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2018年11月 9日 (金)

日韓想定問答集

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いつまで韓国政府が徴用工判決に沈黙しているのかと思ったら、やっと李洛淵(イ・ナクヨン)首相が口を開きました。 

その前日の6日にイム・ジョンソク大統領秘書室長が既報のように国会答弁していますが、イ首相発言は正式の記者会見での表明ですから、これが現時点における韓国政府の公式見解ととっていいでしょう。 

「李首相は「日本政府の指導者たちの発言は妥当ではなく、賢明でもない」と指摘した。
また、「司法部の判断は政府間外交の事案ではない」として「司法部は法的な判断をする機関で、司法部の判断には政府が介入しないことが民主主義の根源だ。日本政府の指導者たちもそれが分からないはずがない」と強調した」(聯合11月7日)

http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2018/11/07/0400000000AJP20181107004300882.HTML

 なかなか興味深い発言です。 

いえ、日本側の(おそらく河野外相でしょうが)発言を、「過激だ」なんたらかんたらという説教がましい部分は無視してください。 

韓国人に冷静になれと言われるほど落ちぶれてはいません。 

むしろ重要なのは、「司法部の判断には政府が介入しないことが民主主義の根源だ」と述べている部分です。 

Photo李洛淵首相 

このイ首相の言い分をとると、「あれは司法部が勝手にやったことだ」ということになります。 

続けてイ首相はこう述べています。 

「李首相は「日本政府の指導者たちは韓国司法部の判断に不満は言える」としながらも、「だが、日本政府の指導者たちがこの問題を外交紛争に持ち込もうとし、私もそれに関する意見を言わざるを得なくなったことを遺憾に思う」と強調。「日本政府の指導者たちの賢明な対処を要望する」と促した。 」(前掲)

韓国政府、いや限定して「行政部」としましょうか、これは日本側が外交紛争に持ち込もうとしていることが遺憾だ、ぜひ日本政府よ穏便に済ませろというわけです。

ここでもあんたらのほうが非常識なことをしておいてからに、なんて素の対応をしてはいけません。 

むしろぜひ韓国政府におかれましては、その立場を貫いて下さい、と言うべきなのです。 

なぜなら、日本は既に国際司法裁判所(ICJ)に提訴することを方針化していますから、今、問題となっているのは、韓国政府が提訴に応じるか否か、その理由づけに何をもってくるかの一点でだからです。 

このまま突き進むと、哀れ韓国政府は自分で言ったことに自分で反論するというお笑いを演じることになるからです。 

順を追って説明します。 

まず日本はICJに付託するに当たって、韓国政府に提訴の合意を求めまることから始めますが、さてここで韓国政府がなんと答えるのかが見物です。 

韓国政府は、今に至っても日韓請求権協定は有効、という立場に変化はありません。 

え、違うでしょう、徴用工判決でひっくり返したんじゃないのと思う諸兄、違うのです。 

ひっくり返したのはあくまでも、イ首相によれば行政部ではなく、「韓国司法部の(独自)判断」であって、それについて日本側は「不満は言える」としているのです。 

もちろんこんな言い訳は、近代国家の原則である三権分立を恣意的に解釈したものにすぎません。 

国家間条約など高度の政治的判断を伴う事柄に対して、司法はいかに最高裁であろうともクチバシを突っ込むことはできません。 

日本ではこれを「統治行為論」として原則にしています。 

「統治行為論とは、“国家統治の基本に関する高度な政治性”を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、 これゆえに司法審査の対象から除外すべきとする理論のことをいう」
統治行為論 - Wikipedia

ですから、今回の徴用工訴訟が日本の最高裁に持ち込まれた場合、「本件は国家間条約に関わる案件であるから司法審査の対象としない」という判決となります。 

日本の最高裁にこんな日韓基本条約に関する判例が出せるわけがないだろう、帰れ、というわけです。 

この統治行為論は日本のオリジナルではなくフランスが起源であり、米国も採用していますから、近代法解釈のスタンダードです。 

しかし、韓国最高裁はムンが指名する最高裁長官がムンの意志を忖度して今回の日韓条約を否定する判決を出してしまったわけで、司法が国家間条約を超越してしまったことになります。 

Photo_2韓国最高裁 産経 

そして韓国政府(行政部)も、それを黙認することで追認する姿勢をとりました。 これがこの間のムンの不思議な沈黙です。

きっと支持したくてたまらないのでしょうが(なにせ自分が指示したんですらね)、そこまでやると条約の一方的廃棄となって、地獄の蓋を開けたような種々の問題が出てくるからです。 

日本政府としては、このイ首相の発言を受けて、正式に日韓請求権協定について見解をただすべきです。

Ajp20180419004200882_01_i聯合ニュース

ここから想定問答風にみていきましょう。 

韓国政府は今のイ首相の論法どおり、必ずこう答える筈です。 

「あの判決はあくまで三権分立に基づいた司法の独自判断である。韓国政府としては従来どおりの政府方針どおり廃棄する意志はない」 

ここで日本政府は、念押しせねばなりません。ここがキモです。 

「ならば韓国政府さん、貴国において日韓請求権協定を判断する権限は、貴国の司法にないのですね」 

そして畳みかけるように、こう続けるべきです。 

「ならば、貴国の司法判断が出した徴用工判決は無効であると確認するためにICJに共同提訴しましょう」 

これを呑むと韓国政府は、自分で自分の国の司法を訴えるという、世にも不思議な物語となってしまいます。 

そもそも韓国司法が政府を忖度して条約を超越したから、こういう矛盾を引き起したのです。 

それに気がついて韓国政府はICJに出ることを拒むでしょうが、別に驚くことはありません。 

「韓国政府さん、では日韓請求権協定を覆すのが韓国政府の新たな判断だと、解釈しますが、それでよろしいのでしょうか?」

はい、ここでこの想定問答の冒頭に戻ったことに気がつかれたでしょうか。

イエスと言えば、日韓条約を韓国政府が一方的廃棄したということになり、国際紛争を韓国側が引き起こしたこととなって、日本に大義名分を与えてしまいます。

ではノーと言えば、今度は自分の国の司法判断をみずから潰しにハーグまで行かねばならなくなり、大恥をかくことになります。

なんだどう出ようと結論は一緒じゃないかって、そりゃそうです(笑)。矛盾しているのは向こうの脳味噌ですから、こんなオーンゴールを演じるのです。

判決も恥ずかしいですが、恥の上塗りで、韓国政府が三権分立という聞いたようなことを言い訳にしているから、このような自縄自縛を引き起こしたのです。

 

 

 

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コメント

李首相が言うような「三権分立の問題」では全然ありませんよね。

はやく言えば、「条約(請求権協定)は、当事国全体を拘束する」のです。
当然に司法も国家の一行政機関であるので、条約に従わなくてはなりません。

なんたらいう韓国人教授らがTVで、「韓国政府が強制執行する事を避ける事が出来れば、(国際法)違反は免れる」と言いましたが、確定判決が出た現時点でアウトです。

今回の記事を読んで改めて感じたのは
「日本政府側はこの問題を穏便に済ますがために放置するという選択肢だけは絶対に取ってははいけない」
ということですね。
韓国政府側もそれを狙っているのが発言の節々から見え隠れしています。

現在の外務大臣の河野氏ならさすがにそんなそんなヘマはしないでしょうが、岸田氏のままだったらありえない事はない話でした。
本当に日本にとっても韓国がこのタイミングでやらかしてくれたのは運が良かったとしか言い様がありません。

 公務員生活でまず教えられたのが、「条約は国内法に勝る」という一言でした。そして、この言葉には納得できましたね。

 韓国の状況を見ていると、それがどうも私の理解(納得)と異なる動きをするので、どうしたものかと思ってきたのです。参考のために、本の解説記事などを読むと、韓国の政治は国民感情を重視するという。また司法も国民感情を重視するという。司法が行政を凌駕するらしいことも書かれていた。わかりにくい国だと思った。

 しかし、今日の記事を読んで、私の納得どおりの内容であったのでずいぶんとスッキリした。国際的常識は、韓国であろうとも従わねばならないのですね。

 沖縄のデニ-知事が1ヶ月間の話し合いを政府と行うようであるが、それにどのような意義があるのか。外国との約束は優先すべきというル-ルがある以上沖縄県知事が関与する領域はない。話し合いをするというのは、政府になんらかの陳情するというだけのパフォ-マンスではあっても、実体上の力はない。

しゅりんちゅさん、きっちり決めて欲しいですよね。
絶好のチャンスでヘボったら信用ガタ落ちです。
ゴール前ドフリーでシュート打たないとか無駄な横パスとかキーパー正面とか、今度やったらサポーター国からフルボッコです。
そしてたとえ一点決めたとしても、試合終了ではなく開始したばかりです。
互いの地に人が住んでいる限り続くのですが、お人好しが勘違いして「もう勝ちは明白なのだから最後まで追い詰めたら大人気ない」とか言ってあと一歩必要なところを踏み込まないで済ませると余計に混沌とするだけです。
今回、三権分立のおさらいが出来てまた一つ勉強になりました。いつもありがとうございます。

なんかねえ、
かの国の大統領様は必死で北のスポークスマンを演じたうえに、自国の墓穴を全力で掘り、そこに同胞を巻き込んで飛び込んでますからねえ。。
もはやゾンビかグールか。

某厚化粧のキム女性教授とか、この10年何言ってんだと。
同情は全く不要。東大の姜教授とかも丁寧な話し口でかつては私も好意的に見てましたけど、もはや化けの皮が剥がれすぎです。
あんなのが日本の有名大学でメシ食ってること自体がおかしい。
外務省は中途半端な同情は絶対に避けて、事実を積み上げて叩きのめす気概が必要なんですけど、まあ、あそこことなかれ主義で温いですからねえ。。

もう、徴用工どころか慰安婦セックススレーブ説すら壊れてますから。
韓国マスコミによるとあれだけ必死に世界に喧伝してきたことがウソだとバレまくってるんですから(あんだけ国連でロビー活動してたのに、「日本のロビー卑劣な活動を非難」したままですから)。
一気に攻勢にでずとも、ジワジワと国際的に締め上げるのが良いでしょうね。

とりあえず、日本政府は「大宇のWTO違反提訴」から軽いジャブをかましてますが。。どうなることやら。。

普通はこういう「理論の陥穽」って、相手方の誘導で陥るものだと思うのですが、韓国はわざわざ自分から落ちていこうとしていますね。
良い機会ですから、徴用工判決に限らず、日本政府からの積極的アピール、積年の課題の改善等に取り組むべきでしょう。
自分達のスポンサーにも類焼しかねないから、大手マスコミも韓国の肩を持つ連中は少なそうですし。
ギリギリの距離感を見つけてほしいものです。

まさに今の韓国は自縄自縛の状態だと思います。
こういう時、日本側が感情的になって反応するのはまさに愚の骨頂。
冷静に粛々と対応するのが最善の対応だと思います。
新大久保や鶴橋で「韓国人は出ていけ」なんてプラカードを持って
練り歩く馬鹿が出ないことを願うばかりです。
とはいえ今までのように「まあまあまあ」で済まそうなんてことは考えないこと。
国際社会、とりわけ中国韓国ではこういう穏便な手段は通用しません。
というかさらに付け込まれる端緒を与えるだけなのは
もういい加減、経験から学ぶべきだと思います。
その点河野外相は冷静かつ言うべきことは言うというスタンスを貫いており
本来あるべき態度だと感心しております。

蛇足ながら鳶が鷹を生むとはこのことかと。

皆さんがおっしゃる通りですね。裁判所は国の一機関にすぎないので、国対国の関係は政府マターで行うしかありません。政府(行政)と裁判所の間の揉め事は、その国の中でやって下さい、という話です。政府は他国の裁判所との交渉なんかできませんので当たり前のことです。
ただ、このあたりの話がメディアの解説では、三権分立との兼ね合いで曖昧になっているような気がします。三権分立とは、あくまで国内の権力関係のこと、国際間はどこまでも政府対政府、ということではないでしょうか。

それと、かつての我が国の国際対応との対比も大切なことだと思います。150年ほど前、明治新政府は江戸・徳川幕府が結んだ和親条約など、国際間の数々の不平等条約(約束事)を反故にすることなく、あくまで政府の交渉によって解消していきました。

黒船という軍事的圧力によって結ばされた条約です。しかも明治新政府は、ほとんど革命政府です。にも関わらず、国際ルール?に沿って、徳川 幕府が結んだ国際間の約束事を引き継いだのではないでしょうか。

このように考えると、韓国の態度の異常さが際立って見えてきます。「民主化前の決め事だから」とか、「当事者個人の意見を聞かずに時の政府が勝手にやったことだ」とかの理屈です。慰安婦といい、今回の徴用工といい、子供じみた態度にしか見えません。韓国内の揉め事をそのまま日本に向けている、との印象です。

問題は事態ここに及んでもいわゆる財界の皆さんの脳内には何も響かないことです。
積極的に反日工作・教育を行い、歴史を歪め国際的な約束など反故にする国民に対して積極的求人活動などを進めている。国内で給与や待遇水準を上げる競争にまともに取り組もうともせず、安易に安価な人材だけを求める。国益を見据えた行動を取らない点では某新聞に続いて、戦前の大陸進出と同じ構図を取ろうとしていることになぜ気付かないのか。
根本的なリテラシーが低すぎる連中が旗を奪い合う間は改革は進まないのでしょうね。

今更な話ではありますが、今回の件で改めて思った事があります。

彼らが求めているものは論ではない。言葉と沈黙である、と。

この場合の言葉とは謝罪であり、沈黙とは「俺のやる事に文句を言うな」ということです。
これは彼らにとって、未来永劫変わることのない絶対的指針でしょう。

日本としては、彼らの言動を否定していく事こそが、唯一の正解となるでしょう。

中国韓国北朝鮮とも非常に厄介な相手です。
しかも不幸なことにすべて同じ町内会のメンバーだときてる。(笑)

ただもっと厄介なのはその国々から付けられている難癖のほとんどが
日弁連や朝日新聞という日本の組織から端を発しているところです。
従軍慰安婦、南京大虐殺、靖国参拝問題などなど。
この屈折した内部事情がさらにことを複雑にしていると思います。
はっきり言って中国韓国よりもたちが悪いかもしれません。

最近の韓国を見ると戦前の中国の革命外交を思い出しますね。

 >司法部の判断には政府が介入しないことが民主主義の根源だ

 (偽)徴用工裁判で「判決を下すのが遅い」と言う理由で全担当裁判官を逮捕した国が何を言っても説得力ありませんね(冷笑)。

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