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2019年2月20日 (水)

原油の海に浮かぶ浮草社会主義国ベネズエラの終焉

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遅まきながら、日本政府もベネズエラのグアイド国会議長の反政府側の支援を決定したようです。

「混乱が続く南米のベネズエラで、暫定大統領への就任を宣言したグアイド国会議長率いる反政府側は、14日、アメリカの首都ワシントンで、各国の関係者を招いて会議を開き協力を呼びかけました。参加した日本政府の担当者は、「ベネズエラ国民の声が反映された国造りを支援していきたい」と語りました。(略)
今回の会議に参加した日本の相川一俊駐米特命全権公使は、NHKの取材に対して「ベネズエラの人道的状況を懸念している。国民の声が反映された国造りを支援していきたい」と述べ、日本としても支えていく姿勢を示しました。(NHK 2019年2月15日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190215/k10011815711000.html

K10011815711_1902150745_1902150746_NHK2月15日 

一方、故チャベスの後継政権であるマドゥロ大統領は、同じニューヨークで気勢をあげています。 

「ニューヨークの国連本部では、ベネズエラのアレアサ外相が、10数か国の国連大使らとともに声明を読み上げ、アメリカに対抗していく姿勢をアピールしました。
アレアサ外相は14日午前、ロシアやシリア、北朝鮮など16か国の国連大使や幹部らとともに記者会見を開きました」(NHK前掲)
 

マドゥロ政権の国際総決起集会に集まった面々を見て、思わず失笑してしまいました。 

方や米国とヨーロッパ諸国、そして日本。これはさもありなん自由主義諸国です。 

方や北朝鮮、中国、ロシア、そしてアサドが支配するシリアときていますから、分かりやすい。 まともな国がひとつもない(苦笑)。

これらの国々の共通項は、極端な独裁体制と人権弾圧です。 

願いましては、ウィグルで収容所列島を作り続ける中国、反政府ジャーナリストや反体制人士は暗殺してしまうロシア、自国民に毒ガスを撒くような国民の大量虐殺を繰り返すアサド政権、説明不要のひとり独裁国家・北朝鮮までが顔を出しているのはご愛嬌です。 

北朝鮮やアサド政権に支援される政権というだけで、もう説明する手間が省けるというものです。 

実に分かりやすい色分けですが、この両派以外に、カナダのように「米国は介入するな」という非干渉派も少数ですが存在します。 

さて今のベネズエラはインフレ率が年100万%(おいおい)というハイパーインフレに達し、全人口の61%が極端に貧困な生活を強いられています。

国民の89%は家族が生活できる賃金をもらえず、既に人口の1割の260万人が国外に脱出しています。

2014年末に220億ドル相当あったとされる外貨準備は、2017年8月時点で100億ドル以下まで減少し、ベネズエラはデフォールト寸前です。

ベネズエラ市民の4分の3以上が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。商店の棚から商品が姿を消し、スーパーマーケットには、コメなどの基本物資を求めて、行列ができるようになった」
(フォーリン・アフェアーズ・リポート2016年10月号)

「ベネズエラが、政治的、経済的な危機に直面しています。IMFによると、2017年のインフレ率は平均で720%、2018年は2,000%超という破滅的な数字になると見られています。マドゥーロ政権の支持率は就任時の50%から20%に低下、国内では食料や医薬品といった必要物資が著しく不足し、海外への脱出者が多数発生していると報じられています」
(マネークリップ『原油に翻弄されるベネズエラ~デフォルト危機と今後の展望~』2017年9月15日)

「5月22日にはさらに、医師たちがカラカスでデモ行進し、保健省に対する抗議行動を実施した。アントニエタ・カポラレ保健相は5月半ば、2016年に妊婦死亡率が66%上昇したと発表した後で解任されている。
抗議行動に参加した医師たちの手には、「病気になるな。薬は無いぞ」と書かれたプラカードが握られていた。ベネズエラは石油大国でありながら、食料だけでなく医薬品も極度に不足しており、患者たちは必要な薬や包帯などを自力で調達せざるを得ない状態だ」(ニューズウィーク2017年5月27日)
『ベネズエラほぼ内戦状態 政府保管庫には大量の武器』
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/05/post-7655.php

この発端を作った男が、このウゴ・チャベスです。
ウゴ・チャベス - Wikipedia
 

Photoウゴ・チャベス スプートニクhttps://jp.sputniknews.com/life/201611223036456

 この暑苦しそうな男は就任すると、それまで中南米の優等生と言われていた自由主義政策を廃止てしまい、反米・社会主義路線政策を実行に移しました。 

チャベスがやったのは、全土の急進的な社会主義化でした。 

農民の農地は国が接収し、外貨収入源の石油プラントはベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の下に国有化し、電気・ガス・水道の公共インフラも国有化してしまいます。 

そして貧困層の支持をえるために徹底したバラマキ政策を行います。 

普通こういう急進的社会主義政策をとった場合、大きな反発が農民から出ます。 

農民こそが最も社会主義と相いれない天敵の階層であることは、古今東西の社会主義の歴史が証明しています。 

国はただ同然で食糧を国民に供給したいので農民に対して、国が定めた低い額で国に食糧を供出することを命じます。 

販売の自由が奪われているわけですから怒りが溜まって当然でしょうか、そもそも農地自体が自分のものでなくなっているために従わざるをえないわけです。

私なら死んでもこんな「社会主義農民」になるのはマッピラですから、殺されるか投獄されていたことでしょうね。

そしてもうひとつは民族資本です。

チャベス前には多くの民間企業が活発に活動していましたが、その多くが国有化されました。

特に石油生産には、資金と技術を持つ有力な外資が経営していたのですが、これが国有化のために国外へと撤退した結果、原油生産効率は大幅に低下しました。

原油生産量はチャベス就任前に比べて、実に4割以上減少したと言われています。

また、かろうじて生産される原油も精製が出来ずに低い品質で輸出せざるをえない状況です。 

このチャベス社会主義政権には国内で強い抵抗があり、対外的にも米国の目の敵にされていました。

しかしそれでもなお、世界の左翼たちから「21世紀の新しい社会主義」と偶像視されたのは、この原油輸出があったからです。 

安かろう悪かろう少なかろうの三重苦を背負っていても、痩せても枯れても世界有数の産油国の強みで、この原油を売った金を貧困層にせっせとバラまきゃ、これは強い。

これで、なんとか国内の不満を押さえ込んだのですが、そうは問屋が下ろしませんでした。

輸出収益の95%以上を石油と天然ガスに依存するという、ロシアも真っ青の原油一本足打法は、原油の国際市場価格の変動にもろに左右されます。

Img_fbee3a90ea97a15ec97b3bc71a85b78マネークリップ https://media.monex.co.jp/articles/-/7933

2002年から始まる原油価格の高騰は、チャベス政権にとって願ってもない追い風となりました。

それは幸運にもチャベスが生きているあいだ吹き続け、世界でエネルギーを爆買いしていた中国はこれに目をつけて630億ドルの融資を行います。

中国はこういうえげつないエネルギー漁りと、米国の裏庭に自分の息のかかる国を作る心づもりでした。

アメリカシンクタンク「ランド研究所」は近日発表した報告書で、中国共産党政権が海外展開するうえで重要な拠点となりうる11の国家を主軸国家(pivotal state)としてピックアップした。(略)
ベネズエラはその豊富な石油資源のため中国共産党から目を付けられている。中国はベネズエラに対し多くの投資を行い、軍需品と融資を与えた。ベネズエラは石油を輸出して得たオイルマネーで返済の大部分をまかなっている」(大紀元2018年10月29日)
https://news.nicovideo.jp/watch/nw4102955

チャベスはこんな融資を受けても苦にもしませんでした。なんせ全額現物で返済可能だったからです。

ただし、ベネズエラに貸し込んだ中国は、今や貸し倒れの危機にあります。

というのは、米国がベネズエラ国営石油会社ペトロレオス・デ・ベネズエラに対し、禁輸措置をとりました。

「ティラーソン米国務長官は4日、訪問先のアルゼンチンで記者会見し、政治混乱が続く南米ベネズエラに対し石油製品の禁輸を検討していると発言した。野党勢力の弾圧や不公正な選挙の強行で独裁化を進める同国のマドゥロ大統領をけん制する狙い」
(日経2018年2月8日)

これによって中国はカネも返ってこないわ、現物の原油も手に入らないことになります。

それはさておき、いっけん順風満帆に見えたチャベス政権は、彼の死後一気にナイアガラ瀑布よろしく転げ落ちることになります。

2014年の国際石油市場の暴落が発生し、ベネズエラ社会主義政権の一本足打法のたった一本の脚である原油輸出が急落することなります。

この時には、ラッキーにもこの元凶であったチャベスは、ガンで亡くなっていました。

チャベスはさんざん自分のガンを米国の陰謀だと吹いていましたが、ともかくまぁ自分が作った世界が地獄に落ちていくのを見ないで住んでよかったではありませんか。

このチャベスのガン治療はキューバで行われ、ベネズエラのキューバ化はいっそう侵攻することになります。

チャベス亡き後、これを継承したニコラス・マドゥロは、原油価格低迷を一層の社会主義化で乗り切ろうとします。
ニコラス・マドゥロ - Wikipedia

2ハフィントンポスト
https://www.huffingtonpost.jp/2016/07/25/economic-chaos-in-venezuela_n_11190370.html

この男の社会主義化とは、秘密警察政治のことでした。数知れない市民が暗殺部隊によって虐殺されました。

しかし、肝心のバラマキの財布の底が抜けて貨幣が100万%に達しデフォールト寸前の経済では処置なしです。

マドゥロが正気ならば行き過ぎた社会主義化を止め、国有化した石油会社を元の外国資本の運営に戻し、さらに米国とよりを戻せば、多少の救いはあるかもしれません。

「政策転換を契機に市場開放が進めば、外資を含む民間企業の再参入により、原油生産量の回復、さらには増産も期待できます。また、石油以外の外貨獲得手段を強化することも可能です。
ベネズエラはボーキサイト、鉄鉱石、ニッケル、金といった鉱物資源にも恵まれています。エンジェル・フォールを有するカナイマ国立公園という世界遺産もあり、観光資源もあります。政策転換によって米国など今まで関係が悪化していた国との関係が改善すれば、様々な投資や需要を取り込めるでしょう」
(マネークリップ前掲)

しかし、仮にマドゥロにその気があったとしても(ないでしょうが)、中国とロシアがバックについて、ベネズエラを国際政治の駒としてしまった以上、もう後戻りはできません。

日米はグアイドを暫定大統領を支持しましたが、まだ力量は未知数です。

軍部の出方にもよりますが、今後もベネズエラの動乱は続くものと思われます。

とまれ、まともな革命運動をしたわけでもなく、汗水流さないで原油という地べたから湧くものだけで国を社会主義に導こうという太い根性で、成功するはずがないではありませんか。

このような原油に浮かぶような国を、「21世紀の新しい社会主義」と礼賛していた人たちの顔が見たいものです。

 

 

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コメント

全体主義の行き着く結末はみんな同じようになりますね。結局古代の奴隷制度のようになり、創造性が枯渇して自死していくんですね。延命処置と偽装・謀略で、米国帝国主義とかいっているロシアや中国などの運命も決まってますね。米国等では、イエローパージが実行中です。日本も中国から来てる人はすべてヒモ付きと疑い、研究施設や大学などから排除すべきですね。留学生は中国大使館にコントロールされている諜報・謀略要員のようです。もう差別とかの次元でありません。やるかやられるかですよね。

15年ほどまえ、チャベス以前のヴェネズエラに行ったことがあります。
カラカス郊外のショッピングモールには、お洒落な商品があふれて、他の中南米諸国とは、一味違っていて、ここには中産階級がいるんだな、と思ったことを思い出しました。

 チャベス元大統領の社会主義独裁政治も結局は脆いものでした。原油の価格の下落で彼の社会主義の理想は潰えてしまいました。社会主義で今生きながらえているのはキュ-バぐらいですか。しかし、これも将来はどうなるのか分かりません。社会主義も極端の方へ行くと難しいことも多くなるのでしょう。

 私も若いころには社会主義、共産主義が政治形態としては優れているのではないのかと真面目に考えておりました。しかし、ソ連邦の内実を見聞したりしたことで疑問も感じ、また実際に西側にソ連が敗北した現実を目の当りにすれば社会主義体制の無理を感じざるを得ませんでした。

 資本主義、自由主義の方が圧倒的にイイと思います。資本主義は、多数の個人が資金を供出しあい会社を設立し大きな事業を立ち上げ生産をしようとするものです。会社の社長や役員、資本家は儲かりますが、それも法律や報酬の相場に左右されますね。これは悪いことではありません。会社の社長は単純に偉いと思っても大きな間違いではない。

 社会主義がマズイのは国家の権力者が社会の重要事を決定することにあります。そこでは個人の創意工夫などが生かされることもなく
国家の権力者やエリ-トが考えるベストの政策が強行に実施されるのですね。エリ-トでなければ政策に関与することもできないのですね。ですからエリ-ト階級に入らねば将来性はないのです。

 チャベス元大統領のベネズエラの様に、社会主義+独裁主義ともなると脆い政治体制になってしまうのでしょうね。国民一人一人の力が弱いのでしょう。石油から得た大きな利益を国民は受動的に受け取るだけの人間になってしまうのしょう。そこには個人の生きる力強さは失われていくのでしょう。石油がないと生きていけない。情けないことです。

ベネズエラが荒廃すればするほど、中国にとっては安く買い叩けるという寸法ですね。その間にベネズエラ国民が何万人死のうが知ったことではないと。

さすがの中国様ですね。


反米を党是とする日本共産党までもがチャベス政権を見限りましたね、この政権はもう長くはないでしょう。

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