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2018年11月29日 (木)

入管法改正案衆院通過

019

ウィグル弾圧や北方領土交渉をシリーズで書いているうちに、入管法改正案が衆院を通過したそうです。

台湾では民進党が大敗して政変が起きそうですし、クリミアではロシアがウクライナ海軍艦艇をだ捕するしで、こういう時にはひとりで書いている身のつらさよ、と泣けますね。

私は深堀りしたいタイプなので、身体が二つ欲しいもんです。

さて入管法、やれやれ、愚かなことをやっちまったかというかんじです。だいだい自民党の部会で9割反対していたものをなぜ出してくるんでしょうか。 

多くの人も同じ思いでしょうが、国柄が変わる危険すらある外国人労働者受け入れを、なぜこうまでして急ぐ必要があるか、皆目わかりません。

外遊と絡めた時期なので、ひょっとして首相はこれを手土産にする気かしら。 

この入管法には、私は強い危惧をもっています。

Plt1811270042p1産経 11月27日 https://www.sankei.com/politics/news/181127/plt1811270042-n1.html

安倍氏は地球儀外交と自認するほど世界を股にかけているのですから、英国のEU離脱に象徴されるように、ヨーロッパにおいて移民問題こそが社会不安の震源だと知っているはずです。 

英国がブレグジットを国民投票にまでかけねばならなかった最大のテーマは、まさに今日本で通過しそうな移民の受け入れでした。

フランスやドイツ、あるいは北欧が、過去に安易に受け入れた移民で大変なツケを払わされているのを知らないとでもいうのでしょうか。 

Migフランスの移民暴動 出典dogma.at.webry.info

独法「労働政策研究機構の『移民への警戒感の高まり』というレポートがあります。
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2014_5/france_01.html

ここでフランスの移民状況について言及した部分があります。

「この調査は、フランスに居住する18歳以上の1026人を対象として、2013年12月2日から12日の間に実施された。同報告書によると「移民」を経済や社会の不安要因として挙げた人が全体の16%に上り、前回調査から6ポイントの大幅上昇となった。
2002年にこの調査が始まって以来で最高となった。
また、「フランスには移民が多すぎる」と回答した人は全体の74%に上る。
この割合は年々上昇しており、2009年と比較して27ポイント上昇したことになる。
「移民は過去10年間の間に増加している」という認識を示したのが76%で、この数値は2012年から1ポイント、2011年から7ポイント増加している。
さらに、「移民は社会的保護を受けるためだけにフランスへ来る」と回答したのが77%で、2012年から4ポイント上昇している」

France_01労働政策機構レポート 前掲

よもや自民党の議員諸氏は、これが「移民受け入れ法」だと認識していないなんてことはありませんよね。 

入管法がいう「外国人材の受け入れ拡充」とは、受け入れ国の人間でも代替が効く人材なのです。 

政府は「余人をもって代えがたい優秀な人材」を受け入れないと、時期を失するというような答弁をしていますが、何を言っているのか。 とうに失しています。 

日本は、日本語という習得が困難なマイナー言語国家であり、移民コロニーがいまだ一部を除いては未形成なために、いわゆる「熟練した人材」は、特にいまさら日本に来る必要がないのです。 

もっと高給を払う国なら中東にでも行けばいくらでもあるし、ヨーロッパのように国家間の移動も自由な地域もあります。 

いやなら、別の国に行き、更に高い条件で雇用を求めるという移動の自由が保証されているのに、なんでわざわざ日本に来ると思うのでしょうか。 

日本が欲しい「余人を持って替えがたい人材」は、現行法でも労働ビザを取得するのは簡単です。 

これは、今回の日産のゴーン事件ではしなくもバレたように、グローバル企業が大量の外国人取締役を雇用していて、それに目を剥くような巨額な報酬を払っていたことでもわかるでしょう。 

また、おそらく自民案が念頭に置いているような、介護労働や医療従事者は賃金水準が低すぎて、わざわざ外国から来る意味がありません。 

そもそもこれらの職種は対人労働ですから、日本語の壁が立ちはだかります。 

このような職種に人材がほしいのなら、内国人の報酬や労働条件を向上させることをまず考えるべきです。 

したがって、問題はいわゆる「熟練工」ではなく、誰にでも代替できる単純労働者の受け入れなのです。 

これは、私が住む茨城の農業現場を見ればよくわかります。茨城は成田空港から近いせいもあって、かなり前からかつては中国人、今はベトナム人の農業労働者で溢れています。 

そのための受け入れ団体は各地に多くあって、それぞれが系統ごとに独自のルートを持って競い合っています。

Chart02

https://www.nca.or.jp/gaikokuzin/sikumi/gaiyou.php

彼ら外国人農業労働者の賃金は、かつては内国人よりそうとう低く買い叩かれていた時期もありますが、今は野党が追及するような奴隷労働ばかりとは思えません。

また、今回メディアや野党が騒いでいた受け入れ先からの失踪事件もいくつか具体例を知っていますが、一概に受け入れ先ばかりを責められない複雑な背景があります。

また米国国務省が人権問題として批判しているという、パスポートを雇用者が管理している事例も失踪と裏腹ですから、これも外からだけでは判断がつきません。

受け入れ条件には個別のバラつきがあるということを知ってから、この研修生制度を見ないと見誤ります。

劣悪な労働環境が奴隷労働だのなんだのと言われていますが、日本人の研修生も似たようなもので、特に外国人だから差別的というのもあたりません。

要は、日本農業が永年に渡って家族労働に頼ってきたために、いざ労働力不足になってから外部から慌てて入れた結果、問題が生じたのです。

とまれ現行法では「研修生」資格で働いていて、労働ビザを取得することはほぼ不可能でしょう。 

研修生制度は、労働ビザを単純労働者に与えないための苦し紛れの抜け道として作られたものでした。

都合よく働かせて、都合よく返す、安くよく働く人材を確保したい、そんなことができるはずがないじゃありませんか。

ですから、とうぜん研修生制度は矛盾の塊でした。

私は、今回のような入管法改正をするなら、研修生制度を廃止してから、時間をかけてその問題点を洗い出し、新たな外国人労働者受け入れ制度として再構築する必要があると思っています。

今回のように研修生制度を残しておきながら、新たに労働ビザ制度をつくるというのが理解できません。

審議時間が20時間に満たないと批判されていますが、200時間でも足りません。国柄を変えることなのですから、徹底審議が必要なのですから、自民は猛省すべきです。

一方、追及する野党がつくづく馬鹿だと思うのは、この技能実習制度に批判を集中してしまったことです。 

その上に、論点を「他民族の共生」「外国人差別を許さない」といった、立民好みのリベラルの色眼鏡をかけてしまいました。

野党のヒアリングも、受け入れ側はろくに聞かれず、外国人側の意見のみを聞いていました。

これでは受け入れ側だけが強欲悪辣に見えてしまいますが、現実には研修生が労働条件をツイッターなどで交換しあって、逃げることを前提にして入国する者すらいるのです。

そして一回逃げた外国人研修生は、二度とまともな就職はできませんから、膨大な不法残留者の闇の中に消えていくことになります。

そしてこの不法残留者の泥沼は、外国人犯罪者の温床です。

この法案はあくまでも「出入国管理」がテーマであって、現行の研修生実習制度とは区別すべきです。 

野党やメディアは「多民族共生」という絵空事から現行の研修制度を批判しているために、単純労働者受け入れを前提として許容してしまっています。

こういうヤワな批判ばかりならば、政府は怖くありません。

最低賃金は保証されているとか、待遇面での改善は進んでいることを言えばよいことになってしまいます。

実際、私が知る限り、最低賃金などは遵守されていますし、時間外労働は強制ではなく、むしろ少しでも金を持って帰りたい研修生が自ら望んだものが大半です。

問題はそこではないのです。

現行の待遇一般ではなく、入管枠を拡げることで労働ビザで入ってくる単純労働者が引き起こす社会問題をどう考えるか、です。  

労働ビザで入国した労働者は、研修生とは別次元です。

単純労働者の需給は世界的に逼迫していませんから、おそらくこのタイプの労働者が多く流入することになるでしょう。 

すると結果は見えています。 

初めは、今の改正案のように外国人労働者の種別を作ったりして、なんのかんのと入り口を狭く設定して国民の理解を得ようとします。

しかし、かつての不正規労働者のように、徐々になし崩し的に受け入れ枠が拡大し、社会問題化することでしょう。 

いったん受け入れた場合でも、一定期限で切って返すと言っていますが、現実を知らなすぎます。 

たとえば4年間働けば、単純工もあたりまえですが熟練します。その頃には日本語もあるていどは出来るようになるでしょう。 

職場の側もこれだけ仕事を覚えて日本語ができるようになったような労働者を返したくはありません。 

その間に教育コストもかかっているし、労賃だけではなく、社会保障も負担しているのですから、なおさらです。 

その間に、恋人ができたらどうしますか。結婚したい、子供を作りたい、家庭を持ちたい、としたらどうしますか。 

今回の改正案でも「熟練したら」家族を呼べるのですから、そうなった場合、家族丸ごと帰れというつもりなのでしょうか。

シンガポールのように、妊娠したら強制送還できるような国なら、苦労しません。

外国人労働者に国が子供は生むな、恋をするな、家庭を持つなと言えないなら、初めから呼ばねばいいのです。

事実、前掲の労働政策機構のレポートによれば、フランスでは移民労働者は増えておらず、その家族が増加しているのがわかります。

「国籍取得者数は、2013年には5万2207人で、9万4573人であった2010年からは減っている。その一方で滞在ビザ発給数は2013年には251万4994人で、2009年以降、増加傾向にある。
また、入国理由別の人数を見ると、就労を前提としない「家族移動」(これはフランス人の家族、婚姻のための入国及びフランスに滞在する外国人の家族再統合を意味する)の入国者数が、就業を目的とする「経済的移動」の人数を著しく上回る」(前掲)

France_04労働政策機構レポート前掲 

更にこのレポートは移民家族の移動について、こう述べています。

「外国人受入れよる国内経済への貢献が低いとされる「家族移動」が多いという傾向は過去数十年続いており、このことが「社会的保護」だけを求めて移民は入国してくるという国民意識を反映しているともとれる」(前掲)

社会保障や保護を求めて流入する家族にも、内国人と同等の権利を保証せねばなりません。 

このように人権というのは、先進国の最も弱い脇腹なのです。

批判があるでしょうが、私は外国人労働者を受け入れること自体は時代の趨勢だと思っています。

これは私の農業現場を見ての偽らざる実感です。この流れは止められないでしょう。

仮に完全に止めてしまえば、必ずアンダーグラウンドで入ってきます。

ならば、移民に等しい外国人労働者が増えることによる社会問題や、安全保障まで目配りした中長期的制度構築をすべきでした。

この審議に時間をかけなかった拙速のツケは、必ず5年後、10年後に現れるでしょう。

 

 

 

 

 

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コメント

 自民党は参院選にむけて、完全に旧来の利益誘導型に回帰してます。
対する野党は政権を批判する事が目的の反対なので、移民法そのものには賛成でしょう。

どこのニュースで聞いたか忘れましたが、安倍総理は「この法案に反対する人たちは、僕を一番信頼している層だ」と言ったそうです。

何をやっても支持が離れる心配がないから、安心して保守層が一番イヤがる事もやれるワケだ。

一方で、今国会中の憲法改正の自民党案の提示は困難とか。まったく、見事にお約束の展開です。

まったくやれやれです。

政府ももっと丁寧な説明が必要。
「これは移民政策ではなくあくまでも研修生拡大の話」と言いながら、「今後の成長のためには必要な措置」とかね。ちょっと乱暴すぎやしませんか?と。

また、大臣の失言やスキャンダルばかりに時間を取って、審議時間を無くしておいて「議論が尽くされていない!」とやる野党毎度の稚拙さもウンザリします。
しかもガソリーヌ山尾や蓮舫がしたり顔で質問したところで、国民は「ああ、またあんたらかよ。ところで自分の説明は?」となります。
マスコミ報道では質問に政府側がシドロモドロなところばかり流しますけど・・・飽きました。

これは怖いことです。元々政治に関心の薄い国民がさらに飽きてしまい見なくなってしまうことが恐ろしいことですね。

本日の記事に全く合わなくて申し訳ございませんが、またぞろ北海道に北の漂着船が大量に着いているそうです。
移民以前に難民や治安、そして特別在留などの問題、そして工作員上陸などの可能性が高い事を考えると総連・朝鮮学校や拉致関連機関の公表など急ぎ行わねばならないですよね。
韓国関連も含めやらなければいけないことから目を背け続けて来たツケが一気に現出して来ているという危機感を強く感じています。

野党は、差別を許さないと言い。
安倍総理も、同一労働同一賃金と言う。
単純労働のために入国した外国人も、日本人と同じレベルの賃金を貰えると言うのなら。

労働力の確保のために、かつてインドネシアなどで発生した日系企業の「雇用賃金のチキンレース」が日本でも発生するのでは? と思ってしまいます。

働く場所は有るけれど、3K・4Kだから長続きしない。
日本人の若者が嫌う単純労働に外国人が雇用されても、彼らだって愛社精神とか有るわけじゃないので、より条件の良い方に流れます。
これって、沖縄における若年層の雇用状況に似ているような……それはともかく、人材が他社に流れないようにするには、賃金を上げるのが確実な方法。

結果的に、彼らを単純労働力として期待する会社は、確実に確保する為に人件費を上げるということになってしまう。
それは当然、正社員などの給料などにも関係してくる。
労働者が票基盤となっている野党は、差別だなんだと言っている場合じゃないと思うんですけどね。

 やっぱり「外国人労働者受け入れ」にばかり目をやってパニクッてる酷使様が各所で大量発生してますね。
 https://twitter.com/NOVTELL2/status/1067570014390087680?s=20

 そう言う人たちは10年前みたいに味方を後ろから撃つ愚を懲りずに繰り返すのでしょうか?

>批判があるでしょうが、私は外国人労働者を受け入れること自体は時代の趨勢だと思っています。
同意見です。日本のルールを守って日本語での生活に努めるよう、どのように促しボリュームを絞るかが課題です。
そこら辺全く見えてないのであちこちから非難轟々なのは当然ですよね。
地震国がここまで栄える為に私達がそれこそ幼少期から教えられ培ってきた社会ルールというのは安易な「多様性」で崩すべきではありません。これを崩すと定期的に起こる地震などの災害を乗り越えられなくなります。
歪んだルールの下で稼いでいる状態の人に「ここは日本だルール守れ」と叱りつけても説得力に欠ける訳で、参院で何とかもう少しきちんと揉んで欲しいです。

私も外国人労働者の受け入れに関してはある程度はやむを得ないと思っていますがそれは厳格に管理、統制されたものでなければいけません。問題はどこからどの程度受け入れるのか、そしてどうやって彼らを日本社会に溶け込ませるかです。韓国のような反日教国家や中国のような仮想敵国はいうまでもなくイスラム圏も文化の違いが大きすぎて受け入れは無理でしょう。ですからもし移民を受け入れるのであればインドやネパール、ベトナムなどから経済をまわすために必要最低限な量だけを受け入れるべきです。(まあインドもかなり問題があると思いますがイスラム圏よりはマシでしょう。)もちろん犯罪者などは即強制送還です。あともう一つの懸念は日本に来るであろう労働者の質です。正直今の日本には食い詰めた落ちこぼれしか来ないと思います。

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