韓国海軍艦艇 海自哨戒機に火器管制レーダーを照射
韓国海軍が海自のP1に対して、射撃照準レーダーを照射しました。
現時点で情報整理しておきます。
まずは防衛省のプレスリリースです。
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/21g.html
「■韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について
防衛省12月21日
12月20日(木)午後3時頃、能登半島沖において、韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦から、海上自衛隊第4航空群所属P-1(厚木)が、火器管制レーダーを照射された」
発生場所は竹島北東100キロの地点です。
この竹島海域で韓国海軍は軍事訓練を実施していました。
「我が国固有の領土であり、韓国が不法占拠している島根県の竹島の周辺で、今度は韓国軍が、軍艦や航空機が参加する「竹島防衛訓練」を実施した」
(FNN12月14日) https://www.fnn.jp/posts/00400840HDK
下の写真が、その照射された海自哨戒機から撮影された韓国海軍艦艇です。赤丸で囲まれた円形に見えるものが火器管制レーダーSTIR-180です。防衛省 海自当該機からの撮影 韓国海軍 広開土大王(クァンゲト・デワン)(971) 赤丸はJSF様による
上の写真から、問題となっている火器管制レーダー部分を拡大します。 丸く写っているのがわかるでしょうか。
韓国艦艇火器管制レーダー拡大 JSF様による https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20181221-00...
この火器管制レーダーは間近で見るとこのようなものです。
火器管制レーダーSTIR-180https://ja.wikipedia.org/wiki/STIR/STING
簡単に、技術的解説をしておきます。
艦船が積んでいるレーダーはおおまかに4種類あります。今回、海自哨戒機に照射されたのは②です。
①対水上用警戒監視・捜索
②対空用警戒監視・捜索(火器管制レーダー)
③航海用ナビゲーション
④ミサイル・搭載砲の照準をする射撃管制用
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC0800E_Y3A200C1EA2000
この火器管制レーダーは1平方mの物体なら140キロメートル以上の距離でも追尾できて、対空ミサイルにデーターを送ります。
このレーダーが真正面から見えていることが問題です。
「これは円形の皿状のレドームを持っているので、真円に見えているということはこちらに向けられていることを意味しています。哨戒機は目視で火器管制レーダーが動くのを確認、照射されたレーダー電波も感知して退避行動を取ったとのことです」
JSF 12月21日 https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20181221-00108571/
火器管制用レーダーは、海上を捜索する目的のものではありませんし、アンテナが空に指向していますから海上捜索に使用することはありえません。
したがって、これを海が荒れていたために北の遭難船捜索のために使ったという韓国海軍の言い分はまったく信用できません。
また、レーダーから標的に電波を送り、発射後のミサイルが相手から反射してきた電波を拾って方向修正するので、このレーダーで捕捉されれば、確実に海自哨戒機を撃墜することが可能です。
本当に撃つ気なら、照準した直後の数秒で砲弾が着弾してしてしまいます。
この行為は「西大西洋海軍シンポジウム」が作ったCUES(洋上での不慮の遭遇をした場合の行動基準・Code for Unalerted Encounters at Sea)に違反しています。
これは世界の海軍同士の平時のルールを定めたもので、国際法に準じるものです。
危険な挑発行為の常連であるロシアの解説はこうです。
「もし2隻の船を2人の兵士になぞらえるなら、レーダーによる標的の捕捉とそれに付随する行為は、弾丸の入ったライフル銃を敵に向け照準を合わせるに等しい。
そうした条件においては、挑発者自身により偶然引き金が弾かれる可能性もないわけではないし、標的とされた側の船の乗組員が、生命の危険を感じて衝動的に危険な行為に出る事もあり得る」
(「ボイス・オブ・ロシア」2013年2月8日)
つまり射撃用レーダーを照射して、照準(ロックオン)するという行動は、世界の海軍の常識では「弾丸の入ったライフルを敵に向って照準を合わせること」、すなわち戦闘準備行為そのものなのです。
それに対しての岩屋防衛大臣のコメントです。
P1哨戒機 http://zapzapjp.com/54621593.html
「岩屋毅防衛相は21日、記者団に「韓国側の意図ははっきりと分からない」としつつ、「極めて危険な行為だ」と批判した。レーダー照射は「あとは引き金を引くだけ」の危険な状況で、防衛省関係者は「韓国軍との間で聞いたことがない。驚いている」と憤った。
(略)
だが、外務省幹部は「友好国なのにありえない事態だ。韓国側から詳しい説明を待つが、関係が維持できるだろうか」と落胆を隠さない。外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は23日に訪韓し、徴用工問題の解決策について協議する予定だったが、レーダー照射事件の抗議に時間が割かれる可能性もある。」(毎日12月21日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181221-00000114-mai-pol
公平を期するために韓国海軍の言い分も聞いておきましょう。韓国軍は意図的に「照射した事実はない」否定しています。
「韓国海軍の駆逐艦が火器管制レーダーで日本の海上自衛隊のP1哨戒機を狙ったという防衛省の主張に対し、韓国軍当局は「通常の作戦活動中だった」と明らかにした。
韓国国防部は21日、防衛省の発表に関して「作戦活動間にレーダーを照射したが、日本の哨戒機を追跡する目的で照射した事実はない」と述べた」(12日通21日
https://news.nifty.com/article/world/korea/12211-151588/
当時の状況についての韓国側言い分です。
「当時の状況は、20日独島北東方向100キロメートル地点の公海上に北朝鮮の船舶が漂流しているという情報により韓国の海洋警察と共に海軍の駆逐艦が出動し捜索作業を10時間近く実施している過程で発生したという。
韓国軍関係者は「当時、波が高く気象条件が良くなくて、駆逐艦のすべてのレーダーを総動員していた」として「この過程で射撃統制レーダーについた探索レーダーが360度回転し撃った信号が日本海上自衛隊のP1哨戒機に探知されたものと理解する」と話した。
日本が主張するように射撃統制レーダーがP1哨戒機を直接狙ったわけではないということだ。
岩屋防衛相は、韓国側に意図を尋ねたが応答がなかったと話した。しかし、韓国軍関係者は「人道主義的救助のための措置だったことを東京駐在武官を通じて日本政府に十分説明した」として「防衛相まで出て問題提起するとは理解し難い」と付け加えた」(ハンギョレ12月12日)
http://japan.hani.co.kr/arti/international/32409.html
以上の韓国側の主張をまとめると、こうなります。
●韓国側主張
①発生場所は竹島北東100キロという周辺海域。
②韓国海軍クァンゲト・デワンが竹島北東方向100キロメートルの地点の公海上で、北朝鮮の遭難した船舶を捜索していた。
③当時、波が高いために韓国海軍艦艇は、すべてのレーダーを捜索に使っていた。
④射撃管制レーダー(火器管制レーダー)が360度回転しており、それか海自のP1に当たった。
⑤韓国海軍が海自の問いかけに応答がなかった件については、在東京駐在武官が日本政府に充分に説明してある。
韓国艦艇が北の艦船を捜索していたことは本当かもしれませんが、後はリクツになっていません。
難破船の捜索 のために対空火器管制レーダーを使用していたならただの素人ですし、5分間という長時間の照射からみると海自に対する戦争挑発行為です。
同じことを中国やロシアの艦艇や航空機にやってみるのですね。直ちに反撃されます。
最後にこのレーダー照射事件を、この間の日韓関係の流れの中に置いてみます。
●2018年10月12日 国際観艦式での自衛艦旗(旭日旗)の不掲揚要請
https://www.asahi.com/articles/ASLBD4J9JLBDUHBI02Q.html
●同年10月30日 朝鮮半島出身労働者に対する日本企業への賠償判決
https://www.recordchina.co.jp/b657625-s0-c10-d0058.html
●同年11月21日 慰安婦財団の一方的な解散表明
https://special.sankei.com/a/international/article/20181121/0001.html
●同年11月26日 竹島への国会議員の不法上陸
https://www.sankei.com/world/news/181022/wor1810220023-n1.html
.●同年11月27日、竹島周辺での海洋調査船の航行https://www.sankei.com/politics/news/180803/plt1808030006-n1.html
●同年12月14日 韓国軍竹島領海内で軍事演習
https://www.fnn.jp/posts/00400840HDK
●同年12月20日 韓国海軍艦艇が海自哨戒機に火器管制レーダーを照射
https://www.sankei.com/politics/news/181221/plt1812210031-n1.html
こうして時系列で並べると、韓国の意志が透けて見えるようです。
もはや韓国は正常な判断能力を欠落させてしまいました。以後、私たち日本人は、そのような国として対応するしかないでしょう。
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コメント
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んー、これは現政権もしくは軍内部の支持者の指示あってのことなのか?と。
ロシア相手にやってたら、全力で反撃食らってたでしょうね。
対空火器管制レーダーですから、あちらの言い分は全く通りません!
まあ、ハンギョレは・・・あのハンギョレですからブレませんね(苦笑)
今後の推移を注視する必要があります。
ただのバカなのか?本気で敵対行動を取ったのか?
最近の外交の流れで思うと確信犯的な挑発でしょうけど・・・。じゃあそれに対して我が国はどう出るかです。
近すぎる隣国であり、一応同盟国ですから対応が難しくなります。。
投稿: 山形(改装工事中) | 2018年12月22日 (土) 06時44分
韓国とは同盟ではありませんので分かりやすい形で対処してほしいものです(大使召還など)
投稿: ギロス | 2018年12月22日 (土) 09時01分
外洋で所属旗も掲げずに航行していて、なおかつ他国機にレーダーを照射、呼び掛けに返答なし。
北朝鮮の難破船を捜索中だったとの事ですが、瀬取りの護衛中だったと考えた方がしっくりきますね。
投稿: 李斯 | 2018年12月22日 (土) 09時33分
そしてこの時期に対馬にて民団の施設が新たに開設されています。12/20
事がここまで来て改めて思うのですが、外務省の韓国担当部局は何をしているのでしょう?官僚の不祥事や異常な服務態度の表面化が続いた昨今、ここにも疑問の目を向けざるを得ません。
前から外務省には余り良い印象は持っていません。現外務副大臣のイラク駐留時の活動や、サマワ現地取材のいろいろな情報を見ても現場では只の丁稚小僧程度の仕事しかしていませんでした。
今回の火器管制レーダー照射についてですが、指揮系統・または外部介入がどこであったかは別としても問題の根本は一連の事件と同じ感情が全てに優先する体質にあり、フェイク・エデュケーションに端を発する事です。
遺憾砲はそろそろ引っ込め、真っ正面切って、歪めた歴史教育を行い国民感情操作を行なっている国として捉えている事を、直接表明してもいい時期かもしれません。
ロスの壁画問題もあった事ですし、サイモン・ヴィーゼンタールセンターも怒らせたことにもつながりますからね。
投稿: 安兵衛 | 2018年12月22日 (土) 10時32分
在韓米軍の維持を主張していたマティスが辞めたこともあってアメリカの韓国離れは加速していくと思います。
それにしてもわかっていたこととはいえ、マティスが辞めたのは残念
投稿: 中華三振 | 2018年12月22日 (土) 10時37分
完全に日本を舐めきった行為ですし、それを少なくとも艦長レベルの軍人が行うという状況が今の韓国の危うさを証明していますね。
一昔前は「韓国は政治家はアレな方が多いが軍人は比較的まとも」という論調もありましたが、それももはや過去のものとなりつつあるようですね。
投稿: しゅりんちゅ | 2018年12月22日 (土) 13時46分
産経の記事によると中国が国連の瀬取り監視活動を妨害してるようですね。https://www.sankei.com/smp/world/news/181222/wor1812220011-s1.html
今回の韓国の挑発が繋がってるかどうかは断言できませんが、タイミング的に関連を疑ってしまいます。
投稿: 須山 | 2018年12月22日 (土) 18時09分
数分間で2回という事は、かなり意図的な事案だと考えざるを得ません。
そのねらいは海上自衛他の任務の妨害で、そうすると対北朝鮮国連決議にも違反した行為と疑えるのではないか。
韓国のような同盟国がある以上、マティスさんのような旧来の「同盟国重視」は他の米の同盟国にも危機を及ぼしかねません。
トランプ政権の選択もやむを得ないのではないかと思います。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年12月22日 (土) 19時43分
韓国軍も自衛隊も海軍として、昔も今もお互いをリスペクトし合ってると思うので、この照射行動はなんらかのシグナルの様に思えてならないです。
両国とも、机上ではまともなケンカも出来ないのに、現場にはあーだこーだでお互いを牽制し合わせるって、現場もウンザリだと思います。
今回の事件で、お互いにテーブルにつく理由が出来たのでは?
今後の日韓両国の未来について話し合ってもらいたいものです。
お互い、偶発的な事故でも最初に死ぬのは彼らなんですから。
投稿: 四国民 | 2018年12月22日 (土) 20時28分
儒教国の序列社会では、普遍的な法に従うよりも、なにかしら上層部
の喜びそうな手柄をたてて良い子良い子してもらうのが合理的な行動
になりますから、韓国軍の上層には「日本いてまえ!」主義の人物らが
実在していて、末端兵士もそれに忖度して功名心に走ったのだと思い
ますわ。
半儒教国の日本も、旧関東軍が命令に背いても結果オーライでちゃん
と国・軍に利益をもたらしたので、お咎めどころか裏では褒められて、
それに文句を言うことは空気が許さなかったという時代がありました。
インパール作戦でも、ただのムチャをソコまでやってくれるか!と称賛
されたいヒラメ司令官は失敗してもお咎め無しで、これでは「成功したら
ボクの大手柄だし、失敗したらボク知らない」というヤリ得になってしま
います。こんな腐った組織、それも軍隊なら最後に消滅して当然です。
何回も書きますけど、韓国とはムラ八分の最低限のお付き合いにして
おかないと・・ 共同軍事行動など怖気がしますわ。
投稿: アホンダラ1号 | 2018年12月22日 (土) 22時39分
https://www.asahi.com/sp/articles/ASLDQ36H5LDQUHBI00G.html
すぐバレる嘘を並べながら、日本側に抗議の事実を公表しないよう求め、問題の拡大を防ぎたいんだそうです。いつもながら凄い言い訳力です。
韓国をぶっ壊しながら日本を巻き込みたい人達があちこちにいるみたいです。あっちの方はともかく、日本国内で呼応して今の韓国に寄り添おうとする人達をしっかりチェックしないとです。
やっつけろとかこっちから撃てみたいな馬鹿げた事をネットに書いている人もいますが、そんな濃い対応しては思う壺ですよね…。
投稿: ふゆみ | 2018年12月22日 (土) 23時41分
これって過去に停電起こして(予備電源も)航行不能になったり、システムが勝手にシャットダウンを起こしたり、トップベビーなためステルス性が損なわれてる艦船ですよね。
レーダーが誤作動した可能性もあるような気がしますが…ん〜、そんなことないか。
投稿: 多摩っこ | 2018年12月23日 (日) 03時00分