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2019年1月

2019年1月31日 (木)

「どちらでもない」が最も多かった時はどうするのだろうか?

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沖縄の県民投票が3択案で通過しました。 

ただし、ここが決定的ですが、3択を認めてしまった自民党県連に5人が反対、同会派5人が退席の造反がでました。

「沖縄県名護市辺野古の新基地建設の是非を問う県民投票を3択に改正する案を巡り、県議会の自民党会派は賛成、反対、退席に割れ、改正案は全会一致の可決とはならなかった。自民党県連の照屋守之会長を先頭に役員が24日以降、反対議員の説得を続けてきたが意見の一致を見ず、照屋氏は責任を取って辞職届を出した。自民会派内に亀裂が走った」琉球新報1月30日)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-868398.html

Photo琉球朝日放送http://www.qab.co.jp/news/20190129110746.html

 県連の照屋氏は党内をまとめきらなかった責任をとって退任する意向のようです。

「午後後4時半すぎ、自民会派室から県議らが続々と出てきた。「党議拘束はない」。県連役員による調整は不発に終わった。本会議の議場では軍特委員長の仲宗根悟氏が報告している間も、照屋氏が県連の中川京貴副会長とメモをやりとりし、最後まで調整する様子が見られた。
採決直前、照屋氏が頭を抱えるしぐさもあった。採決では自民会派から反対や離席した議員が続出した。照屋氏は自民県連役員らの記者会見を前に県議会を後にした。その際、記者団に対し「全会一致にできなかったことに深く責任を感じている。私の進退の問題だ」と話し、県連幹事長に辞職届を出したことを明かした」(琉新前掲)

争点は、「どちらでもない」という選挙結果について解釈する場合、どうとでもとれることです。

どうとでもとれる「選択」など選択ではありませんから、恣意的に解釈する余地を残しただけのことです。

このようなことが妥協案になると思うこと自体が非常識です。

琉球朝日放送は照屋県連会長とのやりとりをこう伝えています。 

Png2

「自民党県連・照屋守之会長「いずれにしても県民投票をする意義、そのものが3つの選択肢にすることによって薄まっているような気がしますよね。反対の人は、反対ですからね」
石橋記者「照屋代表の発言を聞いていると『どちらでもない』という選択肢の扱いが非常に難しいという印象を受けます」
仮に「どちらでもない」が多くなったとき、結果として、これを賛成ととらえるべきか、反対ととらえるべきか困るかもしれません」(琉球朝日1月29日)
http://www.qab.co.jp/news/20190129110746.html

沖縄県連は保守党足り得ずという評価が下る一歩手前で、造反議員らによってかろうじて首の皮一枚で名誉がつながったと評するべきでしょう。

それにしても、もうこの県連は一から作り直したほうがよいと改めて思いました。もう会長を換えてどうにかなるレベルではありません。

琉球朝日が指摘しているとおり、「どちらでもない」が多くなった時、それが「どちらかといえば賛成」なのか、「どちらかといえば反対」なのか、その立場によってどうとでも取れるからです。

ですから気の利いたアンケートの場合、「どちらかといえば賛成」「どちかといえば反対」という選択肢を設けて、後の恣意的な解釈をさせないようにしています。

今回、2択という非現実的な提案にしがみついて、5自治体から抵抗を受けたために、結局このような「どちらでもない」などという更に愚かしい選択肢を入れてしまいました。

もし 「どちらでもない」が最も多かった時は、どう解釈するのでしょうか?

「どちらでもない」が県民の「民意」だなんてことになれば、それはいくらなんでも無責任です。

そのような無責任極まるシロモノを選択肢に入れるという事自体、この3択案が政治的妥協の産物でしかなく、かえって沖縄の政治の混乱を加速させることになると私は思います。

ある意味で2択のほうが、県民投票の愚劣さを暴露できるという意味でましでした。

何度でも繰り返さねばなりませんが、2択にしたのは、「辺野古移設」にのみスポットライトを当てて、その裏面(というか本来は表面ですが)  の「普天間移設をどうするのか」という肝心要の命題を見せないための詐欺的手法でした。

この移設を阻止すれば普天間は固定化されるという子供にでもわかることに目を塞いできた反基地派の本質的矛盾がそこにあったからこそ、反対派は2択にこだわざるをえなかったのです。

少なくともそのことが、多くの県民に理解され始めたのではないかと思うことが、今回の県民投票騒動の唯一の「収穫」かもしれません。

 

2019年1月30日 (水)

厚労省「不正」統計調査は凡ミスだ

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今回の「不正」統計事件において、まちがった方向へミスリードしようとする人たちがでています。 

はなはだしいのは野党のように安倍に忖度して統計数値をいじったんだといった政治陰謀論もどきも登場し始めました。

まったくこの連中ときたら、ことあれかしと騒ぐしか能がないのでしょうか。(ため息) 

ただ無視しえないのはこのような言い方が、出始めていることです。

「アベノミクスで経済がよくなってるとおっしゃるリフレ派の方々は、なぜ財務省の出す経済指標は捏造されてないと信じられるのだろうか」(Kiichiro Yanashita)

これはよくある文系の発想で、統計学に絶対を求める発想です。文系は宿命的に数字に弱い傾向があるので、かえって数字に支配され易いのです。 

統計数字を盲信する必要もないかわりに、逆に一部の統計調査に誤りがあったからといって全部が捏造だなどと極論に走る必要はありません。

「統計は、一かゼロか、完璧かすべて捏造か、というものではない。またその相互の関係も、機械的な関係があるということではない。信頼性の非常に広い幅の中で上下するだけなので、実際にどんな不備があってどのくらい影響を及ぼすのかを具体的に考えないと、妥当性のない陰謀論に流れてしまうだけだ」山形浩生)
https://cruel.hatenablog.com/

まさに今の風潮を言い当てています。

いまや陰謀論が百花繚乱のありさまですが、今回のことは統計上一定幅で起こり得るノイズの域に止まっています。

中国のGDP数値のように、どんなに景気が減速しようと成長率は7%を維持し続けるという奇怪なこととは次元が違うのです。 

このような陰謀論は、ミスがなぜ起きたのかがわかれば、自ずと雲散霧消することであって、要は現場職員が人員削減で忙殺されたために発生した凡ミスにすぎません。 

深堀りすれば、なぜ統計職員の現場が人員削減されたのか、なぜ厚労省は総務省に変更を協議しなかったのか、なども考えていかねばなりませんが、今日のところは置きます。

さて昨日「九州M」さんから詳細な解説をいただきましたので、それを下敷きにして説明していくことにします。ありがとうございます。 

問題の発端は、このようなことからでした。

「(特別監査気委員会)報告書によると、毎月勤労統計調査は遅くとも平成元年から29年の年報で、規模500人以上の事業所については「抽出率1/1」と明記。
しかし、平成15年5月22日付の当時の担当課の企画担当係長名で、毎月勤労統計調査にかかわるシステム担当係長あてに通知された事務連絡に添付された要領の中で、「事業所規模500人以上の抽出単位において、今回から全国調査でなく、東京都の一部の産業で抽出調査を行うため注意すること」との記載があったと明らかにした」(産経1月22日)

https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0122/san_190122_2350750274.html

要はサンプル調査(標本調査)の抽出率が変化したのです。

Free_lhttps://blogos.com/article/354082/?p=2

2003年までは勤労統計のうち中小企業は抽出調査でした。つまり全部調べる全数調査ではなく、対象企業を半分にして抽出調査(標本調査)をしていたわけです。

全数調査の代表は国勢調査です。ほら、5年に一度各戸に配られて、地域で集めている大きな封筒にはいったアレです。

これは学校の生徒の平均身長を調べる時に、全員の背丈を計るようなもので、学校ていどだったらともかく、これが国単位になったり、巨大都市の東京都規模なるとハンパではありません。

厚労省によれば、調査対象だけで全国で約190万社あるそうですから、これを毎月統計で全数調査したら膨大な手間とコストがかかってしまって実現不可能です。

そこで標本を抽出して、数を絞ります。
標本調査とは?~調査のしくみと設計~|統計学習の指導のために

Th_01https://www.stat.go.jp/teacher/c2hyohon.html

たとえばよく統計学で知られている標本調査が、テレビの視聴率です。

「視聴率は、対象となる地域(例えば関東地方)の全世帯を対象に調査すると莫大な経費を必要としますし、結果をすぐに(例えば次の日などに)出すことができませんので、このような場合、一部の世帯だけを統計的に偏りがないように選んで調査をします。これを「標本調査」といい、選ばれた調査対象を「標本」(サンプル)といいます」(前掲)

この「不正」調査問題で、なぜ全部調査しないのだ、恣意的にやっているんだろうという声がありましたが、抽出調査しても正しい方法でランダムサンプリングすれば、なんの問題もありません。

精度は当然落ちますが、毎月統計を求める方法として常識的方法です。

ところでその抽出作業を2004年から、本来の抽出率に戻しました。

しかし抽出率を上げると自治体負担が増えて悲鳴が上がったので、東京都だけは大企業のサンプル抽出率を別枠で下げたわけです。

つまり一回抽出率を元に戻して、翌年東京都だけ大企業を別枠にしたわけです。

こういう朝令暮改をすると現場は混乱するか、その通達に気がつかないでそのままやってしまいがちです。

この抽出率の変更の時も、現場職員が集計システム言語を変更せずに、今までどおりやってしまったわけです。

「2003年以前は全数調査ですから全国平均を出す時は、都道府県の対象企業(労働者数)の全データ(例えば賃金額)の合計を、同じく全国の対象労働者総数で割れば全国平均の賃金が出ます。
ここで注意が必要なのは都道府県別に平均賃金を出し、その合計を都道府県数で割っていけない、ということです。
都道府県によって重み(企業数、労働者数)が全く異なるからです。どこまでも分母は労働者数で扱う必要があります。
そして2003年に東京都が約1/3の抽出(サンプリング)に変わり、データ数(企業、対象労働者)が変わりました。東京都だけの平均賃金を出すのであればこのまま分母と分子を当てはめて割り算すればいいのですが、全国平均を出す時には換算する必要があります」(九州M)

九州Mさんはかみ砕いて話しておられるので、説明は不要でしょうが、全国平均賃金を出す場合、都道府県の企業数や労働者数がまったく異なることを考慮せずに各都道府県の平均賃金を都道府県数で単純に割ってはいけないということです。

だって、田舎の県と韓国ほどのGDP規模を持つ東京都は、同列にならないからです。

ですから全国平均を出す場合には、東京都は換算せねばなりません。

「東京都の対象企業数(従業員が500人以上の事業所)が約1500とされていますので、便宜的に対象労働者数を約120万人としますと、1/3抽出で実際のデータは約40万人だったことになります。
そこで全国の平均を出す時に、東京都の40万人のデータ(賃金総額)を全国で合計(分子)しますが、分母となる労働者数を従来通り120万で扱っていた、というミスなのです。
当然ですが、東京都の対象労働者を従来通り120万で扱うのであれば、分子となる賃金総額は3倍にして扱わなければなりません。
このことを「復元」と呼んでいるのです。「抽出率」が1/3であれば、「復元率」はその逆数の3となります」(九州M)

このように見てくると、この厚労省「不正」統計問題は、九州Mさんのご指摘のどおりだとうなずけます。

「この問題の本質は「平均」の出し方、という中学生レベルの数学(算数)上のミスです。2003年に東京都のデータが全数から約1/3の抽出(サンプリング)データに変わった時、その集計システム(COBOLプログラムで書かれた)を変更し忘れたものです。
こんなものは“バグ”とは言いません。単純ミスです」この問題の本質は「平均」の出し方、という中学生レベルの数学(算数)上のミスです」(九州M)

なお二階氏は、「歴代すべての厚労相の処分」を口にしています。

「不正調査は04年から続いており、その間、13人が厚労相を務めた。旧民主党政権時代の長妻昭氏や小宮山洋子氏など4人も含まれ、長妻氏は現在、立憲民主党の代表代行である」(ZAKZAK1月23日)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190123/soc1901230003-n1.html

私はこのような意趣返しは好きではありませんが、問題は2004年からですし、これを他人事のように政権攻撃の具としたいだけの野党には必要な熱さましかもしれません。

 

 

 

2019年1月29日 (火)

厚労省「不正」統計調査の原因は

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韓国海軍レーダー照射事件の時は死んだふりをしていた野党が、国会で一斉反撃にでるそうです。 

いえ、なんの厚労省統計「不正」問題のことです。

「厚生労働省の統計調査の問題をめぐって、24日に行われた国会の閉会中審査では、与野党双方から批判が相次ぎました。厚生労働省は再発防止を徹底するとともに、組織の立て直しを急ぐことで理解を得たい考えですが、政府のほかの統計でもミスが見つかったことから、来週召集される通常国会でも、引き続き統計をめぐる問題が焦点の1つになる見通しです」(NHK1月25日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190125/k10011790381000.html

「立憲民主党の福山哲郎幹事長は27日のNHK番組で、毎月勤労統計の不正問題を巡り、根本匠厚生労働相の罷免を要求した。「根本氏は著しく信頼性を欠いている」と述べた。立民を含む野党の幹部は、28日召集の通常国会で政府を徹底追及する姿勢を強調した」(共同1月27日)
http://news.livedoor.com/article/detail/15932841/

この説によれば、東京都で500人以上を抽出単位にする変更が行われたことに対して、変更をやめるようにとの事務連絡が厚労省から来ていたにもかかわらず、担当部局は復元せずにいたためにミスが発生したとされています。

この復元をするべきシステム言語であるCOBOL を操作できる職員が1人かふたりしかおらず、結局手つかずで放置されたままになっていたようです。

同様のCOBOL言語による事件は、京都市でも起きています。

「既に京都市は、福祉系のオンライン処理の刷新を予定通りに終了させている。地場のITベンダーなど5社が落札し、COBOLプログラムをポルトガルのアウトシステムズ製の超高速開発ツール「Outsystems Platform」を使って刷新した。
ところが、福祉系のバッチ処理の移行作業が進まなかった。NECのCOBOLプログラムを英マイクロフォーカスのCOBOLプログラムに変換(マイグレーション)する際のテスト手法などについて、京都市とシステムズの見解が一致しなかったからだ。システムズは2016年1月15日に移行業務を落札。落札額は予定価格の79%である11億376万円だった。」(日経コンピュータ2017年10月12日)

https://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/14/346926/101101158/

京都市はプロジェクトが頓挫して、訴訟合戦にまで発展しています。

今回の舞台となった東京都にしても、このシステム言語を理解している職員は1人か2人くらいしかおらず、プログラムを継ぎ足し継ぎ足しして使った結果、もつれにもつれた密林のような状態になっているようです。

それを東京都のよう全部自分でやろうとすると、今回のようなミスを引き起し、かといって外部ソーシングすると京都のようになってしまうわけです。

そもそもこのCOBOLのような改修につぐ改修で歪みが生じたようなプログラムは、抜本的に別のプログラムを立ち上げて、それに差し替えるべきなのです。

ところが緊縮財政病に罹った財務省が、この予算を極度にケチったことに大元があるのです。

統計の著書もある数量政策学者の高橋洋一氏はこう述べています。

「予算不足・定員不足が統計には激しいのですよ。もともと統計というものは、海外では博士号を持っているスペシャリストなわけです。でも日本で統計をやっていて博士号を持っている人はほとんどいません。レベルが違う。昔は人数がいたのですよ。発覚する2004年位は、政府のなかで統計職員は日本全体で6,000人位いました。それがいま、2,000人もいません。
激しい減り方です。多くは農水省なのですが、農水省の統計がなくなっているから、そこで4,000人位減っています。他の省庁は同じか少し減っている。厚生労働省で300から200人位に減っています」(飯田浩司のOK! Cozy up!」1月23日)

http://www.1242.com/lf/articles/153549/?cat=politics_economy&pg=cozy

かくして、統計担当のノンキャリ職員は、諸外国と比較してケタ違いに少ない数で、今や複雑怪奇なシロモノに変貌してしまった旧式な言語プログラムと日々格闘しているというわけです。

政治責任があるとすれば、今後、政府が責任をもってこの統計業務にしかるべき予算を配分し、システム移行と統計のスペャリスト養成を速やかに行うことです。

■資料 特別監査委員会報告書
毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書.pdf[PDF形式:294KB]別ウィンドウで開く
毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書概要.pdf[PDF形式:745KB]別ウィンドウで開く

2019年1月28日 (月)

このままやってよいのか、米朝首脳会談

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トランプと正恩の2回目会談が近づいています。

なぜこの時期にやるのか、私にはトランプの意図がまったく見えません。

今の時期はおかしなパーフォーマンスをする時ではなく、「待つ」時だからです。

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出典不明

1回目のシンガポール会談について、私は肯定的な評価をしました。
関連記事「シンガポール会談は、新しいトランプ・トラップか?」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-7896.html

それは制裁を緩めることなく締め上げつつ、正恩に北朝鮮という壊れかけた国家の「逃げ場」を作ってやるという意図があったと考えました。

おそらくトランプは、田舎の王にこう言ったと思います。

このシンガポールを見なさい。ここはかつてきみの国といい勝負の開発独裁国家だったのだが、いまは世界有数の先進都市国家となっている。個人GDPではすでに日本を抜き、ITは世界最先端だ。こんな国に、きみが望むならなれるんだよ。

このまま核武装国家になるというなら、米国は軍事的に完膚なきまでに叩き潰すしかなくいよ。

よく考えなさい。ろくに国民に食わせられないような貧困国家のまま、核武装化を続けて焼け野原になるのを選ぶか、国を思い切って開いて自由主義経済を大胆に取り入れるか。

後者なら、われわれ自由主義陣営は資金もアイデアも提供しよう。ただし核を捨てるというのが唯一の条件だ。

そうすれば、きみの体制も保証し経済制裁も解こう。どうだね、悪い取引ではないはずだが。

さて、それから半年以上が経過しました。残念ながら、状況はいささかも変化していません。

北は、核を放棄するそぶりすら見せていません。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-8c0c.html

一方、北の経済はいっそう逼迫していると伝えられています。

龍谷大学教授・李相哲氏はこのように述べています。
(産経2019年1月22日)

https://special.sankei.com/f/seiron/article/20190122/0001.html

李氏は国連の経済制裁は、確実に効いているという見立てをしています。

制裁は、半年一年たって遅れて効果を発揮するものです。

国連は今まで実に9回の制裁決議をしてきましたが、北は動じませんでした。

中国国境からの食料密輸や、瀬取りによる原油密輸でなんとか凌げたからです。

ところが2017年12月の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を受けた安保理制裁決議第2379は、北の数少ない資金源であった産業機械や運搬用車両の輸入を全面的禁止、国連加盟国に対する北朝鮮労働者の受け入れの2年以内のゼロは効果を現しました。

次いで、米国と中国の経済戦争によって、唯一の後ろ楯であった中国さえもが露骨に制裁破りをすることに消極的になりました。

中国は去年6月くらいまでは半ば公然と瀬取りをしていたのですが、このまま継続すれば自分まで米国の経済制裁を受けるとわかったからです。
https://www.excite.co.jp/news/article/EpochTimes_34358/

「中国も韓国も国連制裁を無視してまで大規模支援に乗り出しにくい状況だ。当局は「自力更生と艱苦(かんく)奮闘」を呼びかける講演会を行い、引き締めに走っているが、限界がくるのは間違いない」(李前掲)

そして日米豪英などの国連加盟国による瀬取り監視の徹底によって、北は確実に追い詰められています。

Resize_22018年6月21、22日北朝鮮タンカーと国籍不明船。のちに中国国旗を掲揚した(防衛省撮影)
https://www.excite.co.jp/news/article/EpochTimes_34358/

「政府は2019年1月24日、北朝鮮船籍のタンカーが18日に東シナ海の公海上で船籍不明の小型船舶に横付けし、ホースを接続しているのを確認したと発表した。洋上で物資を積み替える「瀬取り」の疑いがあるとして国連に通報し、関係国と情報を共有した」(時事1月24日)

この瀬取り監視活動の主力は海自でした。.海自は全力で日本海の瀬取り監視をおこなっており、世界でもっとも多くの瀬取りを摘発しています。

この一幕にあのクァンゲト・デワンとの一件があったのです。

ちなみに韓国海軍・海警は自分の庭先で演じられている瀬取りにはまったく無関心であるどころか、いまや幇助の疑惑すらもたれるありさまです。

瀬取りに協力していたことが発覚すれば、韓国も国連制裁の対象になってもおかしくはありませんのにね。ま、その時は「人道的援助だ」なんて言うんでしょうな。

このように厳しい経済制裁と瀬取り監視の効果はようやく1年たった今、北に有効な打撃を与えつつあります。

ですから対北制裁は、蒔いた種からやっと芽を出し始め、今はあと半年1年で収穫期に入ろうという時期であって、間違っても緩和を模索すべき時ではないのです。

その結果、唯一の金づるだった対中輸出が激減しました。

対北制裁は確実に効いている。
中国の税関によれば、昨年1月から11月までの北朝鮮の対中輸出総額は1億9175万ドルで前年の12%に満たない水準だった。ここにきて北朝鮮の輸出総額はピークをつけた2016年の十数分の1以下に落ち込んだ。
 (李相哲前掲)

この結果、国家の中核の正恩の取り巻きどもが逃亡を開始ました。

この国は彼らノーメンクラトゥーラ(共産党支配下の特権階級)に贅沢品を配れないことには、政権が持たないのです。

「金正恩氏が体制維持のために必要とする統治資金は最低でも年間30億ドルとされる。政権中枢の幹部たちの忠誠心を買うために贅沢(ぜいたく)品を購入し、核とミサイル能力を高めるため関連部品を輸入、住民統制に欠かせない最先端通信、監視設備の調達や在外公館の維持に外貨は不可欠だ。
金正恩氏の統治資金を管理する労働党39号室の元幹部は、亡命先のソウルで「昨年、金正恩は制裁解除を見込んで父から受け継いだ統治資金の残りを使い果たしたはずだ。外貨は底をついただろう」と話す」 (李相哲前掲)

ばかな話ですが、個人崇拝に頼っているこの国にとって、国民が飢えようと死のうといささかも困りませんが、国民を監視している取り巻きどもが忠誠を誓わないことには、正恩は枕を高くして寝れないのです。

そのために、金王朝は、国家財政とは別に個人資産をプールする秘密口座の運営のために「労働党39号室」を作っていました。

李氏によれば、この「労働党39号室」の元幹部は「もうこの資金は使い果たした」と証言したそうです。

このように金の切れ目が縁の切れ目といった危機的状況を受けて、エリート外交官の亡命が相次いでいます。

たとえばヨーロッパの外交拠点であり、海外の贅沢品漁りや、食料援助を呼び込む世界食糧計画(WFP)の窓口をしていたイタリアの大使代理が亡命しました。

Img_58da8ee001147c2bd6b94f779a2aa80チョ・ソンギル・在イタリア臨時代理大使http://bunshun.jp/articles/-/10307

「昨年11月に駐イタリア北朝鮮大使館のチョ・ソンギル臨時代理大使が現地で姿をくらました。金一族に近い一握りの高官家庭出身のチョ氏は、現在米国への亡命を希望しているとされるが、事実なら示唆する意味ははかりしれない」李前掲)

この他に10人もの外交官の亡命が起きているそうです。沈もうとする船からは太ったネズミから逃亡を始めるものなのです。

特に海外に居て国際情報に接することが可能な外交官や情報関係者は、あんがい冷静に北の運命を観察しているものなのです。

かつてソ連の崩壊時期をもっとも正しく予想したのは、東ドイツに出ていたKGB将校たちの一団でした。
一方国民の食料事情は、とうの昔に限界を超えています。

次に、住民に動揺が広がっている。昨年秋のWFP報告書によれば、北朝鮮住民の40%が栄養不足状態に陥っている。
1日2食、最低限の食事に切り詰めても今年は60万トン以上の食糧が不足する。200万人以上の餓死者を出したとされる1990年代の「苦難の行軍」時代の再来も囁かれている。金正恩氏は就任当初、「わが人民が2度とベルトを締め付けないようにする」(2012年4月)と公言したが、約束は守れていない」(李前掲)

ですからこの食料援助の窓口をしていたチョ・ソンギル臨時代理大使の亡命は重大な意味を持つのです。

Kevinlimsummit6https://courrier.jp/news/archives/124376/

このように見て来ると、なぜこの時期に正恩が第2回の米朝首脳会談を持つことを要請したのか、透けて見えるはずです。

正恩は明らかに行き詰まっています。そしてその打開策をトランプに直接求める気です。

李氏はせいぜい可能な北の譲歩を、このように読んでいます。

「米国の要求を一部受容する態度を見せる可能性もある。
新年の辞で「核をこれ以上つくらない」と表明したとおり、核施設の一部を解体、核活動は凍結し、米国に届くICBMを廃棄するかわりに米国に終戦宣言を含む「平和体制構築」(18年6月12日の米朝共同宣言第2項)の約束履行を求める可能性はある。
既に保有している核の扱いについては触れないつもりだろう」李前掲)

私もこの李氏の読みは大いにありえる可能性だと思います。

ICBMの廃棄とごくごく一部の核施設の解体のまねを代償にして、一気に国交回復の前段である米朝平和宣言にまで進む心づもりかもれません。

そもそも初めからそのていどの譲歩しか正恩はする気がなかったし、なにがなんでも核と弾道ミサイルの温存は譲る気などなかったからです。

おそらく正恩は、1回目会談を成功体験と総括しているはずで、2回目もトランプが喜ぶリップサービスでくすぐりながら懐に飛び込んでやれば大甘のトランプジィさんはイチコロさなどとうそぶいているかもしれません。

とまれ正恩にとって、皮肉にも今やトランプだけが頼りの綱なのですから。

仮にトランプが、ここで1回目のようなどうにでも取れる玉虫色の決着をしたならば、CVIDはおろか、わずかの非核化措置すら永遠にありえないことは確かだと思われます。

日本は米国に対して、同盟国として明確にCVID以外の選択肢はないと主張せねばなりません。  

 

 

 

2019年1月27日 (日)

日曜写真館 真冬の熱帯植物園

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2019年1月25日 (金)

県民投票3択で実施か?

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沖縄の県民投票で3選択で全自治体参加というニュースが流れていますが、3択は公明党県連案でしょうが、「どちらともいえない」を入れたことがミソですが、なんだかねぇという感じです。

これでは、移設についてはひとつ選択肢が増えただけで、かんじんの「普天間飛行場の移設はどのように考えるか」という大命題が問われないままとなります。

問題は、移設に賛成か反対かではなく、そういう聞き方では普天間飛行場の移設についての県民の「民意」が掬えないからダメなのです。

特に、地元の宜野湾市や辺野古地区の意志を聞かないで、県民投票に走った拙速さは強く批判されるべきです。

私はこの問題は、なんども言ってきているように、本来、県が介入する余地がないことだと思っています。

地方自治法で認められた県の役割は、わずかに環境アセスメントていどの幅のことです。

だからデニー知事は投入土砂の質が違うとか、サンゴ移植について遅らせるていどのほとんどイヤガラセに近いことしかできないでいます。

反対とは口で言っているだけで、承認拒否とか撤回というと大げさに聞こえますし、実際そのようなニュアンスでメディアは報じているのですが、間違いです。

このような承認拒否などは、あくまでも移設そのものの是非に対してではなく、工事に付帯する作業行程の瑕疵ていどのことを言っているにすぎません。

言い換えれば、大枠では移設は既に「決まったこと」であって、動かないのです。

それはこの移設が、ただの国の思いつきではなく、日本国とアメリカ合衆国政府との間で取り交わされた「合意」という条約に準じるもので規定されているからです。

その法的根拠は、安全保障条約と日米地位協定です。

国と国の間で結ばれた協定ないしは合意に対して、国内法は、憲法といえば干渉できません。

それは徴用工判決でも取り上げましたが、国際法がそう規定しているからです。

「●条約法に関するウィーン条約
第二十七条 国内法と条約の遵守
 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない」

http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/mt/19690523.T1J.html

国内法は条約を超越できないということの国際法上の法源は、このウィーン条約第27条にあります。

それでもなおかつ、「ただの合意にすぎないからいいだろう」とか、協定と条約は違うなんてことを言い出さないで下さい。国際法はその逃げ道もあらかじめ塞いであります。

「●ウィーン条約第2-1
(a) 「条約」とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によつて規律される国際的な合意(単一の文書によるものであるか関連する二以上の文書によるものであるかを問わず、また、名称のいかんを問わない)をいう」

ですから、当然日韓請求権協定も、ついでにいえば普天間移設合意も、国内の都合で一方的に廃棄できないのです。

ましてや当該地元であるといってもひとつの地方自治体にすぎない沖縄県にはこの合意について、なにひとつ是非を言う権限はないのです。

ましてなんの法的拘束力がない県民投票においておや、です。

Plt1901230033p1https://www.sankei.com/politics/news/190123/plt190...

実はひとつだけ合意が撤回される可能性がなくもありません。

それは二国間合意における「要件充足性」が認められなくなった場合です。

それは政府自身が、辺野古移設を進めるという大前提が崩壊したと認めた場合で、この「要件充足性の喪失」がという理由が成立し、移設は白紙化されます。

平たく言えば、政府や米国が「やめた。こんなメンドーなこと。巨額の税金を投じて、そこまでイヤなら勝手にしたら」と言う場合です。 

この可能性も残されている、と私は思っています。

日本政府はなにがなんでも海を埋め立てたいからやっているのではなく、それは20年間にも及ぶ地元自治体の名護市、漁業関係者、建設業者との話あいの末に、すべての人に不満足だが、すべての関係者がそれしかないと断念したために生まれたものだからです。

政府はこの積み重ねと日米同盟の信頼性を傷つけないために、ハト氏のように無責任にチャブ台返しできないと思っている「だけ」のことです。

だから日本政府が、「そこまでおイヤなら止めますか」と思えば、移設は白紙化できないわけでもありません。

その可能性はコンマ以下ですが、ゼロではありません。

白紙化のためには、米国の合意を取り付け直さねばならなくなりますが、ユーザーである米軍は、内心白紙化されたらむしろ嬉しいでしょう。

米軍はいささかも困りません。これについては一貫して書いてきています。

エルドリッヂ氏が「普天間から移動したいマリーンはひとりもいない」と言っているのは、事実なのです。

普天間基地がななくなれば、安保体制に穴があくというのならともかく、普天間はあるのですから、いささかも困りません。むしろこのほうがラッキーくらいなものです。

関連記事「 移設反対派の「民意」が勝利した場合はどうなるだろうか?」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-f37c.html

革新陣営の人達は、自分たちが作った「新基地」という宣伝に酔って、まるで辺野古移設が阻止されれは安保体制が大打撃を受けるように想像している節がありますが、ただの空想にすぎません。

PhotoNHK政治マガジン

ところで枝野氏はこんなことを言っています。

「アメリカ海兵隊の東アジアでのプレゼンスは現状では否定できないと思うが、プレゼンスを発揮するうえで、本当に沖縄に大規模な基地が必要なのかは甚だ疑問だ。しっかりと日米間で丁寧な交渉と検証をするべきだ」https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/13197.html

この人はこれでも官房長官をしていたのでしょうか。なにが「大規模な基地」ですか、馬鹿も休み休みいえ。 

普天間飛行場よりも総面積ではるかに狭いうえに(辺野古は205ヘクタール、普天間は480ヘクタール)、内陸の普天間飛行場と違って台風の影響をもろに受けやすい海岸沿いです。 

この総面積の狭さは、有事において300機とも言われ来援機を収容できるスペースがないことを意味します。 

最大の難点は、肝心要の滑走路が普天間の2700mからはるかに短い1200m(前後にオーバーラン用300mが付属)と半分以下なことです。 

このために、C17のようて大型輸送機はもちろん、海兵隊のF/A18やKC130空中給油機さえも離発着できません。文字通りヘリとオスプレイ専用滑走路になってしまっています。

これは離発着の騒音とリスク防止のために市街地通過を許さなかった名護市の要望で無理なV字型設計になったことに原因があります。

海の埋め立てさえも、もともと陸上案を土木業者の反対で修正したからです。

つまりは地元のアチラの意見、コチラの要望を聞いていたら、船頭多くて舟、山に登ってまったというわけです。

デニー氏はこんなことを言っています。

「私たちは反米でも反基地でもない。私たちがあらがっているのは政府のやり方だ」と述べた」(産経1月23日)
https://www.sankei.com/politics/news/190123/plt1901230033-n1.html

まるで政府が一方的にゴリ押ししているような言い方ですが、この歴史的経過を知ってなおそう言うならば政府もたまったもんじゃないでしょう。

それはさておき、移設が白紙化されて傷つくのは日米同盟の信頼性ですが、軍事的には普天間基地が担保となっているので、その担保を使えばいいだけのことです。 

つまり、普天間飛行場をこのまま使い続けるという担保によって軍事的にはいささかも障害にはならないのです。 

この米国側に不利な内容を海兵隊が呑まされたのは、あくまで政治的理由があったからです。

「そのような辺野古案に米政府が合意した理由は、国防総省・国務省の当局者によると、「地元が受け入れに同意していた2006年当時は、中国に対して日米同盟が安定的に維持されているのを示すことを最優先し、辺野古案が作戦所要を満たさないことについては海兵隊側に我慢してもらった」からである」
(GAO(米国議会政府監査院)報告書, 小川和久, 西恭之訳・解説, アジア太平洋の米海兵隊再編, 静岡県立大学グローバル地域センター, 2017, p. A-9『NEWSを疑え!』第742号(2019年1月24日号)

ですから、移設反対という左派のスローガンは、皮肉にも米軍の要望にもっともよく沿っていることになります。 

うがった言い方をすれば、基地反対派にとっての最良の「解決」パターンは、移設を阻止することで政府に打撃を与え、なおかつ普天間飛行場ゲート前で永久的に反対運動ができることだからです。

したがって移設が県民投票の「民意」に従って首尾よく阻止された場合、普天間飛行場は、とうぜんのことながら半永久的に固定化となります。 

もう大方の県民の皆さんは、普天間飛行場の危険除去=辺野古移設反対が成り立たないことに気がついているはずです。 

デニー氏は選挙期間中に、その解決方法はあるなんて言っていましたが、おありなら今をおいてそれを出すチャンスはありませんから、もったいぶらずにさっさとお出し下さい。

この両者は、一方を選べば一方が成り立たないという関係です。移設に反対すれば普天間飛行場が残る、ただそれ「だけ」のことです。

「だけ」といっても、このまま宜野湾市民だけに負担をかけ続けてよいのかと、私は思います。

地元地区も同意しており、より安全の確保された僻地に移動することがそんなにイヤなら、宜野湾がずっとそのリスクを背負っていてかまわないということと一緒になりはしませんか。

それを隠して、移設の是非だけを問うという県民投票は、本来問われなければならない普天間飛行場の移設を問わないという意味で、無意味、かつ欺瞞そのものです。

2019年1月24日 (木)

韓国軍、また日本機が威嚇したと主張

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またまた韓国軍が日本機が威嚇飛行したと騒いでいます。ここまで飛び抜けてステューピッドだと、愚者の殿堂永久展示ものですね。

「韓国軍の幹部は、緊急の記者会見を開き、海上自衛隊の哨戒機が、23日午後、東シナ海で韓国軍の艦艇に対して、低空で威嚇飛行をしたとして、強く非難しました。
韓国軍合同参謀本部のソ・ウク(徐旭)作戦本部長は、23日午後4時半から緊急の記者会見を開きました。
この中でソ作戦本部長は、23日午後2時すぎに東シナ海にある暗礁のイオ(離於)島付近で「海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍の艦艇を明確に識別したにもかかわらず距離およそ540メートル、高度60から70メートルの低空で接近する威嚇飛行をしたことは明らかな挑発行為と見なす」と述べました」(NHK1月23日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190123/k10011788301000.html

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傑作なのは、その距離と高度についてこんなことを言っていることです。

「日本の哨戒機が今月18日と22日にも威嚇飛行をしたとの主張について韓国軍の関係者は、18日は、艦艇に対して、高度60から70メートルで距離1.8キロ、22日は、高度30から40メートルで距離3.6キロまで接近したと説明しました」(NHK1月23日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190123/k10011788661000.html

日本は直ちに否定しています。位置はイオ島(離於)です。

イオ島は、韓国と中国が管轄権を争っている東シナ海の暗礁だそうです。

こちらは鹿屋のP-3Cで、今度のお相手は韓国海軍駆逐艦「大祚栄」(テ・ジョヨン・渤海の初代王)です。韓国は広開大王とかいった名称が好きですなぁ。
大祚栄 (駆逐艦) - Wikipedia

Photoテ・ジョヨン

「海上自衛隊によりますと、当時、東シナ海のイオ島付近を飛行していたのは、鹿児島県の鹿屋基地に所属するP3C哨戒機だということで、韓国の艦艇とは高度150メートル以上の距離を保ち、適切に警戒監視の活動を行っていたとしています。
防衛省によりますと、東シナ海のイオ島付近は、日本の防空識別圏の範囲に含まれ、ふだんから海上自衛隊の哨戒機などが警戒監視の活動を行っているということです」
(NHK1月23日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190123/k10011788301000.html?utm_int=news_contents_news-main_002

「別の防衛省幹部は、「照射問題があって、日韓関係が悪化している中、現場では、通常より一層、注意して活動を行っており、低空での威嚇飛行などありえない。韓国側が事実関係を変えてまで、嫌がらせをしてきているようなもので、今回の発表は非常に残念だ」と話しています」(NHK前掲)

思わず、読み間違いかと見直しちゃいましたよ。距離3.6キロと、近距離でも1.8キロですか、ぶはは! 

大丈夫、コリアさん、熱ない。ほんとに大丈夫?いくらこの声明をだしたのが陸軍さんでも、ここまで調子がヘンだと、もはや笑い物です。 

さぞかしこの記事を読んだ世界の海軍さんたちは大笑いしたことでしょう。 

いちおう世界常識を押えておきます。 

前回、クァンゲト・デワンに「威嚇飛行」したと言っていましたが、その時の最接近高度は150m、距離500mでした。 

下の防衛省の丁寧な解説図どおりです。 

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 防衛省HPhttp://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/28z_1.pdf 

この高度150mはなんの問題もありません。 

これは私が日本側に立っているから言っているのではなく、民間航空機の安全かつ健全な発展を目的として締結された「国際民間航空機関」(ICAO)が作った国際民間航空条約にそのように定められているからです。
ICAO (国際民間航空機関)International Civil Aviation Organization  

俗にこの国際民間航空条約はシカゴ条約と言われていて、確かに韓国軍がいうように軍用機は適用外ですが、多くのまともな軍隊はそれにしたがっています。 

それは軍用機の飛行高度やコースは、その時の任務によって制限をうけないケースも多くでるからですが、平時においてはこのシカゴ条約しか国際規範が存在しないからです。 

たとえば米国防総省のガイドラインには、公海上(どこの国でもない海域)を飛行するすべての米軍機はこのシカゴ条約の規定に従って飛行することが定められています。 

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 2018年12月20日のこのレーダー照射事件当時、海自機がクァンゲト・デワンから正しく高度150m離れて飛行し、半径500mに近づいていないのは、記録映像からも明らかです。 

それを今度は、なんと3.6キロで「威嚇飛行した」とのこと。お話になりません。まったく正常かつ正当な監視飛行にすぎません。

シカゴ条約うんぬん以前の問題で、なにをとち狂っているのでしょうか。

また韓国軍が海自機の高度を高度60mと言っていますが、ありえません。

そのような低高度は計器着陸する場合のデシジョン・ハイト(着陸決心高度)です。

「計器着陸装置による着陸の場合,D/Hは200ft(60m)とするのが標準である」(航空実用事典)
http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p291.html

こんな着陸を決心せねばならない低高度を、P-3Cのような11人乗せた大型機が意味もなく、飛行するはずがありません。

そもそも「威嚇飛行」するもなにも、平常任務では哨戒機は非武装の丸腰ですし、対空火器に対して機敏に動けない大型機はきわめて脆弱です。

ですから、ロシアが米艦艇に対して本気で威嚇したケースでは、非武装のジェット攻撃機を使用しています。

3.6㎞も離れて飛ぶ非武装の哨戒機を威嚇と感じたとしたら、韓国海軍の皆さんは、よほどのビビリ揃いですな(笑)。

また韓国軍高官が、こういうひとことをつけ加えていることは聞き捨てなりません。

「「また再びこのような行為が繰り返される場合、軍の行動規則に従って強力に対応していくだろう」と警告しました」(前掲)

ほー、軍隊が「強力な対応」という表現をするというのは、次回は報復攻撃を実施するぞということと解釈されます。 

つまり、火器管制レーダー照射ていどでは済むと思うなよ、次は落とすぞと言う意味で、大変に危険な言葉づかいです。

このような不用意に危険な言葉を、軍の最高位の人間が口にすることの常識を疑います。 

ところで、前回の防衛省最終見解の写真に不思議なものが見つかっています。

それは過去3回クァンゲト・デワンは撮影されているのですが、この3回とも火器管制レーダーが、海自機に指向されているように見えます。

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このうち8月23日の写真から、STIR180火器管制レーダー部分のみを拡大してみます。

確信は持てませんが、丸く見えます。もしそうならば、こちらを指向していることになります。

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火器管制レーダーは中央の丸いパラボラアンテナですが、この中央部に強力な電波を発信するバーがあって、それが旋回して標的をロックオンしつづけるわけです。

ですから、これを作動させた場合、こちらを向くので必ず丸く写ります。

またバーが旋回しながら電波を発信するために、その音波は、まるで歯医者のドリルに似た音をだします。あのキューンという奥歯が痛くなるような音です。

これを捜索レーダーと聞き間違える専門家がいたら、そいつはもぐりです。
●火器管制用レーダー探知音
http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/radar/img/fc.mp3
●捜索用レーダー探知音
http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/radar/img/search.mp3

不鮮明なために断定は避けますが、いずれの3回共にクァンゲト・デワンは海自機にレーダー照射しているように私には見えますが、防衛省はなにも言っていません。

憶測ですが、あまりに何回も無節操に韓国艦から照射され続けたので、4回目は抗議せねばなるまいといったところではないでしょうか。

悪いことは言いませんから、韓国は一度真面目にCUES(海上衝突回避規範)やシカゴ条約を、上は参謀総長、作戦部長から下は水兵まで勉強しなおしたらいかがでしょうか。

あなた方に不足しているのは、軍艦や航空機ではなく「国際常識」です。

そういえば楽韓さんによれば、韓国海軍はレーダー照射していないことの立証実験をしたそうで、韓国軍哨戒機を韓国艦艇の近辺まで飛ばしてみたところ、そんな電波はいっさい探知出来なかったそうです。
http://blog.livedoor.jp/rakukan/

ただし、火器管制レーダーは作動させていなかったとのこと。じゃあ、なんのためにやったんだぁぁぁ(エコーかけてね)!これでノーベル賞がとれるはずないよね。

さて、私は安易に日本も報復するべきだなどと思いません。

日本は国益に基づいた戦略的見通しがあってするべきで、こちらまで怒りに任せるのは賢明ではないからです。

やるなら、悪魔のように狡猾、かつ徹底的にするべきで、怒りにまかせるのは下策です。

しかしそれにしても、このような愚の骨頂のような挑発が続くようだと、この条件の駒がひとつひとつ揃っていくのも事実のようです。

2019年1月23日 (水)

1回目とは違う2回目米朝首脳会談の背景とは

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2回目の米朝首脳会談が開かれるようです。ただし、たぶん、かもねというところです。

「米ホワイトハウスは18日、トランプ大統領北朝鮮金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による2回目の米朝首脳会談を2月下旬に開くことを明らかにした。具体的な日時や場所は後日決めるという。昨年6月のシンガポールでの歴史的な初会談以降、非核化交渉は停滞しており、トップ同士による再会談で交渉の進展を狙う。」(朝日1月19日)
https://www.asahi.com/articles/ASM1M2GD0M1MUHBI00H.html 

Wor1901200012p1https://www.sankei.com/world/news/190120/wor190120

金英哲は正恩の親書を持ってきたそうですが、オベンチャラだらけのラブレターもどきのものだと思われます。

トランプはこのてに弱いことを見越して、米朝蜜月よ再びとしたいのでしょうし、前もって中国の習にも根回ししてありました。

準備万端、疎漏なしといってあげたいところですが、お気の毒ですが、取り巻く状況が変化してしまっています。

ひとつは、米国内が北に対する厳しい対応で一枚岩なってしまっていることです。

まずは米国政府ですが、中国に対する態度とは裏腹に、孫に大甘のジィ様となってしまったようなトランプと違って、副大統領のベンスはこう述べています。

「マイク・ペンス米副大統領は、1回目の米朝首脳会談の批判をかわそうとしたのか、昨年11月に放送された米NBCテレビとのインタビューの中で、2回目の首脳会談について「北朝鮮がすべての核兵器と核開発関連施設の場所を明らかにすることと、査察官の受け入れと核廃棄の計画を認めることが、必須である」と述べました。そのうえで、「結果を出すときだ」と強調しました(海野素央1月21日)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15129

ベンスは、ボスはビジネスマンだから顧客にはいい顔をしたがるが、やってもらうことはやってもらうからなと言っています。

それは、非核化プロセスの第1段階すら履行しない北の態度に対する強い不満が背後にあります。

非核化の第1段階は、国際機関による核査察の受けいれから始まります。

どこでにどれだけ兵器用核物質が作られ、どこに核兵器が貯蔵されていているのか、弾道ミサイルの数と配備場所などを、査察官による査察で具体的に明らかにせねば非核化プロセスもクソもありません。

北が、核物質製造工場を停止するどころか、稼働を続けて改修工事さえしていることは明らかです。

「ポンペオ米国務長官が今月6~7日に訪朝して北朝鮮の金英哲キムヨンチョル朝鮮労働党副委員長と会談した際、「秘密のウラン濃縮施設を稼働させている」と述べ、北朝鮮を追及していたことがわかった」(2016年7月16日読売)

下の写真は38ノースが撮影した北の寧辺核工場ですが、なにひとつ廃棄縮小の気配すらありません。

Kyodo_kdnewspack2018100601001573_0e2018年9月24日に撮影された北朝鮮・寧辺の核施設の衛星写真(プラネット・ラボ/38ノース提供・共同

また、弾道ミサイル基地も廃棄されるところか、増強されているとの情報もあります。

Dly1801310010f1https://www.sankei.com/photo/daily/news/180131/dly1801310010-n1.html

「有力シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は12日、北朝鮮が公表していない推定20ヶ所の弾道ミサイル基地のうち、少なくとも13ヶ所を特定したとする報告書を発表した。また13日のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、民主党のエドワード・マキ上院議員は「トランプ大統領が金正恩に騙されている。金正恩が核と弾道ミサイル計画を放棄する具体的で明確な行動を取るまでは、北朝鮮と会談してはならない」と主張した」(高永喆2018年11月16日)
http://agora-web.jp/archives/2035717.html

むしろ、今や北の非核化など念頭にないようなトランプとは違って、野党民主党のほうが、北に対する強硬姿勢を鮮明にしています。このへんが、日本の偽装リベラルと違うところです。
「与党の共和党は上院で勝利したが、下院では野党・民主党が過半数を獲得した。しかし最近の動きを見ると、民主党の下院議員たちがトランプ大統領に対北非核化政策に強硬路線を強く求めている。
トランプ大統領は与党・共和党のみならず、野党・民主党からも後押しされている。結果的に中間選挙は国内問題から対北核問題に集中出来るターニングポイントになったわけだ」(高前掲)
このように与野党内部からは、トランプに対してもう一回前回のようなラブラブショーを見せられるのはマッピラだ、成果をもって来いという声が高まっています。
この北への強硬姿勢を求める圧力を、トランプといえど無視するわけにはいかないはずです。
Http___i_huffpost_com_gen_5056346_ihttps://www.huffingtonpost.jp/2017/01/28/trump_n_1...

その上に、折悪しく「国境の壁」をめぐっての攻防戦の真っ最中ときています。

このまま政府機関の麻痺が続けば、国務にもその影響が及んでいるのですから、ほんとうに開かれるかさえわかりません。

そもそも、米国が首脳会談をする時は、事前に綿密な事務方のすり合わせができて、共同記者会見の文言すら決まっているものなのです。

トランプはそのような国務省政治をワシントンのエリート馬鹿と罵って当選したのはいいのですが、非核化プロセスの細部を詰める実務者レベルになってもこれでは困ります。

そもそも国務省すら機能停止寸前だそうですから、おいおいです。

これには民主党の硬直した「国境の壁」に対する姿勢もあります。

トランプ大統領は妥協案として、「不法移民に対する暫定的な在留許可」を提示する代わりに、壁の予算案事態は承認しろと言っているようですが、聞く耳を持たないとばかりに民主党から妥協をはねられてきました。

ちょっと大人げないですね。消防や警察までが無給で働く状況が出だしているのに、これを放置して妥協を拒むという神経がわかりません。

これは民主党は不法移民を「新しい移民」と言い換えて、受けいれようとするリベラル層に支持基盤をもつからです。

国境の壁の予算つけについてはとりえず大枠で妥協してやっても、個々の建設計画でストップや縮小をかけられるわけですから、民主党はもっと大局で判断していただきたいものです。

本来、外交的案件に関しては、内政の影響を及ぼさないでまとまるというのが欧米の政治的しきたりだと思ったのですが、どうもそうではないようで、困ったものです。

とまれ、この国境の壁による内政の混乱が納まらないことには、2回目の米朝会談は開かれるかどうかさえ私は分からないと思っています。

よしんば開かれても、民主党は反トランプの意味からも彼の安易な妥協は許さないでしょうし、尻を蹴られたトランプにしても内政の停滞をなんとか外交で突破したいはずですから、第1回めのようにいきますかどうか。

さてさて、正恩さん、この時期に2回目を申し込んだことが吉とでるか、凶とでるか。

蛇足ですが、ピョン・ジンイルさんが、「韓国の対日強硬姿勢は米朝首脳会談を控えて、日本が韓国にすり寄ってこざるをえないからだ」と解説していましたが、思わず笑ってしまいました。

もしほんとうにそうなら、韓国は米国のなにも見ていないんですねぇ。それで北と心中するのは勝手ですが、巻き込まないで下さいね。

 

 

 

2019年1月22日 (火)

淡々と事実を開示する日本側

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昨日防衛省がレーダー照射事件の資料を公開しました。 

まずはそれを報じる産経(1月21日)から
https://www.sankei.com/politics/news/190121/plt1901210034-n1.html

「韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊P1哨戒機への火器管制レーダー照射問題をめぐり、日本が韓国との協議を打ち切ったのは、不毛な水掛け論に一定の区切りをつけるためだ。一方、レーダー照射は攻撃準備行動ともいえる危険な行為で、曖昧な幕引きは許されない。政府は韓国に対し、引き続き真相究明と再発防止を強く迫る姿勢が求められる。
「これ以上協議を継続しても真実の究明に資するとは考えられない」
 防衛省が21日に公表したレーダー照射をめぐる「最終見解」はこう強調した。防衛省幹部も「日本側の主張が真実だが、これ以上は水掛け論が続くだけで意味がない」と語る」

一方韓国の対応は、予想どおりです。(聯合1月21日)
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190121004700882?section=politics/index

「国防部の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官はこの日の会見で、日本側が根拠となる資料の提示なしに、レーダーの電波を音に変換したとする記録だけを公開したとした上で、「事実関係を検証するための2国間協議を打ち切ることに深い遺憾を表明する」と述べた。
 また日本側が提示した記録について、「われわれが要求する探知の日時、方位、電波の特性などが全く確認することができず、実体が分からない機械音」と指摘。その上で、「われわれがこれまで強調してきた通り、正確な証拠を提示し両国の専門家を加え、科学的で客観的な検証を行うことに積極的に応じることを促す」と強調した。
 崔報道官は「今回の事案の本質は人道主義的な救助活動中だったわが国の艦艇に対する日本哨戒機の低空威嚇飛行であり、これに対する再発防止と日本側の謝罪を再度求める」とする一方、「韓国政府は韓米連合防衛体制とともに韓日の安全保障協力の強化のための努力は今後も発展させていく」と述べた」

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さて、予想どおりといえば予想どおりでしたが、勧善懲悪とならなかったので、メディアは「幕引き」「棚上げ」などと報じるところも多いようです。 

コメントにも「韓国は詰んでいない」というものがありましたが、なにか勘違いしていますね。 

韓国は初めから「詰んで」います。そう思えば、特に変わったこともなくいつもの平常飛行ではありませんか。

彼らは自らの主張にブレはありません。一貫してデタラメを、客観的に検討するに足る証拠も資料も出さず、「オレがこう思っているからこうなのだ」と押しつけてきます。

防衛省が、公式文書としては異例のこういう言い方で強く批判しています。

「防衛省は、実務者協議において、更なる客観的根拠の提示を求めましたが、韓国側からは、そのようなものは示されず、逆に「脅威を受けた者が、脅威と感じれば、それは脅威である」などの全く客観性に欠ける回答を繰り返しています」
韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射 ... - 防衛省

この客観性などどうでもいい、「俺様がこう感じたことが真実だ」という唯心論の極のような態度は、私たちがさんざん 慰安婦問題にしても「徴用工」判決でも見せつけられたものです。

さすがに、今回のような逃げも隠れもできない、電波の波形のような軍事技術的な問題でこのオハコを踏襲したのには、いささか驚きました。

初めからムリ偏に無理というやつで、言っていることは日替わり言い訳集と化していました。 

さすがに防衛省も、協議内容は非公開にするという約束を一方的に破っておいて、その上に協議内容を「日本側は韓国の主張に頷いていた」などという自分の都合のいい色眼鏡をかけて公表するなど、ほとんど近代国家とは思えない行為の数々に、こりゃこれ以上話あっても時間の無駄だと考えたようです。 

こんな主観が命、メンツが宝、思ったら命懸けというような国がまかりまちがっても「ごめんなさい。悪うございました。以後気をつけます」なんて殊勝なことを言うはずがありません。

だから、落とし所など初めからないのです。

これが一般の国なら、かの中国ですから護衛艦へのレーダー照射を抗議されて、結局は認めて再発防止に合意しています。

それが世界の常識です。CUES(海上衝突回避規範)には国際裁判所はありませんから、常識がない国相手だと、今回のようになってしまうのです。

日本はそもそも謝れなどとはひとことも言っておらず、あくまでも「友好国」として、「危険なことですから、やめましょうね」ていどの穏やかな言いかたで済まそうとしていました。

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それがあちらから逆ギレして、なんと謝罪要求出しちゃったんですから、しかたがない。

だから日本は、韓国に対してこんな緻密な資料集を作ったのではありませんよ。

そもそも韓国なんて、ハナっから相手にしていないのです。聞く耳も、その能力もない相手に理で説いてみても意味ですからね。

あくまでもこんな資料を出したのは、広くは国際社会、狭くは「海軍ワールド」に向けて、わが国の立場を客観的に申し立てて、以後のための証としたのです。

あまり一般には知られていないようですが、「海軍ワールド」というものがあります。

今回の海上衝突回避規範を作ったのが、各国海軍が集まったチンタオ・シンポジウムで、国際観艦式もその一環として実施されます。

これは海軍は外交の象徴というのが数百年前からの世界の古き伝統であって、この世界でいったん三流海軍に格付けされると二度と這い上がれません。

さてさて世界の海軍さんから韓国海軍がどのような眼で今後見られるか、楽しみではあります。

そういえば、今年日本で国際観艦式やるんでしたっけね。呼ぼうかなどうしようかな(笑い)。

とまれ韓国は進行形でもこれだけ歪曲しまくりますから、数年たったら、映画「広開大王艦~日本軍機の威嚇飛行に耐えた韓国海軍将兵たちの物語~」なんて作っちゃうかもしれませんからね(←ホントに作りそう)。

お口直しに優秀クソコラを張っておきます。

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とまれ、今後の日韓外相会談でどうなるかまだわかりませんが、今の時期に簡単に日米韓疑似三国同盟は解消できません。その理由は昨日書いた通りです。

こういう時期には、わが国の立場をひとつずつ積み上げていくしかないのです。

このレーダー照射事件は、この間の慰安婦合意廃棄、「徴用工」判決、旭日旗問題などの流れのひとつとして解決されるべきものです。

ですから単独にこれだけ見るのではなく、日韓外相会談 次第の日本側の制裁として対応することになるはずです。

外相会談においても韓国は、なにぶん3.1独立記念日前ですから、いつもに増して日本を激しく非難してくるはずです。

シンシアリーさんによれば、なにせシンガポール実務者会談でこんな答弁を用意していた国ですから。
http://sincereleeblog.com/2019/01/18/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%BB%8D%E3%80%81%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%81%B4%E3%81%AB%E3%80%8C%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AB%E6%92%83%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%82%82%E3%81%97%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%82%88/

「韓国は、日本が引き続き脅威的な飛行を認めず、再発防止を約束しないと、今後同じことが発生した場合、「私たちが本当に撃つこともできる(우리가 진짜 쏠 수도 있다)」との回答も用意したことが分かった」

実際にはシンシアリーさんは、用意していただけでいわなかったし、「撃たせるな」というていどのニュアンスだとしていますが、それにしてもまぁ実務者会談でねぇ。

いずれにしても、このまま硬直した反日を増幅させていくなら、日本としても制裁発動するしか方法はなくなります。

ご承知のように、官邸は各省庁や識者に制裁メニュープランを提出してもらっています。

どのレベルから始まるか分かりませんが、ビザ発給などの小技から戦略物資禁輸、金融制裁など大規模なものまで、多くの制裁方法があるはずです。

いきなり大規模なものは考えにくいのですが、そちらを注視ましょう。

                                                 ~~~~~~~ 

                      ■韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案

                                                                             防衛省 1月21日
 

平成30年12月20日午後3時頃、能登半島沖において、警戒監視中の海上自衛隊第4航空群所属P-1哨戒機(厚木)が、韓国海軍駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けました。火器管制レーダーの照射は、火器の使用に先立って実施する行為であり、これを相手に照射することは不測の事態を招きかねない危険な行為です。
 本件事案について、平成31年1月21日、日本側が有する客観的事実を取りまとめた
防衛省の最終見解及び本件事案発生時に海自P-1哨戒機が探知した音を公表することとしました。
 防衛省としては、韓国駆逐艦による海自P-1哨戒機への火器管制レーダー照射について、改めて強く抗議するとともに、韓国側に対し、この事実を認め、再発防止を徹底することを強く求めます。更に、これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられることから、本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします。
 本公表が、同種事案の再発防止につながることを期待するとともに、引き続き、日韓・日米韓の防衛協力の継続へ向けて真摯に努力していく考えです。

http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/radar/index.html

韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射 ... - 防衛省
●火器管制用レーダー探知音
http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/radar/img/fc.mp3
●捜索用レーダー探知音
http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/radar/img/search.mp3

 

添付資料Modsound1

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■時系列 

平成30年12月20日午後3時頃、能登半島沖において、警戒監視中の海上自衛隊第4航空群所属P-1哨戒機(厚木)が、韓国海軍駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受ける。
12月21日外務省から韓国側に強く抗議を実施するとともに、防衛省から本件について公表(1回目)。
12月22日外務省から韓国側に改めて抗議を実施して再発防止を強く求めるとともに、韓国側の種々の報道を踏まえ、本件に関する防衛省の見解について公表(2回目)。
12月24日韓国国防部の会見において、韓国側が見解を表明 。同日、日韓外交当局間の局長級協議において、日本側から遺憾の意を表明するとともに、再発防止を要求。防衛当局を含め,両政府で意思疎通していくこととした。
12月25日防衛省から改めて本件に関する見解について公表(3回目)。
12月27日1回目の日韓実務者協議を開催(テレビ会議方式で開催。日本側からは防衛省・外務省等が参加)。
12月28日防衛省より、海自P-1哨戒機において撮影した動画を防衛省ウェブサイトに公表(4回目)。
平成31年1月3日韓国国防部の会見において、海自機の「低空脅威飛行」に対する謝罪を要求。
1月4日韓国が日本側への反論の動画を公表。同日、防衛省より、見解について公表(5回目)。日韓外相電話会談において、防衛当局間でしっかりと事実関係を踏まえて協議し、早期に問題を解決することの重要性で一致。
1月14日2回目の日韓実務者協議を開催(シンガポールにて開催。日本側からは防衛省・外務省が参加)。

日本が有する客観的事実を取りまとめた防衛省の最終見解及び本件事案発生時に海自P-1哨戒機が探知した音を公表(6回目)。

2019年1月21日 (月)

早くトランプの「万里の長城」脅迫神経症を治してくれ

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この頃、トランプの調子がヘンです。

「徴用工」判決とそれに続くレーダー照射問題で、日韓がガチで正面衝突コースに入りつつあるのに、三国の要となるべき米国の姿が見えません。 

正恩と2月に会談をやるとかやらないとか。どうせなにひとつ進みはしないし、今の状況では北の時間稼ぎに使われるだけです。 

トランプ外交には比較的に好意的な私でさえ、こんな無意味な政治的パーフォーマンスをするくらいなら、少しはこちらの陣営を引き締めたらどうなんですと言いたくもなります。 

もう米日韓同盟は機能しないどころか、日本国内ではその存続すら危ぶまれているんですぜ、トランプさん。 

この擬似三国同盟の担保だったマティスが辞めてしまったので、いつどうなってもおかしくはありません。 

今、ここで日韓関係を壊してしまえば、二度と再建されることはないでしょう。

この歯車は停めることはできませんが、この時期の崩壊は中国と北を利します。

北にすり寄るろうとする韓国に制裁を加えて、韓国をして日米韓同盟から出て行くということがいかにネガティブな効果を韓国にもたらすのか、骨身にしみて分からせねばなりません。

今回のレーダー照射事件の裏には、韓国による大規模な北に対する国連制裁破りもからんでいるという情報もささやかれ始めています。

これの白黒をつけさせるのも、今回の日本の対応には含まれているのであって、一般的な同盟国間の摩擦ではないのです。

もしこれがほんとうで、韓国が利敵行為をしていたなら、北に対する国連制裁と同等のものを課さねばなりません。

さもないと、米国が作った「同盟」とはこんないいかげんなものかと中国と北が安易に理解することでしょう。これは米国外交にとってもマイナスのはずです。

とまれ、今のまるで黙認するかの如き米国の態度はどうにも解せません。

何を考えているんだ米国と、とある人が、情報源の米国務省の某高官に質問メールを送ると、「すまん。ただ今、国務省は政府機関閉鎖につき人員不足だ。手が回らない。そちらで解決してくれ」とのこと(苦笑)。 

そちらで言われてもねぇ。日本は真綿で首を締めるように韓国を締め上げていますし、音波証拠が出されれば、事実上これで韓国は詰みます。

外交の相互性ひとつ守れず、わけのわからないことを言っている韓国相手では、これ以上の証拠は第三国、つまり米国にしか開示できないからです。

もう日韓の外交的解決の幅は、刻一刻と狭まっているのですが、いいんでしょうか。

それにしても、「米国外交の不在」は困った事態です。

Fcf678272433447db9f3250853ea60bbhttps://amiga-mexico.me/articles/372

原因はひとつです。トランプが「幻の壁建設」を、政権の最大の課題としてしまったからです。 

フィナンシャルタイムズのエドワード・ルースは、にべもなくトランプを「狂信者」とこき下ろしています。

「そうすることで、ウィンストン・チャーチルによる狂信者の定義のトランプ版を演じることになる。
「考えを変えることができず、話題を変えようとしない人」というのが、その定義だ。
自ら作り出した運命の人質として、トランプ氏が屈辱を避ける唯一の望みは米国政治を人質に取ることにある」(フィナンシャルタイムス2019年1月17日)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55222

私は米のリベラル・メディアの悪意に満ちた報道は割り引いて聞くようにしていますが、この「幻の壁」についての英国人の批評にはうなずかざるを得ません。

FTに言わせれば、こんなメキシコ国境の壁建設など米国を二分し、政府機能を停止させるに足る政治テーマなどではさらさらなく、ただのトランプの「脅迫観念症」の疑いが濃厚だとしています。

そもそもこれをトランプに吹き込んだのは、ホワイトハウスを追い払われたステーブン・バノンでした。

「元首席戦略官のスティーブ・バノン氏はしばしば、あの壁を建設できなければ、トランプ氏が再選される確率はゼロだと話している。実際には、壁がなくても勝つことはできる。2つの強迫観念から、今から大統領選にかけて、トランプ氏は壁の話題に固執するだろう」(FT前掲)

ただの不法移民阻止の象徴的政策にすぎなかったはずが、中間選挙でたまたまメキシコ国境の壁に中米移民が殺到したために、トランプはもっけの幸いとばかりにこれをネタにしまくりました。(ほんとうに偶然かどうか、はなはだ怪しい話ではありますが)

Sty1804300005f2https://www.sankei.com/photo/story/news/180430/sty

押し寄せる不法移民の脅威は、ヨーロッパを見るまでもなくリアルな社会不安ですが、だからといってこんな壁を作っても解決されません。

そもそも、中米からの不法移民は、壁を超えて入ってくる数より、堂々と不正旅券でイミグレを通過して入ってくる数のほうがはるかに多いのですから、こんな万里の長城など作っても無意味なのです。

ところが、トランプの頭の中では、所得税減税と大規模公共投資が結びついて、鉄鋼業が喜ぶ鉄の壁を米国とメキシコ国境に万里の長城を作るという「強迫観念」にまでこり固まってしまったというわけです。

元来トランプ自身も大統領選挙期間中に盛んに国境の壁をガナってはいましたが、よもや本気でやろうとは誰も思っていませんでした。

いやなんせトランプ当人ですらそうでした。だから就任してからも積極的になにかしようとはしなかったわけです。

Dqlovqxvaaaxq9phttps://tsuiran.jp/word/429062/daily?t=1540753200

ところが彼は中間選挙間際に押し寄せたホンジェラスからの移民の大群を見て、これは使えると思い立っちました。

「答えは簡単だ。トランプ氏が国境の壁について語る時、スローガン以上のものとして意図したことはなかったのだ。
国境沿いに作り上げられた危機は、トランプ氏が2016年11月に大統領に選出された瞬間に終わった。
危機が再燃したのは、2018年の中間選挙が数週間後に迫ってきてからだった。
国境の危機は、不安と怒りをかき立てる手段だ。危機が姿を現すのは、民主党が政権を握った時に限られる」(FT前掲)

今回の政府予算にすら当初は国境の壁は入っておらず、政府期間の閉鎖を防ぐ法案にトランプは署名してすらいました。

それがわずか政府機関の閉鎖4日前になって、共和党内の反移民派から突き上げられると豹変します。

「12月の終わりに政府閉鎖が始まるわずか4日前、トランプ氏は米国政府の閉鎖を防ぐ法案に同意した。法案には、壁の建設予算は一切含まれていなかった。
 大統領は共和党内の排外主義の派閥から「裏切者」として責め立てられた。そこで即座に方針を変えた。4日後、政府機関が閉鎖された」(FT前掲)

これは単に共和党内でトランプ票を固めるためにすぎず、目先のことだったにもかかわらず、今や引くに引けないテーマとして、国家を二分し、政府機関を機能停止に追い込むテーマにまで成長してしまったというわけです。

バカバカしいから早く止めていただきだいて、政府機関を正常化して欲しいものです。

 

2019年1月20日 (日)

日曜写真館 さようなら稀勢の里

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2019年1月19日 (土)

宜野湾市にハンスト男登場

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なにやら大げさなことになっていますな、とうとうハンスト男までが現れたとか。 

しかも、 SEALDs残党というのですから、おいおいです。きみら解散したんじゃなかったの。 

そんなにハンストやりたきゃ、自分のうちで静かにやりなさい。他人様の土地でやんなさんな、節度を持ちなさ.い。 

宜野湾市という本島で最も基地公害を真正面から受けている自治体の庭に、こともあろうに宜野湾市に抗議するために無断でテントを張るというセンスが理解できません。

ここはあんたらの土地ではないのですよ。悪い前例になりますから、宜野湾市長さん、後からきっちりとこのハンスト男に土地使用料を請求してくださいな。

5d0337ef2987e556468c428edd7d0db7ハンスト男とウーマンラッシュアワー村本氏 類は友を呼ぶとか。顔も雰囲気もそっくり。

あんたら基地反対なんでしょう。それがいちばんの基地の被害者に抗議してどうするの、と思わないんでしょうか。 

宜野湾市が県民投票とやらに参加していないのは、自治体の勝手。

自治体に県民投票の予算措置を依頼した以上、その配分は自治体の主権に関わることで、県は依頼した以上とやかく口をはさめません。 

それを不参加となると、いきなり「行政指導する」と口走ってみたり、強権的なことです。 

そもそも「県民の意見を聞く」ていどのことが目的ならば、強制的に意見を言わせるという県民投票の理念自体がおかしいのです。

この県民投票に法的拘束力があって、選挙権を行使するのが義務だというならともかく、任意の行政の意見聴取ていどのことに、どうして参加の義務でもあるようなことをいうのでしょうか。

住民は既に、国政や各自治体選挙で間接民主主義に参加し、意見を述べています。

それをまた法的拘束力のない直接投票を上に乗せるようなまねを、屋上屋を架すというのです。

またもや憲法学者がしゃしゃり出て不参加は憲法違反だなんて言っていますが、県民投票自体が間接民主主義を否定する憲法違反の疑いがあるのです。

民主主義は意見を自由に開陳できると同時に、発言を強制的されない制度のことでもあるのですから間違わないで下さい。

そもそもこんな政治ショーにする必要などありません。 

一番簡単な方法は、今、基地被害を受けている当該自治体である宜野湾市と、その候補地となっている当該地域である辺野古地区が、共に住民投票を実施して意見を聞けばそれでオシマイです。

いかなる答えがでるかわかりませんが、当該地域の意見を聞いてから、それをたたき台にして、県全体で議論しようというなら筋が立っています。

しかし、今回の移設反対運動に欠けているのは、「当該地域の意見を聞く」というもっとも初めしておかねばならないことだから、始末に悪いのです。

ですから、「被害が深刻な宜野湾から基地を撤去するためにはどうしたらいいのか」という大命題にまったく触れないままに、ハンタイハンタイと叫んでいます。

宜野湾市からのリスクの撤去を問わない県民投票など、まったく県民の生活の安全とは無関係なイデオロギー闘争です。

肝心の自分の地域の安全を問わないから宜野湾市議会は不参加を決めたのであって、このどこに問題があるのでしょうか。

それに「抗議」してハンストでイヤがらせをしてやろうという逆立ちした神経が、私には理解を超えます。

宜野湾だけではありません。デニー氏は隣の浦添の那覇軍港移設計画すらどーでもいいと言い始めています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-a76d.html

「沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は16日、同県浦添市の松本哲治市長と県庁で会談し、那覇市の米軍那覇港湾施設(那覇軍港)を浦添市の米軍牧港補給地区沿岸に移設するための埋め立て計画について、経済波及効果など将来性を考慮すれば自然破壊はやむを得ないことなど3項目を確認した。
 玉城、松本両氏はこのほか、新たな施設は「新基地」ではなく「代替施設」であることも確認。那覇軍港の浦添移設が「県内移設」ではなく「那覇港湾区域内の移動」であることでも一致した」(産経1月16日)

https://www.sankei.com/politics/news/190116/plt1901160022-n1.html

やれやれ二枚舌なことよ。ジュゴンがどーした、サンゴがどーしたと、宜野湾市民よりジュゴンのほうが大事な口ぶりだったのに、浦添の海にはサンゴがないとでも言うのでしょうか。

はたまた那覇第2滑走滑走路用地には、美しい海がないのでしょうか?

浦添市の移設計画には経済波及効果があるという言い方ならば、普天間基地が移設された跡地の再開発も同等、ないしはそれ以上の経済的起爆力を持ちます。

一方は県民投票にかけてまで反対し、一方は賛成。

こういうダフブスタを平然とするのは、馬鹿馬鹿しいことにはこれが故翁長氏が決めたことだからにすぎません。

といっても翁長氏が自民党時代の遺産で、その処理を松本市長におしつけた「恥部」だったのですが、それは「偉人」にふさわしくないと、臭いものに蓋してしまったからおかしくなりました。

こういう翁長氏の神格化をしてしまったために、みっともない二枚舌をつかわざるをえなくなったのです。

しかし、沖縄地元紙も県政与党も都合の悪いことには沈黙しているから、本土メディアもだんまりです。 まったくご都合主義なことです。

さて、このハンスト男くん。本土の学生活動家はハンストという手段が「決死的」に見えるのが、自己陶酔しているようです。困りましたね。

本当に死の危険があるなら、そんなことはよそさんの土地のしかも公共の空間でしなさんな。自分の家でガス管くわえていればいいのです。

それで抗議の自殺ならできます。 

そもそも、ハンストは決死的手段ではありません。ハンストでは死ねないからです。 

え、お前やったことあって言ってるのか、って。はい、あります。 

私、かつて7日間断食して、その後に1カ月復食過程でおかゆ生活を1カ月ていどやりましたが、死にそうになったことなどまったくなく、気持ちよく宿便が出ました(笑い)。

断食は3日間ていどは初歩の初歩、いわば美容健康断食です。水さえしっかり取っていれば健康障害はでません。

地元紙の報道に医師と称する者が、「おにぎりでも食べてほしい」と言っていましたが、バッカじゃなかろか。

断食中に、最も危険なのは固形物を口にすることです。

胃は2日目当たりでとうにペシャンコになって機能停止していますから、そんな状態の胃におにぎりなんて固く握ったものを入れたら、ほんとうにショック症状を呈してしまいます。

どうせ食わしたいならおかゆかゆしどうふにしなさい。そんなことも知らないでやっているのでしょうか、この藪医者。

断食は1週間ていどは誰でも出来ますし、そこから先も指導者がいれば1カ月程度までなら可能です。

それをたかだか3日程度で、生きるの死ぬのと騒ぐでない。宿便だしてさっさとお家に帰りなさい。

●[追記]

ハンスト男の元山くんが、塩を摂ったというので騒がれています。間違った批判ですので、止めて下さい。

「元山仁士郎@「辺野古」県民投票@Jin46o
5市長に県民投票への参加を求めるハンガーストライキを始めてから60時間以上が経ち、医療関係者からの助言で塩を摂り始めました。 身体に必要不可欠な味がしました(笑)
これからは水と塩でハンストを続けます。
一刻も早く5市長に県民投票への参加を表明してほしい。

https://i.imgur.com/3bfdyKI.jpg

これを批判するネットの声が多いようですが、なにが問題なのでしょうか。断食中にも1日に2ℓの水と微量の塩分は必要です。
これまで絶つと体内のナトリウムバランスが崩れて、悪くすると死に至ります。

ハンガーストライキは「死を賭してやる」ものであって、「死ぬためにやる」ものではない以上、水分と塩は摂らねばハンスト自体を継続できません。

また「点滴で栄養補給」を摂ったとしても問題がありません。断食中には水を飲むことすら厳しい人が出ますので、水分の吸収が容易なポカリスェットなどを摂ることはむしろ勧められています。

ブドウ糖飲料には微量な各種栄養素が入っていますが、それに目くじらを立てるほうがおかしいと思います。

断食はデタラメにやるから危険なのであって、古来からの長い経験則と科学的知見に沿ってやれば安全です。

私はこのような生命を使った政治パフォーマンスには批判的ですが、医師が塩を摂ることを勧めたのは当然の助言で、それ自体を批判の対象にするのは間違っています。

 

 

 

 

 

2019年1月18日 (金)

北方領土交渉は最終直線コースに入ったのかもしれない

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北方領土交渉でセルゲイ・ラブロフが高めの球を放り込んでいます。例によって言いたい放題です。

「会談後、ラブロフ外相が単独で記者会見に臨み、北方領土におけるロシアの主権を認めるよう、日本側に改めて要求したことを明かした。
また、日本の法律で「北方領土」という文言が使われていることについて「受け入れられない」と反発したことや、平和条約について交渉を進めるにあたり、日本側が第2次世界大戦の結果をすべて認めることが必要だと伝えたという」(ハフィントンポスト2019年1月15日)
https://www.huffingtonpost.jp/2019/01/14/meeting-taro-kono-sergey-lavrov_a_23642564/

0029306132https://www.jiji.com/jc/p?id=20190114183305-002930... 

日本のメディアはいつものように厳しい対応と言っていますが、なにも起きていないのに、ラブロフがこのような危険球を投げるはずがありません。 

ラブロフが外相会談冒頭の挨拶で、「第2次世界大戦の結果だ」という、私たちからすれば神経を逆撫ですることをわざわざ言ったのは、日本に対してというより、むしろロシア国内向けです。 

私たちにすれば不当に占拠されている領土の「返還」ですが、彼らから見ればこれは領土の「割譲」以外の何ものでもありません。 

なんどか書いてきていますが、ロシアと日本の領土感覚は大きく違っています。 

モスクワ公国から軍事力で膨張を重ねてきたロシア帝国にとって、国境線はゴム紐のように伸縮するものです。 

戦争で勝てば膨張し、負ければ縮小するのであって、元来この国境線までがロシア領という感覚はないのです。

このゴム紐領土感覚は中華帝国も一緒です。

チャイナの新疆ウィグル自治区の「新疆」はモロに新しい領土という帝国主義感ムンムンの地域名です。

領土にされてしまったウィグルン族からすれば、とんでもない不幸です。

彼らの現時点での国境は、ラブロフがいうように「第2次大戦の結果」彼らが領土化した部分までが「神聖な領土」だということです。 

近代的国境概念とはまったく異質の感覚で、日本人のほうが正常ですからね。 

そんな彼らにとって、元の持ち主である日本に「返還」するなどという殊勝な考えは皆無であって、あくまでも外交的利益があるからいやいや「割譲」するにすぎません。 

さもないと、国内に言い訳がつかないでしょう。いまでも、大いにプーチンはその説明に苦慮しているのですから。 

共同通信は「返還が絶望的だ」とまで書いていますが、反安倍色が強いメディアはおしなべて絶望的と筆先を揃えています。 安倍の手柄になると、改憲されてしまうかのようです。

さて私は、このラブロフの危険球の投げ具合からすると、交渉は間違いなく煮詰まってきていると見ています。 

おそらく22日の日露首脳会談でなんらかの動きがあるか、2月の2回目でそうとうに輪郭は見えて来るはずだと思います。

この両人はサシで会談をすることが多く、その時にはそうとうに突っ込んだ領土交渉をすると伝えられています。 

さて、意外に思われるかもしれませんが、クリミア侵攻が強烈だったために、ロシアの強面のイメージばかりが強調されてしまいますが、ロシアは国境交渉で相手方の言い分と自分たちの言い分を足して二で割るような現実的解決方法をとってきました。 

今やロシアにとって残された周辺諸国との領土問題は、日本との北方領土のみとなっています。 

つまり北方領土交渉とは、ロシアからすれば「残された最後のとげ」、あるいは、「大戦の最後の戦後処理」なのです。

「一方、ソ連邦崩壊後の1990年代から2010年にかけて、ロシアが、数十年にわたって抱えてきた隣国との国境問題を極めて柔軟に解決してきたことはあまり注目されてこなかった。
 例えば、バレンツ海の排他的経済水域境界線を巡るノルウェーとの紛争は、2010年9月に両国の条約締結で解決した。バレンツ海は、北欧諸国(フィンランド、ノルウェー)とロシアが境を接するムルマンスク地方から北極圏にかけて広がる広大な海洋である。
 また、長さ4380キロに及ぶ中国・ロシア国境の各所における国境線・領土問題は、ソ連崩壊直前の1991年5月に締結された東部国境協定を皮切りに解決が進められた。最終的には2004年10月のプーチン大統領、胡錦濤主席会談で、最後に残された極東地区のアムール川とウスリー川との合流点やアルグン川にある島々の帰属が決着し、両国間の国境は完全に確定された」(古是三春)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35821

簡単にこの両方の国との領土交渉の処理を押えておきます。 

303c6eafshttp://lingvistika.blog.jp/archives/1029087263.htm...

中国に関してはアムール河の島3ツを引き渡した代わりに、応分の面積の中国古来の領土を得ています。

「ロシアは、1991年から中国と断続的に対話を重ね、2008年7月に国境線を確定し、アムール川に浮かぶ3つの島を中国に引き渡す代わりに、中国古来からの広大な土地を永久に放棄させた。 それでも、ロシアから領土を返還された影響からなのか、中国でのロシアに対するイメージはすこぶる良い」(図版と同じ)

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思い出していただきたいのですが、昨年9月の東方経済フォーラム総会(ウラジオストク)で、プーチンは習の目の前で安倍氏にこう言ってきました。

「アプローチを変えましょう。そこで私も次のようなアイデアを思いつきました。平和条約を結ぼうではありませんか。今すぐではなく、年末までに。一切の前提条件を設けずに」

習はもちろん、プーチンとの間に成功したウスリー河領土交渉の顛末を知っています。 

この時は平和条約のことが前面に出たために、真意が伝わらなかったうらみがありましたが、プーチンは習の眼前でこう言うことによって、北方領土交渉を中国と同じ方式で決着させ、なおかつ戦後処理である平和条約もパッケージで結ぼうと提案したと思われます。 

一方、北極海のノルウェーとの係争海域についても二等分で40年に及ぶ境界線論争に終止符を打ちました。 

93196a26上図と同じ 

この領土等分案が、プーチンが言う「引き分け」という言葉の含意であろうと思われます。 

面積等分方式て考えると、歯舞群島、色丹島、国後島と択捉島の約20%が返ってくることになります。 

これは、北海道に付随する小島にすぎない歯舞、色丹の返還よりも、日本にとって遥かに有利な妥協案です。 

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 出典不明 

唯一の難点は、択捉島に陸上の国境線ができてしまい、戦後初めての陸上の国境管理が生じます。 

返還された北方領土に米軍基地が進出することをロシアが許さない、と難色を示す人がいますが、これは小川和久氏が前々から指摘しているようにドイツ最終規定条約の外交的前例で解決することが可能です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/post-b40d.html 

ロシアはクリミア侵攻による経済制裁で苦しんだ上に、昨今の原油安で経済が疲弊しています。

ロシア経済は、極端な1次資源の天然ガスに依拠する構造故に、下図で分かるように原油価格が下落するとロシア経済は不調に陥ります。

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株価もガスブロムやルクオイルなどの資源企業のウエイトが大きいために、国際原油価格の影響をダイレクトに受けてしまっています。

そしてお気の毒にも、この間の原油国際市場価格は下落基調です。ただ、ロシアは「打たれ強い経済」といわれているように簡単にネをあげませんので、ご注意下さい。

ここで妙に足元を見るのではなく、ウィンウィンの関係を作るつもりで考えるべきです。

日露史上唯一足元を見れたのは、ソ連崩壊時の数年間だけで、それを逃した以上、そう簡単に巡ってはきませんって。

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https://www.asahi.com/articles/DA3S13765637.html

この2019年からプーチンは、年金支給開始年齢の段階的な引き上げを行なう他、日本の消費税に当たる付加価値税を引き上げる等、国民に痛みを伴う歳入・歳出の改革を断行します。

これが支持率最強だったプーチン人気に陰りがでている原因ですが、このロシア国民の民生向上に日本は協力できる技術を持っています。

たとえば、みずほ総研上席主任エコノミストの金野雄五氏によれば、プーチンが経済成長へのカギに挙げている健康、教育、インフラ整備等は、いずれも日本が協力しやすい分野です。

また、ロシアが望んでいるシベリアの天然ガスの日本へのパイプライン延長は、相互に恩恵があることです。

安全保障上も、ロシアからすればこれら極北の3島を「割譲」することによりヨーロッパとアジア二正面の圧力から逃れられると考えれば、安い買い物です。

のようにドライにロシアの現状を見るならば、いまを置いて領土問題の決着を図るにふさわしい時期はないようにすら思われます。

あとは、それぞれの国のナショナリズムとの相談です。

安倍氏とプーチンは共に保守長期政権を握る政治家として右派を説得するとしたら、この両人をおいて存在しないでしょう。

仮に、ハト首相が同じように「領土等分だ」など言い出したら、私たちはご冗談と聞く耳を持たなかったでしょう。

安倍氏だから国内の原則的反対論、すなわち4島一括論を押えられるのです。このあたりの機微は慰安婦合意に似ていなくもありません。

同じようにプーチンの支持層はナショナリストたちですから、とことんまで粘った挙げ句、ぎりぎりまで交渉を重ね、ついに大局的な観点から涙を呑んで妥結したという構図をとらねばなりません。

双方ともに「名を捨て実をとった」形にしなければならないのです。

このように考えてくると、ラブロフの危険球の意味が分かって来ると思います。

マスコミさん、こんな面倒な交渉をしているときに、河野氏に会談内容を教えろとか、ラブロフ発言に対しての感想など求めなさんな。また「次の質問」と蹴飛ばされますよ。

 

 

 

 

2019年1月17日 (木)

日本を追い抜こうとする韓国の防衛費

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韓国は今、北に対して急速に一方的武装解除をしています。

「韓国と北朝鮮は1日、南北軍事境界線近くでの敵対行為を全面的に停止した。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は同日、「南北間の軍事衝突の危険を完全に取り除いた」と主張したが、北朝鮮軍の攻撃を防ぐ能力の低下を懸念する声も出ている。
敵対行為の全面停止に含まれるのは、
軍事境界線から南北に計20~80キロの空域での飛行禁止区域の設定、境界線に近い一部区域での砲射撃訓練禁止など。韓国国防省は「偶発的な軍事衝突を防ぐことができる」と説明している」(朝日2018年11月18日)

いささかも非核化を進展させているわけでもなんでもない北に対して、一方的に南北境界線に飛行禁止空域を作ってしまうのですから、在韓米軍が通常の北への飛行監視ができなくなるだろう、バカヤローと言ったとか。 

一方で、日本では報じられることがあまりありませんが、韓国は軍拡を急いでいます。

「韓国の国防予算が今年から2023年まで年平均7.5%ずつ増え、5年間に270兆7000億ウォン(約27兆円)の予算が投入される。
 国防部はこうした内容を骨格とする「2019~2023年国防中期計画」を11日に発表した。今後5年間の国防予算運営計画などが盛り込まれた中期計画の内容によれば、今年の国防費は昨年より8.2%増えた46兆7000億ウォン、2020年は50兆3000億ウォン、2021年54兆1000億ウォン、2022年57兆8000億ウォン、2023年61兆8000億ウォンが策定され、年平均7.5%増加する。これは、過去10年間の国防予算の年平均増加率4.9%をはるかに上回る数値だ」(ハンギョレ2019年1月19日)

154722131735_20190112ハンギョレ2019年1月19日 

この年平均7.5%の軍拡というスピードは、この10年間の保守政権の4.9%をはるかに凌ぐ軍拡ぶりだそうです。 

東アジア周辺諸国の防衛費の伸びを見てみましょう。 

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http://bunshun.jp/articles/-/7031石動竜仁氏による 

上図は、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)による日本周辺国の防衛費の20年分(1997年~2016年)の推移です。 

よく日本の防衛費をとって、毎年増える防衛費といったトーンでメディアは報じますが、それは周辺諸国と無関係にみているからです。 

上のグラフを見て、一見してわかるのは、グラフからはみ出さんばかりの急激な軍拡をしているのが中国です。

これはアジア地域のみならず、世界的に見ても、歴史的に見ても異常極まる大軍拡です。 

日本の赤線は20年間続いた悪性のデフレによって横ばいにあり、中国の5分の1ていどの規模に押さえ込まれています。 

方や、日本に今や接近し追い抜こうとしている国があります。それが実は韓国です。 

1%を超えた超えないのと騒がれるわが国と違って、実に7.5%の増加を続けている韓国ですから、この数年で日本の防衛費を追い抜き中露に続く軍拡国家になるだろうと予想されています。 

韓国は人口約5千万人で日本の半分以下、GDPは1兆4170億ドルで東京都の1兆5167億ドルより少ないくらいの規模の国家なのに、どうして防衛費だけが同等で、しかもいまや追い抜こうとしているのでしょうか。

韓国は元々日本のように意味不明のGDPに占める防衛費の割合を1%に押えるということはありませんでしたので、2%台で推移していました。

また分断国家として常に緊張を強いられるということもありました。

しかしそれでも、国の規模とのバランスがあります。軍事政権下でも日本の半分ていどでした。

それが一気にアクセルを吹かしたのが、このムンジェイン政権でした。

増加した原因のひとつには、ムンの経済政策の目玉だった最低賃金上昇政策の軍隊版があります。

ムン政権は、国情院の事実上の解体と並んで、保守政権時代の保守的思想を持つ軍幹部を容赦なく退役に追い込んでいますが、兵士クラクスの取り込みには余念がないようです。

「2022年までに10兆1374億ウォン(約1.1兆円)を投じて、2017年度最低賃金の50%水準にまで将兵の給料を引き上げることにした。軍将兵の給料は、昨年2017年の最低賃金の30%に上がり、2020年には40%、2020年には50%まで上がる」(ハンギョレ前掲)

そしてもうひとつは、「核・WMD(大量殺傷兵器)脅威体系)」です。これは核攻撃の脅威に対する弾道ミサイルと巡航ミサイルによる抑止戦略のことです。

ムン政権はこの弾道ミサイル体系を拡大させようとしています。

「国防部当局者は11日、この体系構築に「予算が32兆ウォン(約3.2兆円)程度配分され、これは2018~2022年の国防中期計画に比べ30%程度増えた数値」と明らかにした」(ハンギョレ前掲)

これは巡航ミサイル玄武3やイスラエル製精密誘導ミサイルなどです。

ムンは北の非核化を信頼して軍事衝突を回避しようとしているのに、なぜ「核・MMD」だけ手厚くされるのか理解に苦しみます。

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「韓国の首都ソウルで今年10月1日に行われた韓国軍創設65周年を記念する閲兵式で、日本の軍事関係者を驚かせる出来事があった。韓国ご自慢の最新鋭兵器の一つ巡航ミサイル「玄武3」が初公開されたのだ。このミサイルは韓国が独自に開発したもので、最大射程は1500キロメートルに達する。式典では、このほか射程300キロのミサイル「玄武2」やイスラエル製の精密誘導ミサイル「スパイク」なども披露された」(産経2013年11月12日)
https://www.sankei.com/west/news/131112/wst1311120078-n2.html

これらは、バククネ政権時から始まっていたものですが、パク政権時代には、とりあえずこれは北への核抑止だと明確に言っていました。

「朴大統領も式典で「北朝鮮が核を放棄して朝鮮半島の平和のために正しい選択をするまで強力な抑止力を構築しなければならない」と強調した」(産経前掲)

しかし兵器というものは、それを使う意志によっていかようにでも使えてしまいます。

その上に、北に対する抑止ならば、玄武3巡航ミサイルの最大射程は1500キロにも及び、オーバースペックです。

日本全土は、韓国のこれらの攻撃用ミサイルの射程範囲内に納まってしまいます。

私はこれをもって、すぐにでも韓国が日本をミサイル攻撃する意志があるなどと言う気はありませんが、潜在的にその能力と意志はあると見てよいでしょう。

はっきり言って、人工衛星ひとつ満足に上げられない宇宙開発後進国のミサイルなど、北の弾道核ミサイルのリアルな脅威とは比較になりません。

ただし、これに北が保有しない増強の一途を辿る海軍力と空軍力の通常戦力が加わると、脅威度を高めたと思えます。

従来、韓国海軍は朝鮮半島周辺海域などをパトロールする沿岸海軍の域にとどまっていましたが、近年になって強襲揚陸艦、イージス艦、潜水艦を次々と建造しています。

これも北は哨戒艇やゼロに等しい空軍しかもっていない北に対して、明らかに持つ必要がない過剰な空海軍力です。

ムン政権は左派政権だけに、「平和」という言葉が大好きです。

ただしそれは北に対してだけの熱烈にラブコールにすぎず、一方で軍備は増強しました。

実態は保守政権とは比較にならない軍拡三昧です。

では誰に向けての軍拡なのでしょうか?愚かな問いです。分かりきっていますね。

Photoハンギョレ2018年6月18日 竹島での韓国海軍・海兵隊・海洋警察の合同訓練 

私たち日本人は、永きに渡ってうすぼんやりと韓国を「友好国」として扱ってきました。

ほんとうにそうなのかどうか、少なくともあちらはそうは思っていなさそうだと理解したことが、今回のレーダー照射事件の唯一の収穫でした。

トランプによる北の非核化が挫折し、北の核が温存され、韓国の通常戦力がこれに加わわると仮定した場合、韓国を準同盟国としていた日本にとって東アジアの軍事バランスの根本的見直しを迫られるでしょう。

それがこのところ巷でよく言われている、「38度線が対馬まで降りてくる」ということの意味なのです。

私は在韓米軍の先ゆきにははなはだ悲観的ですが、わが国にとって、このような悪夢にならないための最大の担保が米韓同盟だということを忘れないようにしてください。

いずれにしても、この何を考えているのか分からないムン軍拡の足音は、すぐ背中に迫っています。

首都を火の海にしている国とは熱烈な抱擁を交わし、従来からの友好国には模擬攻撃をしかけてくる軍拡の国。

まったく奇妙な隣国を持ったもんです。

 

 

2019年1月16日 (水)

韓国側、日本に威嚇飛行してやる

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レーダー照射事件で日韓実務者会議が「平行線」で終わってそうです。当然すぎるほど当然の展開です。

「14日、日本と韓国の防衛当局による初めての直接協議が第三国のシンガポールで行われ、日本側からは防衛省の審議官級の幹部らが出席しました。
協議で日本側は、照射の客観的な証拠として自衛隊の電波記録を示すことを打診しましたが、その条件として韓国側が駆逐艦の電波に関する記録を示すことに同意しなかったため、機密保全などの観点から提示しませんでした。
日本側は改めて再発防止を求めましたが、韓国側はレーダー照射を否定するこれまでの主張を繰り返し、協議は平行線に終わりました」(NHK1月15日)

NHKは「平行線」と言っていますが、ここははっきりと「決裂」と書いたほうがいいんじゃないでしょうか。

この間、日韓防衛実務者は、テレビ会談しかしておらず、面と向かうとなるとシンガポールでしかできないということは、どちらかが相手国の開催を拒否したのでしょう。 

NHKは分かって報じているのどうか知りませんが、友好国同士の実務者会談が第三国でひらかれることは原則ありえません。 

必ずどちらか双方の国で開いて、それで決着が着かなかったら相互の国を会場とします。 

第三国でするのは、国交関係を持っていない北のようなケースですから、今や韓国の位置は、いよいよ我が国にとって「もう一歩で北」になりつつあるということです。 

これが日韓実務者レベルの温度です。 

いままで政府間が冷えきっていても、軍隊同士や実務者間は古くからのチャンネルが生きていて、案外フランクだったんですがね。

どうもそれすらも、「赤い韓国」の波に呑まれて消滅してしまったみたいです。

さて韓国は逆ギレをしてお怒りのご様子です。

受信した電波情報を日本に要求したので、外交の相互主義に基づいて、ならばそちらもお出し下さいと言ったところ突然ブチきれたようです。

外交の相互主義を定義しておきましょう。実際に日韓実務者会議では、外交の相互主義から、日本側は韓国側も開示しろと言っています。

「相手国が与える相当の保証・給付や,同種の行為の程度に応じて等価の権利・利益の許与,義務・負担の引受けを保証しあい,相互の間に待遇の均等を維持する関係に立つことをいう (相互主義の積極的機能) 」(ブリタニカ国際大百科事典 )
相互主義(そうごしゅぎ)とは

これが受けいれられない場合、こちらも与えない対抗措置をとるしかなくなります。

「他方で,相互主義は相手国が待遇の均等性を保証しなければ,許与した権利・利益の撤回,復仇,報復などの対抗措置をとる自由としても援用される (消極的機能)」(前掲)

したがって現状は、外交の相互主義を韓国が拒否したために、対抗措置としてこちらも電波情報の開示を拒否したという段階です。

外交の相互主義なんて高度なことを知らないとみえる韓国国防部のオバさん報道官は、こう言い始めました。 

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「【ソウル=岡部雄二郎】韓国国防省の報道官は15日の記者会見で、「日本側は一部のデータだけを(公開すると)主張する一方、我々の軍艦のレーダー情報すべてを要求した。受け入れがたい要求だ」と述べ、14日の日韓防衛当局間協議で、電波情報の交換を拒否したことを明らかにした。「実に無礼であり、解決の意思がない強引な主張だ」とも述べた。
報道官によると、韓国側は協議で、自衛隊機が低空飛行で韓国海軍の駆逐艦に異常接近したと改めて指摘し、抗議した。その上で「日本が威嚇飛行をするなら、我々も座視しない。我々も威嚇飛行を行う可能性がある」と主張したという」(読売1月15日)

https://www.yomiuri.co.jp/world/20190115-OYT1T50083.html

無礼もなにも、国際常識ですよ。無意味に激しい人たちだな(ため息)。

こちらは相互に証拠資料を出そうといっているだけなのにどうしてここまで猛り立つ必要があるのでしょうか。 

不思議と彼らが激昂すればするほど、私たちは冷えきっていきます。

年中怒り狂って小出しにしているそちらと違って、穏やかな我が民族がこういう怒りの貯め方をする時はコワイですよ、コリアさん。 

それはさておきこちらも威嚇飛行をやってやるぞということで、もう街のチンピラの喧嘩レベルですね。一国の国防相スポークスマンのセリフではありません。 

そもそも日本は威嚇飛行などはしていません。これは日本の資料映像を見た外国の専門家の共通の意見です。 

織田邦男元空将は、当時のP-1の高度を測定する映像から測定する方法を教えています。 

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P1の全長は38mなので、海面からP-1の影までの長さを図って、それをP-1の見た目の長さで割ると高度推計できるそうで、織田氏の推定では、P-1の長さの7倍、つまり高度約266mであったとのことです。 

似た方法はネット界でも伝わっていましたが、専門家の裏付けを得ました。 

正確な高度はフライトレコーダーに記録されているはすですが、おそらく200~250mで飛行しており国際法が定める民間航空機規則150mよりも高い高度を飛行していたのは確実です。 

なお、田母神さんのあんな事しょちゅうやっているというツイッターですが、空対空の話で、そもそも空にはCUES( キューズ・海上衝突回避規範)はありません。 

田母神氏は織田氏が問い合わせたら、CUESを知らなかったそうです(苦笑)。伊藤俊幸氏にも言われていましたが、知識が古いんですよ、あの人。

ニュークリアシェリングの時にも驚きましたが、元の肩書に惑わされないようにしましょう。 

韓国の言い分は、ある意味で一貫している部分があります。 

それは「日本の哨戒機を追跡目的でレーダー照射したことはない」としていることです。 

韓国はあくまでも、「人道目的の探索のためにレーダーを照射していたのであって、日本のほうから飛び込んできた」というリクツです。 

2018122400108916roupeiro00015viewJSF様による 

韓国に言わせると捜索レーダーは動かしていたが、火器管制レーダー(STIR-180)は動かしていなかったという説明です。 

したがって、「人道的捜索のために動かしていたので、CUESが定める攻撃シミュレーションにはならない」というリツクです。 

念のためにCUESの当該項目(2・8・1a)にはこうあります。

「遭遇した船舶や航空機に対して鉄砲、ミサイル、火器管制レーダー、魚雷管、その他の兵器を向けて攻撃シミレーションすること」

韓国に言わせると攻撃シミュレーション、つまり模擬攻撃をしたのではなく目的は「人道的救援活動」だったからCUESには反していないのだと言いたいようですが、ダメに決まっています。

人道目的か否かはあくまでも韓国の主観にすぎません。検証するなら、戦闘指揮所(CIC)における艦長の指示が収録された音声記録が必要です。

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日本はあくまでも「FC系電波」をキャッチしたから、電波で韓国海軍駆逐艦に問い合わせたのです。

Photo防衛省

捜索レーダーは360度回転続けていますから一定周期で凹凸がでますが、火器管制レーダーはピンポイントで照射するために台形の波形が生じます。間違う可能性はゼロです。

韓国は、当該のSTIR-180の記録を開示せねば、自分が言っていることの証拠にはなりません。

他人にデータを出せというなら、自分も出すのが子供でも分かるルールです。

伊藤俊幸氏によれば、日韓はGSOMIA(ジーソミア日韓秘密軍事情報保護協定)を交わしていますので、秘密指定にすれば相互開示は可能だそうです。
日韓秘密軍事情報保護協定 - Wikipedia

ところが自分は出さないで、宣伝ビデオでお茶を濁し、あろうことかこっちも威嚇飛行をやってビビらせてやるというのですから、あんたら街の悪ガキか。

とうぶんイライラが続きますが、ここは原則を守ってじっくりと追い込むしかありません。

とりあえず、日本に対して威嚇飛行をしてやるという韓国への返礼として、日本も謝罪要求を掲げたらいかがでょうか。 

 

2019年1月15日 (火)

辺野古現地の声を無視する県民投票

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クラッシャーさんが紹介されている動画です。私のブログも拡散に協力します。一聴に値する動画です。 

デニー派は移設問題について、実情をなにひとつ知らないブライアン・メイなどまで引っ張りだしていますか、かんじんの辺野古地区選出議員である宮城安秀氏がいかなる発言をしているのか知ろうともしません。 

それを知る貴重な動画です。
https://www.facebook.com/watch/?v=1918823541778263

「【知らなかった遅報】辺野古地元選出市議による、辺野古の現状の話が驚愕「報道してもらえないが、私たち辺野古区民は早く移設してほしいとずっと訴えている 

辺野古区選出の宮城安秀名護市議の弁
辺野古区は西側と東側があり、東側はいまあるヘリパットの騒音、低空飛行などにずっと困っている。
ヘリパットの除去は難しいけど、海側へ移設してもらうことは可能。
普天間から辺野古へ移設する時に いまあるヘリパットも移設してもらえるという事になっている。
普天間に固定されると、その工事がしてもらえない。
マスコミは「辺野古住民4人が移設反対で国を提訴!」と報道しているが、それは西側の人たちであって、いま困っている自分たち東側は反対していない。
東側は人口が少ないので話を聞いてもらえない。
市長も知事も、辺野古には一度も見にきていない。
新基地で自然破壊とか言ってるけど、新基地ではない
もともと米軍基地のある辺野古への滑走路の増設だ。
自己決定権だの民意だの主張するくせに、地元の「切なる民意」には耳を貸そうとしない、知事さん、マスコミさん「直接関わる人達の民意」もちゃんと拾いなさいよ。移設が完了することを望んでいるそうですよ。
あと、先の記事の若者たち、埋め立て反対の中に普天間固定派が相当数いるの認識してるんでしょうかね」
(「狼魔人」氏サイトコメントより引用させていただきました。ありがとうございました)

かつて辺野古選出の名護市議会議員はこう言っていました。

「この辺野古では7~8割が容認だ。向こうとはそうとうに温度差がある。辺野古移設による北部新興策や基地交付金だって8割は向こうが使っている。でも基地の騒音も危険も被害を受けるのはこっちだ。騒音も危険もない所が反対するのはおかしいんじゃないか。だったら向こうに持っていけということだよ」

この「向こう」とは、米国でも那覇でもありません。同じ名護市の西海岸地域です。ここに名護市の市役所も市街地もあり、この辺野古とは山を隔てて10㎞以上離れています。 

この市議が何に怒っているのかといえば、移設が実現してもなんの影響もない地域の人たち、名護市西海岸が当事者づらをして反対していることが不快だからです。 

これは名護市を横断すればすぐにわかることで、メディアは西海岸と東海岸を分断する脊梁山系の存在を意図的に無視しています。 

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 上のGoogle Earthをみればお分かりのように、名護市の中心は西海岸にあって、東海岸は山が海にまで迫り出して、平坦な部分が少ない土地だとわかります。 

東海岸は、このような狭い土地にしがみつくようにして漁業を中心に生きてきました。人口も少なく、名護市の圧倒的マイノリティです。 

今回、飛行場部分ができるのがこの東海岸です。

はっきり言って分厚い山脈の壁で隔てられ他西海岸は、仮にできたとしても高い高度を飛ぶ航空機をたまに見るていどの影響しか受けないはずです。

そして埋め立ての影響は、下のGoogle Earthに見える岬の西側に限定されます。

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よくこの埋め立てによってサンゴが7万4千群体に影響がでるという書き方をしますが、それは岬の東側のことで、工事とは直接の関係はありません。

「埋め立て予定地には、ほかに大小のサンゴ約7万4000群体があると防衛局の調査が出ているが、これらはすべて、現在埋め立てしている辺野古地区ではなく、岬の反対側の大浦湾地区にあるという。
このうち約4万群体について、県は9月3日、埋め立て承認の撤回で必要性がなくなったと国の申請を不許可にしている。これに対し、防衛局が12月6日に再申請して、19年1月7日現在も審査中だ」(J-CAST2019年1月15日)

https://www.j-cast.com/2019/01/07347439.html?p=all 

それに加えて、今まで辺野古移設を条件にして交付されてきた多額の北部地域振興予算が、当該予定地のある東海岸ではなく、西海岸で大部分使われてしまったことに対することも含まれています。 

このように、この移設問題で最も奇妙なことは、もっとも大事にされてしかるべき「地元の中の地元」の声が完全に黙殺されていることです。 

「県民の声を聞け」と今推進されている県民投票は、宜野湾市は参加を拒否しています。 

普天間基地の移設に伴う移設工事なのにもかかわらず、宜野湾市、そして近傍のうるま市、那覇軍港の移設場所である浦添市、カデナ基地のお膝元である沖縄市が脱落した「県民の声」とは一体なんなのでしょうか。 

地元の不参加に驚いたデニー陣営は、今頃になって選択肢を増やしてもよいなどと言う声が上がっているようです。 

たとえばこんなふうにでしょうか。 

①普天間移設に賛成、おおむね賛成、反対、おおむね反対、よくわからない
②固定化の場合、どのような対策 (自由論述可能)
③移設先に、名護市辺野古があがっているが賛成、おおむね賛成、反対、おおむね反対、よくわからない
④反対の場合、どのような候補地 (自由論述可能)

これは賛成反対の二色の昼間項を取り切れたのと、自由論述部分を可能したことです。 

たぶんこれをやったら、答えは見事にバラけるでしょう。 なぜなら、現実の声も決して反対一色ではなく、分散しているからです。

たとえば、この私は普天間移設には賛成で、なおかつ移設先はハンセン敷地内の陸上案がベストだと思っています。 

これなら海の埋め立てということに伴う環境配慮が軽減できますし、増設にもなりませんから、どこをどうとっても「新基地」などと言わせません。 

こんな私が県民投票すると、海上案にはノーですから、イエスノーで聞かれれば、ノーとなります(苦笑)。 

つまり、20年近い歳月をかけてやってきて消去法で決めた候補地について、イエスノーの2択などで選べというほうか暴挙なのです。 

ならば県議会の審議であれだけもっと選択肢を増やさないと実情にそぐわないという声を押しつぶして強行したのでしょうか。 

その理由は簡単です。反基地派の政治的都合です。 

移設をイエスノーの単純な2択に絞ることで、中間派をすべて反対票に誘導したいからです。 

そもそもこの時期に県民投票をする意味がわかりません。

やるなら、まだ埋め立て作業はおろか候補地が決定されない十数年前にやっていたならまた意味も違ってきたことでしょう。

その時期なら、県民がどのような移設を望むのか聞くという一種のアンケートとして意味はありました。

しかし、すでに土砂投入が開始され、反対運動がイデオロギー化してからのそれは、県民投票を政治カードにする目的しかありません。

そもそも、県民投票は間接民主主義の否定であって、こんなことを巨額の負担を自治体に強いるなら、議会選挙など不要ではありませんか。

このように地元が不参加であり、かつ実施時期に疑義があるような県民投票は、基地反対派の国政選挙(衆院・沖縄3区補選と参院選)に対する下準備ととられて当然です。

 

2019年1月14日 (月)

反日から卑日へ変質した韓国

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先日のムンの記者会見について、日本では強い怒りが沸き起こっていますが、その理由は内容以前にムンジェインのあのふざけきった態度です。  

あの新年年頭発言20分の演説では、日本についての言及はゼロでした。  

会見前には、レーダー照射事件があったばかりであり、この処理を誤れば徴用工で俵に足かかかった日韓関係は、この事件で完全に崩壊に向かうのは常識だというのに関わらず、です。  

ムンは日韓関係なんて壊れようとどうしようと痛くもかゆくもない、という態度をしてみせたわけです。  

これは今や日本などは、怒りの対象にすらならない意志表示のようです。  

2019011100080011chosun0003view朝鮮日報  

そして演説後の記者会見では、日本人記者の後ろを指したのに勘違いしたNHKが質問したわけです。

「政府は司法府の判決に関与できない。
まず、基本的な話からすれば過去に韓国と日本の間に不幸な歴史があった。35年ほど続いた歴史だ。
その歴史のために韓日基本協定を締結したが、まだ少しずつ問題が続いている。
これは韓国政府が作り出した問題ではない。過去の不幸だった歴史のために生じた問題だ。
これを政治争点化して問題を拡散するのは賢明な態度ではない。韓国最高裁の判決に対し、世界のすべての先進国と同じように政府は司法府の判決に関与することはできない。日本も同じだ。
日本が不満を表示するかもしれないが、韓国の司法府を尊重しなければいけない。不満があってもその部分はやむを得ないという認識を持たなければいけない。
韓日両国がこれを政治的な攻防の素材として未来志向的な関係まで毀損するのは望ましくない。
新しい財団については、その事件に対して捜査が行われている状況であり、状況を見守って判断すべきだと考える」(中央日報1月10日より発言部分だけ抜粋)

https://japanese.joins.com/article/993/248993.html

逐次批判はしませんが、このわずか5分程度のムンの発言の中に日韓関係に対する韓国側の意志がエッセンスされています。それだけ押えておけばいいでしょう。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-3219.html

第1に、日韓関係は歴史問題だ。その責任は日本にある。
第2に、日韓基本条約には問題が残っているので改定せねばならない。
第3に、日本は不満があっても韓国司法を尊重せねばならない。

さて今日、私が改めて問いたいのは、あの「余裕で日本を見下す」ムンの態度はなんなのだろうかという点についてです。  

このような韓国の態度について、元朝日の記者で、韓国留学の経験がある人物がこともなげに「ああ、韓国は日本のことなんかちっとも重く見ていないからですよ」と言っていました。  

この日本を下に見るという韓国国内の風潮について、鈴置高史氏は『米韓同盟消滅』でこう述べています。  

「韓国人はもう「反日」ではない。彼らを突き動かすのは「日本を卑しめたい」との衝動だ」(鈴置前掲) 

鈴置氏は、韓国人が経済的に貧しい国だというだけで露骨に見下す 国民性 を指摘しています。  

たとえばこんな例はいかがでしょうか。サッカーについてです。 鈴置氏の本からいくつか紹介します。 

2010年ワールドカップにおける対戦相手だったウルグアイに対する東亜日報の記事です。

「サッカーもうまい韓国、サッカーだけうまいウルグアイを鍛えてやろう」

自分の国は経済が上だから、経済が下の国は無条件で見下していい、馬鹿にしてかまわていというメンタリティです。  

2006年ドイツ大会前の中央日報記事にはこんなものもあります。

「ワールドカップに没頭するあまりすべてを忘れていいのか国策の懸案は多い。我々はサッカーしか知らない南米の三流国でない限り、これではいけないのだ」

かつて韓国は日本は「絶対にかなわない上の存在」(鈴置)だとみていました。  

それは日本が韓国を助けて来たことに慣れっこなっていたからで、日本は韓国の危機を救って当然、歴史を直視すれば贖罪は未来永劫支払わねばならない、とする心理でした。

「属国根性の裏返しだ。韓国は1948年の建国移行、米国と日本に助けられて生き残ってきた。北朝鮮に侵略すれば米軍が軍を派遣してくれた。1965年の日韓国交正常化の後は、投資資金も技術も日本頼みで経済成長に成功した。
次第に韓国人は、困った時は日本が助けてくれてあたりまえ、と思うようになった。1980年代末に高速鉄道計画に乗り出した際には、「日本が全額援助して建設すべきだ」と真顔で言う韓国人がいた。
1997年に外貨が不足し債務不履行に陥りかけた時も、多くの韓国人が「大丈夫、最後は日本か助けてくれる」と平然としていた。実際、日本銀行は韓国銀行のドルの緊急融資要請に答えようとした」(鈴置前掲)

それが20年間にも渡るデフレ地獄に陥り、経済がみるみるうちに凋落する2010年頃には、韓国は「日本は既に格下」の国なったという「侮日」、ないしは「卑日」が登場して、今に至っています。  

その理由について李春根氏は2012年に『米国に堂々と対した大韓民国の大統領たち』の中でこのように述べていることを、鈴置氏は 紹介 しています。

●経済
・日本は失われた20年や大震災で経済力を失い、GDP第3位に下落し、一方、韓国は世界10位圏内に上昇した。
・半導体、携帯、液晶テレビで日本のシェアを凌駕した。
・サムスンだけで日本大手電気会社の利益総額を上回った。
・ヒョンダイは生産台数でホンダを抜いた。
・購買力平価の1人あたりのGDPが日本を抜いた。
●外交
・韓国元外相が国連事務総長を務めた。
・従軍慰安婦問題を世界に知らしめた。

以下、延々と五輪のメダル数が勝ったのどうの、サッカーで4強になったからスゴイだろとう、まさに「世界に冠たるウリナラ」、落ちぶれて三流国に転落していくばかりのウェノムという図式が完全にこの時期に出来たのがわかります。

といっても、サッカー「世界4強」の内実とは、FIFA史上かつてない規模と質の悪魔の如きファールの嵐と審判の買収の成果でしたが。
韓国アジア大会、なんたるホスト国「まさにマルディーニの怒りの再現 ...

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このような図式が李明博時代前後にいったんできてしまうと、韓国人にとって日本は鼻先でせせら笑って対応していいもの、小突き回して楽しむだけの国ということになります。

ところが日本は鈍感にも、それに気がつきませんでした。

「もっとも日本人の多くは韓国が「反日」から「卑日」国家に変身したことに気がつかなかった。歴史問題を言い立てて日本を批判するという手口は同じだったからだ。
「下から目線」で日本に恨みつらみをぶつけてくる韓国人に馴れきって、かれらが「上から目線」で日本を貶め始めたとは思いもよらなかったのである」(鈴置前掲)

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上の写真は2011年の日韓戦で、日本をサルだと嘲ったパーフォーマンスする韓国選手ですが、従来のただの反日が卑日へ変化していることがわかります。

ちなみに F IFAのフェアプレイ条項に引っかかりそうになって、このキ・ソンヨンが思いついた言い訳が観客席の旭日旗の存在でした。

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オレはあの戦犯旗に抗議した正義の士なのだ、というわけです。

以後、韓国はそれまで何も言ってこなかった(あたりまえだ)旭日旗を、国を上げて非難するようになります。

今回もそうですが、ろくな交渉カードももちあわさずに街の与太者のように突っかかってきて、金切り声を上げて、地面にひっくり返って手足をばたつかせる韓国の様を、ただの中二病ていどに軽くみていました。 

この見方から日本は「大人の対応」をして韓国を丁寧に扱い、落とし所をこちらから設定して、時には慰安婦に謝罪して見せたり、癒し財団を作ってきたわけです。

 ところが、さすがにおかしい、いままでの「反日」一般とは違うとやっと日本側が気がついたのは徴用工とレーダー照射事件でした。

「卑日は上位者が下の者を叱りつける行動である。日本がいくら謝ろうが、韓国は日本非難をやめない。叱りつけることで「お前は下にある」と思いしらせてやることが目的だからだ」(鈴置前掲)

いわば民族のうさ晴らしである快楽的反日病に国全体が冒されしまい、それが日本の経済失墜と韓国の上昇によって「上目線」に変化して固定化されました。 

そして格下の三流国として日本を見る卑日の視点が固定化され、さらにムンの登場によって完成してしまった、それが現在の韓国と日本の関係です。

「中央日報の論説委員は韓国は中二病にかかったと評した。第2反抗期の青年は利害得失など計算していない。結果などはおかまいなしに、ひたすら「自分は最強の存在」と信じてパーフォマンスに没頭する。韓国は「いつかは戻って来る第1反抗期の幼児ではなくなったのだ」(鈴置前掲)

このような「自分を最強と信じてパーフォーマンスに熱中する」ような第2反抗期の国に対しては、説得も譲歩も無意味です。 

それは賽の河原の石積みとなるばかりか、かえって韓国に「自分が最強」というグロテスクな自信を与える結果となるでしょう。

 

 

 

 

 

 

2019年1月13日 (日)

日曜写真館 きょうから初場所

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2019年1月12日 (土)

ムン閣下の奇妙な三権分立論

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ムンジェインが年頭記者会見で「当てたくない」日本人記者を当ててしまったために(笑い)こんなことを言うはめになってしまいました。

「文氏は最高裁判決について「日本を含む先進国と同じように韓国にも三権分立があり、韓国政府は司法判断を尊重する必要がある。日本は韓国司法府の判断に不満を表明することはできるが、基本的にどうすることもできない部分があると認識してもらいたい」と主張。「被害者たちの苦しみを癒やすために、日韓両国がどう解決していくのか、知恵を集めていくべきだ」と述べたうえで、「政治的な争いととらえ、未来志向的な関係まで壊そうとするのは望ましくない」とも指摘した」(毎日1月10日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190110-00000079-mai-kr

 ムンはこの間一貫して慰安,婦財団の解散、徴用工判決、そしてレーダー照射事件においても沈黙を続けてきました。 

今回の年頭会見でも、日韓関係は完全スルーして終わりにしたかったようです。 

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朝鮮半島の二国のことを私は「リアルタイムで見られる古代国家」だと思っていますが、日本をディスる段になると、突如近代民主主義に目覚めてしまうから不思議です。 

三権分立のお説教ですか。また聞いたようなことを(苦笑)。 

それにしても説教するのが、異常に好きな民族ですなぁ。

なぜかいつも上目線で、正しい歴史を教えてやるとか言っていましたが、今度は三権分立について教えを垂れて頂いたようで。ありがたいことです。

ムンの意図はいまさら説明するまでもなく、「不満があっても仕方がないという認識を持つべきだ」というわけで、意訳すれば、「うちの政府に抗議しても無駄だからさっさと諦めて泣き寝入りしちゃいなさい」ということです。

ムンが言うには、「韓国政府は司法判断を尊重する必要がある。日本は韓国司法府の判断に不満を表明することはできるが、基本的にどうすることもできない部分がある」ということのようです。 

なんだ、要するに日本も韓国最高裁様の判決を拝め、そして「不満があっても仕方がないと」涙目で諦めろということのようです。

素朴に何で外国の最高裁判決を、我ら外国人が拝まねばならないのかと思いますね。

韓国政府は司法に従属しているだけということになれば、日韓両国の間に外交の入り込む余地はありません。

するとネット民の中には腹立ちまぎれに大使などは無用の長物、大使館も引き払ってしまえと思う人もでるかもしれませんね。 (もうだいぶ出ていますけど)

ちなみに私は大使召還を視野に入れて、関税率ひき上げなどの小技を折り込みながら、戦略物資凍結や断交というリーサルウェポンを切るべきだと思っていますが。

さて、ムンはかつて弁護士だったにもかかわらず(他ならぬ徴用工裁判の弁護人のひとりでしたが)、三権分立を曲解しています。 

まず第1に、三権分立は国内統治においてチェック&バランスをとるための仕組みのことであって、外国との外交関係において使うべき法の原理ではないということです。

もしそのように司法機関が恣意的に条約を否定することとが可能であって、その判決に行政府や立法府も違わねばならないとすれば、司法機関の長が国の最高権力者になってしまいます。

すると選挙で選ばれない人物が絶対権力者として君臨する「司法の独裁」国家が完成してしまいます。

こんな国に民主主義はありませんし、そもそも勝手に条約を一方的に廃棄するような国とは新たな条約を結ぼうという奇徳な国は現れなくなることでしょう。

馬鹿国家が勝手に一国だけで潰れるのは勝手ですが、条約は相手国があります。

最低1カ国、集団的安全保障や多国間貿易協定では多くの国に不利益が及びます。

ですから、こんな不埒な国が出てこないように、ウィーン条約で条約法の縛りをかけています。

「●条約法に関するウィーン条約
第二十七条 国内法と条約の遵守
 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない」

http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/mt/19690523.T1J.html

国内法は条約を超越できないとよくいいますが、その法源はこのウィーン条約第27条にあります。

それでもなおかつ、うんにゃこれはただの合意にすぎないからいいだろうとか、協定と条約は違うなんてことを言い出させないためにこういう一項まで付帯しています。

「●ウィーン条約第2-1
(a) 「条約」とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によつて規律される国際的な合意(単一の文書によるものであるか関連する二以上の文書によるものであるかを問わず、また、名称のいかんを問わない)をいう」

ですから、当然日韓請求権協定も、ついでにいえば普天間移設合意も、国内の都合で一方的に廃棄できないのです。 

日本国憲法においてもこういう定めがあります。

「●憲法第九十八条
2項 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」

法律的表現が続くと頭がグラグラしますが、第98条において外国との取り決めに対しての遵守義務を定めています。 

仮に国内法で安保条約を棄損するような法律を作ったとしても、それは条約遵守義務に反するから無効だということです。 

この法の原則によって翁長氏は最高裁で破れました。

司法判決も同様です。

日本の最高裁が日韓請求権協定を否定する判決をしたとしても、行政府は憲法第98条を理由にして従う義務はありません。 

三権分立は司法の保護だけではなく、行政の独立の保護に対しても作用する概念なのです。

そもそも三権分立は、さきほどチェック&バランスのために出来たと書いたように、司法機関が行政機関によって不当に介入されないためにできたものです。 

たとえば行政府が、気に食わない判決が出そうだと圧力をかけて潰すようなまねを防ぐために考えられた仕組みで、「司法の独立性」を保全するものでしかありません。 

これはヨーロッパにおいて君主と貴族の行政府によって、永きに渡って司法権が牛耳られて来たことに対する反省から生まれてます。 

現代で三権分立が存在してい国があります。中国です。 

この国において、司法は共産党司法支部でしかありませんから、共産党政権を批判する民主活動家は例外なく有罪判決を食らって投獄されています。 

このように司法が行政権力と一体化してはならない、政治の司法への介入を禁止して公平中立を保ちましょう,、というのが三権分立の本来の意味です。

したがって三権分立は、あくまでも国内の統治でのみ使われる概念であって、外国に対して使うべきものではありません。 

では今回の韓国の場合はどうでしょうか。 

三権分立を守るためには、「政治権力からの干渉の遮断」をせねばなりません。 

これが大いに怪しいのです。

150599780687_20170921キム・ミョンス大法院院長 ハンギョレ

.「【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の国会は21日、大法院長(最高裁判所長官)に金命洙(キム・ミョンス)前春川地方裁判所長を任命する人事への同意案を可決した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が指名した金氏は人権派の判事として知られる」(日経2017年9月21日)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H4M_R20C17A9FF1000/

これは徴用工裁判を、ムンの前までの大統領たちが日韓関係悪化をおそれて、意図的に遅らせてきたのではないかという疑惑を、「積年の弊害を打ち砕く」というムンがとった政治的任命でした。

この最高裁長官となったキム・ミヨンスは田舎地裁の所長レベルの人物で、ムンのお眼鏡にかなっただけで、いきなり最高裁長官に抜擢されたのですから、まーメチャクチャやりますな。

典型的な司法に対する行政権力の介入ですから、こんなことをやった人物に三権分立がどーたらといわれたくはないものです。

そのうえに韓国最高裁は、今や政治権力そのものに変質しています。

本来、司法が口をはさむことの出来ないはずの外国との条約を否定する判決をだすことで、行政府をこれに従わせています。

正確に言えば「従っているふり」をしている、ですが、少なくとも行政権力に対して司法権力がやりたい放題の免罪符を発行しているのです。

実に狡猾なやり方です。

行政府としては、日韓請求権協定が、戦後の日韓関係の一丁目一番地だと分かっていなければバカですから、それを自ら否定することはできません。

少なくとも今までの韓国政権は、あのノムヒョンですら、その一線は超えられなかったのです。

それを軽々とムンは超えて見せました。多分長年考えてきたのでょうから、そのやり方は狡猾な保身に満ちています。

自分はあくまでも行政府の長として中立を装ってなにも言いません。

言い出すのは司法府ですが゛そこには分の息がかかった者を送り込みます。

その司法府に最高裁判決として日韓請求権協定を否定させます。

そして自分は三権分立を尊重するから受けるという形にします。

そしてさらには日本にも、「自分は司法の決定には従う。日本も従え」とやったわけです。

これなら批判を受けたなら、あれは最高裁が決めたことと逃げられます。

なんのことはない、田舎裁判所の判事レベルの人物が書いた判決で、日韓関係は一夜にして終焉を迎えるのですから、なんともかとも。

正常に三権分立が機能している日本の最高裁ならぱ統治行為論によって、「本件は司法が取り扱う案件ではない」と門前払いをしたはずです。

ムンの国内法で条約は否定できるとする三権分立解釈が正しいのか、それとも国際的な法の支配が正しいのか、出るところに出て決着をつけましょう。

と言っていたときに、言語道断のレーダー照射事件ですから、ムンにとってもこの事件は全面的に韓国側に非があるだけに、いっそう黙っていたかったのだとお見受けします。

朝日は例によって安易な落としどころをみつけにかかっています。

「日本側が協議を求めるのは国交正常化後初めての異例な措置となる。解決しない場合は、国際司法裁判所(ICJ)への付託も視野に入れている。大法院判決は国際法違反だとして、国際社会に認めてもらう狙いだ。
 しかし、日韓の当事国間の対話を離れ、第三国を交えた仲裁委や国際裁判で決着させるのが歴史問題のような懸案になじむのかどうか。どちらかの主張に軍配が上がったとしても感情的なしこりが残りかねない」(1月11日社説)

なにが「しこりは残りかねない」ですか。朝日は慰安婦問題の火付け役で、しこりを作った当事者です。

その意味で、朝日は日本国民に対する加害者でした。

それが今さら憂い顔で「しこりが残りかねない」ですか、片腹痛い。あんたにだけはいわれたくない。

しこりきったのは韓国ではなく、私たち日本人の側です。

朝日は慰安婦問題よろしく徴用工癒し財団でも作れとでも言いたいのでしょうか。それがどのような結末となったのか知らないとは言わせません。

どのような手段によってもしこりは残ります。日本は歴史問題で営々と十数回謝罪しましたが、その事実さえ忘れられています。

あらたな為政者が登場するたびに頭を垂れ、許しを乞い、金をだし、そしてとうとう慰安婦合意において「完全かつ不可逆的に解決した」と合意しても、次の為政者がそれを一蹴すればそれでおしまいとなります。

馬鹿馬鹿しい賽の河原の石積みです。

朝日が望むような「解決」は、この世には存在しないのです。

いずれにしても、この間起きたことのすべての責任は、あげて韓国にあります。

だから朝日が言うように「どちらが勝ってもしこり」が残る」のではなく、今私たち日本人がしこりに耐えうる限界線上にいるという事実認識です。

そして今回のレーダー照射事件です。これで決定的に潮目が変化しました。

彼等ですら韓国海軍の挑発軍事行為だったレーダー照射を弁護できなくなっています。

いまや朝日界隈にいた謝罪派は少数派に転落しました。

今、必要なことは朝日が言うように「しこりを作らないためにうやむやにする」ことではなく、二国間問題のとげを抜いていくことです。

二国間関係が一時(あるいは半永久的に?)氷河期になることなど考慮せずに、韓国をどう扱っていくのか慎重に考えるべき時期に入ったのです。

 ●関連記事
「山路敬介氏寄稿 朝鮮半島出身労働者問題」、国際司法の場での日本側敗訴はない」1~4

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-4d1f.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-dc0e.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-5.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/4-88f0.html

「平和条約としての日韓基本条約」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-b1ba.html
  
 
 
 

2019年1月11日 (金)

韓国の本音が見えてきた

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韓国に面白い動きがでています。 

韓国は内部的には、レーダー照射とその後の対応を失敗したと認めている風情なのです。 

え、あんなに内容スカスカのビデオを六カ国語にわざわざ翻訳したばかりなのに、まさかぁと思われるかもしれませんが、韓国は内面と外面が激しく乖離する国なのですよ。 

ですからあくまでも内部的には、です。 

韓国海軍の参謀総長沈勝燮(シム・スンソプ)が、あのクアンゲト・デワンの所属する海軍基地を訪れての発言が韓国メディアから流れてきています。 

この場でのシム参謀総長はレーダー照射自体については発言しなかったものの、その後の韓国側の通信拒否については「現場部隊の不十分な対応を叱責した」そうです。

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「東海、ソウル聯合ニュース】海軍制服組トップの沈勝燮(シム・スンソプ)海軍参謀総長は7日、威嚇的な飛行を行った海上自衛隊の哨戒機に対し煮え切らない対応をとったとして批判を受ける駆逐艦「広開土大王」の所属部隊を訪問し、叱責とも受け止められる発言をした」(韓国聯合1月7日)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190107-00000059-yonh-kr

ほー、韓国軍に国際法が念頭にあったとは驚きですが、米国からネジでも巻かれたのでしょうか。 

こんな動きも同時期に出ています。

「【ソウル=名村隆寛】韓国国防省は8日の記者会見で、韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊P1哨戒機への火器管制レーダー照射問題に関連し、友好国の軍用機が威嚇飛行をした際の対応マニュアルを具体的に作成していることを明らかにした。内容の詳細は作戦保安を理由に公表されない」(産経1月8日)

韓国海軍はこれから国際法を学ぶんだそうです。CUESに署名しておきながら、知らなかったってことですな。

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 韓国海軍は明らかにマズったと思っています。 

シム参謀総長が言う国際法とはCUES(海上衝突回避規範)を指すのでしょうが、無線連絡を拒絶したことは国際規範を違反していたのは否定しがたいと、少なくとも海軍上層部は考えているようです。 

韓国政府の内部の声もちらほら伝わってきました。 

小川和久氏は韓国とも多くのパイプを持つ人物ですが、1月7日に行われたある新年互礼会の会場で韓国政府の高官から声をかけられたそうで、その時に韓国側の生の考えを聞いています。 

ちなみに、小川氏は政府中枢とも太いパイプを持っている人なので、なにかしらの政府への伝言を託したのかもしれません。 

二国間関係が硬直した場合、双方に幅広い人脈を持つ民間人に、伝言を託すのは、外交の世界ではよくあることです。

「韓国政府高官の発言は次のようなものです。
1)火器管制レーダーは照射していない。海上自衛隊の哨戒機がキャッチしたのはほかのレーダーの電波だ。この点は海軍参謀本部の高官に確認している。
2)日本側は民間航空機の基準を適用して高度150メートル以上を飛んだとしているが、軍用機には飛行高度の制限はないので、逆に不思議に思っている。
3)(反論動画の公開など)韓国側の対応はまずかったと思っている。
4)両国の実務レベル協議の開催地をソウルにするか東京にするかで揉めており、これもバカげたことだ。
5)なぜ駆逐艦があの海域にいたのか、われわれも不思議に思っている。北朝鮮漁船の救助には海洋警察の新鋭巡視船が派遣されており、駆逐艦は必要なかった。
6)安倍晋三首相は事件を支持率回復の道具に利用しようとしている」((小川和久『NEWSを疑え!』第739号2019年1月10日号)

これを読む限り、韓国側はレーダー照射を最後の譲れない死守線としているみたいです。 

逆にいえば、それ以外はもうバンザイといってよいでしょう。 韓国さん、楽になっちゃいなさい(カツ丼をくわせる)。

レーダー照射について小川氏が更に問うと、こう答えています。 

「火器管制レーダーのアンテナについては、光学的に哨戒機を確認するための装置を使うためだったと弁明していましたが、その証拠画像はないということでした」(前掲)

これはレーダー横の光学装置で哨戒機を撮影するためだというのは、韓国の公式見解です。 

ただ、本音が出ているのは「その画像がない」という部分です。 

ほー、クアンゲトデワンは無線機もペケだったし、光学装置も使い物にならなかったというわけですか。とんだポンコツイージスですなぁ。 

民間機の高度制限をわざわざ日本が紳士的にも厳守しているに関わらず、「軍用機は民間機とは違う」という自爆的弁明についてはこの韓国高官も「逆に不思議に思っている」そうです。 

そりゃそうです。軍用機の高度については国際規範は存在しません。軍用機はその与えられた任務に従って、低空にも舞い降りてきます。 

むしろ日本のように民間航空の高度を遵守するほうがヘンなのです。 

96611_1438_551c69b745b36fe647f16f5chttp://news.livedoor.com/article/detail/15843502/

 上の写真は、スペイン海軍揚陸艦「ガリシア」の側方を飛行するドイツ海軍のP-3C哨戒機です。 

おそらく高度150mを切っていそうですが、スペインは抗議していません。そんなことは各国海軍は年中したり、されたりしているからです。 

かくいう韓国海軍もしています。韓国海軍哨戒機は100mだそうで、日本の高度150mなど奥ゆかしいもんです。

「実のところ、監視対象から「高度150m、距離500m」という数字は、特別に低高度でもなく危険なほど接近してるともいえない数字です。
たとえば韓国海軍は、P-1哨戒機とほぼ同様の運用をしているP-3哨戒機を保有していますが、韓国メディア「月刊朝鮮」の記者が2013年7月10日にこのP-3へ搭乗取材した記事によると、「目視識別のために高度を100mまで下げた」「外国の艦艇監視のため高度60mで接近飛行する」とあり、韓国海軍の哨戒機部隊自身が外国の艦艇に対して、今回の事件におけるP-1よりもはるかに低い高度を飛んでいることが分かります。
(関賢太郎
http://news.livedoor.com/article/detail/15843502/)

海自哨戒機より低く飛んでいるようですが、危険と非難されることなどはありえません。真上を通過しても「威嚇」だなどとは言われません。

あくまでも武装した航空機が攻撃行程に入る姿勢を見せた場合、他国に対する模擬攻撃として非難を受けます。

軍用機とはそういった機種なのです。 

というわけで、各国は独自判断でマニュアルを作っています。 

話を戻しますが、韓国高官は「反論動画の公開などの韓国側の対応はまずかったとのことですが、当然です。 

韓国は謝罪したくないあまりに、有利になりそうなことをアレもコレも並べすぎました。 

やるなら、日本がレーダー波の証拠を持っているが、軍事機密になるので簡単に開示できない弱みをついて、その一点に絞ればよかったのです。

それを民族的伝統である「被害者ブリっこ」をしたいために、威嚇飛行をされたために甲板がビリビリ震えた(うそこけ)、無線で応答しなかったことを聞き取れなかっただの、英語の発音が悪いだのといった、どーでもいいような反論をゴジラ音楽をバックに並べまくりました。 

日本の航空無線の専門家によれば、あれを聞き取れないようなヒアリング能力だと、航空管制も聞き取れず、他国の港に入れば港湾局とも通信ができないだろうとのことです。 

韓国はこの韓国高官も認めているように事後対応を誤りました。

伊東俊幸元海将は、国防部には海軍のことなどなにも知らない陸の連中が仕切っているためにこうなったのだ、と述べています。

それもあるでしょうが、韓国海軍は日本と戦いたくてたまらない反日世代が指揮官クラスに並んでいる海軍です。

韓国海軍はそもそも北の哨戒艇しかないようなものを相手にするのではなく、日本と戦闘を交える願望で作られました。

だからこんなことが起きるのです。

だから、レーダー照射の前段手続きとして敵味方識別装置にフレンドリー(友軍)と表示されているにもかかわらず、その飛行意図を無線で照会することもなく、いきなり射撃管制レーダーを照射するという暴挙を働くのです。

「韓国側は火器管制レーダーを照射した事実はないとの姿勢を崩していません。しかし、レーダー照射の前段階の手続きとなる「友好国の航空機」に対する飛行意図の確認を怠っていた点を海軍参謀総長が認めたことで、韓国駆逐艦側の落ち度を全面的に認めた格好になりました。最も避けたい日本側への謝罪をしないで済む形ながら、韓国側から着地点を探っていることが明らかになったと言えるでしょう」(小川前掲)

とまれこれで韓国の死守線が見えてきました。かれらはレーダー照射はしていない、ただその一点だけにしがみついているようです。

またこの3月1日に予定されている、三一独立運動記念日の前段で謝罪に追いこまれることだけは避けたいと思っているようです。

ムンからすれば、このレーダー照射事件は想定外の出来事だったようです。徴用工判決まではシナリオどおりだったのでしょうが、

よもや海軍が「見られたくない」ものを日本に見つかったばかりではなく、その対応で大ポカ、フォローすべき国防部も火に油を注いでしまうのですから、投了です。

三一記念日の前に謝らねばならなくなったら、ムンは舌噛んで死んだほうがましだと思うことでしょう。

といわれましても、こちらとしてはたび重なる政府主導の反日政策の延長上にこの問題を見ざるをえませんから、簡単には引けません。

 

 

2019年1月10日 (木)

ポスコと新日鉄住金

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昨日、政府が韓国政府に徴用工判決の協議を申し込みました。

「菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に賠償を命じた元徴用工訴訟を巡り、1965年の日韓請求権協定に基づく2国間協議を韓国に申し入れると発表した。菅氏のほか、外務、国土交通、法務など関係閣僚による会議を9日午後に開き、今後の方針を協議する」(日経1月9日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39797060Z00C19A1EAF000/

韓国側が新日鉄住金 かポスコと共同出資した子会社であるPNR(POSCO-NIPPON STEEL RHF Joint Venture,Co.,Ltd.)の知的財産権を確保するのではないか、とみられています。 

そもそもポスコ自体が、新日鉄住金が多大な肩入れをして作った会社です。 

当時ポスコはポハン (浦項)製鉄所と称していましたが、ハードの製鉄設備、そしてソフト面の技術指導に至るまで、かゆい所に手が届くような援助を与えています。 

結局、日本はこの後に手ひどく裏切られることになります。 

2012年4月25日、新日鉄住金がポスコを相手取り、不正競争防止法違反で1000億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしています。 

この事件は、新日鉄が独自開発した変圧器に使用される世界最先端技術であった「方向性電磁鋼板」の製造技術をポスコ側が不正入手したために発生しました。 

証拠を積み上げられて逃げることができなくなったポスコは300億円の損害賠償を支払うはめになります。 

これ以降、恩を仇で返された新日鉄住金は、冷やかな眼でポスコを見るようになったのは当然です。

「イム弁護士は「新日鉄住金は世界的な鉄鋼会社で、韓国内の財産が相当数確認された」とし「ポスコ合弁会社であるPNRの株式30%を新日鉄住金が保有している。これに対する差し押さえ手続きを優先的に検討する」と明らかにした。
  PNRは2008年1月にポスコと新日鉄住金の前身である新日本製鉄が提携して発足した製鉄副産物リサイクル専門の合併法人だ。2017年末事業報告書基準で、資産962億3400万ウォン(96億1500億円)のうち30%である289億ウォン余りを新日鉄住金が保有している」(中央日報2018年11月13日)

今回韓国徴用工弁護団は、この曰く因縁があるこの知的財産権にターゲットを絞っています。

20181112at08_phttps://www.jiji.com/jc/article?k=2018111200142&g=...

現実にPNRを差し押さえるといっても、今回は新日鉄住金が保有する243万株の内の8万1千株に過ぎませんので、核心的技術は漏洩しないと思いますが、以後同種の訴訟が訴訟されると、PNRの持ち株比率は下落していきますから,憂鬱になります。

次にありえることは、韓国に進出した企業が「人質」となることです。裁判中は日本側の社員を出国停止にしてしまうことです。

中国では公然とやられていることですが、韓国がやるかどうかわかりません。

今回は民間人の原告団だけではなく、司法、政府まで絡んだ大がかりな仕掛けですので、充分に気をつけることをお勧めします。

2019年1月 9日 (水)

韓国経済レ・ミゼラブル

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ムンジェインの支持率は急落し続けています。 

就任時は9割に届こうかという驚異的支持率でしたが、来たの核実験で落ちて、その後は南北会談で上昇に転じ、トランプ正恩会談時には元の9割近い支持率を叩き出していました。 

この絶頂期から見れば、実に4割の支持を失ったことになります。 

20180511oyt1i50008l読売https://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000301/2018051...

 現在はメドとされた50%を切って40%台で推移しています。これはこの国の支持率としては危険水域に入りつつあるということです。

「韓国ギャラップ社(以下、ギ社)が11月23日に発表した調査で、文大統領の職務遂行に肯定的な評価を下したのは53%。否定的な評価は38%だった。これは9月下旬の南北首脳会談後の数値から10ポイントほど下がったものだ。
他方、リアルメーター社(以下、リ社)が29日に発表したものによると、肯定評価は48.8%、否定評価は45.8%となっている。やはり9月下旬から約17ポイント低下した。50%を下回ったのは就任後はじめてのことだ」(徐台数11月29日)

https://news.yahoo.co.jp/byline/seodae11月29)gyo/20181129-00105919/

2018112900105919roupeiro0018viewhttps://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20181129... 

特徴的なことは、かつての「ろうそくデモ」の主力でムンを熱狂的に支持した若年層のムン離れです。

「年代別に見ると、肯定層はギ社の調査では、30代(67%)→40代(60%)→20代(56%)→50代(52%)→60代以上(39%)の順となっている。リ社の調査では40代と30代が入れ替わるだけで、後は同様だ。」(徐前掲)

この原因は経済の不調による就業者数の減少、特に若年層の失業率増加です。 

M_yonhap20180615wow006https://news.goo.ne.jp/picture/world/yonhap-201806

韓国の就業者数は20万人を切り、2008年のリーマンショック時と並ぶ水準になっています。

「さらに深刻なのは、青年失業率だ。実質的な失業状態にある人を含む青年層の体感失業率は23.2%に達して統計開始以降最悪となった。
4人に1人仕事がないという状況に対して、中央日報は「主要先進国が活況を呈しながら、韓国の若者だけ前例のない求人難を経験している」と嘆いている。文政権が政策の目玉としてきた最低賃金の引き上げが原因の一端と指摘されている」(古久澤直樹2018年7月2日)

青年層の失業率は23.2%に達し、実に4人にひとりが就職できないという状況となっています。 

去年も韓国人学生が大量に日本に就活に来たことは記憶に新しいですね。 

もともと韓国は留学生が母国に帰ってこない国ですが、それにしても隣国の就職口に殺到するとはね。

さて、ムン政権の経済政策は、実はなにもありません。

いやもとい、ひとつだけありました。それが 最低賃金を上げれば勤労者の懐が潤って、消費に回すので景気が浮揚するというリクツです。

それでやったのが最低賃金の引き上げです。 

景気と無関係に政府の職権で最低賃金を上げる政策は、,日本でも野党のポピュリストがよくやる経済政策もどきです。

沖縄でも伊波洋一氏はこう公約をしていましたっけね。
イハ洋一の政策・理念 http://ihayoichi.jp/policy/

「最低時給をただちに1,000円以上にアップし、将来的には1,500円をめざします」

伊波氏がいう分にはしょせん力がない野党の総花公約にすぎませんから無害ですが、ほんとうに政権をとっていたらシャレにはならなかったはずです。

それは現実にやってしまったムン政権を見れば分かります。ムンはすさまじい速度で最低賃金を上げています。来年はさらに8700ウォン前後、そして2020年には1万ウォンになるのですから、なんともすさまじいテンポです。 

最賃値上げは、ダイレクトに経済を悪い方向に直撃します。

そりゃそうです、仮にあなたが経営者なら、突然政府のお達しで最賃を上げろと言われたらどうしますか。 

景気がよくないのですから、固定費枠を拡大できません。できるのは、もっとも削りやすい人件費枠から手をつけるでしょう。

人員を整理したくても、ムン政権の後ろ楯となっている民主労総が怖くて人員整理には手がつけにくいでしょう。
関連記事「ムンジェイン政権影の支配者・韓国民主労総」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-0a76.html

なにせすぐに争議に持ち込まれて、職場占拠のような過激戦術をとられますからね。 

韓国経済の宿痾のひとつは、あまりにも巨大化し、政権の最大圧力団体と化した極左労組の存在です。

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人件費を縮小したいなら、新規雇用を見合せます。

ですから、新規雇用の扉をくぐるしかない青年層にとって、最低賃金アップ政策は就職拒絶宣言と同じ意味です。

これでは青年層から恨まれて当然でしょう。

また少し賢い経営者は、流行の無人化やIT化をに走ります。実際に韓国では無人のコンビニやレストランの無人注文システムが激増しました。

青年層は就職氷河期のうえに、アルバイトでコンビニ店員にやれなくなったわけで、踏んだり蹴ったりです。

「.レストラン、スーパーマーケットはもはや商売にならない
最低賃金の影響は、経済的弱者により直撃弾になっている。
失業率の増加は就業者数が急減している業種の影響が大きい。最低賃金の影響が大きい宿泊・飲食店での仕事が2万人、大型モールやスーパーマーケットなどの卸・小売業でなんと9万6000人減少した。小商工人たちの主力業種であるという点で、経済的弱者の打撃が大きい。塾も衝撃が大きく、教育サービス業での雇用が7万7000人分も消えた」(毎日経済2018年4月13日)

それでも無人化には限りがありますから、こうなったらもう国外に逃げるしかありません。

第3次産業は無理ですが、 軽工業はどんどん国外に逃散している始末です。

「キム・ジュン京紡会長(54)は24日、韓国経済新聞のインタビューで「きょう取締役会を開き、光州工場のベトナム移転を決めた」とし「繊維産業の限界を克服するために努力したが、来年度の最低賃金16.4%引き上げが決定し、これ以上は乗り越える余力がないと判断した」と述べた。京紡は国内で運営する光州・龍仁(ヨンイン)・半月(バンウォル)工場のうち最も最新式設備を備えた光州施設を移転する。5万5000錘の綿糸を生産する設備のうち2万5000錘の施設だ。 
(朝鮮日報2017年6月1日)

https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=241930

一方で、ムンは景気浮揚策にはとんと無頓着です。

というか、ムンは左翼特有の自由主義経済は悪だくらいに思ってきた左翼人士ですから、財政拡大を本能的に嫌います。 

このへんの体質はかつての民主党政権に似ています。

公共投資は無駄を増やすので大嫌い、ガンガンと公共事業をカットしていきます。

その代わりに公務員を増やします。 公約では81万人増員計画をぶち上げました。

「今後5年間に公務員を17万4000人増やすというのは文在寅大統領の公約だ。今年の1万2000人をはじめ、2022年まで段階的に増員する計画だ。これは国政100大課題に含まれた公共雇用81万人創出の一環でもある」(中央日報2017年7月20日)
https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=231478

公務員をいくら増やしても、企業の健全な設備投資とは無関係ですから、景気とは無関係です。

これも公務員労組を支配している民主労総に配慮したご機嫌取り政策です。 

その上に韓国中央銀行は政策金利を常に引き締め気味に維持しています。 

その引き締めを、この経済が世界的に不安定化する中、韓国中央銀行は一段と政策金利を上げるという発表をしました。

「韓国中銀は政策金利である7日物レポ金利を0.25ポイント引き上げ、1.75%とすると発表。ブルームバーグが調査したエコノミスト18人中14人が0.25ポイントの利上げを予想し、残りの4人は金利据え置きを予想していた」(ブルームバーク2018年11月30日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-30/PIZF1F6KLVRI01

これは韓国が極端な輸出シフトで食っている国のために、ウォン安にしておきたいからです。

この部分はサムスンなどの財閥に対する忖度です。

その頼みのサムスンが絶不調です。

「サムスンにアップルショック波及-10~12月利益、予想下回る
韓国
サムスン電子の昨年10-12月(第4四半期)の営業利益と売上高はアナリスト予想を下回った。半導体メモリーの需要低迷が響いた。米アップルも先週、10-12月期の中国での販売不振を明らかにしていた。
8日発表の暫定集計によると、サムスンの営業利益は10兆8000億ウォン(約1兆500億円)に減少。ブルームバーグが集計したアナリストの予想平均は13兆8000億ウォンだった。売上高は59兆ウォンに減少。ブルームバーグ集計のアナリスト予想平均は63兆6000億ウォンだった。今回の発表では純利益や部門別業績の数字は提供していない。最終的な決算は月内に発表される」(ブルームバーク2019年1月8日)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-08/PKZJLF6KLVR701

もう、韓国経済はレ・ミゼラブル、崖っぷちです。

だからなのか、,にもかかわらずなのか、隣国に喧嘩を売って、その報復として日本からトランプ流の輸入関税を上げることをかけられそうだというのですから、もう目も当てられません。

その上に、日本がレアガスの輸出なんか制限したりしたら・・・、ああレ・ミゼラブル

※写真が不評でしたので、ワンコに差し替えました。

2019年1月 8日 (火)

イガンジルはあっても外交がない国、韓国

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韓国という国には「外交」がありません。あるのは「宣伝」だけてす。 

なんだか知りませんがあの恥ずかしい反論ビデオとやらを、わざわざ六カ国に訳して世界にバラ撒くとか。 

自分らのオリジナル映像が11秒しか入っておらず、日本の資料映像とクソコラをゴジラ音楽で塗り固めたみたいなものを、恥ずかしげもなくよーやるよ、と日本人は思います。 

ところが韓国人にとって、これは平常飛行なのです。 

口が悪いことでは日本有数の筑波大の古田博司教授は、これは「イガンジル」という韓民族の伝統に則った民族の行動パターンだと『韓国・韓国人の品性』の中で述べています。 

イガンジルとは「いいつける」という意味だそうで、憎い相手の悪口を言って回ることで、相手を孤立させて勝負に勝つという戦法のようです。 

かつての韓国や中国では夫婦喧嘩すると、町内に飛びだして相手の悪口を声限りに喚いたそうで、それを一国が国際社会でやっていると思えばいいのかもしれません。

これを世界に持ち出したのが、日本相手の慰安婦問題でした。

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これが朝日の支援のよろしきを得て、なんと成功してしまうんですからなんともかとも。

国内で挺対協がやっていたイガンジルをワールドワイドにしたのが、今、獄中にいるパククネでした。

まるで彼女は反日の伝道師みたいでしたね。

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えー願いましては、中国に行けば安重根の記念碑を建てようと言い、ドイツに行けばメルケルに日本は歴史を見つめていないと言い、フランスに行けば日本はドイツに見習えと言い、米国には日本は歴史問題を直視しないので友好関係を築けないと言い、英国に行けば日本の一部指導者が慰安婦を傷つけていると言い、あとロシアとベルギーがあるんですが、もうゲップが出ましたか。

ともかく日本の悪口を行く先々でふれて回ったわけです。 

また古田氏によれば、韓国人は議論となると、悪びれもせずに自分に有利だと思えは平気で嘘をつき、整合性があろうとなかろうと気合とハッタリで乗り切ろうとするのが常だそうです。

「歴史を直視しろ」とか言いながら、事実などどうでもいいのだから困ります。

今回のレーダー照射問題でも、初めに言っていたことと中途で言ったことが違い、さらにまた違うことを堂々と言ってのけて恥じ入る様子もないわけです。なかなか日本人には出来ない芸当ですよ。

その上に、いつもの被害者の定位置にちゃっかりと納まってしまい、いまや謝罪を要求する始末です。

こちらからすれば、他人様のEEZで北の漁船となにをしていたんだと聞きたいところですが、そこは「人道的救助」の一点張りです。

こういう「人道」とか「女性の人権」といったトレンドの概念を使うのも大変に上手ですから,国際社会はコロリと騙されます。

かくして日本が奴隷狩りのようにして20万人の韓国女性を強制的に拉致し兵隊用売春婦にさせたという韓国のイガンジルは定説として定着してしまいました。

これに異論を唱える者は、欧米では歴史修正主義者と呼ばれます。

この成功体験で韓国は国際問題にも、イガンジル戦法が大いに使えると確信したのです。

今回もそのデンです。 

韓国は射撃管制レーダー事件を、照射したか否かということから、日本が「人道的救出活動をしていた韓国艦艇に威嚇的な低空飛行をして脅迫した」ことにすり替えました。 

たぶんこのまま突っ走るつもりでしょう。

日本に電磁波資料を出せと言っていますが、外交の相互主義原則に従えば、韓国もまた最低限でも射撃管制レーダーの電磁記録とCIC(戦闘指揮所)の会話などを提出せねばなりません。

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 ところが、韓国が反論ビデオでさも重大な信頼関係違反のように冒頭で言っていた12月27日の日韓実務者会議で、韓国側は自らの資料の提出を拒んでいるわけです。

「軍事機密だ」そうですが、他国の軍事機密は出せと言い、自分は出さないというのですからヘソで茶が沸きます。

日本は外交の相互主義もわからない相手ではラチがあかないと見て、翌28日に映像を公開したわけです。

すると今度は信頼を裏切られたと怒りだすのですから、たまらんよなぁ。

このようにして、韓国は二カ国関係で不調な場合、国際社会にイガンジルしようとします。

今日、韓国は反論ビデオ六カ国版の公開をするそうですが、現時点がその時期の分岐点にあたります。

私たちからすれば誰がこんないい加減な韓国の言うことを聞くのかと思いますか、そもそもヨーロッパなどは自国の利害が絡まなければアジアに関心がありません。

遠く離れた極東での二国間摩擦など、どちらが正しくてもどうでもいいのです。ちょうどウクライナ紛争が私たち日本人にピンとこないようにです。

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ワーワーと大きな声で泣きながら自分は哀れな被害者だ、またしても日本にひどいめに合わされたと言い募る方の肩をもつ国が、そのうち現れるかもれませんよ。

その頃合いを見て朝日などのメディアが、不毛な水掛け論に終止符を打って落し所を探るべきだなんてしたり顔でいうのでしょう。

ところで、エドワード・ルトワックが産経(12月29日)で、こんなことを言っていたことを思い出しました。

「韓国が自らの独立に関心があれば(在日米軍基地がある)日本に安全保障を全面的に依存しているのに、日本といさかいを起こしたりはしないはずだ。
韓国が反日であるということは、韓国が本質的に外交政策に関心がないことを意味する」

韓国の安全保障の根幹は日米安保体制なのです。

言い換えれば、日本がノーと言えば韓国有事において、在日米軍は基地の使用が不可能となります。

韓国の安全保障はこの現実的基盤に支えられていて、米国は日本を通じて在韓米軍や朝鮮国連軍を支えているのです。

ですから日韓関係を傷つけるということは、すなわち米韓関係を傷つけることと同義なのです。

小川和久氏はこのように述べています。

「日本と韓国の関係が悪化すれば、韓国に対する米国の関与も消極的な方向に傾くでしょう。そこに隙間が生じるのは避けがたいことです。
そして、日韓両国の関係悪化の間隙を縫って、北朝鮮、中国、ロシアなどが活動を活発化することは目に見えているのです。それが国際関係というものでもあります」
(『NEWSを疑え!』第738号2019年1月7日)

日韓関係を揺るがすということが、いかなる東アジアの変動をもたらすのか、自らの安全保障に致命的な傷を与えるのかということを、韓国が分かってやっているとは思えません。

米国は米韓同盟から撤退する方向に舵を切ろうとしています。

トランプは就任前からそう公言してきまたが、それを押しとどめて「同盟の価値」を訴えてきたのがマティスです。

トランプは同じ同盟でも、対中包囲網に参加している日本との同盟が強固でありさえすれば、韓国は要らないと考えているふしがあります。

日本と米国は、現在、戦後もっとも良好な関係にあります。

そういった時期に、韓国が北朝鮮を幇助するために日本機を射撃管制レーダーで「撃った」疑惑が出て、し.かも韓国が「日本の蛮行を糾弾する」とやり始めたのですから、トランプがこれをどう見るかはあえて考えてみる必要もないことです。

米韓同盟から撤退する歯止めだったマティスは、もういないのです。

米国のほうから、今ただちに同盟関係を切ってくることはないと思います。

それは韓国うんぬんではなく、朝鮮半島を影響下に置きたいと常々思ってきた中国共産党を喜ばせることになるからにすぎません。

タイミングさえ揃えば、米国は在韓米軍を撤収させることをためらわないでしょう。

米韓同盟の廃棄とは、言葉を換えれば、それは韓国が米国にとって仮想敵国扱いになったことを意味します。

もちろん、日米同盟を機軸とする我が国にとっても同様です。

韓国人の皆さん、これがほんとうに韓国にとって国益にかなう「外交」なのか、よく考えてみることです。

やはり彼の国にはイガンジルというプロパガンダはあっても、外交がない国なのでしょうか。

 

 

 

2019年1月 7日 (月)

韓国側反論ビデオを吟味する

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韓国の反論ビデオはちょっとした驚きでした。お暇ならもう一回ご覧下さい。なかなかのもんですよ。
https://www.youtube.com/watch?v=b1b5ynZlUVw 

いまさら指摘するまでもありませんが、論点ズラしを強引にしようとしたために、当初自分が主張していたことを覆してしまっていることの面白さです。 

このビデオでオバさん国防部報道官がこう言っています。
全文訳はこちらから。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-823c.html

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「国防部報道官コメント
当事者間で早急な協議を通じて相互誤解を払拭させて国防分野の協力関係の発展を模索しようという趣旨で実務会議を開催してわずか一日で日本側が映像資料を公開したことについて深い懸念と遺憾を表明し」

まず1点目ですが、このビデオで、「協議した翌日に日本が映像資料を公開したのがけしからん」と言っています。 

これは12月27日の日韓実務者によるテレビ会談を指します。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018122702690&g=pol 

この時、証拠を提出するという日本側に対して、韓国側は止めてくれと言ったようです。 

にもかかわらず翌28日に公開したので、遺憾だということのようです。 

さてさて、奇妙な言動ですね。 

韓国の主張によれば、自分たちは「人道的救助作戦中の艦艇に非紳士的な偵察活動を継続し、広開土大王艦の人道的救助作戦を妨害する深刻な脅威行為」をされた一方的被害者なのではありませんか。 

被害者が、なぜ資料映像を公開されてまずいのか理解に苦しみます。 

「危険運転をされた」と先に言っているのは日本であって、韓国は「いや、オレこそ被害者だ」というわけですから、ドライブレコーダーの記録映像の公表は渡りに舟、待ってましたではありませんか。 

2点目ですが、ここではっきりさせたいのは、射撃管制レーダーを照射したのか、しなかったか、というこのレーダー照射事件そもそもの原因です。 

韓国は反論ビデオ以前は、日本側の射撃管制レーダーが日本機を指向している写真を見せられて、逃げきれずにその事実を認めていました。 

中央の丸形アンテナが射撃管制レーダーですが、1艦にふたつ装備されていて、この後方のそれは艦尾を向いているのが通常位置です。 

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 この事実は日本側の勝手な思い込みではなく、韓国メディアも認めています。

「韓国軍は当時、海上自衛隊の哨戒機が接近したため、これを識別する目的で敵味方識別装置と光学追跡装備を哨戒機の方向に向けた。
熱感知方式で映像を撮影できる光学装備は追跡レーダー(STIR)と連動しており、稼働させると追跡レーダーも一緒に作動するようになっている。決して日本の哨戒機をレーダーで脅かす考えはなかったというのが韓国の立場だ」
(韓国聯合1月3日)

http://news.livedoor.com/article/detail/15824862/

韓国国内おいてもこの韓国聯合ニュースが伝えるように、射撃管制レーダーを日本機に指向したのではなく、光学追跡装置を向けたために射撃管制レーダーが一緒に作動したという、理解だったわけです。 

いわば偶発事故説です。 

それが今回がらりと変化します。やはり射撃管制レーダーは照射していないのだと主張を大きく変えました。

「3・広開土大王艦は、日本哨戒機に向かって射撃統制追跡レーダー(STIR)を照射していない。
当時広開土大王艦は人道主義的次元の遭難船舶の救助のためのナビゲーションレーダーのみ運用していました」

頭が混乱しますから、整理しておきましょうね。

●1月4日反論ビデオ以前の韓国側主張
射撃管制レーダーの照射は光学追跡装置と連動して作動してしまった。
●反論ビデオにおける韓国側主張
射撃管制レーダーは照射していない。動かしたのは航海用レーダーだけだ。

え、すると事件はなんだったんでしょうか。 

当初の発端の行為そのものが、消失してしまったことになります。 

これが韓国反論ビデオが主張するように、「人道的救助作戦中の艦艇に非紳士的な偵察活動を継続し、広開土大王艦の人道的救助作戦を妨害する深刻な脅威行為をした」というのなら、射撃管制レーダーを照射したことの是非は別にして、リクツは通ります。

脅威に対しての自衛行動という言い訳が成立するからです。 危ない威嚇飛行をすんな、アッチへ行け、ということですからね。

しかしこの反論ビデオだと、「(日本の武装した軍用機が他国の軍艦に低空脅威飛行」をしていたのに、韓国軍は手をこまねいて何もしなかったことになってしまいますね。 

これでは日本機に脅されて手も足もでなかったということになります。

無抵抗な上に、日本機に問いかけられてだんまりでは、まるで首をすくめた亀です。

なぜ、「バカヤロー、危険な飛行はするな」と自衛隊機に国際周波数帯で噛みつかなかったのでしょう。

その上に事後処理においても、加害者のはずの日本が被害者に抗議し、映像記録を出してきたというのですから、これではまるで韓国軍は自分で自分を腰抜けと言っているようなものです。 

こんな韓国軍の言いぐさで、韓国国民がよく納得できたと思います。被害者づらというのもけっこう大変なもんですな。

この時日本が「低空脅威飛行」をしたかどうかなどは、フライトレコーダーとボイスレコーダーに記録が残っているはずですから、日本は開示すればよいでしょう。

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これらの飛行記録は、公開を前提にされているので軍事機密でもなんでもありません。開示されれば、当時の高度や飛行経路、機内の会話などが一発で分かります。

いやその前に、射撃管制レーダーと同調していたと言っていた光学機器の写真一枚でもいいから見せて下さいな。

哨戒機クルーだったアレッシオ・パタラーノ氏は、こう分析しています。

"2. It’s not helpful because the claim about the dangerous low altitude flight is not confirmed. Adding a few pictures of the aviation code doesn’t change the fact that the P-1 was at no point flying over the warship, nor the video shows distances that justify ROK claims "
「危険な低空飛行についての主張は確認されていないため、役に立ちません。 航空写真のいくつかの写真を追加しても、P-1が軍艦の上を飛行していたわけではないという事実は変わりません」

また、米国防総省日本担当部長で元パイロットのポール・ジアラ氏はこのように述べています。

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「自衛隊機が威嚇飛行したようには見えない。自衛隊機の動きに韓国側に誤解があったのではないか。(高度などの)行動規定はそれぞれの国で規定しているものだ。
私が報道で見る限りでは、韓国艦艇は射撃管制レーダーを使ったのだろう。今回のことはおそらく現場の判断に委ねられていたものだと思う。今回の場合、韓国海軍駆逐艦艦長の判断になる」(ANNニュース)

ジアラ氏が言うように、軍用機の高度に国際的決めごとはありません。軍事活動において必要なら超低空飛行でもなんでもするわけですから、決められないのです。

ただ平時においては艦艇に対してCUES(海上衝突回避規範)があり、その2.-8.1aには「砲やミサイルの照準、火器管制レーダーの照射、魚雷発射管やその他の武器を他の艦船や航空機がいる方向に向けない」という一項が入っているだけにすぎません。

しかもそれすらいわばマナー協定であって、国際法そのものではありません。 

だから日本機は民間航空機の高度規定を守っていたのですが、韓国反論ビデオは「軍用機には適用しないと明確に規定されています」と言っています。 

何をいいたいのかさっぱり分かりませんが、「軍用機はもっと低空を飛んでもいい」ということでしょうか。

だとすると、威嚇飛行もなにもあったもんじゃありませんが。

さて3点目ですが、ここまでグチグチ言い募る韓国の理由はなんなのか少し考えてみましょう。 

おそらくここまで韓国が執着するのは、心情的に日本にだけは謝りたくないといういつもの反日小児病ですが、もう一層下には別の要素もあるような気がしてなりません。

それは、韓国は日本にどうしても射撃管制レーダー照射の受信記録を出させたいとお見受けします。反論ビデオ末尾の部分です。

「もし日本側が主張する追跡レーダー証拠資料(電磁波情報)がある場合は、両国間の実務協議で提示しなければならない」

この部分で韓国は日本に電磁波情報を出せと要求しています。

昨日のコメントにも書きましたが、仮に日本がそれを出すとすればESM(電子戦支援装置)の受信精度が暴露されてしまいます。

哨戒機にとって日常的に各国軍の電磁波情報を収集することが、重要な任務のひとつです。

この電磁波特性は、各国各艦によって特徴的な周波数波形を持っていますから、いわば艦艇の指紋のようなものです。

海自はこのデーターベースを米海軍と共有していますが、その一端が韓国に露呈することになりかねません。

もちろんホワイトノイズをいれたりする工夫はするでしょうが、それをすると今度は日本側がフェーク加工をしたと言い出すのは目に見えています。

韓国の目的は事実の究明と再発防止ではなく、日本を悪玉にして自分が被害者になる政治的意図と同時に、あわよくば日本の軍事情報を楽して手にすることです。

もし、日本側がこれを拒んだり、あるいは一部を伏せて提出した場合、証拠不十分の水かけ論で終わらせる事ができます。

どちらにしても韓国にとっておいしい話なのです。

 

 

2019年1月 6日 (日)

日曜写真館 さえぎるもののない夕暮れ

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2019年1月 5日 (土)

韓国艦艇の「見られたくないもの」とは

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韓国の反論動画なるものが公開されました。ご覧になった方も多いでしょう。

韓国国防省は4日、韓国海軍の駆逐艦による海上自衛隊P1哨戒機への火器管制レーダー照射問題を巡り、日本の主張に反論する内容の動画を公開した。自衛隊機が駆逐艦に異常接近したとして謝罪を求めるとともに、レーダー照射が事実なら、証拠となる電波情報を示すようにも迫った。
 公開された動画は4分26秒の長さで、大部分は日本の防衛省がレーダー照射の証拠として12月28日に公開した映像に反論の字幕をつけたものだった。
 字幕は「駆逐艦は遭難漁船救助のための探索レーダーのみを使った」とした上で、「もしも火器管制レーダーを作動させたとすれば、哨戒機は即刻回避行動を取るべきだが、駆逐艦に再び接近する常識外の行動を見せた」と主張している」(読売1月4日)

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12213-20190104-50090/

ひとことで評すれば、典型的プロパガンダ映像です。それも国内向けのものにすぎず、とうてい国際社会でまともに通用するものではありません。
韓国側が「反論動画」公開 ノーカット映像(19/01/04) - YouTube 
※テキスト訳欄外楽韓様http://blog.livedoor.jp/rakukan/archives/5442136.html

ひょっとして「威嚇飛行をされた」と主張している韓国艦艇からの映像のひとつも出してくるかという淡い期待もあったのですが、ありませんでした。 

あの射撃管制レーダー横のカメラはハリボテだったのでしょうか。

「射撃管制レーダーが日本機を指向したのは、アンテナ横のカメラを向けたためだ」といっていたのですから、その映像を出せばいいではありませんか。 

唯一数分間出たのは、韓国海保のゴムボートから撮ったとおぼしき、P-1の遠い機影だけです。

下がその数分間の映像です。あとは、彼らの主張の羅列と、なんとP-1からの映像も都合よく切り取ってちゃっかり使っています。 

タフな心臓ですこと。 

Wor1901040012p1産経https://www.sankei.com/world/news/190104/wor190104

この映像は「威嚇飛行」の証拠映像として出してきたものですが、当時の1mの波とうねりに揺られるゴムボートという不安定な環境から撮ったものですからゆらゆらしています。 

この韓国側映像は、日本側映像のこの場面と照合します。 

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かんじんな日本機の高度ですが、これだけでは波の上下動がありますから、なんともいえませんが、とうてい下の韓国側映像にあるコラージュのような状況には見えないことだけは確かです。

韓国は「ICAOの国際民間航空協約付属書(Annex)2-4は軍用機には適用されない」ということを、さも大事なことのように言っていますが、なに言っているのか意味不明です。

日本が言っているのは、「一般的に軍用機に適用されない民間機の安全規定を遵守しているのだから問題がない」と言っているだけです。

多くの乗客を乗せる民間航空機のほうの安全規則が、危険な飛行をせねばならない時もある軍用機より厳しいのは当然であって、軍用規則はもっと緩いぞとでも言いたいのでしょうか(笑い)。

それにしても、こんなクソコラを国家機関が作りなさんな、恥ずかしい。 

ちなみに優秀なクソコラ職人を多数擁する我が国ネット界では、たちまち切った場所すら特定されています。
https://twitter.com/PpAaNnDdRrAa/status/1081114102938796035

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ここからだけで、いくつかのことが分かってきました。整理しておきます。 

天候
・韓国側主張 荒天で捜索中だった
・事実 晴天 波1m、見通し良好
 

救助状況
・韓国側主張 捜索中だった
・事実 :捜索は終了しておりゴムボート2隻が漁船周辺にいた
 

レーダー
・韓国側主張 「すべてのレーダーで北の漁船を捜索していた」「射撃管制レーダーを照射した事実はない」「哨戒機に指向したのはアンテナ脇のカメラで撮影するため」
・事実 対空用レーダーまで動員するような荒天ではなかった
 

通信状況
・韓国側主張 「荒天のために聞き取れなかった」
事実 晴天で障害物のない開けた海面だった
 

無線応答をしなかった理由
・韓国側主張「本側の発音が悪く、自艦に向けたものとは思わなかった」
・事実 韓国側映像でもハルナンバーは明瞭に聞き取れている
 

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威圧的飛行
・韓国側主張「威圧的低空飛行で威嚇した」
・事実 韓国側映像でも通常の高度で観測飛行をしていることがわかる
 

そもそも今回の事件は、韓国側の主張どおり日本機が威嚇的な飛行をおこなったとした場合、不自然なことがいくつかあります。 

日本機はその場で直ちにその意図を照会しています。 

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 では逆になぜ、威圧的飛行をされた被害者であるはずの韓国側は、その場で同じ照会を日本機にしなかったのでしょうか。 

この場で即座に日本機に抗議していれば、これは現場レベルの「申し訳ない。以後気をつけます」ていどのことで済んだのです。 

では、韓国側が一切の問いかけも、応答もしない、いや出来ない理由はなんなのでしょうか。 

よほど見られたくないことを韓国軍はしていたのだ、という疑惑が日本国内に広がっていますが、当然です。 

北朝鮮が、昨今、大和堆周辺水域のEEZに大量の漁船を出して不法操業していたのはご承知のとおりです。 

去年8月24日の産経です。 

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「能登半島沖の排他的経済水域(EEZ)にある漁場「大和堆」周辺海域での違法操業について、海上保安庁は24日、今年5月から24日朝までに北朝鮮船計1085隻へ退去警告を行ったと発表した。従わなかった360隻には巡視船から放水を実施した」
https://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000301/20180824-OYT1T50092.html

北朝鮮の農業は既に壊滅状況であり、食料を輸入するカネもない以上、彼らに可能なことは大和堆という世界三大漁場を荒らすことだけです。

これは単独の漁船の不法操業ではなく、国家が組織した意図的侵入ですから、グレーゾーン事態といってよいでしょう。

日本のEEZ内は、漁業保護が行き届いているために豊かな漁場が温存されています。

ところが北朝鮮には千隻を超える大漁船団に行き渡るだけの燃料もありません。

ではどうするのかといえば、ギリギリの燃料だけを積んで日本のEEZに「進撃」するしかないわけです。

ここからは推測の域を出ませんが、片道キップで出した不法漁船のロジスティックの面倒を見ていたのが韓国側だった可能性があります。

帰りの燃料を補給し、食料、水を供給し、ボロ船が遭難すれば駆けつけて救助してやるということを「救難」という人道を大義名分にしてやっていたことはありえます。

もちろんこれは現場サイドでできることではありませんし、指揮系統が違う海軍と海保(海警)に一元的に命令を出せる人物は大統領しかいません。

いうまでもなく北にもそんな人物はひとりしかいない以上、正恩とムン・ジェインが直接に交わした秘密協定に基づいているでしょう。

あるいは、捜索していた漁船が、漁船団に紛れ込んでいる工作船であった可能性も捨てきれません。 

とまれ、この現場をしっかりと海自の哨戒機に目撃されたために、逆上して追い払おうとしたのでしょう。

いずれにせよ,、日本政府は射撃管制レーダーの波形記録を出すと明言しました。

ほーという感じですが、出すといった以上出すのでしょう。

それにしても新鋭機の電子戦能力がわかりかねない軍事機密を含んでいるだけに、思い切った決定をしたものだと思います。

たぶんそこまで決断したのは、日本政府がこの韓国海軍による北の不法行為幇助疑惑をわかった上での対応だった気がします。

日本政府は穏やかにあの状況を「見た」という事実を韓国側に伝えることで、韓国の自粛を促したかったのでしょうが、鈍い韓国が居直ってしまい、ここまできてしまったということです。

                                                ~~~~~

                            ●韓国国防部反論映像全文(楽韓様による)

日本は人道主義的救助作戦妨害行為を謝罪し、事実の歪曲を直ちに中断せよ!

日本の海上哨戒機低空脅威飛行と虚偽の主張に対する大韓民国国防部の立場

(国防部報道官コメント)
当事者間で早急な協議を通じて相互誤解を払拭させて国防分野の協力関係の発展を模索しようという趣旨で実務会議を開催してわずか一日で日本側が映像資料を公開したことについて深い懸念と遺憾を表明し、重ね強調したように広開土大王艦は通常の救助活動中であり、韓国軍が日本哨戒機の追跡レーダー(STIR)を運用していなかったという事実は変わりがありません。

大韓民国海軍が尋ねる 。
日本の海上自衛隊の目的は何ですか 。

2018年12月20日15時頃、東海海上

広開土大王艦は漂流中の遭難船舶の人道的救助作戦を実行していました。

人道的救助作戦が進行中の中、日本哨戒機が低高度で進入しました。

1.日本の哨戒機は、なぜ人道的救助作戦現場で低空脅威飛行をしましたか?

日本の哨戒機は、広開土大王艦150m位の「距離500mまで接近しました。
トラップ乗組員が騒音と振動を強く感じるほど脅威でした。
日本で公開された映像を見ると、哨戒機も構造の状況を認知していた人道的救助作戦中の艦艇に非紳士的な偵察活動を継続し、広開土大王艦の人道的救助作戦を妨害する深刻な脅威行為をしました。
相互偶発的な衝突が発生する可能性がありますので、武装した軍用機が他国の軍艦に低空脅威飛行をしてはならなりません。

日本の哨戒機が、私たちの軍艦の上になぜ低空脅威飛行をしたのでしょうか?

日本は答える必要があります。

2.日本が国際法を遵守したとの主張は果たして事実なのでしょう?

日本は哨戒機が国際法を遵守したことを裏付けるために日本の防衛省のホームページに掲載した資料を見ると、国際民間航空条約と日本航空法施行規則を引用しました。

当時哨戒機の飛行高度(150m)は、国際法的に問題がないと主張しました。
データは、国際民間航空機関(ICAO)、国際民間航空条約の附属書(Annex)2_4
高度150m以下の時計飛行を禁止する条項があります

しかし、附属書の趣旨は、国際法的に一般の民間航空機運航と安全のための一般的な飛行規則を定めるためのものです。
軍用機には適用しないと明確に規定されています。

日本は国際法を恣意的に歪曲して解釈しています。

3・広開土大王艦は、日本哨戒機に向かって射撃統制追跡レーダー(STIR)を照射していない。

当時広開土大王艦は人道主義的次元の遭難船舶の救助のためのナビゲーションレーダーのみ運用していました。
日本が公開した映像で、日本哨戒機はレーダー電波を探知したと主張しながらも、まだ広開土大王艦の周囲を飛行しました。

日本が公開した映像によると、日本哨戒機は低空飛行をしながら広開土大王艦の武装(艦砲)が「自分たちを向いていない」とし、攻撃意図がないことも確認しました。

もし広開土大王艦が日本哨戒機に向かって追跡レーダーを作動した場合、日本の哨戒機は、すぐに操縦をはずしたが、広開土大王艦に向かって再びアクセスする常識外の行動を示しました。なぜでしょう?

答えなければならない

4・日本哨戒機の通信内容は、明確に聞こえませんでした。

日本側が試みた通信は、ノイズがひどく広開土大王艦は明確に聞こえませんでした
また、日本哨戒機が通信を試みた時点では、すでに構造作戦上空からかなり外れた後でした。

韓国海軍は友好国の海上哨戒機にどのような脅威行為もしていない。
もし日本側が主張する追跡レーダー証拠資料(電磁波情報)がある場合は、両国間の実務協議で提示しなければならない。
人道的救助活動していた私たちの艦船に対して威嚇的な低空飛行をしたことについて謝罪する必要があります。
日本はこの問題を政治的に利用せず、実務協議を通じて事実確認の手続きに入らなければなりません。

 

2019年1月 4日 (金)

韓国、日本が威嚇飛行をしたと謝罪要求

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改めまして、今年も宜しくお願いいたします。 

今年もこのテーマからの開始となります、やれやれ、今度は韓国が射撃管制レーダー照射で日本に謝罪要求です。 

え、私も初めは、おいおい、河野さん、そこまで今やっちゃ行き過ぎでしょうと思ったら、なんと韓国政府「が」、日本政府「に」です、ぶ、はは。

「ソウル時事】海上自衛隊のP1哨戒機が韓国駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けた問題で、韓国国防省報道官室は2日、声明を出し、哨戒機が「人道的な救助活動中だったわが国の艦艇に対し、威嚇的な低空飛行をした」として、謝罪を要求、実務協議の開催を呼び掛けた。
 また、「わが国の艦艇は哨戒機に(火器管制用)追跡レーダー(STIR)を照射しなかった」と重ねて否定。「日本はこれ以上、事実を歪曲(わいきょく)する行為を中止すべきだ」と主張した。韓国国防省が日本への謝罪要求という強硬対応に転じたことで、日韓間の対立が一層深刻化し、防衛協力全般に影響が及ぶ懸念も出てきた。
 声明は「日本側が公開した動画に見られるように、友好国の艦艇が公海上で遭難漁船を救助している状況で、日本の哨戒機が威嚇的な低空飛行をしたこと自体が非常に危険な行為だ」と指摘した。さらに、「韓日国防当局間で事実確認のため、実務協議を継続するという合意にもかかわらず、日本は動画を公開し、高官までテレビのインタビューで一方的な主張を繰り返している」と批判、「深い遺憾の意」を表明した」(時事1月2日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019010200308&g=pol&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit

 ちなみに、日本は韓国に謝罪要求など出していません。日本がしているのはあくまでも事実の照会と、せいぜいが再発防止ていどのことです。 

自動車事故でいえば、こんな感じでしょうか。 

公道で幅寄せをされたので「危ないまねはしないで下さい」と言うと、いきり立ってあーでもないこーでもないと言い訳したあげくが、ドライブレコーダーの映像をみせられるとブチ切れて゛「お前が悪いんや。お前こそ謝れ」というわけです。 チャンチャン♪

これでもう、もうノーリターンですね。お互いに出るところに出て決着をつけるしかなくなりました。 

困りましたね。韓国や日本とも同盟関係にある第三者的な国と言えば、米国しかないでしょうから、ご仲介願うしかないでしょう。 

となると、適任はハリー・B・ハリス駐韓米国大使しか思い至りません。
ハリー・B・ハリス・ジュニア - Wikipedia 

ハリスさんは今は大使をしていますが、つい先日までは200隻の艦船と600機の航空機を指揮下におく米太平洋艦隊司令官でした。 

その上に、実戦経験も持つP-3C哨戒機のパイロットで、「グレイ・アウル」という現役最古参の海軍飛行士官のタイトル保持者でしたから、なまじの外交防衛関係者より詳しいのではないでしょうか。 

下のようなフォースターのついたフライトスーツを着た執務姿もあります。さすが様になっています。 

20140319commander1ハリー・B・ハリス駐韓米国大使http://tamionet.com/blog/2014/03/commander/

さて、韓国が証拠映像まで出すと言っているのが、「異常接近」です。 

どのような航空機の行為が「異常接近」なのか、具体的に検証してみましょう。 

この常習犯はロシアと中国で、たびたび米海軍の艦船や電子偵察機に異常接近をしています。 

今回のような艦船と航空機の異常接近としては、2015年5月31日、黒海でのロシア機による米艦艇への異常接近があげられます。

「【6月2日 AFP】米海軍は1日、ロシアのSu24戦闘爆撃機が黒海(Black Sea)を航行中の米軍艦艇の針路を変えさせたという報道は不正確だとして、その時に撮影された動画を公開した。
動画には遠方から飛来したSu24がミサイル駆逐艦ロス(
USS Ross)の近くを飛び去っていく様子が捉えられていた。ロシア軍機は高度約180メートルで飛行し、ロスから約500メートルにまで接近した。このほかにも数機のロシアの爆撃機が駆逐艦ロスから見える位置にいたが、ロスとの間に通信はなかった。
このような動画の公開はまれだが、米国防総省のスティーブン・ウォレン(
Steven Warren)報道官は記者会見で、米海軍はこの件の報道に満足しておらず、事実を正確に伝えるため動画の公開を決めたと述べた。
ウォレン報道官は、駆逐艦ロスの近くにいたロシア軍機はどれも非武装で、米露いずれの側も敵対的な行動は取らなかったと説明。「今回のケースは艦艇の付近を航空機が通過したにすぎない」と述べた」

http://www.afpbb.com/articles/-/3050520 

この異常接近は米国側によって逐一撮影されて、公開されています。 

映像には、ロシアSu24が駆逐艦ロスに攻撃態勢から超低空飛行した時の模様が収められています。
USS Ross in the Black Sea: May 30, 2015 

2018123000109645roupeiro00018viewJSF様による https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20181230-00... 

この事件に際して、米国が米艦艇の進路を変更させられた発表したために、怒ったプーチンは更に行動をエスカレートさせました。 

翌年2016年4月16日、バルト海公海上で、駆逐艦ドナルド・クックにロシア軍Su24攻撃機がわずか9mまで異常接近を行っています。  

連続写真でみると、いかにすさまじいことをしているのかわかります。
International Waters: Russian Su-24 aircraft flies past USS Ross in Black Sea

これが艦艇に対しての航空機の異常接近による威嚇飛行です。 

これらの威嚇飛行には、いくつか共通した特長があります。 

まず、艦艇に対する接近方法が実際の航空機による艦艇攻撃のパターンに似ていることです。 

レーダーに捕捉されないように低空から侵入しますから、おそらくこの高度では三次元レーダーには写らずに、目視で確認しているものと思われます。 

2016041400056602roupeiro0016view以下3枚http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/521.html 

艦艇近くで、ミサイルを発射するように急上昇をかけて艦艇脇すれすれを抜けていきます。

つまり今はミサイルこそ搭載していないが、その攻撃パターンそっくりな飛行をすることて、次はホントにやるからなと脅しているわけです。

この時の距離は9mで、いつ衝突してもおかしくない距離です。

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 そして艦艇脇から上昇をかけて飛び去りますが、この時ロシア軍機は実に12回もこれを繰り返したそうです。 

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米国はこの時に射撃管制レーダーを照射したかどうかは明らかにしていませんが、たぶんしていないはずです。 

というのは目視すれば、ロシア機が対艦ミサイルや爆弾の類を搭載していていないのが明らかで、攻撃の意志がないと判断できるからからです。

射撃管制レーダーを照射する「権利」は仕掛けられた米側にはあるわけですが、そんなことをすると模擬が模擬では済まなくなります。

しかし、米国がこの映像を公表に踏みきったのは、こんな「攻撃もどき」(模擬攻撃)であっても、緊張した海域ではほんとうの攻撃だと誤認してしまう可能性が高いからです。

それにつけても、韓国海軍のマンパワー、特に指揮官クラスのレベルの低さです。

今回の韓国側の対応は国防部のお粗末さもさることながら、後先を考えずに射撃管制レーダーをぶっ放すような無節操ぶり、問い合わせに答えておけば大事にならなかったのに応答しないという非常識かげん。

こんなていどで虎の子のイージス艦艦長が務まるというのですから、いかに人材の層が薄いのか分かります。

これは韓国が基本は陸軍国で、沿岸にへばりついていた海軍が外洋にやっと出られるようになったのがこの十数年だからです。

こんな短期間にイージスは持ちたい、空母もどきは欲しい、果ては戦略原潜も作りたいというという欲を張るから、こんなことになります。

いきなり「独島」なんて空母もどきを作らずに、こつこつと駆逐艦作りを地道に学び、有為な青年将校は外国の海軍士官学校で学ばせることです。

それを3代、4代続ければ、少しはましなものになります。海軍は百年単位で作るものなのですよ、コリアさん。

海自が軍艦旗にこだわる理由など韓国海軍にはとうていわからないでしょうが、百年の伝統の上に今があるということを大事に思うか、思わないかの違いなのです。

それはさておき、高度うんぬんの前に攻撃態勢をとっているのかどうかが問題なのです。 

防衛省は韓国がどう言ってくるのか予想したように、このような資料を出しています。
防衛省HPhttp://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/28z_1.pdf 

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威嚇飛行とは、上図にあるように低空で航過するとか、急降下で襲撃姿勢を見せたり、あえて高音や大音響を出すことを指します。 

いうまでもなく、海自P-1は横を航過しただけで、攻撃とまちがわれるような行為は一切していません。 

このような飛行を観測飛行と呼びます。 

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 この航過時のクルーの会話にも、「ただいま真正面を通過した」と言っている声が記録されています。

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海自哨戒機の飛行は典型的な観測飛行であって、韓国側の「威嚇的な低空飛行をした」というのはいいがかり以外の何者でもありません。

ちなみに,、キューバ危機の時の米軍哨戒機はこんなかんじで観測飛行をしています。

高度150メートルは軍用機では低いなんて韓国は言っているそうですが、はて、この写真を見てからもそう言えますかな。

そもそも先に述べたように、まずもって高度そのものが問題なのではなく、攻撃態勢にあったか、並行で飛行して害意があったか否かが問われるべきなのです。

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P-1は高度においても、航空法174条、81条の定めどおり、「広い水面において地上または水上の人または物件から150m以上の高度をもって飛行する高度」を保っていました。

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これは国内における航空法は当然、国際法上もなんら問題がある高度ではありません。

なお韓国はこんなことを言っているそうです。

「民間組織、韓国国防安保フォーラムのムン・グンシク氏は「威嚇飛行であり、艦艇に向けた自殺攻撃も可能な距離だ」と述べ、「いかなる理由で低空飛行を敢行したのか責任を問い、謝罪を受けなければならない」と主張した」(時事12月31日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018123100088&g=pol

あのね、コリアさん。P-1は4発の大型機なの。しかもピカピカの新鋭機でお高いの。

たしかにハープーンやマーベリックなどの対艦ミサイルは搭載できるけど、あれは目と鼻の先で撃つもんじゃないの。

今回みたいに射撃管制レーダーに捕まったら、ほぼ100%撃墜されるから、はるか遠くの韓国の対空ミサイルの射程外(スタンドオフ)から撃つの。

それを「神風攻撃」(いつの時代だつうの)に使うわけないっしょ(爆笑)。熱計って、お薬もらってくださいね。お大事に。

すでに映像記録は提出済ですが、更に資料が欲しいのならば高度計記録をだせば良いと思います。

射撃管制レーダーの受信記録は、韓国などには北や中国に漏れるので危なくって見せられませんが、米国になら見せてもいいかもしれません。

一方、韓国政府におかれましては、映像を出すと言っているそうですから、艦艇から撮影した動画、写真、レーダー記録、CIC(戦闘指揮所)における指示命令記録、航海日誌などの資料を開示されることを望みます。

 

 

2019年1月 1日 (火)

明けましておめでとうございます

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明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。 

年の暮れが押し迫った頃、韓国海軍の射撃管制レーダー照射事件という、考えようによっては日本の「戦後」を強制終了させかねない破壊力のあるニュースが飛び込んできました。 

二転三転、どころか四転五転したあげく、「日本が威嚇飛行した」だとか「特攻隊だ」などと言い出し、それがかの国の世論を支配するに至っては、もはやファルス(笑劇)の様相すら呈してきました。 

簡単に謝れば済むことなのに、それすらできない不自由な国のようです。 

この事件は、私たちが今まで韓国という国に対して抱き続けてきた、言うに言えないもやもやしていたもののベールを一気に剥がして可視化してしまったような気がします。 

これでムン政権が信じるに足る友邦なのかどうか、彼らが慰安婦合意の一方的廃棄、「徴用工」判決で踏み込んだ道がただの偶然ではなく、必然的にそうなるべくしてそうなったことを日本国民は肌身で理解してしまいました。

思えば、この事件に対する野党・メディアの憂鬱なる対応は、彼らの存立基盤だった「戦後」の崩壊の足音を聞いたせいなのかもしれません。 

一方、この事件における海自の哨戒機クルーの所作は、危機における手本足り得るモデルだと感じました。 

それは徹頭徹尾、きわめて冷静だということです。 

事実を確認することに努め、冷静に対処し、たじろがずに危機を回避しました。 

戦後の永きに渡って、我が民族は事を荒立てない、穏便に済ませる、言い換えればうやむやのうちに葬ってしまうことが「大人の対応」、ないしは「知恵」だと考えてきました。 

日本は一貫して、冷静に事実を積み重ねていくことをせずに、押せば引っ込み、引っ込んで本気ではない謝罪をして、カネで解決を図ってきました。 

日韓関係、日中関係、すべて延々とこの繰り返しでした。そのよどみから利権が生まれました。

今回、この韓国の真の姿を引き出して、国民に理解させたのはただの偶然ではなく、政府が意識的にこのような戦後政治の約束事を止めたからだということを忘れないで下さい。

今年は国内には、御譲位と新元号が始まる祝賀の年である一方、忌まわしい消費増税が予定されている年でもあります。

消費税増税は直前の駆込み需要を作り、その後にささやかな落ち込み緩和の防波堤を軽々と乗り越えて、再び日本経済を奈落へと突き落とします。

北方領土は意外にも速い速度で進展するかもしれませんし、改憲も具体的日程に登りますが、消費増税をするならば来る参院選で自民は大敗する可能性があります。

反面、とうに死んでいながらウォーキングデッドだった「戦後」リベラル勢力もまた、統一しようとすればするほどさらに分裂を重ねて行くことでしょう。

いずれにせよ疑いようもなく、冒頭述べたように「戦後」は強制終了しようとしています。

私ができることは、事実を丹念に拾い集めて、イデオロギーの眼に曇らされることなく正確に伝えようと思っています。

回は年の初めなのでつい抽象的に書いてしまいましたが(すいません)ひとつひとつ具体的に事実を押さえていく努力をいたします。

皆様がこの議論に加わっていただき有意義な討論ができれば、これにすぐる幸いはありません。

あらためて皆様のご多幸をお祈りします。

新年の更新は、大事件でもない限り1月4日(金)からとなります。

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