西日本大水害デマ三点盛
あいかわらず西日本大水害のデマはヒドイですね、。このすさまじい酷暑の中、よーやりますよ。
まずは例の5日夜の赤坂自民亭を、大上段で「空白の66時間」ときたもんです。
これについては既に記事にしましたが、災害時の初動の仕組みを知らない者たちの戯れ言にすぎません。
政治家は予知能力者ではありません。大雨特別警報が発令されたのは翌日の6日です。
日本の気象情報の分析に当たるのは、いうまでもなく気象庁という公的機関です。一義的には気象庁の分析に頼るのが正解なのです。
下図は5日夜の警報状況ですが、この5日の時点では特別警報がでていないのがわかります。特別警報の発令状況を時系列にすると、気象庁が特別警報を出したのは翌日の夕方6時からです。
・7月6日18:10・・・福岡、佐賀、長崎三県に特別警報
・ 同20:40・・・広島、岡山、鳥取三県に特別警報
・ 同23:45頃・・・倉敷市真備町地区・小田川堤防が決壊
そして災害においては、厳密に災害における「行動基準」が定められています。
行動基準とは別名で設置基準ともいわれ、各級の対策本部を設置する基準を定めています。
こういう時にはどうする、こういう時にはこういう組織を立ち上げるというのは、防災計画の一環として既に定められています。
ここに属人的要素はありませんから、政治家個人の能力とはまったく別次元の話です。
この初動対応を、いまだ政治家という「ヒト」がやっていると思い込んでいるのが、勘違いの元です。
脱線しますが、被災対応を放っぽいといて、カジノをやる政府なんて、筋違いの批判がありましたが、これも国会の権限が分かっていないからこういうことをいいだすのです。
国会議員が災害初動でできるのは精神的支援ていどです。黙々と国会審議をしていただくほうがよほど為になります。
それはさておき、属人的に危機対応をやると、ひと握りの防災の素人の政治家が決定権限を握ることになります。
世界最初の原発の重大事故において、独裁的権限を握っていたのが、菅直人首相という素人政治家だったという恐怖を忘れないようにしましょう。
防災のことをよく知らない政治家に、情報を収拾し、その真贋を選別し、その都度それに的確な指示を出すのは不可能です。
だから、危機管理としての防災対策行動基準が策定されているのです。
よく対策本部がどうのと言っている人がいますが、こういうなんたら対策本部を作れば仕事をした気になるのが、最も安易な発想なのです。
立民の枝野代表は3.11の時の官房長官でしたが、政府より先に本部を立ち上げたと自慢していましたが、 バッカじゃなかろか。
枝野氏は菅氏の女房役の官房長官でありながら、狂乱する菅氏を諫めるどころか「総理は(原発)技術を含めて専門的な素養を持ってる」などという嘘八百を国民に流した人物です。
上の写真は菅、枝野、野田の各氏といった民主党政権中枢です。この人たちに私たちは3.11で命を預けていたのかと思うと、心底ゾっとします。
そもそも野党のなんじゃら対策本部には一片の権限もないのですから、テレビを見るくらいしか仕事はないはずです。
なんたら対策本部は、自動的に立ち上がります。国、自治体、各省庁それぞれに各級でできるわけです。
これを中央で束ねるのが危機管理監であることは既に書きましたね。
そして政府対策本部は、これら多くの対策本部が適切に摩擦なく動くための調整に当たっているのです。
こういう仕組みを知らないで、批判するのは止めましょう。
次には、なんですって、え~「クーラーを避難所に入れたのは首相が視察するからだ」そうです。 低次元の極み。
これは世耕経産大臣によって、直ちに完膚なきまでに否定されました。
政府は収容者数が多い避難所から空調を入れているだけであって、首相も視察に当たって避難者が多い所を優先的に回ったというだけの話です。
まぁ、それで懲りて黙るような蓮舫氏ではありませんから、論点を別の場所に移しました。
蓮舫氏の7月13日のツイートです。
https://twitter.com/renho_sha/status/1017627122242736128
「総理視察の直前に避難所にクーラーが設置されたとのツイッターに、経産大臣が随分とお怒りの様子で、かつ上から目線のような書きぶりで反応されていたが、もはや避難所にクーラーのレベルではなく、災害救助法上のみなし避難所の旅館・ホテルを借り上げ、被災者の居場所を確保すべきです」
気の毒にも、このツイートの前日には政府は既に旅館・ホテルの借り上げを開始していました。
「安倍晋三首相は12日午前、西日本を襲った記録的豪雨を受けた非常災害対策本部の会合で、被災者向けに公営住宅や公務員宿舎、民間賃貸住宅など7万1千戸を確保したと明らかにした。「猛暑の中、一刻も早く避難所の不自由な生活から脱していただくよう全力を尽くす」と述べた」(日経7月12日)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO32900430S8A710C1000000?s=1
責任ある政治家ならば、まずクーラー・デマについて「誤認でした」のひとことがあってもよさそうなものですが、「上目線で」などと感覚的に貶せばそれが反論になると錯覚しているのが、この人らしいとはいえます。
この人は民主党政権で東日本大震災・福島第1事故を経験しているはずで、どうしてこうも風評デマに対して鈍感なのでしょうか。
政党がデマの発信源になったら、シャレにならんでしょうに。
そして3番目に、被災地のローソンに物資を自衛隊が緊急搬送したのは、「被災地復旧よりも商売が大事なんだ。官民癒着だ。ローソンの親会社は安倍の兄貴がいるから忖度したんだ」というものまで現れました。
この酷暑で脳ミソが焼け焦げてしまったんじゃないですかね。
このコンビニを救援拠点とする方式は、アベ氏の兄貴とはなんの関係もありません。(あたりまえだ)
経済産業省「災害対策基本法」に則った対策の一環です。
http://www.meti.go.jp/press/2017/06/20170627001/20170627001.html
「災害対策基本法」において、公益的事業を営む法人等のうち内閣総理大臣が指定するものを指定公共機関と位置付けています。官民が一体となった取組の強化を図るため、内閣総理大臣が指定する指定公共機関について、スーパー、総合小売グループ、コンビニエンスストア7法人が新たに指定公共機関として指定されます」
これにはスーパー大手、総合小売グループ、コンビニエンス・ストア7法人が指定公共機関として指定されています。
「当該7法人は、災害発生時において、地方公共団体や政府災害対策本部を通じた要請により、物資支援協定等に基づき、全国の店舗網等のネットワークを活かして、支援物資の各種品目の調達、被災地への迅速な供給等を担うことで、災害応急対策に貢献することが見込まれます」
つまり緊急時の救援拠点に、各所に網羅されているコンビニやスーパーを利用する試みなのです。
このコンビニ・デマを流した者は、被災した経験がないんでしょうね。
私は数週間に渡って、電気、水道、そして商品供給を断たれた経験があります。スーパーは半壊、セブンの棚は空っぽでした。
空っぽの棚、売れ残っているのは雑誌だけという風景は、経験しないとわからないかもしれませんが、スーパーやコンビニに商品が供給されるという心強さは、被災者にとってどんなにありがたいことか。
こういう東日本大震災などの反省から生まれた新しい被災地救援の試みを、くだらないアベ・バッシングのネタにせんで下さい。
今、このような大災害時に、誰が何を言ったのか、よくチェックしておきましょう。
こんな人物やメディアは、いざという災害時にどのような行動をとるか正確に予測できるからです。
また、こういう低レベルなデマに接すると、この私もそうですが、こんな人たちと同次元でやり合いたくないという気分になってしまいます。
しかし、それは違うと思います。
かつての3.11以後流された膨大な風評デマは、被災者を苦しめ復興を遅らせました。
デマは初期の段階で芽を摘んでおかねばなりません。それがこれ以上デマを許さない社会的抑止効果を生むからです。
さもないと真実が覆い隠され、かつての放射能デマのように「事実」としてひとり歩きするようになります。
そうなっては遅いのです。
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コメント
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おはようございます。
立民の毎度の批判は、何ら建設的でもなく論理的でもない
言うならば小学生の告げ口レベルでしょう。
同党の白真勲議員が「人命よりカジノ、博打優先だとしか言いようがない」
なんて発言を国会でしたのだとか。
もはや参議院議員としての矜持もへったくれもないのでしょうね。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2018年7月19日 (木) 07時57分
維新が自民党の災害復興を妨害することなくカジノ法案について審議を深めているのとは対照的ですね。野党のあるべき姿です。
この調子だと仮に北朝鮮がミサイルを発射したとしても安倍ガー、安倍のセイダーと喚き散らすのでしょうね
投稿: 中華三振 | 2018年7月19日 (木) 12時20分