スポーツ競技団体が人治を止めないかぎりなんどでもパワハラは起きます
まぁ、よく次から次にと出てくるもんです。相撲協会から始まり日大アメフト、ボクシング協会、そして今回の体操協会まで、類似したパワハラで揺れています。
昼飯を食べながらテレビなんぞつけると、もう塚原女史の暑苦しい顔がどの局にも登場したかと思えば、夕方には宮川選手の元コーチ会見をどの局も同時中継しています。
右向け右がメディアの習性とはいえ、報じられる情報はどこも一緒なので食傷気味だなぁ。
さて体操協会のパワハラ問題は、いろいろな切り分けができるでしょう。
まず例によって例の如くですが、危機管理の初動の失敗です。
今回名前が上がったスポーツ団体に共通しているのは、メディアが砲列を敷いているのに、それを危機だと思わなかったという致命的鈍さです。
塚本光男氏はおっかけ取材された時に言った、「全部ウソ」のひとことが命取りでした。
いい歳なんだから、少しは考えてからモノを言えと思います。
塚本氏はペーパーで釈明する気だったので、とっさに浮かんだ言葉を口にしたていどだったのでしょうが、生憎とそれが本音だったようですからなおのこと始末が悪い。
いうまでもありませんが、宮川選手の告発会見もすべてが真実だとは限らないわけで、双方の申し立てる事実の突き合わせが必要です。
https://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/sports/w
しかし、その突き合わせ前に「お前の言っているのは全部ウソ」とやってしまったら、話にもなりません。
これは宮川選手との対話拒否と同じです。 しかも孫のような歳の選手にですから、おいおいです。
そのうえ後から塚原側が出した録音テープなど、前後が切られていてなんの証拠にもならないばかりか、かえって心証を悪くしました。
やればやるほど事態を悪化させるのを見て、私は体操協会には塚原夫妻に助言してやる人がいないのかと思ったもんです。
メディア、特にワイドショーはハナから塚原夫妻を内田、中根両氏に続くパワハラ悪代官と決めつけて、その立場から報じているのですから、どんな言い訳も彼らに好餌を与えるようなものです。
対応するなら、協会がいったん引き取って、オフィシャルにせねばなりません。
日大アメフトの内田前監督の場合もそうでしたが、事実認定される前から個人的に会見を開いて、「ラフプレーは指示していない」と、選手の発言を全否定することから始めてしまっています。
後に事実が発覚すると、パワハラ+虚偽発言で二重に悪いことになってしまいました。
とどのつつまり日大は、関東学生連盟や自分たちが立ち上げた第三者委員会から虚偽認定され、解体的出直しを迫られました。
やくざもどき(というかホンモノだったようですが)ボス支配にあったボクシング連盟は、まだ第三者委員すら立ち上げられず、混迷の淵を泳いでいます。
http://bunshun.jp/articles/-/8412
ですから事件の初動において、公的機関の性格を持っている相撲協会、ボクシング協会、体操協会がやるべきことは、会長当事者の恣意的発言ではありません。
いやむしろ、協会は当事者たる中根氏や塚原氏を黙らせるべきでした。
団体はメディアに対して、「全部ウソ」とか「指示していない」「オレがメダルを取らせてやった」といった指導者の個人的感想を封じて、「協会が事実認定するための第三者委員会を可及的速やかに設置するから、その報告を待ってくれ」と言うべきだったのです。
実はあまり知られていないようですが、第三者委員会とは、大変に恐ろしい組織なのです。
なにせ検察官のように捜査し告発する権限と、裁判官のように判決を下すというオールマイティな権限を併せ持つからで、しかも人選次第では弁護人ぬき裁判もどきすら可能だからです。
だからこそ、自らが起こした不祥事に対して第三者委員会を設置することの重みが社会的に認知されているのです。
そうせずにグダグダと特濃キャラ揃いのボスたちが、スポークスマンをそっちのけでしゃべり散らし、ワイドショーの標的になってしまうようだからダメなのです。
あ、そうかスポークスマンなんて近代的なものなんかなかったんでしたっけ(苦笑)。
塚本夫妻がさんざんネガキャン張られた後になって、「直接会って謝罪したい」なんて言っても、なにを今さらと思われて当然です。
ではどうして、どこもかしこもこのような拙劣な対応になるのでしょうか。
https://thepage.jp/detail/20180524-00000007-wordle...
相撲協会、日大アメフト、ボクシング協会、体操協会、すべてに共通するのはその「人治」的体質です。
これらのスポーツ組織は、一部のボス人脈が権力を独占しており、外部の人が執行部に参画できません。
相撲協会ならばかつての横綱、体操協会ではかつてのゴールドメダリストといった名選手が、当然のように協会トップに上り詰め、当然のようにその人脈で固めてしまいます。
そしてこれまた当然のように、強大なパワーを獲得し、自らの利益誘導など朝飯前です。
スポーツ界に特有なのは、強烈な「同じ釜の飯」意識です。
旧帝国陸軍よろしく一年後輩というだけで先輩のパンツを洗い、コンビニに走り、試合で失敗すれば容赦ないビンタが待っています。
それがチームを強くしていることもあるでしょうが、このよその世界では見られないような異常に強い先輩・後輩意識から人脈が形成されます。
まして現役時代に名選手ともなれば、絶対的権威を持って組織を牛耳ることが可能です。
日大の内田氏やボクシング協会の山根氏が典型的だったように、「自分がルール」であるという属人的体質で団体を運営できてしまいます。
このような「ボスがルールブック」という人治体質があらたまらないかぎり、なんどでも同じようなパワハラ事件は起きます。
これが淀んだ協会の体質を醸成し、そこに恣意的指導、判定疑惑、利益誘導が生じてもなんの不思議もありません。
それを問題視する周囲の幹部は皆無に等しく、ほとんどがボスが登用した人たちで固められているからてす。
では、解決するにはどうしたらいいのでしょうか。たぶんひとつしかないでしょう。
名選手をボスに戴く閉鎖的集団から、普通のルールを大事にする団体になることです。
そのためには、自己解決能力が欠落した役員会をいったん解体して、外部の血を入れることです。
副会長、常任理事などの役職の半分を、外部から招致する必要があります。
といっても別にたいしたことではなく、大手の企業はとっくにコンプライアンス保全のためにしていることで、スポーツ団体の体質改善が遅れきっているだけです。
残念ながらこんなていどの改革すら、今のスポーツ競技団体は自らの力でなし得ないと思われます。
こういう時こそ、昼行灯だったスポーツ庁の出番です。文科省、接待にうつつを抜かしていないで、たまには仕事をしなさい。
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体操ニッポンの黄金期を築いたお一人だけに、こういう叩かれ方は切ないです。
加藤、監物、笠松、中山そして塚原光男さんですからね。
月面宙返り(ムーンサルト)の開発者で金メダリストである塚原さんが
このような話題で再び脚光を浴びようとは夢にも思いませんでした。
ただ権力に胡坐をかいていたことはどうやら事実のようなので
この点に関しては猛省の上、出処進退を明らかにしてほしいところです。
ご自分のかつての栄光を汚さないためにも。
それにしてもマスコミの報じ方には一言も二言もありますね。
管理人さんも書かれていますが、本当に見事な横並びで
「まるで赤信号みんなで渡れば怖くない」を実践するかのよう。
また扱うニュースの優先順位も首をかしげたくなるばかりで
ひるおび!に至っては台風情報そっちのけで
体操スキャンダルを延々と報じており、この人たちは人の生き死により
スキャンダルのほうが大事なんだとほとほと呆れ返りました。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2018年9月 6日 (木) 13時29分
根本は儒教の影響だと思います。巷で筋肉バカと言われ
る体育会系は、江戸時代の士・百姓(農工商・・)の身分
制を今に引き継いでいます。直接は旧帝国陸海軍から、
大本はその母体となった薩長の農民兵からです。幕末の
徳川との大戦争にあたり、兵不足から農民の次男三男を
西洋式の近代的な兵士として徴用するというアレです。
武士というエリートが、多くが田畑を持てない水呑百姓
になるような人材を、正規職業兵として一人前になるま
で指導するのですから、そらビンタなんてまだ可愛いい
もんで、そら強烈なシゴキだったろうとは想像できます。
(絶対服従で、命令違反は切り捨てゴメンなんて)
上位の者が底辺層の者をシゴクのは儒教的には素晴らし
いことで、感謝の気持ちで応えるのは当然、師ですから。
さらに、組織なので儒教的に年功序列で、上位者からは
組織的にガンジガラメで服従のプレッシャーを受けます。
いつも韓国が抗議!として座り込んだりしてヒンシュクを
かっていますが、アレなんて最強儒教国では上から言
われたら最後、下々は座り込まないと干されるから頑張っ
ているのだと思いますわ。日本は半儒教国なので、そこ
までする程の教養が無くて良かった。
サービス残業やサービス休日出勤ではもう日本の産業が
伸びないように、もうシゴキでは選手達も伸びません。イヤ
になって、ヤル気が失せるからです。
スポーツ界でも脱亜入欧で、個人ベースでのスポーツ活動
として欲しい。文科省含む霞が関は一回ツブした方がいい
です、明治維新以後150年ずっと旧来の官尊民卑ですから。
行政の中枢が儒教に染まっていては、ドーしようもないです
わ。
投稿: アホンダラ1号 | 2018年9月 6日 (木) 23時23分
私の住んでいるところは、新興住宅街なので隣近所の付き合いも濃くなく、自治会も比較的みんなの意見を吸い上げやすく逆にトラブルは少ない。
自治会連合会の会合には、雑多なな自治会が出席していますが、土着の自治会の会長ほどワンマンですね。
その様な地域は古くからの血縁関係が濃いので、長老などが幅を利かす人治社会です。その様な社会にはよそ者は入れないし、入る人も居ない。若い人たちは面倒くさい人間関係を嫌って出ていく。高齢化の波が押し寄せています。でも伝統を守りながらも新しい人たちも増えている自治体もある。結局はリーダー次第でしょう。
リーダーになる人には、バランス感覚と私欲を抑える自制心が必要です。伝統を守りつつ時代の変化にも対応する。
そもそも、狭いコミュニティーに籠っていると時代の変化も感じなくなる。何百年と続いた企業もリーダー次第であっという間に危機に直面する。
アホンダラ1号さんが仰る官僚社会。農地解放、財閥解体などの改革をやったGHQでさえ官僚社会にメスを入れることは出来ませんでした。
ただ、明治維新から現在まで日本国に命を捧げたリーダーや官僚もいた。少なくとも私欲よりも公を優先したリーダーや官僚もいた。その人たちが今の日本を築いた。平和で豊かな時代にはそのような人材は疎ましいのでしょうね。日本全体が茹でガエル状態の日本にあって、安倍総理にはきらりと光るのを感じます。
茹でガエルの社会では孤軍奮闘しても潰されます。
志を同じくする人が必要です。今の安倍政権は人材にも恵まれています。話が脱線しました。
投稿: karakuchi | 2018年9月 7日 (金) 02時18分
蛇足ですが。
ワンマンにも良いワンマンと悪いワンマンがいます。
良かったのか悪かったのか。それは歴史が評価します。
投稿: karakuchi | 2018年9月 7日 (金) 02時24分
日米安保条約を推進した岸元総理は、日本中に吹き荒れる安保反対の中、私の決断が正しいのか間違っているのか、それは50年後に分かる。と発言されたそうです。
自分のやっていることが100パーセント正しいとは思わないが、リーダーとしてベストではないがベターな決断をしたと思います。
投稿: karakuchi | 2018年9月 7日 (金) 02時40分