« 沖縄両陣営に「冬の時代」到来 | トップページ | ペンス副大統領による「新冷戦」宣言演説その1 »

移設問題の「冷凍保存」はありえません

1810_010
HN「守口」氏からこのようなコメントを頂戴しました。 

「まともなら総理よりも知事の方が任期が長いのだから、総理にとって沖縄は「優先順位」からかなり下がったと思う。基地は、いや沖縄は冷凍保存されて次世代に先送りになるのだろう。もっとも原発再稼働すら決められない内閣のことだから、沖縄に何らかの決断をするとはハナから思ってはいなかったけど」 

そうですか。「決断せずに冷凍保存」ですか。 

つまり,現況のまま埋め立ての外周堤防だけの状態で、次のステップである土砂投入をしないままで放置してしまうということですね。 

ないと思います。なぜならそれが意味するものは、事実上の移転白紙化だからです。 

「凍結」というと聞こえはいいですが、県の言い分である、埋め立て工事の承認条件に国が不当な変更を加えたから工事を差し止めよ、という主張を全面的に国が認めたことになります。 

それは国が自らの環境対策の不備を認めて、県の言い分に屈したことです。 

というか、県は何もしないで勝ったわけですから不戦勝ですか。

そもそも承認撤回などというものは、当該の技術部局である県の土木課がはずされた席で、「オール沖縄」の延命のために政治的に作られたものにすぎません。 

こんなものを認めてしまったら、「次の総理」に渡すもクソもありません。 ここでジ・エンドです。 

そういう表現をするかどうかは別にして、それは実態として移設問題の先送りではなく、白紙撤回です。

そしていったん国が白紙撤回と決めた以上、それを「解凍」して再度覆すことは不可能です。 

したがって「次の総理」の出番はありません。

そもそも論でいえば、前々から政権が責任を引き受けずに、なぁなぁまぁまぁで「冷凍保存」していたのを、初めてまともに解決に向けて取り組んだからこそ、今のようなことになったのです。

しんどくて恨みばかり買うようなことを、安倍氏が退任した後の3年後に誰があえてするでしょうか。 

安倍氏ができるのは、安定した支持基盤をもった長期政権だからです。

そんなことを、誰でもいいですが、岸田さんがしますか?石破さんがしますか?

安倍氏はこれから「決断をする」しないではなく、既に「決断をした」からこそ、今、頭から泥をかぶっているのですよ。

移設に真剣に取り組めば、「沖縄の心を踏みにじった」「民意に背いた」と批判され、普天間飛行場の現況を放置すれば、「住民の危険にさらしたままなのか」となじられます。

成功しても失敗しても、褒められることがありません。

私は総理の政策には必ずしもすべて賛成ではありませんが、その為政者としての姿勢は称賛に値するとおもっています。

総理になる前から、口あたりのいいことばかり言っている後継候補たちが、そんなことをするわけはありません。

ですから、いくら「冷凍保存」しても無意味なのです。 今、この時期に解決しておかねばならないのです。

さて、こちらのほうが重要な意味を持つのですが、ここで工事再開を断念すれば、それは普天間飛行場の固定化を認めたと同じことになってしまいます。 

実は、それもそれで一定の合理的判断ではあるのです。 

何度も書いて来ましたが、軍事的には、「辺野古飛行場」は不完全な施設です。 

Photo_2

 出典不明

小川和久氏はこのように述べています。
国際変動研究所『NEWSを疑え!』第611号 2017年8月24日号 

「①辺野古は普天間の38%の広さしかない。
②辺野古は滑走路が短すぎて、輸送機や戦闘機が飛べず、運用できるのはオスプレイとヘリコプターだけである。つまり、平時から使いものにならず、海外災害派遣にも使えない。
③有事には、滑走路が短いことだけでなく、全体が狭すぎることが問題となる。有事には米本土などから海兵隊の航空機が沖縄に集結し、たとえば普天間関係だけでも300機といった数を収容しなければならない。
辺野古は膨れあがる航空機を受け入れることも、兵員や物資を集積させておくこともできない。つまり、有事にも使いものにならない」

計画案では有事は想定されておらず、しかもC-17やC-130といった中・大型輸送機も運用できない、ヘリやオスプレイの平時運用「だけ」のものなのです。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-386c.html 

平時においても、米本土などからの大型貨物を「辺野古飛行場」にC17などを使って直接搬入することは出来ず、いったん嘉手納に降ろしてから、陸上輸送することになります。

今の普天間飛行場はC17の離発着が可能なので、グレードダウンです。

こんなハンパなものになったのは、「辺野古飛行場」が、国と米国、県、地元自治体、地元土木業者との間でもみくちゃにされて出来上がった妥協の産物だからです。 

妥協の産物が故に、できあがったのはどこかをいじれば、どこかが壊れてしまうといったガラス細工でした。 

私が最善の案だと思うハンセン敷地内案(小川案)をとれば、今までの各方面との合意を白紙にして一から積み上げることになります。 

そもそもどこに作ろうと、「あらゆる移転に反対」というのが、共産党・社民党・社会大衆党の立場ですから、反対されてまた20年間の繰り返しとなります。 

ですから、軍事的に非合理的であろうとなかろうと、先に進むしかないのです。 

普天間移設について詳細な著作がある森本敏元防衛大臣が、「移設は政治的に決定された」というのはそのような意味です。 

「決断」の余地を探すとすれば、それは普天間飛行場をそのまま使い続けるという前提での白紙撤回です。 

政府は、米国に対して「地元の理解がえられない状況に至った」と説明し、移設候補地の再検討を要請することです。 

今の安倍-トランプ関係なら、ひょっとしてと思わなくもありませんが、常識的にはそんなことをしてくれる道理がありません。 

このようにデニー知事を選んだということは、普天間飛行場の固定化を選んだことと同義ですから、県民に自分の選択の意味を理解してもらうためには、いいことなのかもしれません。

なお、「守口」氏のいう原発再稼働について、総理は規制委員会に丸投げしています。

総理は原発再稼働について、政治的判断を差しはさむまないのが基本方針のようです。

たぶん国にとってのプライオリティ(優先順位)が低く、現況でも徐々に再稼働施設が増えていくと思っているのかもしれません。

後の代にこのまま引き渡すというつもりでしょうか。

それはそれとして私は問題だと思いますが、日米同盟という相手国があり、かつ安全保障政策の基幹に抵触する移設問題と再稼働問題とはまったく別次元であって、一緒にするべきではないと思います。

 

 

|

« 沖縄両陣営に「冬の時代」到来 | トップページ | ペンス副大統領による「新冷戦」宣言演説その1 »

沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

「少でも、少しずつでも土地を戻す」こと、そして「少しでも危ない処を避けていく」こと、米軍と協力できることがあれば、官民問わず「共同する」こと。相手の事を「嫌だ」「嫌いだ」「出て行くべきだ」と決めつけることによって我々は「見落として」しまった「何か」があるのではないでしょうか?「嫌だ」と思えば、「何もかもが嫌」になってしまうのが人情。「何かひとつでもいいところ」を探す、観察する努力をすれば「違う見方」「方法」も出てきて当然。

そうすることによって「凛とした自身」、「責任を持つ勇気」も自ずと育まれていくはずだと思います。

投稿: 宜野湾くれない丸 | 2018年10月 9日 (火) 07時55分

守口さんのコメントに、あまり煽るのもどうかと思ったけど、
辺野古移転と原発再稼働に何の関係があるのやら。
ただ政権批判したいだけでそんな短絡思考をするのは、ハッキリと言ってバカです!原発再稼働させたいのなら、そういった場で発言されればよろし。
刹那的に皮肉を言ってご満足される方のようですね。

辺野古を冷凍保存ですか。気候的に保存どころか、あっという間に『腐敗』しそうですねえ。
んじゃ冷凍用にヤンバルに沖縄電力初の原発でも建てて電力確保でもしますか。
あー、これは守口さんへの皮肉ですからね。流して下さい。

現実には国費で作った揚水発電所ですら、全くの無駄にしたという実績があるんですけどね。
去年大騒ぎしてた高江のすぐ近くに不自然な建造物の廃虚があるでしょ。


話は変わりますがJ3リーグでFC琉球がトップを快進撃しています。来年はJ2で対戦があるかもということで、山形の掲示板でちょっと話題になってたんですけど。
「旅行兼ねて仙台空港から那覇に飛べば楽チンじゃね?」
「カネさえあればね」
「お前ら、那覇空港からのアクセスの悪さ舐めすぎ!」
確かに酷い。路線バスで定時でも1時間13分。停留所60。
レンタカーでも57分(FC琉球オフィシャル等から)。
で、試合当日なんてなれば渋滞で倍は見越さないと・・・との沖縄県民からの話も。
うーん、それこそいかにも国体向けに箱ものの総合運動公園を地元土建屋と一緒に作ったってな場所ですなあ。。

嘉手納や普天間からだったらアクセス最高なんだけど・・・かつての稲嶺さんは、そういうことを見越して普天間の共用化を言っていたのなら、それはそれで策士です。
まあ、普天間を民間空港にしたら安全になるってもんでもないんですけどね。。便利にはなります。

投稿: 山形 | 2018年10月 9日 (火) 08時11分

今日は本記事よりも山形さんのコメント内容にびっくり。
東村の揚水発電所ってたしか国が100%出資でお値段325億だったような?
土木学会かなにかの賞をもらったとか世界初とかではしゃいでいたのに、廃墟!
驚きのあまり開いた口がふさがりませんでしたわ。

しかし、今の辺野古関連の体たらく、アメリカや日本の外務省に普天間移設なんて出来るわけないだろとバカにされながらも沖縄のために話を進めてきた橋本元総理や梶山元官房長官、当時の比嘉名護市長に岸本市長さんたちもきっと呆れ果てていると思います。

投稿: やもり | 2018年10月 9日 (火) 09時42分

安倍政権が辺野古移設を凍結する事はあり得ません。
せいぜい、新知事との会見までは「執行停止」を申し立てない配慮を見せるくらいなものでしょう。

仲井眞元知事は普天間の危険性について、「辺野古が完成して移設するまでの間の危険」にまで頑強にこだわり抜きました。
そこで政府に「5年間」というタガを嵌めようとし、安倍政権もそれに向かって最大限の努力を約束し、結果的に厳しい外交努力でオスプレイ訓練の一部本土移転を実現させたのです。

この仲井眞知事の国への要求は沖縄県の立場として、県民を守るため当然であり、またそれを受け取る安倍政権の対応も真摯な誠意あるものでした。
(馬鹿げた話ですが、それをして革新側は「5年間の約束ガー」だの、「辺野古移設がなくても普天間の返還が可能であることの証左」と曲解するなど、左翼脳を全力で発揮して難癖をつけた顛末です)

先の取り消し訴訟においても、そうした事実認定で確定されており、国側としてもバックが効かない状態です。

「保守派」と名乗る本土の言論人の中にも沖縄のこの状態に嫌気がさしてか、「ただ普天間が固定化されるだけ」と、したり顔で言う人がいます。
けれど問題は人命にかかわる事柄であり、「県民の理解が得られているかどうか」という次元ですらありません。

以上のような「経緯」や、「訴訟の結果」、移設目的の重みを考えるならば「凍結」はあり得ないし、あってはならない事です。

ところでやはり、どうしても興味深いのは故翁長前知事の対応で、「絶対辺野古は作らせない」としつつ、実際にはきわめて巧妙に作らせていたように見えた事です。
任期最後の方では、ある意味では安心感すら感じさせました。

しかし、デニー氏のような中身がない一直線が取り柄の「さわやか青年」的人物の場合、腹芸も出来ずに、彼自身にとって悲惨な結末を迎えそうな余計な心配をしてしまいます。

そうして考えるならば、呉屋氏はともかくも、本当に翁長前知事がデニー氏を後継者として望んでいたのかどうか? テープの内容は本当のところどうだったのか? そのような思いが拭えません。


投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年10月 9日 (火) 11時05分

そもそも米軍基地問題と本気で向き合うなら沖縄だけでなく我が国の中枢部にある関東の諸基地(横田、厚木、横須賀など)も問題にしなければおかしいと思います。どうして基地問題は沖縄ばかり騒がれてその他の場所に関しては騒がれないんでしょうね?「弱者」ではない本土住民が被害者であるために政治的な利用価値が低いからでしょうか?それとも左派にもこれらの米軍基地をなくしたら日米安保が揺らいしまうとわかっているからでしょうか?

投稿: 中島みゆき | 2018年10月 9日 (火) 17時23分

承前、正直私は沖縄よりもこれらの首都近辺の基地のほうが主権国家として深刻な問題であると思います。

投稿: 中島みゆき | 2018年10月 9日 (火) 17時25分

中島みゆきさんへ

それは基地問題に関して沖縄の復帰以前の反米活動を起源とする左翼思想と本土の活動家との親和性が高かったからだと思います。
より効率的に問題を大きくできるからこそ沖縄なのだと思います。

投稿: しゅりんちゅ | 2018年10月10日 (水) 00時00分

それにしてもこの程度の基地をあたかも米軍による新たな軍事化のための一大軍事基地であるかのように喧伝する左翼の愚かしさがよくわかりました。こんな基地に移転させられる米軍も災難ですな。オスプレイの件といい安保法制の件といい左翼とそのシンパたちは軍事に無知すぎます。単なる一般人ではなくそれなりの情報量のある人達がこのような態度をとるのは本当に深刻であると思います。

投稿: ななし | 2018年10月10日 (水) 00時35分

しゅりんちゅさんへ
確かに沖縄には歴史的経緯から問題を大きくしやすい土壌があることは確かです。しかし私は関東近辺でもメディアや左派組織が全力をあげればかなり問題を大きくできると思います。何せ日本国の中心ですからね。それこそ独立国のプライドに関わる問題です。自国の首都圏にこれほど多くの米軍基地がある事実ほど日本人の反基地感情を掻き立てるものはないと思います。沖縄の問題だけにするよりもはるかに国民的コンセンサスをえられると思います。正直政治運動としては沖縄の反基地運動よりも可能性があると思います。それなのに何故左翼は関東近辺での反基地運動に力を入れないのか不思議でなりません。

投稿: 中島みゆき | 2018年10月10日 (水) 01時05分

承前、私は沖縄の反基地運動が強いのはメディアが煽動していることがかなりの要因であると考えています。ですからもしマスコミで関東近辺での騒音被害などを毎日のように報道すれば状況はかなり違ってくるでしょうね。私は政治的に考えれば良くも悪くも日本の中心である関東近辺でやったほうが効果的であると思います。言い方は悪いですが沖縄でやったところで所詮は多くの国民の関心のない地方の問題として矮小化されてしまうからです。

投稿: 中島みゆき | 2018年10月10日 (水) 01時17分

「中島みゆき 」さん。かつて国道16号を中心としての横須賀軍港基地群について書いています。ご参考までに。
シリーズ「米軍基地の負担は沖縄だけか?」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-9963.html

本土の基地については、私が厚木基地周辺の育ちなこともあって、かなりの数の記事を書いています。

石井孝明さんがツイートしていますが、青森県は原子力施設まで引き受け、米軍基地もありますが、実にボロい県庁です。
沖縄の立ち並ぶ豪華な公共建築物と比較してみてください。
https://twitter.com/ishiitakaaki

それとHNはひとつでお願いしますね。

投稿: 管理人 | 2018年10月10日 (水) 01時53分

青森県の大間町にも原発がありますが、あまり潤っている様子はなく、かといって青森県が搾取している訳でもない。

翻って沖縄ですが、公官所が軒並み立派で、何かの巨大遺跡みたいなのもあります。
名護市役所も不相応に立派です。
そんな余裕がありながら、基地のある辺野古地区は下水道もない…

そんないい加減な予算の使い方をした公務員はといえば、組合が役所内に特定勢力のポスターを貼ったり、退職後は反米や反政府運動に勤しむ。

その辺をよく読みとかないと、沖縄は変わりませんよね。

投稿: ゆき | 2018年10月10日 (水) 14時06分

管理人さんへ 
あなたが提示した記事は読ませていただきました。とてもよく調べてありすばらしい記事であると思います。関東地方の基地問題がとても重大な問題であることがよくわかりました。そしてこのような問題をほとんど騒がず基地問題をまるで民族差別であるかのように扱う左派の卑怯な欺瞞性にうんざりしました。それでますますこれほど重要でコンセンサスを得られる問題をなぜ騒がないのか怒りと疑問を覚えました。このような態度を取り続ける限り本邦の左派は本気で米軍基地問題を解決する気がないと言われても仕方ないと思います。あと以後ハンドルネームは中島みゆきに統一させていだだきます。

投稿: 中島みゆき | 2018年10月10日 (水) 18時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 沖縄両陣営に「冬の時代」到来 | トップページ | ペンス副大統領による「新冷戦」宣言演説その1 »