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2018年9月

日曜写真館 雲の上は晴れ

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どうぞ沖縄に台風一過の青空が見えますように

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沖縄に台風が上陸しています。被害が心配です。 

よりによってこんな嵐の日に沖縄の未来をかけた選挙が行われます。なにか暗示的ですらあります。 

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もっとも日曜の投票日には抜けている可能性もありますから、どうぞ台風一過の青空が見えますように。 

もうここまで来ると、あまり言うことはありません。皆様の良識を信じるだけです。 

ひとことだけつけ加えます。 

そもそも知事ってなんのためにいるんでしょうか? 

私は県民の生活や経済をよくするためにいるんだと思っています。県民の暮らしを無視して政治闘争に明け暮れていたら、なにも生まれません。 

県民は知事に、半永久的に反基地闘争なんかやってもらうことを頼んだわけではないのです。 

知事にはできることとできないことがあります。実は基地問題は安全保障政策という国の専管事項なので、知事はくちばしを突っ込む余地はありません。 

つまり、国と県との間には、厳然と棲み分けがあるのです。 

知事にできるのは、もっと県民の生活を妨害しないように安全に欲しい、といった運用面について県民の要望を国に伝えるていどのことです。 

辺野古移設についてなら、工事が当初国の計画書にあったような環境対策をとっているかどうかをチェックすることです。 

よく「承認取消し」とか「撤回」という言い方をするので勘違いされますが、それはあくまでも公有水面における工法の問題にすぎません。 

作る作らないという枠組みではないのです。そんな権限を地方自治法は知事に与えていないのです。

ところがデニー氏は今になって、翁長氏が国連で言った「自己決定権」などということを言い出しました。

 

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これは翁長氏の国連人権委員会の中での発言のパクリです。(ちなみに翁長氏は国連に呼ばれたのではなく、日本のNGOの枠を借りただけですから、念のため) 

「私は、沖縄の自己決定権がないがしろにされている辺野古の現状を、世界の方々にお伝えするために参りました」
I would like the world to pay attention to Henoko where Okinawans’ right to self-determination is being neglected.」
 

ここで翁長氏が使った「自己決定権」”right to self-determination”を「自己決定権」などと訳すのは、正確ではありません。 

特にこれを発言したのが、少数民族や先住民についての討議の場である国連人権委員会だったわけですから、翁長氏は沖縄県民の「民族独立」を訴えたと解釈されました。 

またぞろデニー氏は、翁長氏の二番煎じをしようとしています。 

翁長氏は、県の「大使館」もどきをワシントンに作って、怪しげな「大使」まで送りこみましたが、相手にもされませんでした。 

また自分自身も何度も訪米しましたが、国務省ヒラ役職にも会えませんでした。 

あたりまえです。外交ルール(プロトコル)は厳密に定められていて、

大統領には首相、国務長官には外務大臣と決まっています。知事は外交権すらないのですから、国務省のロビーでさまよっていたにすぎません。 

それをいまになって、翁長氏がやって何度も失敗しことを、またもやデニー氏は「県民投票して国際社会にアピールする」というんですから、呆れます。 

翁長氏はこんな県外交に何百億とつぎ込みましたから、またデニー氏もそんなことをするのでしょうか。 

実はデニー氏には、知事になったとしてもやることは残っていません。

承認撤回は謝花副知事がすでに先走って承認撤回をしてしまいましたので、デニー氏の出番はありません。 

え、承認撤回裁判のゆくえですか。 

最高裁判例に下級裁が準じるのが司法の鉄則ですから、120%県は敗訴します。 

それもおそらく裁判所は簡単な書面審理で終わりにするでしょうから、スピード審理で1カ月間とかからないはずです。 

翁長氏のように、法廷で大演説をぶつ余裕さえないでしょう。

なんのことはない、デニー氏は挨拶回りしているうちに敗訴してしまうかもしれないのです。

もちろん、国は選挙期間は工事を控えていましたが、県敗訴と決まったら直ちに工事を再開します。

ですから、デニー氏はいきなり敗北して無力な様を県民に見せてしまうことになります。

いきなり敗訴・工事再開ですから、もう就任わずかでレームダックですからきつい。

土砂が県外だからどうのとかいう類の小技は全部前任者が使い果たしたので、後なにをして4年間過ごすのでしょうか。

さぞかし移設反対だけで当選したのですから、暇でしょう。

土砂の投入が行われてしまってから県民投票などといっても、後出しジャンケンにすぎません。 

県民投票をするなら、翁長県政初期にすべきでした。それならば、当時の熱気を受けてそれなりに追い風に使えたでしょう。

元々県民投票などには法的拘束力がないのにむりむりやっても、終わった事案にアンケートをとるようなものですから、 さぞ白けたものになることでしょね。

一事が万事、デニー氏の「公約」は、翁長氏が一度やって失敗したものばかりです。

だからやってもやらなくても、既に結果は見えているのです。

私は沖縄県知事は、こんな一部の左翼政党主導の反基地永久闘争はお終いにして、県民の生活や経済浮揚に真っ正面から取り組む時期だと思っています。

沖縄県民の皆さん、今の沖縄にほんとうに必要なのは、今後4年をまた不毛な政治闘争に費やすのか、それとも地場経済浮揚と県民生活の向上と向き合うのか、どうぞ真剣にお考えください。

沖縄県の未来が晴れるといいですね。

 

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沖縄県知事選挙とアジア情勢は別ではありません

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デニー氏は昨日も紹介しましたが、こんなことを言っています。 

「僕は有事の前提を置かずに、平時における外交というのが一番大事で。相互関係で成り立っているのに、基地を置くということは、ある種の裏切り行為と捉えられてもおかしくない」 

国会議員だったのにそこからですか、という感じですが、沖縄にとって大事なことなので少しお話しておきます。 

デニー氏は「有事を前提にしない」と言っていますが、有事を前提にしない「平時」は存在しません。 

有事はいわば私たちヒトでいえば、病気が発症するようなものです。 

病気にならないために、私たちは普段から健康に注意して食事や運動をしていますね。

健康を保つという「平時」は、病気という「有事」を起こさないためにあるので、対立する概念ではありません。

同じように国も、戦争にならないために軍隊を作って守っています。硬い言葉でいうと、それを国家の自然権と呼びます。 

自分で自分を守るのですから、当然の権利だという意味です。自衛権、あるいは国防権ともいい、世界中のすべての国に等しく与えられています。 

私たちはここに住み、暮らしていく権利を持っています。子供を育てて一人前にする義務を負っています。 

これを守るために国があり、軍隊があるのです。 

国に守ってもらい、私たち国民がそれを支えること、それは権利でもあると同時に義務なのです。

もし国が国民を守る義務を放棄したら、国民は自分で自分の家族を守らねばならなくなります。 

実際それに近いことを主張する人たちも米国にはいます。彼らは連邦軍を減らして国民全部が銃を持てという極端な人たちです。 

よくわが国にも軍隊はいらないという極端なことをいう人がいますが、その場合この米国の人たちのように国民と国からの保護が期待できないわけです。 

ですから、自分で自分の家族を守らねばならなくなります。 

素手で外国軍隊と戦えというわけにもいかないでしょうから、国民に武器を持つ権利を与えねばなりません。 

日本人ならぞっとしますね。非武装国家というのは、国が国民を守る義務を捨てた無責任国家という意味なのです。 

日本は皆兵ではなく、志願した人たちに頼んで自衛隊を作っています。彼らの拠点が基地、あるいは駐屯地です。

デニー氏は「基地があることが裏切りだ」などと信じがたいことを言っていますが、裏切りどころか自分で自分の国の国民を守ることですから、国の正当な主権行為にすきません。

もし自衛権までを「裏切り」というなら、デニー氏は県民を国が守らなくてもいいということなのでしょうか。 

では、軍隊だけあればいいのでしょうか。もちろん違います。外交もまた重要な国を守る手段です。 

というのは、国際社会には警察がないからです。警察がないために常に対立しているともいえます。 

それは国力が違うからです。わがままに自分の国の利害を押しつける国もあるし、他国の援助でやっと国民を食わしている国もあります。 

一方は14億も国民がいて、世界第2位の経済力と200万超の軍隊があるのに、片方は数万しかいない国という場合だってあるのです。 

このように国力が大きくちがうのに、勝手にやらしていたら大変なことになります。 

だから国際法というルールをつくったり、国連という町内会のような議論の場を作っています。 

国際法という法律が一つあるのではなく、国同士の取り決めや条約のひとつひとつが国際法です。 

ところが、残念なことに国際法にも国連にも大きな強制力はありません。 

たとえば中国は南シナ海を軍事要塞化して自国領土だと主張しています。

関係国や国際社会がどんなに批判しても、聞く耳を持たずとばかりに今やこの一帯の海は「中国の海」と化しています。

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これに対してフィリピンが国際司法裁判所に提訴して、中国の主張は完全に退けられました。 

国内ならこれで決まりでなのですが、さきほど述べたように国際司法裁判所も国際法にも強制力がありません。

すると中国はこんなものは紙切れだといって、頑固に要塞化を進めています。 

モルディブでは、2014年に習近平が訪問し、一帯一路構想への支持を取り付けました。 

その見返りに、中国はモルディブの港湾をはじめとするインフラ整備に投資し、昨年12月には両国はFTAを締結しています。

習がわざわざこんな島にまで足を運んだのは、この島がインド洋を制する要衝だからです。 

すると中国の商品とチャイナマネーが、まるで怒濤のようにモルディブに侵入しました。 

今や中国による一帯一路構想の借款が、モルディブの国家債務の80%近くに達するまでになっています。 

すると、中国はカネを返せないなら、借金のカタで港をもらうぞと言う危機が迫っています。 

現実にスリランカでも、中国の借款により建設されたハンバントタ港が、債務不履行回避のため中国側に99年間リースされるという事態になっています。 

これに危機感をもった国民が立ち上がって、親中派の現職ヤミーン大統領を落選させたのです。

Photohttps://gunosy.com/articles/RiB3j

選挙結果は、投票率9割、一帯一路構想の見直しを主張するソリー候補が6割の得票率で現職に勝利しました。 

争点はシンプルでした。

モルディブを中国に売り渡すのか。このまま中国の借金の罠に陥落し、中国の植民地にるのかという戦いでした。

また、パキスタンも中国とをむすぶカラコラム・ハイウエイという経済回廊を作っています。

一帯一路構想の陸上部分ですが、ここでも同じ中国による浸食に反対して、親中派の現職が破れています。 

マレーシアでも、マハティールが復権して、中国の経済的軍事的浸食に反対しています。

く安易に尖閣諸島はあげてしまおうとか、あるいは米軍を追い出して独立だなどという人がいますが、危ない火遊びは止めて下さい。

そのようなまねをすれば、間違いなく「琉球共和国」はモルディブやスリランカの二の舞になりますから。

アジア各国は、今、中国の一帯一路というな名の対外膨張政策に耐えて、主権を守ろうとしているのです。

これが、今のアジアの動きです。

ちなみに、一帯一路でカネを貸し付けているAIIBの顧問に納まっているのが、沖縄でチャブ台返しをした鳩山元首相だということは偶然ではありません。

鳩山氏はデニー氏が知事になったら副知事になるのもまんざらでもないような口ぶりでした。

ところでデニー氏は、中国が香港で使った「一国二制度」ということを言出しています。

当人は否定していますが、ユーチューブに発言と画像が収録されていますのでほんとうです。

今年5月といいますから、つい先日のことですが、こうデニー氏は衆院内閣委員会で質疑しています。
https://snjpn.net/archives/51573

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「最後に総理に要望を申しつけたい。沖縄を一国二制度にして関税をゼロにし、消費税をぜロにする。そのぐらいの大胆な沖縄の将来を見越した提案をぜひ行っていただきたい」

当人は比喩的表現だというかもしれませんし、かつての民主党の2005年「沖縄ビジョン」から拾ったのでしょう。

ちなみに、この沖縄ビジョンは大量の中国からの移民を受け入れろなんてトンデモな提案も含まれていました。

しかし当時から指摘されていたことですが、この「一国二制度」は中国が作り出した主権分離のための特殊な概念です。

中国と離れて一般的に「一国二制度」を定義すれば、たぶん「一国の中に、政治制度・経済制度の 根本的に異なる地域が複数ある状態」とでも言うことになります。

だとすると、日本国の主権下にありながら、政治制度と経済的独立を持つ一定「領土」と「国民」を持つ沖縄地域ということになります。

だからここを、「自由化特区」として、本土でできない米軍基地の一方的縮小や移民の大量導入、外国人参政権付与をしてしまえ、というのが沖縄ビジョンです。(外国人参政権は同時期に別枠で提唱されていました。)
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-1f22.html

現実に香港・マカオにおいて、英国とポルトガルに対してなだめるために使ったのが始まりです。

台湾に対しても猫なで声で同じ「一国二制度」を呼びかけていますが、中国の浸透に反発して「ひまわり革命」が起きています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-5518.html

意味することは中国共産党支配の今の中国となっても大丈夫ですよ。民主主義は守りますから、という意味です。

Umbrellarevolutionhttp://com21.jp/archives/21988

しかし2014年の「雨傘革命」を思い出して下さい。

あの時、香港の青年は、気がついてみれば香港政庁や警察は中国派に押さえられ、社会の隅々まで中国化していく恐怖支配に抵抗しました。

今や香港政庁の代表すらも、中国が選んだ枠内からしか投票できません。香港の民主主義の伝統は失われたのです。

デニー氏は明瞭に言っていませんが、一国二制度を進めようとする志向は存在すると思います。

その場合、中国のエージェントとなっているかのような鳩山氏を副知事にするという意味は、あえて申し上げる必要はないでしょう。

デニー氏の言っていることをつなぎあわせるとこうなります。

①基地は外国への裏切りだから置かせない。
②特定秘密法・集団的自衛権・ミサイル防衛は戦争準備だから認めない。
③一国二制度を推進すべきだ。

沖縄は国境の島です。緊迫するアジアに隣接する地域です。別の言い方をすれば中国の侵出の最前線に位置します。

このような緊迫したアジア情勢の中に、泣いても笑っても沖縄がある中で、上のような政策をデニー氏がとった場合、中国に急速に吸引されていくことは疑い得ません。

南シナ海やインド洋は東シナ海とつながっています。そしてそこに位置するのが沖縄県だからです。

沖縄県知事選挙とアジア情勢は別ではありません。

県民を守ることのできる知事を選びましょう。

選挙当日は台風が直撃しそうです。事前投票をお勧めします。

 

 

 

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引き裂かれる翁長氏とカラッポのデニー氏

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デニー氏の候補者としての選ばれ方は民主主義とは相いれない不透明で前近代的な性格のものでした。 

候補となった唯一の根拠は、なんと「遺言」です。しかも2名しか聞いておらず、いまだ公開を拒んでいる秘匿テープによってでした。

まるで「二代目翁長」でも選ぶようなものです。 三代目が継いでいる某王国ならいざ知らず、民主国家の選挙とも思えません。

では、なぜここまで翁長氏を神格化するのでしょうか。 

もちろん実利的には、翁長氏を聖人に祭り上げて弔い合戦としたい思惑なのは分かりきっていますが、その裏に隠されたものを感じます。

それは、「オール沖縄」に、そうしないでは済まないような後ろめたいものが存在するからです。

それには翁長氏と「オール沖縄」が、決して世上言われるような一心同体でなかったことを理解せねばなりません。

今まで何度か紹介してきていますが、翁長氏の就任直前の朝日新聞のインタビューがあります。
朝日新聞 翁長氏のインタビュー『翁長雄志さんに聞く 沖縄の保守が突きつけるもの』
http://www.geocities.jp/oohira181/onaga_okinawa.htm 

このインタビューはやや支離滅裂の感がありますが、翁長雄志という梟雄を知る上で、実に興味深い内容です。

「ぼくは非武装中立では、やっていけないと思っている。集団的自衛権だって認める。しかしそれと、沖縄に過重な基地負担をおわせるのは別の話だ。(略)
本土は、日米安保が大切、日米同盟が大切。それで『尖閣を中国から守るのに、沖縄がオスプレイを配備させない』と言う。沖縄にすべて押しつけておいて、一人前の顔をするなと言いたい」(前掲)

翁長氏が言いたいことを意訳してみましょう。 こんなかんじになります

「自分は自衛隊も安保体制も、いや集団的自衛権だって支持する。しかし、沖縄の基地負担はひどいだろう。移設するから新しく基地を作れでは、納得できない。
それでは県民が賛成・反対で二分されていがみあってしまうことになる。
だから、日米安保を基軸とする日本の防衛政策を気持ちよく沖縄県が協力するためには、辺野古移転はすべきでない」
 

ここで翁長氏が言うことには、感情の窓からだけ見ればとお断りしますが、一面の真理が含まれているのは事実です。

ただしそれはまとまった自前の政策たりえずに、ルサンチマン嘆き節と化してしまっています。

「これはもうイデオロギーではなく、民族の問題じゃないかな。元知事の西銘順治さんが、沖縄の心はと問われ、『ヤマトンチュ(本土の人)になりたくて、なり切れない心』と言ったんだけれど、ぼくは分かった。ヤマトンチュになろうとしても、本土が寄せ付けないんだ」(前掲)

デニー氏も「イデオロギーではなくアイディンティティ」といったようなことを言っていますが、ぜんぜん軽い軽い。本気で突き詰めた形跡がありません。

いうまでもありませんが、現実に移転は20年前のSACO合意によって、国家間合意によって成立した条約に準じるものです。

したがって、いまさら変更はできません。候補地の修正くらいだったらなんとかなるでしょうが、それもシュワブ近辺の県内という厳しい縛りがあります。 

日本政府だけの一存でどうなるものでもない以上、移設を阻止することは不可能なことは自明です。 

しかしここで強調しておきたいことは、翁長氏が「安全保障政策に協力する」という前提で政府にもの申していることです。ここは大事なので覚えておいて下さい。

161116_1http://blog.jorf.co.jp/smart/2016/11/20161116-7702...

ところが「翁長2代目」志願のデニー氏となると、このようなことを言うようになります。
※八幡和郎氏のユーチューブからの書き起こしによりました。ありがとうございました。

「ミサイルが飛んでくると。我が国の上空に飛んでくると言うことを迎え撃つと言う、その戦争の有事の前提を作っているわけですね。有事の前提を作れば何でもできちゃうんですよ。
だから安倍政権になり、どんどん安保法制とか特定秘密保護法とかいろんなものを、まるで戦時に備えて、そう言うことを整備して行くんだというやり方は、およそ日本の国家が今までとってきた国の成り立ちや形と、どんどんどんどん変えてきているんですね」

失礼ですが、あまりにつまらないので、失笑してしまいました。北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃して国民を守ることが戦争につながると言っているのですからブったまげます。

デニーはSEALDsかって。

米軍基地についてもこういう調子です。

「僕は有事の前提を置かずに、平時における外交というのが一番大事で。相互関係で成り立っているのに、基地を置くということは、ある種の裏切り行為と捉えられてもおかしくない」

わかってこんな薄っぺらなことを言っているのかな。まるで小学生の理屈です。論評に値しません。陳腐な共産党・社民党の非武装中立論そのものです。

おそらくデニー氏は、マトモな安全保障論など持っていなかったはずです。

だから防衛協会にも付き合いであったとしても入っていられたし、積極的に基地問題への発言が見られなかったのでしょう。

デニー氏は一部で極左のレッテルを貼られているようですが、褒めすぎです。彼は無思想な空洞にすぎません。

民主党に居ればそのように、小澤党に身を寄せればそのように、それなりに言説が変えられる人なのです。

つまりは、今までまじめに基地や移転について考えたことなんかなかった人が、今度は「オール沖縄」の神輿に乗ったので、それらしく振る舞っているだけです。

さて簡単に翁長と「オール沖縄」との距離について振り返ってみます。

翁長氏は知事に就任してから謎の1年間の空白を演じます。 

翁長氏が仲井真氏がした承認を「取り消し」したのは、実に就任1年後の2015年10月のことでした。 

これが糸数氏や伊波氏といった筋金入りの反基地運動家ならば、就任直後から承認とり消しに踏み切ったはずです。 

翁長氏と「オール沖縄」が蜜月だったのは、選挙期間中ととそれからの半年に満たない期間にすぎませんでした。

というのは翁長氏が、いっかな承認取り消しに腰を上げなかったからです。

彼は1年間丸々、県外砂利がどうしたというジャブでお茶を濁しましたが、やるやるといいながらその腰は異様に重たかったのです。 

その間に移設工事は着々と実績を積み上げてしまっていたのですから、「オール沖縄」からは不信の眼で見られてて当然といえば当然でした。 

その背景には、翁長氏は「オール沖縄」勢力との政治体質の違い、手法の相違がありました。

いわば翁長氏は黄、金の檻に入れられた囚人だったのです。

仲井真氏の知事公室長だった吉川由紀枝氏は、翁長政権についてこう述べたことがあります。

ちなみに吉川氏は外務省から出向し、知事公室安全政策課に在籍していました。翁長政権誕生と共に辞職しています。

翁長知事は2014年11月の県知事選で圧勝したが、その基盤は盤石というわけではない。『オール沖縄』を標榜して当選しただけに、知事自身の可動範囲は、全基地閉鎖から基地容認まで様々ある沖縄の意見の最小公約数に狭められている。即ち、「辺野古反対」「オスプレイ反対」くらいしか、発言できる範囲がないのだ。
特に現実的な妥協ラインはどこか?という話になると、「オール沖縄」では一切の合意はない。この可動範囲をちょっとでも越えれば、知事の支持基盤は分裂する
 とどのつまり、「沖縄県のいうことをすべて呑むか」「それとも、呑まないか」という、オール・オア・ナッシング以外の交渉ができないということだ。
これでは、日米政府とのまともな交渉相手たりえない」
https://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20150514/281135/

まさに見事にその後の翁長氏の命運を予言しています。

翁長氏を担いだ神輿は、まず右車輪だった安慶田副知事などの新風会直参組を失い、経済界で翁長氏を支えた呉屋・平良氏にも亀裂が走り、唯一残った左車輪の共産党と社民党も抗争を開始するようになります。

それはさておき、承認取消後は延々と訴訟合戦が始まりますが、翁長氏はここで高裁が提案した「和解」に応じてまたまた10カ月を空費します。 

なにが訪沖した菅氏と話されたか知りませんが、あんがい落とし所を探っていたのかもしれません。

結局、2016年12月に最高裁判決でとどめを刺されるわけですが、この最高裁判決によって移設阻止が二度と司法によって認められることがないという最高裁判例を作ってしまいました。 

つまり翁長氏は公約が実行出来ずに負けただけではなく、この間政府の工事を容認しているに等しいのです。 

そしてつい先日は、二番煎じよろしく「承認撤回」です。今度は、承認後の工事に瑕疵があったという難癖ですが、ところがこれにも翁長氏は消極的でした。 

最高裁判決が出た以上、100%負けるのが分かっていたからです。 

「苦渋の選択というのがあんた方にはわからないんだよ。国と交渉するのがいかに難しいか。革新勢力は、全身全霊を運動に費やせば満足できる。でも政治は結果だ。嫌だ嫌だで押し切られちゃったではすまない」

政府と戦うことが存在理由の革新と自分は違うというわけですが、それでも承認撤回をやるとすれば理由はひとつです。 

「稲嶺恵一知事はかつて普天間の県内移設を認めたうえで『代替施設の使用は15年間に限る』と知事選の公約に掲げた。あれを入れさせたのは僕だ。防衛省の守屋武昌さんらに『そうでないと選挙に勝てません』と。こちらが食い下がるから、向こうは腹の中は違ったかもしれないけれど承諾した」(前掲) 

実は裁判所はここで、翁長氏が言っている稲嶺案の「代替施設の使用は15年に限る」と似た和解案を出していたのですが蹴って最高裁に上告します。

裁判所和解案を蹴った理由は、単に「選挙に勝てないから」にすぎません。

オスプレイに反対したのも、移設反対をしたのもすべて「選挙に勝つ」ためでした。

ですから2度目の承認撤回はやる以上、自分の再選に繋がるチャンスでなければ無意味だと思っていました。

たぶん11月の本来の知事選間際にブチ上げて、それを焦点にする気だったのでしょうが、それ以前に彼の寿命が終わってしまいました。 

ですから入院中の翁長氏を差し置いて謝花副知事が勝手に承認撤回をすると言い出した時に、オレの判断を差し置いてと怒ったと伝えられています。

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するとそれを知事の裏切りと感じた反対派はいきり立ちます。

元来、思想信条がまったく違う「中道保守」の翁長氏に対して、反基地運動団体は猛攻撃を仕掛けます。

彼らは翁長は裏で政府自民党と握って戦っているふりをしているだけだ、と思ったようです。

承認拒否まで1年もかかり、あげくは「和解」提案という毒饅頭など食うからこのザマだ、という気分があったのでしょう。

猜疑心を持って翁長氏の知事就任からの動きを見ると、やるやる詐欺にもみえないことはないからです。

その不信感が爆発したのが、この夏の翁長攻撃でした。

いまでこそ「オール沖縄」陣営は翁長氏を聖人扱いしていますが、わずか2カ月前に彼らが翁長氏にした所業は、まったくそれと裏腹でした。

それが7月13日から始まる、集団での知事公室すわり込みでした。

こともあろうに自分らが推した知事の公室を占拠してしまうのですから、誰を標的に据えたのか分かろうというものです。

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これは余命数カ月を宣告されていたはずの翁長氏には堪えたはずで、この「同志」の罵声に背中を押されるようにして7月27日に承認撤回を表明したわけです。

しかし、それでも翁長攻撃は止みませんでした。

彼らは続く8月7日には沖縄防衛局に突入して、実に8時間にも及ぶ座り込みをやらかしました。

これは一見すれば国に対しての戦いに見えますが、ほんとうの標的は翁長知事にあることは明らかです。

私は翁長氏の最後の数カ月に掛けられたこの冷血そのものの攻撃が、今「翁長氏の遺志を受け継ぐ」と言っている人たちが行ったことを忘れてはならないと思います。

「革新勢力は、全身全霊を運動に費やせば満足できる。でも政治は結果だ。嫌だ嫌だで押し切られちゃったではすまない」(前掲)と言っていた翁長氏は、死んでからもまた利用されたのです。

※前半を大幅に加筆し、タイトルを変えました。いつもすいません。

 

 

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デニーさん、普天間基地をどうするつもりですか?

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もし私がテニー氏に聞くチャンスがあれば、いくつかお聞きしたいことがあります。 

いえ、なんのシンプルなことです。隠し子かどうしたとか、政党助成金疑惑がどうのとかいうようなスキャンダル絡みのことではありません。 

隠し子については双方否定していることですし、沖縄芸能界にいたデニー氏がそのようなことのひとつやふたつあっても、それはしょせんいい歳をした大人の下半身の話です。 

政治資金規正法違反疑惑については、法に抵触することですから答えて貰わねばなりませんが、記載漏れは保革をとわず、こういう言い方はナンですが、よくあることです。 

私が聞きたいのは、基地問題が焦点だと言う以上、どうしても答えてもらわねばならないことです。 

Photohttps://www.asahi.com/articles/photo/AS20160408001

デニー氏は知事に当選したら、今目の前にある普天間飛行場をどうするつもりですか? 

普天間飛行場をどうするのか、という議論の出発点をあいまいにしたまま、行く先だけを言うのはおかしくはありませんか。 

今、そこにある住民の危険と、ジュゴンの住処がなくなるなんてことを比べること自体がちょっと変なのです。 

人間の危険と、メディアが眼を皿にして探してやっとわずか2頭回遊に来ることが確認されたジュゴンを同列に並べること自体が間違いです。 

つまり本来、「普天間飛行場を撤去する」ということと、「辺野古移設」はワンセットのテーマのはずなのです。 撤去するから写るのです。ありりまえですね。

子供でもわかる理屈で、撤去できなければ移るも移らないもないのです。

前者があるから後者があるのであって、移転が反対ならそのまま普天間飛行場が半永久的に市街地にあっていいということになりかねません。 

実は翁長氏は、知事在任中にこの矛盾した問いに答えようとしませんでした。

翁長氏は移設問題のプロセスを稲嶺元知事と一緒に表も裏も知り尽くした政治家でしたから、辺野古になった経緯もよく知っていたはずです。 

辺野古は20箇所の候補地がことごとくボツになって、消去法で決まったにすぎません。

決まった後も名護市とえんえんと協議をして、その主張を丸呑みしています。

地上でなく海上に、滑走路が2本なんて変な形なのも、市の要望に沿ったからです。

デニー氏が移転反対について「翁長氏の遺志を受け継ぐ」というのはけっこうですが、それはあくまでも「移転先に反対だ」ということでしかありません。 

ならば、今、市街地のど真ん中にある普天間飛行場はどうするのでしょう?

移設反対はけっこうですが、ではズっとこのままで市街地にいるのが望ましいということでしょうか? 

もちろん違うはずで、デニー氏はこう答えています。 

「応援にかけつけた「オール沖縄」の玉城デニー県知事候補は普天間第二小学校の避難誘導員が廃止されたことを受け、「子どもたちを避難させるのかどうか学校で判断しろと。これだけ人の命を軽視している国がどこにあるのか。普天間基地は閉鎖・返還しか道がないことを改めて国に対して、ナカニシさんと玉城デニーが物を言っていきたい」と訴えました。参加した女性(50)は「子どもたちの命を守るというナカニシさんの強い思いに感銘を受けました。普天間の即時閉鎖・返還のためにデニーさんとともに勝利したい」と話しました」
しんぶん「赤旗」(9月24日)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-09-24/2018092401_02_1.html

 普天間2小については、宜野湾くれない丸さんの詳細な調査記事があるので、ぜひお読み下さい。 

デニー氏が言うように、「国が人の命を軽視している」わけではないのが分かるはずです。
※関連記事
「宜野湾くれない丸氏寄稿   なぜ普天間2小は1ミリも動かなかったのか 」その1~その3

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-9e31-1.html
「辺野古移設と普天間2小問題をリンクさせるな 」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/2-d72c.html 

それはさておき私がお聞きしたいのは、デニー氏が共産党と一緒に安易に口にしている「普天間の即時閉鎖・返還」した場合、デニーさんあなたはその結果を知事として背負えるのですか、ということです。 

なぜなら、辺野古移設がデニー陣営の主張どおり見事に阻止された場合、日米がこの20年ちかく延々と協議して推進してきたSACO合意は廃棄されて振り出しに戻るからです。
外務省沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告」(1996年12月2日) 

Sacohttp://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/73824

デニー氏は、ぜひ一度この普天間飛行場の移設問題のきっかけとなったこの最終報告書をお読みになることをお勧めします。 

そこにはこうあります。 

「両政府は、SACO中間報告を踏まえ、普天間飛行場の重要な軍事的機能及び能力を維持しつつ、同飛行場の返還及び同飛行場に所在する部隊・装備等の沖縄県における他の米軍施設及び区域への移転について適切な方策を決定するための作業を行ってきた」(前掲) 

ここには「重要な基地機能を維持しつつ」移転を進めるとあります。 

おそらくこの部分を鳩山元首相はすっ飛ばして「国外、最低でも県外」とやってしまったわけです。 

鳩山氏の言うように、「国外」というのは日本から米軍基地は出て行けということで、それは日米同盟の廃棄と同じことを意味します。

端的にそれは、日本の独自軍事力の増強へとつながるでしょう。

日本は安全保障政策を根底から再構築せねばならなくなり、9条改憲どころではなく、日本の軍事大国化の扉を開けることになるからです。 

また「県外移設」をしたら、海兵隊基地として軍事的機能が維持できなくなります。 

海兵隊が航空機を使って緊急対応する部隊な以上、航空基地は絶対にキャンプのそばに隣接する必要があるからです。

現実にも 県外といっても徳之島や馬毛島か候補に登ったていどで、実現性はゼロでした。

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「国外」はおろか「県外」も無理だとわかったから、旧民主党時代に元の辺野古に逆戻りしたのではなかったのでしょうか。

その時のみっともない迷走ぶりを、デニー氏は当時の民主党員としてよくご存じのはずですが、都合よくお忘れでしょうか。

ですから、デニー陣営の主張どおりに「普天間飛行場の閉鎖・返還」が実現した場合、SACO合意は日本側からの申し出で廃棄されたと米国は解釈します。 

その結果、日本側から言い出して移設を要請し移設先が決まったも関わらず、日本側の自己都合で取り止めたわけですから、移設自体が完全に白紙に戻ったと解釈するのは当然すぎるほど当然です。

デニーさん、しっかり眼を開けて冷厳な現実を見て下さい。

どうなりましたか。普天間飛行場は「即時閉鎖・移設」どころか、日米同盟が続く限り宜野湾市のど真ん中に鎮座することになりました。

しかし20年前と決定的に違うことがひとつだけあります。

それは普天間飛行場の移設交渉が二度と開かれることがない、ということです。 

 

 

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山路敬介氏緊急寄稿 沖縄県知事選・序盤から中盤までの選挙戦情勢その2

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山路氏寄稿の最終回です。 

突然の私の要請に快く応じて頂いてありがとうございました。

                                                   ~~~~~~ 

 

                    ■沖縄県知事選・序盤から中盤までの選挙戦情勢その2
                                               ~序盤から中盤までの選挙戦情勢~
                                                                                             山路敬介
 

承前 

■「本土は沖縄に無関心だ」という嘘

わが宮古島市はったった5万人強の人口で、有権者数ともなれば4万人程度のものです。
 

この宮古島市に二階幹事長が来、菅官房長官も来島されました。

もちろんそうした大物だけでなく、ここでは書ききれないほどの幾多の国会議員が来島され、たくさんの陳情を持ち帰ってもらっています。
 

土地改良事業や農業政策の分野では、すでに要望実現も約束されています。

正直、翁長知事はよほど宮古が嫌いなのか離島には無関心であるとしか思えず、宮古は沖縄県行政の「蚊帳の外」に置かれたような四年間でもありました。

この選挙において特に嬉しいのは、例えばこういう事があります。
 

千葉県選出の元栄太一郎氏という参議院議員があり、この方は竹下派であり少壮ではありますが、かねてから注目する保守政治家でした。(弁護士ドットコムの主宰者と言った方が通りがよいかもです。) 

この方の秘書さんなど、私などと全く同じに「どぶ板」的選挙運動を真摯にやって下さっています。 

嫌な顔をされる場合も年中ですが、一軒一軒事業所をまわり、その中で話せる機会があれば、汗もふかず実に頭も低く懇切丁寧に離島における安全保障の大切さを説きます。

国境に接する自治体や所属する島々の人口を減らさない事。福祉や民生をしっかりさせ、地域の持続的な経済発展を実現する事が「実力による抑止力」と同じくらい重要だと言います。

二紙やいい加減な言論人たちは「本土は沖縄に無関心だ」などといいますが、実際は全く違います。
 

この選挙戦で特に感じるのは、私たちの宮古島が本土に大切にされている実感であり、必要とされ役割を担える事からくる「一体感」です。 

対して、オール沖縄の「対本土」の思想では私たちの地域を破壊させるのは明らかです。

どちらが勝っても「僅差」だろう

選挙の専門家や定評ある識者の間では、今回の選挙は二、三万票から極端には数千票の差しかつかないであろう、と言われています。
 

そうであれば、先の衆議院選挙のように宮古・石垣や先島の票が左右する可能性が十分あります。 

私個人の目標は、宮古島においてはダブルスコアでデニー氏を下すという途方もないものです。 

しかし、どうにもデニー氏陣営は組織が機能していないように感じるのです。 

こうした見方は、本島からの方々からも本島の情勢として伝えられるところです。

また、案外に渡口初美氏の高齢層からの支持があり、また兼島氏に同情票が散り「デニー票を食っている」という見方があります。
 

いずれにしても箱を開けてみないと分かりませんが、二、三万票差での決着という線は正しいと思われます。 

                                                                                               (了)

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山路敬介氏緊急寄稿 沖縄県知事選・序盤から中盤までの選挙戦情勢その1

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山路氏より緊急寄稿をいただきました。ありがとうございます。

                                              ~~~~~~~           

                                  ■沖縄県知事選のゆくえ      その1
                                          ~序盤から中盤までの選挙戦情勢~
                                                                                             山路敬介

■デニー候補が「保守中道」だって?

玉城デニー氏は出馬会見において、自身の政治的立ち位置を「保守中道」と位置づけました。

選挙ですので、最大限多数層に働きかけるような表現を工夫される事は多少は理解出来るところではあります。

しかしデニー氏の本質は、かつての旧社会党左派が主張し、今や本土では全く相手にされない「非武装中立論者」である事はあきらかです。

それでありながら、翁長知事さながら「日米同盟は認めるべき」とも言う。
この矛盾はそのまま「オール沖縄」の矛盾であり、「無責任体質」そのものです。

玉城氏の安全保障観はかつてあったSEALDs並みでしかなく、経済政策など文字を並べているだけのもので、「付け焼刃」を通り越して興味すらないでしょう。

早くも「翁長知事の遺産だけで食っている」、そういう姿が目に余ります。

ネットでは「夢見るデニー」と揶揄されているようですが、もっともな事です。(これには私、ひとり思わず吹き出してしまいました)

最初から話がそれました、すいません。

佐喜真氏は僅差を詰めきっていない

先週金曜日までの選挙情勢ですが、今のところまだ「5~7%のデニー氏のリード」である事で間違いありません。

選挙用の引き締めのための「いま一歩」とか「もう一息」のような掛声ではなく、これが実際の状況です。

告示前の琉球新報でデニー氏に「浸透」という表現が使われましたが、これは20%程度の差異を示す場合の言い方で、この時点ではこれが正しい見方だったと思います。

佐喜真氏が追う展開は変わっておらず、かなり差を縮めてはいるものの「風がおこる」と表現されるほどの劇的な展開はなく、期待していたよりもずっと緩慢です。

範囲が広いだけに名護市長選挙の時のような「進次郎効果」も限定的で、それよりも一部の有権者の間では、何となく翁長知事=安室奈美恵=玉城デニーの根拠のないイメージを描いている向きもあるようです。

ただ、佐喜眞氏は劇的な「風」を起こせないながらも、ここまで追い詰める事が出来ているやり方は正しく、地味ですが佐喜真氏の個性に会った非常に好ましい「選挙の王道」を行くものと思っています。

翁長氏が相手の場合と全くちがい、訪問可能な事業所の数は飛躍的に増えていますし、確実にじっくりとした会話を求める有権者が日増しに多くなっています。

あと二週間あれば確実に佐喜眞氏を当選させる事が出来ると思いますが、いまはギリギリ互角の勝負に持ち込めるかどうか、といったところです。

                                                                                           (続く)

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日曜写真館 彼岸花

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南北首脳会談という茶番

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南北首脳会談について、中央日報(9月21日)がこう報じています。 

「金正恩(キム・ジョンウン)式非核化案」に対する米国の最初の反応は悪くない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩国務委員長は共同宣言の合意文を通じて非核化措置の種類と順序を提示した。
①北朝鮮がまず関係国専門家の参観の下で東倉里エンジン試験場およびミサイル発射台を永久的に廃棄し
②米国が6・12セントーサ共同声明の精神に基づき相応の措置を取れば
③北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)核施設の永久的廃棄のような追加の措置を取る用意がある」

https://japanese.joins.com/article/418/245418.html

Img_ec9e4ffe54eca46acd96e49e4e97edfhttp://www.afpbb.com/articles/-/3190270

日本のメディアは、トランがツイッターで「すんばらしい」みたいなことを書き込んだので、そうか米国は好意的なんだなと見ているようです。 

あいかわらず、このトランプの癖が分かっていませんね。彼は交渉相手と見定めると、必ず暴投か絶賛かのいずれかをやって見せるのですよ。 

トランプが交渉相手に、机を叩いて口角泡を飛ばすのも、抱きかかえんばかりにしてみせるのも、自分に有利に運びたいという裏があるからです。 

トランプは正恩をホームグランドにおびき寄せて第2ラウンドをしたいと考えています。それまでは芝居っけたっぷりに「絶賛」モードを取り続けるでしょう。 

さもないと、臆病者の坊やはお家から出てきませんからね。 

トランプの言うことは一切合切デタラメだという米国のメディアの言い方をそのまま伝えておきながら、ことツイッターは丸呑みというわけです。 

そのかわりトランプになり代わって、ポンペオが押えるべきところは押えた発言をしています。 

「ポンペオ米国務長官は19日(現地時間)の声明で公式立場を表した。ところが寧辺核施設廃棄に関する内容が平壌共同宣言と違った。
ポンペオ長官の声明には「米国と国際原子力機関(IAEA)視察団の立ち会いの下で寧辺のすべての施設を永久的に廃棄することを含めて…歓迎する」と述べた。
平壌共同宣言にはない「米国とIAEAの査察」という言葉が追加されたのだ。廃棄の対象も共同宣言では「寧辺核施設(nuclear facilities in Yeongbyeon)」だけだが、ポンペオ長官は声明では「寧辺のすべての施設(all facilities)」となっている」(同上)

 米国はCVID(完全かつ検証可能な非核化)をまったく捨てていないことが、お分かりになるでしょうか。 

米国がここで言っているのは、「お前らがサラミスライスのようにチョイ出しするのは分かっているぞ。さんざんやられてきたからな。オレたちの要求は、ヨンビョン(寧辺)周辺の一切合切の施設(all facilities)のIAEAと米国による査察だ」ということです。 

今回北が初めて廃棄を言い出したのは、北がもう使わなくなった余剰施設があるからにすぎません。 

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 日本のメディアは分かっているのかどうか、ただ「ヨンビョンの核施設の廃棄」とだけ報じていますが、あそこは大規模な複合施設であって、そのどれを廃棄するのか明らかにされていません。 

「寧辺(ヨンビョン)原子力研究センターは、平壌の北約80km、寧辺市の南西約5kmの平安北道寧辺郡分江地区九龍江の屈曲点に位置し、敷地面積は8.92万平方km(270万坪)である。この研究センターは1960年代前半から、旧ソ連の協力により建設を開始し、研究用原子炉(IRT-2000)、5,000kW実験用原子炉黒鉛減速・炭酸ガス冷却炉)、臨界実験装置、放射化学研究所(プルトニウム再処理施設)、核燃料製造貯蔵施設、放射性同位元素生産加工研究所、放射性廃棄物貯蔵施設などを運用しており、このほかに建設を中断した50MWe原子炉(黒鉛減速・炭酸ガス冷却炉)がある」
(高度情報科学技術研究機構)

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php

いったいこのどれなのでしょうか。ポンペオが言っているのは、この全部を査察させ、廃棄しなければ無意味だということです。

「ここから米国が望む点がはっきりと分かるというのが外交関係者の観測だ。IAEA視察団の復帰と寧辺核施設に対する全面的な査察だ。
外交筋は「寧辺核施設は規模が大きく、公開されたものだけでも少なくとも約390カ所にのぼる。
6カ国協議の9・19合意当時も5カ所ほどしか査察できなかった」とし「米国が今回述べた査察とは、北が申告した施設だけを見る一般査察でなく、IAEAが任意に北の核施設を指定して査察できる特別査察と理解される」と説明した」(朝鮮日報9月20日)

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/09/20/2018092000789.html

 このヨンビョン以外にもランド研究所は、全国に100箇所の核施設を有しているとみています。 

廃棄を言い出した核実験場にしてもあんなものはとうに廃墟ですし、というかもうしこたま核弾頭は蓄えたので新たな核実験をする必要が薄らいだというだけです。

弾道ミサイル実験場などに至っては、いつまでも固定式発射台でやっている時期は過ぎ、どこにでも持っていける移動式発射機が実用化したから廃棄してもいいだけのことです。 

149481372891035280179_96958a9e93819 https://s.webry.info/sp/hiroaki1959.at.webry.info/...弾道ミサイルの輸送起立発射機(TEL)

「今年5月に米ニューヨーク・タイムズ紙は米ランド研究所の見方として「北朝鮮は20-60個の核弾頭と40-100カ所の核施設を持っている」と報じた。
北朝鮮がこれまで確保した核物質はプルトニウム40-50キロ、高濃縮ウラン600-700キロほどに達するという。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む1000発以上の様々な弾道ミサイルも保有している。
これらの「今ある核」の廃棄こそ「完全な非核化」の核心事項だ。しかし北朝鮮はこれらについて全く言及しておらず、リストの提出も拒否している」(朝鮮日報前掲)

つまり北は、非核化をやったふりをするために、不用品箱からやくたいもないガラクタを引っ張りだして、これみよがしに「非核化の成果」と誇っているのわけです。 

そもそも北はこんなチョイ出しではなく、シンガポール合意に従って自らの核の全貌を明らかにする責務があります。 

①核物質製造原子炉施設の数、場所、内容
②核兵器製造施設の数、場所、内容
③核弾頭の数、保管場所
④核兵器搭載可能な弾道ミサイルの数、配置場所、内容
 

これらの基礎データがなければ、非核化もなんもあったものではありません。全容が開示されない以上、工程表の作りようがないからです。 

正恩が不用品箱に入れていてスゲなくしていたムンジェインをリユースする気になったのは、中国が北の後ろ楯になることを躊躇し始めたからです。 

なんどか書いてきていますが、北というのは大変に分かりやすい国で、使えない奴と思えば冷淡に主張を押しつけ、急に入り用になればベタベタとピョンヤンで抱き合ったりするのです。 

シンガポール会談で用済とみたら、直ちに冷淡になったかと思うと、ポンペオが訪朝を中止するやいなや、また猫なで声ですり寄るんですから、プラグマチックというか、なんともかともですが。

まぁ、乗る方も乗る方ですがね。

今回、正恩がムンを必要とした理由は、習が建国70周年記念日に行かなかったことでもわかります。 

とてもじゃないか、自分の国の経済が米国から攻撃を受けて浮沈の淵にいるというのに、辺境の小僧の冒険などにかまってはいられなくなった、ということです。 

中国は北の後ろ楯を忌避しただけではなく、もしトランプが経済戦争の取引材料に北の非核化をもちだしたのなら、喜んで応じるでしょう。

かくて正恩は、唯一の頼りの中国を失い、四面楚歌、四方全部敵となりました。

え、プーチンですか?口先では介入するでしょうが、哀しくやマネーがありません。国際政治のジャングルでは、カネがないのは首がないのと一緒なのです。

今、デフォールト寸前の外貨不足に苦しむロシアにとって、喉から手がでるほどほしいのはカネです。

だから、ウラジオストックで「今思いついた平和条約を先にしよう」」なんて言い出したのであって、あれは余裕の現れではなく、切羽詰まっているからです。

そんなことは充分分かっているから、安倍氏は苦笑いでスルーしたのです。

メディアはその場で言い返さなかったから「外交敗北だ」なんて言っていますが、敗北もなにも困っているのはアッチで日本ではありません。

トランプと共に、どうロシアを間合いを詰めるか、訪米で協議することでしょう。

おっと、ひとつ書き漏らしました。

ムンはこう述べています。

「北朝鮮の平壌で19日に行われた南北首脳会談の後、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「朝鮮半島の全地域で戦争を起こさせるあらゆる脅威をなくすことで南北は合意した」と断言した。北朝鮮が米国に求めている朝鮮戦争終戦宣言を事実上、南北同士で合意し、“南北終戦”を宣言したかたちだ」(産経9月19日)
https://www.sankei.com/world/news/180919/wor1809190028-n1.html

なにかムンは深く勘違いしているようですが、こんな休戦協定もどきを北とどう結ぼうと無効です。

なぜなら、北と対置しているのはあくまでも国連軍であって、その司令官及び主力軍としての米軍だからです。

それは朝鮮戦争休戦協定の正式名称が、「朝鮮における軍事休戦に関する一方国際連合軍司令部総司令官と他方朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令員との間の協定」と呼ばれることで分かるように、北は一方の主体ですが、韓国は名前すらでない立場です。

したがって、韓国が何を言おうと、国連軍との協議もなく勝手にムンがしゃべり散らしているだけにすぎません。

正恩は朝鮮戦争終結宣言を米国に出させることで、米軍が朝鮮半島に駐留する法的根拠を削ろうとしています。

平和条約が米国と締結できれば、後は舎弟のムンに米韓安保条約を廃棄させれば、米軍は朝鮮半島から撤退することになります。

これが北の考える「朝鮮半島の非核化」のイメージです。

後は、隠していた核兵器をおもむろに取り出し、「核兵器を持つ統一朝鮮」を作るまでまっしぐらです。

というわけで、北の辺境の王様にとって残ったカードは、もはやあの頼りにならないパシリのムンしか残っていなかったというお粗末の一席。 

 

 

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総裁選 自民党は絶妙なバランスをとった

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石破氏がまるで勝利したようなメディアの浮かれぶりです。 

「自民党総裁選は、安倍晋三首相が石破茂・元幹事長を破り、連続3選を果たした。しかし、国会議員票で8割の支持を得ながら、世論に近いとされる全国の党員らの支持が5割半ばにとどまった。首相陣営から聞こえるのは歓声ではなく、驚き、当惑だ((略)
首相陣営からは「ショックだ」「参院選が心配だ」との声が相次ぎ、自民党幹部は「地方の反乱だ」と語った。
8割を超えた国会議員票でも、両陣営ともに50票台とみてきた石破氏が73票を獲得。表向きは首相支持を表明しながら、逆の投票行動を取った議員が複数いることをうかがわせる結果となった。」
(朝日9月20日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180920-00000065-asahi-pol

 結果はご承知のとおり以下です。

●自民党総裁選得票数
・安倍晋三
議員票 329(82%)
党員票 224
(55.3%)
計        553(69%)

・石破茂
議員票 73
党員票 181

Photohttp://blogos.com/article/326142/

国会議員票で50票ていどと見積もられていたのが20票超の積み上げをしましたし、党員票では安倍晋三首相の37都道府県に対して 石破氏は10県でした。

●党員票の都道府党員票獲得状況
・安倍・・・37都道府県
・石破・・・10県
 

2012年の総裁選では40都道府県で石破氏に敗れた安倍氏ですが、前回は落とした北海道、愛知、滋賀、京都などで勝利しました。 

メディアは「石破氏の大善戦」「地方の反乱」などと持ち上げていますが、石破氏は2012年から4つ取りこぼしているわけで、当初言われていたような地方票で逆転することはかなわなかったともいえます。 

下図の赤色は、2012年前回選挙時の県別で安倍氏が1位となった地域を現しています。これで「地方の反乱」があったといえるのでしょうか。

Photo
これについて、選対本部長だった甘利氏の意見です。

「6年前の地方票での石破氏の得票(55%)はクリアした」としながらも、議員票と地方票の乖離については「判官びいきとバランス感覚があった」と解説し「自民党らしく結果は絶妙」と強がってみせた」(東経オンライン泉宏)
https://toyokeizai.net/articles/-/238726?page=2

泉氏は「絶妙な結果」という甘利氏の意見を鼻で笑って「強がり」と評していますが、そうでしょうか。

私も甘利氏の見方に近い感想をもっています。 

逆に「石破つぶしには失敗した」(同上)と麻生派幹部が言ったようなことに成功した場合、どうなるでしょうか。 

たとえば、国会議員票で石破派+竹下参院派の約50票、地方票が自派の強い鳥取・島根山形ていどの3票で終わり、石破氏がトリプルスコアで敗北した場合です。 

私は高い確率で、石破氏は自民党を飛び出して、かつて元幹事長でありながら党を割って野党と合流してしまった、あの小澤一郎氏のようなことをすると思います。 

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さて、今、石破氏が置かれている立場はこういうところです。 

まず第1に、党内運営うんぬん以前に、その資格自体が欠落した圧倒的少数派であることです。

かつては幹事長という党の運営トップでありながら、自派は20人からいっかな増えないという不人気ぶり。推薦人スレスレで、自派以外には唯一支持表明したのが竹下参院派にとどまりました。

メディアは今回20人も上乗せしたと大喜びですが、しょせん自派の統制すら難しいような派閥力の衰退が原因です。

これは政党助成制度ができて、選挙資金を一手に掌握し分配できる党・官邸のパワーが派閥を凌いだからです。

いわば安倍氏の力が強まったことの見返りの現象であって、痛し痒しです。

70票も取ったと朝日のように喜ぶのか、たった安倍氏の3分の1にすぎないと見るかは自由ですが、しょせん党内極小派であることになんの変わりありません。

ですから、仮に石破氏が総裁になった場合に、丸々70票を基礎にして運営できず、8割は反対派、あいしはよくて中間派ということになります。

これでは石破自民ができたとしても3カ月と持ちません。

また得意と言われた地方票においては、獲得したのは地元の鳥取などを除けば個々の地方党員の支持の集合でしかなく、まとまりがありませんでした。

地方票は朝日のいう無形の「国民の不満」の集合体でしかなく、まさにモリカケで醸成された空気そのものでした。

私の知る地方党員などは、安倍氏がトランプに媚びていると文句を垂れ、モリカケではまだなにか隠していると息巻いていました。

このような人たちは石破氏に投票したのですが、これも石破氏の政策を知っていて投票したわけではなく、かつての民主党政権誕生時に見られた「自民にお灸を据えてやろう」といい勝負のレベルなのです。

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これを知っていたからこそ石破氏は、自らも獣医師会から献金を貰って石破4原則を作るという一方の当事者という立場にありながら、厚顔無恥にもモリカケを安倍氏攻撃の材料に使ったわけです。

安倍氏が自民の選挙マシーンである職域票で固めたのに対して、空気の取り込みを選挙戦術にしてしまったわけで、こういう石破氏が安倍氏に勝とうとすればするほど、発言内容が野党・メディアと酷似してきてしまったのは当然のことです。

なんせもう、香山リカ氏や古賀茂明氏などに期待される輝く「リベラルの星」と化していましたもんね。

ちなみにメディアで石破氏期待を表明したのは、下の写真のような方々だったようです。これほど左翼から好かれる自民党総裁候補は初めて見ました。

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自民党総裁選なのか、自民と野党の代理戦争なのかわからなくなってしまいました。

このような場外乱闘にしてしまったのは、あげて石破氏の選挙戦術の歪みが原因です。

その結果、第2に、石破氏はいみじくも自民党にはなんの思いも愛情もないことを半ば公然と言ってしまったこととなりました。 

正直、元幹事長(しかも安倍氏に任命された!)がここまで自民党と安倍氏への悪口雑言を吐き散らすとは思いませんでした。

これによって石破氏は、従来の自民党にあったどんなに派閥抗争が激烈になろうとも自民党自体への批判は控えるという紳士協定を平然と破ったことになります。

いわく、「いつの間にか自由にモノが言えない政党になってしまった」「ウソはいけない」「国民に正直に話さなければならない」・・・、なんですか、これは。

あ~あ、言っちゃったというかんじ。総裁候補の発言ではなく、朝日が言っているのかと思いました。

第3に、今回、私の認識が大きく間違いだと分かったたとは、私は彼が農業政策や安保法制の専門家であると勘違いしていたことです。

まったくの誤りだったようで、石破氏の口からは政策らしい政策が語られることは皆無でした。

現時点で総理・総裁に求められる政策は、経済政策と外交政策、そしてやっと政治日程に登った改憲テーマです。

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ところがこのいずれにも石破氏には明確なビジビョンを持ち合わせていないどころが、改憲については9条2項削除という超原則論をいいながら「共産党が賛成するまでやるべきではない」とトンデモのことを言い切ったことです。

要はやらないのです。

原則論のハードルだけいたずらに高くして、だからやれないと言えてしまう、その程度の理念の「政策通」にすぎません。 

以上のような体質の政治家は、また再び自民が野党転落した危機的状況において、「自民党は崩壊した。国民の信を得られなくなった」と言い訳をして、脱党するでしょう。

いや、もう言っていますか(笑い)。

とまれ、自らの党内の位置が不利になれば、石破氏は何の未練もなく「腐った自民党」を脱党するのです。 

そして、「第2の小澤一郎」と化して、バラバラになった旧民主党保守系諸雑派の党首に祭り上げられて「政権奪取」に燃えることでありましょう。

玉木代表からも熱烈なラブコールがあったようですし。

これほどリベラル業界の人たちに好かれると、ちょっと前の小池百合子人気の二番煎じですが、短期的アイコンもどきになる可能性は捨てきれません。

「保守ふりをした左翼リベラル」はトレンドのようですからね。

3https://biz-journal.jp/2018/04/post_23125.htmlすいません。ヘン顔ば゙かりで。だって、ゲルちゃんはへん顔の宝庫なんです。

しかし残念ながら、当面は「第2の小澤一郎」を見る機会はなくなりそうです。

でもあんがい、「手下が内閣改造でひとりもいないぞぉ。これはパワハラだぁ」と、泣きながらメディアにすがるかもしれないので、わからないですけどね。

このパワハラ発言も、言った者が安倍氏本人ならともかく、出所不明の噂ていどのことを、今のスポーツ界のパワハラ批判に重ねてしまっています。

こういう自民党員を見ているのか、メディアを見てしゃべっているのかわからないパーフォーマンスが、この人は多すぎるのです。

石破氏支持の党員のみなさん、勝った勝ったと、朝日の尻馬に乗って祝杯を上げていられるのも今のうちです。

秋葉原で麻生さんが言った言葉を、石破派の皆さんにはお贈りするとします。

なかなか強烈ですが、これがリアル・ポリティクス、日本語訳で義理と人情というやつです。

「冷や飯を食わせるな、とか言ってる人がいます。7年前、私が総裁選に立候補したとき。私(麻生)は言った。『私についてきたら、間違いなく冷や飯を食わされる。その覚悟でついてきてくれ』
そう言ってついて来たのが、安倍晋三、中川昭一、菅義偉、甘利明、こういった人たちです。
この人たちは、その後1年間冷や飯を食わされ、無役でした。『冷や飯を食わせるな』などと言う人には『覚悟』がないんです。こんな覚悟もできない人たちに国を任せることはできない」

現職を引き下ろそうとしたが、役職も欲しいでは覚悟がなさすぎます。

とまれ、彼らが叩き出されることはなくなりました。

このような寸止めという芸当ができるのは、甘利氏が言うように、「自民党は絶妙なバランス感覚を持っている」党だからです。

ですから、この現実主義の政党は、安倍氏にはトリプル勝利を与えず、ほとほどの大勝にとどめ、一方石破氏には中途半端な「勝利」を与えることで、自ら脱党する機会を奪ってしまったのです。

石破氏のような人には党内に居てもらうほうが、野に放つよりよほどいいのですから。

 

 

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宜野湾くれない丸氏寄稿 「沖縄を返せ」にあらためて思うこと

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宜野湾くれない丸氏より寄稿いただきました。ありがとうございます。

                                          ~~~~~~~~

                          ■「沖縄を返せ」にあらためて思うこと
                                                                              宜野湾くれない丸

ふと感じたことを書こうと思う。

以前から私は、沖縄のアイデンティティーとは「日本を通したものだ」と思ってきた。

宮沢和史の「島唄」やネーネーズの「黄金の花」、「平和の琉歌」(詞曲:桑田佳祐)を通して構築され増殖される「想像のアイデンティティー」的なるもののことだ。

これは、沖縄の日本復帰前後に県民に良く歌われた「沖縄を返せ」を聴くと「なるほどなぁ」と感じる。

奄美の復帰時にも「復帰の歌」は歌われたが、この両地域の「復帰の歌」を聴き比べるとこれまた「違い」が見えて感慨深いものがある。

さて、県知事選挙真っ最中の沖縄である。

この前の連休(16日、17日)には、菅義偉官房長官と小泉進次郎氏が佐喜眞淳候補の応援として来沖していた。

一方、玉城デニー候補は得意のギターと歌を取りいれた演説会を開いたりと、それぞれの候補は「若者」向けのアピールに余念がない様子だ。

ここ宜野湾市は、知事選と同時に宜野湾市長選挙も行われる為「熱い夏」はまだまだ続いている。

知事選への出馬に向けた候補者選定作業について、オール沖縄革新側、自民保守系側の両者ともに「難産」であったことは各マスコミなどで報じらていたが、その過程で「永田町(本部)の意向」が大きかったことは両候補ともまぎれもない事実であった。

それを横目に感じたことがあった。沖縄の日本復帰前後に県民に広く歌われた「沖縄を返せ」である。あの歌はウチナンチュが創ったのではないんだよな、ということを・・・。

周知のことだが、沖縄県は1972年(昭和47年)5月15日に日本へ復帰した。

復帰運動過程において「沖縄を返せ」が多くの県民に歌われたことは、よく耳にすることだ。

沖縄復帰当時小学校低学年だった私も奄美大島の地でこの歌を聞いた記憶がある。

大島在住のウチナンチュ達が、港で復帰を祝って歓喜の坊踊りをしていたのを昨日のように憶えている。

その輪の中に入って私も踊ったりしたものだった。

しかし、この曲の作詞作曲者は沖縄県人ではなく、本土の方であることはご存じであろうか?

「沖縄コンパクト事典」(琉球新報社)によると、「沖縄を返せ」は1960年代の沖縄の祖国復帰運動の現場で欠かせない歌。

56年、大分県で開かれた第四回九州うたごえ祭典で歌われたのが最初。70年代以降、復帰協主催の4・28県民大会でも歌われなくなった。

作詞土肥昭三、作曲 中島定良。編曲 荒木栄とある。

ネットで検索すると作詞:全司法福岡支部
※編者注 全司法労働組合 日本の裁判所職員などが加盟する労働組合

作曲:荒木栄とも出てくる。

随分以前のことだが、地元TV番組で「沖縄を返せ」のドキュメンタリー番組があって、その中で作詞をされた土肥氏だっかた、荒木氏だっかたは忘れてしまったが、いずれにせよ曲作りりに参加された方がコメントしてたのを憶えている。

「沖縄へは一度も行ったことがなかった」とか、「沖縄の人へ対して失礼なことをしてしまった」とか、そのようなコメントをされていた。

60年安保闘争を目の前にした、そんな時代背景(政治の季節)も重なり広く沖縄県民にも歌われるようになったのであろう。

奄美の日本復帰が「島民運動」だったことに対して、沖縄のそれは時代背景が重なった復帰「闘争」の色合いが強くなったことも見てとれる。
http://www.arsvi.com/d/oks.htm

*「沖縄をかえせ」*
作詞:土肥昭三
作曲:中島定良
編曲:荒木栄

固き土を破りて 民族の怒りに燃える島 沖縄よ
我らと我らの祖先が 血と汗をもて
守り育てた 沖縄よ
我らは叫ぶ沖縄よ 我らのものだ沖縄は
沖縄を返せ
沖縄を返せ

大学生の頃だったか、この歌を聞いて違和感が残ったことを憶えている。

その後、90年代半ば頃だったと記憶しているが、八重山民謡の大御所、大工哲弘さんが歌うこの曲を聴いて「腑に落ちた」ことがあった。

大工さんは歌詞の最後の部分を「沖縄(へ)返せ」と歌ってたのだ。「を」→「へ」に変えたのだ。そうすることによって曲の主体が「沖縄自身」となる。

つまり「を」のままだと主体は「沖縄以外の本土」なのだ。私の「違和感」はそれであったのだ。

この曲は「沖縄を日本へ返せ、と本土側からの視点で歌って」いるのだ。作詞作曲者が本土の人であるから当然のことではあるのだが。

だが、大工さんは「沖縄へ返せ」と歌うことで主体を「沖縄側へ持っていった」のである。

「沖縄を沖縄へ返せ」である。

しかしながら私の中では更なる違和感が生まれた。それは大工さんが主体を沖縄へ戻すまでウチナンチュは「主体が本土」のままのものを歌っていたというその事だ。

はたして、主体がアンバランスという「その自覚は県民にあった」のであろうか?

芸能文化の盛んなこの島々で、「復帰を願う曲」が「自らの声」としてなぜ生まれてこなかったのだろうか?

沖縄より20年も先に日本へ復帰した奄美群島にも復帰の歌がある。

タイトルはそのものズバリ「日本復帰の歌」である。地元の人が創った曲である。その歌詞からは祖国復帰への切実な地元島民の願いを感じとることが出来る。

以前、奄美地元の書店が復帰60年を記念して制作したCDを持っている。地元の人たちのコーラスとピアノ伴奏だけのシンプルな音源だが、これはまさしく「ブルース」そのものだと感じた。

*「日本復帰の歌」*
作詞:久野藤盛
作曲:静忠義

一、太平洋の潮の音は 我が同胞の血の叫び
平和と自由を慕いつつ 起てる民族二十万
烈々祈る大悲願

二、我らは日本民族の 誇りと歴史を高く持し
信託統治反対の 大スローガンの旗の下
断固と示す鉄の意志

三、目指す世界の大理想 民族自独立の
我らが使命貫きて 奄美の幸と繁栄を
断固守らん民の手に

四、二十余万の一念は 諸島くまなく火と燃えて
日本復帰貫徹の 狼煙となりて天を焼く
いざや団結死闘せん 民族危機の時ぞ今

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トランプの対中第3次経済制裁発動とムンジェインの訪朝

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ムン・ジェインが訪朝し、正恩と抱擁しあっているという気持ち悪い写真を世界に流しているちょうどその時に、トランプは対中第3次関税制裁を発動しました。 

正恩の千代丸のような腹がつかえて、がぶり寄りみたいになっています(失笑)。旧ソ連圏では、ヤニ臭いオヤジたちが頬ずりしてキスまでしていましたから、ま、いいか。 

まずはムンと正恩の方から見てみますか。 

「ソウル=水野祥】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は18日、北朝鮮の首都平壌(ピョンヤン)で、金正恩キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と今年3回目の南北首脳会談を行った。会談は19日も行われる。北朝鮮が表明している「完全な非核化」について、文氏が正恩氏から具体的な措置を引き出せるかどうかが焦点となる。
 会談は平壌の朝鮮労働党本部で、18日午後3時45分から2時間行われた。平壌共同取材団によると、正恩氏は会談冒頭、「文大統領の絶え間ない努力で北南(南北)関係、朝米(米朝)関係が良くなった。歴史的な朝米会談のきっかけを見つけてくれた」と語り、6月に行われたトランプ米大統領との首脳会談を成果と強調した。「朝米間で、さらに進展した結果が出せると思った」とも述べた。
 これに対し、文氏は「新しい時代を開こうとする金委員長の決断に謝意を表する。豊かな結果を残す会談とし、全世界の人に平和と繁栄の成果を見せたい」と応じた。(読売9月18日)
 

Photo_2https://www.youtube.com/watch?v=cEWYjNMmoAA

経済使節団よろしく財界トップをなんと200名総ざらいで連れていくそうですから、これはもう公然たる国連制裁決議に対する正面きっての挑戦です。 

恍惚とした表情のムンには気の毒ですが、何を「合意」しようと、北の非核化の進展には何の関係もありません。 

そもそも米国とサシで交渉しているというのが自慢の正恩にとって、パシリのようなムンに非核化の言質など与えるはずがありません。

「陸・海・空のすべての空間で一切の敵対行為中断」がキモのようですが、勝手に終結宣言もどきを出してしまっては、国連軍や米韓同盟をどのように考えているのか疑われます。

それともさっさと在韓米軍には、撤退してもらいたいってことなのでしょうかね。

米朝間でなにも決まらないうちから、米韓合意もないままに勝手に踏み込むのでは、はっきり言って米朝交渉のノイズにすぎません。

ムンが気がついているのかどうかわかりませんが(たぶんナルシストのムンは気がついていないでしょうが)、なぜほぼ同時にトランプが対中経済制裁に踏み切ったのか、考えてみる必要があります。 

この南北会談と対中第3弾経済制裁は無関係ではありません。 

Photo_3出典不明

さて、トランプの対中関税第3弾はこのような内容です。

「第3弾を発動すれば計2500億ドル分となり、中国からの年間輸入総額(約5千億ドル)の半分に相当する。多くの米国企業は「コストが上昇して最終消費者の負担も増えて需要が落ち込む」として反対意見を出してきた。中国は米国産の液化天然ガス(LNG)など600億ドル分に5~25%の関税を課す報復リストを公表済みだ。米中をまたがるサプライチェーンを構築した日本企業にも影響が広がるのは必至だ。
 米政権は3月、中国の知的財産侵害に対して計500億ドルの制裁関税を課すと表明した。追加関税で圧力を強めながら、米国企業に対する技術移転の強要や、ハイテク産業への巨額補助金をやめるよう求めてきた」
(日経9月18日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35454050Y8A910C1000000/?n_cid=DSPRM1489

中国が報復した場合、第4弾として対米輸出全額以上の2670億ドルに関しても関税を用意するとしています。

一方、中国は報復関税として600億ドル相当を発動するぞと強気を装っていますが、当初の予測より低いのは、米国から中国への輸出の多くは畜産飼料だからです。

これに高関税をかけると中国人の主食の豚肉を直撃して食品全体に及び、インフレを招く恐れがあるからです。

これで中国は米国に対抗するカードがないことを、自ら暴露してしまったことになります。

このトランプの対中経済戦争の目的は、いくつかあります。 

ひとつめは、中国の自由貿易原則の破壊に対しての懲罰です。 

たとえば、不当な進出企業への技術移転強要や、先端産業の輸出補助金、為替操作介入の停止などですが、いずれもあたりまえすぎるほどあたりまえの要求で、今まで親中のオバマが腰が引けていただけのことです。 

ふたつめは、安い賃金と市場を求めて中国へ逃げていった米国産業に米国内に引き戻すことです。 

これは、グローバル・サプライチェーンから中国を外すことを意味します。 

サプライチェーンについて押えておきましょう。

「チプサイチェーン(供給連鎖管理)とは、物流システムをある1つの企業の内部に限定することなく、複数の企業間で統合的な物流システムを構築し、経営の成果を高めるためのマネジメント手法である。
なお、この場合の「複数の企業間」とは旧来の親会社・子会社のような企業グループ内での関係に留まらず、対等な企業間で構築される物流システムもサプライ・チェーン・マネジメントと呼ばれる」

サプライチェーン・マネジメント - Wikipedia

たとえば北海道の停電のために北海道からのサプライチェーンが切断されて、本州の企業も一緒に止まる工場が多く出ました。 

このようにひとつの製品を作るまでに多くの企業が連鎖して物流を作ることで、今の製造業は成り立っています。 

日本でも万単位の企業が、中国にサプライチェーンを持つようになりました。 

米国も同じで、熱に浮かされたように中国にサプライチェーンを移動させてしまった結果、米国産業の空洞化現象が生じました。 

もっともその影響を受けた米国においては、こんなことが起きています。 

「世界最大の市場規模を誇るアメリカも、グローバル化により製造業の空洞化を招いた。そのため、ベンチャー企業が開発した新しい商品を作ろうにも、生産どころか試作品すら作れない状態が見られる。
主な工場の移転先は中国。電子機器、家具など広範な産業が海外へ移転した結果、設備等の生産能力、そして人材等の品質管理能力は大きく失われた」

空洞化 - Wikipedia

 トランプはラストベルト(錆びついた製造業地域)の代弁者として、製造業を本国に呼び返すことをしていますが、この中国の関税攻撃によるサプライチェーン外しはこの一環です。 

おそらく、これが最も中国経済に打撃を与える結果となるでしょう。 

なぜなら、端的にこれは外国資本の中国からの撤退を招くからです。 習が言う「中国の夢」、すなわち中華帝国台頭の夢は、外国企業に技術と資金を投資させることで成り立っていました。

つまり、借り物の土地の上に建つ巨大ビルこそが、中国経済なのです。この原資である外国資本が本国に逃げ帰ってしまったらどうしましょう。

企業は人件費が安く、かつ貿易関税が低く設定されているからこそ中国に進出しているわけで、そのメリット転じてダメージになれば、本国に回帰するのが一番だとドライに判断することでしょう。 

まだ米中経済戦争初期ですので、影響は限定的です。

「サウスチャイナ・モーニングポスト(9月19日)によれば、在中国の米企業は「ここで生産して米国へ輸出している関係上、深刻な悪影響が出るし、高関税を理由に米国へ工場を復帰するという考えはない」と答えた企業が過半です。
しかし、一方で、在中EU商工会議所は「米中関税戦争に巻き込まれて、相当の影響がでている。世界的なサプライチェーンが機能しなくなる」と事実を認めつつ、「すでに5・4%の中国で生産、販売してきたEU企業が、中国から撤退したか、撤退を準備中である」とした」
(宮崎正弘の国際ニュース・早読み2018年9月19日)
 

一方、早くも日本企業にも影響が現れています。 

「米中貿易摩擦の激化を受け、三菱電機とコマツが中国での生産の一部を日本に移管したことが分かった。米国が中国に対する制裁として発動した追加関税の悪影響を回避する。東芝機械など追随するメーカーもある。米中対立の長期化を見据え、生産体制を見直す動きが広がってきた。
 三菱電機は8月、中国の大連工場でつくり、米国に輸出していた工作機械の生産を名古屋製作所(名古屋市)に移した」
(サンケイビズ9月17日)

 けっこうなことです、と言っておきましょう。

一時的には、日本企業はダメージを受けるでしょうか、中長期的には国内の製造業を活性化させ、雇用をもたらすことになるからです。

次いでトランプは、中国がもっともいじられたくない人権問題も攻撃の対象にすると思われます。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35440120W8A910C1FF8000/ 

この人権問題については大きなテーマなので別記事で扱いますが、今まで知っていながら知らないそぶりをしてきた国際社会が、初めてチベットやウィグル、そして劉暁波の「虐殺」問題を真正面から受け止めねばならなくなりました。
劉暁波 - Wikipedia 

Photo_4出典不明  武装警察による弾圧.

まさにトランプによる水も漏らさぬ対中包囲網です。おそらく長期間ナヴ.ァロが練り上げてきたに違いありません。
関連記事「トランプとナヴァロは米中経済戦争で何を目指しているのか?」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-3f30.html 

この包囲網を絞り上げることで、中国の北に対する動きを完全に封じ込めてしまいました。

ではなぜこの時期に対中経済戦争を始めたのでしょうか。それについて、愛知淑徳大学の真田幸光教授はこう述べています。

「ドルの威力です。基軸通貨であるドルを使った決済を米政府に妨害されたら、グローバル企業はやっていけません。
前回お話しした「中国へのいたぶり」も、根はここにあります。 もし人民元が基軸通貨に育っていたら、ドルを使っての脅しは効きません。
「ドルを決済に使わせない」と言われた世界の企業は「じゃあ、人民元を使います」と言い返せばよくなるのです。 基軸通貨にならないよう、米国は今のうちに人民元を叩く必要があります。米中が覇権争いを始めた以上、当然の話です。両雄は――ドルと人民元は並び立たないのです」
(日経ビジネス9月17日)

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/091300193/

真田氏が言うように、中国元は既にIMFのSDR入りしていますが、中国はSDR通貨の義務である為替の自由化や資本移動の自由といった国際金融のルールを無視し続けてきました。
それどころか中国は、一帯一路構想の下に貧乏国に二国間融資を行い、中国の依存度を高めることで覇権拡大を着々と進めています。

あぶなく食い物にされかけたマレーシアのマハティールはこう言っています。

Dnz9uqbu8aews5j

このまま国際金融における中国の無法を放置できないと、トランプは判断したと思われます。

現時点ならこの中国の意図を潰す力が米国には残っている、逆にいまを逃せば覇権国のヘゲモニーを奪われる可能性がある、と考えたのでしょう。

このような文脈の中に今回のトランプの経済戦争の宣戦布告を置くと、中国による北の保護を不可能にするという、もう一つの目的が浮かび上がってきます。

トランプからすれば、ムンなどという雑魚はどうでもいいように、正恩も同様です。

ガラクタの軍隊を抱えて、国民を食わせることもできず、家臣団すら統御できていない世界最貧国の王様など、小うるさい奴だと思っても怖い道理がありません。

そもそも自慢の自称ICBMも、核弾頭を積んで米国に到達できるかどうか実証されていない上に、基礎的な大気圏再突入技術も確立されていないと米国は見ています。

脅威度の優先順位でいえば、中国、イランに次ぐていどの小者にすぎません。

ですから最大の脅威の中国を相手にする片手間で、中朝共に封じ込めようとしています。

このような米国の意志を知ってか知らずか、奇しくも米国の対中経済制裁第3弾の発動と同じ日に、訪朝してしまったムンの運の悪さが光ります。

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北電薄氷の電力供給 電力なき地方創生はありえない

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北電が苫東厚真火力発電所1号機を前倒しして再稼働するそうです。 

「18日にも苫東厚真火力発電所1号機(北海道厚真町)が再稼働すれば、北海道電力の供給力が需要を下回りかねない異常事態はひとまず解消される。
ただ、寒くなるにつれて
暖房需要が大幅に増える一方、当初の危機感の薄れに伴い、道内の節電ムードは緩み気味。40年の耐用年数を超えて稼働させる老朽化火力も半数を超えており、綱渡りの状況は続く。 北電が同1号機を当初予定より半月近く前倒しして復旧させるのは、供給力が地震前日の5日に記録したピーク需要の383万キロワットに満たず、水力発電などをフル稼働させても安定供給を期待できないためだ」(毎日9月17日)
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0918m040098/

この毎日の記事でも触れていますが、これから急速に冬に向かう北海道において薄氷の電力供給体制が続くのは目に見えています。 

現在、北電が目標としているのは地震前日の9月8日のピーク需要の383万キロワットですので、ブラックアウト直前時にまで復旧するにすぎません。 

それすら現状ではままならないのが現状です。

 

Photo北電HP 本日の電力使用状況http://denkiyoho.hepco.co.jp/area_forecast.html 

問題はその先です。秋から冬にかけての北電管内の最大需要電力量(2017年10月〜12月)を見てみます。 

北電H P北海道エリアの需給実績http://www.hepco.co.jp/energy/recyclable_energy/fixedprice_purchase/supply_demand_results.html 
・400万キロワット超が発生した期間・・・10月6日間
                                                     11月14日間
                                                     12月4日間
・450万キロワット超                      ・・・11月5日間
                                                     12月25日間
・500万キロワット超                           12月2日間

3
10月から12月にかけて、一気に北海道は寒冷期に突入するわけですが、去年実績では10月に連日300万キロワット超を推移し、6日間は400万kキロワットを超える需要がありました。 

本格的冬季の11月、12月を待たずして10月で既に供給力はパンクしています。 

つまり、「復旧した」というのは、あくまでも地震前の状態にかろうじて戻したにすぎないわけです。 

その需給ギャップを毎日新聞(9月15日)がグラフにまとめていますので、引用させていただきます。 

2毎日新聞9月15日https://mainichi.jp/articles/20180915/ddm/002/040/119000c 

ではどうするのかといえば、苫東厚真火力の復旧を急がせながら、老朽化した火力をフル稼働するしかありません。

ところが、この老朽火力があてにならないのです。いままで止めていたのを再稼働させていたために、電力マンの必死の努力にかかわらず稼働が不安定です。

先日の9月11日に、音別火力2号機が緊急停止しました。それ以前に1号機も故障して、修理して再稼働しています。 

ひとつを直しながら、ひとつを動かしているわけで、まさに綱渡りです。

Photo_2

「北海道電力は11日、音別火力発電所2号機(釧路市、出力7.4万キロワット)で、ガスタービンが激しく振動するトラブルがあり、緊急停止したと明らかにした。不具合で停止していた同発電所1号機(7.4万キロワット)が修理を終えて同日に再稼働しており、節電目標や検討中の計画停電への影響はないという」(毎日9月11日)
https://mainichi.jp/articles/20180912/k00/00m/020/054000c

熱中症で多くの人が亡くなった夏期と並んで、厳冬期における電気はライフラインの中で最重要に位置づけられます。

説明はいらないでしょうが、厳冬期の電力喪失は即凍死につながりかねないからです。 

失礼ながら、凍死の危険性を押してまで北海道観光をする人はいないでしょうし、たびたひ停電するような土地に進出する企業も稀だと思われます。 

ところが北海道はニセコなどが典型的ですが、冬季こそがかき入れ時で、外国人のスキー客があふれかえる時期なのです。 

すでに日本旅館協会北海道支部連合会によると、50万人の宿泊キャンセルによる影響額は100億円に達しているそうです。 

このまま電力供給が薄氷状態ならば、考えたくもない経済損失、いや生命の損失すら招きかねません。 

よくメディアは、今こそ北海道観光に行こうと正論を吐いていますが、ならばなぜこのような深刻な構造的電力不足が生じたのか、その原因にまで遡って考えるべきです。 

今たけなわの総裁選において、地方創生を安倍氏が熱心でないと石破氏が批判していましたが、一面当たっています。 

安倍氏は、北海道の電力供給の主力であった泊原発を停止させたまま、電力自由化を進めるという愚作を進めてしまいました。 

よく安倍氏を原発推進派と言う人がいますが、まったくの間違いです。

彼は原発について明確な意志を表明したことはありません。規制委員会に丸投げしたきりです。

したがって、安倍氏はこと原発問題においては、臆病すぎるほど臆病に民主党が作ったムード的反原発路線の上を走っていただけのことなのです。 

結果、「規制委員会による判断」を優先させ、全原発停止後7年もたってもわずかの再稼働しか許されない状況を作ってしまいました。 

その上に、構造改革しなくてもいい電力分野に手を入れ、発送電分離を進めました。 

規制緩和のメニューには、やって当然の獣医学部新設などがある一方で、しなくていい電力改革も同居しています。

北電においては、原子力の依存率が関西電力に次いで高い44%だったために、この泊原発停止の影響をまともに受けました。

何回か書いてきているように、今回の大停電の原因は、泊が停止して苫東厚真火力の一本足打法になっていたところに、地震で苫東厚真がダウンしたために発生しました。

泊がいつ動くか分かりませんが、この構造的電力不足が解決されないまま、2020年には北電などの大手電力会社は発送電分離を開始します。

電力は常に、発電所の停止や需要の急増に備えて予備率を充分に持っていなければなりません。 

そのことを「冗長性」と呼びますが、電力自由化以前にはそれは電力会社の義務でした。 

冗長性とは、システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように、予備装置を平常時からバックアップしておくことです。
※参考資料 千田卓二など「電力システムのレジリエンスに関する一考察」https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsjc/2013/0/2013_175/_pdf

ところが電力会社は発送電分離によって、従来の厳しい供給義務から自由になります。

よく電力会社が独占企業だという人がいますが、それは発送電を単一企業に委託する代わりに、電力の安定供給義務を負わしたためです。

そのために電力会社は、通常の企業ならとっくに廃棄するような老朽火力も、いざという時のための予備電力としてキープし続けてきたわけですが、そのいざという時がほんとうに来てしまったのが、今回の事態でした。

このように電力供給の冗長性は安定供給のために必ず必要でしたが、今後ただの経営判断の問題にすり替わってしまうのかどうか、不透明です。 

となると冗長性の維持は厳しい経営を続けている北電にとって、経営負担を増すだけの存在となりかねません。 

たとえば、北電は電力供給の冗長性確保のために巨費を投じて石狩湾新港LNG 火力1号機を建設していますが、1号機だけは予定どおり2019年操業開始するとしても、2号機、3号機は企業の自由選択の対象となります。

音別火力などの老朽発電所はとっくに操業するだけで赤字なのですから、整理廃止の対象となるでしょう。 

北電がどのように判断するのかわかりませんが、それ以前に政府が地域の電力供給に全面的な支援を与えるべきです。

電力なき地域は滅びます。

企業が去り、人が散り、村が潰れ、街が寂れ、そのような地域には企業も観光客もやってきません。

地域の滅びのスパイラルの開始です。北海道はその負のらせん階段の淵に立っています。

北海道において、地方創生は単なる街興しではなく、すぐれて電力供給の問題なのです。

 

 

 

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トランプとナヴァロは米中経済戦争で何を目指しているのか?

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本格的な米中経済戦争が始まってしまいました。全面戦争に拡大する様相です。

「米、対中関税第3弾の正式表明17日にも 米報道
【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権が準備する中国への制裁関税の第3弾について早ければ17日にも正式表明する方針だ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が15日報じた。輸入品2千億ドル(約22兆円)分に関税を上乗せする方向で対象品目など詳細を詰めている。トランプ米大統領は関税の早期発動に意欲を示しており、近く最終判断する。
発動日は数週間後に設定する見通し。同紙によると、関税の税率は経済への影響を抑えるため10%に設定し、中国が譲歩する姿勢をみせなければ25%に引き上げる。米通商代表部(USTR)は7月に10%と公表したが、トランプ氏が8月に25%に引き上げるよう指示していた」(日経 9月16日)

https://anonymous-post.net/post-1670.html 

今回の経済戦争は、初めは貿易戦争と言われたように、表面的には米国の対中貿易赤字の削減が目的に見えます。 

たしかに米商務省の統計によれば、2018年2月の時点で、前年比で8.1%増加して約41兆円(3752億ドル)となり、過去最高額に達したことは事実です。 

しかし日米貿易摩擦も同じですが、中国対米輸出が好調なのは、ひとえに米国経済が好況だからであって、それはトランプの経済政策が成功しているからという逆説があるのです。 

その結果として、絶好調の経済を背景にして旺盛な米国の個人消費があるのであって、中国は盗みは働いても、押し売りはしていないのです。 

また考えてみれば、中国からの輸入品の多くも、米国・日本・EUのブランドのチャイナメイドにすぎないではありませんか。 

米国消費者は別に中国製品が好きだから買っているのではなく、ダイソンやソニーを買っているわけです。

ですから、トランプが言うとおり対中貿易赤字を削減したいのならば、一番手っとり早い手段は増税です。

消費税を上げ、関税を高くし、公定歩合を急激に上げれば、景気は減速し他結果,対中貿易赤字は確実に激減します。

馬鹿な話ですが、トランプ政権はこれに似たことをしようとしているのです。

既にトランプが中国製に高関税をかけたために、米国の消費財の値上がりが始まってしまいました。

対中輸出の主役だった農産物輸出を制限しようとしたために、トランプの票田の中西部農業地帯に打撃を与えてしまっています。 

経済的合理性の観点からは、米中経済戦争などやる意味がないどころか、やらないのが賢明なのです。

政治的にも、11月の中間選挙前にうまくいっている自分の経済政策に冷や水をかけてどうするんでしょうか。 

したがって自分の国の景気を冷やしかねない中国制裁は無意味である以上、貿易不均衡の是正がトランプの真の目的だとは思えません。

もしそうならば、トランプはレガシー・メディアの連中のいうとおりのただの経済オンチの馬鹿大統領です。

と、ここまで書いてきて、はて、ほんとうにそうなのか疑問が湧いてきました。

というのは、この米中経済戦争の指揮を執っているのが、他ならぬピーター・ナヴァロ(国家通商会議委員長・通商製造政策局長)だったことを思い出したからです。

ナヴァロを通商代表に据えた就任時から、この対中経済戦争は構想されていたと思われるからです。
ピーターナヴァロ - Wikipedia
 

Photoピーター・ナヴァロhttp://jp.wsj.com/articles/SB117717923834440744722

トランプの対外経済政策は彼が立案したものです。 

彼はNAFTAでカナダと大喧嘩を演じ、同時にEUとも経済戦争の戦端を開いてしまいました。 

ただし、今回の中国との経済戦争は、これらとは次元を異にします。 

私は彼の『米中もし戦わば』という本を読んだことがあるのですが、タイトルから想像できるようなシミュレーションものでもなく、大変にバランスのとれた冷静な分析が並んでいます。

 ちなみに本書の原題は、"Crouching Tiger: What China's Militarism Means for the World "『うずくまる虎・中国の軍国主義が世界に意味するもの』ですから、内容に沿っています。 

出版社さん、真面目な学術書なのですから、イフ戦記みたいなタイトルつけないで下さいね。 

詳細な紹介は省きますが、この中で彼は中国は中長期的な軍事・経済分野における世界支配のプログラムを持っていて、着々と世界制覇を完成させているということを述べています。 

なんだか中国は007の「スペクター」団みたいですが、私もナヴァロが指摘する中国の世界支配の意志は否定できないと思っています。 

むしろ今、見逃してはならないのは、そのナヴァロの分析の妥当性そのものではなく、そのような中国に対する危機感を持つ人物が、この米中経済戦争の司令部に座っていることです。 

Photo_2https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/237634

ナヴァロとトランプが、中国に経済戦争を仕掛けた理由は一つです。

中国の外交力・軍事力の源泉に経済力があるからで、これを叩かなければ中国の意のままに世界は回ってしまうからです。 

中国共産党がいかにチベットやウィグルで暴虐の限りを尽くそうとも、普通選挙すら開かれたことのない一党独裁体制を敷こうとも、いささかも支配は揺ぎません。

それは百万の武装警察があるからだけではなく、経済成長が国民を豊かにしているという現実があるからです。 

3https://blog.goo.ne.jp/sig8492/e/3b2243de954a4c5e084b489fdca24c36

中国共産党はオウエルの「1984年」もどきの管理国家を作りあげましたが、経済さえよければ、中国が内部から民主主義国家に変わる可能性は限りなくゼロなのです。

そして国内統治のみならず、中国の19世紀的帝国主義の再来を思わす膨張政策もまた、この経済力なくしてはありえませんでした。 

中国はWTOに加盟しておきながら、自由で公正な貿易ルールを頭から無視し続けてきました。 

中国国内では外国企業の経済活動に多くの障壁が設けられている一方、中国企業は外国の知的財産を盗み、今や世界トップクラスの情報・通信・コンピュタ部門を有するまでになってしまいました。 

そしてこれらの先端科学技術は、惜しげもなく軍事・統治部門に投入されました。 

国内に向けては、全国民を顔認証で24時間監視し、持ち点制度で減点されれば国民として扱われないという驚くべき超管理社会を作り出しました。 

これは中国国内のみならず、国際社会にまで及んでおり、アジア・アフリカの独裁国家を裏で支え、国連も今や中国の強い影響下にあります。 

Photo_3完成した南シナ海の要塞島。既に艦船が寄港し、対空ミサイル陣地と爆撃機が離発着する軍事滑走路が完成している。

EUはドイツを先頭にして中国にひれ伏し、アジアにおいても日本を除けばその潜在的覇権下にあります。 

え、なぜ日本だけ中国の覇権に屈していないのかって。

わかりきった話です。それは強力な覇権国家である米国と、堅い同盟関係を持っているからです。

それはさておき、中国は米国に代わる理念が欠落しているとかねがね言われていました。

毛沢東時代はマオイズムという大義がありましたが、とうに色褪せています。いま、そんなものを信じるのは、どこかのゲリラの残党か、築地の新聞社くらいなものです。

いま中国が一帯一路構想に乗って世界に大中華共栄圏を作る野望を持てるのは、ひとえにチャイナ・マネーの力です。

このチャイナ・マネーで頬を叩いてひれ伏させるが如き手法は、国際社会に眉をひそめさせてきました。 

しかしマネーというソフトパワーに加えて、強大な軍事力というハードパワーが加われば、中国を盟主とした新たな大中華共栄圏秩序が誕生するでしょう。

そこには人権も民主主義もありません。暗黒支配の始まりです。

米国が民主主義という普遍的理念の保護者たらんとしたことに対して、中国はそのあからさまな破壊者なのです。 

したがって、トランプの仕掛けた経済戦争の目指すものは、経済外的な理由、すなわち中国の覇権阻止だと私は考えます。

トランプは、まだ中国の支配力が完成しない前の時期に、中国の覇権の力の源泉である経済力に打撃を与えようとしているかもしれません。

※お断り 文章の組み方を、私の思考の流れに沿って前段と後段で入れ換えました。いつもすいません。

 

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日曜写真館 秋桜の頃

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米朝2回目会談の意味

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どうやら2回目の米朝会談が開かれるようです。 

「【ワシントン時事】サンダース米大統領報道官は10日の記者会見で、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から、2度目の首脳会談を提案する「非常に前向きな」書簡を受け取ったと発表した。「すでに調整のプロセスにある」と述べ、開催を検討していることを明らかにした。具体的な場所や時期については言及しなかった」
(時事9月11日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018091100234&g=use

2回目をやる理由は、この膠着した状態の打開以外に考えられません。 

北朝鮮は分かりにくい国のようなことを言われていますが、たいへんに「分かりやすい」国でもあります。

北は先祖代々、一貫して中国の人民戦争戦術の良き弟子でした。 

敵が一歩前に出れば一歩下がり、敵が一歩下がるときには二歩前に出る、これが毛沢東が定理化した人民戦争戦術です。 

対応している側から見れば、押せば引っ込み、引っ込めばつけあがり、膠着すれば攪乱してくるのです。 

今回、北から書簡で2回目を申し込んだわけですが、これには二つの見方があります。 

ひとつは、北が6月12日以降も止めていない核と弾道ミサイル開発において、新たな展開を得た自信の現れとする説です。

シンガポール会談で負けたトランプが、さらに正恩によってボロボロにされるという構図です。 

もちろんいうまでもありませんが、北には非核化の意志など寸毫もありません。

正恩のひ弱な権力基盤は核ですから、自分で自分の基盤を解体する馬鹿はいません。 

しかも3代かけて国際社会を手玉にとって作った国宝の核です。

ですからシンガポール合意以降も、38ノースやIAEAなどの分析によれば、核物質製造プラントや弾道ミサイル工場は、解体されるどころか稼働し続け、むしろ増築されています。

軍事専門家の黒井文太郎氏はこう述べています。

「北朝鮮は非核化を言いながら、実際には核戦力を増強していることを示す情報もある。たとえば9月10日には、国際原子力機関(IAEA)会合で、北朝鮮が国連安保理決議に違反して、今なお核開発計画を進展させていることに「深刻な懸念」が指摘された。
また、同日に米NBCが伝えたところでは、米情報機関は、2018年中に北朝鮮が5~8発の核爆弾を新規に生産する可能性があると分析している。さらに米情報機関は、6月の米朝首脳会談以後、少なくとも1カ所の弾頭保管施設の入口を偽装する工事を行ったり、核弾頭や核関連機材を頻繁に移動したりするなど、核武装への活動の隠蔽を進めているとも分析している。」
(現代ビジネス9月13日)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54098

38https://www.sankei.com/world/news/180821/wor180821...

その認識に立って黒井氏は、トランプがいまや正恩の手玉にとられていると見ています。

「金正恩委員長は、自分の判断をあくまで正当化するトランプ大統領の自尊心につけ込み、いわば味方に取り込むことに事実上、成功した。
「非核化への意思」を盛んに喧伝してトランプ大統領の自己正当化アピールと歩調を合わせつつ、具体的な非核化へは大きな条件を付けてそのプロセスを先送りしているわけだが、その間に、米朝対立の沈静化や、経済の回復という利益を手にしている」(同上)

なるほど具体的非核化のプロセスは明示されないままに、ムードだけ先行しています。

核プラントのみならず、長距離弾道道ミサイルは軍事パレードに出なかったというだけのことで、6月12日以降、部品ひとつ廃棄されたわけではありません。 

この説に従えば、正恩にとってトランプが「優しくて物分かりのいいおじさん」に変身してくれたので、そろそろちょっとだけ爪を出して、北がイニシャチブを握った形での開催を要請しました、といったところです。 

つまり先程の人民戦争戦術でいえば、「敵が一歩下がった」という判断ですから、更に二歩前進して戦果を拡大せよ、となるわけです。 

具体的には、シンガポール合意のさらなる曖昧化です。非核化のケツも切らない、具体的検証方法も問わないということです。

この説を唱えるのは、トランプ馬鹿説を唱える識者に多いように見受けられます。 

私はこの説には、疑問があります。

このような意見は軍事や外交の専門家に多いのですが、合理性をトランプが無視しているように見えるからです。

それゆえ、専門性をはみ出す異形の大統領の性格を読み間違っているように思えます。 

この傾向は米国内部でも同じで、暴露本にはバカアホ、シロートと罵りたい放題の元スタッフのぼやきが並んでいるようです。

日本のメディアは、これをそのまま無検証で受け取りますから、私のように,ちょっと待て、という者は圧倒的な少数派です。

さて非公式情報では、トランプが北の書簡を見て書いたツイッターの中身がモロに軍事力行使を示唆するものであったために、高官がびっくりして投稿を止めさせたという話もありました。 

この噂自体は見てきたような嘘の可能性が濃厚で、たぶん意識的に正恩に「聞かせる」ためにホワイトハウスがリークしたのだと思われます。 

トランプの発言、特にツイッターでの発言は7掛け、いや5掛けで受け取るべきです。 

Photohttps://www.businessinsider.jp/post-105453

トランプにはこんな逸話があります。

米韓のFTA交渉でトランプは、USTRのライトハイザーにこう言ったそうです。

トランプ「30日を与えよう。そこで譲歩を引き出せなければ、手を引く」
ライトハイザー「わかりました。では、韓国政府に30日あると伝えます」
トランプ「ノー、ノー、ノー。交渉はそんな風にするものじゃない。彼らに30日あるなんて言う必要はない。『大統領は本当にクレイジーだから、すぐにでも手を引くつもりだ』と言うんだ」
『すぐにでも』と言うんだ。実際、その可能性もある。君たちもそれを理解しておくべきだ。30日とは言うな。30日あると言えば、彼らは期限を引き延ばしてくる」(ビジネスインサイダー2017年10月2日)
https://www.businessinsider.jp/post-105453

なんのことはない、トランプの言葉自体がポーカーのカードのようなもので、それを切るのは「マッドマン」だと思わせるのが、彼の手法なのです。

2http://www.afpbb.com/articles/-/3178131

この場合は、正恩に「優しいトランプオジさん」を演じてみせ握手しながら、北に非核化の約束を取り付けました。

え、韓国には板門店宣言でしているだろうって、何をおっしゃいます。お仲間みたいなムンとの約束なんかただの紙切れにすぎません。

ムンの最近の発言です。

「文大統領はさらに、「北朝鮮は米国に相当の措置を要求している」と北朝鮮の見解を詳しく紹介した。
そして、「自分たちは(北朝鮮は)これまでさまざまな措置を誠実に実践してきたのに、米国は韓米合同軍事演習中止以外に何もしていないではないか、北朝鮮がとった措置は一つ一つすべて不可逆的な措置だが、我々(韓国)の軍事演習中止はいつでも再開できるではないか、だから北朝鮮が追加的措置に出るには、米国が相応の措置を取ることが必要だというのが、今の米朝間膠着の原因のようだ」と語った」(朝鮮日報9月14日)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/09/14/2018091400906.html

すごいですね。もう恥も外聞なく、北の代弁者そのものです。

こんなムンが何を言おうと米国には関係ありません。世界の盟主たる米国が裏書きしてこそ、非核化に意味があるのです。

曖昧であろうとなんであろうと、正恩は非核化を「約束した」ということ自体が重要なので、ここに何を裏書きするのかは2回目以降にすればいいのです。

それまでシンガポール合意は白紙小切手のようなもので、それをトランプが預かっているわけです。

そして100日たったので、ホワイトハウスの金庫からおもむろにこの非核化の白紙小切手を出して、そろそろ一回目の決済をしますか、というのが今回の2回目会談です。

軍事専門家であるマティスにとっては、刃は抜いてしまったら抑止ではなくなるので、極力最後の最後まで軍事力を自制しつづけるでしょうが、トランプにとってその敷居ははるかに低いのです。 

それは彼はいい意味でも悪い意味でも大衆政治家だからであって、宮家邦彦氏が軽蔑的に言うように「トランプの頭には11月中間選挙しかない」のは一面で事実だからです。 

強いリーダーを演出するのに、「核を手放さない北を征伐する」以上のものはないのは確かですから、米朝会談をやるなら11月中間選挙の前の今しかないという判断があったとしてもおかしくはありません。 

しかし、6月12日の流れからいきなり軍事力行使に持ち込むのはいくらなんでも無理があります。

ですから、軍事力をスタンバイさせて(とっくに米軍は準備ができていますが)その圧力を背景にして、2回目の結果次第で決断するという流れでしょう。 

またこの時期は、中国が敗色濃厚な米中貿易戦争にかかずりあっていますから、北の保護者である中国の影響を最小限にできるという国際情勢もあるかもしれません。 

2番目の説が正しければ、第2回会談でトランプは北に対して軍事力行使か、さもなくば非核化を選ぶかという択一を迫ることになります。

となると、こんなところかもしれません。 

「もうたっぷり時間はやった。曖昧さは御免だ。非核化の期日を明確にしろ。できないなら、さらなる経済制裁と海上封鎖がお望みか、それともいきなり空爆をご所望か」

 

 
 

 

 

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デニー氏のスキャンダル報道でほんとうに批判されるべきは

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デニー氏がネット上に事実誤認のデマが拡散しているとして、名誉毀損の疑いで那覇署へ刑事告訴の手続きに入った、との報道がありましたが、どうもふたつあるようです。

ひとつは、週刊文春に出たデニー氏と佐喜真氏の両候補に「隠し子疑惑」がでたという件です。
 

ネタ元は週刊文春ですが、デニー氏のほうはRBCの女子アナとの一件で、告示直前の時期に取り上げた文春のエグサが光ります。 

そんなこと沖縄ウオッチャーの界隈ではかなり前から知られていたことで、だから何をいまさらナンなんです。 

いい歳をした男女になにがあろうと、それが法に抵触しないならば勝手にしたら、と思います。 

むしろ問題はデニー氏が文春の取材から逃げて訴えたことです。これでは佐喜真氏に塩を送ってしまうことになります。 

というのは、両者の対応があまりにも対照的だからです。

佐喜真氏側の「隠し子疑惑」は、大昔の仏留学中にフランス女性と事実婚をして男の子が出来て3人で同居していた、というものです。 

その後に、佐喜真氏はこの女性と別れて帰国したわけですが、いまでもこの子息とは親子の間柄で、毎年沖縄に遊びにくるそうです。 

佐喜真氏は文春の取材にもまったく隠す色はありませんし、記事からも誠実に子供と向き合っていると評していいでしょう。 

3日刊ゲンダイhttps://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/237359

※追記
横須賀ヨーコ氏から玉城氏の提訴は、文春ではなくBuzzFeedが取り上げたふたつの玉城氏誹謗サイトにたいするものだとわかりました。
ttps://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/okinawa-fc1
ご指摘に感謝いたします。
お詫びして当該部分を全削除いたしました。

ご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びいたします。

                                                                                                      ブログ主

 

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デニー氏政治資金規制法違反と報じられる

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山路氏寄稿はもう一本のほうです。ぜひお読みください。

さて、情報としてアップしておきます。

今日告示の沖縄知事選の候補者玉城デニー氏に、政治資金規正法違反疑惑が持ち上がりました。

これについてデニー氏は現職の衆議院議員として公人ですから、とうぜん説明責任があります。

意地の悪い言い方をすれば、野党とメディアのモリカケ追及のひそみに倣えば、「疑惑が晴れたと追及者が納得するまで延々と説明せねばならない」ということになります。

私は、公人といえどそのような無限責任はない、と考えていますが、デニー氏は有権者に説明する義務があります。

政治資金規制法違反絡みでは、規模の違いはありますが、有名な事件としてデニー氏の「上司」である小澤一郎氏の資金管理団体陸山会事件があります。

「2009年11月、小沢の秘書3人に対して陸山会が東京都世田谷の土地を2004年に購入した際に政治収支報告書に虚偽記載した[2]として、市民団体が政治資金規正法違反容疑で告発。
東京地検特捜部は2010年1月、政治資金規正法違反容疑で
石川知裕衆議院議員や小沢の秘書である大久保隆規と小沢の秘書1人を逮捕。
また、秘書を告発した別の市民団体が小沢に対しても政治資金規正法違反容疑で告発した。2月に秘書3人が起訴され、起訴状では20億円を超す虚偽記載であり、政治資金規正法の虚偽記載罪では過去最大の金額となった。一方で、小沢は嫌疑不十分で不起訴処分となった」
陸山会事件 - Wikipedia

石川知裕議員は逮捕され、有罪判決を受けて辞任しました。
石川知裕 - Wikipedia 

この陸山会事件は、小澤氏の土地ころがしに深く関わっていましたが、小澤氏はキャンプシュワブのある宜野座村に豪邸を建てていたことが、最新号の週刊新潮に報じられています。
https://www.dailyshincho.jp/

新潮記事によれば、移設に伴う土地投機ではないかと指摘する見方もあるようです。

この件に関してはデニー氏が知事に当選した場合、小澤氏が院政政治をしく可能性もありますので、別記事でふれるかもしれません。

生花代として3万円を有権者に渡したことについては、島尻氏が09年に顔写真入りカレンダーを配布したとして野党から辞任要求が出たことがあります。

いずれにせよ、仮に事実なら選挙に出馬する資格そのものに疑問符がつくことになります。

                                         ~~~~~~~

以下引用 

「玉城デニー氏、寄付金120万円を不記載 政治資金規正法違反か 選挙区内に花代も 

沖縄県知事選(13日告示、30日投開票)への立候補を表明している自由党の玉城(たまき)デニー幹事長(58)=衆院沖縄3区=が代表を務めた政党支部が、平成26年に受けた寄付金120万円を同年の政治資金収支報告書に記載していないことが11日、分かった。政治資金規正法違反(不記載)に問われる可能性がある。 

 玉城氏の資金管理団体「城(ぐすく)の会」の収支報告書には、26年11月17日に100万円、同20日に20万円を玉城氏が代表を務めた「生活の党沖縄県第3区総支部」に寄付した記載がある。しかし、党名を変更しただけの同一の政党支部「生活の党と山本太郎となかまたち沖縄県第3区総支部」の26年の収支報告書には記載がなかった。 

 政治資金規正法では、報告書に不記載や虚偽記載をすると5年以下の禁錮または100万円以下の罰金が科せられる。過去には自由党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入事件で、購入代金などを報告書に記載しなかったとして小沢氏の元秘書が有罪判決を受けたことがある。 

 「城の会」の収支報告書では、25年1月22日に玉城氏の選挙区内にある沖縄市の生花店に「供花代」として3万円を支出した記載もあった。公職選挙法は政治家や後援団体が選挙区内で有権者に寄付することを禁じ、線香や葬儀の供花も該当する。 

 玉城氏の事務所は11日、産経新聞の取材に「当時の担当者(退職)に確認中だ。分かり次第回答する」とコメントした。」
(産経9月12日)

http://www.sankei.com/politics/news/180912/plt1809120002-n1.html

Photohttps://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180810-000100...

 なお、本件についてかわかりませんが(違うようですが)、玉城氏はこのような見解を述べています。

以下引用 

「30日投開票の沖縄県知事選に立候補を表明している玉城デニーさん(58)は10日、インターネット上を中心に自身に関する事実誤認のデマが拡散しているとして、名誉毀損(きそん)の疑いで那覇署へ刑事告訴の手続きに入った。署は「個別の告訴の取り扱いにいては回答できない」としている。
代理人の弁護士は「正式な告訴の受理に向けて署と協議していく」とし、デマの内容については明らかにしていない。

 また、告訴の理由について「有権者に正しい選択をしていただくためには、事実無根のデマには毅然(きぜん)と対応する必要がある。今後とも誹謗(ひぼう)中傷に対しては迅速に対応したい」と話した。 」
(沖タイ9月11日)

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山路敬介氏寄稿 県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その3

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山路氏寄稿の最終回です。見出しは編者のものです。

                                       ~~~~~~~~~

           ■県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その3                                                                                                    ~佐藤優氏の「詭弁的言辞」から

承前

辺野古移設の是非を問うての県知事選ではない

この「取り消し訴訟」の事実認定を誤判断であるとか、問題点が多々あるとの指摘する事は出来るでしょう。 

ですが、事情はどうあれ翁長県知事は太田元知事がしたように代執行される道を選択する事なく、自身のした「取り消し」の違法性を認め、自ら「取り消しの取り消し」を行ったのです。 

このような判決内容や経緯、それに対する翁長知事の判断を佐藤氏のような専門家が知らぬはずもありません。

そして、それゆえ県には上記のような主張はもはや出来ず、後発的事情により効力を失わせる「撤回」に踏み出さざるを得なく追い込まれたのが「現在の地点」なのです。
 

このコラムの佐藤氏の論旨は結論として、このようなことを書いています。 

「辺野古新基地を容認せざるを得ないという認識に立って立候補する人は、その事を正直に述べるべきだ。「辺野古新基地容認」を公約に掲げ、有権者の判断を仰ぐべきだ」 

これを言うことが佐藤氏の目的でしょうが、これもピントがずれています。

辺野古への移転や埋め立て行為について、県知事はもちろん名護市長や宜野座村長、地域住民や中城海上保安部長、県環境生活部長や農林水産部水産課長らとの合意や承認があり、地域漁協との補償問題も解決されています。

実質的に辺野古施設の代償である北部振興資金も実行されています。

そのような現実のなか、「辺野古移設の是非」などを問うて県知事選にのぞむ事の方にむしろ正当性がありません。

知事候補たる者は「一日も早い普天間の危険性の除去」を政府に促し、それを実現させるべく現実に即した公約を掲げる人こそが知事にふさわしいのです。

作家のファンタジーで沖縄世論を誤誘導するな

佐藤氏は本コラムの結びにおいて、「仮に中央政府が土砂の海中投棄を強行しても、民意に基づき自己決定権を回復した沖縄人を主体とした政府が、海から土砂を取り除き、50年、否、100年、200年かけても辺野古の青い海をとり戻す。」としています。

このような、「作家のファンタジー」にはケップが出ますが、佐藤氏にはせめて重要な知事選を前に、上等に出来ていて楽しめはするものの、言葉の外連芸を用いて県民を誤誘導する「詭弁的言辞」を用いる事は今は出来るだけ避けていただきたいとお願いしたい。

それと、中国ではないし米国のような連邦制でもないので日本国に「中央政府」などと言うものはなく、一県民として「沖縄人を主体とした政府」などと言うものも、例え冗談でも「悪しからず真っ平御免こうむりたい」所存です。

                                                                                                             了

                                                                                                                                                   文責 山路 敬介

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デニー氏は知事候補として具体的に普天間飛行場の移設方法を答えよ

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山路氏の論考のリードでしたが、悪い癖で例によって長すぎたのでこちらに移しました(汗)。

さて今回、山路氏がとりあげられたテーマは大変示唆に富んでいます。

保守系候補者として宜野湾市長である佐喜真淳氏が登場したことによって、移転問題で問われている根っこが改めて明確になりました。

佐喜真氏が普天間飛行場の所在地の当該市長であり、一貫して普天間飛行場の移転を主張してきた人物だということが重要です。

氏が別の地域なら、これほどデニー候補との対立軸は明瞭にならなかったはずです。

氏の主張には、宜野湾市長だった者として切実な、「今そこにある危険性の除去」という重みがあることに対して、オール沖縄」陣営はジュゴンを持ち出さざるをえないような空疎な観念論にすぎません。

「普天間の危険除去」と叫ぶなら、その解決法は移転しかないのは、誰にでも分かる論理です。

ところが移転することは「新基地建設」だから身体を張ってでも反対する、これでは永久に普天間飛行場はそこにあり続けることになります。

ジュゴンと人とどちらが大事なのでしょうか。

そもそも海を埋め立てない陸上案もあったのに、それを拒否したのは誰だったのでししょうか。

これでいいのですか、ほんとうにそれが県民の願いなのですか、と佐喜真氏は暗に問うています。

佐喜真氏は移設問題を争点に掲げませんでした。

それは逆説的にデニー陣営の根本矛盾に対する鋭い問いかけのように私には思えます。

デニー氏は知事候補として、明確かつ具体的に普天間飛行場の移設方法に答えるべきです。

出来ないならば、それは反対のための反対論であって、真の争点たりえないのです。

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山路敬介氏寄稿 県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その2

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山路氏寄稿の2回目です。見出しは編者のものです。

                                       ~~~~~~~~~

           ■県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その2                                                                                                    ~佐藤優氏の「詭弁的言辞」から

 

承前  

デニー氏は政府に「普天間飛行場の早期返還」のために何をさせたいのか明確にするべきだ 

佐藤優氏は、デニー氏の「辺野移設反対」と佐喜眞氏の「普天間飛行場の早期移転」が、「普天間の危険性の除去」という命題に対して「県民の総意」として争点だとしています。

ならば、デニー氏は「普天間飛行場の早期の危険性の除去」について、実効性があるプロセスや方法論、その時期についても県民に説明する責任があります。 

デニー陣営にある「いや、普天間の危険性の除去は政府がするものだから、それはいいのだ」と言った知的怠慢は通りません。

少なくも、「普天間飛行場の早期移転」のために知事としてデニー氏が政府に何をさせようとし、どのようにその実効性を担保できると考えて実現させ得るのか?

そこを具体的に県民に語らないではお話になりません。

このように、デニー氏が「辺野古移設反対」を掲げる以上、その事から佐喜眞氏が「普天間飛行場の早期移転」を言う事は佐藤優氏が述べる事と正反対にカウンター的であり、ゆえに極めて争点的でもあるのは明白です。

かつ、佐喜眞氏の争点設定には、正当性も意義も十分に認められます。

■既に司法は普天間飛行場の危険性の除去は辺野古以外ないと判断を下している

今回佐藤氏の言論を「詭弁的」と申しましたが、これは言葉の正確な意味で使っております。

理由は以上で十分なものと考えますが、もう少し付け加えます。

先の「取り消し訴訟」の判決において、既に「普天間の危険性の除去のための辺野古施設建設である事」、「県外は不可能」で「普天間の代替え地は辺野古沖以外にない事」が明らかにされております。

「国防・外交に関する国の判断は、明らかに合理性を欠いていると認められない限り(沖縄県には埋め立て承認を)覆す事は出来ない」、「国の本来的事務である国防・外交について地方公共団体の判断が優越する事はない」のです。

これらは司法の事実認定として確定しています。

                                                                                                       (続く)

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山路敬介氏寄稿 県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その1

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山路敬介氏から寄稿を頂戴しました。ありがとうございます。

実は先週に頂いていたのですが、北海道地震があったために延び延びとなってしまいました。申し訳ありません。

なお、当初私の記事とカップリングになっていましたが、分離しました。

                                         ~~~~~~~

県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その1
                                 ~佐藤優氏の「詭弁的言辞」から                                        
                                                                                       山路 敬介 

 

佐藤優氏の「普天間移設」と「辺野古新基地反対」を意識的に混同させる詐術 

琉球新報紙で連載中のベストセラー作家にして外交専門家の佐藤優氏のコラム「ウチナー評論」(9月1日)の中で、氏の筆にあってはめずらしい事ではありませんが、かわらず「詭弁的言辞」を弄してい、今回は知事選に臨む特に重要な時期と考えたので指摘しておきます。

佐藤氏は「「普天間飛行場の早期移転」は県民の総意である。総意である事柄が争点にならないのは自明である」とし、そのような事は「偽装争点である」」とします。

氏がこのコラムを書いたのは、佐喜眞氏が県知事選の争点として「一日も早い普天間の返還」を掲げているゆえであり、それに対しての佐藤氏のこの部分の論説はきわめてシンプルで分かりやすい論理性を有しているので、だれしもが簡単に納得してしまうのではないでしょうか?

しかし、一見妥当に見える氏の論法はまさしく一種の詭弁術によるそれであり、論理的に「総意である事」が「争点でない事に」に必ず一直線に結びつくわけでもありません。

特に注意すべきなのは佐藤氏の記述が佐喜眞氏の「一日も早い普天間の返還」と、デニー氏が掲げる「辺野古新基地反対」を「普天間の早期返還」において、同じ「県民の総意である」として一括りにしてしまう事です。
 

氏は意図的に、「普天間飛行場の早期移転」という命題に対する方法論として両者の主張がまるで「同じもの」であるかの如く読む人を誤認・錯覚させてしまっています。 

その点についてと、むしろ私は「辺野古新基地反対」を掲げる事こそが逆に「普天間飛行場の早期移転」という大命題の実現を阻む、という点において「偽装争点」であると考えます。 

■「辺野古新基地反対」を先になれば「普天間基地移設」はいつになるのかわからなくなる

確かに佐藤氏の言われるように「普天間飛行場の早期移転」は県民のみならず、国民の総意であると言えます。
 

しかしながら、日・米・県・地元の了解のもとようやく進行している「普天間飛行場の移転」が、「辺野古への移設反対」を掲げる知事の誕生によって著しく遅れる可能性が生じると懸念するのが当然です。

「橋本=モンデール合意」以来20年近くの時間をかけて、地元や県の了承を取り付けて着工した辺野古移転が佐藤優氏やデニー氏の主張のように中止になったらどうなるでしょう?
 

「普天間の危険性の除去は政府の責務だ」と反対派は言いますが、そんな事は当たり前の事です。 

その当たり前の事をするために20年近くの時間がかかったのが現実であり、それが沖縄の現状です。

辺野古移設問題に関して、鳩山由紀夫の愚言以外は政府に手続き上の瑕疵は全くありません。
 

にもかかわらず20年の歳月がかかった意味をまじめに考えれば、一日も早い「普天間の危険性の除去」のためこそ、今この時点で政治家は「辺野古反対」などと軽々しく言うべきではありません。 

それを言うのであれば、「「普天間基地の危険性の除去」はさらに20年ほど先になるが良いか?」とでも県民に問うてからアジェンダ(計画)設定すべきです。

ですから、当該コラムの中で佐藤氏が本土の言説として批判する、「辺野古に基地を移転しないと、普天間基地が固定化され、住民を危険にさらし続ける」というコメンテーター氏の言説や、「辺野古移設に反対することは普天間飛行場の固定化を意味し、反対を主張する政治家が沖縄県民を危険にさらしている」とする全国紙の記者や大学教師の認識は、逆にすこぶる正しいものと言えます。

これらの本土の言説に対しての佐藤氏から反論らしい解説はありません。
 

ただ佐藤氏は、「(このような本土の言論は)本質において差別的だというのみです。 

たとえば、いわく「沖縄人の力を軽く見ている」、「日本人の大多数は沖縄の基地問題を遠ざけている」といういつもの差別論を展開し、「普天間基地の返還は、日本の中央政府として当然行わなくてはならない」としますが、それらは全て「論点のすり替え」です。 

上記の本土の諸氏の言説に対してだけでなく、佐藤氏が「県民の総意」であるとする「普天間基地の早期返還」という命題に対しても何の答えになっておりません。 

ちなみに私は「論点のすり替え」はあってもいいと考えている派ですが、それは先の論点より新たな論点の重要度が上回る場合のみです。 

佐藤氏の差別論に肯じるかどうかは別として、普天間基地の早期移転は県民の生命に関わることなので、あらゆる「差別論」よりも重要である事は言うまでもありません。

 

                                                                                        (続く)

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名護市議選 デニーに「弔い風」は吹いていないようだ

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名護市議選の結果がでました。簡単に触れておきます。

結論からいえばタイです。

26議席を争って、以下の結果となりました。

・現職・渡具知武豊市長支持・・・13議席
・前稲嶺市長支持派           ・・・13議席

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琉球新報は「名護辺野古反対派過半数」とデカデカと報じて「反対の民意が下った。政府は従え」と書いていますが、いかがなものでしょうか。

公明2名を移設反対派にカウントすると確かに15対11ですから、あながち誤報とまでは言えませんが、現職市長は自公共闘で推していますから、13対13です。

また公明党は知事選では、同じく自公共闘の佐喜真淳氏支持を表明していますので、これも同数となります。

沖縄公明のこの中央とのねじれは翁長時代生まれたものですが、いいかげんすっきりしてほしいものです。

得票率は以下です。
・保守系   ・・・53.86%
・稲嶺派系・・・46.14%

7%差で保守系が上回っていますが、投票率次第ではほぼ拮抗状態と見ていいでしょう。

今まで名護市が、稲嶺市長に2期を委ね、強力な反対派の拠点だったことを考えると、オール沖縄の退潮は明らかです。

名護市民には渡具知氏を選んだ時のように、「移転を推進する気はないが、かといって地場にはやるべきことが山積している。いいかげん政治闘争にばかり明け暮れないでほしい」という気分があると思います。

一方、保守陣営も名護市長選では首位当選を果たしましたが、中立派をいれてかろうじて過半数を押えたにとどまり、今回もまた皇太子殿下襲撃事件を起こした元テロリストの当選を許してしまいました。

公平に見て、デニー氏を担いで翁長氏の弔い合戦の風を起こそうとする、オール沖縄陣営にとって追い風は吹かず、かといって保守陣営が先行しているともいえない拮抗状態が続いているようです。

一時、デニーがダブルスコアで優勢との情報が流れましたが、私は頭ひとつどちらが勝つかの接戦が続いているように感じられます。

 

 

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ブラックアウトとステーション・ブラックアウトの本質的違いについて

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土曜日のコメント欄に、山形さんと九州Mさんが、「ブラックアウト」について的確なコメントを出されていました。 

私からも補足しておきます。 

ただの「ブラックアウト」と「ステーション・ブラックアウト」は別の概念です。ここをきちんと整理しないで論じるから、わけのわからない主張をすることになります。 

まず「ブラックアウト」を押えておきます。
ブラックアウト - Wikipedia 

"black out"は、人間の失神のような時にも使いますが、電力の場合

停電。特に、発送電システム(発電送電変電配電を併せた電力の供給システム)の全系崩壊を指す」

あくまでも発電-送電-小売りまで含めて全系統が停電する大規模事故ことです。今回の北海道大停電はこのケースです。 

ですから、落雷が送電線に落ちて停電したような部分的事故はブラックアウトとはいいません。 

原子力発電の場合は、外部電源喪失を指します。

一方、似た表現なのでゴッチャにしている人が往々にいますが、まったく次元が異なるのが「ステーション・ブラックアウト」(station blackout・SBO)です。 

これは火力や水力では用いられず、原子力にだけに用いられる用語です。 

「原子力施設における全電源喪失状態」
SBO - Wikipedia - ウィキペディア 

多重防護されているはずの外部電源はもちろん、非常用ディーゼル発電機に至る全交流電源すべてがオシャカになった状態です。福島第1事故がこのケースでした。 

具体的には、福島第1事故でこのように使われています。 

「東京都千代田区内幸町1丁目にある東京電力本店の2階の大部屋にあるテレビ会議システムのモニター画面にはそのとき、福島第一原発の「免震重要棟」の中にある緊急時対策室の様子が映し出されている。そのテレビ会議システムを通じて、たしか、福島第一原発の運転管理部長が「ステーション・ブラックアウト」とコールするのをその場のみんなで聞いた――。小林課長はそんなふうに記憶している」
http://judiciary.asahi.com/articles/2011051100015.html

おととい取り上げた、「外部電源を喪失するも非常用電源で問題なし」という北電の発表に噛みついた蓮舫氏などは、ブラックアウトとステーション・ブラックアウトの区別ができていません。 

非常用ディーゼル発電が起動していれば、電力は平常どおり供給されているのですから、使用済み燃料も冷却され続けていますのでなんの問題もないのです。 

外部電源が切れたからといって、非常用電源が確保されているならどうなるわけでもないのですから、ギャーギャー騒がないでいただきたい。 

2https://this.kiji.is/410223450683638881

一方、もっと手がこんでいるのが、九州Mさんからご紹介があった朝日のアエラ(9月6日)の記事です。 

こちらはタイトルからして、『震度2で電源喪失寸前だった北海道・泊原発「経産省と北電の災害対策はお粗末』ですから、朝日がどのような印象に読者を誘導したいのか初めから察しがついてしまいます。 

登場するのは電力や原子力とはなんの関係もない地震地質学者の岡村真・高知大名誉教授ですが、アエラはこの畑違いの地震学者にこんなことを言わしています。 

「2011年の東京電力福島第一原発事故による大きな教訓は、大規模災害が起きても「絶対に電源を切らさないこと」だったはずだ。それがなぜ、わずか震度2で電源喪失寸前まで追い込まれたのか。
「泊原発には3系統から外部電源が供給されていますが、北電の中で3つの変電所を分けていただけと思われる。北電全体がダウンしてしまえばバックアップにならないことがわかった。今回の地震で、揺れが小さくても外部電源の喪失が起きることを実証してしまった。『お粗末』と言うしかありません」
(アエラ前掲)

https://this.kiji.is/410223450683638881

 なにが「お粗末」ですか。お粗末なのはあなた方です。

岡村氏が言う 「電源喪失」はブラックアウトのことですか、それともステーション・ブラックアウトのことですか。

「電源喪失」を言うならば、きちんと概念規定してから言って下さい。

この人が悪質だと思うのは、たぶん岡村氏は知って言っています。それは後段で「外部電源」と言っているからです。

だったら「電源喪失寸前」などという、どちらにでもとれる表現は使うべきではありません。

その「寸前」という中に、ブラックアウトとステーション・ブラックアウトの大きな落差があるからです。

そこにこそ決定的な福島第1事故と泊との違いがあるにもかかわらず、肝心のそれを意識的にボカして、まるで福島事故のようなことが起きる寸前だったかのような印象を与えてしまっています。

岡村氏は、ブラックアウトとステーション・ブラックアウトを意識的か、無知なる故か知りませんが、積極的に混同して危機を叫び、アエラはこれを意識的に増幅しています

いうまでもなく、3系統あった外部電源が失われた原因は、(多重防護の観点からそれはそれで追及されるべきですが)それはただのブラックアウトにすぎません。

大停電は道民にとっては大変な災害でしたが 、原発は外部電源がゼロになることを想定して作られています。

それを岡村氏はわざわざ「福島第1の教訓」とやらを持ち出して、「絶対に電源をきらさないことだ」などと言っているようですが、これは正確ではありません。 

正しくは「ステーション・ブラックアウト(全交流電源停止)とならないようにする」ことが福島第1の教訓です。

いかに非常用電源の確保が重要かは、規制委員会が出した原発安全対策で上げられた項目を見ていただければ理解出来ると思います。  

①大津波の被害が及ばぬ高台に非常用原子炉冷却施設
②同じく高台に非常用電源
③放射性物質フィルター付き排気施設
④放水砲をもった車両を配置
⑤防波堤の嵩上げ
⑥防水扉の設置
⑨原子炉施設本体の耐震性の強化
⑩テロ対策

 ご覧のとおり、規制委員会の原発についての新安全対策は徹底して津波対策、特に「非常用原子炉冷却施設」に絞られ、特に福島事故の原因であった非常用ディーゼル電源の確保に重きが置かれています。 

東日本大震災時のように、大規模地震において外部電源の送電鉄塔が倒壊したり、切断されたりすることは大いにありえます。 

極端にいえば、外部電源の鉄塔が倒壊しようと、津波によって防波堤を超えて海水が原発施設に流れ込もうと、原発の安全性は確保されるのです。

要は、非常用電源がある高台に設置されている発電機が無事なら安全なのです。

下の図は規制委員会の安全対策に従って立てられた中国電力島根原発のものですが、防波堤が高く改善され、非常用電源が高台に移されているのが分かります。

Img_3818

島根原子力発電所の安全対策について - 中国電力

なんども述べているように、原発は外部電源がブラックアウトしたとしても、非常用電源のいずれか(多くは3系統)が起動しさえすれば電源は確保されて、燃料棒や使用済み燃料プールは冷却され続けるからです。 

今回の泊原発は午前3時25分に外部電源が喪失しましたが、直ちに非常用電源が起動しています。また外部電源も当日の午後1時までに復旧しました。

運転していなかったからだと言う人もいますが、仮に燃料棒が入っていて運転していたとしても確実に自動緊急停止(スクラム)されます。
原子炉スクラム - Wikipedia

大地震があってもそれが起動することは、福島第1でも実証済みです。

そして外部電源が切断されると同時に、発電所内の非常用電源が起動します。これが非常時における「正常」な流れです。

そういえば今回、こんな元TBS記者の松原耕二氏の発言がありました。

「泊原発が動いていたら停電起きなかったじゃないか、再稼働すべきじゃないかって声が上がったりしてる。泊原発は震度2、それでも全電源喪失。もし震源地の上にあったらどうなったんだろう。泊が動いていたら停電にならなかったという人がいるからおかしい。震源地にあったらどうなっていたか」(サンモニ9月9日)

泊が「全電源喪失になった」ですか。はぁ~、松原さんとやら、いつなったの(苦笑)?

この人も福島事故報告書をゼンゼン読んでいませんね。

泊が震度2だから、どうなんでしょうか。

松原氏は知らないようですが、下の規制委員会報告書にあるように福島第1事故時の震度も2ですよ(苦笑)。
追記注・本震は50分前です。この震度2は電源喪失時の震度です。

それでも非常停止しましたし、このていどの地震の揺れでは全電源喪失に至りませんでした。

Img_3832_2

波高計による記録によれば、15 時27分に第1波襲来、15時35分に第2波が襲来し、電源が失われました。

下図は報告書にある電圧計記録です。15時36分59秒に電夏がゼロになり、電源が喪失してその後は電力供給ができなくなり冷却不能になったのです。

これでお分かりのように、津波が全電源喪失させたのです。

もし地震発生時に冷却細管が破断していたならば、その時点で全電源喪失したはずです。

「非常用交流電源系統は、本震が発生してから約50分間は正常に機能しており、これが震度1~2 の揺れの影響により損傷したとは考え難い」(規制委員会報告書)

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もし泊で東日本大震災クラスの地震が起きたとしても、松原氏が言うような「全電源喪失」、すなわちステーション・ブラックアウトが起きる可能性はかぎりなく低いといえます。

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福島第1は津波で非常用電源がダメになったから、ステーション・ブラックアウトになったのです。

それにしても、アエラとこの学者のレベルは、共産党の小池書記局長と同じ水準です。 

原子力を恐れるのはけっこうです。恐れるべきです。ただし、原発の仕組みを知ってから正しく恐れなさい。

イデオロギーの眼で曇らされて、自分の無知を拡散しないように。

いわゆる反原発派の皆さんは、福島第1事故の原因を、政府事故調の報告書や規制委員会の報告書の、せめてダイジェストのひとつでも読んで理解しているのでしょうか。

たぶんまるっきり読んでいませんね。

反原発運動のパンフていどか、耳学問のレベルでしょう。失礼ながら、今回みるかぎり原発のイロハがわかっていません。

立民の蓮舫氏や共産党の小池氏のレベルの人たちが、原発ゼロなんて言っているのですから、困ったものです。

福島第1事故の原因をちゃんと押さえないで、反対もゼロもあったもんじゃありませんから。

 

 

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日曜写真館 植物園のへんな奴ら

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今回の北海道大停電は北電の特殊事情だ

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皆様から色々な情報を頂いております。 

まずは当事者である「北海」(旧北海道)様、ご無事なようで安心しました。氏は私が遭遇した東日本大震災で、ひとかたならぬご支援をいただいた大恩がある方です。 

氏から、私が心配していた酪農家の状況が伝わってまいりました。 

大型農家は自家発電で凌いでいるようですが、小規模農家が心配です。 

農家は井戸が多いため、停電となると家畜に水さえやれないという非常事態になりますので、心配しております。 

メディアは都市部の被害ばかり報じないで、広大な原野で苦闘する多くの農家も少しは取り上げなさい。北海道は日本一の大農業県ですよ。 

さて、こういう大災害時にはかならずデマが飛び出します。東日本・福島第1事故の時のすさまじさはいまでも語り種になるほどで、間違いなく復興を数年遅らせせました。 

ですから、早めにデマは潰しておく必要があります。 

今回も誰かトンチキがやるだろうなと思っていたら、案の定蓮舫氏がやらかしたようです。 

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こういう蓮舫氏の書き方は災害時だけに大変に悪質です。

まるで北海道電力が地震以後、なにか泊原発について不都合なことを隠蔽しているように聞こえるからです。 

蓮舫氏は、泊原発の今回の措置の何が問題だというのでしょうか。 

「非常用電源に切り替わった」のが心配だというなら、この人は原発のことなど一回もまじめに考えていなかったことの証明になり,ます。 

「原子力規制委員会などによると、北海道電力泊原発(北海道泊村)では地震による停電で外部電源を喪失した。非常用ディーゼル発電機6台を起動して電気を供給し、燃料プール内の核燃料の冷却を維持しているという。原発周辺の放射線測定で異常値は確認されていない」(毎日9月7日)
https://mainichi.jp/articles/20180906/k00/00e/040/217000c

蓮舫氏は福島第1事故の原因が分かっていませんね。 

福島第1は、地震そのものには耐えたのですが、17mもの津波によって全交流電源がすべてブラックアウトしました。 

外部電源は3系統ありましたが、これがすべて断たれたうえに、 数系統あった非常用電源もその設置場所が低い場所であっために配電盤が津波をモロに被ってしまいました。

ですから、この非常用電源を屋上におけば、あの忌まわしい事故は起きなかったはずです。 

泊原発の場合は、7日間非常用電源で凌げます。 

「泊原発1~3号機は運転を停止しており、原子炉内に核燃料は入っていない。非常用発電機は最低でも7日間稼働を続けることが可能という。」(毎日前掲)

 7日間もあれば停電は最悪でも部分的復旧しますし、電源車も配備できるでしょうから、余裕をもった非常用措置だといえます。 

強調しておきたいのは、今回の全域停電の原因は、あくまでも苫小東厚真火力にあまりにも偏った電力供給依存をしていたために起きました。 

誤解している人もいるようですが、福島第1事故のように送電網や変電所がダメージを受けたわけではありません。 

 北海道新聞より引用 

苫小東厚真火力の送電量が一瞬で消滅したために、他の発電所で支えきず周波数が一定にならなくなりました。 

電気は常に「同時同量」で運転されています。簡単に言えば、電気を送る量と使った量がピタッと一致せねばならないのです。 

これを放置すると、まず発電所の発電タービンの制御ができなくなり、異常回転を起こして破壊され、中継施設も破壊されてしまいます。 

発電タービンは中枢部分ですから、ここが破壊された場合、復旧の見通しはまったくたたなくなります。 

それを回避するために発電所を緊急停止しました。まったく正常な判断です。 

私は昨日「発電所が損壊」と書きましたが間違いで、発電施設の損壊はわずかでした。
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●苫東厚真1・2号機の被害状況
ボイラ損傷、4号機:タービン付近鎮火(6日10時15分)

 泊原発もそうですが、苫小東厚真火力も震度2ていどでは損壊することはありえません。事実、発電施設は9時間半後に復旧しました。 

今回の事故原因はこの緊急停止が行われたために、瞬時で北電の発電量の約半分が失われました。 

そのために送電網を部分切断して保護することができなくなって、バタバタと全域停電という事態にまで及んだのです。 

また北電のプレスリリースによれば、送電施設の被害も限定的でした。
http://www.hepco.co.jp/pdf/18090704.pdf

●被害状況
南早来線1号線(275kV):電線(引込用リード線)断線
岩知志線(66kV):鉄塔2基倒壊
狩勝幹線(275kV):送電線周辺地崩れ
石北線(66kV):電線断線
 

このように極めて珍しい事故で、日本最初のケースですし、他の電力会社ならば周波数管理を分散させているために、そもそも起きないでしょう。 

部分切断が出来なかった原因については事態が落ち着いてからの、国と電力会社の技術的検証が必要となるでしょうが、電力会社の責任というより、政治的問題です。 

というのは北電にかぎらず、電力会社はベース電源を原発に置いていました。 

昨日と同じグラフばかりで恐縮ですが、事故1年前の電源構成比率です。 

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 電力会社は黄色の原子力をベース電源にして恒常的に同じ出力で発電させ、細かい出力調整は火力にまかせていました。 

再エネは数%のうちは色物ですから、火力が調節していたわけです。今は例の悪法であるFITによって肥大し、北電では20%近くの水準に達しようとしています。

今後、この気まぐれ自然エネさんによって、電力会社は振り回されることになることでしょうが、とりあえずそのことは置きます。

このベース電源が、政治的理由によって喪失したことが、今回の事故の遠因となりました。

よく安倍政権を「再稼働強行派」とか、「原発推進派」とかいう人がいますが、まったくトンチンカンな非難で、安倍氏は前政権のレールの上をのろのろと走っているだけにすぎません。

このテーマについても、長くなりましたからまた別の機会とします。

■参考資料
電気工学会http://www2.iee.or.jp/ver2/honbu/16-committee/epress/index11.html

 

 

 

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北海道全域停電はどうして起きたのか

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北海道地震にあわれた道民のみなさまに、心からお見舞い申し上げます。 

今回の北海道地震において特徴的なことは、約300万戸に近い広域停電が発生したことです。 

経済産業省は6日、北海道内のほぼ全世帯にあたる295万戸で起きた停電について、午後9時時点で、7日朝までに約120万戸分に相当する150万キロ・ワット規模の電力供給を確保できるとの見通しを明らかにした。
北海道電力が発電所の再稼働を進め、6日午後4時時点で、札幌市や旭川市など28市町村で約33万戸の停電が解消したとしており、その後、さらに復旧が進んでいる」(読売9月7日)

https://news.nifty.com/article/economy/stock/12213-20180906-50097/

2共同より引用 

上の写真は地震の影響で停電した6日午前の札幌市内です。中央がさっぽろテレビ塔です。 

大地震が来たから停電はあたりまえだと思わないで下さい。 

私も経験した2011年3月の東日本大震災においてすら、東電エリア全域の停電は起きませんでしたから、いかに異常なものか分かると思います。 

「電力各社でつくる電気事業連合会も「エリア全域での停電は近年では聞いたことがない」としている」(日経9月6日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35045160W8A900C1000000/

 やや専門的な説明になりますが、北海道は北電管内すべてでブラックアウト(停電)していますが、これは道内を一括して周波数管理をしている構造があるからです。 

電力は「生もの」なために備蓄できません。そのために常に供給と需要を合致させておかねばならないのですが、北電は道内をワンセットでやっています。 

そのために主力の発電所がやられると、地震とは関係のない地域まで一気に停電してしまうことになります。 

今回は165万キロワットを発電していた苫東厚真火力発電所が、こともあろうに震源地の近くにあったために大きく損壊し、道内全域停電にまで発展しました。

この苫東厚真火力発電所の3基が停止したことで道内の半分の電力供給が奪われてしまい、一気に需給バランスが釣り合わなくなりました。
 

すると発生するのが周波数の乱れです。その結果、他の無事だった発電所まで停止に追い込まれてしまいました。 

Photo_4北海道新聞

これを放置すると周波数の狂った電気を送電してしまい、発電用タービンが故障し、需要用側の電子機器なども破壊する恐れがあるからです。
 

さらに悪いことには、他の電力会社から電力融通しようにも、北海道と本州各社と結ぶ送電線が停電でダウンしてしまい、救援すら受けられない状況になってしまいました。 

さて以上が直接の原因ですが、遠因は火力に強依存する体質にあります。 

北海道電力の電源構成は、発電量ベースで石炭52%、石油23%の計75%を火力でおぎなうという、極端な偏重構造となっています。 

再エネは19%ていどありますが、再エネは自然条件によって発電量がバラつくために、火力が常にバックアップしています。

さもないと、強風が来ると大量に電気が出来てしまう反面、凪だと発電ゼロとなってしまい、周波数が安定しないからです。

そのデコボコを埋めていたのが火力だったのですが、その火力が止まったために、再エネも止まらざるをえなかったわけです。

再エネだけにしろという人がたまにいますが、そんなことは火力あっての再エネという舞台裏を知らない人です。Photo_2


北海道電力HP

原発の場合、そんなことは心配ありませんから、今回泊原発が動いていたら、泊だけで苫東を凌ぐ北電最大の207万キロワットの発電能力がありますから、停電は起こらなかったでしょう。

では、北海道電力のエネルギー構成をみてみましょう。

黄色が原子力ですが、北電は全国でも関西電力に並ぶ44%と高い依存率を持っていました。

2_2
これが一気にゼロとなったのですから、北電は4割もの電力供給源を失ったことになります。

下のグラフが、震災前と後を比較したエネルギー構成比率です。日本全体でいかに大きな電源が失われたままだというのがわかるでしょう。

Photo_5

しかも、再エネは文字度りの風頼りの風来坊で頼りにならず、結局のところ日本の社会と経済の屋台骨は火力が一手に引き受けることになってしまっています。

そして北電の場合、その火力発電所も、今回被害を受けた苫東厚真など新品なほうで、北電の他の火力発電所は中古品に等しいものでした。 

いちばん古い苫小牧など1973年建設ですから、あと5年で齢半世紀です。

北電に限らず、全国の火力は老朽化が激しく、電力マンの現場力でやっと維持できているような状況が続いています。

Photo_3北海道電力HP 

このような現状の薄氷の危うさが明らかになったのが、今回の北海道地震に伴う全域停電だったのです。

改めて思いましたが、反原発や再稼働阻止を叫ぶのはけっこうですが、このような大災害時に起きる停電リスクについて言及しないのはおかしいのではありませんか。

今回の北海道地震が真冬に起きたなら、石油を運ぶインフラも同時に破壊されてしまっていますから、電気もつかず、ストーブも炊けずに多くの凍死者を出した可能性があるからです。

ゾッとします。

今までなんとかなったからいいやではなく、数十年に一度どころか、100年に一度の大災害が日常的に来るのが今のわが日本なのです。

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スポーツ競技団体が人治を止めないかぎりなんどでもパワハラは起きます

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まぁ、よく次から次にと出てくるもんです。相撲協会から始まり日大アメフト、ボクシング協会、そして今回の体操協会まで、類似したパワハラで揺れています。 

昼飯を食べながらテレビなんぞつけると、もう塚原女史の暑苦しい顔がどの局にも登場したかと思えば、夕方には宮川選手の元コーチ会見をどの局も同時中継しています。 

右向け右がメディアの習性とはいえ、報じられる情報はどこも一緒なので食傷気味だなぁ。 

さて体操協会のパワハラ問題は、いろいろな切り分けができるでしょう。 

まず例によって例の如くですが、危機管理の初動の失敗です。 

今回名前が上がったスポーツ団体に共通しているのは、メディアが砲列を敷いているのに、それを危機だと思わなかったという致命的鈍さです。 

塚本光男氏はおっかけ取材された時に言った、「全部ウソ」のひとことが命取りでした。 

いい歳なんだから、少しは考えてからモノを言えと思います。 

塚本氏はペーパーで釈明する気だったので、とっさに浮かんだ言葉を口にしたていどだったのでしょうが、生憎とそれが本音だったようですからなおのこと始末が悪い。 

いうまでもありませんが、宮川選手の告発会見もすべてが真実だとは限らないわけで、双方の申し立てる事実の突き合わせが必要です。 

Photohttps://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/sports/w

 しかし、その突き合わせ前に「お前の言っているのは全部ウソ」とやってしまったら、話にもなりません。 

これは宮川選手との対話拒否と同じです。 しかも孫のような歳の選手にですから、おいおいです。

そのうえ後から塚原側が出した録音テープなど、前後が切られていてなんの証拠にもならないばかりか、かえって心証を悪くしました。

やればやるほど事態を悪化させるのを見て、私は体操協会には塚原夫妻に助言してやる人がいないのかと思ったもんです。

メディア、特にワイドショーはハナから塚原夫妻を内田、中根両氏に続くパワハラ悪代官と決めつけて、その立場から報じているのですから、どんな言い訳も彼らに好餌を与えるようなものです。

対応するなら、協会がいったん引き取って、オフィシャルにせねばなりません。

日大アメフトの内田前監督の場合もそうでしたが、事実認定される前から個人的に会見を開いて、「ラフプレーは指示していない」と、選手の発言を全否定することから始めてしまっています。

後に事実が発覚すると、パワハラ+虚偽発言で二重に悪いことになってしまいました。

どのつつまり日大は、関東学生連盟や自分たちが立ち上げた第三者委員会から虚偽認定され、解体的出直しを迫られました。 

やくざもどき(というかホンモノだったようですが)ボス支配にあったボクシング連盟は、まだ第三者委員すら立ち上げられず、混迷の淵を泳いでいます。 

Photo_2http://bunshun.jp/articles/-/8412

ですから事件の初動において、公的機関の性格を持っている相撲協会、ボクシング協会、体操協会がやるべきことは、会長当事者の恣意的発言ではありません。 

いやむしろ、協会は当事者たる中根氏や塚原氏を黙らせるべきでした。 

団体はメディアに対して、「全部ウソ」とか「指示していない」「オレがメダルを取らせてやった」といった指導者の個人的感想を封じて、「協会が事実認定するための第三者委員会を可及的速やかに設置するから、その報告を待ってくれ」と言うべきだったのです。

実はあまり知られていないようですが、第三者委員会とは、大変に恐ろしい組織なのです。

なにせ検察官のように捜査し告発する権限と、裁判官のように判決を下すというオールマイティな権限を併せ持つからで、しかも人選次第では弁護人ぬき裁判もどきすら可能だからです。 

だからこそ、自らが起こした不祥事に対して第三者委員会を設置することの重みが社会的に認知されているのです。 

そうせずにグダグダと特濃キャラ揃いのボスたちが、スポークスマンをそっちのけでしゃべり散らし、ワイドショーの標的になってしまうようだからダメなのです。 

あ、そうかスポークスマンなんて近代的なものなんかなかったんでしたっけ(苦笑)。

塚本夫妻がさんざんネガキャン張られた後になって、「直接会って謝罪したい」なんて言っても、なにを今さらと思われて当然です。 

ではどうして、どこもかしこもこのような拙劣な対応になるのでしょうか。 

Photo_3https://thepage.jp/detail/20180524-00000007-wordle...

相撲協会、日大アメフト、ボクシング協会、体操協会、すべてに共通するのはその「人治」的体質です。 

これらのスポーツ組織は、一部のボス人脈が権力を独占しており、外部の人が執行部に参画できません。 

相撲協会ならばかつての横綱、体操協会ではかつてのゴールドメダリストといった名選手が、当然のように協会トップに上り詰め、当然のようにその人脈で固めてしまいます。

そしてこれまた当然のように、強大なパワーを獲得し、自らの利益誘導など朝飯前です。

スポーツ界に特有なのは、強烈な「同じ釜の飯」意識です。

旧帝国陸軍よろしく一年後輩というだけで先輩のパンツを洗い、コンビニに走り、試合で失敗すれば容赦ないビンタが待っています。 

それがチームを強くしていることもあるでしょうが、このよその世界では見られないような異常に強い先輩・後輩意識から人脈が形成されます。 

まして現役時代に名選手ともなれば、絶対的権威を持って組織を牛耳ることが可能です。

日大の内田氏やボクシング協会の山根氏が典型的だったように、「自分がルール」であるという属人的体質で団体を運営できてしまいます。

このような「ボスがルールブック」という人治体質があらたまらないかぎり、なんどでも同じようなパワハラ事件は起きます。

これが淀んだ協会の体質を醸成し、そこに恣意的指導、判定疑惑、利益誘導が生じてもなんの不思議もありません。
 

それを問題視する周囲の幹部は皆無に等しく、ほとんどがボスが登用した人たちで固められているからてす。 

では、解決するにはどうしたらいいのでしょうか。たぶんひとつしかないでしょう。

名選手をボスに戴く閉鎖的集団から、普通のルールを大事にする団体になることです。

そのためには、自己解決能力が欠落した役員会をいったん解体して、外部の血を入れることです。

副会長、常任理事などの役職の半分を、外部から招致する必要があります。 

といっても別にたいしたことではなく、大手の企業はとっくにコンプライアンス保全のためにしていることで、スポーツ団体の体質改善が遅れきっているだけです。

残念ながらこんなていどの改革すら、今のスポーツ競技団体は自らの力でなし得ないと思われます。

こういう時こそ、昼行灯だったスポーツ庁の出番です。文科省、接待にうつつを抜かしていないで、たまには仕事をしなさい。

 

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トリチウムなど恐れる必要がない

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昨日の記事では説明しなかったトリチウムについて解説した2013年9月19日の旧記事を再録します。

また公平を期する意味で、ハーバービジネスから海洋放出を批判する記事がでましたので補足しておきます。

この記事は放出批判のために書かれていますが、トリチウムについての安全性評価は私の5年前の記事とほぼ同じです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180904-00174094-hbolz-soci

「しばしばトリチウムは「遺伝子を破壊する悪魔の放射能」などと呼ばれますが、実際には生物濃縮せず、水として体内に摂取した場合の生物学的半減期は約10日、有機物として摂取した場合は40日で、多くは水として取り込まれますので、「体に取り込みやすく出て行きやすい」放射性物質です。また水ですので、体の特定の部位に集まって滞留すると言うことは起こりにくいです。この点がセシウム137やストロンチウム90、ヨウ素131とは大きく異なります」

この記事は、公聴会において東電が他の放射性物質について言及していないことを批判しています。

「トリチウム以外に告知濃度限度を超えるヨウ素129、ルテニウム106、テクネチウム99、ストロンチウム90が過半数の測定で検出されていました。東電はそのことを認識していましたが、生データを公開していたものの、事実を説明していませんでした。生データは膨大であり、精査しなければわかりません。
そうした上で、東電はこれまで、「測定している62種類の放射性物質は、他核種除去装置によって告知濃度限度以下まで除去でき、残るはトリチウムだけである」と説明してきたのです」

この記事が事実ならば、問題はトリチウムの無害性だけではなくなりますから、東電は再度情報を開示する必要があります。

また東電は2次浄化工程としてALPSをもう一回通す必要があるのか、ないのかについても答えるべきでしょう。

                                                   ~~~~~~

ういうとお叱りを受けそうですが、しょせんトリチウムなどは言ってみれば、「遅れてきた放射能野郎」なのです。 

こんな汚染水事件でもなければ誰もなんとも言われず、スポットライトなんか絶対に浴びない放射性物質にすぎません。

放射線エネルギーは弱いために外部被曝はないし、仮に飲んでも直ぐにオシッコで出てきてきちゃいますし、特定部位にたまる根性もないので内部被曝で悪さすることもない。 

ウランやコバルト、ストロンチウムなどの強面の放射性同位体一族の中ではまことに温和な奴なのです。 

ALPS除去設備が除去できなかったのは、凶悪だからではな、あくまでも要するに「水」だったからにすぎません。「水の中の水」は除去できませんから。 

なんでこんなもんを怖がるのかのかなぁ。ストロンチウムならまだ分かるが。 

リスク論の代表的なものはこのようなものです。色々な放射性物質の後障害とゴッチャになっていますね。頭が混乱しているんだろうな。 

最後に脚光を浴びたからって、全部トリチウムのせいにすんなよ。まぁいいか。 

①一般のγ線測定器では測れない
②トリチウムが水や水蒸気の形で人体に入ると99%吸収され、 皮膚を経て摂取量の2%はDNAに取り込まれる。(遺伝子障害の可能性
③動物実験で特に造血組織を中心に障害(白血病等)が生じる可能性
④飲料水などとして大量に(体重に対して数十%以上) 摂取すると生体内反応に失調をきたし、30%を越えると死に至る。(東日本を中心に日本全国で相次いだ「魚の大量死」の原因か)
⑤カナダではダウン症の子供が増えた
⑥英国セラフィールドで小児白血病が増えた

①の「γ線測定器で計れない」というのは理由にもなりません。 

よく危険な放射能の筆頭に挙げられているストロンチウムは、β線測定器でしか計れないので、横浜で発見されて大騒ぎになった時には、専門の測定会社ですら計れる器械がありませんでした。(このストロンチウムは福島事故とはまったく関係なし) 

計れないなら、計れる液体シンチエーション測定器で測ればいいでしょうというだけです。買い込んだ自分の器械が使えないから危険だということでしょうか。 

次に②の遺伝子障害ですが、このいわゆる奇形ほどいやな風聞はありません。最近もオリンピックがらみで、韓国とフランスが3本足や6つ目をやってくれました。被爆者の苦しみを笑うゲス野郎め。 

このことについては、はっきりとまったくそのような事実はないとお答えしておきます。逆に福島県で奇形の実例の発生例があったら教えて下さい。 

岩上安身氏は「お待たせしました。福島で奇形が出ました」と大誤報をして、ジャーナリスト生命を縮めました。彼にとって奇形が出るというのは待ちに待った状況のようですな。 

最近でも、「ある女子アナが東日本の野菜を食べて応援したために白血病になった」などという悪質極まるなデマがネットで流布されました。
(※下卑たネットの情報はこちらから現物をご覧ください。彼らの脳味噌の汚染状況がよくわかります。http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1379437378/

これについてもわが隣県のことなので、明確かつ実証的に完全否定できます。

百歩譲って「奇形が出る可能性」という仮説の「意見」が証明されるためには、因果関係が立証されねばなりません。リスク論者にその用意はありますか? 

トリチウム・リスク論者は、今ことさらトリチウムを上げていますが、通常白血病や奇形の原因とされるのはストロンチウムのほうです。 

ストロンチウムを大量に浴びると、遺伝子障害を起こすことはよく知られています。 

ストロンチウムを取り込むと、赤血球や白血球の元になる骨髄の造血細胞がガン化してしまい白血病を発病してしまうからです。 

白血病は被曝後2年から3年で増え始めると言われています。ちょうど今頃の時期です。 

ですから、もし福島事故で後障害がでるのならば、今まさにこの時期に、福島で有意な白血病増加が見られなければなりません。 

福島事故後多くの人々の後障害検査と治療に携わってきた南相馬市立総合病院の坪倉医師は、NHKラジオ(8月27日)でこう述べています。 

「99.9%の子供たちからは12年4月,以降いっさい異常は検出されていない」※http://toyokeizai.net/articles/-/13925 

これが被曝現場の事実です。数百キロ彼方の安全圏からネットで「危険だ、危険だ」と騒ぐより、ひとつの事実を知りに現地に来なさい。 

今後まったくないとは思いませので、監視(サーベイランス)は必要でしょうが、健康に対する後障害の危機は少ないと見るのが妥当です。 

このような状況を受けて、国連科学委員会はこう述べています。 

「日本での住民の被ばく量は低い、もしくは「非常に」低いものであった。そのために日本の住民の健康リスクは低いものになっている。」(国連科学委員会福島事故最終報告書)※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-9a31.html 

④の、「東日本の魚の大量死」は都市伝説に毛が生えたような話にすぎません。前にどこかでもっともらしく流布していた気もしますが、事故から丸2年半たってまた蒸し返されるとは思いませんでした。 

「東日本の魚の大量死」は因果関係はおろか、果たして大量死そのものがあったのかどうかすらわかりません。 

私なら、魚が大量死したらなにかの農薬か工場からの毒物流出をまず疑いますね。 

もし、トリチウムとの関連を主張したいのなら、「東日本の魚大量死」が出たという海域の放射線濃度、特にトリチウム濃度、死亡個体数、日時、魚種のデータが最低限必須です。 

最後に「トリチウムが入った水を体重の30%飲むと死に至る」というに至っては、すいませんが爆笑してしまいました。 

体重平均60㎏として約20リットルですから、2リットルペットボトルにして10本!どう飲むつうの。 

飲みたくても飲めませんから、そうとうに無理な想定というか、2リットルペットボトル10本も飲めば、なにを飲もうとも病院行きです(笑)。

ただの水道水でも 過剰に摂取すれば、細胞がナトリウム不足になって、体内で形成された毒素の排出ができずに「水中毒」になります。

20リットルのトリチウム原液を飲めば、そりゃおかしくなりますって!それは放射能がどうというより、ナトリウムバランスの問題ですね。 

トリチウムは、薬理学上いわゆる低毒性(low toxicity)に分類されます。低毒性というのは、それが積極的に危険を放出しているわけではなく、常識を超えた摂取をすると危ないぞ、ていどの意味です。 

そう言えば、もうひとつ非常に危険な物質があります。それは醤油です。醤油は20リットルも飲まないでも充分に重体になれます。

さきほどの水中毒の逆で、ナトリウム過多になるからです。

ですから、醤油瓶の裏には注意書きで、「醤油を体重の30%以上飲まないで下さい」と小さく書いてあるはずです(うそ)。 

ひょっとして一万人にひとりくらい飲む奴がいるから「醤油にリスクがある」と書いたらバッカじゃねぇかと言われますね。 

そうあたりまえですが、摂取するのが微量だからです。トリチウムも一緒です。 

ですから、トリチウムは一般の水よりは消極的意味で「危険」ですが、醤油ほど「危険」ではありません。 

海水に拡散・希釈して混ざりますから(放出以前に希釈してありますが)おそらくほとんど計測不能レベルになるはずですので、トリチウム原液を飲むのとはまったく違います。 

醤油の中で生活する人がいないように、トリチウムの中で暮らす人もありえないのです。 

ありえない仮定を考えて、「突然死する」とか、「白血病になる」とか脅されてもなんだかなぁというかんじです。 

リスク論者の皆さん、このような常識はずれの極端なことばかり言っていると、いっそう信頼されなくなりますよ。 

⑤⑥のカナダのダウン症や英国での白血病も、同じように肯定論否定論いずれも存在します。 

といっても、私がトリチウムの危険性を完全否定しない理由は、今後の疫学調査でトリチウムと突然死、あるいは白内障との関連が証明される可能性がまったくゼロではないからです。 

しかし現時点ではそれを立証する疫学データは存在しない以上、私はトリチウムの危険性について、「可能性はゼロではないが、醤油よりリスクは少ないと思われる」とします。 

放射線の専門家の平均的認識はほぼ一般的に以下です。

(海洋生物環境研究所の御園生淳氏、富山大学水素同位体科学研究センター長松山政夫教授・週刊文春における発言)
①水として摂取しても10日くらいで半量が排泄されてしまうので内部被曝の可能性は低い。
②トリチウムの出す放射線量のエネルギーが低いので、外部被曝はありえない。
③毎日100ベクレル/㎏のトリチウムを含む食物を1年間食べた場合の摂取量は、0.0015ミリシーベルトで、,セシウム137の約千分の1ていどで比較にならない。
④トリチウムは何かに濃縮することがないために生物濃縮は考えられない。

このトリチウムに対する認識から汚染水の排出は、このようなルールを作って行われます。 

トリチウム濃度としては、400万ベクレル/リットル含まれます。

これは原子力施設の濃度限界(告示濃度限界)とされる6万ベクレル/リットルを大幅に越えていますから,これを告示濃度限界の6万ベクレルまで希釈して70分の1ちかくにまで下げて、海に放出します。 

これは国際ルールに完全に則っていますから、文句を言ってくる国は韓国以外にないでしょう。 

あの国はとうとう頭に血が登って、日本全国の海産物を禁輸するようです。栃木、群馬も驚きでしたが、とうとう「全国」ですか。http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130919/frn1309191528003-n1.htm

呆れてものが言えん。もはや神経症の領域ですな。国ぐるみでヘイトスピーチやってるんだからどうにもなりません。

まともに水産庁が説明などしても聞く耳をそもそも持っていないのですから、毅然とWTOに訴えるしかないですね。

それはさておき、韓国以外の外国の専門家は、現状のわが国の汚染水対策に同意しています。

訪日したスリーマイル島事故を経験したNRC元専門家も、「直ちに地下水を汲み上げを再開して、海へ放出すべきだ」と助言しています。(欄外参照)

政府は国内外の叡知を結集すると言っていますから、さらに良い方法も登場するかもしれまん。 

いずれにせよ、完全廃炉になり、使用済み燃料棒の処分が終了する時まで、冷却水は止められませんから汚染水は出続けます。それまでの数十年先までの長距離マラソンなのです。 

何度も繰り返しますが、この汚染水問題は、原発推進も反対もまったく関係のないことです。そのような立場にとらわれて見ないことです。 

原発反対だから、汚染水処理を止めろと言っているようにすら聞こえます。 

トリチウム・リスク論者は、このままタンクが溜まるだけ溜まって処理不能になり、炉の冷却水の循環もできなくなって再びメルトダウンすることが望みなのでしょうか。 

 

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■福島第1原発の汚染水処理問題、放出準備に着手すべき=米専門家
ロイター2013年 09月 14日  

バレット氏は米原子力規制委員会の元幹部で、1979年に起こったスリーマイル島原発事故の処理を担当した経験を持つ。

同氏は、原子炉に届く前に地下水をくみ上げる作業を始めるべきだとし、地下水とともに、放射性物質を取り除いた汚染水は海に放出する必要があるとの考えを示した。

「来年初めには水は除染され、放出の準備が整う」としている。

同氏は、汚染水の除染が計画通りに進めば、福島第1原発近海で取れた魚を孫にも安心して食べさせると述べ、安全性に自信を示した。だが東電は信頼性を失っているため国民の懸念を払しょくできないとし、東電が安全性を強調するだけでは不十分との考えを示した。

また合意形成を重視する日本の意思決定スタイルは、現実的な措置を先送りするリスクをはらむと指摘。「東電は国民や地元の漁業関係者などへの負担を懸念して貯蔵タンクを増やし続けているが、これは問題を先送りしているにすぎない」とし、「今が問題に取り組むべき時」と主張した。

東電の広瀬直己社長に対しては「海外専門家の技能を日本のシステムに融合させることを提言した」とし、問題解決にあたり海外専門家により協力を求めるべきとの考えを示した。

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トリチウムは国際条約に沿って海洋放出するべきです

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8月30日、31日に、トリチウムを含む水の処分をめぐり、国の有識者会議が初めての公聴会を福島県富岡町、郡山市と東京都で開催しました。

そのせいか私のブログでもトリチウムについて訪問者が激増していますので、再掲載しておきます。

今日は、その中でも特に訪問数が多かった2016年3月19日の記事をとりあげます。

この記事を書いた2年前は、トリチウム=放射性汚染水=コワイ、という非科学的な括りが跋扈していました。

トリチウムは放射性物質といえば仰々しい響きがありますが、実は国際法による希釈をすれば無害化できる存在であり、世界各国はそうしていることが認知されてきました。

今は少しは渋々反原発主義者の皆さんも、理解してきたのでしょうか。

これ以外にもカテゴリー「原子力事故」で検索していただければ、トリチウムについて相当数の記事をアップしていますので、関心がある方はご覧下さい。

                                                  ~~~~~~

福島第1原発の現状について、どこをもって「事故を収束」とするか、ということですが、最長で廃炉まで40年です。 

しかし、それまでなにもしないわけではありません。 

今、とくに問題とされているのは、昨日取り上げました「汚染水」です。 

NHK(2016年3月16日)が整理してくれています。

東電の最新の現状報告書「福島第原子力発電所の最近の状況」(2015年12月11日)と共に見ていきます。 

「1号機から3号機では溶け落ちた核燃料を冷やすため原子炉に水を注ぐ必要があり、これが高濃度の汚染水となって建屋の地下にたまっています。
さらに地下水が建屋に流れ込んでいるため、当初、建屋内の汚染水は毎日400トンずつ増え続け、東京電力はこの汚染水をくみ上げて1000基に上るタンクで保管しています。」(NHK前掲)
 

この福島第1が立つ場所は、そもそも阿武隈山系の湧水を集めて、大変に地下水が豊富な地点なのです。 

もちろん、建屋の下にたまっている汚染水もありますが、どちらかといえばこの毎日400トンも流入するハンパでない量の地下水に手を焼いています。 

Img_3781図 東電前掲 クリックすると大きくなります

施設を上図の左手から、崖を掘って作ってしまったために地下水に悩まされているわけですが、事故後に崖の上に地下水を汲むポンプ(青い太線)を設置しました。 

それでもなお、崖下に流れる地下水は、3カ所の「くみ上げ」と書いてある井戸からくみ上げていきます。 

とくに重要なのが崖下の井戸で、ここで止めないと、原子炉に流入して「汚染水」となってしまいます。ですから、ここでくみ上げて、なおその先に凍土壁を作っています。

「東京電力はこれまで、建屋への地下水の流入を抑える対策に取り組んできました。おととしには建屋の上流側で地下水をくみ上げて海に流す「地下水バイパス」と呼ばれる対策を始めたほか、去年9月からは「サブドレン」と呼ばれる建屋周辺の井戸で地下水をくみ上げ、浄化したうえで海に放出する対策も始めました。東京電力の試算では、こうした対策によって建屋に流れ込む地下水の量は1日およそ200トンまで減ったとしています。」(NHK前掲)
ところが、やはり問題は起きています。
ひとつは、東電は原子炉に接触しないようにした上で、浄水装置にかけて放射性物質を除去して海に放出するつもりだったのですが、せき止めた地下水の濃度が想定を上回ったため、放出が見送られたことです。

Img_3785図 東電前掲 クリックすると大きくなります
また、事故時の緊急対策として設置したタンク群の劣化も進んでいます。
福島民友新聞(2016年3月3日)によれば
「現在の汚染水発生量は1日当たり約500トン。内訳は地下水流入分が約150トン、護岸から移送した地下水分が約350トンとなっている。
 また2月25日現在、1~4号機などの建屋内には計約8万1000トンの高濃度汚染水がたまっている。」
NHKによれば、トリチウム問題が足かせになって、1日に新たに500トンの汚染水が発生し、60万トンもの「汚染水」がたまったままになっています。

「 東京電力福島第一原発では、1日におよそ500トンの汚染水が発生し、浄化設備で放射性物質を取り除いて いますが、トリチウムという放射性物質は取り除くことができないため、およそ60万トンが敷地内のタンクにためられたままになっています。 」(NHK前掲)

こうして、足止めを食っているうちに、「汚染水」は日に日に増加して、溢れんばかりになっています。
もはや、福島第1の復旧作業は、タンクのお守りではないかという自嘲すら生まれている昨今です。
Photo写真 朝日新聞2013年8月1日

そして貯めているタンクや、ホース、ポンプの劣化も進んでいます。
「東電は4年前の事故時に急増したフランジ型の貯蔵タンクが耐用年数を迎えて相次いで劣化しつつあることから、貯蔵汚染水の入れ替え作業を進めているが、設備の劣化はタンクだけではなく、今回のホースやポンプなど多くの応急的に投入された部材の劣化が随所で顕在化しつつあることがうかがえる。」F(inance GreenWatch 2015年5月19日 )

つまり、貯めておくという方法は、あくまで事故直後の浄水装置もなく、遮蔽壁もない状態でやむを得ず取った緊急措置だったにもかかわらず、事故後5年たってその限界を迎えつつあるということです。

「 こうした汚染水の処理方法について、東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表はNHKの取材に対し、 「国の議論では希釈しての排水や、濃縮しての管理など、いろいろ案が出ている。4月以降、地元の方々と話し合い、  どういった形がいいのか決めていきたい」と話し、薄めて海に排水することを含め、どのように処理を進めるべきか、 来月以降、福島県など地元と議論を進めていく考えを明らかにしました。
トリチウムを含む汚染水の処理については、国の専門家チームで検討が進められ、薄めて海に排水する案や 地下に注入する案などが候補とされていて、地元の理解を得ながら、どのように汚染水の処理を進めるかが大きな課題となっています。 」(NHK前掲)

ここで上げられている地下注入などは、別の地下水脈に流入してしまい汚染を拡大しかねない下策です。

これ以上貯めておけない、そしてトリチウムだけに問題が絞られてきて、しかもトリチウムはそもそも非力なエネルギーしかもたない放射性物質である上に、検出量も微量です(下図参照)

ならば解決法は、世界にひとつしか存在しません。海に放出することです。これ以外にありえません。

Img_3788図 東電前掲 クリックすると大きくなります

下図は、世界の原子力施設で液体廃棄物として海に放出した、トリチウム量のグラフです。

 

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 図 海産生物と放射性物質(海洋生物環境研究所 この論文はトリチウムと海洋との関係で教示されるものをたくさん含んでいますので、必読です。

上図のトリチウムは、原子炉の運転・整備、核燃料再処理時などで発生したものが、施設外に排出されたものが大気圏や海洋へ残留したものです。

英国が最大放出国で、実に2500兆(2.5×1015)Bq/年程度、日本は6分の1の400兆(4×1014)Bq/年程度です。

このグラフには再処理施設からの放出量は含まれていないために、英仏はさらに多くなります。 

このように現在でも各国の原子力施設からは、日常的に海にトリチウムが放出されています。 

●各国のトリチウム海洋放出量
・英国(セラフィールド再処理施設)・・・年間1390兆ベクレル(2010年値)
・フランス(ラ・アーグ再処理施設) ・・・年間9950兆(2010年値)
・カナダ(ブルース原発)       ・・・年間1180兆(2012年値)

 これはロンドン条約で認められた、唯一のトリチウム解決法です。ロンドン条約を押さえておきます

「ロンドン条約 1972年は、海洋の汚染を防止することを目的として、陸上発生廃棄物海洋投棄や、洋上での焼却処分などを規制するための国際条約。」
ロンドン条約 (1972年) - Wikipedia

なお、放射性物質の放出は同条約で禁止されているという反原発派の説がありますが、正確ではありません。(欄外参照)

ロンドン条約は、船舶からの海洋へ処分する行為等を禁じていますが、原発施設からの放射性排水の海洋への計画放出は対象に なっていません。

ロンドン条約で許されたトリチウム濃度は6万ベクレル/ℓで、これ以下ならば放出することが国際的に認められいます。

よくある勘違いに、福島第1で事故処理に失敗したから漏れだしているのだろうという誤解がありますが、まったく違います。 

他の国内原発でも、以下の放出がなされています。
 

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図 各原発からのトリチウム海洋放出の年平均値(2002年度~2011年度)平成23年度  原子力施設における放射性廃棄物の管理状況(2012年8月) 

加圧水型の最大放出施設は、大飯です。全原発の合計では年間で380兆(3.8×1014)Bq/年で、世界では少ない方に属します。  

放射線の専門家である海洋生物環境研究所の御園生淳氏、富山大学水素同位体科学研究センター長松山政夫教授の意見を紹介しておきます。

①水として摂取しても10日くらいで半量が排泄されてしまうので内部被曝の可能性は低い。
②トリチウムの出す放射線量のエネルギーが低いので、外部被曝はありえない。
③毎日100ベクレル/㎏のトリチウムを含む食物を1年間食べた場合の摂取量は、0.0015ミリシーベルトで、,セシウム137の約千分の1ていどで比較にならない。
④トリチウムは何かに濃縮することがないために生物濃縮は考えられない。

もし、今後、福島第1から、トリチウムを含んだ「汚染水」を放出するなると、以下のルールに則って行われことになります。  

原子力施設のトリチウムを告示濃度限界の6万ベクレルまで希釈してから、海に計画放出し、拡散させます。  

これは先の述べたロンドン条約の国際ルールに則っていますから、文句を言ってくる国は韓国以外にないでしょう。

いや韓国も重水炉を持っているために、アジア最大のトリチウム放出国でしたっけ(笑)。 

漁業関係者は風評被害に痛めつけられて来ましたから、粘り強い説明が必要でしょう。  

外国の専門家は、このわが国の汚染水対策に同意しています。  

訪日したスリーマイル島事故を経験したNRC元専門家も、「直ちに海へ放出すべきだ」と助言しています。  

いずれにせよ、完全廃炉になり、使用済み燃料棒の処分が終了する時まで、冷却水は止められませんから汚染水は出続けます。

私はかねがね常に言ってきたことですが、事故処理に原発賛成も反対もまったく関係ありません。

もはや反原発はイデオロギーになってしまったようですが、願わくばイデオロギーの眼鏡で事故処理を見てほしくはありません。

広く世界でどのようなトリチウムの処理がなされているのかを知ってから判断すべきなのに、原発反対だから汚染水処理を止めろと言っているようにすら聞こえます。

というか、実際そう言っています。 近視眼も極まれりです。

どうも、彼らの声を聞いていると、凍土壁が失敗しそうだと手を打って喜び 、タンクが漏れると万才を叫んでいるようにすら見えます。 破滅願望なのでしょうか。 

反原発主義者にしても、このままタンクが溜まるだけ溜まって処理不能になり、炉の冷却水の循環もできなくなることが望みではないと思うのですが。

                                             ~~~~~~

福島第一原子力発電所における汚染水の放出措置をめぐる国際法(西本健太郎 東大特任講師)
「海洋と放出とロンドン条約ロンドン条約は1975年に発効し、高レベル放射性廃棄物の海洋投棄が禁止された。以後この条約の下で実施されていたが、1982年の第6回の会議で、海洋投棄に関する科学技術問題を再調査し、その結論が出るまで投棄を一時停止するという提案が行われたことから海洋投棄は一時中止することになり、この年以降は実施されていない。その後、1993年の第16回会議で、放射性廃棄物の【船からの】海洋投棄は全面的に禁止となり、1996年には海洋投棄規制を強化するための議定書(1996年の議定書)が採択され、2006年3月に発効、日本は2007年10月に批准している。」

※参考文献 
ポストさんてん日記 トリチウムとは?危険性は?海洋放出量の基準値は?
海産生物と放射性物質(海洋生物環境研究所
トリチウム流出の影響  福島第一の地下水(安井至教授の市民のための環境学ガイド2013/8/10)
・原子力資料室
http://www.cnic.jp/knowledge/2116?cat_id=1
・医療での自然放射線安全にお答えします
http://trustrad.sixcore.jp/tritium-2.html

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立憲民主はなぜこの時期に有田氏を県連会長に据えたのか

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立憲民主が沖縄知事選に「オール沖縄」の一角としてに参入するようです。 

「立憲民主党の枝野幸男代表は29日午後、那覇市内で記者会見し、同党県連の設立を発表した。
 会見で枝野代表は米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設について「米国政府との間で辺野古基地を建設しない解決策に向けた再交渉を行うとともに、結論を得るまで工事を止めるべきだ」と辺野古移設反対の方針を表明した。
 普天間飛行場の県外・国外移設の検証方針を撤回し、辺野古移設に転じた旧民主党政権時代との整合性については「この5年余りの間の状況の変化から、このまま基地の建設を続行する状況ではないという判断に至った」
(琉球新報8月29日)

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-793036.html 

Photo琉球新報 前掲 

なんなのですか、この「5年の状況の変化」とは。

立民は「安倍政権の暴虐」とでもいいたいのでしょうが、この混沌を始めた張本人は、枝野氏が閣僚や官房長官をしていた鳩山民主党政権のちゃぶ台返しに始まります。

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「20年もかかった」なんて他人ごとのように枝野氏は言っていますが、長年の努力の成果を一瞬の思いつきでブチ壊したのは、民主党政権でした。

そしていままた3回目のちゃぶ台返しで、鳩山氏に戻ったのですから呆れます。

政府は裁判所の勧告に従って、1年間の「和解」期間を設けて工事をあえて中止してまで話合いをしてきました。

当時、担当大臣だった菅官房長官は、その間毎月のように沖縄に通って翁長氏と膝詰めの話しあいをしてきました。

しかし翁長氏は和解を拒否して上告したあげく、一昨年12月の最高裁判決で「承認撤回」の道を断たれたのです。

方や工事を止めてまで話しあいをしようとする政府、方や自分の言い分が通るまでゴネ続け、最高裁判決が出た後もまだその延長戦をすると言い出す翁長知事、いったいどちらがわがままな横車でしょうか。

その上に立民は県連会長に、なんとあの「ヘイト狩り」で名を馳せた有田芳生氏を起用すると言い出しました。 ため息がでます。

まずは沖縄県連会長という土着的色彩が強い要職に、本土人を当てるという神経がわかりません。 

自民県連が国会議員候補で島尻安伊子氏を出した時に、なんてディスられました。「腐りナイチャー」です。 

気に食わない言説を吐く本土人は必ずそう言われます。島尻さんのように島の人と結婚し土着していても、どこまで行っても島ナイチャーと「区分」され続けます。 

そのくせ、たとえば古くは大江健三郎から始まり、筑紫哲也、金平茂紀、佐藤優などの左翼知識人諸氏は、ナイチャーであってもそれを問う声は聞いたことがありません。 

もし、自民党中央が、県連会長に和田政宗議員あたりを落下傘降下させたら、なんと地元紙や県政与党が言うのか楽しみです。 

「本土政府の県の事情も歴史も知らない押しつけ人事」くらいは可愛いもんで、さすが表だってナイチャー呼ばわりは控えるでしょうが、内輪でなにを言いそうか想像がつきます。 

このような心理的抵抗を押し切ってまで、有田氏のような沖縄とはなんの関わりもなく、特に沖縄を愛しているとも思えない人物を送り込む意味はなんなのか、ちょっと考えてみましょう。

有田氏は党内最左派であるだけでなく、「行動の人」です。彼は在特会との流血の現場で多く目撃されています。 

有田氏が、「反ヘイト」運動において、下の写真に撮られているようなしばき隊という反社会的暴力グループと共に行動している様子は多く目撃されています。 

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有田氏はつながりを否定しているので、それについてはなんとも言えませんが、上品な人であるとはとてもいえないでしょう。

このようなタイプの人物を沖縄県で立憲民主党を人格的に代表する県連会長に送り込む理由は、立民が沖縄を政策で争う場ではなく、「闘争」の場と考え始めているからだと思われます。 

枝野党首はこんなことを言っています。 

「鳩山政権の閣僚の一員だった責任から逃げるつもりはないが、新しい政党として一から議論を進めた結果、辺野古に基地を造らない、普天間飛行場を返還する、日米安保の堅持の三つは併存可能と判断した」と強調した」(琉新前掲)

 なにをいまさら、どの口で言えるのでしょうか。恥ずかしくはないのか、この人は。 

①辺野古に基地を造らない、②普天間飛行場を返還する、③日米安保の堅持の三つを「併存可能」とは笑止です。

バカバカしくて論評する気にもなれませんが、①を阻止すれば、②の普天間が現況で固定化されてしまい、国際合意をやぶった日本は米国から不信の眼で見られるでしょう。

かくて、普天間は固定化され、日米同盟には亀裂が走ることになります。

もし忘れたのなら、枝野氏はただの記憶喪失者ですから、2011年5月25日の記者会見でなんと言っていたのか、思い出していただきましょう。 

記者 「辺野古移設を決めたが実現してない」
枝野官房長官 「理解を得れるよう努力してきた。日米合意は国と国との合意。しっかり対応していく」

 この枝野官房長官とは、立民の枝野党首とは同姓同名の別人でしょうか。

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で、 やましいものだから立民を作ってからも、こう言い訳をするはめになります。 

「米軍基地問題では政権当時から沖縄の皆さんに大きな失望を与えご迷惑をおかけしたことを心からお詫びいたします。その後の安倍政権による強引な基地移設推進などは沖縄の皆さんの苦悩をさらに深めています」(2017年8月27日ツイッター)

 政権の建設が苦悩を深めたのではなく、あなた方民主党政権がガラス細工のような国-県-市の合意を破壊して、再び混迷させてしまったために苦悩が深まったのです。すり替えないでほしい。

 そして今や、先祖帰りして鳩山氏の夢よもう一度というわけですから、節操がないにもほどがあります。 

しかも今回は政権をとる気持ちもないし、政権党でない気楽さからか、いっそう無責任に過激化する気分のようです。 

有田氏がこの過激化する「気分」を受けて沖縄県連会長という華々しい肩書で沖縄に送り込まれた理由は、おそらく沖縄にいる外人部隊との関係強化だと考えられます。

外人部隊と有田氏の間には、その運動的スタンスや政治背景に多くの共通項、あるいは親和性が存在します。 

ひとつだけあげれば、先日委員長が恐喝容疑で逮捕された関西生コンです。 

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関西生コンは、最も長期間にわたって辺野古に常駐者を送り込んでいました。

「カヌー隊で海上抗議行動を連日行なうH(原文は本名)もまた、労組によって本土から派遣されたひとりだ。もともとは大阪の生コン運転手。建設運輸関連の組合から各地の平和・反核運動に動員され、辺野古には昨年は計1か月間、今年は正月開けから8月末まで派遣されているという」
(ニューズウィーク2015年6月30日)

このような関西生コンなどの本土勢力と現地で手を結び、本土と沖縄を結ぶ反差別共同戦線のようなものを作る初代現地闘争本部長が有田氏だと思えます。

かつての民主党は喜納昌吉氏が県連会長でした。

彼のアクの強い運営は毀誉褒貶ありますが、沖縄そのものをどこかで体現している部分がありました。

それに対して立民は、県の内部から会長を立てる力すらなく、沖縄とはなんの関わりもないむき出しの運動家を外から持ってくる・・・、落ちぶれたくはないものです。

 

 

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日曜写真館 秋の気配

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謝花副知事の承認撤回は違法故に無効です

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謝花副知事、とうとうやってしまいましたね。さんざん「オール沖縄」に尻を蹴飛ばされたからでしょうか、またまた承認撤回だそうです。

「県の担当者が31日午後、防衛省沖縄防衛局を訪れて承認撤回を通知した。通知後に県庁で記者会見した謝花喜一郎副知事は、撤回の理由について〈1〉サンゴやジュゴンの環境保全対策に問題がある〈2〉海域に軟弱地盤がある可能性が判明――などと主張した。
謝花氏は「違法状態を放置できない」とも語った。
これに対し、小野寺防衛相は同日夕、防衛省で記者団に「非常に残念だ。必要な法的措置を取る」と述べた。承認撤回で失われた埋め立て工事の法的根拠を回復させるため、政府は近く、撤回処分の執行停止を裁判所に申し立てる。併せて、撤回処分の取り消し訴訟を起こす予定だ。辺野古移設を巡る国と県の訴訟は6件目となる」(読売8月31日)

 またか、といった感じで、これで国と県の訴訟沙汰は6回目となります。いいかげん、こんな政治的な意味しかもたないなまくら弾は撃たないほうがよろしいかと思います。 

行政マンだった謝花氏は、結果なんかとうに分かっていますね。分かっていなければ馬鹿か、行政マン失格です。 

なんどとなく書いてきているのですが、2016年12月20日の県が全面敗訴した最高裁判決で決着はついています。 

経緯をみておきます。 

Photo産経8月31日

 今回の謝花副知事の承認撤回はモーレツに既視感があります。上の年表を見れば、何回同じことをしているのかと私が思ってしまうのが分かるはずです。

訴訟沙汰6回、うち承認拒否が今回で2回目です。

前知事が死去する前まで「辺野古疲れ」という言葉がささやかれていましたが、当然です。

これをもう一ラウンド、8年やるというんですから、なんともかとも。 

そもそも前回翁長知事が、第三者委員会まで作って承認撤回をした理由はなんでしたか。 

今回と同じ環境保全策だったはずです。 

なんだ今回とまったく同じじゃありませんか。 

あの時も第三者委員会というお手盛り機関を使って、仲井真知事時代に承認を審査した元県土木建築課の職員をつるし上げました。 

しかし最後まで、第三者委員会は土木課に対して瑕疵があることを認めさせることはできなかったわけです。 

だって、あると言っているのは活動家だけ。そんなものは専門家から見ればないんですから。

土木課の職員が瑕疵がないと主張したということは、県は瑕疵がないと主張していることを意味します。 

それを翁長氏は、むりやり土木に素人の弁護士による第三者委員会なるものを作ってねじ伏せたのです。

もちろん承認拒否のために人選した、ハナから結論ありきの機関でした。 

職員たちは、個人としてこのヒアリングに望んだわけではありません。あくまでも県の職員として、「県の意見」を述べているのです。

そしてその職員の上長にして、県を代表する行政官は、他ならぬ翁長氏その人です。

「県の意見」を否定しようとする県知事。こんな大笑いな矛盾はめったに見られるものではありません。

なにせ「県の意見」たる職員の陳述を、県の最高責任者自らが否定しているのです。いったい、沖縄県という自治体のガバナンスはどうなっているのでしょうか。

今回も似たようなものです。主管したのは、土木とはまったく関係ない総務部でした。 

「承認撤回に向けて行政手続法にのっとって開催された今月9日の聴聞は、県総務部行政管理課長が中立の立場で聴聞を主宰した」(琉球新8月30日)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-793414.html

 なぜ土木工事案件なのに、当該部局がはずされているのですか。それは土木課が専門性をもった担当官として防衛局と同じ意見だからです。

Photo_2謝花副知事

また、そもそもこのような謝花副知事の承認撤回は、行政官として与えられた職務権限を大きく超えた越権行為で、それこそ「違法行為」そのものです。 

知事不在状況における職務代行者は、なるほど副知事です。 

しかし職務代行者である以上、国との紛争が予想されるような重大案件を決裁することはできません。 

これは「沖縄県事務決裁規程」に明瞭に示されています。
沖縄県事務決裁規程
 

総務部行政管理課が主管しておきながら、こんな決裁規定すら読みもしなかったようです。

呆れたことに沖縄県の行政ガバナンスは、政治的意図で恣意的に解釈できるものなのでしょうか。

なるほど職務代理決裁でも、代行者決済は知事と同じ効力を発生すると書いてあります。 

「第3条 この訓令に基づいてなされた専決及び代理決裁は、知事の決裁と同一の効力を有するものとする」 

しかし謝花氏はそのすぐ後の第4条を読まなかったようです。ここには重大事項については「専決留保」するとはっきり書いてあります。 

重要事項等の専決留保
第4条 専決者(この場合は副知事)は、この訓令の定めるところにより、専決することができる事項であっても、次の各号のいずれかに該当するときは、上司(この場合は知事)の決裁を受けなければならない。この場合において、決裁を求められた者が更に上司の決裁を受ける必要があると認めたときは、その決裁を受けなければならない。

(1) 事案の内容が特に重要であり、上司の指示を受ける必要があると認められるとき。
(2) 取扱上異例に属し、又は重要な先例になると認められるとき。
(3) 疑義若しくは重大な紛争があるとき又は処理の結果重大な紛争を生ずるおそれがあると認められるとき。
(4) あらかじめその処理について、特に上司の指示を受けたものであるとき。

 今回の国を相手とした承認取り消しは明らかに(1)の「事案の内容が特に重要」、あるいは(2)「取り扱い上異例に属し、重要な先例」に該当することは、いうまでもありません。 

そしてそれを執行した結果、(3)「疑義もしくは重大な紛争」が生じたのは、前回の翁長氏がした第1回目の承認撤回紛争でよく分かっているはずです。

最高裁まで行ったような事案は、「重大な案件」そのものです。 

だから職務代行者たる副知事は(4)「上司の指示を受け」る必要があるわけですが、謝花氏の上司たる翁長氏は既に死去して指示を与えることは不可能です。 

このような沖縄県事務決裁規定が存在するのは、行政事案と政治事案を明確に区別せねばならないからです。 

日々処理すべき行政事案を、上長が不在だからと言って滞らせるわけにはいきませんから、職務代行者の部下が処理することはまったく正当な事務処理です。 

しかし、政治的な重大案件は別次元です。

だから、事務規定にはわざわざ「重大事項専決留保」条項を設けて、勝手に代行者が決めるのは留保しろと書いてあるのです。 

それは選挙によって選ばれた政治家がするべき「政治的案件」だからです。 

百歩譲って翁長氏が存命で、複数の公人の前で、副知事に対して「これこれをしてくれ」と依頼したならば、まだ合法性が担保されるでしょう。 

いやその翁長氏ですら、政権末期に重大政治案件を実施することは明文化されていませんが、ルール違反です。 

政権末期には大事なことは決定しません。もし自分以外の人物が知事に就いた場合、新政権を拘束してしまうからです。 

ましておや、副知事なら言うも愚かです。

翁長氏は死去と同時に知事を失職したわけで、謝花氏は現況で上司不在な状態です。

したがって、謝花氏の承認撤回は沖縄県事務決裁規定のすべての項目に反する違法行為です。 

さて、このような謝花氏がどうしてこの知事選直前にこんなことをやりだしたのか、理解に苦しみます。

承認撤回を争点にしたいのでしょうが、ならば今月末の知事選の結果を待って、次期知事がすればよいことです。

こんな駆け込みで、その上に職務権限違反が濃厚な副知事がする必要はありません。

国もその間、土砂投入工事はしないと言っている以上、急ぐ理由がわかりません。

仮にデニー氏が勝利すれば、彼が新知事としてやればいいだけのことです。

考えてみれば、むしろ今回の承認取り消しは、国にとってはラッキーな暴走だったかもしれません。

違法にされた行政措置は無効だからです。

違法を承知で職務代行者がした場合、国は直ちに訴訟に持ち込み、確実にその事務規定違反を突けるからです。

結果、最高裁判例とこの事務規定違反の二つの理由で、デニー「新知事」は登場早々に敗訴してしまいます。2回敗訴した場合、3回目はもはや冗談です。

その場合、デニー新知事は「万策尽きたから、妻と座り込む」のでしょうか。知事が運動家と同じことしてどうするのか、なんて言っても無駄でしょうね。

就任早々、「伝家の宝刀」のはずがとんだ竹光だったことがバレてしまいそうなデニー氏。進むも地獄、退くも地獄のようです。 

※謝辞 沖縄県行政規定については、篠原章氏のご教示を頂戴いたしました。感謝いたします。http://hi-hyou.com/archives/7824

 

 

 

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