韓国徴用工判決 日韓関係は危険水域に突入した
あーあ、とうとうやっちまった、これが私の徴用工裁判の勝訴判決を聞いての正直な感想です。
ムン・ジェインのことですから99%やるとは思っていましたが、最後の理性が1%ていど残っているかなとも思ってはいました。
ムンの師匠のノムヒョンすら、ムンとは異なった対応をしています。
「日韓国交正常化に至る外交文書を公開し、当時の確約を再確認しつつも、日本の「謝罪と賠償」の必要性を訴えた。(略))
ただ韓国政府は、「日本は何も償っていない」という協定を無視した世論にもかかわらず、国家間の合意上、「請求権問題は解決済み」との立場は守ってきた」
(産経10月30日)
このような声明を韓国政府が、判決の前に言明する可能性も残っていると思っていました。
しかしホントにホントにやっちゃうんですから、ダーっです。
日中が戦後もっとも良好な関係となり、米中が「新冷戦」に突入する一方、北の核をめぐって日中が協力を約束した時に合わせてこの判決をぶつけてくるとは、ムンは実に芸が細かい。
日韓賠償請求権協定が頭から無視されたわけですから、日本は外交原則上、大使召還は当然のこと、さらに一歩進めて、断交を視野に入れた措置が必要です。
といっても、日本の対韓国貿易はわずかで、仮に失うことになっても日本経済全体にはなんの影響もありません。
トランプがやっているように、韓国製品に懲罰的高関税をかけたり、技術移転を禁止するなどの経済制裁は議論を開始するだけで効果があります。
むしろライバル関係の韓国製品を、日本市場から駆逐できるいいチャンスです。
また、北が「火の海」にするとかねがね公言している、ソウルに支社を持つ日本企業には、政府から「在留邦人の安全確保のために」撤収を要請していただきましょう。
いうまでもないことですが、徴用工判決に応じて支払うような馬鹿な日本企業が出ないように、厳重に統制をかけるべきです。これは一企業の問題ではないのです。
韓国の国策銀行(韓国産業銀行、企業銀行、輸出入銀行)は、軒並みに日本の銀行の信用枠でやっと倒産を免れているようですが、日韓スワップを結んでやってもいいぞ、なんてありがたいお言葉もどこかで聞いた気もいたします(苦笑)。
韓国経済は周知のように崩壊に片足を突っ込んでいます。
代表的製造業のヒョンダイは7割の売り上げを失い、失業率は高止まりし、国内経済を省みないムンの無策は青年層から怨嗟の的となっています。
そして、先だってのムン訪欧で露呈しましたが、今や北の代弁者と化した韓国を支持する声は皆無です。
今まで日本が韓国に強くでられなかった唯一の理由は、この北との核との関係があったからでした。
しかしそれも今や、韓国は北の非核化に対しての障害物と化しています。
そして北の非核化を取り巻く国際情勢も激変しました。
先日の米朝会談と、日本と中国との接近です。こうなってしまっては、もはや韓国の出る幕はありません。
韓国の国際的孤立は明らかです。
もっとも強い紐帯があるはずの米国すら、トランプは露骨に北の非核化問題から、韓国剥がしをしようとしています。
おそらく今回のことについては、米国は公式には中立を保つでしょうから(同盟国間の紛争には介入しないのが米外交の基本ですから)、具体的にはなにもいわないでしょうが、これでトランプの「コリア疲れ」も極に達したことでしょう。
さて、内容についてはもうご承知でしょうが、こういうことのようです。
「■日本企業70社に賠償命令の可能性も 徴用工勝訴
日本による朝鮮半島統治時代に「強制労働させられた」として、元徴用工の韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国最高裁は30日、同社に賠償を命じた2審判決を支持して同社の上告を棄却し、賠償支払いを命じる判決が確定した。これを受け、日本企業の間に不安が広がっている。同様の訴訟を抱える三菱重工業など約70社も賠償を命じられる可能性が高まったからだ。
悪化する日韓関係は重大な経営リスクとなるため、韓国への新規投資や進出を検討する企業も及び腰とならざるを得ず、影響は広範囲に及ぶ可能性がある」(産経10月30日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181030-00000576-san-kr
産経さん、ボケていますよ。次元がまったく違います。
日本企業の韓国進出リスクなどと寝ぼけたことではなく、二国間関係が危険水域に突入したということです。
この判決は、当然、韓国政府の意志を「忖度しています。韓国の司法は三権分立が成立しておらず、政府の下部機関であることは周知の事実だからです。
したがって、この時期、このタイミングでこの判決を最高裁(大法院)にださせたのは、韓国政府の意志です。
この判決が何を意味するのかについて、韓国はむしろ日本のメディアよりよほど熟知した上でやっています。韓国自身に説明してもらいましょう。
韓国聯合通信の記事です。
「■徴用工訴訟で日本企業に賠償命令 韓日外交戦に発展の可能性も
判決は1965年の韓日請求権協定と韓日基本条約に基盤を置く政治的妥結を真っ向から覆す趣旨のもので、旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年末の合意を巡りただでさえぎくしゃくしている韓日関係は、当面、行き詰まりが避けられない見通しだ。
大法院は、日本による朝鮮半島の植民地支配は違法だとする憲法的判断に基づき、請求権協定により被害者の賠償請求権は消滅していないとの判決を下した」(韓国聯合10月30日)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2018/10/30/0200000000AJP20181030003500882.HTML
わかっているじゃないの。これは日韓基本条約の否認なのです。
ですから、韓国はどのような対応をとるのか、これも分かってやっています。
「判決により日本企業が被害者に賠償せねばならない状況になったが、日本政府は強制徴用被害者の個人請求権問題は韓日請求権協定で解決済みとの立場を取っているため、判決に従わない可能性が高い。
むしろ強制執行などの措置が取られれば正式な紛争解決手続きに入るとみられ、日本企業は政府の方針に従い賠償に応じない見込みだ」(聯合前掲)
結論から言ってしまえば、韓国政府の意図はこのようなものだと思われます。
①韓国政府は日本と正式に対立・紛争関係に入ることを宣言した
②米国を仲立ちにした対北朝鮮シフトの米韓日同盟からは離脱準備に入った
③北との融和はこれまで以上に強化する
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2018/10/...
韓国ムン政権はかねがね言われてきたように、日韓関係の戦後の枠組みを作ってきた日韓基本条約を、韓国が一方的に廃棄することを意図していると見て間違いないでしょう。
かくしてこの徴用工判決をもって、日韓の正常な二国間関係は完全に終了しました。あげてすべての責任は韓国政府にあります。
大事なことですから、やや長いですが、条約原文に当たって再確認しておきましょう。
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本
「■財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定
署名1965年6月22日
発効1965年12月18日第二条
両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める。
1.両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、1951年9月8日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
2.この条の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれの締約国が執った特別の措置の対象となつたものを除く。)に影響を及ぼすものではない。
(a)一方の締約国の国民で1947年8月15日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益
(b)一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつて1945年8月15日以後における通常の接触の過程において取得され又は他方の締約国の管轄の下にはいったもの
3.2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。」
ここで日本政府は、「両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める」ことの条件として、互いに「財産、権利及び利益」の請求権を主張することができない、としています。
忘れられていますが、日本も統治時代の財産、権利の請求権を放棄しているのです。
それらは国や軍が所有していたものもありますが、その多くは民間資産でした。
ちょっと日韓が放棄した請求権の額を比較してみましょう。
今回、元徴用工の主張する未払い賃金の額は、提訴した4人の1941~43年、新日鉄住金の前身にあたる旧日本製鉄に徴用されて労働を「強いられ」、その未払い賃金1人当たり1億ウォンの支払いを要求しています。
1億ウォンは約992万円です。もちろんこれ以外に徴用工遺族が21万7千人ていどいるそうですから、総額でざっと2千億円規模です。
もちろんそれ以外の請求権もあるでしょうから、数倍としても請求額が5、6千億円を超えることはないでしょう。
これを日本が朝鮮半島に置いてきた資産と比較してみましょう。
日本が朝鮮半島に置いてきた資産について、日本政府の試算があります。約9兆円弱ていどのようですね。
「日本が1945年当時、朝鮮半島の北朝鮮地域に残した資産総額は、現在の価格に換算して約8兆7800億円に上ることが12日、分かった。(略)
戦前に日本が朝鮮半島(北朝鮮と韓国)に残した総資産は、連合国軍総司令部(GHQ)や日本銀行、旧大蔵・外務両省がそれぞれ調査を実施している。GHQの試算では1945年8月15日時点で1ドル=15円で総資産891億2千万円。
総合卸売物価指数(190)をもとに現在の価格に換算すると、16兆9千3百億円に相当する。
このうち、政府、個人資産と港湾など軍関連施設以外の資産は、鴨緑江の水豊ダムなど北朝鮮に残したものが当時の価格で445億7千万円。軍関連資産は16億5千万円となり、非軍事と軍事の両方で462億2千万円。総合卸売物価指数の190を掛けると現在価格で8兆7800億円相当となる」
産経2002年 9月13日)
このようなことを含んで、日韓賠償請求権協定に「両国の国民の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認」とうたったわけです。
ですから、韓国がこれを一方的に廃棄することは、日本と国交断絶に陥り、かつ彼らの国際的信用が吹っ飛んで二度とこんな国との条約・合意をする国が現れるなくなるであろうことを除けば、やってやれないことはありません。
まぁもっとも、この日韓賠償請求権協定は旧日本統治下の朝鮮半島全域を対象にしています。
韓国がカネが今いるからと、北の分も取ってしまっただけのことです。(ついでに民間補償も政府がとってしまいましたが)
したがってこの条約が廃棄された場合、北は自らも日韓基本条約と同じ性格の補償を日本に求めることが可能となることになりますから、日本は対韓国だけではなく、対北との兼ね合いからも決して廃棄に応じないでしょうがね。
それはさておき、供与した援助の資金を返せとはいいません。多くは名目を変えた支援や借款の供与ですから、その性格上返還は無理でしょう。
しかし韓国が個人請求権を言い出すのなら、日本もまた朝鮮半島に残した政府・民間の資産の請求権を主張せねばなりません。
最後に日本政府の対応です。
「■毅然と対応する=徴用工訴訟の韓国最高裁判決で安倍首相
東京 30日 ロイター] - 植民地時代に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張する韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁が30日、同社に賠償を命じる判決を下したことに対し、安倍晋三首相は同日の衆院本会議で「1965年の日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決しており、この判決は国際法に照らしてありえない判断」と述べた。
そのうえで「日本政府として毅然として対応する」と語った。日本維新の会の馬場伸幸幹事長の質問に答えた」(ロイター10月30日)
https://jp.reuters.com/article/abe-southkorea-idJPKCN1N40QT
元駐韓国大使の武藤正敏氏はこのように見ています。
「紛争解決するにはまず日韓で協議する。それがうまくいかなければ、第三者(第三国)を交えた仲裁委員会で協議する。これが紛争解決のメカニズム、請求権協定に入ってるわけですよね。これでうまくいくかどうかですよね。
国際司法裁判所っていうのもありますけど、韓国は拒否できますからね。だから、政府間の協議で解決するというのは、なかなか難しいんじゃないですかね」
(「プライムニュース イブニング」10月30日放送分より)
韓国が日韓基本条約を一方的に廃棄し、新たに第2日韓条約を結ぼうと夢想するのはカラスの勝手ですが、その前にぜひ日本の残した資産も清算してくださいね。
いずれにしても、ムン氏の反日を燃料とする民族意識の高揚は、ひどく高いものにつきそうです。
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