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2018年12月 8日 (土)

マクロン絶体絶命

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マクロンが燃料税を1年延期したそうです。最悪の時期に、最悪なことをする人です。 

それを淡々と報じるBBCです。「仏政府が発表した燃料税増税に対する全国的な抗議行動を受けて、エドゥアール・フィリップ仏首相は4日、来年1月1日から予定されていた増税の実施を6カ月延期すると発表した。
フィリップ首相はテレビ演説で、政府は国民の怒りを見ているし、耳にもしていると述べた。
3週間前から続く抗議行動によって、仏各地の主要都市で損害や破壊が続いている」
(BBC2018年12月5日
https://www.bbc.com/japanese/46450110)

なぜ最悪かといえば、もっと前に燃料税増税を撤廃するという判断が必要だったからです。

このように暴動が全国化して、パリでは暴動に発展している極期に、こんな鎮痛剤を処方しても効かないからです。 

_104612043_macron_protest_afpBBC 同上

政府がこのような譲歩をひとつすれば、私がデモ指導者だったなら、マクロン辞任まで追い込めと号令を出すはずです。

実際この左右相乗りのデモは、マクロン辞任と大統領選のやり直しを求めています。このまま推移すれば、その方向になるかもしれません。

すると、政権は暴力デモに屈した結果になってしまいますから、次に誕生する政権は「革命政権」ということになってしまいます。

その場合、レジティマシィ(正統性)が疑われる政権交代となりますが、「民主主義の祖国」としてそれでいいのですか。

レジティマシイが危ない政変が「革命」です。

18世紀のフランス革命の再来を待望するのは、SEALDsに涙して「これが民主主義だ」と叫んだ日本のインテリ文化人くらいなもんでしょうに。

1968年の5月革命の再来といわれているそうですが、かつてはドゴールとマルローのカリスマ性たっぷりのふたりが腕を組んで行進して終息しましたが、今、軽量系大統領のマクロンが街頭行進したら石を投げられます。

さて、マクロンは公約として、就任前からガソリンとともにディーゼル燃料に対する増税を実施するとしていました。その大枠はこうです。
https://sustainablejapan.jp/2017/05/12/macrons-energy-policy/26778
 

①石油税を増税して、石油燃料の消費を抑制する
②2040年までに化石燃料自動車を廃止する
③電気自動車向けの充電スタンド設置を政府支援する
 

世界最大の原発大国フランスのエネルギーを、エコ方向に転換するという政策で、実は前のオランド大統領社会党政権時代に「エネルギー転換法」として2015年7月22日に制定されていました。 

この法律によって、フランスの重要な輸出品のひとつだった電力を、原発から再エネシフトに替えていこうという政策です。 

こんな脱原発政策は、メルケルの轍を踏むようなもので、確実に失敗します。ドイツの脱原発政策の失敗についてはかなりの分量の記事を書いていますので、お読み下さい。

マクロンの場合、理念的なメルケルと違って電気自動車に政策誘導するためのものでした。

だからマクロンは電気自動車の優れた技術を持つ日産を、なんとしてでもルノーと合併させたかったし、そのキイマンだったゴーンを重用してきたのです。

また、脱原発政策の一環として、マクロンは化石燃料消費量の廃止、石油由来廃棄物の大幅削減、企業及び金融機関に対する気候変動関連情報開示制度などを作ろうとしました。 

さらに、このオランド社会党路線を継承した上で、公的年金制度、住宅費補助といった生活支援政策にまで大なたをふるおうとしました。 

まとめるとこんなところです。

①石油税増税・電気自動車推進
②財政赤字をGDP3% 以内に抑えるための緊縮財政
 

ここまではお隣のメルケル路線に似ていますが、そうとうに違うのはマクロンがグローバル企業優先シフトを敷いたことです。

「マクロン氏は就任以来、アメリカ流の規制緩和や「小さな政府」路線に基づく改革を行ってきた。
そこには雇用契約や農産物貿易の規制緩和や、公共サービス削減、主に富裕層向けの減税などがあげられる」(ニューズウィーク2018年12月03日)

https://www.newsweekjapan.jp/mutsuji/2018/12/post-50_2.php

すると、グローバル企業の投資をフランスに呼び込むために、その障壁となるフランス国内の規制を撤廃していくことになります。 

となると必然的に、マクロンが非効率的と見なした規制や労働条件の改悪、国民サービス、農業への支援の削減がやり玉に上がりました。 

「フランスではもともと公的機関が経済にかかわる傾向が強く、GDPの50パーセント以上を公共セクターが占める(いま話題のルノーの最大の株主もフランス政府だ)。
労働者の権利なども手厚く保護されてきたため、簡単にレイオフされない反面、これが経営者に新規採用を躊躇させ、失業率は慢性的に高い状況が続いてきた。
また、安全保障上の観点から食糧とエネルギーの自給を重視してきたため、伝統的に農家への補助も手厚いが、これは財政赤字の一因にもなってきた」
(ニューズウィーク前掲)
 

Img_3e4be49ac305ed2e911fee62dec2281https://toyokeizai.net/articles/-/186201

国民生活に直結する、マクロンの「改革」政策はこんなところです。

①規制緩和
②解雇契約の緩和のための労働法改正
③公共サービスの削減
④住宅費補助の削減による生活支援のカット
⑤農家支援の削減
⑥石油税増税
⑦富裕層向け減税
 

①の規制緩和は個々をみないと評価は下せませんが、②以降の施策はこれを全部一気にやったら国民から総スッカンを食って当然なものばりです。

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ニューズウィーク 前掲 

上のフランスの失業率グラフを見ると、フランスの失業率は極めて高くこの数年22~25%で推移しています。 実に4人にひとりが失業者です。

たしかにこのマクロンの外資導入路線によって、大都市は経済活況が生まれましたが同時に襲ったのが、物価が高騰する中での失業率の高止まりです。 

しかも、労働法改正による雇用契約の緩和、生活サービスの削減の結果、簡単にクビにされる若年層に皺寄が来ました。 

そしてもうひとつ大きな影響を受けたのが、地方です。

農業と地場産業が基盤の地方経済は、マクロンのグローバル企業優先政策によって大打撃を受けました。 つまり、フランスは貧富の格差が開いて、地方を痛めつけたわけです。

マクロンはゴーンを助けるべく安倍氏にまでかけあったわけですが、デモの市民からは「ゴーンみたいな億万長者なんか日本の刑務所に入っていろ」となどと言われしまっています。

日本の失業率2.88%と比較すると、その悲惨さがわかるでしょう。 

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日本は既に理論的最低値となっていますし、若年層の就業率(大学就職率98%)も過去最良です。これが安倍政権を若年層が支持する最大の理由です。
完全失業率 - 総務省統計局
平成29年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在):文部科学省

安倍氏も規制緩和をしていますが、そのような「改革」はこういう失業率の極小化が完成して初めてできるのです。

マクロンの場合、いわば富者優遇、貧者死ね、といわんばかりの政策をしてきて、冬入り前に燃料代を上げようとしたのですから、国民が怒って当然です。

このような貧者のセーフティネットをはずしてしまうところが、マクロン自らが「右でもなければ左でもない」と言っているゆえんでしょう。

反原発を掲げて再エネ推進などは保守政権ではとれなかったしょうし、一方、労働者の既得権を破壊し農家支援をカットすることなどオランド社会党政権にはできなかっでしょう。

ではマクロンとは右でも左でもない何者なのかといえば、外国企業優遇、つまりはグローバリストだったというわけです。

その上に緊縮財政主義者ですから国防費を削減し、それに抗議した軍のリーダーに高圧的に対応したために、軍からも総スッカンを食っています。

フランスのマクロン大統領と国防予算の削減を巡って対立していた軍の制服組トップ、ドビリエ統合参謀総長が19日、辞任した。
ドビリエ氏は声明で、予算の制約が厳しい中で効果的な防衛力の維持に努めてきたが、これ以上は維持できないとし、「現在の環境下では、フランスやフランス国民の保護に必要な防衛力をもはや保証できない」と表明した」(ニューズウィーク2017年7月20日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8015.php

とうぜん支持率はいまや危険ゾーンに突入し、いつ辞職に追い込まれても不思議ではない水準にまで落ちています。 

Photo日経 

その上に、まだあるんですから、お立ち会い。

マクロンという男は、パリ政治学院、そしてフランス国立行政学院という二大超エリート大学出で、ロスチャイルド系の投資銀行で200万ユーロ(約2億5千万円)の年収を稼いでいた人物ですから、娑婆の切なさを知らないのです。
エマニュエル・マクロン - Wikipedia

「例えば、「駅は面白いところだ」といい、その理由として「成功した者と何でもない者に会えるから」(前者は彼自身のようなビジネスエリートを指し、後者はほとんどの一般の人を指すとみてよいだろう)。
また、就職活動に苦労している若者に対しては、「どこでも働き口はあるはずだ」と言ったうえで、私なら、あの通りを渡るだけで、きっと君に仕事を見つけてやれる」(ニーズウィーク前掲)

私なら見つけられる」って、そりゃベスト&ブライテストの国立行政学院でてりゃ、通りを渡るだけで見つかるわな。
フランス国立行政学院 - Wikipedia

それを4人にひとりが失業している「なんでもない者」たちに言ってどーするの。イバりたいの、怒らせたいの、それとも単なるエリート馬鹿なの?

またほんとうにこう言ったのかどうか知りませんが、石油税増税に反対した者に対して言った台詞がまことしやかに流れています。 

「ガソリンを買えなかったら、電気自動車を買え」

 いくらなんでもこれはマリー・アントワネットの有名な言葉(ウソですが)のもじりでしょうが、そう言いそうな奴だと、国民から見られているのはほんとうのようです。

そういえば、抗議した軍トップに言ったセリフも残されてています。

「私が上司だ」

憤然としてドビリエ統合参謀総長は、辞表を叩きつけてしまいました。

やれやれ、この人が今までどういう生き方をしてきたのか、わかってしまいますね(ため息)。

政治家やっちゃいけない人なんですよ。

Img_ec3458acc3485593b9b2d8a11104011AFPhttp://www.afpbb.com/articles/-/3157919

ちなみに、マクロンはチャイナマネーに大きな期待を寄せています。

「マクロン氏は8日、西安から北京に移動して習近平国家主席と会見。国営新華社通信によると、双方は「重大な国際問題」について密接に協力することで一致した。北朝鮮の核問題などが念頭にあるとみられる。またマクロン氏は中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」について「重要な提案であり積極的に参加したい」と述べた。両氏は9日に正式な首脳会談を開く」(産経2018年1月8日)
https://www.sankei.com/world/news/180108/wor1801080027-n1.html

わざわざ訪中時には、習への手土産としてフランス軍自慢の軍馬を持っていって、習を喜ばせたそうです。

なおトランプ とは、メルケルと「独仏合同軍を作ろう」とブチあげて、激怒されています。

かくてマクロンは、「右でも左でもない」から「右からも左からもまんべんなく嫌われる」政治家になってしまったようです。

 

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コメント

フランス政治は、
戦後のド・ゴール時代に独自路線を長くやって、それが疲弊した所で反動的に左派が長いこと政権を握っていたせいでルノーやエルフなどを片っ端から国有化して保護。農業や福祉の向上とバラマキ。。80年代になるとやり過ぎた、と再民営化したりでブレまくりながら、どうにか騙し騙しこなして来たという感じですね。

まあ、グローバリズムが極端に進んだ現代に国のトップに立ったマクロンも可哀相っちゃ可哀相なんだけど、やることが悪手ばかりな気がしますね。。若すぎるというか。

などと、朝から頂き物の美味しいマカロンなんぞをたまたま食べながらの感想。

9カ所

「読者」さん。あなたは何個のHNを使っているのですか。「愛読者」「一読者」「元読者」「匿名読者」。
5つのHNをつかいわけることは禁止です。あたり前でしょう。常識です。

それと暗号のような意味不明のことを入れるも止めて下さい。
こんなHNを使い分ける人はもう来ないで下さい。

ん、
同一人物でしたか。なるほど、少なくても愛読者ではありませんね。

どんな職業かは知りかねますし興味もありませんが、「校正」業務にちゃんと就職なされてはいかがでしょう。優秀そうですからね。校正前原稿への皮肉だけは。

列挙するとダメ加減凄まじいですね…。暴動デモはマルセイユなどにも飛び火しているとか。ルペン氏よりマシと消去法で当選した彼に取って代わる者の名前が来年辺り出てくるのか、今はスンとも聞こえませんね。
欧州は定期的に暴動を経験しているので今回も彼等流のツケ回しをやれるとは思います。暮らしや治安が落ちる事に案外強い人々です。
最後のチャイナマネーについては今どういうスタンスなのか、年初よりは引いている筈ですが独仏は今中国とバッサリとはいかなそうですね。。。などと思いつつ私は毛糸洗いの週末を過ごしております。

マクロンなら毛糸洗いに自信が持てます~♪♪

ですね(爆笑)

 フランスの衰退を見ているような気がする。フランスは立ち上がれるか? 電気自動車は急ぎすぎのような感じだし、中国への傾倒もいただけない。肝心の中国はこれから経済的に混乱の時期に入るということですし、今のマクロン大統領の政策は悪手ですね。保守派のルペン党首が大統領になっていたら良かったのにと思いますね。

 ドイツはどうなっていくのだろうか? EUの行方はどうなのかと気がかりばかりです。

 気がかりと言えば、沖縄の知事デニ-さんのことがあります。これからどうなるのか? こんな知事ならいなくても良いような気がしております。沖縄と日本にマイナスばかりです。この方には知性の欠如が感じられます。また、発する言葉に重みがありませんね。

現フランス政府の迷走ぶりはまさにフランス革命時の流れを彷彿とさせてますね。小手先の妥協でより追い込まれていく点などソックリです。現地インタビューでシトワイヤンの言葉を久々に聞いた感がありました。
まぁ革命慣れしている故に、革命そのものはともかくその後の混乱と収束法こそ一番恐ろしいことを知っている(はずの)国民なので、極端なことにはならないと思っていますが。

とはいえ報道ないですが、この状態で肝心のEUはどうしているのでしょうか。屋台骨であるはずだった英独仏三国がここまで不安定になるとは…。ベネルクスとポーランドあたりに頑張ってほしい気持ちです。NATOも不穏ですし。EUの形骸化は中国・ソ連(笑)の付け入る隙にもなり兼ねませんので、心配です。

ドイツもそうですが現在の電気自動車のゴリ押しとも言える推進キャンペーンは、かつて環境の味方とされたディーゼル車(今となってはVWな排ガス規制不正問題などもあってヒールになってしまったが)の時と同じようにハイブリッドがメインの日本車を締め出すために政府と企業が手を組んだ結果と考えられます。

そう考えると今中国が盛んに電気自動車の開発を進めているもヨーロッパの事情と関係しているいるように思えます。

結局はマクロンはフランスの経済界とEUのみを重視し、国民をおざなりに扱ったと評価された結果がこの抗議運動へと繋がった訳ですね。
このまま事態が収束できずに大統領辞任、再選挙となれば、フランスのEU離脱を表明する候補が台頭から最悪EUそのものの崩壊へと繋がりかねない事態へと発展する可能性すら予見されます。

思えばマクロンvsルペンの一騎打ちになった時の世界的なマスコミの少し異常とも言えるルペン叩きといい有権者の選択権を奪うに等しい行動をした責任というものは感じてるのか少し興味はあります。


中華三振さんへ
一ヶ月ほど前に某ラジオ番組で現在、紙ストローの生産量が一番多い国は中国だと聞きました…ものすごく腑に落ちたのを覚えています。

マクロンの現状は、日産とルノーで綱引きしている日本にとっては国益に適うと思うのですが、日本が一枚噛んでいる・・・なんて思うのは楽天的すぎるでしょうか。

パリ在住30年ほどの友人がいますが、マクロンVSルペンの大統領選時には「ルペンだと極端だけど、マクロンもねぇ~、エリートの上から目線だし・・・」という反応でした。シャルリー・エブド襲撃事件やらパリ同時多発テロ事件、ニース・トラックテロ事件、、、、と毎年多発するテロに恐怖をつのらせているさなかの今回の「黄色ベスト運動」の暴徒化には友人は「デモ隊そのものではなく、それに乗じて日ごろの鬱憤を晴らす輩たちが大迷惑」と切り捨ててました。

「右でも左でもなく」とは何処かで聞いたセリフですが、スマートで笑顔が売り物だけのトップ(沖縄の知事も似てますが・・・)に果たしてこの難局をどう乗り切るのかこの先の展開を注目したいと思います。

マクロン大統領の目指す先は「経済自由主義」をかかげつつ「小さな政府」に見せかけて、国家が企業に関与するメリットを最大限に引き出して「競争力」を確保する狙いたかったのじゃないですかね。

先進国のくせに中国式の経済成長モデルに憧憬もあったろうし、もともと社会主義とは親和性がある国柄ですから。

一部ネット層からは、パリの暴動(イエロージャケット)を後漢末期の動乱に準えて黄巾の乱と呼んでいましたね。
私はこの騒乱を見て、「民主主義とは国民の自立と理性によらなければ維持できない」と学ぶことができましたよ。
今のフランスには、それがない。
だからああなる。
そして、日本の左翼が本性を現して、暴徒を称賛している昨今、我々も襟を正しつつ、煽動者に踊らされない理性を磨いていかなくてはなりませんね。

フランス はまだファーウェイ排除についてはコメント無いようです。ドイツは勇気ありますね…外相はウイグルに苦言を呈しつつ二本立てでファーウェイ続行です。
https://jp.reuters.com/article/germany-telecoms-idJPKBN1O628P

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