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今回の北海道大停電は北電の特殊事情だ

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皆様から色々な情報を頂いております。 

まずは当事者である「北海」(旧北海道)様、ご無事なようで安心しました。氏は私が遭遇した東日本大震災で、ひとかたならぬご支援をいただいた大恩がある方です。 

氏から、私が心配していた酪農家の状況が伝わってまいりました。 

大型農家は自家発電で凌いでいるようですが、小規模農家が心配です。 

農家は井戸が多いため、停電となると家畜に水さえやれないという非常事態になりますので、心配しております。 

メディアは都市部の被害ばかり報じないで、広大な原野で苦闘する多くの農家も少しは取り上げなさい。北海道は日本一の大農業県ですよ。 

さて、こういう大災害時にはかならずデマが飛び出します。東日本・福島第1事故の時のすさまじさはいまでも語り種になるほどで、間違いなく復興を数年遅らせせました。 

ですから、早めにデマは潰しておく必要があります。 

今回も誰かトンチキがやるだろうなと思っていたら、案の定蓮舫氏がやらかしたようです。 

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こういう蓮舫氏の書き方は災害時だけに大変に悪質です。

まるで北海道電力が地震以後、なにか泊原発について不都合なことを隠蔽しているように聞こえるからです。 

蓮舫氏は、泊原発の今回の措置の何が問題だというのでしょうか。 

「非常用電源に切り替わった」のが心配だというなら、この人は原発のことなど一回もまじめに考えていなかったことの証明になり,ます。 

「原子力規制委員会などによると、北海道電力泊原発(北海道泊村)では地震による停電で外部電源を喪失した。非常用ディーゼル発電機6台を起動して電気を供給し、燃料プール内の核燃料の冷却を維持しているという。原発周辺の放射線測定で異常値は確認されていない」(毎日9月7日)
https://mainichi.jp/articles/20180906/k00/00e/040/217000c

蓮舫氏は福島第1事故の原因が分かっていませんね。 

福島第1は、地震そのものには耐えたのですが、17mもの津波によって全交流電源がすべてブラックアウトしました。 

外部電源は3系統ありましたが、これがすべて断たれたうえに、 数系統あった非常用電源もその設置場所が低い場所であっために配電盤が津波をモロに被ってしまいました。

ですから、この非常用電源を屋上におけば、あの忌まわしい事故は起きなかったはずです。 

泊原発の場合は、7日間非常用電源で凌げます。 

「泊原発1~3号機は運転を停止しており、原子炉内に核燃料は入っていない。非常用発電機は最低でも7日間稼働を続けることが可能という。」(毎日前掲)

 7日間もあれば停電は最悪でも部分的復旧しますし、電源車も配備できるでしょうから、余裕をもった非常用措置だといえます。 

強調しておきたいのは、今回の全域停電の原因は、あくまでも苫小東厚真火力にあまりにも偏った電力供給依存をしていたために起きました。 

誤解している人もいるようですが、福島第1事故のように送電網や変電所がダメージを受けたわけではありません。 

 北海道新聞より引用 

苫小東厚真火力の送電量が一瞬で消滅したために、他の発電所で支えきず周波数が一定にならなくなりました。 

電気は常に「同時同量」で運転されています。簡単に言えば、電気を送る量と使った量がピタッと一致せねばならないのです。 

これを放置すると、まず発電所の発電タービンの制御ができなくなり、異常回転を起こして破壊され、中継施設も破壊されてしまいます。 

発電タービンは中枢部分ですから、ここが破壊された場合、復旧の見通しはまったくたたなくなります。 

それを回避するために発電所を緊急停止しました。まったく正常な判断です。 

私は昨日「発電所が損壊」と書きましたが間違いで、発電施設の損壊はわずかでした。
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●苫東厚真1・2号機の被害状況
ボイラ損傷、4号機:タービン付近鎮火(6日10時15分)

 泊原発もそうですが、苫小東厚真火力も震度2ていどでは損壊することはありえません。事実、発電施設は9時間半後に復旧しました。 

今回の事故原因はこの緊急停止が行われたために、瞬時で北電の発電量の約半分が失われました。 

そのために送電網を部分切断して保護することができなくなって、バタバタと全域停電という事態にまで及んだのです。 

また北電のプレスリリースによれば、送電施設の被害も限定的でした。
http://www.hepco.co.jp/pdf/18090704.pdf

●被害状況
南早来線1号線(275kV):電線(引込用リード線)断線
岩知志線(66kV):鉄塔2基倒壊
狩勝幹線(275kV):送電線周辺地崩れ
石北線(66kV):電線断線
 

このように極めて珍しい事故で、日本最初のケースですし、他の電力会社ならば周波数管理を分散させているために、そもそも起きないでしょう。 

部分切断が出来なかった原因については事態が落ち着いてからの、国と電力会社の技術的検証が必要となるでしょうが、電力会社の責任というより、政治的問題です。 

というのは北電にかぎらず、電力会社はベース電源を原発に置いていました。 

昨日と同じグラフばかりで恐縮ですが、事故1年前の電源構成比率です。 

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 電力会社は黄色の原子力をベース電源にして恒常的に同じ出力で発電させ、細かい出力調整は火力にまかせていました。 

再エネは数%のうちは色物ですから、火力が調節していたわけです。今は例の悪法であるFITによって肥大し、北電では20%近くの水準に達しようとしています。

今後、この気まぐれ自然エネさんによって、電力会社は振り回されることになることでしょうが、とりあえずそのことは置きます。

このベース電源が、政治的理由によって喪失したことが、今回の事故の遠因となりました。

よく安倍政権を「再稼働強行派」とか、「原発推進派」とかいう人がいますが、まったくトンチンカンな非難で、安倍氏は前政権のレールの上をのろのろと走っているだけにすぎません。

このテーマについても、長くなりましたからまた別の機会とします。

■参考資料
電気工学会http://www2.iee.or.jp/ver2/honbu/16-committee/epress/index11.html

 

 

 

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

電気に関しては、だいぶ復旧が進んだようですね。
うちの断水も、明日には水道が使える(今は洗浄中らしくて水が出るけど使えない)ようです。

送電網や変電所がダメージを受けたと誤解している人もいるようですが、その原因の一端となる記事を見かけました
https://note.mu/chidaism/n/n04242ddcd14b
なんとしてでも「泊原発が停止していたことはブラックアウトとは関係ない」と思いたい人は、このような主張を簡単に鵜呑みにしてしまうのですね。

投稿: エントランス | 2018年9月 8日 (土) 09時32分

ご無沙汰しております。
私も札幌近隣住みで、昨晩ようやく電気が復旧いたしました。
昨日は交通機関がタクシー以外全滅でしたので、信号の付き方ももまばらの中、中央区まで久々に自転車で出社し、おかげで足がパンパンです笑
ITチームは月曜からの計画停電に備えて、北電サイトをAzure上に移したり、計画停電サイトを急ピッチで進めています。
また、清田区と厚別区では断水が続いており、清田区に至っては液状化現象で道が陥没したり、余震もまだまだ来ているので予断を許さぬ状況です。

そんな中、反原発派は「原発が非常事態に非常電源で動くなんて非常識だ」と何を言っているのかわかりません…兎に角原発を悪者にしたいだけなのだなと、改めて思った限り。
野党にいたっては、管理人さまのご記載通り、蓮舫がゴチャゴチャ身にならないことを書き込んだり、共産党は断水デマを流したりと存在意義を問うところです…。

まだ電気が復旧していない地方もあると思いますが、無事乗り切ってほしいところです。

投稿: Eureka | 2018年9月 8日 (土) 10時14分

この手の災害時の公的機関の情報を「ウソ」だと断言できる自信と根拠はどこからくるのでしょうか?
かつてこのような非常時にウソを垂れ流しでいた元民主党政権中枢の方々にだけは1ミリも言う権利は存在しないと思うのですけれど。

あと先日の大阪北部の地震を含め地震予知関連の研究ってほんとに実益に繋がっているのか疑問に感じます。
やってる事は結果を羅列してあやふやな根拠で危機を煽っているいるだけにしか見えません。

投稿: しゅりんちゅ | 2018年9月 8日 (土) 10時37分

蓮舫さんのコメントは「外部電源」の意味を知らないからでしょう。あれだけ福島の事故で騒いでおきながらですね・・・
念のために書いておきますが、自分の発電所以外(外部)の発電所で作られた電気を送電線で受けることです。通常、複数の系統が繋がっています。

今回のブラックアウトについては、これから様々な検証がなされるでしょうが、電気の基本的な事で、押さえておくべきことがあります。

発電するには、自分以外の別の電気(外部電源)が必要だということです。電気を送電するにも電気が必要です。ご承知のように本州からの給電も、全て停電(変電所も)していたからできなかったのです。

ブラックアウトにより、全域の発電が止まりました。この状態で再開する、つまりブラックスタートはどのようにやるのかです。少し調べてみました。

発電するには発電機(タービン)を動かす為の制御が必要です。その制御に電気が必要なのです。これには自家発電(ディーゼル発電)を使う必要があります。小規模の水力発電所の制御には小型の自家発電でいいはずです(たぶん)。

だから、今回のブラックスタートで最初に動かしたのはこの水力発電所。そしてこの電気を送電し、この電気(外部電源)を使って、次に近くの小規模の火力発電所を起動します。

このようして順次(小さい順に、近場から)発電所を立ち上げていくことになるのです。電気を作る(発電)にも電気が必要だし、電気を送る(送電)するにも電気が必要なわけです。


投稿: 九州M | 2018年9月 8日 (土) 15時14分

ブラックアウト原因の一つとして北海道新聞に書いてあったことであるが苫東厚真発電所の3基とも停止することを想定していなかったため、バックアップ能力の90万キロワットを上回ったことである。電力需給が低い時間帯だけど起きた理由である。

投稿: さばっち | 2018年9月 8日 (土) 16時19分

ネット再開を喜んで昨日の記事にコメントしてしまいました。連投で申し訳ありません。

管理人様お気遣いありがとうございます。

昨夜遅くに町内全域が停電解消し、酪農家の搾乳も滞りなく済ませ今日は通常通り集出荷出来ました。
ただ、停電により搾乳間隔(通常は2回/日=12時間間隔)が大きく開いたため「乳房炎」に罹患し出荷できない牛乳もあるため、通常より15~20%少ない出荷量となりました。
治療後は元に戻ると思いますが、1週間程度かかるかな?
管理人様が危惧されている中小の酪農家ですが、大規模酪農家に比して若干搾乳間隔が伸びましたが、発電機のシエアによって、搾乳も生乳の冷却もできましたので、廃棄乳の発生は限定的となりました。

十勝の酪農家で今一番問題となっているのは、十勝管内には乳業工場が6工場(商系3乳業5工場、農業系1工場)あるのですが停電発生後、商系は受け入れ中止、農業系1工場のみ通常受け入れとなったことです。
(農業系工場のみ自家発電設備を設置、商業系は設備無しの為)
私の町は農業系工場出荷なので、通常通り受入れされましたが、他工場出荷JAは廃棄せざるを得なかったようです。(農業系工場に限度一杯まで振替受け入れしましたが全量は無理)
停電は解消しましたが、計画停電の可能性もあるため農業系工場はしばらくの間自家発電で操業する予定との事。
自家発電の燃料も十分確保しているようで、商系と農業系の感覚の違いを見た思いがします。

今回十勝では「断水」は起きませんでしたが、酪農家にとって水(牛の飲用と搾乳機器の洗浄用)は不可欠です。
本町では断水に備えて、水槽と家庭用水道ポンプ、町水道から自家水に切り替える「切替コック」をセットにして、昨日のコメントに記載した電気の「切替配電盤」と同様に30%酪農家負担で設置推進した過去があります。
(設置戸数は70%)
切替配電盤や水道の切替システムは、平成15年の十勝沖地震の経験から絶対必要と考えて推進しました。
電気・水道とも全戸ではありませんが、大部分をカバーしていますので、災害発生時には対応がかなり楽になるかな?と思っています。

記事の内容とズレたコメントご容赦下さい。

投稿: 北海 | 2018年9月 8日 (土) 20時07分

新基準による原発の再稼働が西を中心に始まっていますが、依然として日本の電気は老朽化した火力に依存しています。綱渡りの状況です。
火力は地球温暖化の原因になるし、CO2削減目標もある。不安定な中東からの原油に依存している。他にベースとなる電源がない以上原子力の再稼働でしのぐしかないでしょう。
あと、北海様が仰るように、これだけ災害が頻発する現状では、個人でも最低限の備えは必要ですね。東日本大震災の直後は我が家でも、一通りの防災用品や食料、水の備蓄はしましたが、年月とともに危機意識も薄れてきました。
再度、防災を考えるこの頃です。

投稿: karakuchi | 2018年9月 9日 (日) 08時04分

ブラックアウトの言葉が先走りしすぎて誤解を招いているような気が。。

福島第一原発事故の「ステーションブラックアウト」とは全く違うんですけど、それこそ「ブラックアウト」と言えば何となく怖いみたいな。

7年前の東日本大震災でも、一時は東北全域停電になりましたけど、あれほどの広域震災でも数日で復旧しました。
実際に、今回の北海道のような波動的な自動遮断や手動遮断が相次いだので似たような状況でしたが、日本海側から順次復旧。
最初に秋田・能代の火力が全力供給を初めて、私の所では翌日の夜でした。
街に明かりの付き始めた様子は感動的でした!まあ、震災当日の大停電による星空の美しさも違う意味で「スゲーッ!」と大感動でしたが・・・。
東北電力も特に日本海側は送電網が弱いんですけど(人工的問題)、北電となるとそりゃ酷いでしょう。札幌近郊に集中しすぎていて近隣の旭川から胆振が圧倒的な電力消費でしょうから。

無責任に「北電と行政が悪い!」なんて言ってるバカは、じゃあ送電網整備のカネ出す手段なり、グリッド制御ではないローカル供給の手段を呈示して下さいな、と。

風力や太陽光といった自然エネルギー発電なんてのは、なんで各地で接続許否されたりしてるのか?今回や九州での災害見れば当たり前だということが推進派にはわからんとです!

投稿: 山形 | 2018年9月 9日 (日) 13時01分

山形さんのおっしゃっている、ブラックアウトの言葉の使い方ですが、認識が人によって違っていたようですね。

単純にある施設(例えば泊電発)が停電したことを指す場合と、今回のように受給バランスという特殊な事情により、連鎖的に発電所が運転停止し、北海道全域が停電になったことを指す、電力業界としての最悪事故の用語です。

もちろん私は後者の意味として認識していましたが。調べてみると、このブラックアウトという言葉はいろんなところで使われていたんですね。例えば、パソコンがクラッシュして使用不能になったことに対してこの言葉を使う人もいたようです。

単に”使用不能“とでも言いましょうか。もっとも、自分のパソコンがクラッシュしたら、確かに目の前が真っ暗(頭は真っ白ですが?)になりますね。

雷が落ちて、ある地域が停電になった場合は、雷が落ちて(例えば電柱)壊れた部分を修理すれば、直ぐに回復します。これは、それ以外の周辺の(外部の)電源が生きているからです。

今回の全域停電(ブラックアウト)した状態からの復旧(ブラックスタート)は、先に述べたように単純ではありません。

それと、泊原発の”外部電源喪失“の話ですが、確かに「泊原発、震度2で電源喪失」の見出しをとっていた新聞があったようです。あのAsahiのAERAでは、地震学者とやらのコメントとして「泊原発、震度2で電源喪失、お粗末」となっています。泊原発が震度2であったことと、外部電源が断たれたことは、何の関係もありません。

これは科学リテラシーの問題です。蓮舫さんの問題もコレですね。そしてこの手の人は先入観と言いますか、科学ではなくイデオロギーで物事を見てしまう、という特徴があるようです。

投稿: 九州M | 2018年9月10日 (月) 03時02分

https://hbol.jp/174509?display=b

一応技術者の端くれです。
いろいろな記事やデマを見させて頂きましたが、おそらくこの記事以上に物事を正確に捕らえていたのはありませんでした。

イデオロギーではなく科学でという考えは多いに賛成ですが、それならどうしてあんな暴走機関車みたいに制御にリスクが必ず付き纏うものを使用したがるのかわかりません。
また、誰が核廃棄物を安全に何万年も保管することが保証出来るのですか?

外部電源喪失したので泊原発が危ないだの、停電の原因は泊原発を動かさないからだのTwitterで震災直後に言ってる人達は、イデオロギー関係なく皆さん邪魔です。多分どちらも自分は論理的思考だと勘違いしておられますが、はっきり言って原因の究明もせず、反射的に物事を言ってる馬鹿な人ばかりです。

ネット社会の弊害と恐さを最近感じてます。

投稿: 物事は正確に | 2018年9月15日 (土) 01時48分

核廃棄物処理の話なんて誰もしてないのに・・・

確かに別に自分の主張を言うわけでもなく、
他人に「皆さん邪魔です」だの「馬鹿な人ばかり」などと放言を浴びせながら何の制裁も無く、自分は論理的だなどと思って平気でいられるような輩がいることには毎度のことながらネット社会の弊害と恐さをいつも感じています。

投稿: 山形 | 2018年9月15日 (土) 08時41分

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