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2018年7月14日 (土)

「赤坂自民亭」と、現在の国家危機管理システムについて

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くだらないので、あまり書きたくないテーマだったのですが、延々とまだやっているのでいちおう触れておきます。 

メディアはここぞと責めて、復旧・復興に尽力している政府の足を引っ張りたいようですので、しゃーない。 

やりたくないというのは、西日本大水害がなぜこれほどまでに大きな被害となったのかの原因究明になんの役にも立たないからです。 

なんども書いているように、このような大災害を狭い政局に絡ませるべきではありません。 

かつての東日本大震災時に、当時野党だった谷垣自民党総裁がいち早く政治休戦を呼びかけたのは、危機における判断としてはまったく正解でした。 

大きな災害に際しては、政府は国家的リソースを全部投入する必要があります。

ですからその権限をもっている政府に一任すべきで、政治意見の違いを一時凍結すべきであって、救援フェーズに政局の入り込む余地などはないのです。

ところが野党に転落した旧民主党諸雑派は谷垣政治休戦の前例に則るのかと思いきや、これがゼンゼンないんだなぁ。 

さて7月5日夜の「赤坂自民亭」のことですが、敵失とばかりに沸き立った野党はやったぜとばかりに浅ましくこのネタに飛びつきました。 

立民の蓮舫氏の発言です。 

「(5日夜に自民党議員が議員宿舎で酒席を開いたことについて)まず驚いたのは(安倍晋三)総理も出席していたことだ。気象庁が8日にかけて歴史的な豪雨になるという警戒を呼びかけていた夜だ。(略)
そして楽しそうに宴の写真が出回ったときに、まさかと思いました。責任感があまりにも欠如しているとしか思えない。これは言い繕えないと思います」
(朝日7月10日)
 

ご承知のように、こんなことを国会で騒ぎ立てた瞬間、足元で地雷がチュドーンと炸裂してしまったのは痛ましい限りでした(苦笑)。 

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国会で質問にとりあげるくらいだったら、自分のところの幹部の動向くらい調べてからにしなよ、というところです。 

蓮舫氏や辻本氏が同じブーメラン芸を繰り返すのは、「正義を糾す権利はただひとり自分だけが持っている」という特権的な思い込みがあるからです。

自分にはすこぶる甘く、他人には過激に厳しい。

絶対正義の立場は我にありとばかりに他者を糾弾すれば、じゃあ、あんたの手袋は白いのと問い返されて、毎回毎回マメに自分の掘った穴に自分で落ち込むことになってしまいます。 

蓮舫さん、こういう独善的な他者糾弾型政治スタイル自体をやめないかぎり、まだまだブーメランは続きますよ。 

それはさておき、今回もまた「言い繕う」もなにも、同じ5日夜、立民の枝野、辻元、蓮舫、長妻などといった立民の幹部たちが、同党のパーティに出席して、酒を呑んでいたことが判明してしまったのはご愛嬌でした。 

くだんの蓮舫氏など、こともあろうにピールのコップを片手に乾杯の音頭までとっていたというおまけつきです。

これは「言い繕え」ませんね、蓮舫さん。他人を糾弾するなら、自分の日程くらいチェックしてから言いなさいよ。

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え、オレら立民のは政治パーティで政治活動だから、自民党とは違うぞって。ご冗談を。 

自民党の議員が議員会館で集まって懇親会をすれば、それもまた政治活動の一環であることは一緒です。 

しょうがないよね、立民さん。あなた方も5日の夜にこんな大災害になるとは思ってもいなかったのでしょう。 ただし、そんなこと、自民も一緒でしょうに。

5日夜の段階で、西日本災害を予見できたものはひとりもいなかったのです。

メディアとてまったく同じで、明けて6日の朝から夜まで、大雨は片隅に追いやられて、麻原死刑執行一色でした。 

朝日6日の1面大見出しは、「東京医大理事長が不正合格決定」ですし、大災害を匂わせるようなものは、社会面の「列島各地に大雨のおそれ」ていどのものです。

なーんだ、オレはわからんかったが、アベは分かっていろということですか。ご都合主義なことよ。結果から見ればなんでも言えます。

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ところがメディアときたら、自分だけ口をぬぐって自民のみが予知能力を持っていねばならないとガナるんだからなんともかとも。 

ところで、あの5日の夜は確かに大雨特別警報発令の前日でした。既に警戒情報が出されていましたし、死者も少数ですが発生していました。

野党とメディアはこんな時期には、与党議員はどこかで待機していろということのようです。

え、していましたよ。

この時、自民の議員たちはどこで懇親会をしていたのでしょうか。 ホテルや料亭ではなく、質素にやろうと議員宿舎でやっていたのです。

この議員宿舎は、官邸や各省庁に速やかに行くことが可能な距離の場所にあります。 

いいかえれば、議員宿舎に首相以下の与党議員がいたことは、「議員宿舎に待機していた」とも考えられるのです。 

これは私の牽強付会の意見ではなく、危機管理の専門家である小川和久氏も同じ趣旨のことを述べています 

「待機状態だったというのは、誰も外の飲食店に出かけたのではなく、所掌の閣僚は必要な指示などを出したあと参加していたこと、連絡があればすぐに動ける態勢にあったことで説明できるでしょう」(『NEWSを疑え!』第695号(2018年7月12日号) 

おそらく、各大臣には省庁から派遣された秘書官が同行していたはずですから、災害担当セクションの大臣には、時々刻々と情報が届けられていたはずです。 

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では首相の女房役であり、危機管理対応の要である菅官房長官はその時どこにいたのでしょうか。

菅氏がいまや自宅にしてしまっているような首相官邸なはずです。もちろん彼はこの懇親会に出席していません。

たぶん首相官邸の危機管理室にいたと思われます。官房長官は首相不在の外遊時や地方遊説なとの時は、必ず官邸に待機しています。

そこでこのような大災害の危機管理は、どのようなシステムになっているのか見てみましょう。 

これについて宮家邦彦氏が、voice8月号の巻頭論考でふれた箇所があります。 

現在、東日本大震災や福島第1事故の苦い経験を踏まえて、危機管理体制が抜本的に刷新されています。 

宮家氏によれば、かつては関係省庁の事務次官や幹部が互いに連携せずに総理・官房長官に勝手に情報を上げていました。 

今回のような大水害ならば、国交大臣は国交省派遣の秘書官から、防衛大臣は防衛省の職員から情報が伝わり、首相や官房長官には全部の官庁からバラバラに上がってくる情報を聞かねばならないという仕組みだったようです。 

大臣レベルならまだいいのですが、こんなにバラバラと情報を上げられたらそれを統べる首相や官房長官は混乱します。 

官邸に上げられる内容も同一でないどころか、相互に矛盾することすらあったそうです。

こんな情報管理体制では、結局テンパった菅直人首相のような御仁の独走を許してしまう結果になります。 

現在、このような非合理的システムは大きく変わりました。それは2013年末に国家安全保障会議(NSC)が誕生したからです。 

「NSCは国家の安全保障に関する外交安全保障、自然災害などの突発的事項に関わる危機管理事案の棲み分けが進み、新規の国家安全保障局長と内閣危機管理監の協力・相互乗り入れが可能となった。
以前なら関係省庁がバラバラに説明した内容も、いまは省庁が総理・官房長官に説明する前に充分情報共有と政策連携を行う。これが昔ならかんがえられない手順と速度で進むのだ」(宮家 前掲)

たとえばつい先日の大阪直下型地震では

「これを官邸で仕切ったのは内閣危機管理監だろう。1995年の阪神・淡路大震災の時に、当時の村山政権は機能不全に陥った。霞ヶ関には教訓を生かしながら進化する官僚組織も少なくないのだ」(宮家 前掲)

今回は、首相が議員宿舎で懇親会をしていようとどうしようと、内閣危機管理監に率いられた関係各省庁派遣の職員は、各自治体・各省庁から上がってく情報を集めて整理し、それを一括して官房長官に伝達していたはずです。

このような進化した危機管理システムがあるからこそ、首相は外交日程をこなせるのです。

旧民主党系諸雑派の皆さんは、まだこのような危機管理システムが存在しない時代に政権についていた狭い経験しかもちません。

枝野さんや細野さんは当時官邸に居たから知っているでしょう。胸に手を当てて思い出してみましょう。

東日本大震災や・福島第1事故では、本来この危機管理の指揮を執るべきだった内閣危機管理監がいたにもかかわらず、助言すら求められませんでした。

最後まで内閣危機管理監は、その姿すら見えません。

本来、現場指揮を執るべき専門家集団の原子力安全委員会に至っては、菅氏から怒鳴られて萎縮してしまうといったありさまでした。

屈辱的体験をした斑目元委員長は、今になってこんなことを言ってウサ晴らしをしているようです。

おいおい、気持ちはわからんではありませんが、笑っている場合か。

Photo_2斑目元安全委員会委員長のヤケクソ発言

とにもかくにも結局、原発のシビア・アクシデントをズブの素人の首相が直接指揮するという恐怖の事態になってしまいました。

吉田所長の「抗命」がなければ、東日本は人の住めない地域に長期になったことでしょう。

このような「やってはいけない危機管理決定版」といった本ができそうな経験しか持ち合わせていない旧民主党系諸雑派は、なにがなんでも首相がいなくちゃならないと信じて疑わなくなってしまったのです。

現在の危機管理システムは、国家の危機管理は旧来の属人的なものから切り離され、危機管理の専門家が指揮するリスク・マネージメントに切り替わっています。

したがって、首相がいなければ動かないようでは困るのです。 

首相が危機管理においてやるべきことは、あまりありません。トータルな責任をとることだけといっていいくらいです。

首相の政治力が問われるのは、むしろ災害後の復興局面なのです。

まぁメディアのほうは、危機管理などという高次なことを言っているわけではなく、あの懇親会の笑顔が不謹慎だ、酒呑んで指示をだしていたのかけしからん、早くアベを辞めさせろということだけです。

ちっとも進化していませんなぁ。

ならば5日夜から民放はCM止めて、お笑い芸人のオチャラケ番組なども放送中止、そして東日本大震災の時のように公共広告機構一色にするのですね。

 

 

 

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コメント

毎度毎度のブーメラン芸には呆れるばかりですね。
以前も書いたように思いますが、ネットで見つけた言葉を思い出します。

「ブーメラン芸ならせめてブーメラン投げろよ。投げる前に頭に刺さってるじゃないか」
てな文言だったと記憶してますが、まさに言いえて妙です。

どんな話題でも最後には安倍政権批判にもっていかずにはいられないような症状を
これまたネタ元がネットで恐縮ですが、「晋三病」というのだとか。
小西洋之、蓮舫、辻元清美、柚木道義、山井和則、福山哲郎の諸氏は
かなり重篤な「晋三病」で、もはや膏肓に至っていると思われます。
この人たちはすでにパラサイトと化してるんじゃないでしょうか。
宿主である安倍晋三が無ければ生きていけない存在、
そんな風にすら思えてきます。

民主党時代はひどかった。治水事業などを理解しない素人が、事業仕分けで公共工事費や災害予備費を60パーセントも削減しています。
確かに自民時代も、小沢一郎のようなあからさまな利権主義があり無駄な公共工事もありました。
でも、最低限のインフラ整備はやっていました。
最大15兆円あった公共事業も今は6兆円台。インフラに携わる仕事をやっている人間として、危うさは感じていました。民主党のせいだけではありませんが、「コンクリートから人へ。」のキャッチフレーズに騙された国民にも責任の一端はあります。
それにしてもこんな重大事に、野党のレベル低すぎます。
一度落ち込んだ、公共事業はなかなか復活しないでしょう。ここ10年間毎年のように災害が発生しています。もう想定外とかの現象ではありません。
個人とし出来ることは、早めの避難、食料、水の備蓄、家具の転倒防止、いざと言うときの持ち出し品の整理ぐらいはやっておかないと、自分や家族の安全は確保できない。そんな時代になったと自覚することです。


 「旧民主党系雑派」というネーミングが痛く気に入りました。(笑)

その旧民主党雑派はじめ、さらにその応援団のマスコミ各社は、防げたかもしれない真の原因究明に突っ込んで行く事が実のところ面倒なのでしょうね。その能力もないし。
いつもの事ですが全く野党の役割を果たしてないし、マスコミも軽薄にすぎます。
悲しい事に、国民にもそれがすっかりバレちゃってます。

それと、西村官房副長官や竹下亘さんが一応反省のポーズをとってましたが、ああいう意味のない釈明はやめた方がいいと思います。
政権中枢や議員たちの打ち解けた会合の様子も国民は知りたいものですし、政権党の良好なチームワークを見て安心する支持者も多かったのではないでしょうか。

昭恵夫人のFacebookの写真「クリスマスイブ 男達の悪巧み・・・?」を思い出しました。本人からすれば安倍首相の和気あいあいとした雰囲気を、ちょっとふざけてアップした写真でした。それがあのモリカケ騒動の“原動力”になりました。

そんな効果が「赤坂自民亭」の写真にも漂っています。要は自分達の仲間内だけを意識した写真であり、不用意なコメント(懇親会のネーミング)だと思うのです。

手ぐすね引いて、攻撃材料を探している人達がゴマンといることを忘れています。いい仕事をやっているんだから、気を引き締めてほしいと思います。

これは論理の問題でなく感情の問題でしょう

やはり大雨警報の最中に飲み会してる首脳陣を
被災者が快く思うはずはありますまい。

https://mobile.twitter.com/AtsushiNishimu4/status/1017311348076601344
メディアの感情的ねつ造が地元の感情を逆なでしているようですね。論理や感情というより倫理の問題では。

ルルーシュさん

政府はチャント対応策を指示しています。

7月2日 13:30 西日本の大雨と台風7号に係る関係情報連絡室設置
7月5日 15:30 低気圧と梅雨前線による大雨に係る関係省庁災害警戒会議
7月6日 13:58 官邸連絡室設置
7月6日 15:30 低気圧と梅雨前線による大雨に係る関係省庁災害対策会議
7月7日 10:20 官邸対策室に改組

確かに自民にもマイナス点はあります。
でも災害後の迅速な動きは評価できます。
何もしないで、自民のマイナス点だけ非難する連中もどうかと思います。今はそんなことに時間を費やす場合でもないでしょう。

倉敷市民として言わせもらいますが、
自民よりもこんな時まで「安倍叩き」に余念の無いルルーシュ氏のような者達の方が余程不快ですよ!

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