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2018年12月17日 (月)

マクロンの勝利・ジレ・ジョーヌの敗北

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辺野古に土砂の投入が始まったようですが、とくに驚きはありません。 

私の中には、美しい湾を埋め立てることに対する哀しみは残り続けますが、デニー知事が前任者の路線を縮小再生産して引き継いだ以上、政治過程ではこうなるべくしてこうなったということ以外に感想の持ちようがありません。 

あえて言えば、前任者よりもカリスマ性と政治手腕が落ちたぶんだけ、現知事のひ弱さが浮きだして見えるのが痛々しいくらいでしょうか。

Wst1812140028p1https://www.sankei.com/west/news/181214/wst1812140

語弊がありますが、デニー氏は既に本質的に終わった問題を蒸し返しているだけのことで、切り口になんの変化も見られない以上、果てしもないエンドロールを見せられている気がします。 

あと強いて「新味」を探すなら県民投票ですが、肝心要の移設元の宜野湾市が反対している以上、なんの説得力も持たないものとなるでしょうし、2月実施予定の頃には埋め立てもそうとう進んでしまっています。 

地元不在の県民投票を強行して、よしんば勝利したとしても、埋め立ての撤回とは現実には海中の土砂の撤去を指します。 

そんな馬鹿な作業に、政府が税金を投じることがありえるとでも思っているとしたらかえって驚きを感じます。 

Photo_2https://www.fnn.jp/posts/00407431CX

さて、エマニュエル・マクロンが白旗を揚げました。ただし、半分揚げただけで、政治的延命には成功した気配です

「【12月12日 AFP】フランスの反政府デモ「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動に対し、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が最低賃金の引き上げや減税といった譲歩策を提示したことを受けて、運動に対する支持率が急落したことが、2つの世論調査で11日、明らかになった。ただしマクロン大統領の演説をめぐっては、世論が二分しているq
 マクロン大統領は10日夜、国民に向けたテレビ演説を実施。2300万人前後が演説を視聴したという」(AFP12月12日)

http://www.afpbb.com/articles/-/3201757 

ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト運動)※をなだめるために最低賃金の引き上げや退職者増税を凍結するそうです。※フランス現地の呼称を使います。 

ジレ・ジョーヌが強く求めていた富裕税の撤回は拒否しました。 

おそらくはジレ・ジョーヌが、まとまっていないことを見透かされたのではないかと思われます。 

彼らの弱点は、デモが荒れていることを見ればわかります。 

切り貼りのメディア報道ではなく、淡々と中継しているユーチュブ動画を見れば、あれでは政府は倒せません。
https://www.youtube.com/watch?v=Q6UpuouOomU 

デモを荒れさせることは、一見「国民はこんなに怒っているぞ」というアピールしているように見える人もいるかもしれませんが、逆です。 

商店を略奪し、市民の車に放火するような暴力分子が、ジレ・ジョーヌだという誤った情報を発信してしまうからです。 

デモの9割は下の写真のように穏やかな抗議者たちで、暴徒はごく一部でした。

この人たちが自分たちのまとまった「司令部」を作ることが出来なかったことが、彼らの敗因です。 

Photoジレ・ジョーヌhttps://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181213-032011 

無統制な暴徒たちは、SNSで集散し、アメーバーのように各所で火をつけたり、バリケードを作ったりしていました。 

当初はゲリラ戦術としては有効でしたが、これは統一された反政府指導部が存在し、強力なリーダーが状況を統制している場合だけのことです。 

時間がたてば、騒いでいるのは極右か極左か、はたまた宗教テロリストかわからないようなアウトローたちだとバレてしまい、穏健なデモをする人たちから遊離していきました。 

2018120900039848houdouk000view略奪を受けるフェンディの店舗https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181209-000398...

決定的なことは、店舗襲撃にまで及んだことです。

アップルやフェンディの店舗の略奪は、ただの反社会的行為の域を超えて立派な犯罪行為です。 

犯罪によって社会がよくなることはありません。 

かつての高江や辺野古で私は、抗議することの正当性が暴力を許すわけではないことをなんども繰り返しました。 

暴力は必ず弾圧を呼び、いっそう社会を分断していきます。 

マクロンは、この「ハネる一部暴徒」と「穏健な大多数」が分離する時期を待っていたわけです。 

彼は一部の愉快犯もどきの暴徒集団と、9割の穏やかなジレ・ジョーヌの隙間ができたのを読み切って、妥協のカードを切ったということです。 

ですから、妥協にもならない燃料税の一時凍結や最賃の引き上げなどという、こういってはナンですが飴玉1個程度の妥協でなだめることに成功したのです。

仮にこのような暴力「革命」が勝利したとして、それによって生まれた新政権には正統性がありません。 

仮に新政権ができたとした場合、貧困層の減税、富裕層増税、そしてなによりEUからの離脱を掲げることでしょう。 

これらを掲げなかったら、マクロンを倒した意味がないからです。 

これに対して国際社会、特にEUは呆れながらフランスを眺め、新政権を承認するかどうかさえもめるでしょう。 

承認されるとしても、それは冷厳な条約の履行との引き換えにしてです。 

また国内政策においても、できることはあまりに少ないのです。 

なぜなら、マクロンの政策はことごとく「EUのいい子ちゃん」路線だからです。 

Img_d583bfb43c9e6ae79eea1a8f5d9e020http://bunshun.jp/articles/-/6863

たとえば、ジレ・ジョーヌの批判の的だった年金受給開始年齢の引き上げは、フランスの財政事情が長年の社会党による既得権益者重視によって、危機的水準だったからです。 

解雇規制の緩和に関しても同じことで、フランスの国有企業と公務員の多さは社会の流動性を低めていて、公務員天国・労働組合天国といったありさまでした。 

むしろ解雇規制があるから企業は新規採用を見合わせてきたのであって、これが緩和されることは雇用の拡大に繋がってもおかしくはありません。

ではこの若年労働者の25%もの失業率の原因はといえば、それは端的に景気が悪いからです。

景気が悪い原因はわかりきっていて、ユーロという「みんなの通貨」を使っているために、フランス独自での景気浮揚策が封じられているからです。

景気浮揚するためには、基本的に二つの手段を用いるしかありません。ひとつめは金融緩和をすることと、今ひとつは財政拡大です。

ところが、フランスはこの両方を封じられています。

仮に金融緩和したくとも財政赤字が、一定枠に収束させるヨーロッパ財政収束基準(コンバージェント・ クライテリア)で3%以内に納めることが義務づけられているからです。

これではフランス独自の公共投資などによる景気対策はまったく不可能です。 

ひたすらメルケル先生の教えどおり、ケチケチ緊縮路線をひた走るしかありません。

かくて今のざまです。街には若年労働者の失業者が溢れ、インフラはボロボロ。

地方に行けば公立病院や郵便局は閉鎖され、遠くの病院に行こうにも燃料が高くて行けない・・・。

鉄のお碗は公務員くらいですが、それもマクロン改革で既得権が脅かされて風前の灯。

フランスが取り得る最善の道は、外国人の私から見れば、EUから離脱しないまでもせめて共通通貨のユーロからだけからでも離脱することです。

EUという「黄金の檻」の中でもがいていてもどうにもなりません。

「革命政権」は国際承認を得たければEUの諸原則・条約を呑むしかないし、さもなくば国際承認を得られない浮浪政権となるしかないのです。

結局、ヨーロッパの各国政府にとって、国内政策が最後には必ずEU問題に行き着いてしまうことが、最大のヨーロッパの悲劇の源泉なのです。 

富裕税の廃止も、素直に評価すればトランプもやっているような減税政策にすぎません。 

減税政策は成長のてこ入れとして必要で、これに産業の成長戦略がくっついて一本の政策になります。 

そこでマクロンは、燃料税を上げて電気自動車に誘導することを目指したわけです。今回の日産ゴーン問題の背景はここにあります。 

日本にとってゴーン問題はしょせん一民間企業の企業統治のあり方の問題にすきない部分がありますが、フランスにとってはマクロン政権の肝だったのです。

マクロンにすれば、電気自動車で景気が浮揚するからやがて税収が上がって、やや時間をもらうがその恩恵は必ず分配政策として国民に等しく還元できるんだ、と言いたかったのでしょう。 

このように見てくると、マクロンはそうメチャクチャなことをやっているわけではないのです。

ただ、彼に致命的に欠けていたのが、「石油を買えなかった、電気自動車を買え」と揶揄されるような政治家としてのコミュニケーション能力です。

それは彼が学歴超エリートの哀しさで、トランプのようなトランプ節を支持する鉄板の支持層などいないからです。

というわけで、私はマクロンの代わりは、現時点ではいないと思います。

あえていうならばマリーヌ・ルペンでしょうが、彼らに政権が担えるとは到底おもえません。

したがって、中道右派との連合政府になるでしょうが、統一された政策綱領ができるかどうかさえ不透明です。

特にEU離脱が金看板のルペンがこれを譲るとは思えません。

とまれ、ジレ・ジョーヌの皆さん、「革命」はもう終わりました。レ・ミゼラブルの「民衆の歌」※を歌うのはそろそろ止めて、家庭にお返りなさい。
https://www.youtube.com/watch?v=WtfPZZtmThU

 

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コメント

辺野古のダンプカーの写真を見て、白いシートが雪の山に見えてしまったのは雪国在住の性ですね。。


フランスですね。
まあ、マクロンの求心力が低下したのは確かでしょうけど、マスコミが連日伝える「デモ」とやらが酷すぎて・・・殆どは善良な市民なんでしょうけど、あれじゃデモではなく略奪・放火という集団犯罪行為でしかありませんからね。。規模がデカくて全国に及んだせいか、SNSで勝手連が集まってやらかしたのか、全く統制が取れていない時点でアウト!
公務員天国のフランスですが、近代革命の元祖の国でもあります。
王朝を倒したフランス革命でも、その後しばらくどうなったかなんて・・・歴史の教科書読んでれば子供でも分かりますよね。。

ところで、あれだけ大量の黄色ベストはやはり中国製でしょうかね?などと(笑)

最近はウチの親父殿にもよく言い聞かせて早朝や夕方以降は反射素材の腕章を付けて出歩いています。
年寄りになるとどうしても黒やグレー系の目立たない服が多くて、クルマ乗ってると発見が遅れて「ヒヤッ」とするときがありますからね!もうそれこそ全員蛍光黄色のベスト着て歩いて欲しいくらい。実は1着持ってますがメイドイン・チャイナですね。

「沖縄県民は日本国民ではないと言うつもりか」
いや、大手だけでなく地元メディアからすら、存在していないかのごとく無視される宜野湾市民ですがそこは。
あんなことしか言えないオザーさん、落ちぶれたものです。
同じ態度のメディアや政治家やコメンテーターの誰も、「県民感情」とやらを叫んでも、辺野古移設そのものの適法性は批判しません。
仰る通り、終わったことです。

実は私もかつて座り込みをやったことがあるし、他人の物に八つ当たりして壊したこともありました。
あれは6歳の頃だったか。
「ならんものはならん。いつまでも一人でそうしていなさい」と、祖父母からも親からも言われました。

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