• 20250216-055038
  • S-127_20250215005301
  • S-129_20250215004901
  • S-141
  • S-142
  • S-143
  • 20250214-014540
  • 20250215-001818
  • 20250213-105949
  • 20250211-165850

« デニーさん、普天間基地をどうするつもりですか? | トップページ | 沖縄県知事選挙とアジア情勢は別ではありません »

2018年9月27日 (木)

引き裂かれる翁長氏とカラッポのデニー氏

Dsc_8953

デニー氏の候補者としての選ばれ方は民主主義とは相いれない不透明で前近代的な性格のものでした。 

候補となった唯一の根拠は、なんと「遺言」です。しかも2名しか聞いておらず、いまだ公開を拒んでいる秘匿テープによってでした。

まるで「二代目翁長」でも選ぶようなものです。 三代目が継いでいる某王国ならいざ知らず、民主国家の選挙とも思えません。

では、なぜここまで翁長氏を神格化するのでしょうか。 

もちろん実利的には、翁長氏を聖人に祭り上げて弔い合戦としたい思惑なのは分かりきっていますが、その裏に隠されたものを感じます。

それは、「オール沖縄」に、そうしないでは済まないような後ろめたいものが存在するからです。

それには翁長氏と「オール沖縄」が、決して世上言われるような一心同体でなかったことを理解せねばなりません。

今まで何度か紹介してきていますが、翁長氏の就任直前の朝日新聞のインタビューがあります。
朝日新聞 翁長氏のインタビュー『翁長雄志さんに聞く 沖縄の保守が突きつけるもの』
http://www.geocities.jp/oohira181/onaga_okinawa.htm 

このインタビューはやや支離滅裂の感がありますが、翁長雄志という梟雄を知る上で、実に興味深い内容です。

「ぼくは非武装中立では、やっていけないと思っている。集団的自衛権だって認める。しかしそれと、沖縄に過重な基地負担をおわせるのは別の話だ。(略)
本土は、日米安保が大切、日米同盟が大切。それで『尖閣を中国から守るのに、沖縄がオスプレイを配備させない』と言う。沖縄にすべて押しつけておいて、一人前の顔をするなと言いたい」(前掲)

翁長氏が言いたいことを意訳してみましょう。 こんなかんじになります

「自分は自衛隊も安保体制も、いや集団的自衛権だって支持する。しかし、沖縄の基地負担はひどいだろう。移設するから新しく基地を作れでは、納得できない。
それでは県民が賛成・反対で二分されていがみあってしまうことになる。
だから、日米安保を基軸とする日本の防衛政策を気持ちよく沖縄県が協力するためには、辺野古移転はすべきでない」
 

ここで翁長氏が言うことには、感情の窓からだけ見ればとお断りしますが、一面の真理が含まれているのは事実です。

ただしそれはまとまった自前の政策たりえずに、ルサンチマン嘆き節と化してしまっています。

「これはもうイデオロギーではなく、民族の問題じゃないかな。元知事の西銘順治さんが、沖縄の心はと問われ、『ヤマトンチュ(本土の人)になりたくて、なり切れない心』と言ったんだけれど、ぼくは分かった。ヤマトンチュになろうとしても、本土が寄せ付けないんだ」(前掲)

デニー氏も「イデオロギーではなくアイディンティティ」といったようなことを言っていますが、ぜんぜん軽い軽い。本気で突き詰めた形跡がありません。

いうまでもありませんが、現実に移転は20年前のSACO合意によって、国家間合意によって成立した条約に準じるものです。

したがって、いまさら変更はできません。候補地の修正くらいだったらなんとかなるでしょうが、それもシュワブ近辺の県内という厳しい縛りがあります。 

日本政府だけの一存でどうなるものでもない以上、移設を阻止することは不可能なことは自明です。 

しかしここで強調しておきたいことは、翁長氏が「安全保障政策に協力する」という前提で政府にもの申していることです。ここは大事なので覚えておいて下さい。

161116_1http://blog.jorf.co.jp/smart/2016/11/20161116-7702...

ところが「翁長2代目」志願のデニー氏となると、このようなことを言うようになります。
※八幡和郎氏のユーチューブからの書き起こしによりました。ありがとうございました。

「ミサイルが飛んでくると。我が国の上空に飛んでくると言うことを迎え撃つと言う、その戦争の有事の前提を作っているわけですね。有事の前提を作れば何でもできちゃうんですよ。
だから安倍政権になり、どんどん安保法制とか特定秘密保護法とかいろんなものを、まるで戦時に備えて、そう言うことを整備して行くんだというやり方は、およそ日本の国家が今までとってきた国の成り立ちや形と、どんどんどんどん変えてきているんですね」

失礼ですが、あまりにつまらないので、失笑してしまいました。北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃して国民を守ることが戦争につながると言っているのですからブったまげます。

デニーはSEALDsかって。

米軍基地についてもこういう調子です。

「僕は有事の前提を置かずに、平時における外交というのが一番大事で。相互関係で成り立っているのに、基地を置くということは、ある種の裏切り行為と捉えられてもおかしくない」

わかってこんな薄っぺらなことを言っているのかな。まるで小学生の理屈です。論評に値しません。陳腐な共産党・社民党の非武装中立論そのものです。

おそらくデニー氏は、マトモな安全保障論など持っていなかったはずです。

だから防衛協会にも付き合いであったとしても入っていられたし、積極的に基地問題への発言が見られなかったのでしょう。

デニー氏は一部で極左のレッテルを貼られているようですが、褒めすぎです。彼は無思想な空洞にすぎません。

民主党に居ればそのように、小澤党に身を寄せればそのように、それなりに言説が変えられる人なのです。

つまりは、今までまじめに基地や移転について考えたことなんかなかった人が、今度は「オール沖縄」の神輿に乗ったので、それらしく振る舞っているだけです。

さて簡単に翁長と「オール沖縄」との距離について振り返ってみます。

翁長氏は知事に就任してから謎の1年間の空白を演じます。 

翁長氏が仲井真氏がした承認を「取り消し」したのは、実に就任1年後の2015年10月のことでした。 

これが糸数氏や伊波氏といった筋金入りの反基地運動家ならば、就任直後から承認とり消しに踏み切ったはずです。 

翁長氏と「オール沖縄」が蜜月だったのは、選挙期間中ととそれからの半年に満たない期間にすぎませんでした。

というのは翁長氏が、いっかな承認取り消しに腰を上げなかったからです。

彼は1年間丸々、県外砂利がどうしたというジャブでお茶を濁しましたが、やるやるといいながらその腰は異様に重たかったのです。 

その間に移設工事は着々と実績を積み上げてしまっていたのですから、「オール沖縄」からは不信の眼で見られてて当然といえば当然でした。 

その背景には、翁長氏は「オール沖縄」勢力との政治体質の違い、手法の相違がありました。

いわば翁長氏は黄、金の檻に入れられた囚人だったのです。

仲井真氏の知事公室長だった吉川由紀枝氏は、翁長政権についてこう述べたことがあります。

ちなみに吉川氏は外務省から出向し、知事公室安全政策課に在籍していました。翁長政権誕生と共に辞職しています。

翁長知事は2014年11月の県知事選で圧勝したが、その基盤は盤石というわけではない。『オール沖縄』を標榜して当選しただけに、知事自身の可動範囲は、全基地閉鎖から基地容認まで様々ある沖縄の意見の最小公約数に狭められている。即ち、「辺野古反対」「オスプレイ反対」くらいしか、発言できる範囲がないのだ。
特に現実的な妥協ラインはどこか?という話になると、「オール沖縄」では一切の合意はない。この可動範囲をちょっとでも越えれば、知事の支持基盤は分裂する
 とどのつまり、「沖縄県のいうことをすべて呑むか」「それとも、呑まないか」という、オール・オア・ナッシング以外の交渉ができないということだ。
これでは、日米政府とのまともな交渉相手たりえない」
https://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20150514/281135/

まさに見事にその後の翁長氏の命運を予言しています。

翁長氏を担いだ神輿は、まず右車輪だった安慶田副知事などの新風会直参組を失い、経済界で翁長氏を支えた呉屋・平良氏にも亀裂が走り、唯一残った左車輪の共産党と社民党も抗争を開始するようになります。

それはさておき、承認取消後は延々と訴訟合戦が始まりますが、翁長氏はここで高裁が提案した「和解」に応じてまたまた10カ月を空費します。 

なにが訪沖した菅氏と話されたか知りませんが、あんがい落とし所を探っていたのかもしれません。

結局、2016年12月に最高裁判決でとどめを刺されるわけですが、この最高裁判決によって移設阻止が二度と司法によって認められることがないという最高裁判例を作ってしまいました。 

つまり翁長氏は公約が実行出来ずに負けただけではなく、この間政府の工事を容認しているに等しいのです。 

そしてつい先日は、二番煎じよろしく「承認撤回」です。今度は、承認後の工事に瑕疵があったという難癖ですが、ところがこれにも翁長氏は消極的でした。 

最高裁判決が出た以上、100%負けるのが分かっていたからです。 

「苦渋の選択というのがあんた方にはわからないんだよ。国と交渉するのがいかに難しいか。革新勢力は、全身全霊を運動に費やせば満足できる。でも政治は結果だ。嫌だ嫌だで押し切られちゃったではすまない」

政府と戦うことが存在理由の革新と自分は違うというわけですが、それでも承認撤回をやるとすれば理由はひとつです。 

「稲嶺恵一知事はかつて普天間の県内移設を認めたうえで『代替施設の使用は15年間に限る』と知事選の公約に掲げた。あれを入れさせたのは僕だ。防衛省の守屋武昌さんらに『そうでないと選挙に勝てません』と。こちらが食い下がるから、向こうは腹の中は違ったかもしれないけれど承諾した」(前掲) 

実は裁判所はここで、翁長氏が言っている稲嶺案の「代替施設の使用は15年に限る」と似た和解案を出していたのですが蹴って最高裁に上告します。

裁判所和解案を蹴った理由は、単に「選挙に勝てないから」にすぎません。

オスプレイに反対したのも、移設反対をしたのもすべて「選挙に勝つ」ためでした。

ですから2度目の承認撤回はやる以上、自分の再選に繋がるチャンスでなければ無意味だと思っていました。

たぶん11月の本来の知事選間際にブチ上げて、それを焦点にする気だったのでしょうが、それ以前に彼の寿命が終わってしまいました。 

ですから入院中の翁長氏を差し置いて謝花副知事が勝手に承認撤回をすると言い出した時に、オレの判断を差し置いてと怒ったと伝えられています。

Largefa576b7882e746b250c08a0df05ba5出典不明

するとそれを知事の裏切りと感じた反対派はいきり立ちます。

元来、思想信条がまったく違う「中道保守」の翁長氏に対して、反基地運動団体は猛攻撃を仕掛けます。

彼らは翁長は裏で政府自民党と握って戦っているふりをしているだけだ、と思ったようです。

承認拒否まで1年もかかり、あげくは「和解」提案という毒饅頭など食うからこのザマだ、という気分があったのでしょう。

猜疑心を持って翁長氏の知事就任からの動きを見ると、やるやる詐欺にもみえないことはないからです。

その不信感が爆発したのが、この夏の翁長攻撃でした。

いまでこそ「オール沖縄」陣営は翁長氏を聖人扱いしていますが、わずか2カ月前に彼らが翁長氏にした所業は、まったくそれと裏腹でした。

それが7月13日から始まる、集団での知事公室すわり込みでした。

こともあろうに自分らが推した知事の公室を占拠してしまうのですから、誰を標的に据えたのか分かろうというものです。

8m2qjqaiyimtmqqgglzfqbtpkchfucvb

これは余命数カ月を宣告されていたはずの翁長氏には堪えたはずで、この「同志」の罵声に背中を押されるようにして7月27日に承認撤回を表明したわけです。

しかし、それでも翁長攻撃は止みませんでした。

彼らは続く8月7日には沖縄防衛局に突入して、実に8時間にも及ぶ座り込みをやらかしました。

これは一見すれば国に対しての戦いに見えますが、ほんとうの標的は翁長知事にあることは明らかです。

私は翁長氏の最後の数カ月に掛けられたこの冷血そのものの攻撃が、今「翁長氏の遺志を受け継ぐ」と言っている人たちが行ったことを忘れてはならないと思います。

「革新勢力は、全身全霊を運動に費やせば満足できる。でも政治は結果だ。嫌だ嫌だで押し切られちゃったではすまない」(前掲)と言っていた翁長氏は、死んでからもまた利用されたのです。

※前半を大幅に加筆し、タイトルを変えました。いつもすいません。

 

 

« デニーさん、普天間基地をどうするつもりですか? | トップページ | 沖縄県知事選挙とアジア情勢は別ではありません »

沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

なーんだ。
いきなりぶった切りですが、

基地を忘れ去られたメガフロート案でやっとけば、全部解決!ってな話ですね。地元には建設関連のカネは落ちないけど。。

デニー友利(大洋ホエールズからのファンです)、じゃなかった玉城さんでしたね。
代案出して下さい!

告知ですいません。

「さきま淳候補&小泉進次郎氏の演説会」が下記で開催されます。
9月27日(木曜日)午後1時30分〜
イオンタウン那覇(小禄ジャスコ)にて。

「告知ですいません」さん。何回書かせるのですか。次回は削除対象としますよ。
ここは掲示板ではありません。告知は認めていません。

玉城デニーという人間はよくも悪くもDJなんでしょう。
演説を聞くに構成作家の台本を心地よく聴取者に耳にお届けするというスキルに関してはかなりのモノがあると実感します。
だからこそ作家次第ではその主義主張はコロコロ変わるし台本から脱線したときラジオでは笑いで誤魔化す事も可能ですがこと討論ではそうはいきませんので先日のような醜態を晒すハメになります。

玉城氏が批判していた
「戦時に備えてそう言うことを整備して行く」
「国の成り立ちや形を変えてきている」
この2点に関しても、これは米軍の庇護下から少しでも自立防衛に切り替えていく上では必要な事ばかりで、前知事や玉城氏が否定している過度な基地負担を強いていた時代から変えていこうという意志表明でもあります。
これを否定するという事はある意味、沖縄の過度な基地負担を肯定しているともとれる事を自覚しているのでしょうか?

また国家間交渉においては軍事力や経済力のバックボーンが無ければ最悪席にすらつけないというのを国会議員を4期も務めておいてまったく自覚していないのならまさに「本物」ですね。

そういえばデニー氏は民主党時代に離島に自衛隊を配備すべきであると言っていましたね。恐らく今回の発言も本心からではなく自身を担いだ勢力に言わされているんでしょう。さすがにあのような非武装中立論を本気だ信じている十は思えませんからね。本気で非武装中立を信じているなら防衛協会には入らないと思います。

訂正です。十ではなく「と」です。

最近故翁長知事やデニー氏を日華事変時の蒋介石みたいに思えてきました。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« デニーさん、普天間基地をどうするつもりですか? | トップページ | 沖縄県知事選挙とアジア情勢は別ではありません »