかりにくいのであって、なんのことはない不良債権をやまほど抱えて、親からもらった個人資産も食いつぶしてしまった零細企業の3代目のボンにすぎないともいえます。

自らもいくつも会社を潰したトランプにとって、こんな3代目のボンの足元を見るのは、そう難しいことではないと思われます。

私はどこかで、トランプは正恩のこの正体を見破ったと思っています。

今、北がゴネているのは経済制裁を止めろということですが、この意味はただ国連制裁を解除しろということではなく、金家の個人資産の凍結を止めろということでもあるわけです。

おそらく後者は表面に出ないと思いますが、これが大変に重要なポイントのはずです。

さて、今日、どのような展開になるのか目が放せませんが、そう意外な展開はないような気もします。2今日は期待をこめてカッコイイ写真を最後に

まぁここまで来たらもう、ドランプさんに声援を送るしかないのです。

がんばれ、トランプ!日和るなトランプ!

 

 

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新潟知事選与党系候補が勝ったわけ

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新潟知事選挙で与党候補が勝利しました。 

●新潟県知事選確定得票数
当 546,670  花角 英世<1>無新=[自][公]支持
  509,568  池田千賀子   無新=[立][国][共][由][社]
 

約4万票の差をつけました。これを僅差と呼ぶか否かはおまかせします。 

年齢別投票行動は、10代から50代で与党候補が野党候補を上回り、野党候補は、60代から70代で半数を押さえています。

この青年層から壮年層に与党支持が多く、老齢層になるに従って野党支持が増えるという傾向は、今やおなじみのものです。

「年代別では、花角さんが10代から50代までで、池田さんの支持を上回りました。
一方の池田さんは60代では、50%台半ば、70代以上ではおよそ50%の支持を得ています」(NHK6月10日)

さてこの選挙をみていると、沖縄県知事選の予想図が目に浮かんできてしまいます。 

おそらく新潟知事選と酷似したパターンで、野党は「全野党共闘」なるものを組むと思われます。 

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これを応援しに山口二郎氏や佐高信氏、あるい香山リカ氏などのおなじみの左翼有名人が多数押しかけるという構図です。 

沖縄だと、高江紛争に大きく関わった辛淑玉氏も来るかもしれませんね。 

そしてもう分解していますが「オール沖縄」は、反基地・移転阻止をメーンにして、例のモリカケを訴えると思われます。

「元県議の池田千賀子氏(57)には最初の選挙サンデーから、野党5党1会派の国対委員長らが応援演説に駆けつけ、森友・加計学園問題を追及。官僚出身の花角氏を「官邸の言いなりになる」と批判した。2日には各党派の党首がそろい踏みした。市民団体の集会やSNS(会員制交流サイト)なども活用した」(産経6月11日)
https://www.sankei.com/politics/news/180611/plt1806110006-n2.html

沖縄で、このスタイルを踏襲するとおもうのは、ご承知のように、この「全野党共闘」の原型こそが他ならぬ翁長知事を生み出した「オール沖縄」だからです。 

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 この大勝利に酔った野党連合は全国各地に次々に「オールなんじゃら」を濫造していきます。 

以降いくつもの2匹目のドジョウが生まれましたが、ひとつだけ大阪を紹介しておきます。 

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 名称まで「オール大阪」です。これも自民府連を味方にして、反橋下という構図を作りましたが、敗北しています。 

上のチラシは共産党の選挙チラシです。大阪でも共産党は[全野党共闘+保守の一部]という「オール〇〇」の構図を実現させています。
※関連記事 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-f389.html 

実はこの「全野党共闘」のプロデューサー・監督・主演はいずれも共産党で、他の野党諸雑派はただの枯れ木も山のにぎわいで、「全野党で安倍を包囲しているんです」ということを見せたいたいためにいるエキストラの通行人のようなものです。 

この地方自治体選挙は、当時は中央政界の反安保法制と表裏一体のものでした。 

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 この中央で手をつないだ「全野党共闘」の党首が、そっくり同じように県民の前で手をつないで見せるという構図は、今回の新知事選でも再生されました。 

飽きませんかね。この構図はもはや必勝パターンでもなんでもなくなったことに、いつになったら気がつくのでしょうか。 

というのは、2016年の安保法制反対運動当時と決定的に違うのは、野党の主張の差が、歴然としてしまったことです。 

なんといっても、一昔前まで選挙互助だけで党を作れた野党第一党の民進党が崩壊してしまったのが、痛かったですね。 

そのあとの顛末はご承知のとおりで、小池ブームに便乗して改憲を叫んだその舌の根も乾かぬうちに小池氏を追い出し、再び護憲政党に逆戻りして、それすらキープできずに、旧民進党系の分派と一緒になるというていたらくです。 

政策論議なき烏合離散ぶりをあれだけ国民の前にさらけ出しておきながら、いまさら「全野党共闘」もないもんです。 

結びつくのはただ一点、モリカケだけというのではどうにもなりません。 

今回原発再稼働反対を掲げる候補を推すなら、国政政党としてきちんとした原発からの脱却を政策化すべきでしょうが、そんなことは二の次三の次で、ひたすらモリカケ、モリカケ一本槍。

あ~あ、退屈。とっくに終わった芸人を見る思いです。

そもそも愛媛や大阪だったらまだしも、モリカケと新潟がどう関係あるのでしょうか? 

そしてやって来る応援弁士たちの皆さんが、揃ってなにを叫んでいったのか、佐高氏の発言をちょっとのぞいておきましょう。なかなかスゴイですよ。

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「佐高氏は「安倍晋三は拉致問題を食い物にして首相になり、無責任なことやってる。本当に拉致問題を解決したいなら平壌に乗り込め。そして帰ってくるな」と絶叫。聴衆からは「そうだ」と大きな声が上がった。
 さらに、佐高氏は「安倍のバカなバカ騒ぎを打ち破るためにも絶対に勝たないといけない。自民党に天罰を、公明党に仏罰を」と声を張り上げた」(産経6月8日)
https://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/180608/plt18060821180028-n1.html

いっちゃってますね。「アベはピョンヤンに行って、帰ってくるな」ですか(爆笑)。

こりゃ知性を持った人間の言辞ではありませんな。ただの憎悪をぶつけただけの憎悪表現にすぎません。

こんなていどのチンプなことを言わせに、わざわざ東京から招いたというのですから呆れます。

少しは新潟の抱えた問題のひとつも調べてくるのが、礼儀というものでしょうに。寝言は国会前でやれ(それも迷惑だけど)。

こんな彼ら左翼有名人の奮闘努力のかいあって、若者票をごっそりと取りこぼしたと思われます(苦笑)。

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一方、このような虚しく中央政界のスキャンダル政治を持ち込む野党候補に対して、与党系候補の花角氏は、一貫して「空中戦を拒み地上戦に徹する」構えを見せました。 

自民党は陰に控えて、中央の大物弁士は呼ばずに党派色を薄めました。

まったく正しい選挙戦略でした。地方には地方が抱えた独自の問題があるのであって、それをいかに解決するのかが提示されねばなりません。

野党候補は「新潟のことは新潟が決める」といいながら、実際には中央政界の共産党主導の「全野党共闘」の神輿に乗った上で、外人部隊の左翼有名人を大量に投入してしまいました。

政治の悪しき中央主義です。新潟は東京ではないのです。

選挙戦終盤になってやっとこの「空中戦」の誤りに気がついて、地元の問題も取り上げ始めましたが、もう遅かったようです。首長選挙は中央の写し絵であってはなりません。

地域には地域で独自の問題を多く抱えているからです。

たとえば沈みゆく地場産業、雇用の不足、足りない保育所、子育て支援などは、個別に解決していかねばならないにもかかわらず、ふたことめにはモリカケではどうにもなりません。

今回野党候補は、「最低賃金のアップ」などという空論を公約に掲げましたが、それに似たことは沖縄でも伊波洋一氏が掲げていました。まったくの愚案です。

そんな政策をとったら今の韓国のムン政権と一緒で、中小零細が多い地場産業を直撃し、いっそうの経済沈滞を招いてしまいます。

地場の景気を浮揚する中で、雇用を増大させ、穏やかに賃上げを計っていくしかないのです。

そもそも最低賃金は国が決めるものですから、地方自治体首長選の公約にすること自体的はずれなのです。

このように最賃を上げるていどの安直な経済政策しか提示できない段階で、野党候補は詰んでいたともいえます。

自治体選挙は中央政局の写し絵であってはならないことが改めて明らかになったのが、今回の新潟知事選挙だったと思います。

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日曜写真館 水の郷のあやめ

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完成しつつある国際社会の中国・北包囲網

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少し前のコメントにNATOに連絡官の派遣がとりあげられていたので、トータルに見ておきます。 

日本のメディアは例によってほとんどスルーしていますが、今年の6月1日から3日にかけてシンガポールで始まった通称シャングリラ・ダイアローグ(アジア安全保障会議)に、NATOのNo2・ガテマラー事務次長が出席しました。 

そもそも、このシャングリラ対話を主催しているのは、なんとはるか離れた英国国際戦略研究所(IISS)という由緒深いシンクタンクです。
国際戦略研究所 - Wikipedia 

英国の有名なシンクタンクが、アジアでNATO諸国と日米の防衛相を集めて「対話」を持つということ自体、たいへんに面白いことです。 

シャングリラというちょっとステキな名前は、開催会場のホテルの名前です。 

実は2002年から毎年開催されて、今回で13回目になります。 

ちなみに、自由主義陣営だけが呼ばれているというわけではなく、毎回中国もお招きに預かって南シナ海の軍事要塞化などで非難を浴びているようです。 

Photo2014年シャングリラ「対話」 中央の軍服が中国軍幹部

さて昨日、ドイツとの同盟は距離があまりに遠いので、大戦中には協同作戦ひとつまともにできなかったと書きましたが、今はややその姿を変えています。 

地域的な経済・軍事的脅威が世界的な影響を与えてしまうからで、一国一国の努力だけではなんともならないことが増えすぎたからです。 

このシャングリラ対話は、防衛大臣クラスが集まって平場で議論して、誤解があれば解き、直すべきところは直していこうじゃないか(ちょっと違うか)という精神で行われています。 

今年のシャングリラ対話では、大きく取り上げられたのは二つでした。 

ひとつは北朝鮮の核の問題、そして南シナ海における中国の軍事要塞化でした。 

日米からは、マティス国防長官と小野寺防衛大臣が出席し、北と南シナ海の現状を説明し、大きな関心を呼びました。 

そしてただの「対話」から一歩進めて、英国のガビン・ウィリアムソン国防大臣はこのように述べています。 

「中国の行動は国際法に明らかに抵触し、航行の自由を脅かしている。英国海軍は三隻の艦船を派遣する」

 またフランスも、フローレンス・パルリ国防大臣も、「公海を航行するに問題はなく、フランス海軍は南シナ海で作戦を展開する」と述べました。 

実はこの英仏艦隊のアジア派遣は、去年のメイ首相の訪日でもふれられていたことで、英国はその意志を鮮明にしたことになります。 

「英海軍の史上最大級の新空母クイーン・エリザベスは、2020年に運用開始の予定だ。日本政府関係者は「英海軍は空母を中国が海洋進出を強める南シナ海に派遣し、日本や米国との共同演習などを通じて牽制(けんせい)する」と説明。米軍による「航行の自由作戦」に参加する可能性もあるという。英国としては、海軍力の象徴である空母を派遣することで、欧州連合(EU)離脱後の孤立化を避け、アジア地域への関与をアピールする狙いがあるとみられる」(朝日2017年8月31日) 

Photo_2英海軍空母クイーン・エリザベス

フランスは空母シャルル・ドゴールを送ってくる可能性もあり、そうなった場合、英仏米の空母、そして海自による共同訓練が南シナ海で行われるかもしれません。

実現すれば、これ以上の国際社会の警告はないと思われます。

一方、ヒール役に徹している観がある中国海軍幹部は、今回も迎え撃ってやるとでもいわんばかりの口調で、こう言っています。 

「中国は合法的に領海の安全を保全しているのであり、12海里の中国領海に侵入があれば、行動に出る」 

Photo_3南シナ海の中国人工島。ほぼ完成してしまった。

よー言うよ、です。 

この南シナ海の中国の横暴極まる人工島建設と軍事基地化については、国際法の裁きは既に下りています。 

2016年7月に、ハーグ仲裁裁判所が明快に中国の言い分を退けており、中国がそれを認めずに、軍事基地化に邁進しているというだけのことです。 

現況で、中国はこの人工島の港湾、滑走路を完成し、電波設備やミサイルを配備し終え、先日にはとうとう念願の爆撃機を発進させたようです。

Chinah6kbombersouthchinaseagetty南シナ海上空のH6k爆撃機

「中国人民解放軍が、南シナ海の島に長距離爆撃機を着陸させることに初めて成功したと発表した。南シナ海を巡っては、人工島の軍事拠点化を進める中国に対し、近隣諸国や米国が警戒を強めている。
人民解放軍は18日、核の搭載が可能な「H6K」を含め、複数の爆撃機の離着陸を成功させたと発表した。どこの島で行ったのかは明らかにしていない。今回の作戦について、地域的リーチの拡大、機動力の向上、攻撃能力の強化を目指す一環と位置付けている」(CNN5月31日)

今、中国は執拗に提訴国のフィリピンのドゥテルテのほっぺたを札束で叩いているようですが、それによって国際法が曲げられるものではありません。 

この流れの中での、NATOとの連携強化の一環としての連絡官派遣です。 

NATO-日本との連絡は冷戦期から続けられてきましたが、この間、それを踏まえて、英仏豪の各政府と、武器弾薬を相互提供し軍事作戦の後方支援も可能にする「物品役務相互提供協定」(ACSA)を締結しています。

フランスやカナダとは作業中ですので、追っつけ交渉が終了するとみられます。

いままでは、これらの国と共同訓練などをする場合、一回一回協定をむすばねばなりませんでしたが、これらを平時からACSAを結ぶことで、スムーズに行うことができます。

逆に、自衛隊が相手国と共同訓練する場合の施設利用もスムーズに行くようになりました。

これは日米同盟につぐ「準同盟」関係とでもいうべきものです。

あくまでも日米同盟が主軸であることにはかわりありませんが、より多角化して太平洋-オセアニア-インド洋に拡がる広域の「友軍」関係となっています。

これらは安保法制によって集団的自衛権が一部容認されなければ、不可能でした。

おそらくは、インドとも同様の協定は結ばれると思いますので、完成すれば中国の横暴を包み込む大きな同盟の環が完成することになります。

ちなみに既に韓国は、去年、この西側の安全保障ネットワークには乗りませんと、中国に誓紙を入れてしまっています。

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「バスに乗り遅れるな」論の危険さ

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先日「蚊帳の外」で議論になりましたが、このなんだかなぁ感はどこからくるんでしょう。 

結論から言ってしまえば、「蚊帳の外」論は「バスに乗り遅れるな」論の亜種だからです。 

結局この「蚊帳の外」論者が言いたいのは、「日本は取り残されている。トランプも乗ったゾ。急いで韓国と北がハンドルを握る話しあいバスに乗れ」ということのようです。 

それに尾ひれのように、「圧力一辺倒のアベは、だからダメなんだ」と続きます。 

私は安倍氏擁護には関心がないので、後者は省きますが、どうも「蚊帳の外」論者の下心はこちらを強調したいようです。 

実はこの「バスに乗り遅れるな」論は、日本がダメ判断をする時の常套的失敗パターンなのです。 

日本人には、「世界の流れに乗り遅れる恐怖症」とでも言うべきものがあって、それがしばしば顔を出します。 

日本がかつての戦争に突入した大きな原因のひとつが、日独伊三国同盟でした。 

今回私の思い違いでなければ、「蚊帳の外」論を主張したと思う毎日新聞さんに説明していただきましょう。 

「バスに乗り遅れるな」と破滅へのバスに飛び乗ったのが戦前の日本である。日独伊三国同盟のことで、ヒトラーの独軍が欧州を席巻した勢いに幻惑され、交渉開始からわずか20日間で調印された。
勝ち馬に乗り遅れるなという意味のこの言葉だが、(略)思惑はどうあれバスは対米戦争へとひた走った」(余録 2016年10月7日)

ま、そんなことです。 

今になると結果を知っていますから、ナチスドイツと同盟を結ぶなどというのは、頭のネジが吹き飛んでいるとしか思えない選択でした。 

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当時の世界は世界恐慌の嵐が吹きすさんでいる1930年代なかばの時期でした。 

実は日本は高橋是清による「ケインズ以前のケインズ政策」をとったことで、いち早く大不況から脱しつつありました。 

にもかかわらず、世界のハデな動きに目を奪われてしまうのですな。 

当時の世界不況からの脱却を牽引したかに見えたのは、ヒトラーのナチスドイツとスターリンのソ連だけに見えました。 

実は高橋財政も、ヒトラー財政も、さらにはスターリン財政も、共通点は積極的な財政投資でした。 

これは不況の際に、大きく不足する民間消費に代わって、国が財政支出で需要を補ってやるというものでした。

是清の場合、これに金融緩和がくっつきます。

金融緩和と財政拡大、どこかで聞いたことがあるでしょう。今、平成の高橋財政をやっているのがアベノミクスですから。 

アベノミクスは当初を別にすれば、財政支出に関してはまったくダメダメで、緊縮方向になってしまっていますが、とりあえず今回は置きます。 

とまれ、当時の日本人は家の中にいたはずの青い鳥を、自らの手で絞め殺してしまいます。 

そして日本人が憧れたのは、こともあろうにナチス・ドイツでした。 

日本は地政学的に見て、ソ連との同盟は前提として成立しませんから、結局英米と協調するしかなかったのですが、はるか遠くのドイツと同盟を結んでしまったわけです。 

同盟関係は、具体的メリットがなければやる意味がありません。 

ドイツと提携することによって英米を牽制できて、日本がより安全になったというならともかく、正反対にヨーロッパ全体をナチス化する戦争をおっ始めてしまったドイツと手を組むなど、馬鹿にもほどがあります。 

それはナチス・ドイツの、ポーランド併合やフランス征服、そして独ソ戦当初の勝利に目を奪われて「バスに乗り遅れるな」と焦ったからです。 

これで日本は必然的に、ソ連まで含む列強すべてを敵に回したことになります。 

まさに四面楚歌。 

ドイツとはるかに離れた極東で、どうやったら四面すべてを敵にして勝てるんだ、というような愚かな状況を自らつくりだしてしまったことになります。 

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このドイツにすり寄って日独伊三国同盟を煽動したのが、朝日新聞と陸軍の一部でした。 

やがて彼らは全体主義的な「新体制」を作りだしていきます。 

朝日にだけは、「歴史を直視しろ」とは言われたくはありません。朝日はただの戦争協力者ではなく、戦争へ転がり込む道の推進者筆頭だったからです。

その上、戦争でドイツとの同盟がなにかの役に立ったというならともかく、犬の餌にもなりませんでした。 

軍事的に協同しようにもあまりにも離れ過ぎているからで、密かに潜水艦で連絡を保つのが精一杯ではどうにもなりません。 

これで日本が「バスに乗り遅れるな」論に警戒感を持つと思ったら大間違いで、またもやらかしたのが1990年夏の湾岸危機でした。 

この時も、世界各国が兵や金を出している状況に焦って、外務省は根拠法すらないのに「早く自衛隊を出せ」と政府をせっつくありさまでした。 

この時だしたカネが、出しも出したり110億ドルです。これだけ出してクウェートからは感謝の言葉ひとつないという無惨。 

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ちなみに出した時の与党自民党幹事長は、はい、あの小沢一郎氏でしたね。 

小沢氏はかつてこのような極端な米国ベッタリ政策をやらかして、今は左翼政治家に華麗な転身を遂げています。 

それはさておき、この時に言われたのがまたしても、「バスに乗り遅れるな」論です。 

昨今では、2015年に中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立した時に、真っ先に英国が飛び込むと、またまたメディアは一斉に「バスに乗り遅れるな」を連呼したのは記憶に新しいところです。 

Photo_4毎日新聞2015年4月3日 

AIIBがいかなる中国の戦略の下に作られたのか、その財政基盤は確かなのか、運営に透明性はあるのかなどいった検証すべきことを全部ふっ飛ばして、ともかく「今、入れ。すぐ入れ。英国も入ったぞぉ。中国様のバスに乗り遅れるな」ですからイヤになります。 

いくら中国の台頭に心奪われても、それが国益にかなうことなのか、落ち着いてかんがえたらよさそうなものです。

派手な状況が眼前に現れるたびに、日本にとって利益はなにか、リスクは何かと天秤にかけず、頭に血が登って「バスに乗り遅れまい」とするといった習癖をどうにかしないと、日本人はまた大変なスカクジを引くことになりますよ。

 

 

 

 

 

 

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北にとって崩壊の「きっかけ」とは

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米朝会談を前にして、さまざまな予測が飛び交っています。 

その大部分は否定的内容で、まったく前進しないだろうというものが圧倒的です。 

特に、元外交官は日米を問わず、よく言ってあげれば慎重、はっきり言って懐疑的です。 

それはそれでいいでしょう。トランプと正恩というようなアクの強いキャラが前面にでているために、見方に幅ができてしまうのは当然のことです。 

6月1日、正恩の巨大な親書を持ってホワイトハウスを訪れたのはキム・ヨンチョル(金英哲)朝鮮労働党中央委員会副委員長でした。 

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またもやこの男です。この人物について説明する必要もないでしょう。ピョンチャン五輪にも来た人物です。

天安号撃沈事件は自分が仕組んだと堂々と述べた男で、長きに渡って北の非合法部門の責任者でした。 

正恩の最側近として君臨している存在で、余人ならぬこの人物が会談を求めてきたということに注目する必要があります。 

朝日新聞ソウル特派員の牧野博愛氏はこう述べています。 

「当時の米国務次官補、クリストファー・ヒルは、交渉相手だった北朝鮮の外務次官、金桂寛(キム・ゲグァン)が、完全な申告については「軍が許さないと繰り返した」と振り返る。
北朝鮮の関係筋に背景を尋ねた。当時、北朝鮮の外務省には核開発を話し合う「常務組」という省庁横断の会議があった。必ず外務省で開かれたが、「何も知らない外務省に、軍や国家安全保衛部(秘密警察)が、交渉に必要な知識だけを与える会議だった」と語る。
北朝鮮では90年代に旧ソ連からの支援が途絶え、災害が重なったことで経済が苦しくなった。総書記の金正日が体制を守るために選んだのが、軍が全てにおいて優先する「先軍政治」だ。
軍の論理が先んじる北朝鮮を、国際合意や外交の論理で説き伏せることは難しい。軍を説き伏せられるのは誰か。北朝鮮が「最高尊厳」と呼ぶ、指導者の金正恩しかいない」(「核とミサイルで体制を維持する金一族の論理とは」

https://globe.asahi.com/article/11529423

キム・ゲグァンの名がまたも出てきましたが、例の「追い詰めるなら会談を流してもいい」と口走って、本当にトランプから会談中止を引き出してしまった人です。 

牧野氏がいうように、北の外務省にはなんの決定権もありません。北のみならず共産圏の国家は、党が政府の上部にあるので、党、すなわちその委員長の正恩がすべてを仕切っています。 

組織的には、北の行政組織で南北対話を担当するのは祖国平和統一委員会ですが、それはフロントにすぎず、実際は党統一戦線部、あるいは225局です。 

対外政策は党国際部ですが、最終的には正恩に行き着きます。 

ですから、この親書を持ってきたのがキム・ゲグァンだったのならば、北の腹はまだわからないことになりますが、キム・ヨンチョルを出したとで、かつてクリストファー・ヒルか嘆いたように「軍が許さない」ということはひとまずはない、ということになります。 

言い換えれば、軍の一定の了解があって会談に望むということで、ゼロ回答はないということです。

北は先日、軍の最高幹部の3名を入れ換えました。

少々長いですが、それを報じる最新のニューズウィーク(6月6日)を引用します。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/06/post-10320.php?t=0

「北朝鮮で新たに選ばれた軍幹部3人は、同国指導者の金正恩(キム・ジョンウン)氏に対し絶対的な忠誠心があることで知られ、トランプ米大統領と取引して大転換を迫られることになっても、それを受け入れるのに十分な柔軟性を備えていると、北朝鮮専門家たちは指摘する。
米高官と北朝鮮指導部を分析する韓国の専門家らによると、この3人は、最近解任されたより保守的で年配の幹部と交代した。
米国が交渉によって北朝鮮に核プログラムを放棄させようとする中、北朝鮮がこれまでの核兵器開発と敵対姿勢を完全に転換して、金正恩・朝鮮労働党委員長が米韓と交渉することについて、北朝鮮の軍内部で反発があったのではないかと米当局者はみている。解任された高官らが反発していた当事者であったかは明らかではない」。
(略)
これら人事刷新が12日にシンガポールで開催される米朝首脳会談を目前にしてまとめて行われたことは衝撃的である。
金委員長が、核政策に固執する年配の高官を、同首脳会談後にいかなる変化が起きても従う忠誠心の強い「イエスマン」とすげ替えていると一部の専門家は指摘する。
「米朝首脳会談では非核化に向けたロードマップが示されることになる。そうなれば金(正恩)氏にとって、核プログラムの放棄に激高しかねないタカ派を軍の要職に置いておくことは厄介なだけだ」と、韓国のシンクタンク、世宗(セジョン)研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)上級研究員は語った」

またほぼ同時期に北が米朝会談の準備協議に際して、拉致問題を出したと、河野外相が国会で述べています。

「河野太郎外相は4日の参院拉致問題特別委員会で、米朝首脳会談の準備のために行われている米朝間協議について、北朝鮮による日本人拉致問題が議題に上ったと明らかにした」(毎日6月7日)

私はまったく楽観はしていませんが、完全非核化と拉致被害者解放を飲む可能性はあり得ると思っています。

私はこの状況に日米が北を「追い込んだ」と捉えますが、間違っていたとしても問題ではありません。 

会談までのいきさつは、会談後に各方面からさまざまなリークがあるでしょうし、おしゃべりなトランプがペラペラしゃべるでしょうから、それまで待てばいいだけのことです。 

私が言い続けてきているのは、元外交官諸氏が、トランプを憎むあまり対北外交そのものまで不当に非難していることです。 

同じ現象は形を変えて安倍氏にも向けられており、例の「蚊帳の外」論となります。

たとえば、かつてのジャパン・ハンドラーだった元米国 NSC(国家安全保障会議) アジア上級部長・マイケル・グリーンは、次のように言っています。 

「トランプ氏は、その場の『空気』で不十分な取引を決断しかねない。日本を射程に収める短・中距離弾道ミサイルを取引から外したり、平和協定を口実に持論である在韓米軍の撤退まで持ち出したりするかもしれない」(6月2日 読売新聞)

グリーンが危惧するのは短・中距離弾道ミサイルや、在韓米軍を取引のカードにするのではないかという危惧です。 

その危惧はよく分かりますが、非核化がテーブルに乗る直接会談に持ち込めたのは、トランプの功績であることを忘れてはいけないと思います。 

トランプが取った手法があまりに破天荒で、ワシントンや霞が関のエリート外交官にのとってきた手法と、まったく別次元だったために、成果自体まで全否定してしまう愚をおかしているように思えます。 

仮にトランプの目的が中間選挙目当てであろうと、ただの目立ちたがり屋であろうとも、そのようなことは本質的にはどうでもいいことです。 

北との直接会談において「完全非核化」を突きつけることができた、その一点で評価すべきです。 

また、会談が複数回になるということは、私自身も危険だとおもわないではありませんが、これ以上の制裁を北が望むかどうかにかかっていると思っています。 

北の現状を朝日もこう伝えています。 

「国の食糧配給システムは崩壊し、国営企業も仕入れが難しくなった。人々も企業も市場で物を自力で売り買いせざるを得ない。全国440カ所以上の市場で遣われる通貨はドルや中国の人民元だ。ウォンには信用がない。
 当局は、企業や協同農場ごとに独立採算制を認め、一定金額を国に納めれば、残りは自由に使える「インセンティブ制」も採り入れた。北朝鮮の経済はここ数年成長しているが、人々や企業による「生存競争」の結果だ。思想統制は依然厳しいが、市場では「大事なのは思想ではない。食べていくことだ」と人々が口にするという」(朝日5月30日「動く北朝鮮」)

 この記事で注目すべきは、従来の社会主義的供給方式がほぼ崩壊しているということで、代わって統制経済の枠外の自由市場で、国民は命をつないでいるという点です。

2017013100067200roupeiro0004view北の自由市場 アジアプレス
http://www.asiapress.org/apn/2017/02/north-korea/post-53131-nk-korea-poto/

「配給制が崩壊した後、生き延びるために民衆は当局の統制から離れて勝手に経済活動を始めた。自然発生した市場は拡大の一途で、この新興の市場通じて、北朝鮮国民の多くは、配給がなくても食糧にアクセスする術を手に入れたのである。閉鎖体制は相変わらずだが、中国から入って来る商品と情報によって、人々の意識も大きく変化した」
(2017年2月1日アジアプレス 前掲写真と同じ)

 この自由市場では、北ウォンなどは紙クズで、中国元か米ドルだけしか通用しないというのです。 

また生産部門においても、割当制ではさっぱり生産があがらないために、企業体のやる気が出る一部自由生産を認めました。 

農業部門では、協同農場では働かず、自分の家の前の菜園では死に物狂いで働いて、自由市場に出荷して、ドルを稼ぐ農民があたりまえとなったようです。 

この状況は、かつてのソ連崩壊前夜の状況を彷彿とさせます。 

計画経済が破綻したのは、その内在的な矛盾が主な原因でしたが、完全に倒壊するには「きっかけ」が必要でした。

それがソ連の場合には、レーガンによるスターウォーズ計画に引っ張り込まれた軍拡で、その経済的しわ寄せに耐えきれずソ連はもろくも内部崩壊を起こしました。 

北もまた、国のリソースを使い切るような狂信的な核武装化が行き着くところまで行き着いた結果、国民経済は崩壊し、慢性的飢餓がはびこります。 

その結果、腹が減って動けない国民を働かせるために、自由生産の一部解禁と自由市場を認めたわけです。 

非核化を、この北の内在的な矛盾とからめて見ていかなければ、まるで北の核は絶対的存在であるかのような幻想にとらわれてしまうことでしょう。

北の体制は矛盾の飽和点に達しました。このような北の内在的危機を見ずに、非核化を論じても仕方がありません。

北にとってもこの米朝会談は、その選択次第で体制崩壊の「きっかけ」となりえます。

米国の軍事的圧力、あるいは経済制裁は、あくまでも内在的矛盾の爆発をもたらす、ひとつの「きっかけ」にすぎません。

北が非核化を蹴ることは可能です。その場合軍事攻撃か、最低でも制裁の強化は不可避となります。

軍事攻撃シナリオのほうはトランプが決めることですから、なんとも言えませんが、制裁解除は非核化が絶対条件な以上、何らかの形で拡大継続されるはずです。

そしてこれを「きっかけ」に、仕掛けられた時限爆弾が北の国内の深部でカウントダウンを刻み始めます。

正恩にとって真に恐怖すべきは米国の空母ではなく、この「きっかけ」の時限装置のスイッチを入れてしまうことなのです。

ランプは正恩に、こう言ってやるべきでしょう。

「いいよ、非核化を蹴って帰りたまえ。その場合、制裁は半永久的に継続されるだろう。それにどこまで諸君らの国が耐えられるかね?」

■改題しました。

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もうひとつの忘れられた脅威・ロシア

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日本では意識的にか、無意識にか、いつのまにか「準友好国」となってしまった国があります。 

それはロシアです。 

日本人は無関心なようですが、ヨーロッパにおける不変の脅威はロシアです。 

プーチンは、現在進行形で、不可避な破滅コースを邁進しています。 

2014年3月のクリミア侵攻から始まった旧版図奪還戦争は、リトアニア、ラトビアまで現実的な戦争の脅威として認識されるまで成長しています。 

この両国はいうまでもなく、その隣国のスウェーデン政府ですら、全所帯にロシア軍が侵攻した場合や、核攻撃を受けた場合の避難手順を記したガイドブックを配布しています。 

弾道ミサイルの通過に対して警報を鳴らしただけで、野党とメディアが大騒ぎする国とはえらい違いです。 

ロシアによる英国における露スパイ暗殺未遂事件に際しては、欧米28カ国が結束して、プーチンのこの暴挙を非難し、露外交官の追放措置にまで及んでいます。 

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「英政府は、23人のロシア外交官を国外追放、あらゆるレベルの高官対話を中止、モスクワでのW杯への王室メンバーと閣僚の出席を見合わせるなどの対抗措置をとった。ロシアは関与を否定し、同じく23人の英外交官を報復として追放した。

3月15日に仏独英米首脳の共同声明、3月19日にEU加盟国外相の共同声明、3月22日にEU加盟国首脳の共同声明などが発せられている。この中から、EU首脳共同声明を以下の通りご紹介する。
 欧州理事会は、ソールズベリーにおける襲撃事件に対し、最も強い調子で非難し、生命を脅かされたすべての人々に最も深い同情を表明し、進行中の捜査を支持する。事件の責任はロシアにある可能性が高く(highly likely)、それ以外の妥当な説明はない、とする英政府の評価に同意する。我々は、我々の共通の安全保障に対するこの重大な挑戦に際し、無条件に英国と連帯する」(岡崎研究所2018年4月2日)

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12332 

この事件が強い非難を浴びている理由は、単に外国の主権下にある都市において自国のスパイ(二重スパイ)を暗殺しようとしただけにとどまらず、明確に国際条約で禁止されている化学兵器ノビチョクを使用したことです。 

ノビチョクは神経ガスで、VXガスの6倍から8倍の威力を持つとされる非人道兵器です。
ノビチョク - Wikipedia 

ちなみにこのVXガスは、北朝鮮が正男の暗殺に用いたもので、これも公衆の面前て白昼堂々と実行されています。 

今回のスクリパル親子に対するだけではなく、2006年にロンドンでロシアの反体制活動家アレクサンドル・リトビネン氏もポロニウムで殺害されています。 

その他にもロシア国内でのジャーナリストや反政府活動家に対しても、半ばおおっぴらに使用されたと言われています。 

このリトビネンコ親子暗殺未遂事件で、欧米が結束してロシアに強い警告を送ったにもかかわらず、日本のみはそれに加わりませんでした。 

他国の主権下において国際条約で禁じられている化学兵器を使用するというオプションを持つ国に北方領土問題があるからと言って、「友好」などという間違ったシグナルを送るべきではありません。 Photo

このような国際社会の大原則を破ったロシアに対しては、相応の報いを受けさせるべきであって、わが国のみが制裁破りに等しいことをすべきではありませんでした。 

北方領土は国際社会においていわば「私事」に過ぎませんが、日本だけは孤立しているロシアにとって格好の制裁破りの出口になってなっています。

日本はクリミア併合に対する国際的制裁に加わったために、一気に日露関係を悪化させてしまいました。 

それによって、北方領土問題を議題に乗せることはおろか、経済協力すらできない状況となってしまったわけです。 

日本嫌いの15年8月にメドベージェフ首相が択捉島を訪問したことに抗議した日本政府に対してロゴジン副首相はが言った台詞がこうです。 

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言うも言ったり。「日本人はハラキリして落ち着け」 

それをなんとかプーチンとの個人的信頼関係を構築して、涙ぐましい努力で「正常化」させたのが、安倍首相です。 

しかし、ロシアの暴走は止まるどころか、エスカレートし続けています。

今日は長くなりますので、別稿にまわしますが、シリアにおけるアサド政権の国民虐殺にも、ロシアとイランは深く関与していますが、日本はこれについても沈黙しました。

これでは、北の核や化学兵器について日本が制裁をしていることが、まるで「私事」となってしまいます。

国際社会には、この日本の対露政策の大甘ぶりは異様に写っているはずで、これでは日本がいくら北の核の脅威を叫んでもつや消しというべきではないでしょうか。 

私は安倍首相の対露政策は、外交上の大きな間違いだと考えています。

日露首脳会談というと、パブロフの犬よろしく北方領土としか報じないメディアによって、国民は目を曇らされていますが、ロシアと語るべきはそれだけではないはずです。

ドイツは2回国を滅ぼして、やっと国際社会と強調することを覚えました。

日本も一回国を滅亡の淵に追い込んで、いかに国際社会における孤立が危険なのかを覚えました。

ならばロシアも、今一度、国を滅ぼすことをせねばならないということなのでしょうか。

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北を会談に引きづり出したのは制裁圧力があったからだ

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「相変わらず」さんという人からあいかわらず、日本は「蚊帳の外」というコメントがありました。 

このブログにおつきあい頂いている方はご承知のように、実はこの議論はこのブログでは終わっています。 

「蚊帳の外」論とはどんなもので、誰が言っているのでしょうか。

言っているのは、日本の反安倍の野党・メディアと、その界隈の文化人たちですが、むしろ火元は韓国のムン政権に近い人たちと北のシンパ層です。

この人たちは共通の立場は、北と話合っていけばすべては丸く治まるという考え方で、圧力をかけるのは「弱いものいじめだ」などと言って、核をふりかざして国際社会の脅威になってきた北の恫喝外交の歴史をつごうよく忘れてしまっています。

この人たちにかかると、国際社会の脅威はむしろ圧力をかけつづけている米国トランプとその同盟者である日本の安倍ということになります。

まるで鏡の国の世界ですね。ほんとうにそうでしょうか。正反対です。

このような人たちは、北がこの時期になぜ会談に応じたのか、その原因を見ようとしていません。

理由はわかりすぎるほど明確です。

米国がこの1年間極めて強い軍事的圧力や経済制裁を加えてきたために、北はこのままでは国家として存続することすら難しいところまで追い詰められたからです。 

「蚊帳の外」論の人は、北が余裕しゃくしゃくだと、ピョンヤンあたりを見ていいますが、ピョンヤンという都市が特権階級のみが居住することを許されたディズニーランドだということを伏せています。 

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北に対する経済制裁は極めて効きました。 

この米国と日本が主導し、中国に圧力をかけることによって完全な包囲網が出来上がってしまったことが、北が会談せざるをえなくなった最大の理由です。 

たとえば、北は中国貿易に9割依存していますが、北の対中輸出は昨年対比(2018年1月)にはなんとその8割を喪失しています。

「韓国の対外経済政策研究院(KIEP)の報告書によると、2017年の北朝鮮の対中貿易規模は前年比で14.5%減少した。対中輸出に限ってみると前年比37%減少した。その傾向は昨年下半期より顕著となり、報告書は「封鎖のレベルまで縮小する趨勢に入ったことを示唆する」としている。
その傾向は、昨年12月に国連安全保障理事会で採択された制裁決議2397号により、さらに悪化している。韓国貿易協会の集計によると、制裁採択後の今年1月の北朝鮮の対中輸出額は3641万ドル(約38億6500万円)で、昨年1月の2億110万ドル(約213億4800万円)と比べると8割減となった」デイリーNK2018年3月19日)

北の対中輸出は国連制裁決議2397号によって、事実上の「封鎖レベル」にあります。

「2018年1月の輸出品目を見ると、土石類と塩、野菜、果実とナッツの順で、金額では約1800万ドル(約19億1000万円)となっているが、制裁決議2397号により1月中旬以降は輸出ができなくなった。つまり、一連の衛星写真は「ほぼ封鎖レベル」が達成された後の状況を示す」(前掲)

これが、北が南を介して、米国に会談を求めた最大の原因です。

ウクライナ侵攻問題のために、同じ経済制裁を受けているロシアと比べてみましょう。 

ロシアの主力輸出品は天然ガスですが、これはパイプラインを通して欧州へ供給されています。 

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西欧はそのエネルギーの多くをロシア産天然ガスに依存しているために、これを制裁で止めてしまうと、これらの国の経済と社会を破壊してしまうことになります。 

また、金融制裁でロシアへの金の流れを止めてしまいたいのですが、これも締めつけすぎると今のドル建てからユーロへの決済の変更が進むことになります。 

これは米国にとっても大きな不利益になりかねません。

したがって、対露制裁強化には自ずと限界があるわけです。

では、ひるがえって北はどうでしょうか? 

20130306_01_k1http://www.asiapress.org/apn/2014/02/north-korea/post_5197/ 

上の写真は、北の女性二人が道に転がった石炭を拾い集めているものです。(撮影 アジアプレス)

「筆者が北朝鮮に住んでいた頃もそうだった。人々の居住地域の周辺では、木はもちろん、背の高い草を見かけることは無かった。みな、刈り取られて焚き もの燃料に姿を変えてしまった。そのため、住民ははるか遠くの山まで焚きものを得るために出かけることになる。だが実際は、山にはもはや何も残っていない のである」(アジアプレス前掲)

北朝鮮という国は、核兵器を保有するために、一点豪華主義よろしく国家リソースのすべてを注ぎ込んでしまった国です。

こんな国は毛沢東時代の中国にしか類例をみないもので、中国のような大国ですらその経済政策の失敗とあいまって、多くの餓死者を出しました。

ましてや元々貧しい国の北がこれをやれば、どうなるのかわかりきっているはずですが、まさに正気の沙汰ではありません。

なにせたった一基の長距離弾道ミサイルを作る金で、国民の1年間分の食料の過半を輸入できてしまうのですから、馬鹿な話です。

その結果、国民は飯が食えず、電気もなく、極度の人権抑圧社会で暮らす収容所社会です。

千代丸のような肥満体は正恩だけで、残りの国民は一握りの特権階級を除けば飢餓線上にあります。

北の世界経済への寄与は限りなくゼロであって、北の輸出がなくなると困る国はただの一国もありません。

失礼ながら、北は核さえなければ、世界貿易市場での位置などあってなきがごとしの世界最貧国にすぎないのです。 

したがって、ロシアと違って北への経済制裁で困る国はありません。おっと、北にマネーロンダリングしていた中国の金融機関は別ですが。

輸入は弾道ミサイルや核兵器部品の買いつけ、輸出はわずかの海産物以外には弾道ミサイルや武器、毒ガスといったしゃもないものです。

そのための決裁通貨のドル調達を中国の金融機関を通じてやっていることがバレて、これも制裁対象となっています。 

Photo_2火星15 。正恩が視察している

ですから、このドル調達をするための対中貿易が封鎖された場合、北は核兵器も弾道ミサイルも作れず、食料も買い込めないことになります。 

よく北経済の実情を知らない人は、北が今でも着々と長距離核ミサイルを製造し、核兵器を作り続けているという人がいますが、どこにそんな金があるんでしょう。

楽観は禁物ですが、今は停滞ないしは停止状況にあるはずです。

それは部品買い付けのためのドルの枯渇という台所事情があるからです。

米国は当初、直接的なミサイル開発に直接関与した企業や個人の資金を凍結し、金融市
場からの排除を進めてきました。
 

しかし制裁強化策の一環として去年8月から、直接的関与だけではなく、北がドル獲得の手段としていた貿易そのものを封鎖することにしたわけです。 

この凍結された口座には、おそらく金家の豪奢な生活を支えていた海外の隠し財産口座も含まれていたはずで、正恩にとって個人的には、これも痛かったことでしょう。 

これが決め手になって、正恩はロープ際まで追い込められたのです。 

北を会談まで追い詰めたのは、このような日米主導の制裁圧力があったからです。 

これを否定したい人たちは、日本は「蚊帳の外」だ、ムン・ジェインとキム・ジョンウンが「平和」を作ったのだ、と言いたいようです。 

ムンが米朝会談のきっかけを与えたのは確かですが、今にして思えば、それすらトランプの手の平の上で踊っていただけともいえます。

トランプは、圧力を強化して遠からず正恩を会談場に追い込もうとしてわけで、だから即座に会談に乗ったのです。

一方ムンが会談を言い出したのは、正恩と結託して南北雪解けムードを演出して、米国に制裁解除をさせ、CVIDを中途半端な形で終わらせるためにやったことでした。

しかし、それを一枚上の役者であるトランプに逆手にとられて、今やムンこそ「蚊帳の外」です。 

「蚊帳の外」論の人たちによれば、平和条約を結んで国交正常化すれば、北は拉致被害者を返し、核も自主的に放棄するという考えのようです。 

楽観論とすら言えない愚論です。

そんな北の「善意」を信じられるくらいなら、何十年も前に北は自ら核を手放しています。

 

 

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トランプ殿、ご乱心か?

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トランプ氏という人物は、どこまでが駆け引きで、どこからが本気なのかよくわからないので、難儀させられます。 

それにしても、会談を目前にしてこんなことを言い出すのは、カンベン願いたいものです。 

「トランプ大統領は1日、ホワイトハウスで北朝鮮のキム・ヨンチョル朝鮮労働党副委員長と面会し、キム・ジョンウン委員長からの書簡を受け取ったあと、記者団に対し、史上初となる米朝首脳会談を当初の予定どおり、今月12日にシンガポールで開催すると明らかにしました。
そのうえで、トランプ大統領は「キム委員長は非核化に取り組む決意だと思う。首脳会談はお互いを知る機会でプロセスの始まりになる。最終的には成功するだろう」と述べ、非核化の実現に向けて強い意欲を示しました。
ただ、「会談で何かに署名するようなことはないだろう」とも述べて、12日の首脳会談で合意文書の署名には至らない可能性を示唆し、首脳会談は1回にとどまらず、複数回にわたることもあり得るという考えを示しました。
また、トランプ大統領は、キム副委員長とは制裁や朝鮮戦争の終結をめぐって意見を交わしたと明らかにし、首脳会談でも戦争終結が議題になる可能性があると指摘しました」
(NHK6月2日)

この台詞をそのまま解釈すれば、シンガポール会談はなんのことはない「知り合うため」にするので「署名には至らない」という意味にとれます。 

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今まで、米国は北に対して、「CVIDするかしかないぞ。後はないからな」という追い込み方をしてきたはずですが、ここに来て急にトーンダウンさせています。 

現実的には複数回になることは避けられないでしょうが、今までトランプは北がCVIDを呑まなかったら、会談は5分でお終いだ、ということを言ってきたはずです。 

その非妥協的な言葉に尻を蹴飛ばされて、北は会談に「追い込まれた」わけで、会談でハナからそう言ってしまってはお終いです。 

北が意図するのは、先日書きましたが、だらだら化です。 

非核化には、総論賛成・各論反対で会談を繰り返し、何一つ具体的なことが決まらないまま、じゃあ関係国で話あっていこう、という「プランB」に移行することです。 

なんのことはない、中国やロシアを後ろ楯にして六カ国協議の第2ラウンドとなるわけで、これではなんのためにこの1年間圧力強化をしてきたのか意味がわかりません。 

また、特使できているキム副委員長とは、「制裁や戦争終結」について話したと述べています。 

おいおい、制裁解除について北と話すのは早すぎます。 

「戦争終結」とはムン・ジェインが熱望する朝鮮戦争終結宣言のことですが、これはCVIDを北が呑んだ結果としてそうなるのであって、初めから制裁解除を議題化することは無意味なばかりか、有害です。 

おそらくトランプは鼻先にニンジンをブラ下げて、CVIDとのディールだとやりたいのかも知れませんが、間違っていると思います。 

このような困難が予想される交渉に当たって大事なのは原則保持、言い換えれば、融通のなさ、頑固さこそが今の段階の最良の武器なのです。

一方、マティスが厳しい態度を崩していないのが救いです。

「マティス米国防長官は、北朝鮮が国際的な制裁からの救済措置を得られるのは同国が非核化に向けて不可逆的な動きを示した場合のみだと述べた。
マティス長官は3日、シンガポールでの日米韓の防衛相会談を前に、「われわれはせいぜい交渉に向けた困難な道のりを見込むことができるにすぎない」と発言。「国防・防衛担当大臣として、われわれは強力な共同防衛スタンスを維持する必要がある。そうすることで3カ国の外交官がこの極めて重要な時期に冷静に交渉を行うことができる」と語った」(ブルームバーク6月4日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180604-57397568-bloom_st-bus_all 

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一方、この対北交渉と連動しているのかどうか不明ですが、トランプは自分が始めたはずの中国に対する制裁を緩めようとしています。 

「米紙ニューヨーク・タイムズは25日、米政権の制裁で経営危機に陥っていた中国通信機器大手・中興通訊(ZTE)について、トランプ政権が制裁を緩めることで中国側と合意し、議員らに説明したと報じた。ZTEへの制裁は、通商協議で中国側に圧力をかけるための切り札となっていた」(朝日5月26日) 

米国の反トランプ・メディアはこの影に、トランプ父子の中国利権があるというスッパ抜きです。 

「習近平とのコネがあるトランプ父娘にとって対中ビジネスは思うがまま。お返しにトランプは対北朝鮮禁輸を破ったZTEへの制裁緩和に同意した。これが、トランプの大統領就任当初から危惧されていた利益相反だ」(ニューズウィーク5月29日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/zte.php?t=0 

これについて論評できるだけの材料が、私にはありません。 

本当ならば、トランプは自分の対中利権を得るために経済制裁を開始したことになるわけですが、その場合、私のトランプ観は変更を迫られることになりますが、なんともいえません。 

ただし、対中経済制裁緩和をしたくとも、議会共和・民主の双方からふざけるなと突き返されているようです。

「こうした動きに対し、野党・民主党上院トップのシューマー院内総務は25日、「習氏の大勝利だ」と批判。与党・共和党のルビオ上院議員も「中国は手加減なしに自国企業をスパイ活動に使っている。議会は行動する必要がある」として制裁緩和の阻止に意欲を示した。」(毎日5月27日)
https://mainichi.jp/articles/20180527/ddm/008/020/118000c

中国ZTEは人民解放軍系の国有企業で、長年、米軍や政府の秘密情報を盗んでいたことは知られていて、対イラン制裁破りでも議会に虚偽の証言をしたことがバレています。

まったくどうしようもない企業で、ZTEを安全保障上の脅威と呼ぶことは正しいとしても、EUや日本、カナダ、メキシコまでに高関税を課そうとするに至っては、殿、ご乱心です。

貿易戦争をしたいのなら、主敵の中国に絞ってやりなさい。味方陣営への周辺爆撃は迷惑です。

これはトランプが最重要と位置づけている中間選挙が目当てだと言われていますが、救済するはずの米国自動車産業からも、「輸入鉄鋼が値上がりすれば、米国製自動車も高くなって不利になる」と総スカンを食っています。

「ニューヨーク=時事】米政府が31日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をこれまで除外してきた欧州連合(EU)とカナダ、メキシコにも適用すると決めたことで、米自動車業界からは「逆効果になる」などと懸念の声が相次いだ。
 日欧韓の自動車メーカーなどで構成される米業界団体グローバル・オートメーカーズは、輸入制限で原材料などの価格が上昇すれば、不利益を被るのは米産業と消費者だと指摘。米国が報復関税を課される可能性にも言及し、「打撃はさらに増大する」と警告した」(日刊工業6月1日)

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00475882 

この理由なき関税引き上げによって、米国はただでさえイラン核合意離脱で険悪な仲になっているヨーロッパと決定的に関係を悪化させ、さらには日本との関係にもひびを入らせる結果を招いています。

トランプ殿、気を確かに持ってくだされ。

 

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日曜写真館 異界につながっていそう

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北はCVIDに 総論賛成・各論反対で来るだろう

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北と米国が事前協議を始めたことで、北が何を言っているのか、その輪郭が見え始めました。

「【ワシントン聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)の側近、金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長兼統一戦線部長が1日午後(日本時間2日未明)、トランプ米大統領とワシントンのホワイトハウスで会談する。金正恩氏の親書をトランプ氏に渡し、前日の朝米(米朝)高官会談での議論事項に対する正恩氏の最終立場を伝えるとみられる」聯合6月1日)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2018/06/01/0200000000AJP20180601004300882.HTML

Photo_3ニューヨークでの会談で握手を交わす金英哲氏(左)とポンペオ氏(ポンペオ氏のツイッターより)=(聯合ニュース) 

北において外交部などの地位は低いので、ここで党の統一戦線部長が出てくるのは、北の本気度を示すものではあります。 

おそらく北は、正恩は親書の中でCVID(完全・検証可能・不可逆的非核化)に合意する文言を散りばめているはずです。 

ひょっとしたら「尊敬する偉大なるトランプ閣下」くらいのことは言っているでしょう。言うのはタダですから。 

しかし、米側が北に対して示す餌が足りないと言っているはずです。 

つまり、米側が差し出した「体制保証」の具体化と、経済的利益ではCVIDが出来ないと言っていると思われます。 

ただし、拒否はしていません。あくまでも総論賛成・各論協議で、米側の妥協を求めているようです。 

さて、元外交官の宮家邦彦氏はこの会談直前までもつれ込んでいる事前協議をとらえて、皮肉っぽい口調でこんなことをしゃべっていました。 

「2週間前になって何をやっているのだ、ありえない。通常は1年かけてやるものだ。だからトランプの思いつき外交はダメなんだ」(6月1日ニッポン放送飯田浩司のOK! Cozy up!) 

外交のプロの皆さんが十数年にわたって六カ国協議でダマされ、経済支援をしたり、軽水炉まで作ってやって、つまるところ見事に先代にいっぱい食わされたわけです。 

六カ国協議の米国代表だったクリストファー・ヒルは、「CVIDにビール一杯も賭けない」などと言っています。 

このヒルが対北外交を仕切っていた時期に、北は核製造と弾道ミサイルの基盤を作り上げて、3代目に引き継がせてしまったのです。 

忘れたのかな、ヒルさん。あなたは今の事態を作ってしまった消極的共犯者ですよ。 

そして今や北は「核保有国」を宣言し(ウソですが)、事実、長距離核まで完成寸前のありさまです。 

この時間を与えたのは、外交のプロの皆さんです。北の時間稼ぎにいいように使われただけです。 

トランプ政権になってからも、米国務省のジョセフ・ユンといったプロ外交官が、北とバックチャンネルで水面下の交渉していましたが、なにひとつ事態は進展しませんでした。 

進展したのは、米国の軍事力を背景とした圧力があったからで、プロ外交官の出番はほとんどありませんでした。 

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 トランプのハッタリじみた言動を、宮家氏のような上品な外交のプロが嫌うのは理解できますが、ではプロ外交官の皆さんにお聞きしたい。 

ここまで北を増長させてしまったのは誰でしょうか?時間稼ぎをせたのは誰? 

そしてどうしたら、今、北の核をとりあげられるのでしょうか?対案を言って下さい。批判するだけなら猿にでもできる。 

トランプを素人バカ呼ばわりは簡単ですが、北のマッドマン・セオリに勝つには、その上を行くような「狂いっぷり」が必要だったと私は考えています。 

トランプのマッドマンぶりは計算された仕掛け、彼流にいえばディールであったことが、やっと私たちにもわかりかけてきました。 

直接会談は、トランプのような素人でしかできない博打的要素がたっぷりありますが、今、押し込まれているのは正恩のほうです。 

それは正恩が、中国に2回も泣きつき、ロシアのラブロフ外相に直接に面談する姿を見れば納得がいきます。

「ソウル=恩地洋介 北朝鮮の朝鮮中央通信は1日、5月31日の金正恩(キム・ジョンウン)委員長とロシアのラブロフ外相の会談内容を詳しく伝えた。金正恩氏は非核化を巡り「新しい方法で各自の利害に沿った解決法を探って、段階的に解決していくことを希望する」と主張。「朝鮮半島の非核化に関する意志に変わりなく、一貫しており、確固としている」とも語った。
 ラブロフ氏は「北朝鮮の決心と立場をロシアは全面的に支持する」と述べた。両氏は金正恩氏とプーチン大統領の首脳会談実現をめざすことで合意した。」(日経6月1日)
 

Photo_2ラブロフ外相と正恩

本来、国家元首は相手国の外相レベルとは面会しないのが、外交プロトコルなのです。この間、正恩は米露の外相と相次いで面談していますが、大変に異例なことです。 

ポンペオは大統領の親書を持ってきた可能性があるので致し方ないとしても、直接なんの関係もないラブロフとまで会えば、いかに自分が窮地に陥っているのかをさらけだすようなものですからね。 

いま、中露をバックアップにつけなければどうにもならないところまで、北は袋小路に押し込まれていると、自分で白状してしまったようなものです。 

「38ノース」のジョエル・ウイット氏にいえば、中国をバックにした「プランB」を使おうとする正恩に対して、そのような意図を見透かして、トランプはまたもやマッドマンぶりを発揮し、会談を拒否して見せました。 

フツーここまで煮詰まったら、会談を流すだなんて言い出しませんよ。 

その意味するところは、ただ正恩のハードルを高くしただけではなく、これ以上中国にすり寄ると、会談すべてを流すぞという恫喝です。 

役者やのぉ、と思います。 

北側は表面的には、CVIDを拒絶はせずに、各論である「完全非核化」とは何を指すのか」とか、「検証可能性」の検証はどのようにするのかとか、「不可逆的」とはなんなのかなどという各論でゴネまくると思われます。 

そして、トランプが既に言っているように、会談を数回に分けてしまって、ともかく引っ張ることを目指すはずです。 

交渉中は軍事力行使は不可能だからですから、出来れば5年、10年交渉を続けていたいのでしょう。実際、六カ国協議はこの手を使われました。 

現実には、米国はこの引き延ばしにのらないでしょうが、数回の幅での延長は合意するでしょうから、その間に「38ノース」ご推奨の「プランB」に移行します。 

つまり中露韓をバックにつけて、米国の要求を値切りまくるというわけです。宮家氏がいうには、「そのうちトランプは飽きるんじゃない」とのことでした。 

もしそのような展開になれば、北の勝ちです。非核化の手順についてヘッカー教授の専門的解説がありましたので、アップしておきます。

[追記]
シンシアリーさんのブログによれば、シンガポールにおける米国と北の外務当局者による会談準備が一時停止られ、追加接触をしていないようです。

原因は不明ですが、両首脳からの指示待ちのようで、まだ流れる可能性が残っているということのようです。

                                  ~~~~~~~~~ 

ハンギョレ2018年5月30日
http://japan.hani.co.kr/arti/international/30721.html 

■北朝鮮の非核化まで最長15年…段階的な解決策は避けられない
物理学者ヘッカー教授、「3段階ロードマップ」を提案- 
1段階:1年で軍事的・人的活動を中止 
2段階:4年で核団地・武器・施設の削減 
3段階:5年で核兵器の除去・NPT加盟 
「政治状況によっては10年以上かかる可能性も」
 

152761983440_20180530_2ジークフリード・ヘッカー米スタンフォード大学教授 

世界的な核物理学者ジークフリード・ヘッカー米スタンフォード大学教授が、北朝鮮の非核化作業が終わるまでは最長15年はかかるとし、「段階的非核化こそが解決策」だと明らかにした。 

ドナルド・トランプ政権が北朝鮮に「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を速やかに済ませることを要求する中、この分野の最高権威者がそれは非現実的だと指摘したのだ。米国ロスアラモス国立研究所の所長も務めたヘッカー教授は、2004年から2010年まで4回も北朝鮮を訪問し、北朝鮮のウラン濃縮施設を直接確認した。 

 ヘッカー教授は28日(現地時間)、スタンフォード大学国際安保協力センター(CISAC)の同僚であるロバート・カーリン、エリオット・セルビン研究員と共に作成した「技術的観点から見た北朝鮮の非核化ロードマップ」報告書を、同大学のホームページに公開した。カーリン研究員は米中央情報局(CIA)北朝鮮情報分析官出身で、ドン・オーバードーファー氏と「二つのコリア」(原題:The Two Koreas: A Contemporary History」を共同執筆した朝鮮半島専門家だ。 

 ヘッカー教授チームは同報告書で、米国政府が迅速かつ完全な非核化方式として北朝鮮に求める「リビアモデル」を北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が受け入れるのはあり得ないことだと指摘した。彼は「リビアは核兵器の近くにも行けなかったが、北朝鮮は脅威的な核兵器と巨大な核施設を持っている」とし、「(リビアのように)北朝鮮の核兵器を国外に搬出するという提案はナイーブで危険だ」と指摘した。 

 ヘッカー教授チームは北朝鮮の核開発と関連した領域を、核兵器▽核・ミサイル実験▽プルトニウム▽ウラン濃縮▽輸出統制などの8分野と22の細部事項に分類し、3段階にわたって10年間を必要とする「段階的危機管理アプローチ」を提案した。 

所要時間1年の1段階では、軍事的・産業的・人的活動を「中断」し、所要時間4年の2段階では、核団地や施設、兵器を「減縮」し、所要時間5年の3段階では、工場とプログラムを「除去」するというものだ。
具体的には、1段階で核兵器の生産や核・ミサイル実験、5メガワット原子炉稼動を停止し、核・ミサイル技術の輸出中断宣言などが行われる。
 

2段階では、核兵器の削減や5メガワット原子炉の解体、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)への加盟などが進められるべきだと、ヘッカー教授は提案した。 

最後の第3段階は、核兵器の除去と検証や核実験の禁止(包括的核実験禁止条約加盟)、ミサイル破壊と開発の禁止、ウラン・プルトニウムの除去、核拡散防止条約(NPT)への加盟などだ。同報告書は「もちろん、政治的状況によって期間が短縮されたり、延長されることもあり得る」と明らかにした。 

 ヘッカー教授はこの報告書の公開直前の27日、ニューヨークタイムズとのインタビューで、「米国と北朝鮮が直面する政治的・技術的な不確実性からして、個人的には北朝鮮の非核化が15年はかかるものと見ている」と話した。
彼は「我々は数十カ所、数百の建物や数千人の(核関連業務に従事する)人たちに関する話をしている」としたうえで、「放射性物質を扱う核施設一つの汚染除去と解体だけでも、10年以上が必要かもしれない」と話した。
 

ヘッカー教授は報告書で「北朝鮮は電気と医療用アイソトープの生産のような民間の核プログラムと平和的宇宙開発権を必須的なものと考えるだろう」とし、「民間の核・宇宙プログラムに向けた北朝鮮と韓国、米国の協力が必要だ」と強調した。

 

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翁長氏を継ぐのは誰か?

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いささか旧聞に属しますが、去る5月27日に「オール沖縄会議」が正式に分裂しました。 

今まで名実の名だけは残っていたのですが、それも割れたことになります。 

「沖縄県の翁長雄志知事を支持する県議会の一部会派や企業が27日、12月に任期を迎える知事選で翁長氏の再選を目指す新組織を設立した。新組織には共産党や社民党、労組などでつくる「オール沖縄」を離脱した県内有力企業も参加し、オール沖縄は事実上、分裂したことになる。背景には、オール沖縄が革新政党の生き残り策として利用されているとの不満もあり、知事選への影響もありそうだ。
 27日結成されたのは「オナガ雄志知事を支える政治経済懇和会」。沖縄市で開いた総会には保守系無所属を含む県議8人の会派「おきなわ」のほか、オール沖縄を離脱した観光大手「かりゆしグループ」と建設大手「金秀グループ」の関係者も出席した。
翁長氏は15日に膵(すい)がんを公表した。知事選に向け健康不安はぬぐえないが、総会に出席した謝花喜一郎副知事は「映像で見るよりも、ご本人ははるかに元気だ」と強調した。
(産経
2018.年5月27日)
https://www.sankei.com/politics/news/180527/plt1805270028-n1.html

Photoマイクを握っているのが謝花副知事

この直接の原因は、翁長氏のステージ2のすい臓がんです。 

検査入院した4月5日のわずか2日前の4月3日に、今回新たなグループを立ち上げたかりゆしグループの平良朝敬氏と金秀グループの呉屋守将氏が「オール沖縄会議」から脱退しています。 

翁長氏の病状との因果関係は明確ではありませんが、呉屋氏は「オール」の共同代表を2月28日に辞任しており、その時の理由づけは県民投票でした。

「呉屋氏はまた、オール沖縄会議の中で新基地建設を巡る県民投票を実施するための運動を始めることを提案したが、自身を交えた議論を経ずにこの案が却下されたとした。その上で「立場や結果を問わず県民の覚悟を自ら示すべきだ。私は今後も県民投票の実現を目指していく」とした」(琉球新報3月1日)
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呉屋守将氏

 呉屋氏は共同代表辞任時から5月に新団体を立ち上げると言っており、今回の「政治経済懇話会」は、脱退した彼らの受け皿を作るために作ったものです。 

さて、翁長氏も謝花副知事が言うように「映像でみるより元気」だとのをことで、快方に向かわれているご様子、嬉しく思います。 

この集会で、平良・呉屋氏たちは翁長氏を支援し続けると述べています。 

また去られた側の「オール沖縄会議」(照屋代表)も、4月17日に翁長氏擁立を確認しています。 

といっても、現実が許すかどうかは別問題で、ステージ2に入ったすい臓手術後の翁長氏が、2期目の激務に耐えられると考える人のほうが少数でしょう。 

この「オール沖縄会議」は、共産党を中心として、社民党、社大党、官公労(連合沖縄)といった左翼系党派と団体によって構成されています。 

これに自民党脱走組の翁長氏と旧那覇市自民市議団の新風会、そして今回新団体を結成した平良氏と呉屋氏たち経済人ら「保守」層が加わってできたのが、「オール沖縄(会議」です。 

この左翼党派と経済人が共に、共通の知事にと担いだのが、一種独特のカリスマ性があるとされる翁長氏だったわけです。 

この両者の考え方に共通点は少なく、体質的には水と油であったことは明白です。 

共産党は、党首選がこの18年間開かれたことがないということに現れるように、本質的にはいまだ秘密結社的体質を濃厚に持つ左翼政党です。

業グループの総帥と、共産党が仲良くできるはずもありません。 

この両者がかろうじて結婚できたのは、元自民党県連幹事長の翁長氏という重しが効いていたからにすぎません。

しかし時がたつにつれて、総帥側はこの「オール」が実は共産党のカバー(包装紙)であることに気がつきます。

自分たちが利用されたと気がついて、さぞかし不愉快だったでしょう。

「オール沖縄が、革新政党の生き残り策として利用されているとの不満」(前掲)が鬱積していったことだと思います。

一方、共産党側は、いっかな「全基地撤去」」はおろか、移転阻止にすらまともに取り組まない翁長氏にしびれを切らし始めていました。 

彼らの目から見れば、翁長氏は政権与党の利権の上にあぐらをかいていたような汚れた政治家だったはずです。

それが仲井真氏に後継を指名されなかった恨みで、反基地デモに飛び込んでくるような基地反対派に豹変したから受け入れて、ついでに奉って知事にしてやったような人物でした。

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したがって重しの翁長氏が倒れた以上、分解すべくして分解したわけで、そのこと自体に驚きはありません。 

問題は、目前 に迫った知事選候補の選定です。もうリミットの時期にきています。

本来なら翁長氏でいくはずだったのでしょうが、倒れた以上、残された道は翁長氏に替わる候補者の擁立となるはずです。

しかし翁長氏のような保革に又をかけたような人材がいれば、そもそもこのような状況にはならなかったのです。

この苦衷がわかるのは、自民党サイドからは何人もの候補者が浮上するに対して、いまだこの旧「オール」の2グループからは新たな候補者が出てこないことです。

あいも変わらず、揃って翁長氏にこだわっているようにすら見えます。 なぜなのでしょうか?

それは旧「オール」2グループにとって、翁長知事誕生があまりにおいしい成功体験だったからです。

極端な左翼志向のある候補でなく、むしろ無色透明に見えて保守層に安心感を与えられる実務派のほうがよいと、総帥派は考えているはずです。 

なぜなら、次の候補は「翁長氏のやり遂げられなかった意志を引き継いで、基地反対・移設阻止を戦い抜く候補」であればいいからです。

方、左翼陣営にとっても人材豊富とはいえません。 

どこにでも顔を出しパーフォーマンスが好きな糸数慶子(社対党委員長)氏のような運動家タイプか、あるいは2期の名護市政で「名護不況」の手垢がついた稲嶺前市長では、勝負になりません。

そう考えると、左翼陣営も似たような人選に収斂されるるかもしれません。

すなわち、保守層にとっても落ち着きがよく、革新からも見てもなんとなく味方に見える「翁長氏の意志を受け継ぐような人」です。

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そう考えると、自ずと人材は限られてきます。

知事の側近であり、知事を支えてきた経験のある実直な実務家タイプということになります。

それに最も近いのは、元知事公室長であり、浦崎副知事の退任に伴って副知事に昇格した謝花副知事あたりに白羽の矢が立つかもしれません。

謝花副知事は知事公室長に任命時から、翁長氏に基地問題の専任を命じられており、うってつけかもしれません。

いやむしろ、琉球独立などと叫んでいた糸数氏などより、はるかに保守層に受け入れられやすく、「翁長氏のやり残した情熱を引き継ぐ人」と見えるかもしれません。

選挙戦で、翁長氏が家族に病躯に鞭打って登壇し支援を訴えれば効果百倍でしょう。

また謝花副知事ならば、「オール」系2グループ共通の候補者になりえるでしょうから、再び「オール沖縄」の擬似的再生につながるやもしれません。

ただし、謝花氏がどのような人か存じ上げませんが、どうみても翁長氏のようなアクの強いタイプではなさそうです。

仮にめでたく知事に当選したとしても、この旧「オール」2グループと国、野党自民党に取り囲まれて、胃に穴があくことになるやもしれませんので、お引き受けなさならないほうが賢明ですと、ご忠告しておきます。

いずれにしても、自民党は「翁長氏の影」との戦いになることでしょうが、それは決して楽な戦いではないはずです。

■大幅に加筆修正しました。もうしわけありません。午後5時

 

 

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