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2018年9月18日 (火)

北電薄氷の電力供給 電力なき地方創生はありえない

002

 

北電が苫東厚真火力発電所1号機を前倒しして再稼働するそうです。 

「18日にも苫東厚真火力発電所1号機(北海道厚真町)が再稼働すれば、北海道電力の供給力が需要を下回りかねない異常事態はひとまず解消される。
ただ、寒くなるにつれて
暖房需要が大幅に増える一方、当初の危機感の薄れに伴い、道内の節電ムードは緩み気味。40年の耐用年数を超えて稼働させる老朽化火力も半数を超えており、綱渡りの状況は続く。 北電が同1号機を当初予定より半月近く前倒しして復旧させるのは、供給力が地震前日の5日に記録したピーク需要の383万キロワットに満たず、水力発電などをフル稼働させても安定供給を期待できないためだ」(毎日9月17日)
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0918m040098/

この毎日の記事でも触れていますが、これから急速に冬に向かう北海道において薄氷の電力供給体制が続くのは目に見えています。 

 

現在、北電が目標としているのは地震前日の9月8日のピーク需要の383万キロワットですので、ブラックアウト直前時にまで復旧するにすぎません。 

 

それすら現状ではままならないのが現状です。

 

 

 

Photo北電HP 本日の電力使用状況http://denkiyoho.hepco.co.jp/area_forecast.html 

 

問題はその先です。秋から冬にかけての北電管内の最大需要電力量(2017年10月〜12月)を見てみます。 

 

北電H P北海道エリアの需給実績http://www.hepco.co.jp/energy/recyclable_energy/fixedprice_purchase/supply_demand_results.html 
・400万キロワット超が発生した期間・・・10月6日間
                                                     11月14日間
                                                     12月4日間
・450万キロワット超                      ・・・11月5日間
                                                     12月25日間
・500万キロワット超                           12月2日間

 

3
10月から12月にかけて、一気に北海道は寒冷期に突入するわけですが、去年実績では10月に連日300万キロワット超を推移し、6日間は400万kキロワットを超える需要がありました。 

 

本格的冬季の11月、12月を待たずして10月で既に供給力はパンクしています。 

 

つまり、「復旧した」というのは、あくまでも地震前の状態にかろうじて戻したにすぎないわけです。 

 

その需給ギャップを毎日新聞(9月15日)がグラフにまとめていますので、引用させていただきます。 

 

2毎日新聞9月15日https://mainichi.jp/articles/20180915/ddm/002/040/119000c 

 

ではどうするのかといえば、苫東厚真火力の復旧を急がせながら、老朽化した火力をフル稼働するしかありません。

 

ところが、この老朽火力があてにならないのです。いままで止めていたのを再稼働させていたために、電力マンの必死の努力にかかわらず稼働が不安定です。

 

先日の9月11日に、音別火力2号機が緊急停止しました。それ以前に1号機も故障して、修理して再稼働しています。 

 

ひとつを直しながら、ひとつを動かしているわけで、まさに綱渡りです。

 

Photo_2

「北海道電力は11日、音別火力発電所2号機(釧路市、出力7.4万キロワット)で、ガスタービンが激しく振動するトラブルがあり、緊急停止したと明らかにした。不具合で停止していた同発電所1号機(7.4万キロワット)が修理を終えて同日に再稼働しており、節電目標や検討中の計画停電への影響はないという」(毎日9月11日)
https://mainichi.jp/articles/20180912/k00/00m/020/054000c

熱中症で多くの人が亡くなった夏期と並んで、厳冬期における電気はライフラインの中で最重要に位置づけられます。

 

説明はいらないでしょうが、厳冬期の電力喪失は即凍死につながりかねないからです。 

 

失礼ながら、凍死の危険性を押してまで北海道観光をする人はいないでしょうし、たびたひ停電するような土地に進出する企業も稀だと思われます。 

 

ところが北海道はニセコなどが典型的ですが、冬季こそがかき入れ時で、外国人のスキー客があふれかえる時期なのです。 

 

すでに日本旅館協会北海道支部連合会によると、50万人の宿泊キャンセルによる影響額は100億円に達しているそうです。 

 

このまま電力供給が薄氷状態ならば、考えたくもない経済損失、いや生命の損失すら招きかねません。 

 

よくメディアは、今こそ北海道観光に行こうと正論を吐いていますが、ならばなぜこのような深刻な構造的電力不足が生じたのか、その原因にまで遡って考えるべきです。 

 

今たけなわの総裁選において、地方創生を安倍氏が熱心でないと石破氏が批判していましたが、一面当たっています。 

 

安倍氏は、北海道の電力供給の主力であった泊原発を停止させたまま、電力自由化を進めるという愚作を進めてしまいました。 

 

よく安倍氏を原発推進派と言う人がいますが、まったくの間違いです。

 

彼は原発について明確な意志を表明したことはありません。規制委員会に丸投げしたきりです。

 

したがって、安倍氏はこと原発問題においては、臆病すぎるほど臆病に民主党が作ったムード的反原発路線の上を走っていただけのことなのです。 

 

結果、「規制委員会による判断」を優先させ、全原発停止後7年もたってもわずかの再稼働しか許されない状況を作ってしまいました。 

 

その上に、構造改革しなくてもいい電力分野に手を入れ、発送電分離を進めました。 

 

規制緩和のメニューには、やって当然の獣医学部新設などがある一方で、しなくていい電力改革も同居しています。

 

北電においては、原子力の依存率が関西電力に次いで高い44%だったために、この泊原発停止の影響をまともに受けました。

 

何回か書いてきているように、今回の大停電の原因は、泊が停止して苫東厚真火力の一本足打法になっていたところに、地震で苫東厚真がダウンしたために発生しました。

 

泊がいつ動くか分かりませんが、この構造的電力不足が解決されないまま、2020年には北電などの大手電力会社は発送電分離を開始します。

 

電力は常に、発電所の停止や需要の急増に備えて予備率を充分に持っていなければなりません。 

 

そのことを「冗長性」と呼びますが、電力自由化以前にはそれは電力会社の義務でした。 

 

冗長性とは、システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように、予備装置を平常時からバックアップしておくことです。
※参考資料 千田卓二など「電力システムのレジリエンスに関する一考察」https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsjc/2013/0/2013_175/_pdf

 

ところが電力会社は発送電分離によって、従来の厳しい供給義務から自由になります。

 

よく電力会社が独占企業だという人がいますが、それは発送電を単一企業に委託する代わりに、電力の安定供給義務を負わしたためです。

 

そのために電力会社は、通常の企業ならとっくに廃棄するような老朽火力も、いざという時のための予備電力としてキープし続けてきたわけですが、そのいざという時がほんとうに来てしまったのが、今回の事態でした。

 

このように電力供給の冗長性は安定供給のために必ず必要でしたが、今後ただの経営判断の問題にすり替わってしまうのかどうか、不透明です。 

 

となると冗長性の維持は厳しい経営を続けている北電にとって、経営負担を増すだけの存在となりかねません。 

 

たとえば、北電は電力供給の冗長性確保のために巨費を投じて石狩湾新港LNG 火力1号機を建設していますが、1号機だけは予定どおり2019年操業開始するとしても、2号機、3号機は企業の自由選択の対象となります。

 

音別火力などの老朽発電所はとっくに操業するだけで赤字なのですから、整理廃止の対象となるでしょう。 

 

北電がどのように判断するのかわかりませんが、それ以前に政府が地域の電力供給に全面的な支援を与えるべきです。

 

電力なき地域は滅びます。

 

企業が去り、人が散り、村が潰れ、街が寂れ、そのような地域には企業も観光客もやってきません。

 

地域の滅びのスパイラルの開始です。北海道はその負のらせん階段の淵に立っています。

 

北海道において、地方創生は単なる街興しではなく、すぐれて電力供給の問題なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

すでに北海道民はブラックアウトのことなど忘れ去り、平常運転に戻りつつあります。
喉元過ぎれば熱さ忘れる。
今回はたまたま運が良かっただけで、冬に再びブラックアウトが起こらない保証など無いというのに。

もし、冬にブラックアウトが起きた場合、凍死も恐ろしいですが、それ以上に一酸化炭素中毒により多くの方々が亡くなると予想されます。
今回の件で、道民は「電気が無ければ暖房も動かない」と危機感を持ち、灯油ストーブを買いに走りました。
しかし、灯油ストーブは密閉した室内でつけっぱなしにすると、不完全燃焼により一酸化炭素が発生します。
また、暖をとるために車に避難して暖房をつけていた場合でも、密閉した車庫内だったり、マフラーが雪で埋まった状態になったりした場合も同様です。

今回はなんだかんだで復旧が早かったですが、雪の積もった状態では、今回よりも復旧に時間がかかります。
被害は数百億円程度では済まないでしょう。
そこまでならないと電力の安定供給の重要性を理解できないなら、あとは実際にそうなってもらうしか方法は無いように思います。
百聞は一見にしかず。
そんな一見の前に、百聞で気づいてほしいのですが。

エントランスさん。
とにかくご無事でなによりです。

この冬の電力供給は、かなりヤバイですね。
7年前の震災を期に自家発電機を買った方も多いでしょうが、換気の問題があります。既に高気密住宅での被害が出ていますね。。
北海道ならFF式石油ストーブが定番でしょうけど、制御用の電気が止まれば動きません!
真冬の北海道となれば生死に直結します!


参考までにですが、7年半前の東北震災では・・・
私は仮眠中でしたが、尋常ではない揺れに飛び起きて、間もなくテレビも電気も消えました。
たまたま家はプロパンガスだったので「調理火熱は確保。
家の中を見て回って「多きな被害無し」。外に出て「「あちゃー、家の外壁にはヒビ」。「ブロック塀が一分倒壊」でした。
んで、あ、カシオの2インチテレビ(アナログ)を思い出してつけてW「あっアアー、仙台空港が波に飲まれる瞬間でしたよ!」
うん、寒い! でも、とりあえず風呂は満タンに。
たまたまかつての2000問題対策で安物を買っておいた、納戸にしまいっぱだっあた反射式ストーブが焼くに立ちました。台所に置いて親父さまとローロクの明かりで晩飯作って凌ぐ。
私はたまたま高校時代の3シーズンタイプの寝袋を持っていたので、さっさと寝ながらケータイで細々と補足。
翌朝には寝不足のなかで近場を偵察に。
カチコチに冷えた放射冷却の中で信号も消えてました。
缶詰はかかせません、多少は役に立つのではないかと!
そんなに本格的な災害対策はしていないんだけど・・・

> 山形さん

ありがとうございます。

我が家も例に漏れず、灯油ストーブを急遽買いました。
今回は災害への備えという意味では、良い教訓になりました。
今までほとんど備えらしい備えはしていませんでしたが、これを機に食料と水くらいは、物置に準備しておこうかと。

お二方。電気がテーマなんですぞ(泣く)。
エントランスさん、大変ですががんばって下さい。

北海道の話からはそれてしまって申し訳ありません。
数ヶ月前に久しぶりに旧知の四国電力の中堅社員に会ったので「伊方原発が不合理極まりない理由で停止を余儀なくされたがどう思うか?」と聞いたところ、彼は投げやりなあきらめたような口調で「もう伊方原発の件はいいのです。私たちは福島第一原発の事故後の数年に渡る伊方原発停止のおかげで年収で言えば100万円以上減額されてそれでもがんばってきたのですが、誰も分かってくれませんでした。日本でやるべきではない発送電分離が実施されます。私たち電力会社はこれまで必死で努力して30年以上も電気料金値上げせずにがんばってきたのに福島第一原発の事故で東電だけでなく全電力会社が悪というレッテルを貼られて私個人も近所から白い目で見られるようになりました。今後分離される送電会社がどうなるかは知りませんが、間違いなくこれまでのようにコストをかけた丁寧な保全作業はしなくなるはずだから停電の頻度は非常に高くなると思います。しかしこれは日本国民の選択なのだから電力会社に責任は一切ありませんよ。」と言っていました。私は返す言葉がありませんでした

乳腺炎の牛達の記事が載る農業新聞が配達される時刻、東京でも明けがた20度以下になる日が増えています。日常を立て直している間にあっという間に冬が来るはず。
泊原発再稼働は直ちにはありえないとの政府コメントでしたが、実際のところ審査以外にどれくらい稼働にかかるのかくらい報じるメディアがあってもいいと思いつつ検索してみました。
三橋貴明氏のブログに電力会社員からの聞き取りで「原発再稼働には1ヶ月」というのを見つけました。もう少しソースを探しますが、10月中には無理でも12月頭に間に合えば、豪雪が吹きすさぶ1.2月には安心して冬を越せるのにと思います。

 原発を終わりにするなんて最初から「無いモノ強請り」ですよ。
 産油国すら原発を新設しようとする昨今、放射脳よ同じ妄想を抱くのは虚しいだけです。

KYさんって出禁食らったはずですよね。
何で書き込んでいるのやら。。正にKYの本領発揮か(笑)
で、今更原発推進ですか。ブログ主は茨城で何日も停電に晒された上に風評被害の直撃食らってますし、JCO事それても今更大騒ぎかよ。
プッ!乾いた笑いで見られてる自分を理解してますかね?いや無いでしょうけど。アホっぷり全開ありがとうございます。

で、石油や天然ガスより先に枯渇しそうなウラン鉱石はどこから到達するのやら。

そして、貴方は無礼にも必死で過去ログ漁ってもその程度。何年遅れなのやら。

完全に時代に取り残された哀れな人ですね。
しかも北関東や東北の長い苦しみも実感とろとは言いませんが客観的にすら判断出来ない部外者の無能の無知ばかりが晒されました、全ては貴方の言動ゆえですよ!!

少しは反省することくらい覚えなさい。実に不愉快で無礼にも程があります。

 >少しは反省することくらい覚えなさい

 無能の無知とか、自分たちが放射脳と同じレベルに堕してる自覚のない人はこれだから。「次世代の原発」すら認めようとしない原理主義者ってウランがリサイクル可能な資源て事を理解する気も無いんですね。
 二度にわたるオイルショックを放射脳同様に「無かった事」にしたいのでしょうね。

あっははは!
見事に釣れた!1本釣りだったんだけど(笑)

あのねえ、私なんかはむしろ新規原子力開発推進なんですけどねえ。8年前に放射脳な人々に散々攻撃されながら必死に相手にしてたのよ。過去ログ漁っても読んでないのか謎の脳内変換される御仁なのか「放射脳」なんて無礼にも程がある言葉を私たちに投げつけてレッテル貼ってマウンティングした気になるのはお止めなさいな。もう笑いが止まんねえよ。他人の痛みを知らないとは、さすがKYと名乗るだけのことはありますねえ。。

ここからが本題ね。
KYさん。あなたが無礼にも程があるのは、既に何度も出禁食らったブログの過去記事にズカズカと暴言を入れて来てることです。少しは反省しなさい!と言ったのはそこな。中学国語程度を理解してれば解るはずなんだがなあ。
何を勘違いしているやら。
気に入らないヤツに逆張りするしか脳の無い哀れな方ですね。


あ、管理人さん、荒れそうだったらコメント欄閉めて下さってもかまいませんよ。。オレが釣り遊びしただけですから。と、KYさんをわざわざ丁寧に庇っておくわ。

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