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2018年10月18日 (木)

日本が為替操作国だって?

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トランプ゚政権は、中国のみならず日本に対しても揺さぶりをかけてきています。 

つい先日、米国発信の世界同時株安が発生しましたが、その後に今度はムニューシン財務長官の為替条項発言で、東京市場は混乱しています。

「日本株が再び売りに押されている。世界的な株安の連鎖にはいったん歯止めがかかったが、ムニューシン米財務長官が通商協議において日本に対しても例外なく為替条項を求めると、為替の円安進行をけん制した発言をきっかけに、投資家が日本株に対して警戒感を強めている」(日経10月15日)
 

何を言ったのかといえば、こういう内容です。ムニューシンさんは、下の気のいいロバさんのような人物です。

Photoムニューシン米財務長官 Shutterstock/アフロ

ムニューシン米財務長官は13日、日本との物品貿易協定(TAG)交渉を巡り「為替問題は同交渉の目的の一つだ」と述べ、通貨安誘導を封じる為替条項を日本にも求める考えを明らかにした。日本の通貨当局には、市場への介入余地を狭めかねない同条項の導入に反対論がある。米国は円安を強く警戒しており、日米交渉の火種となる可能性がある」(日経10月13日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36461930T11C18A0MM0000/

茂木大臣は「財務大臣で対応していく」と受け流したようですが、ああいやだ、日本にまでこういう攻め方をするなんて、馬鹿じゃなかろか。 

このムニューシンの発言を額面 どおり受け取ると、自国通貨安に誘導する政府の政策がことごとくアウトということになります。 

たとえば、日本は金融緩和という至ってスタンダードな経済政策を用いて、市場に大量の円を供給することによって円安誘導をおこなっています。 

量的緩和、別名「黒田バズーカ」(←いまや懐かしい)ですね。 

別に汚い手段でもなんでもなく、中央銀行が自国通貨をどれだけ刷ろうが、国債をどれだけ買い込もうが、まったく主権の権限範囲内のことでとやかく言われる筋合いはありません。 

日本政府がやっているのは、金利を下げて、市中に通貨を大量に供給することで、事業者に金を借りやすくして、消費を伸ばそうとするものです。 

Photo_2まことにオーソドックスなデフレ脱却政策であって、結果としてそれが円安につながるのかな、ドルさんそうなったらゴメンね、でもきみだってやってるよね、ていどのことです。

あくまでも主目的はデフレ脱却という景気浮揚策であって、副次効果として円安効果もあるのかなということです。

それができないのは、ユーロのような「みんなの通貨」(共通通貨)くらいなものです。 

まぁそれゆえに、EU諸国は自国の景気対策を打てない不景気な国がたくさん生まれて、いまやユーロが怨嗟の的だというのはつとに知られた話で、まことにお気の毒なことです。 

ですから、日本政府がとっているデフレ脱却政策を、為替操作なんていわれるのは心外です。 

そもそも言っている当の米国ですらFRBが一貫してやってきたことじゃありませんか。 

景気の加熱を抑えるためにFOMC(連邦公開市場委員会)が公定金利を少し上昇のピッチを速めたために、世界同時株安となったのは、つい先日のことです。 

ルール違反を宣告されるのは、昔日本もやったことのある為替市場の直接介入です。 

これは為替市場で、財務当局が自国通貨安のために円を売ってドルを買うなんて乱暴なことをするわけで、これはアウトです。 

ちょっと前まで、中国はこの為替操作介入の常習犯でしたから、中国の為替操作と同列に並べるがごとき、ムニューシンの言い方は不適切です。 

実は米国は貿易相手国に対して、「為替操作国」に認定するという武器をもっています。 

これには3条件あります。 

①対米商品収支黒字200億ドル超過
②国内総生産(GDP)比3%を超える経常収支黒字
③GDP比2%を超える外国為替市場でのドル買い越し
 

つまり、外国為替市場で当該政府がジャブジャブとドルを買って自分の国の通貨を売り払っている額が、その国のGDP2%になったら、制裁宣告を受けるという仕組みです。

たとえば中国なら、GDPが1396兆円(18年現在)ですから、その2%といえば 約28兆円という額になります。

今まで1980年代から90年代にかけて、中国、韓国、台湾が為替操作国の認定を受けました。 今はありません。

為替操作国認定を米国から受けてしまうとどうなるかといえば 

①アメリカとの二国間協議が行われ、通貨の切り上げを要求される
②アメリカは必要に応じて関税による制裁を行うことができる
 

ね、大変でしょう。通貨を切り上げろと言われて通貨高になった上に、高関税をかけられるのですから、たまったもんじゃありません。 

特に輸出で食っているような中国、韓国はモロに効きます。 

トランプは中国には為替操作国に指定してハルマゲドンみせたるぞという脅しをかけていますし、韓国は既に「観察対象国」となっています。 

常識的には、軍事と一緒でやるぞやるぞと喚いて相手国の自粛を要求する抑止効果狙いであって、実際にやるとなると返り血覚悟のこととなります。

まぁこの「常識」が通用しないのが、トランプの凄みなんですが。

とまれ、米国が中国を冷戦対象にしたのはけっこうなことですが、日本まで巻き添えにして闇雲に弾を撃ってくるのはやめて頂きたいものです。

それにしても、財務省はもはや使い道がなくなった外国為替資金特別会計(外為特会)の20兆円はどうするんでしょうか。

財政危機を叫び、消費増税と緊縮財政が唯一の救済策と言い続けてきた財務省が、こんな巨額のブラックボックスを抱えていたらまことにシャレになりませんからね。

 

 

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コメント

 わからない所があります。むかし榊原氏が財務官だったころミスタ-円とか言われて為替介入をやっていたのではなかったのでしょうか? これが現在は行われていないということでしょうか。

ueyonabaru さん。現在はしていません。
別にしてはいけないという国内法や国際法があるわけではないので、原理的には不可能ではありません。

しかし、今日の記事で書いたように、貿易相手国である米国が明らかに批判対象とし、為替操作国認定されれば関税などで大きな打撃を受けます。
そんなものをあえてやる必要はないし、金融緩和・量的拡大政策で似たような効果をあげられることもわかってきました。

またサミット議長国やG20のリーダー国である日本が、率先して国際協調を破壊するのはいかがなものかという外交的判断もあります。

榊原氏が「ミスター円」なんて言われたのは1900年代始めの頃です。その時期は、まだ為替介入はよくとられていた手段でしたが、如何せん30年前のことです。


米中貿易戦争の最中に日本の政財界に燻っている親中派への牽制や今のところ日本が主導権を握っているTPP11などにも意識した動きなのかと見ています。

昨日も感じましたがこんな不安定な情勢下で増税を行うというというのも正気の沙汰では無いですね。

そういえば、四半世紀前には「日銀による円売りドル買い」の「為替介入」なんてのが連日普通にニュースに出て議論されてましたけど、ここ20年は聞きませんな。
ああ、あれはアジア通貨危機とのリンクだったんだなあと、今更ながら思い出しました。

現在の政策で私が危険性を感じるのは、長期国債のマイナス金利の継続。
こんなのを続けたら体力のある大手銀行ですら厳しいのに、地方の小さな銀行なんかボロボロですよ。あれはマズイ。
といって、金利を上げれば今度は政府債務の償還額がハネ上がるので、それまたシャレになりません。国家予算を直撃します。

要するにデフレこそが悪の元凶だから、アベノミクスでまずそこを叩こうとした。その判断は正しい!
しかし、上手くいってないのが現状ですね。
まあ、コンビニの弁当とかはずいぶん値上がりしましたけど・・・。
トリクルダウンが下まで届いていなくて給料が上がらないから当然不満も出ます。

が、話がちょっと飛びますけど、戦後の団塊世代が頑張って国を豊かにしてきたけど、その下の世代への「資本の委譲」がバブル崩壊と共に失敗したのがそもそもの問題でしょう。バブルを起こして満喫した世代です。そりゃあ当然少子高齢化になる。
そして今や年金を受け取る側になった世代の方々が実は田中角栄さんたちのおかげなのにノウノウとしているのに、某平等主義な作家さんみたいな「日本はこれから衰弱していく国なんだから、みんな等しく貧しくなればいい」なんていわれたら・・・そりゃあ、年金払う側の世代からは「ババア、ふざけんな!テメーらだけ勝ち逃げでくたばるってか!」となるわけですよ。当然です。。

日本の景気が簡単によくならないのは、日本人が1990年代のバブル崩壊以降極めて防衛的なメンタリティがしみついたせいでしょうね
消費税を上げると、庶民は節約で対抗しますから景気の悪化と法人税および個人所得税の低下と、景気浮揚対策の財政出動で、本来のプライマリーバランス改善には寄与しません。

つまりは本来の目的には沿わないわけですが、日本人は手段を目的にして、余計な手段を生み出すのがすきなんですよね。

ただし、IMFのレポートでも、日本の財政内容はは先進国デモかなり優秀な地謡なので、増税ではなく財政出動で、景気を一段と扶養させるべきというような趣旨のものが出ています。リフレ派が紹介していますが、日本のメディアはガン無視です。なんせ財務省の御意向にべったりですから。

読売に財務省に御意向に沿った記事が出ていますが、むしろ、増税回避の動きが出てきたので、印象操作ということのようです。

消費増税による現政権の終焉という未来図が見えるし、ゆえに改憲論の先送り論もかすまびしいということですね。

 初めまして。

 >消費増税による現政権の終焉という未来図が見えるし、ゆえに改憲論の先送り論もかすまびしいということですね

 マスゴミや財務省の印象操作に自らホイホイと引っ掛かる人達の気が知れません。
 自ら率先して味方ウィ後ろから撃ちまくる自覚の無い人の正気を疑いたくなります。

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