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2018年12月 3日 (月)

パリは燃えているか?

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パリ暴動で足元に火がついているマクロンがG20で、ゴーン問題をなんとかしちくれぇと言ってきたようですが、うちの国の首相は「政府が関与することではない」とすげない返事をしたようです。

とうぜんです。日本はフランスのように、産業界に国営企業などないのですから、「ヨーロッパの中国」とまで揶揄される国有企業がはびこっているフランスと足並み揃えろというほうが無理です。 

Gjwa30vdロイターhttps://jp.reuters.com/article/nissan-ghosn-macron-abe-idJPKCN1NZ2MV

マクロンはこのG20で、フランスと中国を念頭においたと見られる「国有企業の腐敗についての清廉確保」についての共同声明を出されてしまう始末です。
外務省https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000424876.pdf

「29 我々は,腐敗の防止及び腐敗との闘いに引き続きコミットしており模範を示す。
我々は,新たな行動計画 2019-2021 に合意し、国有企業における腐敗防止及び清廉性の確保に関する原則」及び「公的部門における利益相反の防止及び管理に関する原則」を支持する
これらの原則は公的部門及び民間部門における透明性及び清廉性を促進する。我々は、我々の G20 のコミットメントに沿ったものを含め、腐敗と闘いための実際的な協力を継続する。
我々は、腐敗とその他の経済的犯罪との結びつき、及び、そのような犯罪関係の捜査対象者の送還及び奪われた財産の返還に関する、国際的な義務及び国内法制度と整合的な形での協力を通じたものを含め、そのような結びつきに対処する方法について更に模索する」

名指しされたものではないですが、実質的にルノーとゴーンのケースはまさにこの「国有企業における腐敗」そのものであって、「経済犯罪とのむすびつき」が疑われる事例です。

この声明が出される前に、安倍総理とマクロン大統領が会談しました。

「日本政府によると、首相は「(3社連合は)日仏産業協力の象徴だ」との認識を示した。今後については「民間の当事者で決めるべきで、政府がコミットするものではない」と強調した。
ロイター通信は仏大統領府の話として、マクロン氏が「3社連合が安定した状態で維持されるように強く望む」との考えを示したと伝えた。日仏首脳は3社連合が安定的な関係を維持することが重要だという点では一致した」(日経12月1日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3842425001122018000000/

 だまた、「マクロン大統領は「連合を存続させ、連合の安定性を維持すべきという強い願いをあらためて表明した」(ロイター12月1日)そうですが、首相はこのように答えています。

「連合の将来は民間株主にかかっていると伝え、日本政府が連合の将来について予断を持つことはないと述べた。
政府高官によると、安倍首相はマクロン大統領に対し、法的手続きが進められるのを見届けるべきとの立場を示したという」(ロイター同上)

ゴーン容疑者の今回の事件の全貌はまだ解明途中ですし、なにもわからないうちからゴーンはカエサルだと持ち上げて、日本人のクーデターだ、やれブルータスだ、と批判一色のフランスメディアの論調のほうがおかしいのです。頭を冷やしなさい。

そもそもG20で出すこと自体、マクロンの見識を疑います。

いくら国営だからといって、はたまた自分が経済相だった時にルノーへの肩入れ政策を強力に押し進めたからといって、首脳会談のテーマにすることではありません。 

仮に日本政府が日産に、なぁ日産よ、お前らゴーンへのこれ以上の民事訴訟なんか止めろや、なんて言ったら、そのほうがおかしいじゃありませんか。

さて、日本では大きく報じられていませんが、マクロンは絶体絶命のピンチです。 

それはフランスで2週間に渡って、暴力デモが沸騰しているからです。 マクロンはG20から帰る早々、焼け跡を見るはめになったようです。

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「フランス全土で行われた燃料税引き上げに抗議する大規模デモから一夜明け、パリ中心部では多数の破壊行為が明らかになりました。
 マクロン大統領がアルゼンチンでのG20から帰国後、すぐに向かったのは、歴史的建造物・凱旋門です。しかし、そこにはデモ隊がペンキで書いたとみられる無数の落書きがありました。
 1日のデモには、フランス全土でおよそ13万6000人が参加、特にパリではシンボルの「黄色いベスト」を着たデモ隊の一部が暴徒化し、およそ400人が拘束されました。
一夜明けたパリ中心部では、民主的なデモとはかけ離れた暴動ともいえる破壊行為が明らかになり、至るところで車やオフィスなどが放火されたほか、一部の商店では略奪行為も起きていました」(TBS 12月 2日)
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12198-137539/

「フランスで続いている燃料税引き上げなどに抗議するデモが1日、国内各地で行われ、パリでは凱旋門周辺にデモのシンボルの「黄色いベスト」を着た数千人が集結した。前週に続き警官隊と衝突、広場は催涙ガスや発炎筒の煙に包まれた。同国のメディアによると180人以上が拘束され、警官を含む80人が負傷した。
 11月24日に大規模な衝突のあったシャンゼリゼ大通りは、当局が車両通行止めにし、入る際に身元や荷物を検査してデモを管理。
一方、規制のない凱旋門を中心としたエトワール広場にもデモ隊が集まり、警察が催涙ガスや放水で排除を図ったが、占拠を続けた」
(共同12月2日)

これが先進国のやることですかね。

いつもはデモに対しては節度を呼びかけるEUは、今回なぜか沈黙を続けているそうで、逆にいかにEU中枢の狂乱ぶりに驚いているのかがわかります。 

数十万人が参加したデモがなんと600回もあったそうで、そのつど暴動に発展しました。 

とまれハンパない荒れ方で、もはや市街戦の様相を呈してきました。 

5bfbf38fa2d50ロイター

上の写真に見える黄色のベストは自動車の事故時の装備として常備を義務づけられているそうですが、これはとうに売り切れてデモ隊の制服と化してしまったそうです。 

いつもはデモになど行かないサラリーマンまでが、この黄色のベストを付けて覆面してペンキや石を投げているのだとか。 

もはや、デモの原因だった燃料税引き上げ、CAF(生活保護)の毎月5ユーロの削減といったマクロンの悪評さくさくの緊縮財政に対する抗議から離れて、暴動がもたらす快楽に酔っているように見えます。 

一方、警官側 もデモ規制などという生易しいものではなく、軍事制圧の段階にきています。 

警備主体も一般の警官に代わって、国家憲兵隊(ジャンダルムリ・国家警察軍)という準軍隊が大量投入されました。
国家憲兵隊 (フランス) - Wikipedia 

このジャンダルムリは傘下に、IS掃討で名を馳せたGIGN(治安介入部隊)というすぐ自動小銃をぶっ放すことで有名な特殊部隊を擁しています。 

たぶんこれも既に出動しているのではないでしょうか。 

というのはカッサーと呼ばれる全身黒づくめのテロリストが登場して、計画的に放火と強盗を繰り返しているからです。 

Img_251f0146bb79792684d4c8066f71f46AFP 

彼らはかねてから目撃されており、マクドナルドに火をつけたりするようなまねを繰り返す組織的テロリスト集団で、千数百人規模で黄色ベストのデモ隊に混ざって暴れまくっているそうです。 

沖縄復帰デモに紛れこんで、火炎瓶を投げていた過激派のようですね。たぶんこいつらのバックには正真正銘の武装テロリストがついているのでしょう。

警察軍が介入した後も止むことなく、警備側136人を含む756人が負傷、693人が身柄を拘束され、それになんとまぁデモ隊側には2人の死亡者が出たそうです。 

日本だったら内閣が飛びます。 

石油貯蔵所は警備のために閉鎖し、デモ隊が入れ口を封鎖したりしたために、全国的に麻痺状態でだそうで、それがまた石油製品の高騰を招き、いっそう国民の怒りを招いてデモが拡大する悪循環となっています。 

もうマクロンは、フランスマスコミの援護射撃の下に、せめてゴーンのことで日本の譲歩を勝ち取りたかったようですが、これもあえなく蹴飛ばされてしまいました。

というわけで、支持率は20%と最悪、人気も今やそのエリートヅラが嫌われて最低、国民生活を破壊する緊縮政策で経済もインフラもボロボロ。

そのうえデモで煮えくり返る国内を抱えて、盟友ゴーン逮捕、国営企業ルノーの金づるだった日産の反乱まで起きて大ピンチ。

やれやれ、マクロンさん、この四面楚歌をどうするつもりでしょうか。

■すいません。改題してしまいました。

 

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コメント

ナイス改題!

ルノーなんか今は「半国営に近い民間企業」ですが、
フランスはド・ゴール後の左派政権時代にルノーやエルフなどの基幹産業会社を片っ端から国有化してきた歴史がありますからね!

また、フランスは近代革命元祖のお国柄なのか、大規模デモやゼネストはお家芸ですね。
古くは大戦の戦間期のダラダラぶりで、美術文化などはは大繁栄したけれどもナチスドイツに瞬殺されたり。
近年では90年代に交通違反の点数制(日本のようなもの)に反対してトラックドライバーが全土で幹線道路を封鎖したこともありました。。
日本でブームだった91年でしたか、中部のマニ・クールサーキットに移ったF1フランスGPがモロに被って、フジテレビが袖の下渡して救急車でスタッフが移動したなんてこともありましたね。

フランスの政治・経済界では、確かに「日本人の部下がクーデターをした」かのような論調が多いようですね。

しかし、そんなフランス政府と戦うフランス国民側から見れば、ゴーン氏の解任は当たり前のことだと受け止められているようです。
まあそれ以前の話として、内乱状態のフランスをほうっておいて外遊するなと、当たり前のことを言われているようですが。

話は変わりますが、イエロージャケットは雀蜂という意味もあるそうです。
黄色いジャケットのデモ隊は、まさしく手当たり次第に暴れまくる雀蜂のようです。
日本ではハロウィンで軽トラを引っ繰り返しても、若者は捕まりもせずに逃げますけれど。
フランスでは別の意味で、多くの犯罪者が逃げおおせるでしょう。
マクロン氏は自分がクーデターを起こされるかもしれないのに、ゴーン氏の助命嘆願とかしてる場合じゃないです。


それはそれとして。
私は今日の記事の改題前のタイトルを知りませんが。
このタイトルは、映像の世紀を思い出すと共に、例の映画のヒトラーの台詞も思い出します。

例えば今、陰謀論として誰かが「パリを燃やせ」と命令したとして、果たして誰が命令したのだろうか……なんて考えてしまいます。

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