ムンジェインが年頭記者会見で「当てたくない」日本人記者を当ててしまったために(笑い)こんなことを言うはめになってしまいました。
「文氏は最高裁判決について「日本を含む先進国と同じように韓国にも三権分立があり、韓国政府は司法判断を尊重する必要がある。日本は韓国司法府の判断に不満を表明することはできるが、基本的にどうすることもできない部分があると認識してもらいたい」と主張。「被害者たちの苦しみを癒やすために、日韓両国がどう解決していくのか、知恵を集めていくべきだ」と述べたうえで、「政治的な争いととらえ、未来志向的な関係まで壊そうとするのは望ましくない」とも指摘した」(毎日1月10日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190110-00000079-mai-kr
ムンはこの間一貫して慰安,婦財団の解散、徴用工判決、そしてレーダー照射事件においても沈黙を続けてきました。
今回の年頭会見でも、日韓関係は完全スルーして終わりにしたかったようです。
朝鮮半島の二国のことを私は「リアルタイムで見られる古代国家」だと思っていますが、日本をディスる段になると、突如近代民主主義に目覚めてしまうから不思議です。
三権分立のお説教ですか。また聞いたようなことを(苦笑)。
それにしても説教するのが、異常に好きな民族ですなぁ。
なぜかいつも上目線で、正しい歴史を教えてやるとか言っていましたが、今度は三権分立について教えを垂れて頂いたようで。ありがたいことです。
ムンの意図はいまさら説明するまでもなく、「不満があっても仕方がないという認識を持つべきだ」というわけで、意訳すれば、「うちの政府に抗議しても無駄だからさっさと諦めて泣き寝入りしちゃいなさい」ということです。
ムンが言うには、「韓国政府は司法判断を尊重する必要がある。日本は韓国司法府の判断に不満を表明することはできるが、基本的にどうすることもできない部分がある」ということのようです。
なんだ、要するに日本も韓国最高裁様の判決を拝め、そして「不満があっても仕方がないと」涙目で諦めろということのようです。
素朴に何で外国の最高裁判決を、我ら外国人が拝まねばならないのかと思いますね。
韓国政府は司法に従属しているだけということになれば、日韓両国の間に外交の入り込む余地はありません。
するとネット民の中には腹立ちまぎれに大使などは無用の長物、大使館も引き払ってしまえと思う人もでるかもしれませんね。 (もうだいぶ出ていますけど)
ちなみに私は大使召還を視野に入れて、関税率ひき上げなどの小技を折り込みながら、戦略物資凍結や断交というリーサルウェポンを切るべきだと思っていますが。
さて、ムンはかつて弁護士だったにもかかわらず(他ならぬ徴用工裁判の弁護人のひとりでしたが)、三権分立を曲解しています。
まず第1に、三権分立は国内統治においてチェック&バランスをとるための仕組みのことであって、外国との外交関係において使うべき法の原理ではないということです。
もしそのように司法機関が恣意的に条約を否定することとが可能であって、その判決に行政府や立法府も違わねばならないとすれば、司法機関の長が国の最高権力者になってしまいます。
すると選挙で選ばれない人物が絶対権力者として君臨する「司法の独裁」国家が完成してしまいます。
こんな国に民主主義はありませんし、そもそも勝手に条約を一方的に廃棄するような国とは新たな条約を結ぼうという奇徳な国は現れなくなることでしょう。
馬鹿国家が勝手に一国だけで潰れるのは勝手ですが、条約は相手国があります。
最低1カ国、集団的安全保障や多国間貿易協定では多くの国に不利益が及びます。
ですから、こんな不埒な国が出てこないように、ウィーン条約で条約法の縛りをかけています。
「●条約法に関するウィーン条約
第二十七条 国内法と条約の遵守
当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない」
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/mt/19690523.T1J.html
国内法は条約を超越できないとよくいいますが、その法源はこのウィーン条約第27条にあります。
それでもなおかつ、うんにゃこれはただの合意にすぎないからいいだろうとか、協定と条約は違うなんてことを言い出させないためにこういう一項まで付帯しています。
「●ウィーン条約第2-1
(a) 「条約」とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によつて規律される国際的な合意(単一の文書によるものであるか関連する二以上の文書によるものであるかを問わず、また、名称のいかんを問わない)をいう」
ですから、当然日韓請求権協定も、ついでにいえば普天間移設合意も、国内の都合で一方的に廃棄できないのです。
日本国憲法においてもこういう定めがあります。
「●憲法第九十八条
2項 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」
法律的表現が続くと頭がグラグラしますが、第98条において外国との取り決めに対しての遵守義務を定めています。
仮に国内法で安保条約を棄損するような法律を作ったとしても、それは条約遵守義務に反するから無効だということです。
この法の原則によって翁長氏は最高裁で破れました。
司法判決も同様です。
日本の最高裁が日韓請求権協定を否定する判決をしたとしても、行政府は憲法第98条を理由にして従う義務はありません。
三権分立は司法の保護だけではなく、行政の独立の保護に対しても作用する概念なのです。
そもそも三権分立は、さきほどチェック&バランスのために出来たと書いたように、司法機関が行政機関によって不当に介入されないためにできたものです。
たとえば行政府が、気に食わない判決が出そうだと圧力をかけて潰すようなまねを防ぐために考えられた仕組みで、「司法の独立性」を保全するものでしかありません。
これはヨーロッパにおいて君主と貴族の行政府によって、永きに渡って司法権が牛耳られて来たことに対する反省から生まれてます。
現代で三権分立が存在してい国があります。中国です。
この国において、司法は共産党司法支部でしかありませんから、共産党政権を批判する民主活動家は例外なく有罪判決を食らって投獄されています。
このように司法が行政権力と一体化してはならない、政治の司法への介入を禁止して公平中立を保ちましょう,、というのが三権分立の本来の意味です。
したがって三権分立は、あくまでも国内の統治でのみ使われる概念であって、外国に対して使うべきものではありません。
では今回の韓国の場合はどうでしょうか。
三権分立を守るためには、「政治権力からの干渉の遮断」をせねばなりません。
これが大いに怪しいのです。
キム・ミョンス大法院院長 ハンギョレ
.「【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の国会は21日、大法院長(最高裁判所長官)に金命洙(キム・ミョンス)前春川地方裁判所長を任命する人事への同意案を可決した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が指名した金氏は人権派の判事として知られる」(日経2017年9月21日)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H4M_R20C17A9FF1000/
これは徴用工裁判を、ムンの前までの大統領たちが日韓関係悪化をおそれて、意図的に遅らせてきたのではないかという疑惑を、「積年の弊害を打ち砕く」というムンがとった政治的任命でした。
この最高裁長官となったキム・ミヨンスは田舎地裁の所長レベルの人物で、ムンのお眼鏡にかなっただけで、いきなり最高裁長官に抜擢されたのですから、まーメチャクチャやりますな。
典型的な司法に対する行政権力の介入ですから、こんなことをやった人物に三権分立がどーたらといわれたくはないものです。
そのうえに韓国最高裁は、今や政治権力そのものに変質しています。
本来、司法が口をはさむことの出来ないはずの外国との条約を否定する判決をだすことで、行政府をこれに従わせています。
正確に言えば「従っているふり」をしている、ですが、少なくとも行政権力に対して司法権力がやりたい放題の免罪符を発行しているのです。
実に狡猾なやり方です。
行政府としては、日韓請求権協定が、戦後の日韓関係の一丁目一番地だと分かっていなければバカですから、それを自ら否定することはできません。
少なくとも今までの韓国政権は、あのノムヒョンですら、その一線は超えられなかったのです。
それを軽々とムンは超えて見せました。多分長年考えてきたのでょうから、そのやり方は狡猾な保身に満ちています。
自分はあくまでも行政府の長として中立を装ってなにも言いません。
言い出すのは司法府ですが゛そこには分の息がかかった者を送り込みます。
その司法府に最高裁判決として日韓請求権協定を否定させます。
そして自分は三権分立を尊重するから受けるという形にします。
そしてさらには日本にも、「自分は司法の決定には従う。日本も従え」とやったわけです。
これなら批判を受けたなら、あれは最高裁が決めたことと逃げられます。
なんのことはない、田舎裁判所の判事レベルの人物が書いた判決で、日韓関係は一夜にして終焉を迎えるのですから、なんともかとも。
正常に三権分立が機能している日本の最高裁ならぱ統治行為論によって、「本件は司法が取り扱う案件ではない」と門前払いをしたはずです。
ムンの国内法で条約は否定できるとする三権分立解釈が正しいのか、それとも国際的な法の支配が正しいのか、出るところに出て決着をつけましょう。
と言っていたときに、言語道断のレーダー照射事件ですから、ムンにとってもこの事件は全面的に韓国側に非があるだけに、いっそう黙っていたかったのだとお見受けします。
朝日は例によって安易な落としどころをみつけにかかっています。
「日本側が協議を求めるのは国交正常化後初めての異例な措置となる。解決しない場合は、国際司法裁判所(ICJ)への付託も視野に入れている。大法院判決は国際法違反だとして、国際社会に認めてもらう狙いだ。
しかし、日韓の当事国間の対話を離れ、第三国を交えた仲裁委や国際裁判で決着させるのが歴史問題のような懸案になじむのかどうか。どちらかの主張に軍配が上がったとしても感情的なしこりが残りかねない」(1月11日社説)
なにが「しこりは残りかねない」ですか。朝日は慰安婦問題の火付け役で、しこりを作った当事者です。
その意味で、朝日は日本国民に対する加害者でした。
それが今さら憂い顔で「しこりが残りかねない」ですか、片腹痛い。あんたにだけはいわれたくない。
しこりきったのは韓国ではなく、私たち日本人の側です。
朝日は慰安婦問題よろしく徴用工癒し財団でも作れとでも言いたいのでしょうか。それがどのような結末となったのか知らないとは言わせません。
どのような手段によってもしこりは残ります。日本は歴史問題で営々と十数回謝罪しましたが、その事実さえ忘れられています。
あらたな為政者が登場するたびに頭を垂れ、許しを乞い、金をだし、そしてとうとう慰安婦合意において「完全かつ不可逆的に解決した」と合意しても、次の為政者がそれを一蹴すればそれでおしまいとなります。
馬鹿馬鹿しい賽の河原の石積みです。
朝日が望むような「解決」は、この世には存在しないのです。
いずれにしても、この間起きたことのすべての責任は、あげて韓国にあります。
だから朝日が言うように「どちらが勝ってもしこり」が残る」のではなく、今私たち日本人がしこりに耐えうる限界線上にいるという事実認識です。
そして今回のレーダー照射事件です。これで決定的に潮目が変化しました。
彼等ですら韓国海軍の挑発軍事行為だったレーダー照射を弁護できなくなっています。
いまや朝日界隈にいた謝罪派は少数派に転落しました。
今、必要なことは朝日が言うように「しこりを作らないためにうやむやにする」ことではなく、二国間問題のとげを抜いていくことです。
二国間関係が一時(あるいは半永久的に?)氷河期になることなど考慮せずに、韓国をどう扱っていくのか慎重に考えるべき時期に入ったのです。
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「平和条約としての日韓基本条約」
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