米朝会談の後にくるのは?
トランプが2月5日の一般教書演説の中で得意そうにとりあげたのは、正恩との第2回会談のことでした。
ttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-...
トランプよりも北朝鮮から煮え湯を呑まされた回数が多い私たちは、米朝会談を外交的成果として分類してしまっているような口ぶりには失望を覚えます。
去年2018年1月の一般教書演説では北を「邪悪」と罵りましたが、今は「非常に良好な関係」とか「友人」と言っています。
いくらなんでも「友人」はないでしょうが、外交儀礼を無視するのが持ち味のトランプがそんなことを言ったらシャレにならんでしょうに。
おいおいトランプさん、そこまであの坊やを信じると、ヒドイ目にあうぞと忠告のひとつもしたい気分です。
トランプの突破力は認めますが、言っていることがディールなのか本気なのかさっぱり分かりません。
正直言って、フツーの保守政治家であるマイク・ペンスに代わって欲しい。
おそらく今度の米朝会談では、なにも具体的進展はないでしょう。
「非核化」という言葉だけは盛大に連呼されるでしょうが、現実の収穫はごく限られた核施設の検証と、どうでもいいような実験場の廃棄ていどのはずです。
たぶん北の最大限の譲歩は、長距離核の弾道ミサイルの検証と廃棄でしょう。
これもとうぶんは空証文で、実際にIAEAが査察できるのはかなり先まで引き延ばされるはずです。
日本に向けた中距離核については、安倍氏の強い要請で議題には登っているでしょうが、とりあえずは「米国の安全」が最優先されます。
拉致問題は議題にすら乗らないかもしれません。
トランプにとってシンガポール会談で拉致を口にしたことで、日本に対する義理は済んだと考えているふしがあります。
中距離核についても、トランプは安倍氏に対して「待て待て焦るな、まだ終わったわけじゃない。第2段階ってもんがあるんだ」とでも答えそうです。
第2段階ですか?そりゃありますよ。
それがこの第2回会談最大の「収穫」となるかもしれない米朝平和条約の締結です。
それは北の「非核化の固い意志」を引き換えにし、その担保として長距離核の廃棄でしょう。
それで「米朝平和条約」の締結合意までゲットできれば、正恩にとって万々歳のはずです。
というのは、平和条約締結に合意するという意味は、とりもなおさず敵対関係の消滅を意味するからです。
それはふたつの事態を招来します。
まず第1に、北への国連制裁の緩和、ないしは中止です。
第2に、在韓米軍の撤退です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30207770Y8A50...
北の核の主戦力である中距離核を残してしまっては、なんの意味もないと私たち日本人は思いますが、そこは第2段階の平和条約交渉の中で詰めるというあいまいな解決となります。
米国はINF条約を廃棄した流れから、北や中国を標的とした中距離核の配備を復活させて抑止力とするつもりかもしれません。
その場合、日本列島にも中距離核が配備される可能性がありますが、それ自体は独自核を事実上保有できない日本にとって決して悪い話ではありません。
というか、現実に私たちを標的とする中国や北の中距離核に対抗するにはこれ以外方法がないことは事実ですが、核の脅威は元から断たなければダメです。
それはさておき、北はその平和条約交渉の前提として米朝間の話合いをするに足る「平和な国際環境」ていどは要求するかもしれません。
それが経済制裁の緩和、ないしは中止ですが、ここが踏んばりどころで、これを緩和することがあれば、北の思うつぼです。
緩めたら最後、もう一回国際的制裁を再構築するのはむずかしいのですから、簡単にこのカードを手放してはなりません。
また北が「非核化」すれば、朝鮮戦争は形式的にも終結しますから、国連軍も解体され、在韓米軍も駐留する理由がなくなります。
これが北がシンガポール会談で米国に呑ませた「朝鮮半島の非核化」の真の意味です。
一方中露が北の「非核化」を望んでいる理由は、自分の頭に北の弾道ミサイルが飛んでくるということもありますが、いまひとつは非核化が達成されれば、在韓米軍が駐留する意味がなくなるからです。
在韓米軍は、中露にとっても大いなる目の上のたんこぶだからです。
形式的には国連軍=在韓米軍ではありませんから、在韓米軍は平和条約締結移行も米韓安保条約で地位は保証されているはずです。
平和条約によって、北の再侵攻と核の脅威は消えたと解釈されますから、駐留する目的は対中、対露の前方展開基地としてのみということになります。
ここまでは在日米軍と一緒ですが、大きな違いは現在の韓国政府が在韓米軍の駐留を望まないことです。
もっと有体にいえば、さっさと出て行って欲しいくらいが韓国政府の本音なのです。
これについてはムンジェインの言動を検証せねばなりませんから、次回に回します。
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コメント
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トランプ大統領の真意がどこにあるのか、最近ではますますわからなくなって来ましたね。
「炎と怒り」本によれば、限定攻撃を主張したトランプ氏をマティスさんが必至で止めた事になってますが、そこからどういう経緯でここまで猫っぽくなったのか? それも不思議です。
ですけど、このような膠着状態はあながち日本に不利とも思いません。
何といっても拉致被害者の救出だけは成し遂げなければならず、むしろ日本にはモラトリアム期間が必須なのではないかと思います。
それがどうなっているのか、最近は全く情報がないのでわかりませんけど。
次で終戦宣言に踏み込むかもしれず、これも心配です。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2019年2月12日 (火) 18時43分
> というか、現実に私たちを標的とする中国や北の中距離核に対抗するにはこれ以外方法がないことは事実ですが、核の脅威は元から断たなければダメです。
トランプ大統領が北朝鮮の中距離核を廃棄させることができなければ、日本に中距離核を導入するしか策はないと思います。日本が核武装して、主体的に防衛をすべきではないでしょうか? そうでなければ、在日米軍が中距離核を持つしかないでしょう。国民投票をしても良いのでは。
以前のように、北朝鮮がミサイルで日本を恐喝するようなことはなくなった感じがあるが、やはり安心できるのは日本独自で核装武装をすることだと思う。
中国の経済状況が崩れれば、中国自体が危なくなり、北朝鮮どころではなくなるかもしれない。それも期待したい。
投稿: ueyonabaru | 2019年2月13日 (水) 00時04分