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2018年8月20日 (月)

自民党県連のあいまい戦略の本音

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山路さんの連載について、みなさまから活発なコメントをいただきまして、改めて御礼を申し上げます。

篠原章氏がツイッターで、以下のようなコメントを寄せられました。 

「(山路氏の)こうした現状認識を抜きにして今の沖縄(日本も)は語れない。東京から発信されるものも含めてほとんどの沖縄に関する分析は、山路氏のような的確な認識を欠いているのがとても残念だ」

 私も同感です。このような視点がまったく見られないのが、逆に今の沖縄が抱えている問題の所在を示していると思います。 

今回改めて知事選候補選びで感じた感想は、ひとことでいえば「古い」でした。 

保革のどちらもです。

「オール沖縄」はとうとう翁長氏の「遺言」を持ち出したそうですから、民主主義もへったくれもありません。 

「沖縄県の翁長雄志知事が急逝する前、自らの後継候補として自由党の玉城デニー衆院議員と会社経営の呉屋守将氏を挙げていたことが19日、分かった。
 翁長氏を支えてきた「オール沖縄」勢力が候補者選考作業を進める「調整会議」は同日の会合で生前の発言を確認、両氏に9月30日投開票の知事選への出馬を打診する方針で一致した」(時事8月12日)

こんな「遺言」で知事が決まるのならば、知事職は一種の世襲なのでしょうか。沖縄県民をなめるのも、いい加減にしたほうがよろしいかと思います。

一方、自民党の候補者選びは選考委員会という形式をせっかくとりながら、なにが気に食わないのか、真っ先に手を上げた安里氏は初めから蚊帳の外のありさまでした。 

代わって当初から自民党が候補者にしたい白羽の矢は、佐喜真宜野湾市長だったようです。 

おかしな話で、佐喜真市長は党員ではないのですが、安里氏は党員であり、しかもその主張に大きな差はありませんでした。 

違いがあるとすれば、佐喜真氏がいわゆる「市民派」であるのに対して、安里氏のほうがより明瞭な経済観、安全保障観を持っていることす。 

キャラ的にはふたりは友人でありながら、かなり違う肌合いを持っています。 

明確なモノ言いを好む安里氏に対して、佐喜真氏は焦点である移設問題についてぼやかした言い方をします。 

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 先の宜野湾市長選における発言です。 

「佐喜真さんは、移設を進める安倍政権の支援を受け、移設の是非には触れず、基地の早期返還と危険性の除去に取り組むべきと訴えてきた。佐喜真さんは、「移転先は日米両政府が決めることで言及する立場にはない」とした上で、「普天間基地の返還の実現を目指し、政府に訴えていきたい」と述べた」(日本テレビ2016年1月25日)

 間違いではないのです。

対立候補の「オール沖縄」の志村氏がこんなわけのわからないことをいうのとは次元を異にします。 

志村氏や、彼を強く支援した故翁長氏たち「オール沖縄」の論理はこうです。

①沖縄に対する基地負担は大きすぎるから、軽減すべきだ。
②普天間基地は「世界一危険な基地」だから、撤去すべきだ。
③政府は普天間基地を移設しようとしているが、「新基地」だから断固反対だ。

①、②につてはいわば総論部分ですので、政府から地元自治体まで反対する者はいないはずですが、具体的にどこに移すのかとなると、辺野古移設は「新基地」だから反対だそうです。 

では、このまま宜野湾にいることになりますが、それでいいのかといえば当然「固定化反対」ですから、じゃあ政府はどうすればよいのでしょう。 

つまりは答えを出しようがないことを、政府に要求している観念論にすぎません。 

なんのことはないいつまでも反対運動をしていたいという、「反基地運動の永久固定化」にすぎないのです。 

では一方の佐喜真氏はといえば、それは自治体が考えることではないとして、争点化すること自体を回避しました。 

つまり③は、「市の専管事項にあらず」でお終いでした。 

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 とうぜん、メディアは噛みつきます。 

「普天間飛行場の移設問題について佐喜真氏側が「辺野古移設」に言及しなかったのは、明らかな争点隠しだった。この勝利で政府が「移設問題で民意を得た」とするならば、それは誤りだ。政府が辺野古移設を強行すれば、沖縄の強い反発を生み出すだけだ」
(毎日2016年1月24日)

 いわゆる「民意」論、「沖縄の心」論です。 

感情の窓からしか移転問題を見ていないからこうなるのですが、今回の知事選においてもそっくり同じことをメディアが煽ることを、佐喜真氏は覚悟せねばなりません。 

というのは、実はこの「争点隠し」という批判は、メディアとは別の意味で当たっていることはいるのです。

おそらく佐喜真氏は今回の知事選においても、安全保障は国の専管であるとするだけではなく、移設問題は最高裁判決で決着がついているということを関知しない理由とするでしょう。

半分は正しく、半分は間違っています。

安全保障問題の決定権が自治体の首長にないことはわかりきったことですが、沖縄県は本州の山間部の自治体ではないのです。

「承認撤回」云々は、あくまでも工事の環境アセスメントなどのやり方に対しての「承認」であって、工事そのものの是非は知事の権限の外です。

しかし宜野湾市長としてはともかく、辺野古や離島まで含むトータルな沖縄県を大きく見ねばならない県知事としては、これでは困ります。 

基地問題は、県民の安全保障の問題と深く関わってくるからです。

中国の海洋膨張を受ける真正面に位置するが故に、尖閣諸島を持つ八重山・宮古は日常的に脅威にさらされています。

つい一昨日もこの様な状況です。

海上保安庁によると、尖閣諸島(沖縄県)の魚釣島西方の海域で18日午前7時現在、約120隻の中国漁船が集まっているのを同庁の巡視船と航空機が確認した。一部は接続水域に入ったが、領海に侵入した漁船はないという」(読売8月18日)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180818-OYT1T50084.html?from=tw

このような中国漁船について大規模に中国海警が侵入をするのが、今までの手口でした。

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上の写真は今年1月に撮影された南シナ海・南沙諸島のジョンソン南礁ですが、司令部ビルは完成し、普天間基地より長い滑走路に長距離爆撃機を離発着させ、対空ミサイル陣地を構えています。

このように南シナ海の中国の要塞化はほぼ完成しました。次は海で繋がる東シナ海の番です。

ご存じのように、中国公船の侵入は止まることはありません。

領空侵犯は日常茶飯事です。中国は尖閣のみならず、沖縄は中国領だと公言しています。

国はすでに現地で「航行の自由作戦」を実施して、軍事プレゼンスを発揮しています。この南沙諸島の要塞化は、突然始まりました。

ある日突如として、民間人を装った軍人が岩礁に漂着し、それを救助するという名目で中国軍が実効支配を固めていき、気がつけば要塞島と化して、手のうちようがなくなっていました。

このようなリスクをとりあえず沖縄が免れているのは、端的に言えば米軍基地と自衛隊が存在するからです。

中国にとって、沖縄に手を出せば米軍と事を構えることになるという恐怖心が、南シナ海のような無謀な侵出を防いでいるのです。

沖縄に基地を置くということの日本側の理由は、いつにかかってここにあります。

 沖縄が沖縄自らの危機としてとらえない限り、いつまでたっても「本土政府が無理矢理言うから仕方なく」という受け身の諦観から抜けすことはないでしょう。  

佐喜真氏は党員でないにしても(むしろだから選ばれたわけですが)、政権与党中枢が自民党員候補を辞退させてまで、推した候補です。 

ならば、国家の安全保障である尖閣を県の域内に持ち、今後は八重山自衛隊配備などを抱える県の知事にもかかわらず、いつまでも「自分たちが決めることではない」でよいのでしょうか。 

私は、沖縄県の代表を選ぶだけではなく、国家の安全保障の最重要案件に対して、どう答えていくのか、問われていると考えています。 

国民全体の安全がかかっていることですので、あいまいな意志表示は困ります。 

いつまでもこの安全保障上のリスクについて言を左右し、あいまいなままで済ませようとする自民党県連ならば、国民政党たる自民党という看板を降ろして島だけの保守党に純化することをお進めします。 

今回の佐喜真氏一本化が意味するものは、自民党県連自体が安全保障問題を回避したいことの現れでした。 

だから保守原則派の安里氏ではなく、佐喜真氏の「市民派」という看板が必要だったのです。

仮にそういう理由で「市民派」が選ばれるのなら、「市民派」の名が泣きます。 

 

 

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コメント

おはようございます。復調されましたか?

安全保障に関しては、亡くなられた翁長氏の批判点によく「中国の公船侵入に対して抗議しない」ということが上げられます。
安全保障をぼかして県知事になったとして、職務に付いた後に抗議するならばよし、しかしマニフェストに無いとか言って発言を避けるようならば、自民党は投票した住民から捨てられることを覚悟するべきですね。

それにしても、マスコミは市民の心・沖縄の心と口にしますが、中国に対する市民の発言などを、ちゃんと報道していますか?

基地は要らない、それは良い。
だが中国の侵入に対してどうするのかも同時に言ってくれなければ、結局は本土側から「あいつら馬鹿だ」と見下されるだけなのだけれど。

「市民派の名」よりも、誰を県知事に選んでも本当に泣きたいのは市民です、てことになりそう。

「沖縄はまだ近代社会ではない」というような意見も県内の一部から出てきた。昨夕報道された「翁長知事の後継者指名の録音テープ」を受けてのことが直接的な要因だ。つまり「オール沖縄側は『古い体制』だ」と指摘しているわけである。ところが実は、そう「指摘している側も同じようなもんだ」という事については気が付いていない。
ブログ主さんの「『市民派』の名が泣きます」という事であるのだが・・・・。

結局自民党県連は名護市長選と同じようにぼやかし争点にしないことでやり過ごす算段なのでしょうが、その後ろ向きの姿勢が県民が基地問題に本腰で考える機会を奪い結果、外部からの作為的な知識の流入を許してしまい、オール沖縄という得体のしれない現象を生み出したという事を反省していないのかと感じます。
名護市と違い県全体としては景気状態はそれほど悪い状態ではないので、県連の思惑通りに「さらなる経済振興」一本で押しきれるかは疑問です。
国境地域として防衛力の必要性を認めた上での段階的な米軍基地縮小の継続とそれに代わる自衛隊の配備、円滑な米軍との共存のための地位協定の見直しといったタブーの領域に踏み込んで県民とともに最適解を模索するという姿勢を示していかなければ、今回の知事選に勝利したとしても第二第三のオール沖縄がまた県政をかき回すことになると思います。

オール沖縄も遺言テープが出た途端にこれまで候補として一度も名前が出た事もなかった玉城氏に一気に収束した事にこの組織の異常性をかいま見た気がします。
個人の政策や資質など全く関係無く大義名分さえあればあればそれでよいという判断は県民を完全に無視したものです。
基地反対運動がいつのまにか反対する事そのものが目的となったようにオール沖縄も「翁長氏の遺志を引き継ぐ」という事が早くも目的化してしまっています。
つまり翁長氏の行った事や判断は全て正しい完璧な知事であったという神格化の元での団結です。
これはもはや宗教のそれとなんら変わりがありません。
その気持ち悪さを「沖縄のこころ」というオブラードで誤魔化しているのですから本当にタチが悪い組織です。

とにかく駄々っ子のように嫌々を繰り返すだけではなにも前に進まないという事をこの4年でイヤというほど思い知った有権者に対し、両勢力のどちらがよりベターだと思える受け皿を提示する事ができるのか注視したいと思います。

あの方が出馬ですか。
以前も書かせて頂きましたが、玉城氏は一昨年福岡六区衆院補選で野党統一候補応援演説の折り歴史的に河川氾濫に痛めつけられて来た地域実情に全く触れず、沖縄問題や米軍基地の事に終始。
この人福岡南部全然知らない?地元有権者見下してる?よくこんなの(失礼)応援に出したなあって「沖縄の選良」にドン引きしたの覚えてます。

他地域の地方選挙に口出し出来ませんが、氏が出馬と聞き妙?な感じで興味出てきてしまいました。仮に当選場合故翁長氏に輪をかけて辺野古闘争に取り組みそうなのより、海兵隊オスプレイを佐賀空港に移し(多分実家上空飛び回る)海兵隊も北部九州に移せ等主張なさるかな?など所詮外野席であれこれ考えてます。
防人、元寇の時代から国防に理解ある九州に沖縄の米軍移す(補助金も少し興味有)のには却って現実的な安全保障の話が出来、個人的には肯定的です。

> いつまでもこの安全保障上のリスクについて言を左右し、あいまいなままで済ませようとする自民党県連ならば、国民政党たる自民党という看板を降ろして島だけの保守党に純化することをお進めします。

 まったく、おっしゃる通りです。

 県連だけが悪いのではなくて、自民党本部もおかしいのではないでしょうか? 

 佐喜真氏の姿勢は受け入れることはできません。しかし、玉城デニ-氏よりはイイのでこちらを選びます。 

ueyonabaruさん、同感です。

佐喜眞氏は自身の安全保障観を明らかにすべきと思いますが、今は県政奪還で一本になるべき時です。
小沢の下僕のような候補に沖縄は任せられません。

それにしても「遺言」で候補者選定作業が白紙に戻るなど、中世に逆戻りです。
アホらしい限りですね。

翁長氏も小沢氏も似ていますね。理念がなく選挙に勝つためには何でもやると言うことです。小沢氏にとってほとんど影響力がなくなった国政に於いて、玉城氏がもし沖縄県知事にでも当選したときは、沖縄を通して国政をコントロールできます。権力欲の強い小沢氏の意向もあったと思われます。左翼のカリスマ山本太郎氏も応援に来るのでしょうか。
次は県民葬をやるのか、やるのならいつか。オール沖縄が蠢いているそうです。

安里氏のことは残念ですが、オール沖縄の候補では沖縄の更なる後退は目に見えてます。ここは佐喜眞氏に踏ん張ってもらってマイナスをゼロに戻してもらい、その後プラス方向へと「革新」してもらいたいと思います。近代沖縄へ向けて前進あるのみです。

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