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2019年3月

2019年3月31日 (日)

日曜写真館 蔵の街に迷い込む

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いまでも有名な佃煮屋さんです。
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揚げたてのテンプラが食べられます。
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簡素な鬼瓦です。
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出前までしてくれるそば屋さんです。
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おそば屋さんの広間で庭を見ながらおそばをたべられます。
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商家の二階から見ると倉が重なっています。
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商家の引き出しです。

2019年3月30日 (土)

韓国「徴用工」裁判の資産の差し押さえは知的財産権の強奪計画か

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韓国の「徴用工」裁判の差し押さえの詳細が、少しずつ分かってきました。想像以上に危険な動きです。

「太平洋戦争中の「徴用」をめぐる韓国の裁判で、原告側が三菱重工業のロゴマークの商標を差し押さえていたことが分かりました。
韓国特許庁のホームページによりますと、差し押さえられた商標は、三菱重工の英語表記の頭文字「MHI」をあしらった2つのロゴマークです。
原告側が商標を売却する手続きに踏み切った場合、韓国内でロゴマークを使用できなくなるおそれもあります。
この裁判の原告側は、去年11月に三菱重工に賠償を命じる判決が確定して以降、賠償に関する協議を求めていましたが、三菱重工側が期限までに応じなかったとして、今月、韓国で保有する商標と特許合わせて8件を差し押さえたと発表していました。
対象となる商標と特許は8億400万ウォン(およそ7800万円)に相当するとしていましたが、商標と特許の詳しい内容については明らかにしていませんでした」(NHK月28日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190328/k10011864691000.html

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NHK前掲

従来、徴用工原告団の意図は8億4千万ウォン(7800万円)相当のカネを得ることだと思われていました。しかしどうもそうではないかもしれません。

もちろんカネを日本企業からむしり取る目的で原告を集めたわけでしょうが、むしろその意図はその先にあるようです。
私がこの「徴用工」裁判で当初から疑問に思ってきたのは、真っ先に特許という知的財産権を差し押さえに走ったことです。
現金化するなら、なにもこんなこんな売りにくいものを差し押さえる必要はないわけで、三菱重工や新日鉄住金、不二越の土地建物といった不動産や製品を相当分押えててしまえば簡単なことです。

不動産なら買い手もすぐに見つかるでしょうから、換金がすぐにできてしまいます。
さっさと売って原告に分配してしまい、弁護士は大枚な手数料を得て、日本が国際司法裁判所に提訴しているうち売り抜ける、これがもっともイージーな方法ではありませんか。

にもかかわらず、売り手が限定される知的財産権だと買い手探しに手間がかかりすぎてしまいます。
おそらく、今原告団が差し押えた物件を換金できないのは、ここに理由があります。
よく思われているように、日本の報復が恐ろしいからためらっているということではなさそうな気がします。

特許は韓国で申請された日本企業の特許ですから、韓国国内でのみ使用するしかありません。
それでいいのです。
そもそも彼らは特許を海外に売る気など初めからないし、韓国国内で売りさばいてしまう気だからです。
なぜなら、おそらくこの差し押さえた日本企業の知的財産権の売り先は前もって決まっている可能性すらあり、それは日本企業と競合関係にある同業会社のはずです。
今停滞して見えるのは、価格交渉などの条件面で折り合わないのかもしれません。

たとえば三菱重工が差し押さえられたのは、こともあろうに発電所のタービンの特許です。これは三菱重工が誇る世界最先端の技術です。
三菱重工のHPをみるとそのすごさがわかります。
世界中の天然ガス焚 火力発電所に高稼働率を保証するサービス | 三菱重工https://www.mhi.com/jp/expertise/showcase/column_0014.html

 

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                                         発電所用蒸気タービン 三菱重工HP

「火力発電所で、電力が作り出されるとき、何が起こっているのでしょうか。
天然ガス焚き火力発電所の心臓部であるガスタービンでは金属も溶解する1,500℃以上の温度に達した燃焼ガスが、膨張しながらタービンブレードと呼ばれる特殊合金の翼に吹きつけられ、3,000回転/分以上の高速で回転。その強大なチカラが軸の先につながる発電機へと伝わり、電気エネルギーに変換されます。ガスタービン単機での出力は主力のG形ガスタービンで33万kW前後。実に約4万世帯の電力をまかなえる計算です。いったん稼働を始めたタービンは長期間の運用が求められ、究極の堅牢性と信頼性が試されます。
世界に先駆け、燃焼温度1,600℃級を実現したJ形ガスタービンはその代表格と言えるでしょう。
そして、ガスタービンの排熱を利用して蒸気タービンによる二次発電を行う「ガスタービン・コンバインドサイクル発電(GTCC)」に、この新世代機を適用すれば、世界最高水準の熱効率(60%以上)と、世界最大となる出力46万kWもの発電量を得ることが可能になります。
火力発電の新たな可能性を示すこの成果は、技術へのあくなき探究心と膨大な経験の蓄積なしに成し得ないものです」(三菱重工HP)

三菱重工は6ツの特許を押えられており、その中にはこの先進的蒸気タービン特許も含まれていると見るのが自然です。
この技術を用いて、既に韓国企業に対して納品実績があります。今火力発電は技術革新のまっただ中にあります。
各国は発電効率が飛躍的に高まる新たな火力発電に急速に移行しつつあります。
この心臓部にあたるのが蒸気タービン技術です。このような高度なタービン技術を持たない韓国企業にとって垂涎の的であることは想像に難くありません。
この特許を買い取れば、「合法的」に三菱重工製の蒸気タービンと同等のものを製品化可能です。

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そしてもうひとつ押えられたのは三菱重工の商標です。これも大変にきな臭いものです。
この商標がスリーダイヤモンドでないのは意味深長です。そのような三菱グループの統合商標などは不要だからです。
必要なのは「三菱重工」そのものの商標ロゴだからです。

「ソウル共同】韓国で元朝鮮女子勤労挺身隊員らが三菱重工業への勝訴を確定させた訴訟を巡り、原告側が差し押さえた資産に同社のロゴマーク「MHI」の商標権も含まれていたことが27日、分かった。同社関係者が明らかにした。今後、原告側の申請により売却が完了すれば、同社は韓国内でこのロゴマークが使えなくなる。
 スリーダイヤで知られる三菱グループの代表的なロゴマークは差し押さえ対象ではないという。同社関係者は、ロゴマークが差し押さえられたことについて「この問題は(日本と韓国の)政府間で対応している。われわれは静観するしかない」と話した」(3月27日共同)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190327-00000219-kyodonews-int

三菱重工が静観しているせいか、三菱重工のロゴを韓国で使えないだけだからなんの実害もないさ、という妙な楽観論が広がっていますが、間違っていると思います。
韓国の意図は韓国内で三菱重工のロゴを使わせないところにはないからです。

推測の域をでないとお断りしておきますが、先ほどからの流れを見ると、既に知的所有権の売り先は決まっていて、その上に商標権までセットで売ると思われます。
その場合、この特許と商標をセットで買い込んだ韓国企業の意図は明らかです。

それは三菱重工の世界最先端の蒸気タービン技術を使って、ご丁寧に三菱重工の商標をつけて「合法的」に海外に製品出荷することです。
とうぜんのこととして、このコピー商品は、研究開発費もかからず、更に韓国製品お定まりの素材や行程に大いに手を抜き、それをダンピング輸出するでしょう。
しかし、いかに手抜きのコピー商品であろうと、世界のブランドの「三菱重工」のホンモノのロゴつきです。これで売れないはずがありません。

もちろん超高温に耐えるタービンブレードなどの製造は、いかに特許を獲得しても簡単にコピーできるとはおもえません。蒸気タービンといっても材料や冶金技術にまですそ野が広い技術だからです。
おそらく今の韓国にはこの技術がありませんし、それは三菱重工の技術を読んでもできないでしょう。
ただしポスコなどの企業にはあるていどその技術があるようですから楽観はできません。

とまれ三菱重工は猛然と抗議するでしょうし、法的措置に及ぶでしょうが、長期に及ぶ裁判の間に技術を完成させてしまい、さっさと売り抜けてしまえばいいことで、これはアップルをコピーしまくって巨富をなしたサムスンがよくやってきた手口です。
韓国はこのような詐欺的商売に関しては世界有数のエキスパートだということをお忘れなく。

このように考えてくると、「徴用工」裁判とは、慰安婦問題のようにただのカネ目当ての貧困ビジネスではなく、長期間準備された極めて悪質な歴史問題を手段とする知的財産権奪取計画のように思えてきます。

 

 

2019年3月29日 (金)

ヴァイツゼッカー演説 ドイツの反省のトリックとは

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またまた韓国国会議長のムンヒサンがこんなことを言い出しています。

「文氏は「発言の趣旨は『戦争犯罪や人倫に関する罪は時効がない。ドイツが敗戦国でも欧州の長なのは、全ての問題に謝罪し、現在も続けているからだ。心のこもった謝罪が最も重要だ。安倍晋三首相や安倍首相に準じた日本を象徴する国王(天皇)が慰安婦のおばあさんを訪ねて、申し訳なかったと一言言えば、根本的な問題が解決する』という話だった」と述べた[」(朝日3月27日)
https://www.asahi.com/articles/ASM3W3GB4M3WUHBI00S.html

こんどはドイツがでてきました。このムンの「誤解」は、日本を「歴史修正主義」としてバッシングする欧米や日本の左翼、そしてそれに乗った韓国の定説の上に成り立っています。

この人たちは、ドイツが大戦中にいかなる戦争犯罪をしたのか、その結果をどのように引き受けたのか、引き受けなかったのかについてまるで無知です。
ろくに調べもしないで口にしているために、あっさりとドイツの手の込んだレトリックにだまされているだけのことです。

それはギリシアが財布が苦しくなると戦後賠償を求めていることでもわかりますが、ドイツは一国たりとも戦後賠償に応じたことはありませんし、彼らドイツ人が唯一謝罪したのはユダヤ人虐殺という「自国民殺し」でした。
当初はユダヤ系ドイツ人のみを隔離収容していたのが、占領地拡大に応じて他国のユダヤ人強制収容に発展し、さらには処置に困って大虐殺へと拡がったのです。
このようにナチスのユダヤ人虐殺は、ただの戦争犯罪ではありません。

ドイツの罪を贖ったとされて称賛されているヴァイツゼッカー大統領演説をていねいに腑分けしてみれば、「真摯な謝罪」とされるこの演説がすべての罪をヒトラーになすりつけて口を拭ったことがお分かりになるでしょう。

こんな「日王は頭をすりつけて謝罪しろ」というようなムン如き男が、韓国では知日派だそうですから、やりきれません。
これは天皇を政治に介入させろという要求であって、明白な憲法違反です。
韓国と断交するかどうかは別にして、こんな天皇の地位をはき違えたうえに、「日王」と侮蔑する公人がいる韓国などは、そもそも新天皇の即位を言祝ぐ即位式に招待するべき資格を欠落させています。

差し押さえの実害が及んだ時に、直ちに報復できるような法整備も必要ですが、そろそろ大使召還を実施すべき時期ではないでしょうか。

ドイツの戦後謝罪について書いた2015年2月13日の記事を加筆し改題して再録します。

※タイトルを何回も替えてすいません。悪い癖です。

                                                             ~~~~~~~

戦後ドイツがこの「人道に対する罪」を、どう贖ったかみてみましょう。
たぶん、戦後補償について書かれた本のすべてに登場するのが、この余りに有名な1985年5月のドイツ連邦議会におけるヴァイツゼッカー大統領の一説です。

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ヴァイツゼッカー大統領 https://www.huffingtonpost.jp/2015/01/31/weizsacke...

やや長文ですが、引用します。

「我々は、戦いと暴力支配とのなかで斃れた人々を悲しみのうちに思い浮かべる。ことに強制収容所で命を奪われた六百万のユダヤ人・・・ソ連・ポーランドの無数の死者・・・命を失った同胞・・・虐殺された・・・シンティ・ロマ(ジプシー)、精神病者・・・銃殺された人質・・・ドイツに占領されたすべての国の抵抗運動の犠牲者を。
罪の有無、老幼いずれを問わず、我々全員が過去を引き受けねばならない。全員が過去からの帰結に関わりあっており、過去に対する責任を負わされているのである。
過去に目を閉ざすものは結局のところ現在にも盲目となる。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険にも陥りやすいのだ。
 若い人たちにかつて起こったことの責任はないが、その後の歴史の中でそうした出来事から生じてきたことに対しては責任がある。若い人たちにお願いしたい。他の人々に対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないように。敵対するのではなく、たがいに手を取り合って生きていくことを学んでほしい」(永井清彦訳)

もはや神話的な演説です。その文学的修辞の格調の高さに世界が感動の涙を流しました。

この有名な「過去に眼をとざすものは」の一節は、実は長い演説のごく一部なのですが、ここだけかピックアップされて取り上げられ 日本 の歴史認識を批判する場合の定番となりました。

「この一節を日本で最初に見出しにしたのは、岩波書店の雑誌世界1985年11月号で、朝日新聞も同年11月3日にコラムで取り上げている 岩波書店はさらに、1986年2月に演説全文を掲載したブックレット、1991年には単行本を出版している。この頃からこの一節が有名になり、歴史認識で批判するのにも使われるようになった」(ウィキ)

この部分は繰り返し各国のメディアによって流されて、「ドイツ人は過去のホロコーストと侵略の歴史を直視し、若き世代もまたそれを背負って生きていく。それがドイツ人が犯した大罪の償いなのだ」と、国際社会は受け取りました。

しかし、この演説の原文テキストを当たれば、そこにはさまざまな「趣向」が凝らしてあることに気づくはずです。ざっと読んだだけでも、この演説は意識的な混同をしています。

たとえば前段のユダヤ人虐殺と、ソ連、ポーランドの侵略に伴う死者を一緒にしていることです。
これは私が繰り返し述べたように、一般的戦争犯罪と、ユダヤ絶滅政策をあえて一緒にすることで、本質をボヤかすトリックです。
演説テキストは長文であり、しかもこの部分は前後を読まないと理解できない仕組みになっています。

ヴァイツゼッカーは、謝罪などしていないのです。
阿部賢一氏よるhttp://www.tulip.sannet.ne.jp/ken-abe/rondan-2014-07.html

たとえばヴァイツゼッカーは、単純な第2次世界大戦への謝罪を述べたのではなく、巧妙にドイツ民族、あるいは国民一般もまた、ナチスの被害者だったのだと言っています。この部分に注目してください。

しかし日一日とすぎていくにつれ、5月8日(※ドイツ降伏の日)が解放の日であることがはっきりしてきました。(略)ナチズムの暴力支配という人間蔑視の体制からわれわれ全員が解放されたのであります」

ドイツ国民は負けたのではなく、「解放」されたのだと、言っています。ここが重要なポイントです。え、負けたのはナチスであってドイツ国民ではないですって。

ヨーロッパ全域に対する侵略行為、そしてユダヤ民族絶滅もまた実行犯はナチスであって、それは極少数派だったのだと言っています。
ホロコーストも、大部分の国民はそれを知らなかったし、ましてやそのとき生れてもいない若者には責任をとりようがないのだ、と言っています。
その原文はこの部分です。

「ユダヤ人という人種をことごとく抹殺する、というのは歴史に前例を見ません。この犯罪に手を下したのは少数です」
「一民族に罪がある、もしくは、無実である、というようなことはありません。罪といい無実といい、集団的ではなく個人的なものであります。今日の人口の大部分はあの当時子どもだったか、まったく生れていもしませんでした。この人たちは自らが手を下してはいない行為について自らの罪を告白することはできません

ヴァイツゼッカーは、あくまでも「集団的罪」ではないと述べています。「集団的」とは聞きなれない表現ですが、一般には民族的、国家的なことを指します。
ここで彼は、ドイツの犯した残虐行為やユダヤ絶滅政策は、あくまで「個人的なもの」だと言っているのです。

うっかり見過ごしてしまうていどに慎重に、「罪がある、もしくは無実である」というように巧妙にボヤかしているからわかりにくいだけで、文脈で読めば、ドイツ民族に「(集団的)罪」はないと言い切っているのです。

ましてや当時生まれてもいなかった子供には「自らの罪を告白することはできない」と言っているのです。
したがってこれは、「当時の子供」、すなわち現代ドイツ人には罪を贖う必要はないということになります。
ならば日本人も、韓国人から「百年たとうが 1000年 たとうが、恨みは忘れない」などと言われる筋合いはないわけです。

つまり、ヒトラーとナチス党の「個人的」犯罪である、とヴァイツゼッカーは言いたいのです。そして、この長文の演説テキストにはただの一カ所も、ドイツが侵略した国々への直接的謝罪の文言はありません。

わが国ならばこう言っている部分です。

「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」(村山談話1995年8月)

あー、内容ウンヌンの前にウルトラにダサーっ(苦笑)
ヴァイツゼッカー演説が、謝罪文学なら、村山談話はまるで、どこかの市議会の事務方が書いた答弁書です。香気もなければ品位もない。

村山さん、あなたに文学的素養がないのは分かっているんだから、スピーチライターを司馬遼太郎さんあたりに頼みなさいよ。
小役人に書かせるからこういう無味乾燥でクソ面白くないものが出来るんです。まぁ、万年ノーベル文学賞候補の村上春樹氏でもこのていどです。

日本が起こした戦争に中国人も韓国人も怒っているが、日本人には自分たちが加害者でもあったという発想が基本的に希薄だし、その傾向はますます強くなっているように思う」

なにを言ってんだか、永久候補者さん。
このような悪しきナイーブさ、あるいは政治的幼児性は、ヴァイツゼッカー演説が、文学的修辞にまぶしてぼやかしまくって、すべての罪をナスチにすり替えて、ちっとも謝罪していないのと対照的です。

村山は床に額を擦りつけんばかたにして謝っているのに、誰の心にも響かないのだから最悪です。

下の写真は首相を辞めた後に韓国で土下座する鳩山氏ですが、その後も韓国の謝罪要求はエンドレスどころか、いっそうエスカレートしたのはご承知のとおりです。

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一方、ヴァイツゼッカー演説は、「過去に眼を閉ざす者は結局のところ、現在に盲目となる」という決めゼリフを言いながら、肝心なドイツの軍事侵略を受けた国々であるポーランド、チェコ、ソ連、フランスなどの多くの諸国に対してはひと言の言及もありません。
我が国が戦場になった東南アジア諸国はいうまでもなく、戦ってもいない南米やイタリア(!)にまで謝罪と戦後賠償を支払ったのと対照的です。

下手に謝ると、その代償を支払わねばならないからです。謝罪と賠償はかならずワンセットが決まりです。それが世界の常識です。

お分かりでしょうか。そう、ヴァイツゼッカーは何も謝罪していないのです。ただ抽象的に「思い浮かぶ」、「心に刻む」「思いを馳せる」remember, recall, commemorate, mourn, pay homageという表現に止まっています。
止まっている、という言い方は正確ではありません。あえてそこで寸止めして、すべての罪をヒトラーになすりつけたのです。

あながち皮肉ではなく言いますが、なんというずぶとさ、そして驚くべきしたたかさでしょうか。
まず絶対悪のヒトラーが大前提としてあり、その圧政によって、初めにドイツ国民が支配され狂気に追いやられ、そしてヨーロッパ全域に対する侵略とユダヤ人抹殺にに駆り立てられたという図式です。
そして「われわれドイツ民族もまた被害者なのだ」、ということをヴァイツゼッカーは言いたいのです。自分たちドイツ人一般は「被害者」なのだから、私たちを責めるな、と言いたいのです。

この虚構をもっとも信じたかったのは他ならぬドイツ人自身でした。
敗戦と共に周辺諸国の怒りと蔑みの眼差しにさらされざるを得なかったドイツ人は、「あれはヒトラーが悪いんだ。オレたちもだまされていた被害者なだけだ」という言い訳にしがみつかざるを得なかったのです。
それを荘重に述べたのがこのヴァイツゼッカー 演説なのです。
この演説を聞いていると、ふと
いつのまにか、加害者と被害者が同じ席に座って、ヒトラーを糾弾しているような錯覚に襲われるではありませんか。

ヴァイツゼッカーが、唯一戦争責任を認めているのは、逃げようがないユダヤ人に対するホロコーストだけで、それもまた「一部のナチス」の責任なのだとしています。

これすらも本当はドイツ市民であったユダヤ系市民を平時に迫害し虐殺したのであって、正確には戦争犯罪、即ち戦時における非行ではないのです。

つまり、悪いのは極悪なヒトラー一派で、一般国民はノット・ギルティ、そして侵略したドイツ国防軍もまた「普通の戦争を戦っただけだ」(ニュールンベルグ裁判での国防軍の釈明)というのが、 ヴァイツゼッカー演説で、これこそが戦後ドイツの公式の見解なのです。
仮にこのドイツ国防軍の自己弁護のレトリックを使うならば、我が国も「普通の戦争をしただけだ。戦争は国際法上の罪に問われないはずだ」と言えてしまうのです。
実際、日本人にとっての第2次大戦は、ドイツ人にとっての第1次大戦のようなものなのです。

もっともこんなことを日本が言おうものなら、「反省が足りない歴史修正主義者どもめ」ともっとも大声で罵ってくるのが、このドイツ人なのですからイヤになります。ドイツ人はヴァイツゼッカー 演説で、日本人より道義的優越を得たと真剣に思っているようです。

Photo(写真 ワルシャワのゲットー英雄記念碑の前でひざまずくブラント首相。ユダヤ人ゲットー で あることに注意)

さて上の写真は1970年12月7日、ヴィリー・ブラント西ドイツ首相(社会民主党=SPD)が、ワルシャワを訪れた際に、ゲットー英雄記念碑に献花し、ひざまずいて黙祷を捧げた時のものです。
このひざまずく黙祷のポーズは、後のヴァイツゼッカー演説と並んで強烈な<反省>プロパガンダを発しました。
これもポーランドに謝罪してひざまずいたのではなく、あくまでもユダヤ人虐殺に謝罪したのだということを忘れないでください。

日本のリベラル知識人が総なめにされただけではなく、中韓はこれこそが正しい歴史認識だと絶叫したことを覚えています。Photo_32013年7月日韓サッカー試合における垂れ幕

このハングルの垂れ幕の意味は、「歴史を忘れた者に未来はない」です。
また、わが国では、「日本の戦後補償がされていない」という論説や運動が、「ドイツの戦後補償に見習え」と叫んだことは記憶に新しいことです。

このようにヴァイツゼッカー演説は、朝日流にいえばいかに「コトバの力」を使うか、文学的修辞を巧みに使い、香気にまぶすか、そして本質をズラして謝らないか、謝っていないのに謝ったようにみせるのか、という政治的パーフォーマンスの宝庫のような演説です。

さぁ、声を揃えて叫びましょう!せーの、日本人はドイツに学べ!

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年3月28日 (木)

仏大統領「中国に甘い考え抱く時代終わった」 

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EUが対中強硬策に転換しつつあります。

中国は今米国と欧州の間に大鉈をぶち込む攻勢をしかけています。その手段は臆面もなく札びらをちらつかせる田舎成り金のようなことをすることわけですが、これが効く国もあるのです。

まず習近平が最初に標的に選んだのはイタリアでした。

「【ローマ=細川倫太郎】イタリアを訪問中の中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は22日、ローマでマッタレッラ大統領と会談した。会談後の共同記者会見で習氏は「インフラや港湾などの分野で協力を深めたい」と述べ、イタリアとの連携強化に意欲を示した。習氏は23日にコンテ伊首相と会い、中国が推進する広域経済圏構想「一帯一路」で協力する覚書を交わす見通しだ。(略)
イタリアは高い失業率など厳しい経済環境に苦しんでおり、中小企業の倒産なども相次いでいる。一帯一路への協力で中国から巨額の投資を呼び込み、経済活性化の起爆剤にしたいという思惑がある。ディマイオ副首相は「(一帯一路の覚書の署名は)我々にとって偉大なチャンスで、イタリア企業の輸出も拡大できる」と指摘する」(日経3月23日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42821150T20C19A3000000/

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習とコンテ首相

この習の横でにやけているのがジョゼッペ・コンテ首相で、去年5月24日に指名されたばかりの無名の弁護士にすぎませんでしたが、EU離脱を主張する政党「五つ星運動(M5S)」と極右政党「同盟」が推しています。
これでわかるように政治的出自としてはたぶん右派に属するはずですが、EU全体の意志とは無関係に一国で抜け駆けしてしまいました。

これでイタリアはEU圏第3位の経済規模を持ち、なおかつG7主要国の一角でありながら、恥も大分もなくチャイナ・マネーにしがみついたことになります。
もっともイタリアからすれば、去年から財政悪化が再燃してニッチもサッチも行かず、マネーと名がつけばなんでも飛びつく心境だったわけです。
その原因は、今まで何度か書いて来ましたが、EUという「黄金の檻」に閉じ込められて、独自の景気浮揚策を禁じられているからです。
財政拡大でテコ入れしようにも欧州財政収斂基準で緊縮財政を強いられ、金融緩和をしようにも長期金利を決定する権限は当該国中央銀行にはなくECB(欧州中央銀行)がガッチリ握っています。
これではイタリア政府は景気浮揚策がなにも出来ません。これはイタリアのみならず、張本人のドイツを除くすべての国の不満の対象でした。

このためデフォールト寸前までの事態に陥ったギリシャは、ドイツに対して第二次世界大戦中の賠償として36兆円を要求するということをして、はねつけられています。
ちなみに、ドイツが戦後賠償をしたのはユダヤ人に対してだけで、侵略したヨーロッパ各国には一切の賠償をしていないことが、これでもわかります。
韓国が好んで言う「ドイツは戦後保障をきちんと行ったのだ。日本も見習え」がウソだとわかりますね。

それはさておき、ギリシャは既に中国に同国最大のピレウス港を売却してしまっています。
このまま返済が滞るなら(たぶんそうなるでしょうが)、ギリシアは港湾、空港などの交通・海運インフラを中心にして虫食い状態になると思われます。

このギリシアと同じ窮状を抱えるイタリアは、「インフラ整備にカネを貸してやるから」という甘言に乗って覚書に署名してしまったのですが、中国への返済が滞ったら最後、スリランカのハンバントタ港同様にイタリアのインフラ運営権は中国にもっていかれることになるでしょう。
そうなった場合、中国は自由に軍港としても使える港湾を手にすることが可能となり、地中海における中国海軍の拠点を獲得出来ることになります。そして中国のみならず、「同盟国」ロシアまでが、それに合い乗ることになるでしょう。
EUの安全保障環境は根底から崩れかねないことになります。

実は欧州首脳会議で簡単に中国との覚書を交わさないようにしようという取り決めがあったのですが、イタリアは緊縮財政を押しつけるドイツとフランスへの当てつけからか公然とそれを破ったことになります。

最近では、このEUの基幹国をなす仏伊は険悪そのものの関係になっていて、とうとう今年2月にはフランスは大使召還に踏み切ってしまいました。大使召還は断交のひとつ前の措置ですからハンパではありません。

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                                    出典毎日新聞

そのきっかけは、イタリアの政権与党になった「五つ星運動」の党首であるディマイオ副首相(兼経済発展相)らがマクロン仏政権に対して黄色いベスト運動の幹部と会合を持ち支持を表明したことや、さらにはもう1人の副首相の「同盟」の党首のサルヴィーニ副首相がこの1月、仏国民が「ひどい大統領から逃れられるよう期待する」なんてやらかしてしまったためです。

元々、移民問題やフランスを中心とした 欧州委員会が、イタリア政府の新年度予算編成欧州財政収斂基準に適合しないとして拒否してしまったたことが響いています。
この時に、イタリア政府に対し「合意が成立しないならば制裁を科す」ともっとも強硬な態度でイタリア政府に接したのがフランス出身のEU経済・財務・税制担当のモスコビシ欧州委員であったことから、イタリアの反仏感情に火がついてしまったようです。

イタリア政府からすれば、「お前らはオレらをポビュリスト呼ばわりするが、正式な選挙で選ばれた一国の政府が編成した予算案を頭ごなしに潰すとはなんということだ」と怒り心頭に発したようです。
そしてマクロンに抵抗する黄色ベスト運動の指導者たちと面会して激励したというわけです。

さて一方のフランスのマクロンは、イタリアへの意趣返しというわけではないと思いますが、中国にとろかされたようなイタリアと対照的に対中姿勢を硬化させています。

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マクロン大統領 時事

「仏大統領「中国に甘い考え抱く時代終わった」 EU新戦略
欧州では近年、不公正な中国市場への不満や中国による欧州企業の買収などへの警戒が高まっている。5G整備では米国が中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)の排除を求めるが、加盟国には温度差もあり、対応は一様ではない。
 このため欧州委は先立つ12日、中国をパートナーであると同時に「競争相手」と位置づけ具体的な行動を盛り込んだ10項目の「戦略見解」を公表。首脳会議が議論の土台とした。フランスのマクロン大統領は22日、「欧州が(中国に)甘い考えを抱く時代は終わった」と強調した。
 ただ、中国との経済関係を重視する加盟国も多く、EUの結束維持は難しい。首脳会議ではイタリアの巨大経済圏構想「一帯一路」の覚書署名についても意見が交わされ、ドイツのメルケル首相は「差し当たり批判しないが、協調対応の方がはるかによいと、私らはこれまでに話し合ってきた」と不満をにじませた。
 3月22日、ブリュッセルで行われたEU首脳会議で、欧州委員会は域内市場を歪める他国の国有企業や国家補助への対処を年末までにまとめ、政府調達分野での互恵的な市場開放を求め、第5世代(5G)移動通信システム整備での安全保障確保のための共通の対策を取ることを決めました」(産経3月23日)
https://www.sankei.com/world/news/190323/wor1903230020-n1.html

ユンケル(力がつきそうな名前ですね)欧州委員長もこの欧州会議で、「中国はパートナーと同時にライバル。この状況に適応せねばならない」と述べて警戒感を隠していません。

このようなEUの他中国に対する脅威感は、単に米国の中国制裁になびいたというわけではなく 各国で急激に進むチャイナ・マネーによる浸食が表面化しているからです。

たとえばフランスでは、中国企業による投機的な農地買収が問題化していて、農地の高騰によりフランス人が土地を買えないという事態すら発生しています。

昨年8月には中国企業の農地買収への反対デモが起こり、マクロン大統領も「どんな目的かわからないまま、外国人に何百ヘクタールもの土地を買わせるわけにはいかない」と述べ、農地買収と外国人投資家に対する規制強化を打ち出しました。
https://www.news-postseven.com/archives/20180915_758056.html

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8月29日、フランス全土から集まった農業従事者100人ほどが、中国資本により土地が買収問題について反対するデモを行った(Guillame Souvant/AFP/Getty Images)大紀元

「仏で中国資本の投機的農地買収、デモで「中国人は出ていけ
農業従事者労働組合・フランス農家協会もデモに合わせて同日、「土地は農民たちの支えにより食糧を生産するものだ。しかし、中国資本はビジネスのためであり、世界的な株式に影響を及ぼす材料となっている」との声明を発表し、中国企業の投機目的による土地購入を批判した。同協会スポークスマンのローレン・ピナテル氏は「フランスの農民たちは中国企業の土地買い占めに本当に怒っている」と述べている。
この中国企業は2015年から翌年にかけて、同地域で総面積1600haの耕地を購入したうえに、2017年にはさらに900haの土地を買い増ししている。
 中国の投資家がフランスで購入するのは普通の農地だけでなく、ブドウ畑も含まれる。世界的に知られるワイン産地ボルドー地方では、7000あるブドウ農家のうち、140がアジア系企業に買収されているが、そのほとんどが中国資本だという。
 これらの中国企業は市場価格よりも高い値段で土地を購入し、周辺の土地価格の値段を釣り上げて、土地が値上がりするのを待って、転売するという手法をとっている。便宜的に小麦などを植えたりしているが、ほとんど収穫されていないという」(NEWSポストセブン2018年9月15日)
https://www.news-postseven.com/archives/20180915_758056.html

日本においても東京圏のマンションや北海道の水源地などを中心として不動産が中国の投機マネーによって買い漁られていることは知られていますが、フランスでは既に大規模に買い占めした後にそれを放置するといった実害が生じています。
それはチャイナ・マネーが国内の不動産市場が飽和したために、国外にまで食指を伸ばしているからですが、あくまでも彼らは投機目的でまともな農業経営をする気などさらさらないわけです。
これによってフランス人自慢のブドウ畑は瞬く間に荒れ果ててしまったそうです。罪作りなことよ。

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                           ロイター

ただしこのフランスに対しても中国は手を打っており、3月25日の習近平・マクロン会談では、中国がフランスのエアバス300機を購入することで合意し、中・仏が12億ユーロをかけてコンテナ船10隻を新たに建造することなどの大型契約が交わしたと発表されました。

「今回まとまった15件の商談には、欧州航空機大手エアバス(AIR.PA)の航空機300機を購入する推定300億ユーロの契約が含まれた。他には、再生可能エネルギーや海運、銀行部門で契約が締結された。マクロン氏によると、中国側はフランス産鶏肉の輸入解禁に合意した。
マクロン大統領は貿易やハイテク産業で存在感を強める中国に対抗するため、欧州の結束を促す考えも示した。習主席との共同会見でマクロン氏は「欧州は結束し、首尾一貫したメッセージを発するべきだ。われわれは戦略的投資でそれを実行している」と述べた」(ロイター3月26日)

共同会見でマクロンは「エアバスの巨大な契約という今日の成果は重要な進展だ」と述べて歓迎しましたが、同時に「欧州は結束してメッセーシを送るべきだ」とも言っていて、中国に釘を刺すのを忘れませんでした。
これは習は厳しいことを言われそうな国を訪問する場合、あらかじめ大型商談を持ちかけるのが定石だからです。

2017年11月の訪米時にはボーイングから300機買うと大口を叩きましたが、それは実は2013年からの契約済みの数を入れていただけだったというオチかついて、かえってトランプを怒らせてしまいました。
ですからこのエアバスの爆買いも、履行されるかどうかはわかったもんじゃありません。

とまれ中国は札束で頬を叩くようにしてイタリアをヘタリアにしてしまい、ギリシアと並んでEU攻略の拠点を得たことになります。
しかし、それがいっそう強くEUの対中警戒感を強めたのも事実ではあります。
とうぶんヨーロッパをめぐる攻防は続くことでしょう。

 

 

 

 

 

2019年3月27日 (水)

デニー知事「代替案を出す」と言い出す

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デニー知事が方針転換すると言いだしました。それを報じる朝日です。

「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、沖縄県の玉城デニー知事は、新年度から辺野古移設に代わる案の検討を始める。県政課題に関する諮問会議の中で、政府OBら専門家に協議してもらう。「代替案は政府が考えるもの」としていた前県政の方針を転換する。
 2月の県民投票で辺野古の埋め立て反対が7割を超えたが、安倍政権は辺野古移設に固執し、工事を進め続けている。県幹部は「政府と交渉するための意見をまとめたい」と話す。
玉城知事が4月に立ち上げる諮問会議は「万国津梁(ばんこくしんりょう)会議」。基地問題もテーマで、辺野古移設問題も議論する。県幹部によると、協議内容は米海兵隊の運用や移転先などを想定。議論を進める中で、辺野古移設の代替案を検討する考えだ」(朝日3月27日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190327-00000002-asahi-pol

デニー知事が移設反対派の基本戦略だった、反対は大声で叫ぶが、具体的に普天間基地の移設先は政府が考えるものだという奇妙なタブーを破ったことは、率直に評価します。
この方針転換は何らかの変化の兆しと捉えてよいのか迷うところですが、悪くはないトライアルです。

デニー知事がこの方針転換に踏み切った背景には、自分が主導した県民投票が思惑をはずれてしまったことにあります。
おそらくデニー氏は投票率6割程度を確保し、うち反対票が8割を超えるていどを目指していたと思いますが、如何せん投票率が5割を切りきりかねない危険ラインでした。
税金を1億5千万突っ込み、あれだけ連日テレビをつければうるさいほどの大宣伝、公職選挙法が適用されたなら違反だらけの官製「選挙」をして、このていたらくです。
そしてなんのことはない、さきほど引用した朝日を代表にいくらメディアが県外に対して「反対が7割に達した」とタイコを叩いてみても、県民には反対派の実態が7割どころかわずか37%だとバレてしまいました。

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週刊金曜日最新号表紙

そしてもひとつ県民投票によって白日の下にさらけ出されたのは、反対派の最大の弱点であった「普天間基地をこのままにしておいてよいのか」というメーンテーマについて、県民が認識することになってしまったことです。
これは反対派にとっては大いに痛かったはずです。痛かったので、なおさら「7割の民意」というフェークを強く言うようになっています。

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沖縄タイムス2016年12月12日

というのは、移設反対派は普天間移設と辺野古移設を切断して、まるで別個な問題であるかのように見せかけるのが基本戦略だったからです。
もちろん別な問題どころか、普天間基地の行く先を決めるためにSACO(日米特別行動委員会)が設けられたのですし、名護市が受け入れに当たって徹底して地元自治体や関係業者の意見を取り入れて辺野古移設現行案が決まったわけです。

よく強権的に海を埋め立てているという人がいますが、とんでもない。腰が引けた政府が沖縄をまるで腫れ物に触るように扱った結果、20年間も空費してしまっただけのことです。
これは普天間基地が確保されていて十全に機能しているから、ことさら動きたくはないという海兵隊の思惑にも合致していました。
政府は腰が引け、海兵隊の本音も動きたくない、だから国策でありながら20年以上も引っ張ったのです。

このような経過を一切無視して、「普天間は危険だから移設しろ」という要求と、本来はそれと切り離すことができないはずの「辺野古移設にも反対」、その上に「代替案は政府が考えろ」では話にならないではありませんか。
これでは事実上、普天間移設についての国と県が真面目に協議をしないと言っているに等しいのです。

しかし皮肉にも、切り札として出したはずの県民投票において、賛成反対の2択に絞ってしまったことによって、移設反対派が実は何を隠して来たのか、どうして隠したいのかを暴露してしまう結果になってしまいました。

このまま県が代替案すら拒んだまま推移すると、政府は「これでは移設が浮遊してしまう」(岩屋防衛相)というしごく当然の理由で埋立を続行することになります。
あるいは県の主張を取り入れるならば、普天間基地移設は白紙化されて終了となります。
どちらも地獄だ、ということにやっとデニー知事は気がついたのかもしれません。

憶測ですが、官邸サイドは頻繁にデニー知事と面談することによって、反対のための反対なら膠着したままで工事を続行するしかありませんが、具体的協議ならば歓迎しますよ、というシグナルを伝えたと思われます。
とまれ、移設反対派の知事から公式に「代替案」がでてくるということは、なんらかのたたき台が登場するということですから、反対のための反対よりは百倍はましです。

ただし、哀しくや彼ら移設反対派の陣営内でまとまらないでしょうね。
まず移設反対派は県内代替案は完全拒否のはずだからです。あらゆる県内候補はSACOで検討しつくされて却下されてきています。
あえて言えば、ハンセン陸上案(小川案)や勝連沖合案(エルドリッヂ案)、あるいは嘉手納統合案などがあることはありますが、県内案であるかぎりオール沖縄に拒否されてお終いです。

ま、残念ながら無理でしょう。

仮に万国津梁会議とやらでこのような県内代替案が出たとしても、カリスマ性からほど遠いデニー氏が一本にまとめきれるとは思えません。
故翁長氏はそれがわかっていたからこそ、得意の腹芸を封印し、一貫して代替案を口にしなかったのです。

となると現時点で唯一の具体的代替案らしきものは、小川和久氏をして「情報格差」とまでいわしめた前泊博盛氏の長崎県案ていどしかなくなります。
これは既に本土ではとっくに相手にされなくなっているレトロな軍事知識の産物にすぎません。
こんな浅薄な案がもっともらしく通用するのは県内だけで、政府は軽く一蹴するでしょう。

とまれ、結果まで考えるとどうしても悲観的にならざるをえないのですが、デニー知事にいささかの合理的思考が残っていたことは嬉しい限りです。

 

 

2019年3月26日 (火)

トランプのロシア疑惑は証拠はないが疑惑は残るですって?

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あいかわらずニフティは不安定なようで、とくにスマホ版は縦横比率がくるって間延びしているうえに、たまにそのようなサイトはありません、などと馬鹿を言っているようです。PC版も昨夜は長時間デザインがおかしくなっていたようで、ご迷惑をおかけしました。
もういいかげん復旧するとおもいますので、ニフティの馬鹿め、いいかげんにせぇやと呪ってやって下さい。しばらくご辛抱のほどをお願いします。

さてトランプとロシアの大統領選挙共謀疑惑について調査していたモラー特別検察官が最終報告をまとめました。
原文https://judiciary.house.gov/sites/democrats.judiciary.house.gov/files/documents/AG%20March%2024%202019%20Letter%20to%20House%20and%20Senate%20Judiciary%20Committees.pdf

「2016年の米大統領選に対するロシア介入疑惑を捜査したモラー特別検察官は、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠はないとする一方、トランプ大統領による司法妨害の可能性に関しては潔白であるかどうか結論を出さなかった。特別検察官が先に司法省に提出した報告書の内容として、バー司法長官が24日に明らかにした。
バー長官自身は、捜査で得られた証拠では司法妨害を立証できないとの判断を示した。
  バー長官は議会への4ページの書簡でモラー氏の報告書について、司法妨害の「問題の双方の側面について証拠を見つけ」ており、「特別検察官が法律上の難題とした部分は未解決となっている」と説明。
同報告書でモラー氏が「この報告書はトランプ大統領が罪を犯したと結論付けていないが、大統領の潔白を証明するものでもない」と判断したことを明らかにした」(ブルームバーク3月25日)https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-24/POVZGF6JIJUO01

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左からモラー特別検察官、バー司法長官、トランプ大統領 ブルームバーク前掲

常識的に考えて、このロシア疑惑はこれで終了です。理由は大変に単純で、「証拠がなかった」と検察官が述べる以上、立証出来なかったのですからオシマイです。

「バー長官は16年のロシアとの共謀の疑いについて、「ロシアに関係した個人がトランプ陣営に複数回、支援を申し出たことはあったものの、特別検察官はトランプ陣営ないし陣営に関係する者がこれらの企てでロシア政府と共謀ないし連携したとの判断に至ることはなかった」と説明した」(ブルームバーク前掲)

つまり、ロシアが直接にトランプ陣営に何らかの支援を証拠は見つからず、ロシアに関係した個人が支援を申し出たがこれが、大統領選に影響をもたらた証拠は見つからなかったということなります。

そもそもモラーがおかしな「余韻」を残した言い方をするからおかしくなります。
一貫して証拠があるならある、ないならないで通すべきでした。
それを「証拠はないが、結論は出なかった」などという矛盾したことを口にするからおかしくなります。

このようなことを言えば、モラー発言の前段の「証拠はなかった」に着目すれば無実だったとなりますし、後段を強調すれば「疑惑は残った」ということになります。
日本人好みというとナンですが、どっちの顔も立てたい場合、わが民族がやりがちな悪癖です。

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ナドラー下院司法委員長(民主)

もちろん米国下院で多数を握る民主党は、政局がらみで後段に着目しました。

 

「民主党議員らは同党が進めている調査に必要だとして、報告書全文および根拠となる証拠を開示するよう求めている。ペロシ下院議長とシューマー民主党上院院内総務は24日の共同声明で、「米国民には知る権利がある」と主張した。
ナドラー下院司法委員長(民主)はツイッター投稿で、「モラー氏が大統領の潔白を結論付けることのなかった報告書を受けて司法省が下した最終判断と、非常に懸念される食い違いを踏まえて、われわれはバー長官を証人として喚問するだろう」と述べた」(ブルームバーク前掲)

 

これでは米国民主党は、「疑惑の証拠はないが疑惑は残るから追及を強めていく」という、非常に聞いたことがある論法を使っていることになります。
あのおぞましいモリカケ論法です。

これは最凶最悪の論法で、なにせ疑惑をかけられたら最後、私はなにもしていませんという証拠を自ら集めて無罪を証明せねばならなくなります。
このような論法は、現代司法では許されていません。
そりゃそうです。検事が被疑者に嫌疑をかけて証拠もろくすっぽ開示せずに、「おいお前、無罪を主張するならその証拠を集めてきな」というようなものだからです。

中世の魔女裁判のようなもので、異端審問官からお前は魔女だと言われたら最後、そうではないと証明するには灼熱の鉄棒を握って見せねばならなくなります。
潔白を証明することができなければ有罪なのですから、なんともかとも。
あるいは江戸時代のお白州よろしく、自分が犯人でしたと自白するまで延々と拷問にかけられます。
これによって初めから司法が予見を持って捜査する「見込み捜査」や自白主義が生まれました。
また物証よりも自白を重んじる風潮のために拷問の温床ともなりました。
この反省から、現代の刑事訴訟法は生まれたはずでした。

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出典不明

さすがに現代司法ではこのような方法は違法となりましたが、いまでもこの悪しき「見込み捜査」的手法がおくめんもなく生き残っているのが政治の世界です。
それは検事役にメディアや野党が座ってしまったからです。

彼らは事実のみに依拠するのではなく、あらかじめ貶めたい対象に対して証拠ともいえない報道を繰り返すことによって一定の印象を植えつけました。
延々と鵜の目鷹の目でモリカケ「疑惑」を漁ったあげく、なんの証拠もみつかからなくても「疑惑は残り続けている」のですから、まるで永久動力機関ですな。
そしてこの歪曲報道を頼りにして、自分はなんの調査能力もない野党議員がハネるのですから、議会は崩壊学級と化しました。
それも1年以上に渡って、真に討議すべき重要案件をそっちのけにして。

このようなことは、民主主義の未成熟の証だと恥じるべきです。

 

 

 

2019年3月25日 (月)

デニー知事が蒸し返した一国二制度

 


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さほどの皮肉でもなく、この人面白いですね。いやなにデニー知事のことてす。慎重に一線を超えなかった故翁長氏とはえらい違いです。

応援団の朝日新聞系だという気安さから、デニー知事はアエラ(3月5日)で、おいおい知事の立場でこんなこと言っていいのかと心配するくらい軽快にしゃべりまくっています。
https://dot.asahi.com/aera/2019030400061.html?page=1



「多くの県民が望むのは、政府から『これだけの財源と権限で沖縄の行政をしっかりやって下さい』と任される一国二制度です。沖縄の地理的優位性を生かして、アジアに向けた日本の玄関口、日本の中のアジアのフロントランナーとしての位置づけを明確にしたい」
 中国からも東南アジアからも近い沖縄を経済や文化交流の中心にする──。玉城知事はさらに続ける。
「例えば沖縄にいる自衛隊が、アジア各地の災害に真っ先に駆けつけるという存在になれば、諸外国から信頼と安心感を持って受け止められるでしょう。独特な歴史、文化、地理的特性をもっている沖縄だからこそ、一国二制度に移行すれば日本にとっても沖縄にとっても将来展望がより広がると思います」(アエラ3月5日)


なんだデニーさん、やっぱり一国二制度を言っているじゃありませんか(苦笑)。


「玉城氏が今年(2018年)5月の衆院内閣委員会で、安倍晋三首相に質疑を行った際の一場面だ。玉城氏は次の言葉で質問を締めくくった。 「最後に総理に要望を申しつけたいと思います。
沖縄を『一国二制度』にして関税をゼロにし、消費税をゼロにする。そのぐらい大胆な沖縄の将来を見越したそういう提案もぜひ行っていただきたい」(ZAKZAK有本香2018年9月28日)https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180928/soc1809280011-n1.html


選挙戦時には、デニー陣営は必死にこれを打ち消していて、デマだとまで言っていましたが、国会議事録にも乗っているようですし、知事になって口が軽くなったのか、アエラでやらかしてしまいました。

選挙戦の時は、アレもデマ、コレもデマと決めつけていましたが、知事になったとたんこれですから脇が甘いことです。

まぁ口の軽さが彼の「魅力」でもあり、反面命とりにもなるような気がします。

「一国二制度」を定義すればこのようなことです。

 


一国の中に、政治制度・経済制度の 根本的に異なる地域が複数ある状態」 、
日本に引きつければ

日本国の主権下にありながら、政治制度と経済的独立を持つ一定「領土」と「国民」を持つ沖縄地域

この一国二制度自体は、とりたてて新しい思いつきではありません。それどころか1997年に香港が中国に施政権が委譲されて以来、さんざん中国政府のいいように使われていた陳腐なプランでしかありません。

今どき、世界でもこんなシロモノをさも新しげに引っ張りだすのは、デニー氏くらいなものです。

 


「国際関係及び軍事防御以外の全ての事柄において高度な自治権を有することを規定している。なおこの自治権は中国中央指導部の委任・承認に基づき地方を運営する権限であり、完全な自治権、地方分権的なものではないとされる(2014年6月10日中国国務院白書)」Wikipedia香港

 


内実は「高度の自治」どころか、中国共産党が香港の完全支配を完了するまでの眼くらましとして考えられたプランにすぎません。

 


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雨傘革命  http://com21.jp/archives/21988

雨傘運動は、中国政府による香港市民の政治的自由を制限しようとする抗議行動として始まりました。その期間は実に2014年9月から79日間も続き、その間の逮捕者は、955人に達しました。また事後逮捕も、指導的人物らが48人が逮捕されています。


立法議会への立候補者は、中国共産党の実質的支配下にある香港行政府が事前審査し、立候補資格を決定します。

ですから、中国政府の対香港政策を批判したりするような言辞をする候補は、そもそも選挙にすら出馬できません。

 


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立候補を認めないとする選管の通知書を手にする民主派候補https://withnews.jp/article/f0181220000qq000000000...



ある女性候補は「香港の将来の政治体制は独立を含めて香港人が決める」という立場をとっていました。これは自分たちが将来を決める立場なことからから「自決」と呼ばれ、香港の若者の間では多くの支持を得ています。


「香港の選管は10月中旬、劉さんの立候補を認めないという決定をしました。「劉さんは香港独立を選択肢の一つにしており、香港は中国の一部という規定を受け入れていない」と判断したからです。劉さん自身は立候補の直前、香港独立を支持しないと明言しましたが、それでも過去の主張が問題視されました」(益満雄一郎2018年12月20日)

 


これは一般的に日本人が考えてしまうような親中派か反中派かというレベルの問題ではなく、民主主義の根幹である自由選挙制度を守るか否かの戦いでした。

このような香港での一国二制度の現実を知ってか知らずか、こんな制度を日本に導入しろ、というのがデニー知事の提案のようです。日頃「沖縄の自決権」とか「琉球独立」などと言っている人たちが、この中国発祥の制度のシンパサイザーであることは皮肉です。


 


いや待てよ、デニー知事はこうも言っているではないかという声も聞こえます。

「一方で、日本からの独立は全く頭にないという。「我々はウチナーンチュであると同時に、日本人なのです」(アエラ前掲)


デニーさん、あたりまえのことをもったいぶって言いなさんな。沖縄県民が日本人でなければ、いったいなんなのです。

なるほど、デニー知事が提唱する一国二制度の受け皿は、現在は日本国である以上、中国と違って民主的諸権利は確保されています。

したがって、デニー氏はこう言いたいようです。

「本土の皆さんが危惧するような琉球独立は考えていませんよ。沖縄全県を特別区にしてほしいだけです、その手始めに消費税の免除なんかいかがでしょうか」と聞こえるようにしゃべっています。

ほんとうにそうでしょうか?

お米の炊き方ではありませんが、初めチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いても蓋とるなではありませんが、初めは消費税減免程度で本土政府の顔色をうかがって、しばらくすれば法外な要求をすることになるのは目に見えています。

というのは、現時点でのデニー知事の一国二制度には原型があるからです。かつての民主党が政権交代直前に出した、2008年「民主党・沖縄ビジョン」がデニー氏の元ネタです。

この「沖縄ビジョン」には、当時民主党沖縄県連の有力国会議員だったデニー氏が強く関与していました。

そこには、狭い地域一都市ではなく、一県丸ごと自由化特区にするということが書き込まれています。

そしてアジア情勢とは無関係に、米軍基地を一方的縮小することを提唱しています。

今回、デニー氏はこんなことを言っています。


 


「例えば沖縄にいる自衛隊が、アジア各地の災害に真っ先に駆けつけるという存在になれば、諸外国から信頼と安心感を持って受け止められるでしょう。独特な歴史、文化、地理的特性をもっている沖縄だからこそ、一国二制度に移行すれば日本にとっても沖縄にとっても将来展望がより広がると思います」」(アエラ前掲)

 



やれやれ、こんなていどの安全保障の理解度で国会議員やっていたのですからね。真面目に対応するのがばかばかしくなります。

自衛隊が沖縄に配備されている一義的目的は、沖縄の安全保障を守ることにあります。

アジアの災害に真っ先に駆けつけることは、自衛隊に余裕がある状況における付帯任務でしかありません。

そもそも海外の災害派遣といっても沖縄の部隊が対応するという決めはなく、全国でそれに適した部隊が命じられます。たとえば輸送には小牧のC130部隊、捜索・復旧には各旅団の施設科中隊が送られることになるでしょう。

しかしそれもあくまでも国防が主であって、救援隊は従です。

デニー氏が言う「諸外国からの信頼と安心感」は、災害援助をして初めて得られるのではなく、アジアの安全保障環境の一角を担って安定させているからこそ得られるのです。

そんなことは、沖縄の隣の島国の台湾やフィリピンに行けばすぐにわかることです。

これでわかるようにデニー氏は、自衛隊という国防組織を、国の安全保障をアジアの視野で捉えておらず、「大戦中に悪行を働いた日本が、自衛隊を災害派遣することで贖罪できる」とでも考えているようです。

このような安全保障に対する幼稚な考え方は、野党に共通のものですが、共産党の自衛隊違憲解体論と五十歩百歩です。

それはさておき、民主党沖縄ビジョンは、米軍基地の一方的縮小や移民の大量導入、外国人参政権付与、ビザの免除による東アジアとの人的交流の促進、中国語の学習の活発化などをうたっています。

デニー氏は「アジアに向けた日本の玄関口」という言い方をしますが、ここで想定しているのはもちろん中国です。 沖縄ビジョンでは中国から大量の移民に門戸開放すると書かれています。

沖縄の人口は約130万人。しかも大量の失業者、半失業者がいるこの狭い島に中国を中心として年間3000万人受け入れようというのですから、正気の沙汰ではありません。

民主党政権時に、この一国二制度が実施されていたら、現況で7千人から1万人以上と言われる中国人居住者はその数十倍に膨れ上がり、この狭い島は事実上「中国人の島」と化していたことでしょう。

そして民主党は同時に外国人参政権を推進しようとしていました。デニー氏はこの推進派のひとりでした。

沖縄ビジョンが実体化して大量移民が実現してしまい、さらにはその移民に参政権が与えられた場合、米国に実例があるように中国人は自らの議員を各級議会に送り出し、さらには知事の椅子に座らせたことになったかもしれません。

言い換えれば、かつての民主党沖縄ビジョンは、中国人による沖縄乗っ取り推進案とでも言うべき性格をもっていたわけです。

民主党が3年半で政権から転がり落ちたことは、沖縄にとってまことに幸いでした。

と思っていたら、デニー知事がまたぞろ民主党沖縄ビジョンの亡霊を蘇らせようと言い出したのですから、まったくやれやれです。

 


この一国二制度もまた、政府が呑む可能性はゼロです。

しかしかデニー氏個人がいかに自分は「日本人だ」と考えていても、ひとたびこのような制度的枠組みを作ってしまえば、枠組み自体は残ります。

その場合、県条例がそのまま沖縄県の内政そのものとなるような「高度の自治権」の前段階に到達することになります。

今までどおり財政基盤は本土政府にべったり依存しながら、好き放題の「内政」をすることが可能なのですから、こたえられません。

たとえば、アイヌ新法をより過激化させた沖縄民族先住民法などを県条例で作って施行することも、県民直接投票を現状のように法的裏付けをもたない形から、行政化できるような法改正も自由自在に出来るようになります。

本来の一国二制度は、国防と外交は国の専管事項で県は関与出来ない建前ですが、現状でも米国との安保協議に沖縄を加えろと言ってみたり、在米沖縄大使館まで作ってしまっているていたらくですから、なにをかいわんやです。

ただし、カネだけは今までどおりに出せよ、というのですからそのダブスタぶりには呆れます。

世界で独立を目指す地域はスコットランドやカタルーニャ、あるいはクルドにしても、しっかりした経済基盤を持った地域です。

だから中央政府から独立しようと望むのであって、経済的自立にほど遠い沖縄が独立国の夢を見てどうするのかと思います。

こんなハンパな「独立国」は、やがて中国圏へと急速に引き込まれ、日本ではなく中国による一国二制度の支配に置かれるようになることでしょう。

現状では、例によってデニー知事の一国二制度案は机上の空論にすぎません。

いや机上ですらありません。県政与党の議論のテーブルにすら登っていないからです。

私たちとしては、この愚論がどのように県政与党に受け止められていくのか、慎重に観察するとにいたしましょう。

               

2019年3月24日 (日)

日曜写真館 記憶の村




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2019年3月23日 (土)

デニー知事の乱れ撃ち

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どうもこの人物は考えが足りないようです。
着々と進む移設事業に対して、数撃ちゃ当たるとでも思っているのか、ともかく練れていないから困ります。 パッと作って思い立ったらすぐに口にして、それをいきなり政府に向かって生煮えのまま投げつけてくるという按配で、このあたりは前任者の故翁長氏がやるやるといっていっかな腰を上げなかったこととは大違いです。
たとえば山路さんもふれておられましたが、県が上告を断念する代わりに、国は工事を一時中断しろというものです。
「玉城デニー沖縄県知事は19日に官邸で行われた安倍晋三首相との会談で、上告中の辺野古海域の岩礁破砕を巡る訴訟を取り下げる考えを伝えた。辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問うた県民投票で示された反対の民意を背に、異例の頻度ともいえる今月2回目となった会談で、まずは県側から“譲歩”のカードを出した。同時に工事をいったん中止するよう安倍首相に再考を迫ったが明確な回答はなく、土砂投入が止まるのかは不透明なままだ」(琉球新報3月20日)https://ryukyushimpo.jp/news/entry-891153.html
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                     日刊ゲンダイ
思わずこのご仁どうかしちゃったんじゃないと思いました。こんな提案が、政府と県政の双方から拒否されるのはわかりきったことです。
政府は最高裁判決という動かない判例の裏付けに基づいて、県がいくら乱訴しようとことごとく勝利して当然だと思っています。
多少心配が残るとすれば、主文で国の言い分を認めた後に、裁判官の見解としておかしな妥協案を添付してくることくらいでしょうか。
負ける可能性が限りなくゼロの裁判沙汰に、工事中断という代償を支払う必要などありえない以上、岩屋防衛大臣はにべもなくこう述べています。
「この問題が仮に再び漂流するということになれば、普天間飛行場は間違いなく固定化する」と答弁した。行き着く先が辺野古移設か普天間固定化しかないとの考えを色濃くにじませた」(琉新前掲)
岩屋さんはいい得て妙です。まさに「漂流することになれば普天間基地は固定化される」のです。政府が妥協する余地は、候補地が決まる時点でとっくに終了しています。
せいぜいが故翁長氏との「和解」期間だけが、あるいはひょっとしてと思わせる最後のチャンスでした。
それも県側の新たな現実的提案があってのことです。
一方県政与党、つまり共産党などはふざけるなといたくお怒りのようです。
「これに対するする事前通告がなかったことに不信感を募らせた与党3会派の代表者らは19日夕、謝花喜一郎副知事を呼んで経緯の説明を求めた。謝花副知事は「昨年から弁護士と協議し、知事も上告を取り下げた方が良いと考えていた」と明かしたが、与党幹部は「我々の後ろには県民の闘いがあり、世論があり、選挙がある。重大なことを、なぜ相談しないのか」と反発した」(琉新前掲)
まぁ「我らの後ろには世論がある」といっても、たかだか県民投票の反対票37%程度ですがね。
それはともかくこの怒りももっともで、誰がタレント政治家でしかないデニー氏を知事の椅子に座らせたんだ、オレらではないか、その恩人に一言の相談もなく、こんな大事を政府に提案するのか、バカヤロー、と言ったところです。
県政与党としては、思いどおりに動いてくれずに、余計なことばかりするこのパペットに苛立ちを隠せないようです。
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      デニー知事と謝花副知事  時事
政府はデニー知事の意図を見抜いています。それはデニー側の政治的意図が、「話あいを求める沖縄県vs話あいに応ぜず工事を強行する政府」という構図を作りたいのだと見破っています。
琉新も分かっているのか、デニー知事の意図を政府関係者の口を借りて妙に突き放して伝えています。
「首相が対話に応じないことを目立たせるカードとして使った方が有効だと判断したんだろう」(琉球新前掲)
まぁそのとおりで、首相はまめにデニー知事との面談に応じることで沖縄県との対話の扉はいつでも開かれていますが、できないことはできませんよ、と言っているだけのことです。
その上で、政治の素人同然のデニー氏が、県政与党陣営から愛想を尽かされて、やがてじんわりと旧オール沖縄陣営から浮き上がるのを待っているように思われます。
あまりそうは思われていなようですが、安倍氏は本質的に「待ち」の政治家です。
とくになにかを仕掛けるではなく、淡々と決められたことをこなしながら、当たりよくデニー知事と対応しつつ、なんの理念も展望もないデニー知事をオール沖縄陣営から引きはがそうとしているようにも見えます。
ただし、当人も自覚できないほど時間をかけてゆっくりとですが。
それはさておき、同時期にデニー知事はこんな提案もしています。
SACOの焼き直しに沖縄県を加えたSACWO(SACO With Okinawa)作れということのです。これも、県政与党とどこまて詰めた話なのかはなはだ疑問です。これもおそらくは練れていません。
Sacwo
「沖縄県の玉城デニー知事が提案した協議機関「SACO With Okinawa(SACWO)」。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)に、沖縄県を加えた話し合いの場として機能する新しい機関として期待される。提案が日米の専門家から支持される中、現政権での設置に懸念の声も出ている」
(アエラ2019年3月13日 図版も同じ)
https://dot.asahi.com/aera/2019031200044.html?page=1
SACO(沖縄に関する特別行動委員会)を押えておきましょう。
「Special Action Committee on Okinawa 沖縄の米軍基地の整理・縮小等を協議した日米両国政府による委員会。1995年設置、1996年12月に最終報告を取りまとめた。沖縄に関する特別行動委員会」(コトバンク)
普天間基地の移設を決めたことでSACOは1996年に最終報告を出して過去の遺物になっていますが、その埃を払って新たに沖縄県を加えた協議会を作れということのようです。
政府がこの案に同意することはありえません。
それは国家の専管事項である国防問題に、県が協議の場に出る事自体がありえないことだからです。仮にハト氏のような人物がこの枠組みに沖縄県を招いたとしても、米国政府と米軍は拒否するでしょう。
このような移設合意の枠組みに地方自治体を参加させることは、必ず混乱を招くが故に悪しき前例にしかならないからです。
そのうえにこれはデニー氏の個人的パーフォーマンス以上でも以下でもないことは、県政与党も分かっています。
1997~2000年に外務省から沖縄県に出向していた山田文比古・東京外国語大学教授は県政与党の胸の内をこう述べています。

「仮に官邸や外務省・防衛省の高官、駐日大使、在日米軍トップなどが加わるハイレベルの協議会設置が実現した場合も、「日米両政府は従来の県内移設という基本方針を変えて臨むとは考えにくい」とし、「下手をすると、沖縄側もその枠内に引き込まれてしまうのでは」と危惧する」(アエラ前掲)
つまりは政府からも県政与党野どちらからも拒否されて、いっそうデニー・謝花コンビは孤立を深めるということになりそうです。
もう一点、デニー知事はアエラで一国二制度も口にしているのですが、これら二つ以上にお菓子系発言なので、別の機会に回します。
                                                            ~~~~~~~~~
■ニフティが完全に復旧していません。時々画面がまったくちがうものになったり、接続ができないことがあります。
スマホ版もおかしなものが続いています。とくに写真ノアスペトク比が異常です。
制作では改行が出来ない状態が続き、そのうえにコピペができないという異常事態が修復されていない状況です。そのためにベタ打ちとなっていますが、ご了承下さい。
だましだましやっているというのが現状ですが、なにとぞご理解のほどを。
■コメントが入らない、スパムとされてしまうという声が多くでています。もうしわけありません。できるだけの努力をしております。

2019年3月22日 (金)

北朝鮮の契約不履行でふり出しに戻った朝鮮半島情勢

 

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おそろしいまで使いにくくなった管理画面で書いています。ここまで全面的に書き込みフォーマットを改変するなら、もっと丁寧なフォローが欲しいものです。老舗にあぐらをかいてユーザーをないがしろにするニフティです。

さて福島事故について整理をしている間に、北朝鮮情勢が動きました。いや、急速に元の場所に「戻った」と評するべきでしょうか。

「[ソウル 15日 ロイター] - ロシアのタス通信によると、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は15日、北朝鮮は米国との核協議を停止することを検討していると述べた。平壌での記者会見で、北朝鮮は米国の要求に屈するつもりも、そのような交渉を持つつもりもないと語ったという」(ロイター3月15日)
https://jp.reuters.com/article/north-kora-nuclear-talk-idJPKCN1QW0DV

このオバさん外務次官が本気かどうかわかりませんが、「米国の要求に応じる交渉はしない」とのことです。これを額面どおりにとったら、この間のディールは文字通りシューリョウです。

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 いつも怒っているかユーウツそうなチェソンヒ外務次官 時事通信

ただし、これが北の本気かどうかは一概には計りきれません。こんなアブナイ発言をしたのは、「北の危険なオバさん外交官」(私命名)ことチェ・ソンヒ外務次官だからですが、彼女は去年のシンガポール会談の前にも米国を不必要に挑発する発言をした人です。

思い出していただきたいのですが、シンガポール会談直前にトランプが「もう止めだ。中止、中止」と言い出したことがありましたが、そのきっかけを作ったのが、この人です。

その直接のきっかけは、事前協議の責任者であったチェの、「副大統領は馬鹿間抜け」、「核対核で対決」でしたから、鋼鉄製の心臓です。北との拉致問題協議を求めて、非難決議をネグるようなどこかの国のひ弱な外交官にも少しおすそ分けして欲しいほどです。

このチェの役割はおそらく北の本音をあからさまに言うことだと思われます。

「北朝鮮の崔善姫外務次官は24日、ペンス米副大統領が米メディアに「北朝鮮がリビアの轍(てつ)を踏むことになる」と語り、合意に応じなければ体制転換もあり得ると示唆したと批判。
米国がわれわれと会談場で会うか、『核対核の対決』で会うかは、全面的に米国の決心と行動に懸かっている」と述べ、米国をけん制していた。
ポンペオ国務長官は24日、上院外交委員会の公聴会で、北朝鮮の最近の発言を「残念に思う」と強調。また、北朝鮮側から返事もなく、首脳会談の準備ができなかったと明らかにした。ロイター通信によると、米政府当局者は、ペンス氏批判が中止判断の決定打になったとの見方を示した」(時事通信5月25日)

チェは北朝鮮政府は「米国に対話してほしいとお願いなどしないし、会談に出席するよう説得もしない」(BBC5月24日)とまで言い切っています。

これだけのことをひとり独裁国家の北が、一外交官に言わせるとは思えないので、チェの役割は本音で米国を攻めて、ハードルを持ち上げるだけ持ち上げて、ボスが本番でそれを多少マイルドに落としてみせるということのようです。

もうダメだ、もうオシマイ、さぁ戦争だ、戦争だ。困るのはお前らだ、と叫んで妥協を引き出そうとする北の伝統的瀬戸際戦術です。

結局、今回のハノイ会談はこのてをあっけなく見破られて、交渉の席を蹴られてしまいました。この失敗で粛清されるかと思いきや意気軒昂なご様子ですから、北も対米外交の人材不足なのでしょうか。

で、またぞろ飽きもせずに瀬戸際戦術です。チェが元気よく「もう交渉なんかしない」とハネています。

そして今度は後ろでは核ミサイルの開発が継続されています。そもそも北はハノイ会談の核弾道ミサイルの開発を停止したことはありませんでした。

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「(CNN) 国連安全保障理事会はこのほど、機密報告書の中で北朝鮮について、国内の核・ミサイル兵器を移動させて米軍による攻撃を受けないよう隠していると指摘した。
半年ごとにまとめられるこの報告書によると、北朝鮮は核・ミサイル開発プログラムを依然継続しており、その姿勢に変化は見られない。トランプ米大統領は先週、北朝鮮との非核化を巡る交渉について「ものすごく進展している」と明言。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との2度目の米朝首脳会談も、月内に開催される見通しとなっている。
国連当局者の1人は、報告書について「北朝鮮が一貫した傾向のもとで核・ミサイル兵器の製造、保管、試験のための施設を分散させている証拠を示すものだ」と述べた」(CNN2019年2月6日 画像も)

つまり北は、チェに「交渉は終了だ。米国の要求に応じる気はない」と言わせ、もう一方で平然と長距離核ミサイルの開発を続行していたことになります。
これによって、昨年6月の米朝合意は北の一方的な契約不履行により、白紙化したと見てかまわないと思います。ちなみに遠い過去のような気がするのが不思議ですか、シンガポール合意とはこんな内容でした。
「2 米国と北朝鮮は、朝鮮半島の持続的で安定した平和体制の構築に共に取り組む。
3 2018年4月27日の板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化
に向け取り組む」
この米朝合意は契約事務における双務条項という性格のものです。北が核を放棄するならば、米国は北の安全を保証し、体制変更は求めないということで、一方がそれを廃棄した場合、一方はそれ自動的に廃棄できます。履行する義務はすべて義務を怠った北にあると解釈されます。

ビジネスマンのトランプは今まで無数の契約書を作ったでしょうから、この米朝合意(米朝契約)がそのようなものだと百も承知で作ったはずです。

言い換えれば、ハノイ会談以後の状況は、ただシンガポール会談時点に戻ったのではなく、更にその前の状態に復帰してしまったということです。

「シンガポール会談前の状況」とは、軍事攻撃も対北オプションの範疇だとする姿勢です。

何回か書いてきていますが、軍事オプションは大統領命令があれば、議会の承認なしに数週間以内に実行可能です。大統領権限法の60日以内という縛りはありますが、こと対北制裁に関しては野党民主党のほうが強硬なくらいで常日頃から「トランプ日和るな」と言っているくらいですから、議会承認は確実に受けられるはずです。

そもそも、米国は現時点では地上兵力を北領内に入れる気はありません。それは中国との過度な摩擦をもたらし、最悪な場合、中国の介入を招く結果になりかねないからです。

ですから、中国との事前協議は避けることができず、現在進行形の米中経済戦争に影響を及ぼす可能性もあります。中国の利害は大変にはっきりしていて、北というやっかいな罠に米国がハマってにっちもさっちもいかなり、中国に助けを求めに来ることを熱望しています。

そのことによって米国は外交のフリーハンドを失い、米中経済戦争で譲歩を迫られ、かつ中国が進めている南シナ海への進出から眼を逸らすことができます。
ですから、中国にとっては解決できないままの状況こそがベストですが、トランプはそれを知ってか知らずか北に関心をなくしたようなそぶりを見せることがあります。

とまれ、中国の事前承認がなくても米国は単独で北の核施設を空爆することは、望ましくはないものの可能ではあります。
攻撃が行われた場合、第一波で司令部施設、通信網、北の核施設20か所、長距離ミサイル施設20か所、核ミサイル保管施設200か所、第2波で空軍基地、海軍基地、第3波で補給施設の空爆が実施されます。

問題は移動式発射装置に載せられて山中深く隠されている中距離弾道ミサイルですが、移動式な上に固形燃料を用いた発射方式であるために、一定数の破壊はできても、大部分は残存します。すると、日本に向けた中距離核はそのまま残るということになります。

イージスアショアの配備がまだ先な以上、日本にとって喉元に突きつけられた刃物はそのままです。むしろヤケのヤンパチで正恩が撃ってくる可能性もまったく否定できませんから、一概に軍事オプションでスッキリしたと思わないことです。

え、韓国はですか。もちろん論外です。軍事機密を漏らして、攻撃に反対することだけが仕事だと勘違いしている「同盟軍」などまったくアテになどしていません。日本に通知した後に、おっと忘れるとこだったとばかりに開始1分前通告でしょう。

米韓関係は最悪になるでしょうが、ムンジェインは北からも中国からも見放されていますから、四面楚歌であることにはなんの変わりはありません。せめて日韓関係くらいはまともにしておいたらと思いますが、ここまで拳を振り上げてしまったらムリでしょうね。

■写真はカカオの花です。かわいいでしょう。

■写真類が入らないというクレームが来ていますが、×をクリックすると出るようです。私のPCではアップされているので、原因不明です。これも今回のニフティの事故と関係あるかもしれません。まったく迷惑なことですが、復旧されると信じましょう。

2019年3月21日 (木)

デニー知事恥をかく

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ニフティの事故はやっと落ち着いたようですが、切断は実に60時間近くに及び、PCが復旧した後もスマホ版の復旧は更に遅れるという堂々たる大事故に発展しました。まったくやれんぞな。

ご心配をおかけしましたが、なんとかやっていきます。ただ書き込む画面がまったく別物になってしまったために、馴れるまでけっこう時間を食いそうです。なんせ旧画面は11年使ってきましたからね。(涙)。

さて気を取り直して、書きたいことは溜まっているのですが、昨日デニー知事が首相面会したそうですが、とんだマヌケを演じたことからいきます。 なにをしに行ったのかといえば、もちろんアレです。

「会談で、玉城知事は普天間基地の移設計画への賛否を問う県民投票の結果などを改めて伝え、1か月程度、土砂の投入など工事を中止して協議に応じるよう要請しました。(略)
玉城知事は、国の天然記念物のジュゴン1頭が沖縄本島北部の今帰仁村の沖合で死んでいるのが見つかったことを伝え、安倍総理大臣は「残念だ。これからも折りをみて話し合いをさせてもらいたい」と述べ、引き続き県側との話し合いに応じる考えを示しました」(NHK 2019年3月19日)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/k10011853131000.html

いつもの飽きるほど聞いたことで、初めはざっとこのNHKの記事を読んだ時にはスルーしてしまおうかと思ったていどのことです。

ただ、ふたつばかり注目すへきことを言っています。ひとつはお得意のジュゴンです。

そもそもジュゴンは母親とその子が3頭いることはかなり前から知られたことで、今更のことです。

死んだ死んだと言っているようですが、死んだのは母親で、工事地区の工事をしている大浦湾の反対海岸である運天漁港とのことです。泳げば90㎞近くあります。 このジュゴンは古宇利島周辺海域が生息場所でしたから、工事とは無関係だとかんがえるのが常識的判断です。

大浦湾の工事区域は厳重に土砂が外洋に流出しないような遮蔽壁が設けられていて、今までの赤土流れ出したい放題のズサンな沖縄の土木工事とは一線を画しています。

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ジュゴンは長い回遊をする海洋哺乳類で、大浦湾は食物を採取するために立ち寄るルートの一部にすぎません。

突如、過敏な自然保護論者になってしまった今の沖縄県ですが、実のところジュゴンの保護などまったく念頭にありませんでした。

沖縄の海岸線を覆い尽くさんばかりに埋め立てが進行しても、むしろそれを率先していたのが沖縄県だったからです。

あまり知られていないようですが沖縄は毎年膨張し続けています。復帰後の37年間だけで2400ヘクタール、国土地理院によれば埋立面積は既に東京ドーム約500個分だそうです。

これは普天間基地が5個入る面積で、辺野古の埋め立て面積160ヘクタール(護岸を含む)の15倍にも達します。

埋め立て地の県面積に対する率は0.3%(2000年から07年間)となり、ダントツで全国一の埋め立て大好き自治体となっています。

「国土地理院は31日、都道府県の市町村別面積を発表した。沖縄県の面積は2012年10月2日~13年10月1日の1年間で0・08平方キロ増加し、2276・72平方キロだった。公有水面の埋め立てによる増加で、全国で7番目に大きかった。沖縄の埋め立て面積は過去25年で最も小さい。
 国土地理院沖縄支所によると、1年間の増加面積は那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇の約3個分。県内市町村で面積の増加が最も大きいのは竹富町の0・04平方キロ、次いで沖縄市の0・03平方キロ、糸満市の0・01平方キロと続いた。
 県の面積は1988年からの25年間で13・91平方キロ増加し、北谷町とほぼ同じ面積が増加していることになる。」
(2014年2月2日琉球新報)

特に発展が加速した本島南部・中部では埋め立てラッシュが続きました。

 

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          (「沖縄の埋め立てと埋め立て計画-沖縄の渚の現状-)http://www.ne.jp/asahi/awase/save/jp/data/higatagenjyou/index.htm

たとえば、あまり売れていないということで、計画の杜撰さか問題になっていますが、那覇から国道58号線を下ると、ベッドタウンの豊見城には、巨大な豊崎タウンが500億円かけて埋め立て造成されていています。
http://www.toyosakitown.jp/?page_id=17

また中部の沖縄市では、南西諸島随一の天然の海草や貝が育つ泡瀬干潟て゛大型干拓事業が進んでいて、反対運動も起きています。これを主導したのは左派系市長でした。

故翁長氏には知られたくない過去が沢山ありますが、そのひとつが「新基地」建設の推進に伴う大規模埋立工事でした。

自分のお膝元の那覇市にあった米軍の那覇軍港を移設して、お隣の浦添市の牧港補給しょうの沖合を埋め立てて「新基地」を作ってしまおうというプランでした。

29nahaport                     (写真 那覇港湾施設 沖縄県HP) 

実はこの時も辺野古は移設候補地に登場します。

浦添市は猛反発します。まぁ、そりゃそうでしょう。今大きな補給施設がある上に「新基地」が移転されてはたまったもんじゃない、これは当然です。

13makiminatoservicearea                  (写真 牧港補給地区 沖縄県HP)

それに対して政府は、那覇市と浦添市に軍港と補給施設は全面返還することを説明し、代替として新軍港と14ヘクタールの物資集積場を沖合に新たに作ることを提案しました。

既存の地面部分は全面返還して、国道58号の真横の那覇軍港を、浦添市の海岸に移しかえますということです。

これにより、今までの35ヘクタールから49ヘクタールに拡大します。この部分が普天間飛行場の移設と違うところです。

拡大しても浦添の場合は、沖合の埋め立て地なので地元への影響は少ないからご容赦下さいということです。もちろん、進行予算のおまけや民間港湾施設の整備などにたっぷり予算を弾みますという条件でした。

この時に、浦添に「新基地」を押しつけた故翁長雄志氏はこう言ってのけています。

「決断に敬意を表する。今後、那覇港は県、那覇市、浦添市の三者が一体となって国際流通港湾として整備・管理することになる。振興発展を担う中核施設として整備されるように努力を重ねたい」(琉球新報01年11月13日)

故人には失礼ながら、改めて読んで吹き出してしまいました。まったく浦添移設と同じ構造なのですから、翁長氏は普天間飛行場の移設についてもこう言うべきでした。

「移設の決断に敬意を表する。今後、沖縄県は県、那覇市、浦添市の三者が一体となって普天間跡地は中部経済の振興発展を担う中核地域として整備されるように努力を重ねたい」

こういうことをやっておきながら翁長氏は、こと普天間になるとダブスタの権化となって「銃剣とブルドーザーで土地を強奪されて基地を作られた」などという時代錯誤のことを言い出すからイヤになるのです。

それはさておき、沖縄県は一貫して海洋汚染については無頓着でした。それが突然いままで何の保護対策もしてこなかったジュゴンが一頭死ぬと、首相面談案件にジュゴンをもちだす鉄面皮ぶりがたまりません。

そんなにジュゴンが大事ならば、はっきりと普天間基地周辺のニンゲンの安全よりも、ジュゴンのほうが大事だと言うべきてす。 それをデニー知事はこんな矛盾したことを一国の首相に面と向かっていうのですからたいしたものです。

「普天間基地の固定化につながりかねない辺野古の工事はやめ、話し合いの期間を作ってほしい」

おいおいデニーさん、あなた頭の中で妖精が合唱していません?金星人が、宇宙船で迎えに来るから一緒に宇宙旅行しようよなんて言っていませんか。 交渉当事者がいまさらこんな交渉の大前提で間違ったことを言い出されては困りますね。

私は必ずしもそうは思いませんが、メディアが「世界一危険な飛行場」と呼び習わしている普天間飛行場の危険を除去する目的で辺野古に移設するのは、今更いう必要もない常識の中の常識です。

普天間飛行場を固定化させたくないなら、移設するしかないなんてわかりきったことで、「普天飛行場を固定化させないために移転は反対」ですって、なんじゃこりゃ。

デニー県政が、「普天間飛行場はイヤだが、移設もイヤだ」というなら、もはや当事者能力が欠落しているとみなされても仕方がありません。

なぜならその解決方法は共産党の主張どおり、「どっちも反対」「全部反対」ですから、すなわち「全基地撤去・安保廃棄」のことだからです。

このことのダシにジュゴンを持ち出すならば、7億、8億と言われる「辺野古基金」という巨大基金をどうぞ思うぞんぶん可愛いジュゴン保護にお使い下さい。 

2019年3月19日 (火)

宜野湾くれない丸氏寄稿 日本政府という「親」と、奄美・沖縄・宮古・八重山という四人の子どもたちその2

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ふ~、やっと管理ページが開いて書き込めるようになりました。

これはもうリニュアルによる一時停止ではなく、57時間の凍結ですからね。これはもうレッキとした事故です。ココログには怨嗟と怒りのコメントが溢れています。

ニフティのやつめ、まったく丸1日以上リニュアルとやらで書き込みを凍結させて、再開予定は13時なのにえんえんと延期に次ぐ延期。5時で開始するとあってもされず、こちらは開けたり閉めたり。なんなんだ、バカヤロー。

12時に一回解除さたとおもったら、今度はアクセス集中でダウン。もう笑うきゃありませんやね。

やっと6時半くらいに開いた新しい管理ページもまったくデザインがちがうので、勝手が違ってわけがわかりません。もう一回ニフティのバカヤロー。

旧管理画面に戻せ。いや戻すリニューアルやるとまた二の舞だから、やるなぁぁぁ。

というわけで、お待たせしました。スマホでみると、皆さんにご心配おかけしていたようで恐縮です。

ブチハイエナみたいな空き巣狙いも2頭来ていたようです。まともな記事への批判もできないくせに、遠くから吼えているなんてアホじゃなかろか。

気に食わなければ自らの論理を対置すればいいのであって、実名をバラして悦に入っているなんて、しょーもない人たち。ああいう暗い情熱は理解できません。

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ブチハイエナさんの雄姿

それも含めて、まとめて消えてしまっています。原因はわかりません。こちらの操作ではありませんし、スマホではまだ残っているようです。(それも消えたようです。ニフティはスッタモンダでやっと平常に)

                                                   ~~~~~~~

というわけで一日遅れのくれない丸さんの寄稿の最終回です。くれない丸さん、大変にご迷惑をおかけしました。

明日から、通常の更新に戻ります。(たぶん)

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■日本政府という「親」と、奄美・沖縄・宮古・八重山という四人の子供たち その2
                                                                                                                                  宜野湾くれない丸

承前

島尾の言葉や唄者の言葉を思い出したとき、 「日本政府が父親」、「奄美・沖縄・宮古・八重山が四人の子どもたち」と置き換えてみて考えた。  

結論から言えば、父親は「肝心要」な「ここぞ」という時に、「言うべきこと」「示すべき将来像」「取るべき態度」を子どもに対して「出来なかった」「しなかった」のではなかろうか。 

肝心要な時に「態度をあやふやに」し、「取りあえず甘い言葉でその場をごまかし」「自身の不甲斐無さを知りつつも親としての責務を暗に放棄」していたのでは・・・? 

若くして思いもよらぬ出世をした父親は、そのうち「調子こいて」取り返しのつかないくらいの「大喧嘩という大失敗」を犯した。 

居酒屋での呑みの席での失態とは言っても、理由はともあれ「吹っ掛けたのは父親」からだ。 

で、その相手は、それまで大変お世話になっていた「隣の大旦那」である。 

店をめちゃくちゃにして大借金を抱え込んだ父親は、その大失敗を深く反省・検証することもなく、借金立て替えを申し出た「隣の大旦那」に飛びついた。 

「隣の大旦那」は町では評判の「策士」でもあった。父親は「隣の大旦那」に、それ以来ただただ頭が上がらない。 

それはそうだろう「大喧嘩」をしたあげく「大借金まで立て替えてくれた」人だから。 

「大旦那」は担保として「将来性がある四人の子どもたち」を「里子として引き取った」、うち一人は「内向的な子だった」ので、比較的早い段階で親元へ返したが、残る三人はその後も大旦那の別宅で暮らしていた。 

父親の家庭は確かに大借金を抱え、食べるものにも事欠くくらいな貧乏家庭に陥ってはいたが、「里子に出された」という事が、その後、四人の子どもたちの心の中に陰りを残すこととなった。 

さらに「内向的な子が先に親元へ帰った」ことが、兄弟間でも「複雑なしこり」を孕んだ。 

ましてや「あいつの親父は俺ら三人とは違うんだ」なんてことも言いだし始める始末だ。 

この段階で問題は「複雑な域にハマり込んで」行った。 早くに親元へ戻った「内向的な子」は、貧しくはあるが「親元で育つ」温もりを少しだけ知った。 

しかしながら世渡り上手で、小手先器用な「父親」の視野にはあまり入らない存在であった。 

一方、「隣の大旦那別宅」で暮らす三人の兄弟は、それまでは「平屋トタン屋根」であった別宅が「豪華」に変わっていき、環境も見違えるようによくなっていったことに違和感はあったが、それを上回るほどの生まれて初めての「満足感」を味わっていた。 

そんな「満足感」を味わう兄弟たちを横目に、「内向的な子」は時々「別宅へ遊びに来た」りしたこともあった。 

でも、そのたびに「嫌味」を言われたりもした。 世渡り上手な父親は、みるみるうちに復活を遂げていった。

それはそれは目を見張るがごとくの復活劇だった。父親は大旦那へ申し出た。「お陰様でようやく立ち直り始めました。

まだお世話になっている我が子三人をそろそろうちに戻したい。本人達もそう申しております」と。

大旦那は色々と条件注文を付けてきたが、そこは世渡り上手な父親だ、複雑極まりない諸所の問題は「さて置き」、取り急ぎ重要なことは「親元で暮らす」ことだと「正論」を主張た。

それが「正しいことだ」と自身も「子供たち」もそう思っていた。

だが、世渡り上手で小手先器用な父親の性根は同じままだった。「子供たちのことは二の次」だった。「仕事第一主義」だったのだ。

「子供たち三人」は父親へ「愛情」を求めた。が、上手く表現が出来なかった。暴言を吐くこともしばしばだった。

父親は「その場しのぎ」の事しかしなかった。分かっちゃいるけど・・・・・父親はため息をつき独り言を言うばかり。

先に戻った「ひとり」はずっと黙り込んだままである。元来の「内向的」な性格がより深まった。

それから長い時間が経った。色々とあった。父親の懐具合が危ないときもあったし、世間での評価も下がりかけたこともあった。

波乱万丈の世の中である。

でも「変わらない状況があった」それは、父親と三人の子どもたちは今でもずっと「喧嘩」をしていることだ。

長い時間の流れの中で、隣の大旦那は自身の屋台骨が傾きかけ、今では逆に「父親」の方を頼ることもある、そんな状況にもなっている。

気が付いたら「父親」は既に「隣の大旦那」を上回るほどの「旦那」になっていた。

成長した「三人の子どもたち」の間にも「少しずつ隙間風」が漂い始めている。

が、相も変わらず三人揃って「重箱の隅を突く」ように「父親」を攻めたている。

もう年もそこそこになったのに、攻めたてるわるには「今度引っ越しがしたい」「新しい車が欲しい」「病気になった」などなどと言っては事あるごとに「無心」する。

いい年こいて父親に「無心」することに、何の躊躇いも感じていない様子だ。

また、父親も「分かっちゃいるけど・・・・」と思いながらもその「無新」に甘んじている。

「凛」とした姿勢を見せられなかったし、「言うべき事を言うべき時に言えなかった父親」、そんなダラシノない姿を見せ続ける父親。いくら「仕事が出来る有能な人」であっても・・・・・。

そして「恨み節」ばかり言いつづける「三人の子どもたち」。このままであれば、けっして「自立」の精神は構築されないだろう。

「自立する」という事が「何なのか?」「どういう事なのか?」も既に分からなくなっているのかもしれない。

「おはようございます」「こんにちわ」「こんばんわ」「ありがとうございます」「お世話になりました」「また宜しくお願いいたします」・・・・。

父親は何でこのことをしっかりと「叩き込んでくれなかった」のだろう。

このことだけでいい。あとは黙って「きつく抱きしめて」やってれば、いいだけだったのに・・・・。

子供たちはもういい年だ「反面教師」というくらいの言葉は知っているだろう。

「内向的な子ども」に一度だけ、たった一度だけ父親がしたことがある。

それは「きつく、きつく黙って抱きしめた」ことだ。その時の「温もり」をこの子はずっと憶えている。それは確かなことだ。

                                                                                                                                                          了

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年3月18日 (月)

宜野湾くれない丸氏寄稿 日本政府という「親」と、奄美・沖縄・宮古・八重山という四人の子どもたちその1

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宜野湾くれない丸氏より寄稿を頂戴しました。2回の分載となります。

                                             ~~~~~~

■日本政府という「親」と、奄美・沖縄・宮古・八重山という四人の子供たち その1
                                                                                        宜野湾くれない丸
 

かれこれ40年ほど前、作家の故・島尾敏雄氏の講演を聴く機会がありました。内容は殆ど忘れてしまいましたが、今でもはっきりと憶えていることが2点あります。  

それは、「日本の歴史を語るうえで、とても重要な変化の波はいつも南からやってきた。鉄砲、キリスト教、ペリー提督、明治維新、そしてアメリカ軍・・・」ということと、「奄美群島というのは、父が政治(薩摩)で、母が文化(琉球)のようだ」というこの二つのことです。  

講演のなかで幕末の「ええじゃないか騒動」の件にも少し触れられていたが、私には「ええじゃないか」が「六調やカチャーシー」とダブって感じていた。  

沖縄のとある民謡唄者の方と酒席を共にしたことがありました。  

唄者曰く「唄というものは、曲というものは、我が子も同然だ」という事をくどくどと、「作家の気持ち」を慮らない音楽業界のありようを強調して話していた。  

よせばいいのにその時私は、その唄者へ軽い気持ちで問いかけた。「子どもも同然という意識であれば、その子供が自らの手を離れ、何処の誰が面倒をみているのか、気になりませんか?」と。  

ちょっといじわるな「固い質問」だったが、たまたま酒の肴となっていた話題が「音楽著作権」の話でもあったからだ。  

「自身の創った曲が、どこの音楽著作権会社が管理していて、年間どれだけの利益をあげているのか?」「その利益をうむ為に会社はどれだけの動きや経費を使っているのか?などなどの事を「ご存じでしょうか?」という事が私の意図すところだった。  

唄者は「黙って」しまいました。  

昔はよく見かけたシーンですが、幼い子どもがデパートなどで「オモチャ~欲し~い、これ、買って~~~!」と泣きじゃくったり大騒ぎしているシーン、あれに似たシーンを一向に見かけなくなってしまいました。  

だから何?と、親がちゃんと躾けているんでは?と・・・・・それもそうかもしれません。  

が、私は逆に「子供が親をよーく見ているのでは?」あるいは「子どもの方が親の体裁を分かっていて、そんな事を言ってはダメなんだ」と肌で感じていることも、子どもの中には少なからずあるのでは・・・?とも感じていました。  

もしそうだとしたら「成長過程で本能的な欲求を子ども自身が『無理』に押しとどめている」ことなのでは?と。  

大人となった子どもたちや、いい年こいた中年などによる「とんでもない事件」が多発しているのは、「押しとどめた」結果のひとつの歪な現象なのではなかろうか、と。  

その年齢に応じた反発や主張・欲求を「ダイレクトに出し切れてない」子ども時代を過ごすと、そのツケはその後に「大きなしっぺ返し」となって表面に出てくるのではなかろうか。 

「サイコパス」のような現象が多々あるのはそんな事も心の奥底に存在するからなんじゃないのか、と考えたりするのです。  

脳科学者の中野信子氏によると「ヒトの脳は誰かを裁きたくなるようにできている」そうです。  

ヒトは本能的にそんな「制裁を加えたくなる衝動」を誰しもが持っているということです。  

「差別ガー!」と眉間に皺を寄せガナリたて、これが「正義」だと御旗を振りかざす人たちを目にするたびに、「教養」や「理性」を磨いていくということで「それを乗り越える社会」を目指すべきれあろうと思ったり考えたりします。 

「正義」を押し付けるその様はまさしく「教条民主主義」そのものではないか。

 

                                                                                                        (続く)

 

 

 

 

2019年3月17日 (日)

日曜写真館 里の春

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2019年3月16日 (土)

国連科学委員会 (UNSCEAR)報告書「福島事故とチェルノブイリとは違う」

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大震災と福島事故から8年目の3月11日から始めたこの特集も、今日でいったん締めることにいたします。

 

まだ福島事故の原因や原発の現況については残されたままですが、また別の機会ということで。

 

さて今でも平気でヒロシマ・チェルノブイリ・、フクシマと並べている無神経な人たちがいます。 

 

いやそれどころか、チェルノブイリより大量の放射能がばらまかれたという人さえいます。

 

昨日も常連さんのひとりから頂戴して、いまでもまだこんなものが出回っているのかとやや驚きました。

 

このかたは、「福島事故はチェルノブイリの3倍放射能が出た」という説を貼っています。その根拠はドイツということですが、どのようなものかは明らかにされていません。

 

ドイツは事故当座から、意図的とも思える悪質な煽り報道の発信地だったので、さもありなんと思いますが、ソースが明らかでない以上、それ以上はなんともいえません。
関連記事「ドイツTDZの歪曲報道とYouTube削除問題について」  
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-0a22.html

 

私が知っている3倍説は、日刊ゲンダイと東京新聞がソースです。

 

元の記事のリンクが切れていますが、『チェルノブイリの3倍!』ではありません。 - Togetterに一部が記録されています。

 

それによると、東京新聞は2012年7月12日)に、見出しに「つくばのストロンチウム  チェルノブイリ事故時の3倍超」と掲げています。東京新聞は見出しで間違った印象操作をしています。

 

内容的には「つくばの気象研観測、2011年3月の90Sr降下量は、チェルノブイリ事故時に観測された量の3倍」だったということのようです。確かにつくば市の気象研では、つくば市でのチェルノブイリ事故時の3倍の放射線値が測定されました。

 

一般的に「チェルノブイリの3倍あった」のではなく、つくば市でふたつの事故を計測したところ3倍あったということです。意味がまったく違います。3https://togetter.com/li/337042

 

同じく茨城県県北のモニタリングポストの測定値をみてみましょう。

 

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茨城県HP

 

これを見て分かるのは、3月14日前後に大きな放射線量の増加が記録されており、3月21日にまた中ていどのピークがあって以後は低レベルで推移しています。

 

この極初期の放射線値が、チェルノブイリの事故時に測定した日本の数値の3倍あったというだけのことです。

 

そりゃそうでしょう。つくば市や県北は、福島原発から175㎞ですから、チェルノブイリまでの距離約8000㎞超とは比較になりません。大きく出てとうぜんです。

 

それを意識的にか無意識にか混同して東京新聞は「チェルノブイリの3倍あった」と見出しで書いてしまったわけで、これでは煽りだと批判されてもやむをえないでしょう。

 

またこの「3倍」説とは別に「4倍」説もありますが、丹念な検証の結果、これも誤りだと証明されています。
「セシウム放出量がチェルノブイリの4倍」というガセネタ – アゴラ

 

国連科学委員会 (UNSCEAR)はこのように結論づけています。

・チェルノブイリと比べて、放射性ヨウ素131の総放出量は3分の1未満
・セシウム137は4分の1未満

これを大きく覆す数字が出た場合、「3倍だって、大変だ。政府が隠蔽している!」とパニくらずに、元のソースを辿って下さい。

 

ほとんどの場合、伝達のミスか意図的歪曲をおこなっているはずです。

 

さてこのようにふたつの原子力事故は共に悲劇であることに変わりはありませんが、まったく違う事故だと認識すべきです。

 

両事故の放出された放射線量は以下だと推定されています。

 

7https://synodos.jp/science/15817/2
「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について」
「文部科学省による、ストロンチウム、プルトニウムの核種分析の結果について」
UNSCEAR 2013年報告書」


今日はそのことを書いた2014年6月20日の記事を再載します。

 

■参考資料
「被災地を搾取し被害を拡大してきた「フクシマ神話」――ニセ科学とデマの検証に向けて」林智裕
「福島第一原発3号機は核爆発していたのか?――原発事故のデマや誤解を考える」菊池誠×小峰公子
東電福島第一原発の事故はチェルノブイリより実はひどいのか?――
福島原発事故に関してhttp://genpatsu.sblo.jp/article/47289931.html

 

                     ~~~~~~

 

ェルノブイリ原発と福島第1原発の事故は次元が違う事故です。 

 

これ以上の設定がないためにレベル7に入ってしまって同一視されますが、別々に考えていく必要があります。

 

チェルノブイリは、黒鉛型で格納容器がなく、そのために原子炉の事故がそのまま大量の原子炉内のすべての核種の拡散につながりました。(図 黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉 (RBMK) の構造図。

 

Rbmkウィキ 黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉 (RBMK) の構造図

 

核燃料を収めた圧力管の間をポンプで送り込まれた冷却水が流れて蒸気となり、タービンを回す構造になっています。

 

核燃料を収めた圧力管の間をポンプで送り込まれた冷却水が流れて蒸気となり、タービンを回す構造になっている。格納容器がないのがわかる) 

 

その中にはプルトニウムやストロンチウムが含まれていたために、惨事となりました。

 

一方福島事故は、チェルノブイリと違って、閉じ込めるための格納容器が存在し、格納容器を覆う原子炉建屋が水素爆発によって破損しましました。 

 

2http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?...
(図 沸騰水型軽水炉(BWR)構造図 燃料棒が格納容器に収納され、さらに建屋に入っているのがわかる)

 

格納容器内にあった燃料棒が融解して一部が格納容器外へメルトスルーしましたが、セシウムやヨウ素といった揮発性の高い比較的軽い核種の放出に留まっていたために、プルトニウムなどの放出という最悪の事態は最小限に抑えられました。

 

もちろん、ストロンチウムなどの放出もわずかにありましたが、原発周辺数キロにとどまり、量も微量でした。

 

放出されたプルトニウム放出量を見るとこのようなところです。

大気中への放射性物質の放出量の比較(単位1015Bq) 
●ガスとして揮発した軽い核種 
ヨウ素131131I)    ・・・チェルノブイリ      1760
                        ・・・ 福島第1       16 (10月20日 以下計測日は同じ)
セシウム134134Cs)・・・チェリノブイリ    47
・                            ・・・福島第1          18

●重い核種
ストロンチウム9090Sr)・チェルノブイリ  10
                             ・・・福島第1        0..14
プルトニウム238238Pu)・チェルノブイリ 0.015
                                ・・・福島第1        0.000019
プルトニウム241241Pu) ・チェルノブイリ  2.6
・                                ・・・福島第1        0.0012

(※典拠 原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について

 

 以上で分るように放出量自体のケタがまったく違います 

 

その結果、このように拡散規模に大きな差が出ました。上下を比較すれば、その規模の拡がりがまったく違うのがわかるはずです。

 

 

福島原発事故に関してhttp://genpatsu.sblo.jp/article/47289931.html

 

次に、わが国にとって非常に幸運だっのは、事故当時の風向きです。

 

風は北東方向の風に乗って太平洋へ吹いていました。そのためにかなりの割合の放射性物質は洋上へと吹き飛ばされ、拡散しました 

 

3月12日から3月21日までの4回に渡って、いずれもいったんは北東方向の海上に出て、1回目は北上し、以後3回は南下しています。

 

飯館村などへ向った例もありますので、地形によって複雑な変化はしていますが、基本はこ「神風」によって地表部分の汚染は、内陸部にあるチェルノブイリと比較して大幅に減衰したと思われます。

 

また、事故後の対応も異なっています。

 

事故当初、ソ連特有の秘密主義のために報道管制が敷かれ、一般市民は事故発生後1週間ほどはなんの避難措置も取っていませんでした。

 

事故後4日後に高濃度汚染区域でメーデー行進も行なわれた例もあるほどです。 

 

そのために、計画的な避難はおろか、放射性物質に汚染された食品や牛乳の摂取制限も実施されず、大きな健康被害を引き起しました。

 

特に事故後に被曝した10シーベルト(1万ミリシーベルト)というとんでもない高線量の牛乳を子供に与えるという重大ミスをしたために、小児甲状腺ガンが大量に発生しました。

 

チェルノブイリ事故を継続して調査しているベラルーシで事故後10年、25年経つ今でも小児ガンなどが発症していると唱え、震災瓦礫の搬入は低線量内部被爆の危険地域を更に拡大することになると主張した人達がいました。 

 

ベラルーシで10年後に小児ガンが出た原因は既に解明されています。高濃度汚染地帯のキノコを季節的に大量に食べたからです。(下図参照)

 

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                      (ベルラド放射能安全研究所作成) 

 

上の図を見れば、10月12月など、キノコが大量に食卓に登る森林地帯の季節が飛び抜けて高いのが分かります。 

 

周辺地域だけではなく、東欧、北欧を中心にして野生のキノコ類を食べる食生活のために健康被害が多発しました。

 

このチェルノブイリの類推から、わが国でも大量の甲状腺ガンが出るはずだという一部の予見がありましたが、はずれました。 

 

一方わが国はチェルノブイリの教訓に従って厳しい食品の出荷統制を敷きました。

 

ベラルーシは野菜は3700ベクレル/㎏から40ベクレル/㎏まで実に13年かけて漸進的に基準値を落していますが、事故直後の基準値を見てみましょう。。

・事故直後のベラルーシと日本の食品基準値比較
・野菜  ・・・3700ベクレル
・豚・鶏肉・・・7400
・日本   ・・・300
(※米は500)
  

なお、日本は12年には食品一般の基準値を100ベクレルまで落しました。

 

チェルノブイリと福島を比較して、ロシア科学アカデミーバロノフ博士はこう結論づけています。 

「1986 年以来25 年が過ぎました。私たちは、今、公衆衛生上のどのような損害がチェルノブイリ事故によって引き起こされたか知っています。
損害のほとんどが、1986年5 月に、汚染された地域で生成された、放射性ヨウ素を含んだミルクを飲んだ子どもの高い甲状腺癌発生率に帰着しました。不運にも、当局と専門家は、この内部被曝の危険から、適時、十分に彼らを保護することに失敗しました。
福島では、子どもが2011 年3 月から4 月にかけて、放射性物質を含むミルクを飲まなかったことにより、この種の放射線被ばくは非常に小さかったといえます。このため、近い将来あるいは、遠い将来、どんな甲状腺疾患の増加も予想できません」
(
内閣府・低線量被ばくのリスク管理によるワーキンググループ報告) 

また国連科学委員会はこう国連総会に報告し、承認されています。 

●国連科学委員会 (UNSCEAR)報告書要旨
①日本国民の総被曝線量(集団線量)は、甲状腺がチェルノブイリ原発事故の
約30分の1
②全身が10分の1
③チェルノブイリと比べて、放射性ヨウ素131の総放出量は3分の1未満
④セシウム137は4分の1未満
⑤ストロンチウムやプルトニウムは「非常に微量」
⑥(がんが増加しても非常に少ないために)見つけるのは難しい
⑦「福島はチェルノブイリではない」

 

 

 

 

 

2019年3月15日 (金)

低線量被爆という「バカの壁」

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政府の最悪のリスクコミュニケーションにより、消費者の巨大な不信と怒りは被災地であり「被曝地」でもあった農民と漁民へと向けられました。
関連記事「スウェーデン原発事故報告書事故後のリスクコミュニケーションの失敗」http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/1-6a51.html

多くの消費者は、枝野官房長官の「直ちに健康に影響はありません」という言い方の背後に、晩発性障害が高い確率でありえると読み取ったのでした。

この危機管理の時期に最もやってはならない間違った情報発信を枝野氏は、ためらうことなく前後7回繰り返して国民の頭に叩き込みました。

ちなみにこの人物は同時期に飯館村などの「被爆」地に全身防護服姿で出かけ、「被曝地」は立入禁止の危険地帯だといわんばかりの印象操作までしでかしています。

いわば国が風評被害を作ったに等しい所業です。

これにより、東日本、特に被災地・被爆地の中心だった福島、茨城両県の農海産物は暴風雨のような風評被害にさられました。

その風評被害は2011年夏頃には表面的には収まったように見えました。

しかしそれはあくまでも「安ければどんな食品でもいい」という消費者階層に限ったことでした。  

今まで国産野農産物を選択してきた消費者層の多くは、低線量被曝脅威説の強烈な支持者に変わっていきました。  

彼女たちの多くは、「低線量内部被曝がこわいので東日本の農産物は拒否する」と叫びました。 

そしてECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)という運動団体やパンダジェフスキー、あるいはトンデルの説で理論武装しました。

この前後の時期から、放射能に対する情報がたくさん出揃ったにもかかわらず、放射能問題は養老孟司氏のいう「バカの壁」になりました。

流行語ともなったので、ご存じの方も多いと思いますが、「バカの壁」とは、馬鹿だから理解能力がないという意味ではなく、自分の回りに「壁」を作って異論を聞き入れない状態の人たちの思考状態を指します。

このような人たちは、自分と同じような「壁」を作った人たちとだけのコミュニケーションしかせず、その内部だけの情報しか信じないようになっていきます。

とうぜんのこととして、同類でどんどん煮詰まっていくのですから、純化現象が起きることになります。

やがて「壁」は高くなり、少し前までは食品基準値を300ベクレルでは高すぎる、半分以下にしろと叫んでいた人たちは、100ベクレルになったとたん、いや5ベクレルでも危ないと言い出すようになります。

そしてやがて、「原発事故前まではゼロだったのだから、食品規制値はゼロにしろ」というところまで異様な定向進化を遂げることになります。

ゼロにしろ、ですから絶句するしかありません。それは実行不可能な目標だからです。

だいたい1年間で、宇宙からの放射線は0.3ミリシーベルトだと言われています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-68e6.html

もうひとつの自然放射線がは地底から来るものです。地球ができた時より地殻内部から絶えず放射され続けています。

カリウム(カリウム40)、ラジウム、ラドン、ウランなどといった放射性物質は一刻の休みなく地表に向けて放射線を出しています。

地殻プレートが地表に近いほど大量の自然放射能が存在します。花崗岩が多い地方にウランが採掘されるのはそのためです。

そういえば、日本のウラン採掘場所は西日本が圧倒的ですし、阪神淡路大震災もプレートの境目があったために大災害になりました。

人間だけではなく地球上の生物は等しくこの膨大な自然放射線の中で生き抜いてきたわけです。

宇宙からの放射線は世界で平均していますが、地殻からの自然放射能は地域の地殻構造で違います。

下のマップを見てください。赤色は0.127マイクロシーベルト/時以下を示す地域で世界でももっとも高い部類に属します。

日本では大阪府、広島県などを中心とする地域の放射線量は高いといえます。

もちろんだからといって西日本にガン患者が多いなどということはありません。あたりまえです。

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東日本はおおむね濃い青である0.00561~0.0178マイクロシーベルト/時と世界でも最小の放射線量地域です。

自然放射線量において大阪は、東日本(ホットスポットはありますが)の7.5倍の放射線量が常に存在する地域だといえるわけです。

西日本は東関東と同じか、福島を除く東北各県よりもやや高めな数値がでています。

・大阪府・・・・・・・・・・・・・・・・・0.076マイクロシーベルト /時

では、2011年9月、福島事故から半年後の東日本の放射線量をみてみましょう。

●東北、関東の空間放射線量(2011年9月4日午前9時~5日午前9時)
・福島県浪江(避難区域)・・・15.5マイクロシーベルト
・福島県福島市      ・・・1.2
・茨城県           ・・・0.083
・千葉県           ・・0.043
・東京都           ・・0.056
・神奈川県         ・・・0.049
 

東京、神奈川に行くと、福島より100分の1にまで放射線量が下がることが分かります。

では、福島県北方にあたる東北各県はどうでしょうか。 

宮城県           ・・・0.061
・岩手県           ・・・0.023
 

ちなみに、日本の農水産品を放射能が危ないと言って輸入禁止にし続けた韓国ソウルの線量は「被曝」地茨城より高い数値です。人を呪わば穴ふたつ、ですな。

・ソウル           ・・・0.14

自然放射線はクリーンで、原子力由来の放射線はアブナイとでも思っているようで、失礼ながら失笑します。

もちろん人体に与える影響に自然も原子力も関係がありません。

そしてこのようなことを叫ぶ人たちは同時に、「東日本には行ってはいけない。食べてもいけない。流通させてもいけない。瓦礫ひとつ運びだしてはいけない」といういわば東日本隔離を唱え始めました。

もはや復興支援もなにもあったものではありません。純然たる地域差別です。それも危機の時期における差別ですから悪質このうえありません。

この時期に「美味しんぼ」鼻血事件がおきます。

このなかで雁屋哲氏は「福島は住めない。逃げることが勇気だ」と主張して、強い抗議を福島県から受けています。

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当時の室井佑月氏の言説を再録しておきます。

室井氏は子供が福島へ修学旅行することに反対して週刊朝日にこう書いています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-8fd9.html

「『美味しんぼ』問題を受け、政府は、修学旅行先として福島のモデルコースを設定し、全国の学校に提案することなどの(風評被害払拭にむけた)強化策をまとめた」
 というニュースを観て、なんでわざわざ危ない事故を起こした原発のある福島へ、全国の子どもたちを連れていかなきゃならないの、ということを書いた。政府の意見が正しいことの証明に、子どもを使うのは野蛮すぎると」
(週刊朝日2014年8月1日号)

こういう発言を繰り返していた文化人たちが、先日の11日にどんな顔をして「復興」を語るのか拝見したかったものです。

よもや「復興の遅れ」を批判なんかしていなかったでしょうな。遅らせたのはあなた方たちですからね。

大部分の国民の間で、この馬鹿げた「壁」は消滅しましたが、その「壁」の中の人たちが最後にしがみついた「科学」的論拠がこの低線量被爆脅威論でした。

最後の砦だという自覚があるせいかどうか、彼らは「壁」の外に分かって攻撃を開始します。攻撃的で戦闘的に、しかも執拗に。

この時、彼らに熱狂的に迎えられたのが、パンダジェフスキとトンデルという異端の説でした。

バンダジェフスキー氏は、ベラルーシ独裁政権の弾圧下という限られた条件で限られた事案を分析し、国外へ持ち出しました。

その限定された条件下での彼の結論は、放射性セシウムが臓器に蓄積されて障害を引き起こすという説でした。

彼の論文は査読すら過しておらず、学界では相手にされていません。

トンデル氏は極北の遊牧民の体内に、トナカイ肉やコケモモ、キノコなどから内部被曝し、セシウムが多くの後障害を起したとしています。

よしんばこのふたりの学説が正しかったとしても、バンダジェフスキー氏の50数例の事案からすべてを解き明かすことには無理がありますし、トンデル氏の検証した北極圏に住む狩猟民と私たち日本人を比較することも意味がありません。

内部被曝が食によるのなら、風土に規定される食に濃厚に影響されるからです。日本人はトナカイ肉もコケモモも食べません。

ある特定の条件で起きた特殊な事例を全体にあてはめて普遍化するような考え方では、放射能被害の全貌を見誤ります。

このような極端な考えから見る限り、福島は今でも放射能の「穢れ」で満ちた地域、つまり室井氏流に言えば「子供を修学旅行に連れていくな」という土地に見えるのでしょうね。 

少しでも「放射能」が残っている限りダメ、1ベクレルでもダメ、だって子供がガンになるから全員避難しろ、そう反原発派の人たちは叫んだわけです。 

また福島や茨城の野菜や米を食べるなと呼びかけることは、風評被害の拡散ではなく、実害の阻止だと主張しました。

このような空気の中から、大衆迎合主義の民主党政権は年間1ミリシーベルトを除染目標にしてしまい、いっそう復興を遅らせることになります。

1ミリシーベルトにした当時の厚労相の小宮山洋子氏は暫定基準の5ミリシーベルトを引き下げた理由をいみじくもこう述べています。

「年間5ミリシーベルトでも安全は確保されていたが、子供を持つお母さんたちが心配していたので、安心してもらうために年間1ミリシーベルトにしなければならなくなった」

かくして「お母さんの心配」に寄り添うために、膨大な時間と莫大な金をかけて、復興を大幅に遅らせた1ミリ除染が始まるわけです。

2014年6月5日記事を再掲します。

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ご承知のように、低線量被曝というのは、100ミリシーベルト以下の被曝量を指します。これについて「判明していない」とよくマスコミは言いますが、「判明していない」というのは正確ではありません。 

放射線被曝と健康被害との関係は、はっきり解明されています。それは広島、長崎の厖大な疫学データである寿命調査LSS・Life Span Study)があるからです。 

下図は、広島・長崎LSSかから得られた被爆量とガンの関係をみたものです。縦軸は被曝していない集団に対してガンが何倍になったのかを現しています。横軸は被曝線量(単位シーベルト)です。 

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            (図 田崎春明「「やっかいな放射線と向き合って生きていくための基礎知識」より)

 一番左隅の1.0倍は普通の集団と変わりはないという意味で、線量も0シーベルトです。このグラフから分かるのは、ガンが増加する「上乗せ」が線量に比例することです。 

たとえば、このLSSグラフから横軸2目盛り目の1シーベルト、つまりよく私たちが見慣れた単位に換算すれば1000ミリシーベルトで、ガンになる人は1.5倍に増えるのがわかります。

これを基にしてLNT(※)しきい値なしモデル仮説が生れました。(欄外図参照)

問題となっているのは、グラフ左隅100ミリシーベルト以下の低線量域です。ばらつきもあり、法則性が見えません。

LNT仮説では赤字で「低線量域」と書かれている部分で、LNT仮説図では点線で「仮定」と記してあります。

増えていないのかもしれないし、増えていてもその数があまりにも少ないので分からないのです。 

これは、広島・長崎のような強いガンマ線や中性子線を一時に浴びた場合と、長期に渡って低線量被曝した場合の、DNAの修復メカニズムが異なるためです。 

例えてみれば、高線量を一時に浴びた急性被曝は、時速200キロの猛スピードで壁にぶつかったようなものです。

一方、 低線量は人が歩くていどのゆっくりとした時速4、5キロていどのようなものです。

よく騒がれる5ベクレル以下の検出限界値以下など、ほとんど動いていないも同然ですので、同じ「被曝」といってもまったく次元が違うことがわかるでしょう。 

DNAは高線量を一時に浴びると、2本の線路のようになっているDNAの鎖の両方が切断されます。 (下図参照)Photo同時に2カ所が切断されると遺伝子情報が誤って修復されたり、遺伝子の突然変異が生じる可能性があります。これがガンです。普通はこのできたガン細胞も、リンパ球によって消滅させられます。 

高線量が怖いのは、このリンパ球や白血球までもが、放射線によって同時に損傷してしまうからです。 

高線量だとDNAの切断箇所が多数の上に、修復機能もやられてしまっているために恐ろしい急性被曝になってしまいます。 

ただしよくできたもので、人体は切断箇所が少ない場合、細胞全体を死滅させて、新しい細胞を再生させます。 

低線量ではそこまでの破壊力はなくて、DNAの鎖の片方が切れるていどで済みます。 

DNAはどちらか一方の鎖さえ残っていれば、ほぼ100%修復する機能を備えています。 

この100ミリシーベルトを、LSSでは「わからなくなる」境目の数値ということでしきい値」(閾値)という言い方をしています。 

たとえば発癌率は、100ミリシーベルトというしきい値で被曝した場合でも、ガンの発症率は0.5%増えると言われています。 

この程度だと他の原因の中に紛れ込んでしまうので゛まるでくじ引きのようですね。 

Photo_2面白い実験があるのでご紹介しましょう。これは学習院大学の田崎春明教授が紹介している実験です。(上図 田崎教授による) 

これはガンが0.5%発症した場合の模式図です。くじ引きのガラガラ抽選機には200個の球が入っていて、赤い球、つまりガンが出る確率をみてみましょう。

左のガラガラの中には赤球50個、白玉150個が入っています。25%の確率ですね。これは一般のガンリスク25%を現しています。  

そして1個赤球を増したのが右側です。リスクは25.5%になったわけです。 ただ1人でくじ引きをすればこの確率どおりになります。

では、これが200人くらいの小学校くらいの単位で抽選したらどうなるでしょう。 

運命の赤玉を出すのは51人でしょうか?ところが、違うんです。 

ガンのくじ引きは、出た球をもう一回ガラガラに戻してよくシャッフルしてまたガラガポンせねばなりません 

こうしないとどの人も他人の結果とは無関係で同じ条件にならないからです。こうすると、いくらやっても結果が同じになりません 

入っている赤球が50個でも51個でも、赤球が出た人は58人だったり、40人だったりします。これは実際にやってみれば分かります。 

ただし、この抽選人数を増やせば増やすほど、赤玉率は平均化されていきます。数万人規模でやっと0.5%というガン増加率がおぼろにわかってくるくらいです。 

すると今度は、この数万人規模の環境は千差万別だという事情が生まれて、別の意味でややっこしくなります。 

つまり赤球が増えた原因が喫煙や心理的ストレスなのか、男女の性別なのか、職業上なのか、運動をよくするのかしないのか、家庭や職場、学校の環境はどうか、あるいは放射線なのか、もうリスク原因が沢山ありすぎてわからなくなってしまうのです。

これが低線量被曝により障害が発症するかしないか「わからない」というほんとうの理由です。 

そのために誠実な医師や科学者は、「100ミリシーベルト以下の低線量では発症リスクはわからない」というのです。つまり、「(リスクが少なすぎて)わからない」のです。゛

逆に、これを「低線量被曝で必ず障害が出るはずだ」などというほうが無茶でしょう。

これが「低線量被曝の影響はわからない」という放射線医学界の公式見解のほんとうの意味です。 

ところが、この「わからない」という表現を逆手にとって、「ほら見ろ、わからないんだから危険なんだ」と鬼の首をとったように叫ぶ人たちが絶えません。困ったことです。

この火のない所に火を着けるが如き人達こそ、福島県の人々にいらぬ精神的ストレスを与えてかえって発癌リスクを増大させているのです。

迷惑ですから、もういいかげんやめて欲しいものです。

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※LNT仮説(しきい値なし仮説)
図 原子力技術研究所による

Lnt放射線の被ばく線量と影響の間には、しきい値がなく直線的な関係が成り立つという考え方を「しきい値無し直線仮説」と呼ぶ。 

2019年3月14日 (木)

福島で甲状腺ガンが増えたように見えた錯覚

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今週は福島事故の及ぼした影響について、過去記事を再録しながら考えています。

本来は1週間では語りつくせないのですが、自分でも驚くほど膨大な数の記事を書いていますので、興味をもたれた方はカテゴリーから「原子力事故」「原発を真面目に終わりにさせる方法」を検索していただければ幸いです。

さて、いまなお福島でことあれかしと祈っている困った人が絶えません。

あたりまえですが、原子力問題はエネルギー問題です。

しかも地域電源の問題ではなく、日本という世界有数の工業国家の基幹電源の問題です。

ところが、反原発主義者の皆さんは、唯一の脱原発の回答として再生可能エネルギーに飛びついてしまったために、具体的にそこから一歩も先に進みません。

このテーマに関してはかつて「飯田哲也氏のメガ・ミスリード」と題して連載したことがありました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-1.html

エネルギー論争を回避して行く先は、常に福島事故の影響をこれでもかというほど誇張してみせて、国民を脅しつけることになります。

福島事故が悲惨であると叫べば叫ぶほど、まるで自分たちの主張が国民に浸透すると勘違いしています。

この人たちは、恐る恐る福島に来ると、「ヒロシマ・ナガサキ・チェルノブイリ・フクシマ」と叫んで、空気と土に触れないように駆け足で帰っていきます。 

そして必ずといっていいほど、この人たちは差別的にも、かならず福島と言わず「フクシマ」と表記します。

それはどうか福島県が「ヒロシマ」のようであって欲しい、どうかチェルノブイリのように悲惨であってほしい、もっと福島が地獄でないと困る、という願いが込められているからです。

元々は福島の人たちと連帯したいという気持がどこかにあったはずなのに、いまや不幸を願うようでは、もはや倒錯しています。

武田邦彦に並ぶデマッターである岩上安身などは、つい本音が出て、「お待たせしました、奇形が出ました」という醜悪極まるツイッターを出した経歴があります。

岩上の記念碑的なツイッターの現物を添付しておきます。

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反原発主義者は、まるで「フクシマ」がなくなると困るかのようです。

2011年夏という初期の段階で、既に完全ではありませんが、政府のホールボディカウンターを使った疫学調査結果は出ていました。  

・2011年9月末までの福島県の住民4463名の内部被曝の疫学調査結果
・最大数値であった3ミリシーベルト・・・2人
・2ミリシーベルト           ・・・・8人
・1ミリシーベルト以下     ・・・・4447人
 

セシウムが女性の卵巣に影響を与えるとすれば、750ミリシーベルト以上の被曝線量が必要です。それがチェルノブイリでの疫学調査の発症ラインだからです。  

非常によく誤解されていますが、放射線の有害性については、「分からない」と言う学者や政治家、評論家が今でもいます。

それは「発症するかどうかわかっていない」のではなく、確率論としてゼロとはいいきれないという科学の常識をいっているだけにすぎません。

実際には、放射能ほど疫学的実証データを持っている分野は、医学では稀なほどです。 

それは広島・長崎の長年に渡る膨大な数の疫学調査の蓄積があるからです。

さて今回の福島事故で注目されたのはセシウムでしたが、この放射性物質は筋肉などに蓄積する性格をもっていますから全身均等被曝します。一定の臓器に蓄積されることはありません。 

百歩譲って、卵巣にのみ蓄積されたとしても、福島の最大内部被爆量3ミリシーベルトは、チェルノブイリの750ミリシーベルトの、250分の1でしかありません。  

これで福島の女性が不妊になる、あるいは先天性奇形を出産することは断じてありえません。  

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また南相馬病院の坪倉正治医師と、東京大学の早野龍五氏によるホールボディカウンター(WBC)の測定と分析結果もあります。

南相馬で測定した約9500人のうち、数人を除いた全員の体内におけるセシウム137の量が100ベクレル/kgを大きく下回るという結果が出ました。これは測定した医療関係者からも驚きをもって受け入れられたそうです」 http://blog.safecast.org/ja/2012/09/dr_tsubokura_interview/

この調査の時にも実は4名の高齢者が1万ベクレルという高い線量を持っていました。この原因もわかっています。

「この方たちは、自分の土地で育てた野菜を食べていたこと、特に浪江町から持ってきたシイタケの原木から成ったキノコ類を食べていたということです。
原因がわかると防ぐこともできるので、この分析は有益なものだと思います。しかし、実際のところ、このように庭に自生したものを食べている人は、地元にはまだまだ多いと懸念されています。

キノコなどの地衣類は、降下した放射性物質を多くため込む性質であることが知られています。

では子供の被曝はどうでしょうか。

坪倉先生のチームでは、これまでに、いわき市、相馬市、南相馬、平田地区で子供6000人にWBCによる内部被ばくの測定をしました。親御さんの心配もあり、この地域に住む子供の内部被ばく測定の多くをカバーしています。(一番多い南相馬市で50%強です。)
6人から基準値以上の値が出ています。6000人に対して6人というのは全体の0.1%で、この6人のうち3人は兄弟です。基本的には食事が原因に挙げられるでしょうが、それ以外にもあるかもしれないそうです。
子供の線量について、坪倉先生はこう分析します。 「子供は大人に比べて新陳代謝が活発で、放射性物質の体内半減期が大人の約半分ということがわかっています。ですから、子供の場合は例え放射性物質が体内に入ったとしても、排出されるのも早いです」

国連科学委員会(UNSCEAR)福島事故最終報告書はこう述べています。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/unscear-0b78.html

「福島原発事故の結果として生じた放射線被ばくにより、今後がんや遺伝性疾患の発生率に識別できるような変化はなく、出生時異常の増加もないと予測している。
その一方、最も高い被ばく線量を受けた小児の集団においては、甲状腺がんのリスクが増加する可能性が理論的にあり得ると指摘し、今後、状況を綿密に追跡し、更に評価を行っていく必要があると結論付けている。甲状腺がんは低年齢の小児には稀な疾病であり、通常そのリスクは非常に低い

また環境省も福島の甲状腺ガンについてこんな報告書を出しています。

環境省は28日、東京電力福島第1原発事故による福島県の子どもの健康影響を調べるため、比較対象として青森、山梨、長崎の3県の子どもの甲状腺がんの頻度を調べた結果を発表した。
対象者数が違うので単純比較はできないが、福島と発生頻度が同程度だった」としている」(共同2014年3月28日)

原発運動は、今や原発が現実になくなるためにどうしたらいいのかを真面目に問う運動ではなくなっています。 

ただひたすらあるかないか言った本人すら分からない「健康被害」を叫びたて、挙げ句に「福島には住めない」です。 

ニューズウィークは、日本の反原発運動に対してこう評しています。  

この3年間は『空気』に揺り動かされるばかりで、日本は原発について建設的な議論を充分してこなかった

この「フクシマ」の悲惨の象徴とされたのが、甲状腺ガンの増加というプロパガンダでした。

2014年4月4日の記事を採録します。

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福島県で、小児甲状腺ガンが「激増」していると言う者がいます。確かに福島県の小児甲状腺ガンは、数値上は「増えて」います。

福島島県の県民健康調査では、事故発生時に18歳以下の37万人を定期的に調査していますが、受診した約30万中86人で甲状腺ガンが見つかっています。「疑い」を含めると109人になるそうです。

こういうことが発表されると、必ず反原発原理主義者の人達は、お約束でなぜか嬉しげに「福島はガンだらけになっている。政府はもっと悪いデータを隠しているんだ。福島はもう人間が住めない。逃げろ!」と絶叫します。

こういう人達に、落ち着いてこの数値を考えてみたら、といっても無駄です。もはや一種の「信仰」と化してしまっていているからです。

さきほどの約30万人中86人という数値が、福島第1の事故と関係あるのならば、その事故時の被曝線量と相関関係していなければなりません。

被曝線量が高ければ、沢山ガンが発症し、少なければ発症が少ない、という関係が成り立ちます。

あたりまえですよね。相関関係が認められれば、このガンは原発事故が原因なのです。

避難区域、浜通り地方(いわき市)、中通り地方(福島市)では、いずれも35人で推移しています。

はい、このとおり相関関係はありません。増えたというのは、検診の頻度が増えた為にすぎず、専門医が「自然発生型」に分類するタイプです。

これは、原発事故とは関係なく、成人になってからも発症する可能性があったものが、早期に出てしまっただけのものです。

たとえば、小児甲状腺ガンが「激増」していると言う者がいます。確かに福島県の小児甲状腺ガンは、数値上は「増えて」います。

これは、福島のガンのタイプの遺伝子変異のタイプを見ると裏付けられます。

チェルノブイリでは小児癌が多発しましたが、その遺伝子タイプと、この福島の検診で見つかったガンの遺伝子タイプに相似性があれば、原発事故との関連が疑われるからです。

調査した福島医科大学は、検診で見つかったガンは、大人の甲状腺ガンと同じタイプだと結論づけました。

つまり、自然発生型なのです。

甲状腺がんは、若い世代に多いのが特徴です。高校生くらいでも見つかるのは珍しくありません。

年寄りには、検診すればほぼ全員がなんらかの甲状腺ガンを持っているといわれますし、別に手術して取り除かなくてもいいケースが大部分です。

むしろ慌てて切除すると、以後一生甲状腺ホルモンを飲む必要が出てしまいますから、医師は切らないで、自然消滅を待つ選択をすることも多いそうです。

ちなみに、韓国は、日本の農水産品を輸入禁止にしていますが、自分の国では1993年から2011年までに甲状腺ガン患者が15倍に激増しています(笑)。

ひと頃ネットでは韓国のケンチャナヨ原発がとうとうボンっといっていたのを隠していたからかと騒がれました。

そうであっても、ちっとも不思議じゃないのですが、そうではなくて、韓国で予算がついたので検診回数と調査母集団を増えたからにすぎません。

ね、このように統計数字というのは、その背景を知らないと、印象操作になってしまうという例です。

小児ガンの5年後生存率は100%です。膵臓ガンの生存率が2%なのに対して、いかに大騒ぎする必要がないガンなのか分かりますね。

福島県は県民健康調査で、2011年から3年間の新生児の先天性奇形やダウン症、早産、低体重を調査しましたが、全国の発生率と変わりがありませんでした。

同じく、県内の地域ごとのばらつきもありませんでした。

もし放射能の影響ならば、事故の影響がなかった会津地域と中通り地域が同じはずがないのです。

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..                        (図 東海村ガン検診資料)

放射能によるガンは、4年から5年以上たたないと発生が見られません。

現時点では、気の毒というのもなんですが、反原発主義者の大きな「期待」を裏切って、「40万人がガンで死ぬ」といったうズビーの予言は、まったくはずれたようです。

県沿岸部の海中のセシウム濃度も、事故前に戻ってきています。

これでもなお、「福島の真実」で「鼻血はでているんだぁ」と今でも叫んでいる雁屋哲氏に対して、日本放射線影響学会は抗議文を出しています。

反原発主義者の皆さん。あと1年以内にガン発生のラインが上の表のように90度で垂直上昇しなかったら、もう手仕舞にしたらいかがでしょうか。

あなた方反原発原理主義こそが、福島復興のもっとも大きな障害物になっているのですから。

2019年3月13日 (水)

「福島のものは食べない」と言う前に

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福島原発事故から1年間、当時の民主党政権のリスクコントロールの致命的失敗によって、広範な放射能パニックが生じていました。

日本の震災瓦礫を西日本で処理するために搬送しようとするだけで汚染を拡大する気かと反対運動が起き、被災地の瓦礫を送り火にしようとする善意の動きすら阻止されました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-0375.html

人々は争ってガイガーカウンターを買い求め、東日本の食料を忌避し、母親による放射能学習会が無数に出来ました。

その教祖的存在になったのが、ほんの8年前すら忘れたかのように保守論客の顔をしている武田邦彦です。私はいまだこの男だけは許していません。

武田の当時の主張はこのようなものです。武田に忘れさせないために掲載しておきましょう。

原子力と被曝 福島で甲状腺ガン10倍。国は子どもの退避を急げ!
国は直ちに次の事が必要です。
1)高濃度被曝地の子どもを疎開させる(除染は間に合わない)、
2)汚染された食材の出荷を止める、
3)ガンになった子どもを全力で援助する、
4)除染を進める。また親も含めて移動を促進する。
5)「福島にいても大丈夫だ」と言った官吏を罷免し、損害賠償の手続きを取る。
日本の未来を守るために、大至急、予防措置を取ることを求めます。
2013年2月14日武田ブログ
http://takedanet.com/2013/02/10_6a83-1.html

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-73da.html

彼は「東日本は住めない」「福島から子供を疎開させろ」「東日本の食物は食べたら死ぬぞ」などという流言蜚語を大量に社会にまき散らしました。
参考資料http://www.gepr.org/ja/contents/20150309-01/

これをまともに受けた数万の家族が自主避難者になったのもこの頃です。彼女たちは住み慣れた家と地域を捨て根無し草になってしまいました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-f2f9.html

私の身近でも2所帯が西日本に逃げていきました。

残された「被曝」地で孤立する私たちに対しては、支援はおろか2011年春から夏にかけて激烈なバッシングが浴びせられました。

出荷物は東日本産であるだけで市場から追い返され、農家はトラクターで売れない作物を踏みつぶし、牛乳は地面に捨てられました。農家から自殺者すらでたのがこの時期です。

私のように自主放射線測定の結果をもとにして落ち着いて下さいと言おうものなら、社会の敵がここにいるぞとばかりに執拗なバッシングの嵐を受けたものです。

なおも発信を止めない私のブログには連日、「お前が農業を止めるのが一番の復興の道だ」とか、「お前は毒を送る無差別テロリストだ」というような罵詈雑言が連日浴びせられました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-6638.html

復興を大きく遅らせたのは、この放射能に対する流言蜚語護とそれを拡散した朝日、毎日、東京などのメディア、さらにはそれをコントロールできなかった当時の政府の度し難い無能にあります。

さてそれから3年たって起きた「美味しんぼ」事件において、社会が落ち着きを取り戻したことがわかりました。

それだけ東日本、なかんずく福島の人たちは孤立と苦悩の中から努力と知見を積み上げてきました。

本来は正しい情報を与えるべき政府がまったく役に立たず、むしろ復興の足を引っ張るようなことすらたびたび行いました。

たとえばベラルーシですら13年間かけて漸減させた放射線食品基準値を、わずか1年で欧米の平時の基準値より低い値に設定するなどは、ただでさえもがき苦しむ現地の人間の傷口に平然と塩をなすり込むが如きことでした。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-4e0c.html

その象徴的な風景は、「被爆」地を訪れた枝野官房長官は防護衣に身をくるみ、平常の事務服で迎えた村長たちとゴム手袋をしたまま握手しました。

の防護衣姿自体が、「被爆」地は放射能汚染地だ、近づくなというメッセージになってしまっていることに気がつきもしないのです。

官房長官としてという以前の人間性の問題です。

この風評被害を拡大させた人物が、いままた性懲りもなく「原発ゼロ」を掲げているそうですが、片腹痛いことです。

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メディアすらも風評被害の一翼を担ってしまったために、現地で生活し生産することを選んだ私たちは必死に現実になにが起きたのか、どのような事態なのかを手探りで自ら突き止めるしか術はありませんでした。

教室で学ぶのではなく、今ある自分が首まで浸っている危機から学ばざるを得なかったのです。

特に残留セシウムと健康との関係、作物との関係について、心ある少数の農学者や放射線の専門家と共に科学的に解明してしていこうとしました。

2014年6月3日の記事を加筆修正して再録します。これは福島県産のコメから放射線が検出された事件の原因を調べた時のものです。

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どうして低線量で高い線量がコメから出たのでしょうか?その理由も分かっています。 

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上図はカリと玄米中のセシウム濃度の相関関係を調べたものです。ちょっと専門的なのですが、こう報告書は述べています。
放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因と その対策について - 福島県(Adobe PDF)

土壌中の交換性カリウム濃度がK2Oにして25 mg  K2O/100g以上であれば玄米中にはセシウムはほとんど検出されず、10mg/100g土壌以下であれば基準値超えのセシウムも多く検出される」(同報告書)ということがわかりました。

カリウムはセシウムと似た挙動をする元素ですが、これをあらかじめ田畑に撒いておけば、植物はそれを先に吸ってしまうので、セシウムをこれ以上吸えなくなります。  

ちょうど事故初期に出るヨウ素131の甲状腺への吸収を妨げるために安定ヨウ素剤をあらかじめ飲んでおいて、甲状腺ガンを予防するのと原理的には一緒です。  

カリウムは農業でよく使われる肥料だったために、放射能対策として利用する前から散布されていました。  

そのために、驚くほど放射性物質が作物に吸収されなかったのです。 

もうひとつは土壌の性格です。  

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 セシウムを固定する粘土鉱物が多く含まれる土壌では、セシウムは吸着固定され、玄米への移行割合は低くなります。(上図参照)

これは堆肥がよく入った土壌は、腐食物質(※)がマイナスイオン電荷なために、セシウムのプラス電荷粒子を吸着し、粘土質の細孔 に封じ込めしまうためです。
腐食物質 土壌中の植物質が微生物によって分解されたもので肥沃な土を作る基礎的成分のひとつ。

この粘土にセシウムが結合しやすいことは、農水省飯館村除染実験のデータにも報告されています。(下図参照)
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf

放射性セシウムは粘土やシルトなど細かい土粒子に多く結合している。」(同報告書)002

つまり、粘土質の土は、電気的にセシウムを吸着し、物理的に封じ込めています。

ただし、同じ粘土質土壌でも上図のように雲母由来ではないモンモリロナイトなどはセシウム吸着力が低いので注意が必要です。

また粘土鉱物や腐食物質(が少ない砂質土は注意が必要です。よく11年産コメにセシウムが高い線量で検出された谷津田上部の沢水口田んぼは、砂質土壌が多かったようです。

ですから、ゼオライトなどの吸着補助土壌改良材を使用する場合、自分の畑や田んぼの土質をよく検査して見極める必要があります。

つまり、セシウム吸着性の高いバーミキュライトやイライト土質ならば、ゼオライトの補助はいりませんし、吸着性の低いモンモリロナイトならば使ったほうがいいでしょう。

とまれ、これで今までの測定で、同一地域において空間線量が同一なのにかかわらず、なぜ作物の放射線量が違うのか疑問視されていましたが、これで氷解したわけです。

ただ念のためにお断りしておきますが、これはあくまで 土壌線量自体を計測した場合には結果で現れません。

そりゃそうでしょう。「美味しんぼ」の山岡がいうように別にセシウムが「消滅」 したわけではなく、植物が「利用するのを阻止しただけ」ですから。

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                (スピリッツ24号より 無知を自慢している山岡)

これは本質的なことですが、現況で降下した放射性物質に拮抗した人間の営為を続けるためには、それが最善とまで言わぬにしても、次善の道なのです。

それを荒木田氏のように変に完璧主義で、「除染しても無駄だ」などと言ってしまえば、もう放射能に負けを認めたに等しいのです。次善を知るのは人の知恵です。

余談ですが、スピリッツ番外篇に「美味しんぼ」応援団で登場した「チェリノブイリへのかけはし」の野呂美加氏が、「EM菌で放射能が分解する」などというようなことを言っていますが、ナンセンスです。

ミミズなどの土中生物は、土ごと体内に取り込みますから、一定の封じ込めの役割をしますが、微生物は腐食物質を分解して団粒構造を改善することはあっても、それ自体で放射性物質を分解するわけではありません。

福島事故の陰で彼女のような疑似科学がはびこっています。ご注意下さい。

このように、セシウムの性格を知って、カリウムの施肥、土壌を粘土質にし、有機質を入れていく土壌改良があれば、セシウムなど「恐怖の大魔王」ではないのです。  

それは、下図の福島県2012年度の全袋調査という不撓不屈の記録にも現れています。  

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 全量全袋検査は既に1000万検体以上に達していますが、その中で基準値(100Bq/kg)超えはわずか71袋、0.0007%でした 

逆に言えば、99.9993 %は安全でした。  

この結果を見れば、先日のコメントにあったような、「全国に送られて放射性物質は拡散し続けます」「税金など使わずにさっさとやめろ」などというバカな暴論は吐けないはずです。

どうも反原発派や低線量被曝脅威派は、不安情報にはトリビィア的に詳しいようですが、自然の働きとなるととんと無知なようです。 

武田氏は土壌のことなどまったく無知ですからね。

低線量被曝脅威論者の皆さん、もう少し放射能と自然の摂理を基本から学べば、気が楽になります。

2019年3月12日 (火)

ドイツの脱原発に見習えですって?

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3.11の頃になると、なにを勘違いしたのか、ドイツの脱原発を見習えと主張する人たちがまたぞろ出てきます。

昨日の放射能についてもそうでしたが、彼らには致命的に実証精神が欠落しています。

ドイツが脱原発をやってどうなったのか、今どのようになっているのか、あるいはドイツを模倣したFIT制度の現状はどうなったのか、検証しようとしていません。

現実に立脚しない、現実を見ようとしない、現実とは無関係な「原発ゼロ」イデオロギーに浮かされた熱病の産物なのです。

2014年7月23日の記事を再掲載します。

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安直に原発を止めて、その勢いで温暖化ガスである化石燃料発電もやめてしまい、いっそ全部をクリーンな再生可能エネルギーにしてしまえば「安全・安心」だと言う人がいます。

もっぱら言っているのは、反原発派の人たちと野党ですが、たぶん原発問題を政局としてしか捉えておらずに、エネルギー問題だと考えていていないのではないのでしょうか。

菅直人氏の置き土産である、再生可能エネルギーの固定価格買い上げ制度(FIT)は崩壊の淵にあります。

直接の原因は電力会社の買い取り制限です。

太陽光による電力の急増による送電設備の容量オーバー、発電の気象条件による周波数の乱れによって大規模停電などの怖れが出たからです。

既に大手電力10社のうち、中部、北陸、中国以外の7社が、受け入れ中断、あるいは、制限を実施する事態となっています。これを受けて経産省は、固定買い取り制度の見直しに着手しました。

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そもそも菅首相は、「友人」である孫正義氏を「忖度」して、孫氏の言うがままに世界一高い買い取り価格を設定しました。

当初はなんと40~42円/kWh、現在は下がって32~37円/kWhです。

こんな馬鹿げた投機的価格をつければ持続可能エネルギーどころか、持続不可能エネルギーに堕するのは目に見えると、私は初めから指摘していましたが、そのとおりとなってしまいました。

●2014年に行われた経産省の見直しの内容
①太陽光による電力の価格を大幅に下げ、地熱などを相対的に優遇する。
②地熱発電による電力を優先的に買い取らせる。
③大規模太陽光発電につき、FIT適用のための認定を一時停止する。
④太陽光発電への新規参入や発電施設の新増設の凍結。
⑤買取価格に入札制度を導入する。
⑥電力会社が再生可能エネルギーによる電力を受け入れなくてもよい期間を30日からさらに延長する。

しかし歯止めが掛からず、いまや半分本気で「発電税」をかけるしかないという声すらあがっています。

当初のウルトラ高値の買い取り価格を、市場価格にみあって平準化し、新規参入を抑制させることが狙いです。

それにしても当初から予測可能なことばかりで、初めから政治的に押し込まずに専門家が検討を繰り返していればよかったことばかりです。

たとえば、次の目玉とするつもりの地熱発電を電源の0.3%(2012年)であったのを、2030年までに1%にまで引き上げるということを言っていますが、これも失敗に終わるでしょう。

確かに太陽光や風力と違って安定していますが、火山地帯に集中すれば当然限られた水蒸気は枯渇し地盤沈下の恐れがあるとして温泉業者団体から強い反対があります。

2030年度までに再生可能エネルギーを2割にするなどという空論は止めて、一定の枠内で丁寧に育てていく方針に切り換えるべきです。

原子力発電はあたりまえですが、エネルギー問題であって思想問題ではありません。

エネルギーは社会インフラの基本中の基本なので、抽象的にイエスノーを言ってはいけない問題なのです。

電気が来なければ社会の生産活動がすべて止まります。来たり来なかったりすれば、工場のラインはそのつど停止、再起動をするためにオシャカの山を築きます。

周波数の安定が要求されている社会でこんなことが起きれば、日本の製造部門は壊滅状態になるでしょう。

実際にドイツは原発を半分止めただけで、企業の国外移転が相次ぎました。

それでもドイツはヨーロッパ広域送電網によって周辺国から電気をもらえるからマシでしたが、日本はそれもできません。

こんな国からは生産部門は逃げ出し、やがて人も逃げ出すことでしょう。

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再生可能エネルギーが化石燃料や原発に代わる基幹エネルギーにするというのはファンタジーに過ぎません。

再生可能エネルギーは正しく社会に位置づければ有意義な電源ですが、過剰な期待をかければ社会的ダメージは計り知れません。

それは自然由来故の、克服しようがない「ブレ」があるからです。これではベースロード電源になるはずがありません。

ですから、風力発電を持つ地域の電力会社は、大風が吹くと大量に送り込まれる電気を拒否したり、逆に風がなければ火力を増加させるというバックアップに振り回されています。

まぁ、制度の心配もさることながら、いまや太陽光パネルの大部分を占める中国製の安物が、簡単に故障しては修理部品もなくなっているようですので、野山にはパネルの残骸が醜く放置され環境破壊と自然災害のの原因となっています。

また太陽光発電を名目にした、中国の土地買い占めが大変な面積に登っていることもわかりました。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170604-00000017-pseven-soci&p=1

「昨年1年間で外国資本に買われた森林は実に“東京ディズニーランド15個分”(777ヘクタール)
4月28日、農林水産省が発表した調査結果が永田町や霞が関に衝撃を走らせている。買収された森林の多くは北海道で、香港・台湾を含む中国系の土地取得者による買収面積が81%にものぼる。実は本州でも今、ある事業を名目とした中国系資本による土地取得が進んでいる。それが「太陽光発電」だ。電力事業関係者が説明する」
 

さて、再エネ(再生可能エネルギー)がなぜ基幹エネルギーにならないのか、考えてみましょう。 

結論から言えば、発電量の「ブレ」の激しさが致命的なのです。「自然を資源」としているわけですから、気まぐれが激しいのです。  

下図は、東京電力浮島太陽光発電所の発電量の時間推移のグラフです。12時頃をピークとして崖型に発電量が推移するのがわかります。  

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 (図 東電による) 

6時以前と4時以降はまったく発電を停止します。曇りと雨でも稼働しなくなります。 

ちなみに、このグラフは太陽光発電が活発な春3月のグラフです。 

冬や梅雨などはもっと悲惨なことになって底浅フライパンのような形になりますが、反原発の皆さんがショックを受けるといけないのでいちばんいい季節を選びました。  

春は太陽光のベストシーズンで、利用側もエアコン使用がないため電力需要にも余裕があります。  

ただ残念ながら、これからの夏の気温上昇はパネル内の温度上昇により電気抵抗が増すので効率が下がる季節です。  

燦々と太陽が降り注いでいるのに案外発電をしません。にかかわらず、ご承知のように1年でもっとも電力需要がピークを迎える季節です。  

つまり、太陽光は一番必要とされる時には発電が減るという宿命的な欠陥を持っているクセのある電源だということです。  

ですから、「発電量」公称1メガワット(100万ワット)と発表されていても、実態の実発電量はその7から10分の1にすぎません。  

中とって8分の1として、公称1MW太陽光発電所の実発電量は0.12MW(メガワット)にすぎません。  

ここまでを整理しておきます。

①再エネの「定格出力」、あるいは「最大出力」はカタログデータ。実際はその時間ごとの発電量にすぎない。実効発電量は、定格出力の約8分の1から10分の1ていど
②太陽光発電は6時以前、4時以降は発電しない。冬や梅雨、夏の盛り、曇りや雨の日は絶望的
発電量が極端に貧弱。日本最大の浮島・扇島発電所の1年間の発電実績は、柏崎原発1号機のわずか16時間分ていど
④発電量を人為的にコントロールできないので、必ず火力などのバックアップ電源が必要
⑤出力と周波数調整のために、大容量NAS(ナトリウム・硫黄)電池が必要

発電量のブレは宿命だとしても、最大の問題は蓄電コストてす。

つまりメーカーの日本ガイシさんに言わせれば、大規模蓄電なんてやりゃやりますが、とんでもなく金がかかりますよ、ということです。  

kWh単価(コスト)は、リチウムイオン電池20万円、ニッケル水素電池10万円、鉛電池5万円、もっとも安いNAS電池で2.5万円 です。  

したがって、1万人規模の街の電気を蓄電するためには、もっとも安いNAS電池ですら1日で約15億7千万円ほどかかってしまいます。  

1か月で約532億円ていどかかります。 もちろんこんな計算もまた机上の空論にすぎません。 

というのは、本来の再エネにおける蓄電技術は、丸々蓄電する目的に作られたものではなく、再エネ特有の出力や周波数の「ブレ」の調整の為にあるからです。 

その日の予定以上に多く発電した場合は、多少貯めておいて、まったく発電できない時にそれを出すというような目的です。 

蓄電池もそれに応じた規模のものをつけてやればいいし、現実にもそうなっています。  

そもそも、反原発派には、原発問題をエネルギー問題として捉えていません。彼らの主張は、結局は「原発は危ない。だから原発ゼロ」のただ一点だけです。  

それが故に、予想される大災害時、あるいは夏のピーク時に必要なライフライン確保のためには、ギリギリの電力予備率では危険だという自覚がないのです。 

現在(2014年現在)、夏の電力予備率は関西電力で3%を切り1.8%という危機的状況です。  

まして、わが国が脱原発政策のために再エネが6割(※ドイツの目標値)などという頭のネジが飛んでしまったような政策をとったら、絶望的な事態になります。 

電源予備率はまちがいなく大幅マイナスになっているでしょうから、ピーク時や災害に極端に脆弱な国になっています。

産業が国外に流出し、国民生活が高い電気代によって圧迫されては、なんのための「原発ゼロ」だかわかりません。

国破れて太陽光パネルあり、では困るのです。

このように再生可能エネルギーは、とうてい原子力の置き換えには不向きな電源にすぎないのです。

申し添えておきますが、再エネは国家規模の代替エネルギーには不向きですが、限られた地域内で、しっかりした定量を発電し続け、なおかつ調整可能な電源にバックアップされれば有望な電源ではあります。

急進的にエネルギーの過半を再エネにしてしまおうとするから、かえって自然エネルギーの良さを取り出せないのではないでしょうか。

2019年3月11日 (月)

福島にはもう住めない、行くなと言った人々は自然の浄化力を知らなかった

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今日であの忌まわしい東日本大震災と福島原発事故から8年になります。今も約3100人がプレハブ仮設住宅で過ごし、約5万2千人が避難生活を続けています。

これだけ復興が長引いた原因の一つに、一部の人たちが「福島」を恐怖のシンボルとして祭り上げてしまったからです。

彼らは口を揃えて「フクシマには人は住めない。フクシマには行っていけない。フクシマのものを食べてはならない」などと言って、恐怖を煽り立てました。

今でも数こそ減りましたが、そのような人たちは残存しています。 

朝日、毎日、東京などのメディアは訂正記事のひとつも出さずに、平然と口をぬぐっています。

朝日は鼻血報道をした「プロメテウスの罠」の記事の謝罪広告を掲載し、それでもらった賞は遅ればせながら辞退すべきです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-10db.html

ちなみにこれらの放射能プロパガンダをしたメディアと、辺野古移設反対を応援するメディアはなぜか見事に重なっています。

とまれフクシマに行くなという被災地差別まがいのことを言う人はさすがに減っても、福島県産のコメを不必要に恐怖したりする人は今でも絶えないようです。

一方、多くの国民は不必要に恐れることはなくなりましたが、それは政府の除染作業の結果だと思っています。それは間違いです。

むしろ1ミリシーベルトを目標とした除染は、莫大な費用をかけてむしろ復興を遅らせました。

真に、フクシマを清浄化したのは、自然の日常の営みによるものです。

この事実に触れた記事はいまだにあまり少なく忘れ去られようとしているようですので、あえて3年前の記事を再録することにしました。

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下の画像は、「美味しんぼ」2014年5月のスピリッツに掲載された『美味しんぼ・福島の真実』です。 

当時私はこの掲載と同時に強く反論し、ミニ炎上までした記憶があります。 

ここで登場するのは、福島大学の現役教員である荒木田岳氏ですが、きわめて断定的に「福島は住めない論」を、雁屋哲氏に吹き込んだ人物のひとりです。 

彼の言動を見ていると、典型的なデマッターがたどることを言っています。 

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 (週刊スピリッツ2014年5月「美味しんぼ・福島の真実」より 以下同じ)

彼らは大げさに騒ぎ立てるだけで、地道な実地計測をしていません。するとしても、せいぜいが、市販のガイガーカウンターで街の通学路の側溝か、近所の河川敷を計るていどです。 

特にこのような人たちは側溝、つまりはドブがお好きなようで、なにかというとこのドブの泥土にくっつけんばかりにして計測しています。 

側溝は、街路や家屋の放射性物質が流れ込むためにホットスポットになるに決まっている場所です。 

週刊現代、上杉隆、グリーンピース、反原発団体などやり口はすべて一緒で、センセーショナルに騒ぎたければ、ドブで計ります。 

ですから側溝の計測記録を出して来る人がいたら、まず眉に唾をつけて下さい。ほとんどが、ことあれかしのデマッターですから。 

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降下した放射性物質は、屋根や道路面にいったん溜まり、その後に雨で雨樋から側溝、下水施設、あるいは用水路から川へと流れ、最終的には海に流れ出して希釈されていきます。

途中の各所では、堆積物として徐々に溜まっていくわけですが、そこでは堆積が重なるために濃度が必然的に高くカウントされることになります。

ですから、荒木田氏が持ち出した下水道は非常に特殊なスポットで、イコール街全体の汚染そのものではないのです。

別に「住めない福島」だけの問題ではなく、東京都の下水処理施設ですら同じでした。

東京都下水道局

上図のように、東葛下水処理場などは、事故から1年たった2012年3月でも未だ1万ベクレル/㎏を超えています。

放射性降下が微小だった神奈川県の下水処理施設も同じでした。溜まるのです、下水施設は。

では、「東京も神奈川も住めない」と言うべきなんでしょうか。わけはありません。(実際に神奈川からも多くの自主避難者を出しましたが)

下水道や処理施設の汚泥の粘土分子は、強力なセシウム・トラップです。※トラップ 特定の物質を捕獲して封じ込めること。

泥や粘土は分子構造の中に放射性物質を封じ込めてしまいます。

ですから、人間には利用できません。

よく放射能はなくならない、移動するだけだという人がいますが、たしかに半減期まで減りはしませんが、人間の活動からは隔離されて利用できなくなります。

できない以上、放射能を遮蔽したのと同じことです。

どうしてこう簡単なことが:分からないのかと、かえって不思議なくらいです。

この人たちにとっては、放射能は民俗学でいう「ケガレ」みたいなもので、いったん汚染されたらもう半永久的に「汚い」のでしょうね。

さて、荒木田氏たちはこれだけ恐怖の大魔王みたいなことを仰せになるのですから、トータルな汚染状況を調査しているのかといえば、そうでもなさそうです。 

本格的に、農村に分け入って谷津田を一枚一枚計測したり、阿武隈山系の森林を踏査しようという努力をはらっていないくせに、まるで預言者のように「福島は除染しても住めない」などと平気で言う神経がわかりません。

この「美味しんぼ」事件の反論で、私が一番力点を置いたのは、放射能は自然のエコシステムの中で、有効に無力化しているということです。

荒木田氏は、下のように河川を除染しろとか、海に出るの阻止しろとか言っていますが、少しは真剣に湖沼や水系の浄化に取り組んでいる研究者の話を聞くべきでしたね。 

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私は2011年夏、霞ヶ浦の環境保全に関わる地元大学の専門家と共に霞ヶ浦や付近の河川や水田などを実測調査したことがあります。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-8e5d.html(6回連載)

河川で有意な放射線量がわずかに測定されたのは事故直後だけで、それは静かに移動して湖や海に流出していることがわかりました。

では荒木田氏のいうように、「海に拡がるのを阻止」する」必要はあるのでしょうか。

ありません。それは水系の仕組みをみれば理解できます。荒木田氏などが考えているように山や街に降った放射性物質が、キャッホーと一気に河を経て海に流れ込むわけではないのです。

山に降った放射能は、水田に流れ込み、用水路を経て河川に流れ込みます。その過程をひとつひとつ検証せねば、「福島が住めない」などと安直にいえないはずです。

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座間市HPより

では順を追ってご説明していきます。

できるだけ専門用語を使わずに、図表を使って平明に解説します。

荒木田氏から「いくら街を除染しても、すぐに山から汚染水が流れてくる」といわれた、山系に降った放射能汚染はどうなっているのでしょうか。

実は阿武隈山系には、研究者の実地調査が何度も入っています。

まずは、もっとも初期の11年9月に、福島県山木屋地区標高600mの福島第1原発側斜面で、新潟大学・野中昌法教授が行なった土壌に対するセシウムの沈着状況の計測結果です。

Photo『放射能に克つ農の営み-ふくしまから希望の復興へ』より 

●山木の土壌の放射性物質分布
・A0層(0~7㎝)・・・・98.6%
・A1層(7~15㎝)・・1.4 (2011年9月測定)
 

このように、放射性物質は微生物が分解中のその年の腐植層(A0層)に98.6%存在し、その下の落ち葉の分解が終了した最上部(A1層)には達していないことが分かりました。 

事故後、福島の山間部では、この森林に降下したセシウムが、A0層とA1層の間にある地中の水道(みずみち)を通って雪解け水となって流れ出していくものと推測されます。 

セシウムは、葉と落ち葉に計71%が集中しており、それは地表下7㎝ていどに99%蓄積されていました。 

畑以上に表土に結着した量が多いようです。これは山の表土がトラップに有効な腐食土に覆われているためだと思われます。

言い換えれば、山は畑以上にトラップ力が強いようです。

大部分は土中にトラップされますが、2011年に降った放射性物質の一部は沈下せずに、むしろその下の去年の腐植層との隙間を流れ出したと思われます。 

いわば、初年度の汚染水は大部分を土壌に残留し、土壌分子に固定されながら、一部が地表を滑ったような形で下に流れ落ちたのです。

国立環境研究所は筑波山における調査に基づいて、この山からの流出量は「事故後1年間の放射性セシウムの流出量が初期蓄積量の0.3%だった」と述べています。
http://www.nies.go.jp/shinsai/radioactive.html 

わずか0.3%であっても汚染物質は、山と里地との接点である谷津田の水口(みなくち)を汚染しました。

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私たちの地域での自主計測会の様子 ガイガカウンターをビニール袋に入れて計測している。筆者撮影

下の谷津田のデータは同じく野中教授らのグループが測定したものです。

11年度米で、もっとも多くセシウムが検出されセンセーショナルに騒がれたのは、谷津田水口周辺でした。

Photo_3

左手手前が水口。下にいくと水尻。ここから用水路に入り、河に出て行く。この写真は二本松ではありません。筆者撮影

放射性物質を含んだ山からの水は、まず水口でトラップされ、下へ流れるに従って減衰して、より下流の水路や河川に流れていくのがわかるでしょう。

福島県二本松・放射性物質が玄米で500bq検出された水田付近の測定結果
同上の空間線量(マイクロシーベルト)
・水口・・・・1.52
・中央・・・・1.05
・水尻・・・・1.05
同上土壌線量(ベクレル /㎏・セシウム134・137の合計)
・水口・・・・6200
・中央・・・・3900
・水尻・・・・2600

 しかも、事故から5年近くたった現在は、この11年の汚染された山の地層の上に、さらに新たな腐葉土の地層ができたために、11年の地層は50㎝以下に沈下しているはずてす。

これによって、事故直後山の表土を滑り落ちる汚染水の流出量は、今はほぼ途絶えたか、激減しているはずです。

さてこの山からの汚染水は谷津田を経て用水へ、用水から川へと流れこみます。ではこの河の汚染状況はどうでしょうか。

Plaza阿賀野川 http://www.hrr.mlit.go.jp/agano/kangaeru/tushinbo/2009/places/06_g-agmzpl.html

これについても゛新潟県が2011年に調査したデータがあります。

そしてほぼこの底土、護岸部分にトラップされたために水質自体の汚染は非常に低く、河口での線量は著しく減衰しているのがわかります。

阿賀野川放射性物質調査結果 2011年新潟県http://www.pref.niigata.lg.jp/housyanoutaisaku/1339016506464.html
1 阿賀野川の河川水
  5月29、30日に、上流~下流の7地点の橋で採取した河川水から、いずれも放射性セシウムは検出されませんでした
これまでの阿賀野川水系の淡水魚の測定結果
8魚種で検査を実施 不検出~49ベクレル/kg
2 阿賀野川の底質(泥等)(別紙1参照)
  5月29、30日に、上記7地点の橋から採取した川底の泥、砂等の10検体を分析し、最大68ベクレル/kg湿の放射性セシウムを検出しました。
3 阿賀野川岸辺の堆積物
  5月29日に、川岸3地点で試料を採取し分析したところ、中流の岸辺で表面から深さ30~40cmの層で採取したものから最大232ベクレル/kg湿の放射性セシウムを検出しました。

 私が述べたように、河川水からは検出されず、川土や川岸からのみ検出されています。 

これはセシウムの特性が水に溶けにくい性格のためです。これは農水省飯館村除染実験時の調査記録にも記されています。

下の計測図を見ていただくと、表層の粘土がもっとも多くセシウムをトラップし、その下のシルト(粘土が混ざった層)はそれにつぎ、砂質になるとまったくといっていいほどトラップしなくなるのがわかります。

だから、セシウムは地表5㎝前後の部分に多くあったわけです。

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http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf

この飯館村除染報告書はこう述べています。

「放射性セシウムは農地土壌中の粘土粒子等と強く結合しており、容易に水に溶出しない。一方、ため池や用水等、水の汚染は軽微である。」

つまり、放射性物質は河に流出したとしても、水に溶けにくいために底土、岸に吸着してしまい、水質汚染につながりにくいのです。

というわけで、新潟県の阿賀野川の計測結果で水質汚染がなかった理由がこれです。

では、これを荒木田氏が言うように、「除染に意味があるとしたら河川の除染だ」というようなことをしたらどうなるでしょうか。

除染方法が具体的に述べられていないのですが、河川や湖沼では底土を大きなポンプ浚渫船で吸い込むしか方法はありません。

つくづくこの「福島住めない論」の荒木田氏は、なにも知らない人だとため息が出ました。

Photoポンプ浚渫船 http://blogs.yahoo.co.jp/crazyfloater/33522132.html

こんなことをしたら、せっかく河口や底土、あるいは岸の土壌に決着してトラップされているセシウムは攪拌されて、泥と水が混ざり合って、元の木阿弥です。

このように河川の「除染」は意味がないばかりか、かえって汚染の拡散となってしまうのです。

ですから、環境省は福島県、茨城県の湖沼や河川の除染にはあえて手をつけていません。

河川以外にも、一部は下水路から処理施設へと向かいますが、この段階で処理場汚泥に沈殿するのは冒頭に見たとおりです。

このように山から流れた汚染水は、森林から海への長き道のりを辿って各所で「捕獲」されて封じ込められていっています。

そして海にたどり着いた放射性物質も、海流で沖まで持っていかれ、海流に乗って拡散していきます。

このような複雑に絡み合う日本のエコシステムは、放射能という新たな敵に対しても健全に機能し、放射性物質を各々の持ち場で封じ込め、次の場所に譲り渡していったのです。

これが自然生態系の外敵に対する防衛機能です。

そしてこの自然のトータルな協同の力によって、放射能物質はいまや見る影もなく衰弱していました。

今国が民主党の置き土産としてやり続けている「除染」作業は、この自然の摂理に従ったセシウムトラップの数億分の1の働きもしていないでしょう。

人間のやることが、いかに虚しいものかお分かりいただけたでしょうか。

福島をカタカナで呼んだりする行為そのものが、復興を妨げたのです。

2019年3月10日 (日)

日曜写真館 昭和の街角

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2019年3月 9日 (土)

ゴーン釈放の笑劇

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私はカルロス・ゴーンという人をみそこなっていたようです。あの人はやっぱりミスタービーンだったんだぁ!

笑いをとるために身体を張る大富豪!なんて得難いキャラでしょうか。 

これだけインパクトがあるキャラを、拘置所なんかに入れておいたらもったいないでしょう。 

ともかく、変装して出てくるという日本の司法史上まれにみるギャグを飛ばしてくれただけで、拍手です。

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だいたい、あれだけ目立つ目元が隠れていないんですから、笑えます。 

その上にダミーの黒塗りの車を玄関に待たせておいて、自分はスズキの軽ワゴンに乗り込むという爆笑ものの大作戦です。 

しかも念の入ったことには、その軽ワゴンの屋根には脚立が載せられ、運転手もゴーンと一緒の作業服ですから、おもわずうなりました。

もはや変装大作戦。しかもバレることを前提にしていると思えるほどバレバレ。私はそこにフレンチ・コメディの伝統すら感じたほどです。

10億円の保釈金を即金ではらえるような大富豪なんですから、特殊メークアップアーティストのひとりくらい呼べばよかったのに、ちょっと残念。

保釈金10億円と言われると、NHKが札の山を築いたくらいに私たちには縁遠い金額ですが、ゴーンの過去の所得からすれば鼻毛のようなもの。海外に既に移動している私財のごくごく一部でしかありません。

むしろ安すぎるようなものです。 

3https://bluesea0925.com/news/6404/

メディアによれば、これは交代したばかりの高野隆弁護士の入れ知恵だったといいますが、違うでしょう。 

もし高野弁護士が言われるような「カミソリ」ならば、このような欺瞞行為によってかえってゴーンの怪しさが印象づけられてしまったからです。

日本司法史上前代未聞のことを主任弁護人が画策したのなら、日本人を知らなさ過ぎます。

これで日本人の心証は真っ黒となりましたから、やはりゴーン当人の発案なのかもしれません。ま、どっちでもいいですが。

フランスメディアに受けたいならば、不精髭も痛々しくヨレヨレの白いワイシャツ姿に身を包み、よろばうようにして車まで這っていかなきゃウソです。 

これでこそ「人権後進国ニッポン」による長期間拘留と戦ったジャンバルジャンじゃございませんか。

ならばいっそのこと、拘置所正面玄関で黄色のベストをつけてレ・ミゼラブルの『民衆の歌』のひとつでも朗々と歌って欲しかった。 

そしてフランス人得意の大演説のひとつでも。

Photohttps://globe.asahi.com/article/12004260

保釈請求が何回も裁判所から拒否されたことを不当だと言っている人がいますが、何を言っているのでしょうか。

解任された前弁護団はゴーンの海外渡航を要求していました。なにせゴーンは前の保釈申請では海外で暮らしたいと言っていたわけで、これで保釈が認められるわけがありません。

なぜ保釈が拒否されたのかといえば、初公判がある前までの時間を使って被告人が口裏合わせや証拠隠滅ができてしまうからです。

今回の保釈には厳しい制限が付けられていますが、その気になればゴーンはフランス大使館に逃げ込むことも可能です。

もっともこれをやったら、主権侵害としてわが国は国家の面子にかけて友邦フランスと対決せねばなりませんから、いささか考えものです。

今なにせ、北朝鮮の瀬取り監視に、今までの日・米・英・加・豪に加えて、今月からフランスもフリゲート艦を送って協力してくれることになったばかりですから。

え、どこか肝心な一国がたりないだろうって。あ、当事国の韓国ですか、あそこは妨害だけには熱心ですがねぇ(ぬるい笑い)。

できたらゴーンさんには、ご自分の国籍国であるレバノン大使館に逃げ込むことかをお勧めします。

レバノンは犯罪者引き渡し条約の未締結国ですから、あんがいウェルカムしてくれるかもしれませんしね。

そのうえ外国メディアはゴーン贔屓ですから、悪辣なニッポン司法の鼻をあかしたとしてヤンヤの喝采をするかもしれませんから、一度お試しを。

ただこれをすると日本の司法にとって、罪状を認めたのも同然、心証真っ黒となりますがね。

私があながち、フランス大使館に逃げ込むことを絵空事だとおせえないのにはわけがあります。

それはこの事件が国際犯罪であって、その背後にはフランス政府のなんらかの意図が隠されていると思われます。

いわばゴーンは、大きな国際的な経済犯罪のひとつの駒にすぎないかもしれません。

外国メディアにバッシングされて日本の司法制度改革などを焦点するより、むしろこの事件の本質は別のところにあるのです。

ちなみに私は日本の司法制度にはいいたいことはたくさんありますが、この問題においてそれこそが論点ではありません。

これについては、別途に記事にしたいと思っていますので、今日はここまでとします。

■紙面を模様替えをしました。春なのに、寒そうな樹氷もないもんだと思いましてね。ただ題字が赤くなったのはまいったなぁ。

ついでといってはなんですが、写真も春らしいものに差し替えました。これで全面ピンク。

 

 

 

 

2019年3月 8日 (金)

米朝、一周回って元の場所に

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ハノイ会談前の楽観一色から一転して、一周回って元の場所に戻ったという感じです。 

北朝鮮がまたぞろ核ミサイル開発を再開したような様子です。やれやれ。それを報じる中央日報です。 

中央日報はサムスン系ですが、北の核開発については、日本のメディアなど足元にも及ばない丁寧なフォローをしています。 

まぁ、いくら丁寧に報じても、お国の大統領はあさってに向けてひた走っているんですがね。 

「北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)生産関連核心施設、平壌(ピョンヤン)山陰洞ミサイル総合研究団地で、ミサイル開発に関連する特異な動向が確認されたと、徐薫(ソ・フン)国家情報院長が明らかにした。
野党側の情報委員によると、徐院長は5日の国会情報委員会の懇談会で「山陰洞ミサイル研究団地で物資運送用車両の活動が確認され、関連動向を鋭意注視している。事実上ミサイルに関連する活動をしているとみている」と明らかにしたという。平壌山陰洞研究団地は米本土を打撃できるICBM級「火星15」などICBM2基を生産した核心軍事施設」
(中央日報3月7日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190307-00000001-cnippou-kr

Oofbmoue中央日報前掲 

さらにもう一カ所の核施設の再開も、38ノースと米戦略国際問題研究所(CSIS)が同時期に確認したようです。 

この山陰洞兵器研究所は、かのICBM火星14が製造されたプラントです。 

1092a2d6http://zapzapjp.com/04northkorea-hwasong-14.html

F4d0dde66136098dcbaac0db43080c76_15https://article.auone.jp/detail/1/4/8/89_8_r_20190307_1551912901972344

山陰洞兵器研究所だけにとどまらず、東倉里ミサイル発射場も再開したと見られています。 

Newsweek_20190306_103945thumb720xau韓国の情報機関、国家情報院(NIS)は、北朝鮮が解体した東倉里のミサイル発射施設の一部を修復している兆候を検知した。聯合ニュースが報じた。写真は3月2日時点の東倉里ミサイル発射施設を撮影した衛星写真 REUTERS
ニューズウィーク
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/03...

「米戦略国際問題研究所(CSIS)は北朝鮮分析サイト「分断を越えて(BEYOND PARALLEL)」で、「今月2日に撮影した商業衛星写真を見ると、北朝鮮が西海(ソヘ、黄海)長距離ミサイル発射場を迅速に再建している」とし「動きは垂直エンジン試験台と発射台の軌道式ロケット移動構造物で目立ち、主に閉じられている連結タワーの覆いも開かれて発射台が見える」と説明した」(中央前掲)

東倉里ミサイル発射場は、正恩は昨年9月、ムン・ジェインとの平壌首脳会談で、「東倉里試験場の完全な解体と破壊を検証するため国際専門家を招請すると約束した」(中央前掲)実験場です。 

その1カ月前の7月にはロケットエンジン試験台の解体作業が始まったと見られていたのが、なぜか8月になり中断。 

再び再稼働の動きが出たのが、今回のハノイ会談2日後のことです。 正恩の心理が辿れるようで、なかなか興味深い動きです。 

おそらく正恩は米国を甘くみていたのです。6月のシンガポールで大甘なトランプおじさんを見て、非核化の口約束だけしてやったふりさえすればなんとかやり過ごせると考えていたのかもしれません。 

この甘口な見通しは、ムンが南北会談でさ さやいたと思われます。

00365690hdk白頭山におけるムンと正恩https://www.fnn.jp/posts/00365690HDK

そのためかどうか、南北会談の翌月には、解体作業を中断してしまっています。

なんのことはないポーズだけだったことを自分で暴露していることになるわけですが、大甘の見通しがなければできないまねです。 

そしてハノイ会談が不調。

そしてその2日後には、各所の核施設を一斉に再開しています。 いつもながら分かりやすい国です。

CSISの分析です。

「活動の再開は故意的で目的があることを示唆する。ハノイ会談で5件の国連制裁を解除してほしいという北朝鮮側の要請を米国が拒否した状況で、北朝鮮がある種の決心を見せようとしている」(中央前掲)

この北が解除を望んだ制裁とは、国連安保理決議2397のことです。

これは「最強の制裁」という異名がたてまつられるほど強力な内容で、セカンダリー・ボイコット(二次的制裁)を国連加盟各国に命じています。どのようなものか、押えておきます。

「●外務省国連安保理決議第2397号の実施のための資産凍結等の措置の対象)
資産凍結等の措置
 我が国は、今般、決議第2397号に基づき、北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議に基づく資産凍結等の措置の対象となる者として新たに1団体・16個人が追加指定されたことに伴い、これらに対する外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)に基づく資産凍結等の措置を講じることとする。
ア)支払規制
 外務省告示により指定される者に対する支払等を許可制とする。
(イ)資本取引規制
 外務省告示により指定される者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。

(2)対象者
追加される北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議に基づく資産凍結等の措置の対象となる者(PDF

この国連決議2397によって、国連加盟国は各国の政治的裁量を経ずに、北朝鮮と関係した国家機関、組織、団体、個人などを問わず自動的かつ無条件に資産凍結などの制裁を執行することが可能になりました。

特に世界最大の金融市場を持つ米国においては、北朝鮮との「資本取引・金銭の授受、沈滞契約」(外務省前掲)をした場合、当該の者は米国内の銀行口座が凍結されます。

いうまでもなく、その当該金融機関は倒産します。

これは世界規模で実施されますから、中国やロシアにも国連加盟国の以上、同等に課せられます。

かくして北への何らかの支援はすべてセカンダリー・ボイコットの対象となり、非合法となるばかりではなく、自分もまた潰されることを覚悟せねば北と関われなくなるなったわけです。

ハノイ会談で、北がこの解除を懇願したのは、このような事情があるからです。

ところで米国においては更に追い打ちをかけるように、ワームビア法が再発議されました。

ワームビアとは議員の名前ではなく、北に拘束されて死亡した米国青年の名前です。

_98033172_mediaitem98033169オットー・ワームビア氏BBChttps://www.bbc.com/japanese/41410847

ロイター通信は5日、北朝鮮と取引するすべての個人と企業にセカンダリーボイコットを義務付ける法案が米上院銀行委員会に再び上程されたと報道した。
報道によると、上院銀行委員会に所属する共和党のパット・トゥーミー上院議員と民主党のクリス・バン・ホーレン上院議員はこの日、「オットー・ワームビア対北朝鮮銀行業務制限法案」を共同発議した。北朝鮮に抑留されて送還後に死亡した米国人大学生のオットー・ワームビア氏を追慕するためワームビアという名前が付けられた」(中央3月6日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190306-00000026-cnippou-kr

提出者のパット・トゥーミー議員は、北との取引を続けている中国の銀行が主なターゲットになるとしています。

再上程したのが共和党と民主党議員だということでわかるように、米国は日本と違って北に対する姿勢は与野党を問わず共通して厳しいものです。

中国や北朝鮮、韓国のこととなると、いつものかしましさはどこへやら完全に沈黙を守ってしまうどこぞの国の野党とは大違いです。

むしろ米国では、大甘に見えるトランプの尻を叩いているのが野党民主党です。

ちなみに、このセカンダリー・ボイコットはわが国も無関係ではなく、東京三菱が北のマネーロンダリングに関わったとされていますし、地銀の一部にもその疑いがあります。

以後、北がさまざまなフロント企業を通じてやってきた口座開設・国際送金の実態にも強い監視が入ると思われます。

さて、熱愛から一転し合意を蹴ったトランプですが、やっと結婚詐欺に引っかかったことに気がついたようです。

「これを受けてトランプ米大統領は6日、ホワイトハウスで「(事実であれば)金委員長にとても、とても失望するだろう」と記者団に語り、北朝鮮金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長への懸念を表明した。昨年6月の首脳会談以降、トランプ氏が正恩氏を名指しで不満を示すのは異例」(朝日3月7日)
https://www.asahi.com/articles/ASM371VBGM37UHBI001.html

米軍は既に、B52H爆撃機を2機、南シナ海、東シナ海に派遣し、嘉手納のU-2S高高度偵察機4機を使い日本海周辺から北への監視を強化しています。

さぁ、これでおおむねボルトンの考えるペースに戻ったようです。

たぶん第3回米朝会談が開かれる確率は、私が宝くじの3億円に当たるていどだと思われます。

残るは、最後の最後まで米朝合意が果たされると信じていたあの人ですが、どうなろうと知ったこっちゃありませんが、いかがなりますか。

2019年3月 7日 (木)

山路敬介氏寄稿 沖縄を縛る自己決定権イデオロギー その4

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山路氏寄稿の最終回です。ご苦労さまでした。

今日の山路さんの指摘は大変に重要だと思います。

一足飛びに「琉球独立」へと飛躍するのではなく、漠然と拡がる「自分たちの手で判断し成し遂げることが重要である」かのような考え方こそが、翁長時代が残した最大の後遺症だったような気がします。

この考え方が存在する限り、本土政府がどんな基地負担軽減策を打とうが、「あてがいぶち」と受け取られることになると山路さんは見ています。

これが裏を返して本土から見れば、昨今騒がれた「沖縄の韓国化」に見えるということになります。

これは沖縄にとっても、本土にとっても不幸なことではありませんか。

                                               ~~~~~  

                        ■沖縄を縛る自己決定権イデオロギー  その4
                                                                                 山路敬介
 

承前  

自己決定権というイデオロギー  

核心的辺野古反対派に何か「思想」のようなものがあるとすればですが、それは翁長知事時代にかなりの変化があったものと思います。  

「翁長イズム」とでも形容できるほどのもので、今回のデニー知事の政府への要望にも生きています。  

「日・米・沖の関係性の再構築」とか、自主決定権とか言われる言葉に集約できるものですね。  

そういう考えの行き着く先が「沖縄独立論」のような馬鹿々々しい考えに行くスキを与えて来ました。  

いくら待っても頼んでも、本土は沖縄の基地を引き受けてくれない。基地は沖縄に寄せておけばよく、金だけ払っておけば良いとの考え方は差別的だ、という考え方が基にあります。  

そこで例えば辺野古移設経過などを見るならば、いかに本土が立場の弱い沖縄を猫だましのように去しつつ、沖縄の主体性を奪い、自分たちのいいように利用してきたか、という事に思い至るわけです。  

そういう環境から脱する事は沖縄の地位を本土とは別に作ることと、沖縄の事は沖縄で決めるという強い意志を持つ事が肝要で、それが自己決定権の骨子となっています。  

稲嶺元知事のようなポピュリストが当時の思いを二紙で語り、そういう過去観をさらに増幅させたりもします。  

仲井眞元知事については「沖縄を金で売った知事」と今でも本気で考えていて、仲井眞が知事になった時にはすでに辺野古で合意されていたとは認めもしないし、埋め立て承認が手続法であって、誰が知事であろうといずれは承認されなくてはならないものである事を理解する事は最後までありませんでした。  

沖縄の自主決定権は主体思想の影響が濃厚であると言う人がありますが、それは私には分かりません。 

ですが、本土の考え方や影響から離陸しなければ永遠に米軍基地撤去はあり得ないと考え、古くは光州事件、最近のロウソクデモなどに見られる半島的民衆パワーを敬慕する面はあるでしょう。  

そういう気分は翁長知事の反抗のしぶりで増幅されていって、もはや新しいイデオロギーになっているように感じます。  

実際には、安倍政権は空中給油機やハリアーを岩国へ移転させたり、オスプレイの訓練を本土やグアムに移転させたりして大変な苦労をしています。  

馬毛島まで購入したりして、さらに沖縄の負担軽減をしようと必死です。どう考えても、安倍政権ほど沖縄の負担軽減に貢献した政府はないのが事実です。  

そうした現実は県内ではほとんど報道されていないのですが、そうした事実を知っている者も特段喜んでいるわけではなく、かといって「安倍のした事だから評価しない」というわけでもなさそうです。  

つまり、自分たちの手で判断し成し遂げることが重要であるように考えていて、そのように要求のフェーズも変わって来ていると考えたほうが正確なようです。 

たとえば那覇軍港の移設に関してですが、あれは翁長知事が要望して実現したものであるという見方をします。  

我々から見れば実にフザけたダブルスタンダードなのですが、彼らにとっては自主性や主体性のあらわれなので、何の矛盾もないのです。  

あるいは翁長知事が高江の返還について、政府に対してうっかり感謝の言葉を述べてしまいましたが、ああいうものはたとえ返還でも「何の主体性もない、本土からの「あてがい扶持」」なので、翁長知事ですら非難される始末となるのです。 

本土の音頭によって普天間の代替え基地として辺野古をつくり、そのために普天間を返還されたとしても、それは決して嬉しい事ではありません。  

すべてが全てそう考えるワケでもないのですが、そういうイデオロギーに淫してしまっている事から、正常に事実が事実としてストンと腑に落ちて来ない面が多分にあるように思います。  

してみると、正確には「辺野古の阻止」そのものが目的ではなくて、自分たちの力で阻止できる事そのものに意義があるのであって、そういう闘いから得られる主体性の発露こそ重要と考えている事になります。  

まさに反対のための反対であって、こういう場合は「箸にも棒にもかからない」と言うほかなく、法的な落ち度が国側にない以上、長い訴訟合戦も工期が中断されない限り代執行などは用いずに長期戦の覚悟をしてのぞむしかないと思います。  

一方、県の対応について下地幹郎氏の見方は、辺野古工事を「(県は)止める気がない。一番(止めるのに)効果がある条例を作ったのは、この5年間の間、翁長時代から1個だけだ。」と指摘しています。  

■ 結語  

工事が粛々と進捗するなかにあっても訴訟はくりかえされ、県は本気ともポーズともとれる生煮えの妨害行為にはげみ続けることでしょう。  

最早、沖縄県のそういうみじめな姿を全世界にさらして見てもらえばいいさ、という気持ちが私にはどこかでしてしまいます。  

分かり切った事ですが、どのような場合でも訴訟において「辺野古の工事を中止せよ」というまでの判断が出る事はありません。  

普天間の危険性の責任を負えるのは司法でなく、行政であり日本政府だからです。  

それから大事なのは、これからの辺野古反対運動の過程で死者が出る事はなく、大したけが人が発生する事もないだろう事です。  

それはそのはずで、辺野古は元々米軍基地であり、埋め立て海域も米軍使用域内です。 

漁業権や再地元の合意もあらかた済んでおり、個人の生活を脅かすような権利侵害の可能性はないのです。ですから、先の最高裁判決で辺野古問題そのものは終わったのです。  

これからは距離をおいてこの問題を眺めたいと願うものですが、二紙の報道をみればまた怒りがメラメラと込み上げてくるんだろうと思います。  

けれど、金輪際このような馬鹿な県民投票などはやめてもらいたいです。すでに解決した問題に拘泥する時間はなく、沖縄にはまだたくさんの課題があるのですから。

                                                                                                       了

                                               文責 山路 敬介

  

 

2019年3月 6日 (水)

山路敬介氏寄稿 沖縄を縛る自己決定権イデオロギー その3

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 山路氏寄稿の3回目です。次回で終了となります。

                                               ~~~~~  

            ■沖縄を縛る自己決定権イデオロギー その3
                                                                                            山路敬介

承前 

■ 軟弱地盤問題について

この問題は例によって、反対派方面の専門家などから情報が一方的に出てきた感があり、やれ90mの杭打ち用の台船がないだとか、世界でも施工実績がない難工事であるとか、だから県試算のように二兆三千億円のごとく青天井で費用がかかるのだ、とか言われていました。 

県は県で、まだ変更申請が出ていない段階から問答無用で「不許可にする予定」との報道がなされています。 

しかし、2月28日の衆議院予算委員会において、岩屋防衛相は「軟弱地盤は最大で90mの深度まで存在するものの、70mを超える部分は非常に固い粘土層に分類される強度があり、70mまでの工事を行えば安定性を十分確保出来る事が確認されている」とし、「国内にある作業船で対応でき」、「実績のある工法で可能」と答弁しています。 

県は「不許可」というよりも、そもそも自ら「撤回中」であるので、申請自体を受け付けないことになるのだろうと思いますが、やがては回避出来ないものとして「不許可にする予定」としたのかも知れません。 

ですが、国の得た埋め立てに関する権利は、「固有の立場」でない事が先の最高裁判決や、2月18日に出された国地方紛争処理委員会の見解に明らかです。

いったん承認を得て受益的立場になってからの変更申請であるので、県の裁量権の幅は縮小し、純粋にテクニカルな問題として申請に対応されなければなりません。 

それにしても、もし報道のように申請が出されもしないうちから本当に「不許可にする」と述べたのであれば、沖縄県の狂いっぷりはもはや「韓国並み」です。 

■ 武田真一郎成蹊大教授の「再撤回」論について 

昨日の小林節氏の記事などもそうですが、本土からの大物法律家や知識人たちの言は沖縄の事になると堂々と妙な事を言い出すので実に困ります。 

これでは二紙を信じた県民はよじけた知識しかもてず、政府を悪者としてとらえる事しか出来なくなるのも仕方ないように思えます。 

2月25日の沖縄タイムスですが、行政法の重鎮である武田真一郎教授による住民投票の結果を受けた「再撤回の有力根拠に」と言う記事が載っていました。 

武田教授の本記事によると、「県民投票の結果は、再撤回に道筋を付けたもの」であり、「県民が反対している埋め立ては、国土利用上適正かつ合理的とは言えず」、したがって「埋め立て承認が公水法に違反して」おり、「撤回の公益上の必要となる最も有力な根拠となる」と話しています。 

いかに高名な先生の言う事でも、もはや「なるほど、そのとおりだろう」と素直に頷く人はいないのではないでしょうか。 

法律論はつまらないと思うので端折りますが、要は民意だけでは「撤回」の要件を満たさないです。 

その民意も過半数にも及んでおらないので不十分だと思いますが、裁判所の判断として民意以外に考慮されるのは相手方受益者の目的により異なります。 

簡単に例えば、民意により自由に撤回ができるのであれば、「国防」の目的は成り立たないという事になります。 

日本国の国防政策の「公益」よりも、今回の民意に関わる「公益」の方が大きいものでなければ撤回は成就しない件も言い忘れていると思います。 

もちろん武田教授はそのような事は十分御存じであって、訴訟になった場合の展開を考慮に入れています。 

「埋め立て承認やその撤回は知事の裁量行為なので、裁量権の逸脱・濫用がない限り違法と判断する事は出来ない」という事です。 

これは「取り消し訴訟」の経験から、知事の裁量権自体は広範に認められた事に由来する考えでもあるでしょう。 

そもそも行政権の自由裁量部分は司法審査になじみませんが、裁量権の逸脱・濫用がない場合でも著しく不公正な場合には「違法」となりますし、法を所管する官庁である国交省の判断がまず噛んで来る事ので、まず先生の言うとおりにはならないでしょう。 

武田教授は早くから「撤回」を唱えておられ、それは環境面などではなく「民意」によるものである必要があり、その為には県民から発せられた住民投票が望ましいと口を酸っぱくして説いていました。 

県はそうした意見を重視して、ほぼ武田先生のプラン通りに進んで来たといえます。

違いは、沖縄県が民意による撤回より先に今ある撤回をなしてしまった事で、法理上「再撤回」云々ではなく、現撤回に理由を追加して争われるべきものでしょう。 

「「取り消し」の後の「撤回」は行政権の濫用にあたる場合もある」や、「すでにして敗訴した取り消し訴訟を考慮すれば、処分庁を拘束する」のは、「処分反復防止機能の観点から」という点も重要です。 

これはすべて武田教授の論文にある事であり、たとえ理由が違う以上撤回は複数出来ると仮定しても、今回の撤回理由に組み入れるべき事は当然です。 

                                                                                                         (続く)

2019年3月 5日 (火)

現実的な辺野古代替案はこの世に存在しない

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初めは山路氏2回目のリードでしたが、長くなりましたので移しかえました。山路さんの論考はもう一本のほうです。ぜひお読み下さい。

この私も含めてですが、「辺野古疲れ」のようなものが生まれています。

いくら論破しても、ゾンビよろしくいつまでも同じことを同じ論法で、語彙まで一緒に果てることなく言い募る移転反対派には、心底うんざりさせられます。

そのような中で、彼らを批判してきた論陣の中からも、いったんここで移転阻止運動を終息させたるために辺野古移設の断念もありえるのではないか、という意見が出始めました。

私も一部この意見に同意する部分がありました。

最も大きな理由は、 エルドリッヂ氏が再三指摘するように辺野古が候補地として妥協の産物にすぎないために、肝心な軍用飛行場としての軍事的要件を満たさないからです。

正味1300mの短い滑走路は一般的固定翼機にはあまりにも短すぎるもので、これではオスプレイとヘリにしか使用できない中途半端なものになってしまいます。

また、工事は当初から言われてきたように水深が深く困難を予想されています。

エルドリッヂ氏は、手厳しくこれを批判をし続けていて、県民投票にも賛成しています。

一方篠原章氏は県民投票には厳しい意見ですが、今の辺野古案はサンクコストと考えて白紙化すべきだと考えておられるようです。

サンクコストとは埋没費用と訳されていて、既に支出された費用が、今後いかなる手段でも回収不可能で、かえって損害を拡げると判断した場合、切り捨てることを意味します。

小川和久氏も辺野古案には当初から否定的で、同様の意見を述べられています。

私も偽らざる意見を言えば同様に、なにもこんな所にこんなハンパなものを・・・、というのが本音でした。

ですから翁長氏と政府の「和解期間」に、県が実現可能な代替案を出すことを最後の望みとしていたわけです。

しかし、辺野古移設を撤回するとしたら、誰がそれを言い出すのでしょうか。

政府は、ハト氏のような人物が再び首相にでもならない限り絶対にありえません。

では、沖縄県でしょうか?それも9割9分ありえません。

今日の論考でも山路氏が触れているように、県民投票までするに至った移転阻止運動は、もはや技術的解決が不可能なイデオロギー対立の域に達しているからです。

したがって、政府と県の関係を根本的に変えてしまう可能性がある妥協は、政府にはできません。

つまり双方とも政治的に引っ込みがつかないのです。

代替案をだすなら山路氏も言うように移設候補を絞っている時期しかなく、あえてつけ加えるなら先ほど述べた「和解期間」しかなかったと思われます。

小川氏も翁長氏の腹芸に期待を抱いていたようです。

しかし、なにひとつ事態は動きませんでした。なぜでしょうか?

それはこの代替案は共産党を説得できて初めて可能なことだからです。ここが最大のネックです。

現状において、県政最大与党である共産党の意志は明確に「すべての県内移設反対」であり、代替案がでる隙間は一分もありません。彼らは「解決」を望んでいません。

というのは共産党にとって移設阻止は大きな彼らの考えのごく一部にすぎず、あらゆる米軍基地に反対であり、日米同盟にも反対です。

究極的には、自衛隊も解体して丸腰国家にすべきだと思っています。

彼らが移設反対派の最大勢力である以上、彼らの意志を無視しての解決はありえません。

デニー知事個人は共産党員ではなく、翁長氏のようなカリスマ性もなく、怪しげな「遺言」で決められたフロック候補にすぎませんでした。

性格は山路氏が指摘するように、争いごとには不向きで、元来は移設問題に無関心だったように見えます。現に民主党政権時代は移設容認派でした。

それも自分で考えてそう決めたというより、党が決めたから従ったていどのことです。要は定見がない人なのです。

そしてなるべくして今は望むと望まざるとに関わらず、県政与党の意志のまま動かざるをえないパペットと化しています。

県民投票という反基地イデオロギーの儀式の司祭を務めるに至ったデニー氏には、もうこの座から降りることはかなわないのです。

このように考えてくると、理屈のうえでは辺野古移設案の撤回もありえますが、現実的には誰からも言い出さない以上、この世に存在しないのと一緒なのです。

※扉写真をまたすげ替えました。すいません。なかなか気に入ったものがなくて。

山路敬介氏寄稿 沖縄を縛る自己決定権イデオロギー その2

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 山路氏寄稿の2回目です。

                                               ~~~~~

                        ■沖縄を縛る自己決定権イデオロギー その2
                                                                                            山路敬介
 

承前 

投票結果を読んでいた安倍政権、そして相変わらず気持ちの悪い「マスコミ」 

私が側聞するところでは、政府自民党は国政選挙や地方選挙レベルほどの調査ではないが、主に投票率予測は掴んでいたようです。これはオール沖縄側の議員からも同じ事を聞いています。 

菅官房長官は「沖縄県の条例でやる事」と言い、距離を取って「無関心」のそぶりを見せていましたが、そうではなかったようです。 

投票日の前々日には型どおりとも思える「結果がいずれでも、辺野古移設には影響しない」と答え方をしていて、例のイソ子女史を憤慨せてさています。 

しかし、その官房長官の発言には根拠があったと見て差し支えないと思います。 

いずれにせよ、今回の県民投票を持ってしても「反対の民意」が絶対多数と解釈出来ない事は上で申したとおりですが、二紙は当然の事、朝日や毎日など旧態劣化メディアの論調は違います。 

ようは、「民意=反対する比較多数に着け」というものですが、そのような考え=「民意を一種のリーダーと考えて、それを受け入れるのが民主主義だ」と安直にとらえるのは、民主主義に対する誤った認識です。 

安倍政権としてはこの投票結果を「尊重」するまでの受け止め方は不要で、しかし「考慮」には入れつつ、一刻も早い普天間の危険性の除去に臨むべきだと言えます。 

菅官房長官は結果をうけて、「ていねいに説明し、地元の理解・協力を得ながら粘り強く工事を進める考えに変わりはない」としてい、当然に投票前のスタンスを維持しています。 

公明の山口代表は反対票が37.5%にとどまった点を指摘し、「その他の思いもかなりある結果」としつつ、「普天間の危険性の除去が20年来改まらない状況は政府の責任として極めて重大だ。移転先の現実的な近道はどこか?という事を県民に理解してもらえるよう、政府として努力してほしい」としています。 

ハガティ駐日米国大使は「辺野古移設は、沖縄の負担軽減や普天間返還のための唯一の解決策」と強調し、「移転を推進するトランプ大統領の方針は一切変わらない」と答えています。 

■ デニー知事は普天間の危険性除去のためにする「提案」が一切出来ないし、する心づもりもないこと  

3月22日の記者会見で菅官房長官は「知事が普天間飛行場の危険性の除去や固定化を避けるためにどうするかを語らず、残念だ」と言っています。 

この言葉の意味をつたえた通信社は「デニー知事が代替え案を示していないとして不満を表明した」と注釈していますが、少し穿った解釈だと思えました。 

ただ、この種の事は翁長知事にも就任当初から官房長官が度々話しているので、あながち間違った解釈とは言えないのだろうと思うのですが、工事の進捗状況を考えれば、たとえ率直な知事提案があったとしても、その条件は「針の穴にラクダを通す」ほどに難しいと言わざるを得ません。 

篠原章氏のブログによれば、氏はいわゆる「サンクコスト論」を用いた考え方をされていて、例えば「地上案」など、他に費用が安くあがる代替え地があれば、辺野古にこれまでかかった費用を捨ててもトータルで安価に済む方向性があり得るのではないか? と言っています。 

その意味は「軟弱地盤問題」でこれからどれだけコストが嵩むか不明な事、これから先も不要な訴訟合戦が繰り広げられることが想定され、かつ期間も不明瞭な事を考えれば他所において相当な費用をかけたとしても比較原価を考えれば勝るのではないか?  

むしろ滑走路長など米軍が本当に望むだけの内容を伴ったものにする事も可能では? という趣旨です。 

しかし、いずれにしろ安全保障上「県内」が必須である事は明らかな大前提なので、そのような提案をデニー知事がするはずもないし、政府も「デニー知事は降りて来る」と考えているフシはありません。 

いわゆる「サンクコスト論」は選択肢としての対象が俎上にある場合には議論としての有用性があるのですが、「これなら沖縄側もOKだ」という具体的場所も同意の確証もない以上、仮定の領域を往復するばかりです。 

「埋め立て」に反対する人たちの中には真に大浦湾の自然破壊を理由とする人達を含みますが、今の県政与党の大概はそうではありません。 

根本は安全保障観の違いによるものです。もっと言えば世界観の違いによるものでさえあります。 

2月27日の県議会定例会は与党側の一般質問の日でしたが、県が掲げる新年度の目標として「沖縄のソフトパワーを生かした「平和の緩衝地帯の形成」について」が審議されています。 

この事についてデニー知事は、「世界の環境を見据えたうえで、沖縄が基地の抑止力に依存しない、人と人が結び合う「平和の緩衝地帯」になる事を目指して取り組んでいく」と説明しています。 

また、この日の議会では当然のように宮古島の自衛隊の配備や、石垣島のそれも否定的な議論が繰り広げられています。 

このように政府と沖縄県与党のスタンスがますます乖離する環境のなか、3月1日にデニー知事が普天間の危険性の除去のために、安倍総理に生産的な提案が出来ると考える事は出来ませんし、平行線をたどるセレモニーに終わる事は必至です。

 

                                                                                            (続く)

 

2019年3月 4日 (月)

山路敬介氏寄稿 沖縄を縛る自己決定権イデオロギー その1

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山路氏から寄稿を賜りました。ありがとうございます。
 

タイトルは編者がつけさせて頂きました。 

                                          ~~~~~~~
                           ■沖縄を縛る自己決定権イデオロギー  その1
                                                                                 山路敬介
 

デニー知事は「対案」を出せないし、傀儡で終わるしかない
 
 県民投票は「圧倒的民意」はおろか、その投票率の低さから「過半」も達成出来ない結果となりました。
 

こう言うと、「「反対」への投票率が7割以上を占めたではないか」と反発を言う人もいるでしょうが、国会議員や首長・地方議員たちを選ぶ選挙とは違います。 

法律に基づかない今回の県民投票の趣旨と目的はあくまで「民意を測る」ための手段なので、絶対得票率で結果を見なければなりません。 

もし、「投票しなかった人々は県民でない」とするならば別ですが、考慮する分母は全有権者数とならざるを得ないのです。 

そうすると、県民投票の結果が示すところは「全県的にみて、辺野古移設反対者は37.5%であった」と正確に言われなければなりません。 

そして、この結果は前回県民投票の53%に比較するならば、さらに「米軍基地問題への県民の関心は薄らいだ」と言わざるを得ないでしょう。 

新聞はもちろんの事、テレビを付ければテレビから、街中を歩けば掲示物だらけで、だれも来なそうな農道を行ってもノボリが列を成して立ってる。 

ネットを開けても、YouTubeを視聴してさえも動画前CMで「県民投票へ行こう!」のオンパレード。家に帰ればチラシが毎日ポストに入っているし、夜は夜でわずかな伝手を頼って本島からの知らない人の来訪を度々受け、私のまわりは反対派の主張だらけでした。まさに「寝ても起きても」です。 

どれだけ潤沢なのか知りもしませんが、県の金庫から大枚かけて明けても暮れてもうんざりするほどの「県民投票へ行こう」の過剰宣伝と反対派の主張のなか、それでも約半数が投票に行かなかった事の意味はきわめて重いものです。 

マスコミや県当局はその事の意味を徹底的に精査・解読すべきであって、議員たちはそこにこそ政治の光を当てるべきです。 

ようは、勝者は「それですらも、もの言わぬ県民」だったのであり、県民投票のそのような結果をふまえるならば、政府が政策変更するような局面とは「ほど遠い」と言わざるを得ません。 

宜野湾の松川市長にして、「投票率が五割ほどで、民意を測れたのかは疑念がある」や、「普天間の危険性の除去に触れられておらず、このような結果になるのが自然」と言わしめたのは当然です。 

しかも、あのように設問自体に前提を欠いた「欠陥アンケート」であるにもかからわらず、意外な事に「賛成者」を11万人以上も出してしまったのです。 

二紙によれば「世界が注目する県民投票」だったらしいのですが、これではその「世界」とやらも内心ではズッコケる他ないでしょう。 

くわえて今回の県民投票では自民党をほとんど沈黙させる事に成功していて、一般市民でも例えばヒジャイさん(又吉康隆氏)のように、その知性や理性的の判断から当然の帰結として、「断固たる信念」でボイコットを言い続けた人もあります。 

大きな声で言えませんし、私の個人的な見解として受け止めて頂きたいですが、わが宮古島市の下地市長ですらも投票に行った形跡がありません。 

投票運動は予想どおり、「反対派による、反対派のための、反対派による投票」に終始しました。 くわえて、「どちらでもない」は目論見どおり5万票あまりと押さえられたのです。 

あらかじめ普天間移設を「問い」から外す事も、マスコミとの全面的な共闘もでき、なおかつ自民党のドタバタもあり、反対派には追い風しか吹いていませんでした。 

それにしては、明らかになった37.5%しか反対者がいない結果は、運動側にとって、真実を前にした「致命的なマイナス」だったのではないでしょうか。

デニー知事の目論見ははずれた 

投票結果を受けた記者会見でのデニー知事は笑顔もなく、私には浮かない表情に見えました。 

記者から「六割が「反対」に投じなかった事実をどうみるか?」と問われ、「そのような事は考えていない」といい、「四分の一超が「反対」であり、そのことが重要」と返しました。 

「結果をうけて「再撤回」を考えているか?」との質問には直接答えず、今現在の状況が撤回中である旨を言うのみでした。 

巷での「民意はしめされた」と凱歌をあげていた連中はともかく、どうも結果はデニー知事の考える目論見を肝心なところで下回った事は間違いないように思えます。 

ところで今回の「撤回」では、既に分かっている事なので、県は来る高裁での訴訟において県民投票の結果も「多数の民意」としての主張はせざるを得ないのではないかと思います。 

ただ、六割以上が「辺野古反対」の意思を示さない中ではやはり主張としては少し弱く、まして県が次に想定していた「民意による公益撤回(再撤回)」の可能性は、高裁での主張をせざるを得ない以上、一般常識的には「ほぼ閉ざされた」と言っていいと思います。 

しかし、沖縄県の「非常識」によって、デニー知事は今回の撤回訴訟での敗訴確定後には民意による「再撤回」を試みる愚行に走らざるを得なくなるものと考えます。 

現在の「撤回」はデニー知事の判断ではなく、選良ですらない謝花副知事の判断によるものです。デニー知事は訴訟よりも政府との「話し合いによる解決」を常々言っており、それが達成可能な最良の解決方法であると本気で信じているのかも知れない、いわゆる「政治的平和主義者」でもあります。 

県民感情をいたずらに利用したり、さほどありもしない自らの情緒性を過剰演出したりする翁長氏と根本的に違い、デニーさんは腹に一物おけない、分かりやすい「いい人」でもあります。 

反面、リーダーシップが乏しく、本来的に争い事に向かない政治家です。 

そのような政治家は妥協が身上なので、この「妥協」こそは「沖縄からの全軍撤退」を目指す共産党や核心的辺野古反対主義者が嫌い、また警戒するところでもあります。 

彼らの特殊な歴史観でいえば、これまで「話し合い」という名の妥協によって本土に巻かれ、後退し続けた結果が、今ある「沖縄の現在」の姿なのであって、その危険性と疑念を翁長知事に対しても当然持っていたし、デニー知事に対しても同様の懸念がありました。 

そうであれば、あらかじめ現知事には特に「縛り」をかけて、知事の政治的自由度を失わしめ、安倍政権との妥協を防ぐ狙いが県民投票にはあったという事は前回の記事で申したとおりです。 

狡猾に県民投票を避け続けた翁長知事ならば、交渉テクニックとして政府に「妥協の余地はあるかも」と思わせて別のものを引っ張り出す妙手とすることが出来たのに、やはり二代目はダメです。 

これでは3月1日に安倍さんと会ったところで「子供の使い」にもならないし、何ものも引き出せない結果に終わるでしょう。 

「SACWOの設置」だとか、名前だけ粋につけてみたところで内容は翁長知事がさんざん要望してきたところの二番煎じです。既にそうした二元外交的な案は相手にされるハズのない事柄なので、提案の名に値しません。 

                                                                                                   (続く)

 

2019年3月 3日 (日)

日曜写真館 緑の海に咲く紅

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2019年3月 2日 (土)

米朝会談 非核化ではなく核軍縮になる寸前で止まった

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今回の米朝首脳会談は、双方がその気にさえなれば合意に持ち込めた可能性があります。 

神保謙氏はこのように述べています。

「米朝が段階的非核化の原則で合意し、北朝鮮が寧辺の核施設の廃棄と検証措置を受け入れ、米国が南北経済交流(開城工業団地と金剛山観光の再開)を制裁の例外とすれば米朝合意は可能だったように思う。
ニンビョンにもしかし寧辺以外のHEU施設廃棄と制裁の全面解除はおよそ取引不可能だったというのが実態ではないか」
https://twitter.com/kenj0126/status/1101184093113397250

北が出してきたカードは、①段階的非核化、②寧辺の核施設の廃棄と検証措置の2枚でした。 

このうち①の段階的非核化はCVIDに向けた工程表が付いて初めて意味をもつのであって、ただポンとだされてもねぇ、なにから始めるの、というのが米国の意見です。 

米国は、今回大きなカードを切ってきました。それがヨンビョン(寧辺)核施設以外のHEU施設でした。 これが北の意表をついたようです。

HEU施設とは高濃縮ウラン製造プラントのことです。 

201808220858511中央日報https://s.japanese.joins.com/article/252/244252.html

 上の写真が米国の高濃縮ウラン製造プラントの遠心分離機です。
関連記事「独自核武装はやってやれなくはないが、そう簡単なことではない」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-b0b9.html 

数百から2千基の遠心分離機を連結して、原発の副産物として作られる不純物の多いプルトニウム240から兵器級プルトニウム239に濃縮します。 

日本はプルトニウムを持っていますが、この高濃縮プラントを持っていません。ですから、日本の保有するすべてプルトニウムは240であって、これでは原爆は作れません。 

北はこのプラントを保有しています。おそらく最低で10箇所存在すると推測されます。 

正確な実態は分かっていませんが、米国の国際戦略研究所(CSIS)はこのように推測しています。

北朝鮮は、寧辺(ヨンビョン)核施設をはじめ平安北道(ピョンアンブクド)の博川(パクチョン)と泰川(テチョン)、天魔山(チョンマサン)付近で数百坪規模のウラン濃縮施設を運用していると推定される。両江道(ヤンガンド)ヨンジョ里や慈江道下甲(チャガンド・ハガプ)などのミサイル基地も、数百~2千余りの遠心分離機を備えた濃縮施設を稼動しているという疑惑を受けている。
韓米情報当局は、特殊偵察機や偵察衛星などで証拠を収集してきた。しかし、ウラン濃縮施設は規模が小さく、ほとんど地下に設置されているため、特定が難しい。これまで実体が確認されたのは、北朝鮮が2010年に核専門家ヘッカー米スタンフォード大教授に公開した寧辺核施設の濃縮施設が唯一」(東亜日報2018年11月14日)
http://japanese.donga.com/Home/3/all/27/1541374/1

下図で核マークがついているのがウラン濃縮施設です。 

Northkoreanuclearロイターhttps://matome.naver.jp/odai/2145205056190507901/2

これが始末に困るのは、大規模な施設ではないことです。電力を多消費する事以外は、町工場程度の施設を地下に作って、遠心分離機を千基もつなげばできてしまいます。 

しかもこの施設は山岳地域に建設され、それもご丁寧にも地下に作っているために、隠蔽が簡単です。 

かつて2010年に北は米国の核専門家ヘッカー米スタンフォード大教授にヨンビョンの濃縮ウラン施設を公開したことがあり、それが唯一の目撃例です。 

それから8年以上たって、北はこの秘密高濃縮ウラン製造プラントから、毎年3~4個の核を製造し、最低で30個以上の原爆を得たと推測されています。 

の高濃縮ウラン施設によって、北は効率よく核兵器を製造することが可能となりました。

当然のことですが、米国はかなり前からこの高濃縮ウランプラントの存在を察知していました。 

オバマ時代からケリー国務長官はその存在を指摘しており、トランプ政権になってからも当然のこととして廃棄要求を出しています。

「トランプ米大統領が((2018年8月20日に示唆した北朝鮮の非核化「追加措置」に関連し、核施設の稼働縮小である可能性が提起されている。
トランプ大統領はこの日、ロイター通信のインタビューで「核実験場の爆破のほかに北朝鮮が具体的な非核化措置を取ったのか」という質問に対し、「私は彼ら(北朝鮮)がそのようにしたと信じる」と答えた。
しかし「追加措置」には具体的に言及しなかった」(中央日報2018年8月22日)
https://s.japanese.joins.com/article/252/244252.html 

この「追加措置」とは、すべての高濃縮ウラン製造プラントの廃棄を指すと理解されていますが、今回わかったのは北はとっくに米国人科学者にすら見せているヨンビョンの老朽施設だけの廃棄しか考えていなかったわけです。 

ところで今回の正恩が犯した致命的失敗は、金王朝の伝統芸である瀬戸際戦術を過信したことでした。 

先代のように、米国の要求を強硬に突っぱねてこれ以上びた一文まけられない、さもなくば戦争だ、崩壊してやるぞ、さぁ困るのはお前だ、という脅しをしょうこりもなく使ったことです。 

そしておもむろに最小限譲歩のカード(スモールディール)を懐からだすというわけですが、今回トランプの「恋の罠」に引っかかって非核化をテーマにしてしまったことです。 

おおむねいままでは、「北の非核化は極めて困難である」というのが専門家やメディアの共通認識でしたから、少しの譲歩であっても貴重な収穫だということで、米国側が折れていました。 

ところが、今回のトランプは表面的にはスウィートな態度を示しながら、実際の交渉では一転して北のスモールディール戦術を一蹴し、ビッグディール以外では合意しないとしたのです。 

これを意識的にやったなら、たいしたネゴシエーターですが、ちょっと違うような気もします。

この場合のビッグディールとは、非核化措置の範囲を「寧辺核施設+その他すべての核施設」としたことです。 

具体的には、昨日も書いたように、北がいう寧辺核施設の解体などは当然の前提にすぎず、そんなていどの譲歩ではただのスモールディールにすぎないと、米国は考えています。 

あくまでも米国が譲れない一線としたのは以下です。

①高濃縮ウラニウム施設申告・査察受けいれ・廃棄・解体
②核弾頭の申告、査察受けい廃棄・解体
③核物質の申告・査察受けいれ・廃棄

Wor1902280081p1https://www.sankei.com/world/news/190228/wor190228...

しかも正恩は瀬戸際戦術の常として、自分はまったく譲歩せずに相手には最大限の譲歩を迫るのですからタチが悪い。 

今度は制裁の全面解除です。おそらくはトランプが顧問弁護士の一件で揺らいでいると見て、足元を狙ったのでしょうが、トランプというビジネスマンのしぶとさを忘れていました。 

ここでスモールディールで譲歩をしてしまったら、ほんとうにトランプにとって政治生命がなくなるところでした。危ない危ない。 

北のイ外相(そんなシャレたもんがいたんだ)は全面解除なんか要求していないと、時間もあろうに深夜2時の会見で言い出しました。

「李外相はトランプ氏の発言を否定し、北朝鮮は全面的な制裁解除ではなく、一部の制裁解除を求めただけだと強調した。
北朝鮮は、アメリカの査察のもとで寧辺(ヨンビョン)核施設を完全に廃棄するなど、 「現時的な」提案をしたと主張した。
「現在の朝鮮民主主義人民共和国とアメリカの間の信頼度を考慮すると、この提案は、我々が現段階で実行できる最大級の非核化措置だった」
北朝鮮はその見返りとして、民間の経済と北朝鮮国民の暮らしを妨げている制裁のみを解除するよう求めたのだと、李氏は述べた」(BBC3月1日)
https://www.bbc.com/japanese/47411190

まぁ、深夜に緊急記者会見をするくらいですから、そういうことにしておきましょう(笑い)。 

とまれ、正恩は、トランプが事前交渉で出していた①経済協力②平壌の連絡事務所の設置③朝鮮戦争の終結宣言④経済制裁の緩和ていどで手をうっておくべきでした。

これだったら美味い昼食が食えて、ブイブイいわせて国に錦を飾れたのですから。 

おそらくこの線で合意文書は作成されてきたのであって、もはやこの米国の妥協も含めて全てが吹き飛んだということになります。

わが国にとっては、こんな妥協されなくて本当によかった。 

20190301oyt1i500031https://www.yomiuri.co.jp/world/20190301-OYT1T5001...

今回トランプが珍しく言葉少なく自己賛美なしで、「金正恩氏が寧辺の核施設を廃棄すると言ったが、公にしていない核施設を廃棄しない限り、非核化ではなく、核保有を認めた上での核軍縮交渉になってしまう」と述べたのは、まさに正解です。 

とまれ、いかにボロくなっていようと3代かけて作ってきたヨンビョン核施設を廃棄してもいいというのは、裏返せば米国の経済制裁が極めて効いていることだとわかりました。

それはただの制裁ではなく、2017年9月から始まったセカンダリーボイコットと呼ばれる制裁方式が功をそうしつつあるからです。

セカンダーボイコットとは、制裁当該国と経済関係をもったことだけで、その国の金融機関 も同じく制裁対象にするという手法ですが、これによって北が得意とする抜け道はほぼすべて塞がれてしました。

「米国が明らかにしたセカンダリーボイコットの内容は大きく3つある。まず北朝鮮と金融取引をする第3国のいかなる金融機関も米国金融網への接近が遮断される可能性がある。
北朝鮮に入った第3国の船舶と航空機は180日間、米国に入ることはできない。また相当な水準の商品やサービス、技術を取引した個人や機関も制裁対象となる。北朝鮮の金脈をふさぎ、対北朝鮮封じ込めもあるということだ。
北朝鮮と取引するだけで制裁が可能な史上最高レベルだ。2日前に「必要ならば北朝鮮を完全破壊する」というトランプ大統領の発言は口先だけでないという点を見せている。
北朝鮮としては耐え難い状況に向かっている。米国と北朝鮮のうち二者択一という米国の最後通告に北朝鮮を選択する国はほとんどないだろう。その間、北朝鮮を支えてきた中国も困惑している。
北朝鮮企業の9割近くが中国の金融機関を利用するなど北朝鮮と取引する個人・企業の大半が中国系であるため、今回の措置の事実上のターゲットは中国という声まで出ている」
」(中央日報2017年9月23日)
https://japanese.joins.com/article/747/233747.html

長くなりましたので、詳細は省きますが、この米国のセカンダリー・ボイコットによって、今まで半ば公然となされてきた中国からの制裁破りは激減したしたといわれています。

ですから、今の北は外洋での瀬取りで凌いでいるありさまです。その瀬取りすら国際監視の下に置かれて、各国哨戒機が厳しい 活動をしています。

このままでは、自慢の高濃縮ウラン施設が必要とする大量な電源も遠からず枯渇することでしょう。

その時期を見て、また話会えばよいのです。 長期戦は覚悟しましょう。

トランプも再選などという俗気を払って、北の非核化という長期戦の礎を作った偉大なタフネゴシエーターと呼ばれることに軸足を移したほうが賢明です。

 

 

 

 

 

2019年3月 1日 (金)

米朝首脳会談決裂 おかしな妥協をされるよりよほどましです

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私が懸念していた最悪の妥協は回避されたようです。

「今回の会談では、昨年シンガポールで行われた1回目の会談を基にさらなる前進が期待されていたが、当初予定されていた共同声明の署名には至らず、話し合いは頓挫した。
 トランプ氏は会談後の会見で「要は北側は制裁の完全解除を望んだが、われわれにはそれはできなかったということだ」と明かし、「立ち去る以外ない時というものがある、今回がまさにそういう時の一つだった」と、いつになく暗い調子で語った」
(AFP2月28日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190228-00000044-jij_afp-int

決裂です。いい加減な妥協が予想されていただけに、私は胸をなでおろした感があります。 

合意文書草案まで用意されていたにもかかわらず、米国側が蹴ったようです。 

おそらくトランプ個人としては合意書に署名することもやぶさかではなかったのかもしれませんが、ボルトンとポンペオがはがい締めしたと思われます。 

_105833174_60bea4ae74c94b79813da5dbhttps://www.bbc.com/japanese/47397637

「トランプ氏は、金委員長は「制裁の全面解除を求めてきたが、我々はそれはできなかった」と述べた。アメリカは北朝鮮に対し、今後も制裁を継続するという。
また、北朝鮮が一部の核施設の廃棄を提示してきたが、他の核施設についても非核化を進める必要があると強調した。
「北朝鮮には明確な展望があるが、アメリカが目指しているものとは違う」と述べ、米朝間に隔たりがあったと明かした。
トランプ氏は、現時点で「何らかの合意文書に署名するのは適切ではない」と判断したという。
大統領は記者の質問に答え、「今日なにかに署名するのは100%可能だった。しかし、ともかく適切ではなかった。僕は急いでやりたいのではなく、きちんとやりたいんだ」と述べた」(BBC2月28日)

https://www.bbc.com/japanese/47397637

ふー危ない、危ないという感じですが、ここで米国側が席を蹴った形で決裂したのは、大変にいいことです。 

巷間噂されていた制裁解除を部分的にした場合、米国が得るものは北の核の一部の情報開示とやくたいもない施設の廃棄ていどにすぎなかったはずです。 

事前に北と事務方の協議をしてきたステーブン・ビーガン特別代表は、おそらく段階的制裁解除のラインまで呑んでいたはずですが、その見返りは乏しいものでした。 

201808257e1535163871766ステーブン・ビーガン特別代表 

米国が要求してきたのはあくまでも全面開示であって、それには以下が含まれます。

①核物質製造工場とその貯蔵施設・貯蔵量
②核弾頭の製造工場とその貯蔵施設・貯蔵量
③核実験場の査察と廃棄
④核弾頭の投射手段(弾道ミサイル)の製造施設とその配備場所・配備数

それ以外にもポンペオが突きつけたと北が主張する化学兵器などの大量破壊兵器もありますが、おおむね以上の情報開示・査察受けいれ・廃棄作業の行程を明確にすることでした。 

特にプンゲリ(豊渓里)の核実験場の査察は、専門家が残留するガスを分析すれば、核実験の真の威力がわかると言われていますから、北としては米国側の立ち入りは絶対に拒否したい施設のはずです。
豊渓里核実験場 - Wikipedia

もちろん核弾頭の貯蔵施設、弾道ミサイル基地などは、もっとも核心的施設ですから論外です。

したがって、北が与えられるめぼしいカードは、結局わずか1枚にすぎませんでした。

 それがヨンビョン(=ニョンビョン・寧辺)の核施設の廃棄です。 

Wor1810060011p1https://www.sankei.com/world/news/181006/wor1810060011-n1.html 

このヨンビョン核施設は研究所まで含む大規模な複合核施設群であって、「2013年8月31日の衛星写真では、原子炉建屋のそばの蒸気タービンと発電機を収めた建物から蒸気が上がっていることが示され、2015年9月15日に、北朝鮮が寧辺核施設は電気出力5メガワットの実験炉を含めて完全に運転を再開した」状況でした。
寧辺核施設 - Wikipedia 

現況は昨年10月の38ノースによれば、一部で稼働しているのが確認されています。

「9月20、24、27日の衛星写真で、黒鉛減速炉の近くを流れる川のしゅんせつ作業が続いているのが確認されており、38ノースは減速炉の2次冷却システムが稼働していないことを示唆していると指摘。敷地内で農作物を干したり、集めたりする作業も見られた」(産経2018年10月8日)

上の衛星写真のうち②の発電施設からは蒸気がでておらず、停止状態にあるのはたしかなものの、④に新たな冷却施設を建設しています。 

つまりは、5メガワットの実験炉は停止したが、原子炉は構造上停止しても冷却を続けねばならないので冷却システムは回しているということのようです。 

ではなぜ金王朝3代で作り上げたこのお宝ともいうべき原子炉を止めたのか、いや止めることができたのでしょうか?

その理由は二つあります。まず、既に必要十分な核爆弾の必要数が確保されたからです。

「アメリカ国防情報局が作成したレポートに記載されていたもの。文書を入手した同紙によると、「現在、60基の核兵器が北朝鮮の指導者、金正恩委員長の管理下にある」という。これはストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が試算、7月に公表した10~20基を大幅に上回る」
(2017年10月12日Business Insider)
https://www.businessinsider.jp/post-100753

NuclearweaponsnukesmapcountbigraphiSkye Gould/Business Insider 

最大で60基あれば、北の主力核戦力である中距離核ミサイルに搭載するに十分な数です。

もったいぶってひらひらさせていた長距離核は、弾頭の小型化や再突入技術、誘導技術など必須技術が未完成であるとみられており、現状では張り子の虎にすぎません。

ですから、正恩自慢の「米国に到達できる長距離核の廃棄」などは、そもそも交渉の材料にはなりえないのです。 米国がそれを知らないはずがありません。

第2に、北はヨンビョン以外に最低10か所以上のウラン濃縮施設、300か所以上の貯蔵施設を保有しているからです。

黒井文太郎氏によれば、従来のプルトニウム型核爆弾でなく、濃縮ウラン型核爆弾を製造するためのウラン濃縮可能な施設を着々と作ってきたことも考えられるそうです。

「米シンクタンク「科学国際安保研究所(ISIS)」の所長で核専門家のデービッド・オルブライト氏は、最近出した報告書で第2の秘密濃縮施設が「カンソン発電所」という名前で運営されていることが疑われると明らかにした。
オルブライト氏は国際原子力機関(IAEA)で仕事の経験がある北核専門家だ。
オルブライト氏は核施設の名前をローマ字で「Kangsong」と表記したが、これは「強盛大国」の強盛を意味する可能性がある。
オルブライト氏はカンソン発電所に寧辺(ヨンビョン)にあるような形のP2遠心分離機が6000~1万2000個あるという「(関連国)政府の推算」を紹介した。あわせて、もし寧辺とカンソンの濃縮施設をすべて稼動させていると言った場合、北朝鮮が保有する核兵器は26~44個、兵器級ウランの量は600~1000キロになると推定した。
  IAEAなどによって現在まで公式に確認された北朝鮮の核施設は寧辺ウラン濃縮施設を含めてウラン洗練施設、核燃料加工施設など15カ所に達する。
しかし、核活動が疑われる軍事施設は米国が把握しているだけで200カ所を越える」(中央日報2018年6月7日)
https://japanese.joins.com/article/052/242052.html

Fbfb7_49_cho20180716000007511カンソン秘密核施設https://top.st/jp/news/22290530

実際に交渉席上で、ポンペオはこの「カンソン」核施設の廃棄も要求したと言われています。

つまり古くなったヨンビョンは諦めても、その代替施設の準備は済んでいるので、北の核態勢に滞りはないということです。

ところが米国はそんなことはお見通しで、それに対しても同様の開示と廃棄を求めたわけです。
※北朝鮮核施設https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/north-korea-nuclear/

おそらく事前の事務折衝で、ビーガンは北の出すカードに次第で段階的制裁解除はしてもいいくらいは言ったはずですが、それは先述した4つの条件が何らかの形で満たされたらという話にすぎません。

ところが直接会談してみれば、ヨンビョン以外全部拒否では話になりません。

そのうえ正恩は何をのぼせ上がったのか、トランプに対してこのていどのカードで全面解除まで口にしたようです。

憶測ですが、事前交渉では段階的解除程度で合意文書を作ったのに、土壇場で図に乗った正恩が全面解除をぶつけてしまったと思われます。

これが引き金で決裂に及んだのですから、正恩の側近もたまげたことでしょう。

馬鹿ですね。

正恩はトランプを、というよりむしろ米国という国を甘く見ていました。去年6月のシンガポール会談が強烈な成功体験となりすぎていたようです。

まだ国際政治にはルーキーでしかない正恩は、トランプのおだてに乗って、事務協議で渋られても、直接に会えばオレにメロメロなトランプはあっさりこっちの言うことを呑むさ、ていどに甘く考えていたふしがあります。

北という国はトップの意志がそのまま国家の意志ですが、米国はそうではないことを知らなかったようです。

いかにトランプであろうと、実務レベルの積み上げを無視し、同席した安全保障補佐官や国務長官を無視して合意に持ち込むことは許されません。

時代錯誤のお召し列車でハノイ入りして、赤絨毯の上を歩み、金王朝3代の念願だった合衆国大統領と直接交渉したことだけが、正恩の収穫だったというわけです。

それにしても、中国をお召し列車で横断するとはたいした度胸です。自分を大物見せたいあまり、中国の顔色を見るのをつい忘れたようです。

習はさぞかしこの大名行列を苦い顔をして見ていたことでしょう。

どうでもいいですが、さっさと帰らないとクーデター起こされてしまいますよ、正恩さん。

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一方、北というワントップに対してはこのような豪華絢爛な国際舞台をしつらえてやることもあるていどは効果的だったのは事実でしょうし、とりあえずは「非核化」の言質を取り付けたことはまずまずの成果でした。

しかし、トランプはその後の詰めを誤りました。

交渉は緩急自在にするもの、妥協と圧力を交互に使い分けねばなりません。甘い顔だけしていると、今回のように田舎の王様にまでなめられることになります。

北が会談に応じたのは、あくまでも軍事的圧力と経済制裁が確実に北を締め上げていたからであって、トランプの甘言の効果ではないのです。

それをトランプは自分のディールが成功したと勘違いして、多くを望みすぎました。

その結果、北に対して、トランプ組み易すしという誤った外交シグナルを出してしまいました。

トランプの性格の悪い面である独裁バイアスが、真の独裁者である正恩と妙に平仄があってしまったことによる悲喜劇です。

これではなにひとつ非核化は進みません。

この調子で3回目会談をやっても、まったく同じことの繰り返しのはずです。

とまれ米国は路線を転換し、元の圧力強化路線に復する時期です。

蛇足ですが、今回の会談の最大の敗者はムン・ジェインでした。

ムンは第2回会談をわくわくして見守っていたはずで、一挙に米朝和解・制裁解除・平和条約に持ち込み、3・.1記念日を南北和解・反日共闘の場としてぶち上げる算段だったようですが、残念をしました(苦笑)。

北からは3・1記念日の共催を断られるし、ここのところムン閣下はろくなことがありませんね。

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