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2018年10月27日 (土)

ロシアの言い分と米国の尻抜け

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INF条約離脱について、今回でひと区切りすることにします。 

いやどうも、昨日は居酒屋政談のようになってしまってすいません(汗)。 

大枠で私はあの見立てでそう大きくは間違っていないと思っていますが、なにぶん論証材料となるべきものが少なすぎます。 

今、分かっているのはトランプの発言と、ロシアのちゃらんぽらんの言い分だけですから困ったたものです。 

ロシアの言い分は、ロシア軍事専門家の小泉悠氏によればこのようなものです。 

●ロシアの主張する米国のINF違反
①標的用MRBM( 準中距離弾道ミサイル)だら違反
②イージス・アショアがトマホークを撃てるから違反
③攻撃力を有する長距離UAV(無人航空機)がGLCM(地上発射巡航ミサイル)に該当するから違反
 

略語ばかりですいません。この分野はチンプンカンプンの略語の迷宮のようで、訳語だけで表記するとえらく長ったらしいものになってしまいますのでご勘弁下さい。 

ちょっとロシアの言い分を検証してみましょう。

小泉氏の指摘どおり、ロシアがいう「イージス・アショアがトマホーク巡航ミサイルを発射できる」というのは言いがかりの類です。 

VslイージスアシュアのVSL(右側) 出典不明

イージスアシュアのVSL(ミサイル垂直発射装置)では、トマホークは運用できません。 

こんなことは公開情報に載っていることで、こういう煙幕を張るのがさすがはロシアです。

ここで唐突にイージスアショアが登場したのにはわけがあります。

ロシアにとって(中国も同じですが)、ある意味もっともイヤな存在がこのMD(ミサイル防衛)だからで、中露はこの技術を持っていないのです。

ロシアは、かつてレーガンにスターウォーズ計画(MD・ミサイル防衛の原型)をかまされて、その挑発を受けて立ってしまったのが運のつき。

元々宿痾のようにソ連が抱える非合理的社会主義経済がニッチもサッチもいかなくなったところに、アフガンで出血が止まらず、その上に似膨大な出費を招くMDですから、あえなく超大国ソ連すら崩壊してしまいました。

中国も研究を重ねているようですが、まったく歯がたたないのがこのMDの分野です。

まぁ考えてみればすぐにわかることですが、中露が発射する核ミサイルはMDによってかなりの確率でブロックされてしまうかわりに、米軍のそれは確実に命中してしまうのですからたまったもんじゃありません。 

つまりMDによって、相互確証破壊が不均衡になってしまったわけで,、故に中露は露骨にこれを嫌っているわけです。 

日本のイージスアシュアや韓国に配備しているTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)に、なぜ、中国がなぜあれほど神経質なのかは、このことを頭において見ると分かりやすくなるといます。 

それはさておき、あとの2点ですが、これも言いがかりです。 

①のMRBMとは準中距離弾道ミサイルのことで、これはミサイル防衛に使われるSM-6を使った迎撃実験で用いられたことがあります。 

2017年に、ハワイのカウアイ島ミサイル実験場から発射された準中距離弾道ミサイル(MRBM)を、イージス艦がSM-6で迎撃し、撃墜に成功しています。 

米軍が在庫一掃セールをして標的にして落としているくらいですから、とてもじゃありませんが、ロシアの9M729ようにただいま現在各地に実戦配備しているといったバリバリの現役ではありません。 

③の無人機ですが、これも地上発射型の巡航ミサイルだろう、こらぁということのようですが、これも言いがかりです。 

その理由は、米国は地上発射型巡航ミサイルなどを、条約を破ってまでわざわざ保有する必要がないからです。 

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潜水艦発射型巡航ミサイル 出典不明

だってそんな中ぶるミサイルを引っ張りださなくても、、INF条約枠外である空中発射型や水中発射型巡航ミサイルを、既に米国は保有しているからです。

ただし、地上発射型ではないので条約違反ではありません。ズルいといえばズルい。コスいといえばコスい。 

米国はパパ・ブッシュ時代に、戦略原潜のSLBM(水中発射弾道ミサイル)以外の全ての核を全廃してしまいました。 

空母、原潜、航空機などから、一切の海軍戦術核を撤去してしまったために、米海軍は事実上戦略原潜だけが保有する唯一の核戦力ということになっています。 

「米海軍は、1987年には3,700発以上もの戦術核兵器を保有していました。
しかし冷戦後、戦術核はその役目を少しずつ他の兵器システムに譲り始めます。対地攻撃核トマホーク(TLAM/N)用のW80-0核弾頭も例外ではなく、どんどん数を減らしていき、ついに従来の予定通り全廃されたました。
これにより、アメリカの陸軍、海軍、海兵隊から戦術核がすべて取り払われたことになります。」(海国防衛ジャーナル2013年3月18日)
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50696649.html

よく、米国の原潜や空母を見ると、核攻撃ができるという運動家がいますが、そんなものはそもそも乗っけていないのですよ。 

実はここからが問題なのですが、米国はINF条約を維持したままこの海軍戦術核を復活させようとしています。 

それがNPR2018(2018年核態勢の見直し)で明らかになったのは、潜水艦発射型巡航ミサイルとSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)に低出力の核弾頭を搭載できるように改造することでした。 
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/22-5e08.html

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これは、ロシアが公然とINF条約を破ってきたことに対する対抗策でした。

全面戦争覚悟の戦略核しかないのでは融通が効かないために、中露や北に足元をみられているという欠陥を、あえて核の威力を低くすることで「使える核」(ブラックだなぁ)にしようとするものです。 

バカじゃないかと思われるでしょうが、軍事はかならず力のバランスを求めるために、相手国が持てば、自分も持つという子供の喧嘩みたいなことを大まじめにすることになります。 

馬鹿げていますが、これが現実です。 

で、米国も、条約枠組みは守ったふりをして、その尻抜けをしようとしていた矢先に、トランプ御大がキレて、条約全部をチャラにすると言い出したというわけです。 

マティスのような軍事官僚はさぞかしイヤーな気分になったでしょうな。枠組みをわざわざ壊さなくったって、対策はたててますぜ、ボス、というところです。 

これでまたまたマティスの辞任への距離が縮まりました。遠からず辞めるでしょうね。 

さて、日本の対応ですが、いわゆる非核三原則の見直しが現実化することは避けられません。 

米国は、来年4月をもってINF条約の拘束から解放されるわけですが、日本がかつてのNATO諸国のように、米国の地上発射型中距離核ミサイルを現実に受け入れることが可能かという問題です。 

1980年代には、NATO諸国(英独)はむしろ進んでパーシングⅡや巡航ミサイルを受け入れました。

ひと頃日本でも話題となった、ニュークリア・シェアリングも同じ発想です。先日も記事にしましたが、これはソ連がSS20の配備を進めており、その予定された核の戦場はドイツだったわけです。 

ところが自由主義陣営唯一の核兵器保有国の米国が、中距離核を撤収させてしまったために、いざという時に裏切って逃げられるかもしれない、そんな懐疑心が出ました。

そこでヨーロッパ諸国がとった必殺技が、自らの国内に中距離核の発射基地を誘致することでした。

自ら核攻撃を受ける見返りに、米国のトリップ・ワイヤーとなって、政治的連帯を勝ち取るというある意味で捨て身の選択です。 

トリップ・ワイヤーとは猟で使う罠のことですが、外交軍事用語ではこの地点を攻撃すれば、かならずオレたちの報復を受けるからね、という仕掛けのことを指します。

韓国の非武装地帯周辺に駐留していた米陸軍第2師団は、このトリップ・ワイヤーの役割だったといわれています。(今は中部まで後退しています。米国の変化がよく分かりますね)

この場合:、ヨーロッパ諸国の脆弱な地上発射型中距離ミサイルをソ連が攻撃すれば、,それは米国の全面核報復を招くからお止めなさいというメッセージとなります。 

抱きつき心中じゃありませんが、それなりに大きな政治的決断を必要とします。

この決断をわが国がもてるのかどうか、です。

そうとうに難しいと思いますが、INF条約離脱との関係からいえば、そういうことになります。

ただし現実には、米国は先ほど述べたNPR2018(2018年核態勢の見直し)の延長線で、検討を加速化していくはずなので、日本に地上配備型中距離核ミサイル配備を要請する可性は低いと思われます。

といっても、米国の核戦力の見直しに対応し、共有していくのか、日本も真剣に考えるべき時期に入ったことだけは間違いありません。

 

 

 

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コメント

正直どこまで中露は米のMDを恐れているのでしょうかね

中露はアメリカに対しては安価なミサイルの数の暴力によるA2AD戦略がとっているので迎撃コストとその成功率がイーブンじゃないと優位には立てないと思います

≫「米国も、条約枠組みは守ったふりをして、その尻抜けをしようとしていた矢先に、トランプ御大がキレて、条約全部をチャラにすると言い出した」

これがトランプ流の「喧嘩術」なのでしょう。
問題のないところに問題をたてて、それと別の本当の目的を達成して行こうとしているように見えます。
マティスさんの「正しい官僚主義」とは正反対ですね。

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