国家ぐるみの臓器売買
ウィグルにおける臓器移植疑惑は、現状では傍証を積み上げている段階です。
中国は世界でもっとも多くの臓器移植をしている国で、外国から移植ツーリストさえ受け入れ国家ぐるみの商売にしています。
従来、中国は死刑囚から臓器を移植してきましたが、2014年にこれを禁止しています。
「中国は、刑執行後の死刑囚の臓器を移植に利用する慣習を中止する方針を表明した。死刑囚の臓器利用は人権団体から長い間批判されてきた」
(ウォールストリートジャーナル2014 年 12 月 5 日)
https://jp.wsj.com/articles/SB11683622598075354008404580318430324313648
これは2014年11月のカナダ下院外交委員会中国政府非難決議、2016年6月13日の米下院は343号決議案、そして2016年7月27日の欧州議会主席による48号書面声明などで、法輪功拘束者からの強制的臓器摘出に対して、国際世論の強い批判が巻き起こったからです。
一方、カナダ政府アジア太平洋担当大臣であったデービッド・キルガー氏とデービッド・マタス氏は、2006年5月、中国で法輪功学習者を対象とした臓器狩りへの調査協力の依頼を受け調査を開始しました。
現在もっとも信頼できる資料はこの両名によるもので、今回はこの報告書を参考にいたしました。
※キルガー報告書
UPDATED REPORT INTO ALLEGATIONS OF ORGAN HARVESTING OF
FALUN GONG PRACTITIONERS IN CHINA (2007).
AN UPDATE TO ‘BLOODY HARVEST’ AND ‘THE SLAUGHTER’
(JUNE 23, 2016)
※『中国臓器狩り』キルガー・マタス
https://bookmeter.com/books/7874566
キルガー自身による報告書の説明(和訳)は下記から見ることができます。
http://smgnet.org/2018-1-23-kilgour/
なお本日は、法輪功の広報サイト「大紀元」をソースとしています。
本来、ひとつのメディア、しかも宗教団体系のそれに依拠することはバイアスがかかる危険があります。
しかし今回は「臓器狩り」という国家の裏の顔を暴露したという性格上、その被害者である法輪功の情報を貴重だと判断しました。
さて中国において、臓器移植の最大供給源は、主に人民解放軍系の病院でした。
それは軍が政府取り締まり当局の管轄外にいるためで、この軍病院と監獄の公安関係者が絡んで移植犯罪に手を染めていました。
監獄の公安が死刑囚の臓器を切り取り、直ちに軍病院に移送して移植手術をするという手筈です。
この臓器移植は軍病院の大きな収入源となっていました。
マタス氏講演会資料による
それは下の価格票をみると、もっとも安い腎臓で620万、肺や心臓などでは1700万です。
これは需給関係を反映するので、おそらく今はこんなていどでは済まないでしょう。
しかし中国以外では簡単にドナーが見つからないので、べらぼうな金額の移植ツアーに参加してでも、中国に押しかけたのです。
ところが、表向き2014年以降の法改正で、囚人から臓器移植できなくなったわけです。
では、供給源を断たれて、移植手術が下火になったのでしょうか?
実はすでに2014年以前から死刑囚の数は減少傾向にあり、囚人を安定供給源とすることが難しくなっていたのです。
では、死刑囚の減少によって移植手術の件数が減ったのかといえば、これが違うのです。
同上
ご覧のとおり、2004年2219件から05年は2970件と、むしろ増加傾向にあります。
ここでありえるのが、日本や諸外国のように国内のドナーがその差を埋めたという可能性です。
ところがこれも否定されました。
「上海市では昨年、当局は、ドナー登録数が200人に達したと報じられた。しかし、上海仁済病院は同年800件の肝移植を行ったことが、昨年12月29日付の中国の医学雑誌『医学界』の報道で分かった。しかも、同市では認定を受けた11施設が臓器移植を実施していた」(大紀元 2017年12月15日 )
https://www.epochtimes.jp/2017/12/30173.html
中国国内でドナー登録は少なく、実際の臓器移植数が登録者数をはるかに上回っています。
マタス氏の共同調査者であるキンガー氏はこう語っています。
「臓器狩りは産業規模で行われており、中国側の言い分は口先だけで、移植件数は全く減っていません。
偏見のない方なら、数が増え続けていることを受け入れられることと思います」(大紀元2016年08月27日)
https://www.epochtimes.jp/2016/08/26063.html
つまり臓器の出所には、別の巨大ドナーバンクが存在するのです。
死刑囚からの臓器移植が減っても、移植手術は減らない、この差を埋めてあまりあったのが、強制的な法輪功拘束者からの臓器摘出ではないか、とマタス氏は見ています。
これは軍病院も、マタス氏の直接の問い合わせに認めています。
「それに対し、山東省煙台市の赤十字会の当直職員は電話調査で、「赤十字は数十のドナーしか提供できない。病院が数百件や数千件もの臓器移植を行っているのは、多くのドナーを取得できる独自のルートを持っているからだ。赤十字には関係ない」と主張した」(大紀元 前掲)
この病院は赤十字系でありながら、赤十字からはわずか数十のドナーの提供がなかったにもかかわらず、数千件もの臓器移植手術をしていたわけです。
なんですか、このドナー数の需給バランスの違いは。
つまり一病院単位ですら、数千の移植された臓器は、「独自のルート」から来ていたわけです。
それがかつては囚人であた、そして法輪功でした。
「あらゆる関連要因があります。まず、中国全域にある350の強制労働所から逃れてきた人々にインタビューしたところ、法輪功学習者だけが医師の身体検査を定期的に受けていたことが示されました。
話を聞けば、ただの健康診断ではないことがわかりました。中国当局に、囚人の健康に関心ないはずです。
臓器移植のための検査なのです。法輪功の学習者だけが、これらの病院で検査を受けています。
無実の市民を、当局の都合で強制的に拘留する、ヒトラーやスターリンが採用した制度に習ったようです。明らかに、法輪功が主な臓器源です」(大紀元前掲)
そして去年、中国当局は、ウィグルでは突然のように1900万人の住民に、DNA、血液のサンプル、指紋、虹彩、血液型などの生体データを集め始めました。
「中国当局は新疆ウイグル自治区で住民からDNAなど生体データを採集している。国際NGO人権組織の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)」は13日、このような大規模な強制収集は国際人権規約を踏みにじるものだと批判した。
当局に「全民検診」と呼ばれたこの無料のプロジェクトは、12歳から65歳までの住民を対象にDNAや血液のサンプル、指紋、虹彩、血液型などの生体データを集めている。
中国国営の新華社通信は先月、衛生当局の統計として、新疆の総人口の9割に相当する約1900万人がこの「検診」を受けたと伝えた」(大紀元2017年12月15日)
https://www.epochtimes.jp/2017/12/30173.html
新疆ウィグル自治区出身の在英の元外科医エンヴァー・トフティ氏は、この奇怪な大規模DNA検査の目的について、こう言っています。
「トフティ氏は、こうした不合理な新疆地区住民のDNA採取について、中国移植権威で富裕層や外国人移植希望者のための移植用臓器となる「生きた臓器バンク」とし、住民を秘密裏に「ドナー登録」しているではないかとの推測を述べた」(同上)
次回に続けます。
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コメント
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映画のコーマを思い出しました。以前中国とナチスが似ているという記事を書きましたが、この現代で、よくやってくれますね。中共が崩壊したら、裁判が行われ、その悪行が白日のもとにさらされるんですかね。ナチス幹部のように責任を押し付けあうんでしょうか。いやもうほんと、これを報道しないマスコミや政治団体は共犯・幇助者ですね。共犯等は罰せられるんですよね。日本の些細な問題に、人権とか自由とか言って騒いでいる輩は、人間ではありません、畜生以下です。
投稿: オイラー | 2018年11月20日 (火) 07時21分
囚人から出発して法輪功信者、ウイグル人。移植で命を永らえた数を越える本来の臓器の持ち主達がいたはずです。
彼等は人としてではなく臓器ストックホルダーとして牧場に軟禁されている訳です。
それとは別に、医療情報で特定して狙ったのか手当たり次第だったのかは分かりませんが道端で子どもが拐われ臓器を抜き取られる事件も昨年報じられました。
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.epochtimes.jp/2017/12/30083_amp.html%3Fusqp%3Dmq331AQJCAEoAVgBgAEB
臓器移植ビジネスを国家主導でやる国。彼等が得る人間情報は全てドナー価値を持つ、AIで大量の医療データを管理してクライアントのニーズに応える個体を特定できれば出荷準備に入る。牧場にいれば死刑にし、在野なら一手間掛けて狩ってくる。他国でも違法な臓器売買が告発されてはいますが、中国共産党のそれは図抜けて残酷かつ大規模です。
「うちだけじゃないよ、仕方ない世界の闇を引き受けてしまってるんだよ」とも言い訳出来ない能動的な手広い商売です。
心臓移植をリードしてきた米国はどれくらい薄々分かりながら放置してきたのかと邪推してしまいますが、この問題は米国人社会にとって全ての面で信条に合わない悪業です。今後あっと驚く米中和解とかはあり得ないですね。。。
10年前、心臓移植の為にNYに来た日本人の少年を支援する手伝いを少しだけしました。臓器移植に否定的だった知人が、移植後少年が素晴らしい回復を遂げる様子を見て気持ちを変えたことを思い出します。
貧しさの為に臓器を売るビジネスが繁盛するのは耐えられないと彼女は未来を憂いていましたが、現状は当時想像をはるかに超えています。
この恐怖のビジネスモデルは、ハッキングとスパコンと人さらい要員(沢山のならず者の手下)によって世界の人々の価値を家畜orジビエに変えてしまいます。中国人だけの問題では早晩なくなることを危惧します。
投稿: ふゆみ | 2018年11月20日 (火) 15時23分
なんかこの流れ、いろんな映画が思い浮かぶんだけど、究極形は「アイランド」か!
20年も前に法学系のヤツと話してて、中国スゴいな!まともな弁護人も付かずに即決裁判で死刑だもんな!と。
そして法輪功にウイグル人。臓器牧場にしてるとは恐っろしいです。
フィリピン等で貧困から腎臓を片方売るなんて商売がありますけど、これは巨大な「国家事業」ですからねえ。。
そして、カンボジアはこの路線を真似て「いつか来た道」(って、つい最近なのに)を行くのでしょうか?
私はごく一般的な日本人レベルで、死刑制度自体には反対しません。欧米諸外国が何を言おうと。
ただ、法運用はあくまで慎重であるべき。
中国はまあ法治国家ですらありませんから、論外ですね・・・。
投稿: 山形(入渠修理中) | 2018年11月20日 (火) 16時53分