北朝鮮非核化の兆候なし
東アジアが既に融和プロセスに入ったから米軍基地はいらない、とでもいうような認識が玉城陣営にあります。
これは翁長氏から引き継いだものですが、東アジア情勢と関連づけて「国境の島」を考える姿勢がまったくありません。
沖縄と本土政府しか視野にない姿勢で、沖縄がアジアのどこにあるのか、どのような時期に生きているのか考えないから困ります。
沖縄は宇宙空間にあるんじゃないのですよ。
さて、その北朝鮮がポンペオ国務長官に挑発的な書簡を送りつけてきたようで、ポンペオは北朝鮮訪問をキャンセルしました。
「北朝鮮の高官が米国務省のポンペオ長官に宛てた書簡の中で、非核化に向けた交渉について、「再び危機にさらされ、決裂の可能性がある」と警告したことがわかった。この問題に詳しい複数の関係者がCNNに明らかにした。
ポンペオ長官は4回目の訪朝を予定していたが、24日の出発直前になって急きょ、訪問を取りやめていた。
書簡は北朝鮮の情報機関トップだった金英哲(キムヨンチョル)朝鮮労働党副委員長から、ポンペオ長官宛てに届けられた。
非核化に関する北朝鮮の立場に詳しい3人の関係者によると、この中で北朝鮮側は「平和条約締結に向けた前進という点において、米国はまだ(北朝鮮の)期待に応える用意ができていない」と述べ、それを理由に、非核化に向けたプロセスを進展させることはできないと記していた」(CNN8月12日)
書簡以外にも、北外務省報道官は7月7日の談話で、「我々の非核化への揺るぎない意思が揺らぎかねない」なんて放言して、まるでオレたちは非核化したくてたまらないのに、それを妨げているのは米国だ、といわんばかりです。
たいした鉄面皮ぶりです。
スプートニクhttps://jp.sputniknews.com/opinion/201808295278763/
ポンペオの訪朝キャンセル自体は当然です。そもそも米国の国務長官が出向いて正恩と会談するという姿勢自体が問題なのです。
外交は数百年に及ぶ慣習の集積の上に成り立っていますから、厳密なプロトコルがあります。会談のカウンターパートは同格でなければなりません。
国務長官ならば相手はあくまでも外交部長(外務大臣)、ないしはそれに準じる地位の者であって、北の元首格と会談するということは、米国の格を自ら貶めかねないことです。
米国も百も承知なのでしょうが、なにぶん正恩にすべての決定権限が集中しているために、彼を動かさないとという気分が先に立ってしまっています。
よくないですね。中間選挙までになんらかの結果を出したいトランプの焦りのようなものを感じます。
北はそのような「気分」に敏感に感じ取ったのか、非核化が進まないのは、「お前らが平和条約を締結する努力を怠っているからだ」という揺さぶりをかけてきました。
一説では、6月の会談でトランプが平和条約について前向きな言質を与えそうになって、あわててスタッフに(おそらくボルトンだと思われますが)、止められたという噂もありますが、ほんとうのところは不明です。
簡単に言えば、平和条約は非核化のための餌です。非核化という課題をクリアしたら、ご褒美に平和条約を結んであげよう、よかったねという流れです。
同時でもありません。北は核について口からでまかせを言い続けた常習犯ですから、非核化が完全かつ検証可能で不可逆的にされたという確証があがるまで、ご褒美はお預けなのはあたりまえです。
では北がシンガポール合意後になんか非核化を実現する努力をしたかといえば、ゼロです。
「国際原子力機関(IAEA)は20日公表の報告書で、北朝鮮が核開発活動を停止した兆候は一切みられないとの認識を明らかにした」(ロイター 8月22日)
米国38ノースが公開した衛星写真です。
38ノースの説明だと、「北朝鮮の寧辺核施設での冷却水ポンプの改修」だそうです。
https://www.38north.org/2018/06/yongbyon062618/
本気で非核化をする気なら、いまさら核物質製造プラントの改修などするはずがありません。
北は、一歩退けば一歩前に出る、一歩前に出れば一歩退く、拮抗していたらかき回すという人民戦争戦略を踏襲しています。
北の認識では、米国が一歩退いたと見ているようです。
もちろん米国は現状で平和条約を締結することなど、正恩とムンジェインが泣こうが喚こうがすることはありえません。
というか、物理的にも不可能です。
「朝鮮戦争を終息させた休戦協定に代わる平和条約の締結に応じる意向を示していない。平和条約を締結するためには米上院の3分の2の承認を必要とする」(CNN前掲)
議会民主党はトランプの北対応を軟弱な融和政策だ、米国外交の原則に反するとして厳しく批判していますから、議会3分の2の承認は得られる道理がありません。
現状では、北は米国の瀬踏みをしている状況ですが、調子に乗って核開発を公然と進めたり、弾道ミサイル実権をただの一回でもしたなら、交渉は決裂し軍事オプションの発動となります。
常識的には11月6日の中間選挙まで軍事攻撃の可能性は低いと思われますが、なにぶん相手はトランプです。
中間選挙必勝戦略として北の核施設の空爆という手段を取る可能性も捨てきれません。
その場合、軟弱ぶりを批判してきた民主党も賛意を示さざるを得なくなりますから、トランプにとって選挙対策上も有利だという判断もありえます。
正恩にとっての唯一の頼みの綱は中国ですが、米中貿易戦争の真っ最中ですから、今、習のほうから「北への攻撃は止めてくれ」と言えば、ならば「米国に対する報復関税をするな。もちろん北を説得して非核化させるのはお前の責任だ」ということになります。
中国としても動くに動けない時期というわけです。
ですから、このまま北がこのようなふざけた対応を続けるならば、11月6日の中間選挙まで北への軍事攻撃があるのかないのかはまったく不透明な状況となりました。
ましてやそれ以降は、大いにあり得ると考えたほうがいいかと思います。
私は過去ログをお読みいただければ分かるように、一貫して去年一昨年の軍事攻撃はないと述べてきましたが、ここにきてその可能性は高まったと考えます。
マティスは、後にトランプに否定されましたが「米韓合同軍事演習を停止している理由はない」と発言しています。
それにしても、緊迫の度合いを増すこの時期に、「知事になったら辺野古に妻と座り込む」なんて運動家まがいのことを言うような知事にはなって欲しくはないものです。
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