デニーさん、普天間基地をどうするつもりですか?
もし私がテニー氏に聞くチャンスがあれば、いくつかお聞きしたいことがあります。
いえ、なんのシンプルなことです。隠し子かどうしたとか、政党助成金疑惑がどうのとかいうようなスキャンダル絡みのことではありません。
隠し子については双方否定していることですし、沖縄芸能界にいたデニー氏がそのようなことのひとつやふたつあっても、それはしょせんいい歳をした大人の下半身の話です。
政治資金規正法違反疑惑については、法に抵触することですから答えて貰わねばなりませんが、記載漏れは保革をとわず、こういう言い方はナンですが、よくあることです。
私が聞きたいのは、基地問題が焦点だと言う以上、どうしても答えてもらわねばならないことです。
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20160408001
デニー氏は知事に当選したら、今目の前にある普天間飛行場をどうするつもりですか?
普天間飛行場をどうするのか、という議論の出発点をあいまいにしたまま、行く先だけを言うのはおかしくはありませんか。
今、そこにある住民の危険と、ジュゴンの住処がなくなるなんてことを比べること自体がちょっと変なのです。
人間の危険と、メディアが眼を皿にして探してやっとわずか2頭回遊に来ることが確認されたジュゴンを同列に並べること自体が間違いです。
つまり本来、「普天間飛行場を撤去する」ということと、「辺野古移設」はワンセットのテーマのはずなのです。 撤去するから写るのです。ありりまえですね。
子供でもわかる理屈で、撤去できなければ移るも移らないもないのです。
前者があるから後者があるのであって、移転が反対ならそのまま普天間飛行場が半永久的に市街地にあっていいということになりかねません。
実は翁長氏は、知事在任中にこの矛盾した問いに答えようとしませんでした。
翁長氏は移設問題のプロセスを稲嶺元知事と一緒に表も裏も知り尽くした政治家でしたから、辺野古になった経緯もよく知っていたはずです。
辺野古は20箇所の候補地がことごとくボツになって、消去法で決まったにすぎません。
決まった後も名護市とえんえんと協議をして、その主張を丸呑みしています。
地上でなく海上に、滑走路が2本なんて変な形なのも、市の要望に沿ったからです。
デニー氏が移転反対について「翁長氏の遺志を受け継ぐ」というのはけっこうですが、それはあくまでも「移転先に反対だ」ということでしかありません。
ならば、今、市街地のど真ん中にある普天間飛行場はどうするのでしょう?
移設反対はけっこうですが、ではズっとこのままで市街地にいるのが望ましいということでしょうか?
もちろん違うはずで、デニー氏はこう答えています。
「応援にかけつけた「オール沖縄」の玉城デニー県知事候補は普天間第二小学校の避難誘導員が廃止されたことを受け、「子どもたちを避難させるのかどうか学校で判断しろと。これだけ人の命を軽視している国がどこにあるのか。普天間基地は閉鎖・返還しか道がないことを改めて国に対して、ナカニシさんと玉城デニーが物を言っていきたい」と訴えました。参加した女性(50)は「子どもたちの命を守るというナカニシさんの強い思いに感銘を受けました。普天間の即時閉鎖・返還のためにデニーさんとともに勝利したい」と話しました」
しんぶん「赤旗」(9月24日)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-09-24/2018092401_02_1.html
普天間2小については、宜野湾くれない丸さんの詳細な調査記事があるので、ぜひお読み下さい。
デニー氏が言うように、「国が人の命を軽視している」わけではないのが分かるはずです。
※関連記事
「宜野湾くれない丸氏寄稿 なぜ普天間2小は1ミリも動かなかったのか 」その1~その3
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-9e31-1.html
「辺野古移設と普天間2小問題をリンクさせるな 」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/2-d72c.html
それはさておき私がお聞きしたいのは、デニー氏が共産党と一緒に安易に口にしている「普天間の即時閉鎖・返還」した場合、デニーさんあなたはその結果を知事として背負えるのですか、ということです。
なぜなら、辺野古移設がデニー陣営の主張どおり見事に阻止された場合、日米がこの20年ちかく延々と協議して推進してきたSACO合意は廃棄されて振り出しに戻るからです。
外務省「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告」(1996年12月2日)
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/73824
デニー氏は、ぜひ一度この普天間飛行場の移設問題のきっかけとなったこの最終報告書をお読みになることをお勧めします。
そこにはこうあります。
「両政府は、SACO中間報告を踏まえ、普天間飛行場の重要な軍事的機能及び能力を維持しつつ、同飛行場の返還及び同飛行場に所在する部隊・装備等の沖縄県における他の米軍施設及び区域への移転について適切な方策を決定するための作業を行ってきた」(前掲)
ここには「重要な基地機能を維持しつつ」移転を進めるとあります。
おそらくこの部分を鳩山元首相はすっ飛ばして「国外、最低でも県外」とやってしまったわけです。
鳩山氏の言うように、「国外」というのは日本から米軍基地は出て行けということで、それは日米同盟の廃棄と同じことを意味します。
端的にそれは、日本の独自軍事力の増強へとつながるでしょう。
日本は安全保障政策を根底から再構築せねばならなくなり、9条改憲どころではなく、日本の軍事大国化の扉を開けることになるからです。
また「県外移設」をしたら、海兵隊基地として軍事的機能が維持できなくなります。
海兵隊が航空機を使って緊急対応する部隊な以上、航空基地は絶対にキャンプのそばに隣接する必要があるからです。
現実にも 県外といっても徳之島や馬毛島か候補に登ったていどで、実現性はゼロでした。
「国外」はおろか「県外」も無理だとわかったから、旧民主党時代に元の辺野古に逆戻りしたのではなかったのでしょうか。
その時のみっともない迷走ぶりを、デニー氏は当時の民主党員としてよくご存じのはずですが、都合よくお忘れでしょうか。
ですから、デニー陣営の主張どおりに「普天間飛行場の閉鎖・返還」が実現した場合、SACO合意は日本側からの申し出で廃棄されたと米国は解釈します。
その結果、日本側から言い出して移設を要請し移設先が決まったも関わらず、日本側の自己都合で取り止めたわけですから、移設自体が完全に白紙に戻ったと解釈するのは当然すぎるほど当然です。
デニーさん、しっかり眼を開けて冷厳な現実を見て下さい。
どうなりましたか。普天間飛行場は「即時閉鎖・移設」どころか、日米同盟が続く限り宜野湾市のど真ん中に鎮座することになりました。
しかし20年前と決定的に違うことがひとつだけあります。
それは普天間飛行場の移設交渉が二度と開かれることがない、ということです。
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コメント
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「あなたの闘志を忘れない~」「翁長知事の意思~」「翁長知事の後継~」のぼりやらポスターやら県内各地の交差点のお年寄り、明るい声の街宣カーやら、いま沖縄では翁長武志の亡霊が全域に絶賛蔓延中で身の毛がよだちます。このままでは投票用紙に「翁長たけし」と書く県民が多くなりそうな勢いでこわいです。
自分を捨てた父親への復讐を反米でしようとする程度の人間にしか見えないデニーに管理人さんの声が届く時があれば記事文末の後のことになるのでしょうか。
週末台風の予報がありますので期日前に家族で行ってきました。沖縄の未来は県民が決める!
投稿: ナビー@沖縄市 | 2018年9月26日 (水) 12時59分
≫最後の「普天間飛行場の移設交渉は二度と開かれることがない」は、二重三重に意味を成してます。
安倍政権のうちに普天間移転を確実にしておかないと、今後、たとえ県民のための危険性除去のためにであっても汗をかく政権がなくなるだろう事が危惧されます。
仮に石破が総理になっていたら、普天間の移転は半永久的に実現されなかったでしょう。
ここで安倍さんにやってもらわなければ、だれも今後の「沖縄の基地負担軽減」などやろうとする政治家がいなくなる。
「沖縄の基地問題に関わろうものなら、自分の政治的資産を食いつぶされるだけ」。弱体政権なら、必ずこう考える。
県民はちゃんと考えて答えを出してほしい。
選挙情勢は緊迫してますが、佐喜眞氏はさらにデニー氏に肉薄している由です。
そのうち選挙プランナーの三浦博史氏あたりから、「佐喜眞逆転か?」の論評が出るのではないかと期待してます。しかし、天気が心配です。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年9月26日 (水) 20時40分
今日のフロント記事を読み、SACO合意について、感慨深いものがあります。着々と進んではいるのです。大したものです。ずいぶん遅い進み具合ですが、具体的に進んでいるのです。
佐喜眞候補がSACOのことについて言及していました。先の討論会でデニ-氏はこれについてどのように言ったのかは失念しましたが、彼の脳裏にSACO合意がどのように映っているのか? 選挙戦勝利だけが頭の中にあるとすれば大変に憂慮すべきことです。
普天間即時閉鎖を唱えるぐらいの頭しかないので、SACO合意のことなど深く考えてはいないのかもしれません。そうであれば、政治家として失格です。翁長前知事だってSACO合意をどう見ていたのか怪しいものです。政府へのうらみつらみだけが彼の脳裏にはあったのでしょう。
こんな人物たちでも知事選に立候補し当選したりするのですから、民主主義体制下の選挙制度の恐ろしさを感じざるを得ません。そうであれば、選挙戦を実際に戦っておられる山路さんのような方々には敬意を表しなければなりませんね。また、少しでもいいから選挙協力をすべきだと思いますので、自分としても街宣活動ができるように努力をしてみますね。
投稿: ueyonabaru | 2018年9月26日 (水) 21時38分
告知ですいません。
「さきま淳候補&小泉進次郎氏の演説会」が下記で開催されます。
9月27日(木曜日)午後1時30分〜
イオンタウン那覇(小禄ジャスコ)にて。
投稿: 告知ですいません。 | 2018年9月26日 (水) 21時42分
ueyonabaruさん
菅官房長官は佐喜眞候補への応援演説の中で、「佐喜眞候補は西普天間住宅跡地返還へ大変尽力された」という事を力説されてました。この意味するところは、ブログ主様が本文で触れられていることの「証明」です。つまり、この4年間「辺野古阻止」一辺倒だった翁長県政は、SACO合意を「破棄」したものにも等しい状態を続けていたわけです。そのような状況下で米国より「西普天間住宅跡地」の返還を勝ち得たことは「佐喜眞候補の尽力があったからこそだ」という趣旨です。返還を勝ち取ったわけですが、自らの母校である普天間高校の返還地への移転は実現しませんでした。最も当初より県は、高校の移転については難色を示してました。理由は「財政上の理由」です。県と市との連携不足との報道もされてましたし、一時は「頓挫」の報道もされました。穿った見方かもしれませんが私は一連の報道を耳にしながら「翁長知事は佐喜眞市長へ嫌がらせをしているんじゃないのか?」とも思ったくらいです。無かった、とは言えないでしょう。このような流れを見る限りでは。
ともあれ、玉城デニー候補よ、辺野古阻止は分かりました。であるのであれば「宜野湾市民98,256人の安全を今後どのように担保するのかあなたのお考えを述べて下さい」考えのひとつや二つはあるのが政治家というものです。
投稿: 宜野湾くれない丸 | 2018年9月26日 (水) 23時42分
「告知ですいません」さん。このような掲示板のような入れ方はマナー違反です。止めて下さい。
投稿: 管理人 | 2018年9月27日 (木) 03時26分