天皇はエンペラーでもキング゙でもなく、ましてや一神教のゴッドではない
やや驚きましたね。韓国外務省(外交部)が、先日のムン・ヒサン国家議長の天皇発言を韓国政府の見解としてしまいました。
「【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の魯圭悳(ノ・ギュドク)報道官は12日の定例会見で、天皇の謝罪が旧日本軍慰安婦問題の解決になるとした文喜相(ムン・ヒサン)国会議長の発言に対し、「慰安婦被害者の方々の名誉・尊厳(の回復)と心の傷を癒やすためには、被害者中心のアプローチにより日本が真摯(しんし)な姿勢を見せる必要性があるという点を強調するための趣旨での言及と承知している」と述べた」(聯合2月12日)
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190212003000882?section=japan-relationship/index「
韓国は今回のレーダー照射事件で大方の日本人がわかってきたように、「謝る」という思考回路自体が欠落しています。
ですから、仮に不用意な発言や行動だったとしても、日本人のようにすぐに頭を下げずに、さらに被せるように言い募るか、論点ずらしを開始します。
とりあえず本意でなくても頭を下げて、強張ったその場を和らげようと考える日本人の対極です。
日本人のすぐに頭を下げる習慣を私は好きではありませんが、かといって韓国のように場を読まないで雪だるま式に転げ落ちていくのを見せられると、なんともかともです。
たぶん韓国は、いま日韓関係がこれ以下はない氷河期に突入していて、いかに日本の国民感情が怒りに満ちているのか、そしてそれは対北でどのような影響を及ぼすのか、念頭をよぎりもしないようです。
国としての三半規管が狂っている、としか言いようがありません。
ムン議長閣下、この時期に慰安婦問題に天皇の謝罪を求めるなど正気の沙汰ではないことくらい分からないのでしょうか。
日韓合意を一方的に踏みにじっておいて悪かったのひとこともなく、ハードルを上げる神経が分かりません。
そもそも天皇が謝ったからといって、納得する国民性じゃないことくらいわかっているでしょうに。
さて日本は既に2月8日の時点で韓国政府に抗議しています。ムン議長の発言が7日ですから、その翌日には対応したことになります。
腰の重い外務省にしては素早い反応です。(パチパチ)
「8日に外務省の局長級で申し入れをし、翌9日には長嶺安政・駐韓大使から韓国外交省の第1次官に改めて申し入れた」(朝日2月12日)
https://www.asahi.com/articles/ASM2D3D1GM2DULFA002.html
日本政府は首相、官房長官、外相が揃って強い抗議の声を上げています。いかに日本がこの天皇発言を見過ごすつもりはないと考えているのかわかるでしょう。
「安倍晋三首相は12日午前の衆院予算委員会で、韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長が従軍慰安婦問題で「天皇陛下の謝罪が必要」との見解を示したことについて「発言を読んで本当に驚いた。強く抗議をするとともに謝罪と撤回を求めた」と述べた。国民民主党の渡辺周副代表への答弁」(日経2月12日)
首相は「強く抗議し撤回を要求」し、菅官房長官の会見では、更に「極めて遺憾である旨を厳しく申し入れをし強く抗議した」(朝日2月12日)という表現で、「極めて遺憾」という表現を使っています。
これは「厳しく申し入れ」「強く抗議する」は、3番目に強い「抗議」の外交的表現です。
出典不明
外交表現は、国際的プロトコル(慣習)で縛られているので、勝手にしゃべるわけではありません。
日本外交において、「抗議」の意思表示は上図のように8段階になっています。
もっとも強い「抗議」表現は「断固として非難する」で、これは「かばう余地のない、絶対に許せない、極悪非道な行動に対する痛烈な批判」の場合とされています。
この表現は一般的には友好国には使いません。使うのはISのテロなどで、逆に使った場合、こちらとしても大使召還、国交断絶の用意があるということだからです。
2番目の「非難する」は、一般的にも使いますからつい聞き流してしまいそうになりますが、外交的にはこれ以上怒らせると、後は知らんゾ、というきつい意味です。
3番目の「極めて遺憾」は、もう堪忍袋の緒が切れかかっているゾ、なんとかしろ、という意味です。
2番目の「非難する」が使われたのはロシアのウクライナ侵攻時ですから、「極めて遺憾」という表現は友好国としてはギリギリの強い表現だと思って下さい。
韓国が友好国と非友好国のボーダーライン上だと日本政府は認識した、という意味ととってよいでしょう。
ところで、今回のムン国会議長の発言はこのようなものです。
「一言でいいのだ。日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。
そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言いえば、すっかり解消されるだろう」と語った」(ブルームバーグ2月28日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-08/PMLGIP6KLVR801
ムン氏は「戦犯などと言っていない」なんて言っているようですが、怒ったブルームバーグは音声まで公開し、英訳も載せています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-02-11/top-japan-diplomat-warns-south-korean-lawmaker-on-emperor-remark
確かに"the main culprit of war crimes"と言っていますね。つまらない言い訳はしないようにね。
このムン発言の中の「戦犯の息子」うんぬんという部分は、日本の左派の天皇戦争責任説を密輸したもので、日頃から天皇を戦犯裁判にかけろと叫ぶ諸兄の今回のムン発言へのご意見を承りたいものです。
今回のムン発言の問題の本質は、そこにはありません。
天皇に対して「慰安婦の手を握り謝罪しろ」と要請をしているわけで、これは今上陛下を「最高権力者」と見立てて救済を請願した行為ととってよいでしょう。
ムン氏は明治欽定憲法の天皇の地位を復活させたいようです。
ムン氏はこうも言っています。
「元慰安婦が望むのは金ではなく、安倍総理大臣の謝罪のひと言だ。歴史の前に時効はなく、首脳間の合意は何の役にも立たない。それがなぜできないのか。今からでも遅くない」(NHK2月11日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181211/k10011743661000.html
ムン氏は安倍首相の謝罪と並べて天皇の謝罪を要求しているわけで、いかにこの日韓議連会長を務める「知日派」が、天皇という存在に無知であるのかわかります。
この天皇にたいする無知蒙昧さは、かつてイ・ミョンバク大統領が竹島に上陸して、その前後に「日王にひざまづかせて謝罪させる」と発言したときにも現れました。
その時のわが国は、イ大統領の「上陸」という政治的挑発よりも、天皇に対する土下座要求をしたことに反応しました。
この「天皇」に対する日本人の民族的感性はなかなか外国人には説明が難しいのですが、日本民族共通の「魂の奥深くにある尊いもの」を汚されたとでも表現したらいいのでしょうか。
河合隼雄http://www.kawaihayao.jp/ja/
心理学者の河合隼雄氏が興味深いことを書いています。
河合氏はユングの深層心理学を学ぶうちに日本文化に根ざした心理療法にたどり着いた人です。
彼は、その文脈で天皇が何かと考えたのですね。河合氏は、『中空構造の日本の深層』という本で、古事記から天皇をとらえていきます。
彼は、天皇を外国の国王や皇帝と較べること自体が大きな間違いではないかと思うようになります。
では、戦前言われたような「神」かといえば、これもまた違うのではないかとも思っています。
日本でいう「神」は、西欧的キリスト教の一神教的絶対神ではありません。
古事記に描かれているように、多くの神々の中心に座していて、深く尊敬されているが権力を行使しない「神」が天皇なのです。
「何かをする」のは、時の為政者たちであって、天皇は中心に座して祭祀を執り行い世の平安を祈念するわけです。
ですから、よくある天皇に対する外国人の誤解は「日本の最高権力者」という上下関係で見てしまうことです。
マッカーサーなどは、わざわざ天皇とのツーショットに、外交プロトコルを意識的に無視しあえて作業服を着て現れました。
この写真を撮らせて日本国民に見せることで、自分が天皇に代わる最高権力者であることを日本国民に分からせようとしました。
天皇とは、マッカーサーと権力争いするような存在ではなく、むしろ民族の深い内側にある祠のような場所におわす存在なのです。
韓国があたりまえに使う「日王」呼ばわりも似た誤解から来ています。
天皇はエンペラーでもゴッドでもないし、ましてやキングなどではないのです。
ですからそう呼ぶ心根自体がわが国民の禁忌に触れるわけです。
このムン発言は、日本民族の本質にふれるが故に見過ごしにはできません。
韓国は日本人が魂の奥で大事にしている部分を泥足で踏みにじったのです。
ならばこのような粗暴野卑な国を、今年5月の新天皇の即位の儀式に招待すべきではありません。
ちなみに日韓議連の額賀氏が韓国をお忍びで訪問したそうです。
「超党派の日韓議員連盟の額賀福志郎会長が12日、非公開で韓国を訪問した。複数の外交消息筋が明らかにした。
両国関係は強制徴用訴訟の判決や韓国軍のレーダー照射問題などに加え、韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長が慰安婦問題で「天皇の謝罪が必要」と発言したことでさらに悪化している。こうした中、額賀氏が訪韓したのは関係改善に向けた打開策を模索するためとみられる。
額賀氏は同日夕方、韓日議員連盟の姜昌一(カン・チャンイル)会長(与党・共に民主党)と会談した。13日は李洛淵(イ・ナクヨン)首相と会談するという」(聯合2月12日)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/02/12/2019021280193.html
今回のムン議長が、額賀氏のカウンターパートだったからもあるのでしょうが、今さらなにをしにいくのか皆目見当につきません。
動くならば、去年11月の日韓議事連総会時に、日本国民を代表して苦言を呈するべきでした。
それを懐手して無為で見逃してしまって、ここまで状況が悪化しきってから行ってみてもなんの役にもたちません。
いわゆる親韓派は、ここまでモンスター化した韓国の反日意識を育てたのが、他ならぬ自分たちの「友好」のあり方にあることに、いいかかげん気がつくべきです。
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今日の記事、概ね賛成ですが、一点天皇の位置については、神というより神主のほうが適切ではないかと。
神道を中心とした日本の文化を守り、人々のくらしの安寧を祈る、これはまさに神主の役目に他ならないと思います。
それにしても、この日韓議連というのは、いったいなんなんでしょうね。
額賀氏の政治感覚の無さにはあきれるばかりです。
投稿: ゆん | 2019年2月13日 (水) 07時56分
>国としての三半規管が狂っている、としか言いようがありません。
まさに言い得て妙ですね。平衡感覚が働いているとは到底思えません。
一体この人たちはどれだけ日本人の神経を逆なですれば気が済むんでしょう。
堪忍袋の緒はとうに切れてもおかしくないレベルだと思うんですが。
ところがその韓国を非難するや、たちまち「ヘイトだ」と言い始める人たちが出てきます。
韓国も大概変な国ですが、我が日本もヘンテコぶりではいい勝負かもしれません。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2019年2月13日 (水) 19時45分
天皇陛下は、主権者・支配者たる王ではなく、権威者たる司祭王というべきですが、それ以上に国体(国民体育大会ではない)、即ち日本国そのものです。
日本という国号は、皇統が男系という正統をもって護持されていることで担保されています。およそ日本、日本的なるものは皇室により担保されています。
象徴・元首を遙かに超える、日本そのものです。今回の発言は、日本そのものを貶めるものであり、断じて許してはならないものです。
朝鮮人は最悪のタイミングで最悪の選択をするDNAを持っていますが、今回のことも、まさに当てはまります。実際に懲罰を与えて解らせるべきモードに入ったと言えるでしょう。
なお、前述の論旨に従えば、日本国内で反皇室を表明する輩も日本そのものを否定するのですから、日本から出ていくべきでしょう。およそ日本的なもの、日本語・日本食・日本文化全てと縁を切るべきです。これは、思想信条などという軽いものではなく、公序良俗に反することと言えますので。
ついでに言うなら、天皇制をぶっ潰せ!という党是を掲げる政党の名前が日本共産党。天皇陛下により担保されている日本という国号を自らの名称の用いています。あの手の輩のおつむの程度を示しています。つい最近まで、国会開会の陛下のお言葉を議場の外に留まり、聴かないという非礼をはたらいていました。
このような、非礼のものどもには、相応の罰を与えるべきです。
投稿: ぼびー | 2019年2月13日 (水) 20時21分
天皇さんが万世一系(諸説あり)で続いてきたのは奇跡に思えます。
誰が意図したのか?落ちぶれた時には、天皇さん自らが御所の前
で歌の短冊を売っていたというし、江戸時代には庶民は徳川公方様
は良く知っていた(知らないとマズイ)が京の民以外は天子様を知らな
かったというし、古事記も江戸時代に本居さんが古事記伝を著すまで、
八百万の神々の物語は一般には全然知られていなかった。天皇さん
は、こう言うとナンですが、結構いい加減な存在でした。逆に言えば、
そうだからこそ延々と続いてきたのだと思います。
それを明治薩長政府が、日本を内乱にさせないように強力な錦の御
旗として求心力を持たせたのが天皇・朝廷でした。いきなり大日本帝
国の主権者となり帝国陸海軍の長となってしまいました。当初のうち
は薩長出身者達は錦の御旗の意味を理解していましたが、代が替わ
ると妄信になり、事大主義に陥って、ついに帝国は自滅しました。
が、現在は国民主権の自由経済の民主主義国日本です。そしてその
国民の象徴が天皇さんです、日本国憲法にそう書いてある。それを
愚弄するのはイカンぜよ、「日本人全員にケンカ売ってんのか?」と
言う話になりますわ。
投稿: アホンダラ1号 | 2019年2月13日 (水) 23時25分
韓国人の性質を考え続けている。
国会の議長ともある方が、今上天皇を戦犯(昭和天皇)の子という表現をするなど常軌を逸した態度を、なお強弁を続け改めようともしない。韓国人の思い上がりにしか思えない。あきれてしまっている日本人は多いだろうと思う。
前に、韓国人ジャ-ナリストは日本人が慰安婦問題で心の底から謝ってはいないと言っていた。誠意が足りないという言い方ももした。今回の国会議長の発言も、その他の韓国知識人も共通して日本をなじるのは、心底から謝罪がない、誠意がないということのようだ。
考えてみると、韓国人は自己中心的な性向が強いのではないかと思えるのだ。日本人に誠意を要求するのはイイのだが、韓国人は日本人に対して誠意をもって応対しているのかという疑問がある。
今度の国会議長の態度を見て、韓国人のことをそのように考えてみた。客観的にものごとをとらえる力が弱いのだろうか。
投稿: ueyonabaru | 2019年2月14日 (木) 00時09分
先のレーダー照射問題なんかもそうですけど、最近の韓国の馬鹿げた行為というものは、北朝鮮の代理人的な表現行為ととらえた方が分かりやすいのではないですかね。
日本が国際的にも先頭に立って、米国に対してCVIDの立場を堅持させている事。拉致問題にこだわり、経済制裁の緩和にはもちろん反対で北朝鮮が求めるカタチでの終戦宣言にも消極的である事。これら日本の立場からの主張が文在寅や韓国進歩派の目指す「朝鮮半島の平和的統一」という、韓国人一般にまで浸透した無茶な共同幻想を達成させるための最大の障害だと考えての事でしょう。
すると、ここまでなり振り構わない無残な馬鹿っぷりの示すところは、やはり北朝鮮の内部状態がよほど悪化してきていると判断出来るのではないでしょうか。
少なくも、所々穴が開いているとはいえ、「経済制裁」はよほど効いているように思えます。
トランプの「反転友好演出攻勢」を受ける中でミサイルをぶっ放すワケにもいかず、文在寅は「役に立たない馬鹿」化してきていて、国内事情から政権を危ぶむ声もあります。
(文在寅は盧武鉉のように、北から激しく叱責を受けている事でしょう)
正恩の焦りは本物で、続く米朝会談でも「生かさず、殺さず」状態が継続されるものと見えます。
投稿: 山路 敬介 | 2019年2月14日 (木) 01時29分