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2019年3月 1日 (金)

米朝首脳会談決裂 おかしな妥協をされるよりよほどましです

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私が懸念していた最悪の妥協は回避されたようです。

「今回の会談では、昨年シンガポールで行われた1回目の会談を基にさらなる前進が期待されていたが、当初予定されていた共同声明の署名には至らず、話し合いは頓挫した。
 トランプ氏は会談後の会見で「要は北側は制裁の完全解除を望んだが、われわれにはそれはできなかったということだ」と明かし、「立ち去る以外ない時というものがある、今回がまさにそういう時の一つだった」と、いつになく暗い調子で語った」
(AFP2月28日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190228-00000044-jij_afp-int

決裂です。いい加減な妥協が予想されていただけに、私は胸をなでおろした感があります。 

合意文書草案まで用意されていたにもかかわらず、米国側が蹴ったようです。 

おそらくトランプ個人としては合意書に署名することもやぶさかではなかったのかもしれませんが、ボルトンとポンペオがはがい締めしたと思われます。 

_105833174_60bea4ae74c94b79813da5dbhttps://www.bbc.com/japanese/47397637

「トランプ氏は、金委員長は「制裁の全面解除を求めてきたが、我々はそれはできなかった」と述べた。アメリカは北朝鮮に対し、今後も制裁を継続するという。
また、北朝鮮が一部の核施設の廃棄を提示してきたが、他の核施設についても非核化を進める必要があると強調した。
「北朝鮮には明確な展望があるが、アメリカが目指しているものとは違う」と述べ、米朝間に隔たりがあったと明かした。
トランプ氏は、現時点で「何らかの合意文書に署名するのは適切ではない」と判断したという。
大統領は記者の質問に答え、「今日なにかに署名するのは100%可能だった。しかし、ともかく適切ではなかった。僕は急いでやりたいのではなく、きちんとやりたいんだ」と述べた」(BBC2月28日)

https://www.bbc.com/japanese/47397637

ふー危ない、危ないという感じですが、ここで米国側が席を蹴った形で決裂したのは、大変にいいことです。 

巷間噂されていた制裁解除を部分的にした場合、米国が得るものは北の核の一部の情報開示とやくたいもない施設の廃棄ていどにすぎなかったはずです。 

事前に北と事務方の協議をしてきたステーブン・ビーガン特別代表は、おそらく段階的制裁解除のラインまで呑んでいたはずですが、その見返りは乏しいものでした。 

201808257e1535163871766ステーブン・ビーガン特別代表 

米国が要求してきたのはあくまでも全面開示であって、それには以下が含まれます。

①核物質製造工場とその貯蔵施設・貯蔵量
②核弾頭の製造工場とその貯蔵施設・貯蔵量
③核実験場の査察と廃棄
④核弾頭の投射手段(弾道ミサイル)の製造施設とその配備場所・配備数

それ以外にもポンペオが突きつけたと北が主張する化学兵器などの大量破壊兵器もありますが、おおむね以上の情報開示・査察受けいれ・廃棄作業の行程を明確にすることでした。 

特にプンゲリ(豊渓里)の核実験場の査察は、専門家が残留するガスを分析すれば、核実験の真の威力がわかると言われていますから、北としては米国側の立ち入りは絶対に拒否したい施設のはずです。
豊渓里核実験場 - Wikipedia

もちろん核弾頭の貯蔵施設、弾道ミサイル基地などは、もっとも核心的施設ですから論外です。

したがって、北が与えられるめぼしいカードは、結局わずか1枚にすぎませんでした。

 それがヨンビョン(=ニョンビョン・寧辺)の核施設の廃棄です。 

Wor1810060011p1https://www.sankei.com/world/news/181006/wor1810060011-n1.html 

このヨンビョン核施設は研究所まで含む大規模な複合核施設群であって、「2013年8月31日の衛星写真では、原子炉建屋のそばの蒸気タービンと発電機を収めた建物から蒸気が上がっていることが示され、2015年9月15日に、北朝鮮が寧辺核施設は電気出力5メガワットの実験炉を含めて完全に運転を再開した」状況でした。
寧辺核施設 - Wikipedia 

現況は昨年10月の38ノースによれば、一部で稼働しているのが確認されています。

「9月20、24、27日の衛星写真で、黒鉛減速炉の近くを流れる川のしゅんせつ作業が続いているのが確認されており、38ノースは減速炉の2次冷却システムが稼働していないことを示唆していると指摘。敷地内で農作物を干したり、集めたりする作業も見られた」(産経2018年10月8日)

上の衛星写真のうち②の発電施設からは蒸気がでておらず、停止状態にあるのはたしかなものの、④に新たな冷却施設を建設しています。 

つまりは、5メガワットの実験炉は停止したが、原子炉は構造上停止しても冷却を続けねばならないので冷却システムは回しているということのようです。 

ではなぜ金王朝3代で作り上げたこのお宝ともいうべき原子炉を止めたのか、いや止めることができたのでしょうか?

その理由は二つあります。まず、既に必要十分な核爆弾の必要数が確保されたからです。

「アメリカ国防情報局が作成したレポートに記載されていたもの。文書を入手した同紙によると、「現在、60基の核兵器が北朝鮮の指導者、金正恩委員長の管理下にある」という。これはストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が試算、7月に公表した10~20基を大幅に上回る」
(2017年10月12日Business Insider)
https://www.businessinsider.jp/post-100753

NuclearweaponsnukesmapcountbigraphiSkye Gould/Business Insider 

最大で60基あれば、北の主力核戦力である中距離核ミサイルに搭載するに十分な数です。

もったいぶってひらひらさせていた長距離核は、弾頭の小型化や再突入技術、誘導技術など必須技術が未完成であるとみられており、現状では張り子の虎にすぎません。

ですから、正恩自慢の「米国に到達できる長距離核の廃棄」などは、そもそも交渉の材料にはなりえないのです。 米国がそれを知らないはずがありません。

第2に、北はヨンビョン以外に最低10か所以上のウラン濃縮施設、300か所以上の貯蔵施設を保有しているからです。

黒井文太郎氏によれば、従来のプルトニウム型核爆弾でなく、濃縮ウラン型核爆弾を製造するためのウラン濃縮可能な施設を着々と作ってきたことも考えられるそうです。

「米シンクタンク「科学国際安保研究所(ISIS)」の所長で核専門家のデービッド・オルブライト氏は、最近出した報告書で第2の秘密濃縮施設が「カンソン発電所」という名前で運営されていることが疑われると明らかにした。
オルブライト氏は国際原子力機関(IAEA)で仕事の経験がある北核専門家だ。
オルブライト氏は核施設の名前をローマ字で「Kangsong」と表記したが、これは「強盛大国」の強盛を意味する可能性がある。
オルブライト氏はカンソン発電所に寧辺(ヨンビョン)にあるような形のP2遠心分離機が6000~1万2000個あるという「(関連国)政府の推算」を紹介した。あわせて、もし寧辺とカンソンの濃縮施設をすべて稼動させていると言った場合、北朝鮮が保有する核兵器は26~44個、兵器級ウランの量は600~1000キロになると推定した。
  IAEAなどによって現在まで公式に確認された北朝鮮の核施設は寧辺ウラン濃縮施設を含めてウラン洗練施設、核燃料加工施設など15カ所に達する。
しかし、核活動が疑われる軍事施設は米国が把握しているだけで200カ所を越える」(中央日報2018年6月7日)
https://japanese.joins.com/article/052/242052.html

Fbfb7_49_cho20180716000007511カンソン秘密核施設https://top.st/jp/news/22290530

実際に交渉席上で、ポンペオはこの「カンソン」核施設の廃棄も要求したと言われています。

つまり古くなったヨンビョンは諦めても、その代替施設の準備は済んでいるので、北の核態勢に滞りはないということです。

ところが米国はそんなことはお見通しで、それに対しても同様の開示と廃棄を求めたわけです。
※北朝鮮核施設https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/north-korea-nuclear/

おそらく事前の事務折衝で、ビーガンは北の出すカードに次第で段階的制裁解除はしてもいいくらいは言ったはずですが、それは先述した4つの条件が何らかの形で満たされたらという話にすぎません。

ところが直接会談してみれば、ヨンビョン以外全部拒否では話になりません。

そのうえ正恩は何をのぼせ上がったのか、トランプに対してこのていどのカードで全面解除まで口にしたようです。

憶測ですが、事前交渉では段階的解除程度で合意文書を作ったのに、土壇場で図に乗った正恩が全面解除をぶつけてしまったと思われます。

これが引き金で決裂に及んだのですから、正恩の側近もたまげたことでしょう。

馬鹿ですね。

正恩はトランプを、というよりむしろ米国という国を甘く見ていました。去年6月のシンガポール会談が強烈な成功体験となりすぎていたようです。

まだ国際政治にはルーキーでしかない正恩は、トランプのおだてに乗って、事務協議で渋られても、直接に会えばオレにメロメロなトランプはあっさりこっちの言うことを呑むさ、ていどに甘く考えていたふしがあります。

北という国はトップの意志がそのまま国家の意志ですが、米国はそうではないことを知らなかったようです。

いかにトランプであろうと、実務レベルの積み上げを無視し、同席した安全保障補佐官や国務長官を無視して合意に持ち込むことは許されません。

時代錯誤のお召し列車でハノイ入りして、赤絨毯の上を歩み、金王朝3代の念願だった合衆国大統領と直接交渉したことだけが、正恩の収穫だったというわけです。

それにしても、中国をお召し列車で横断するとはたいした度胸です。自分を大物見せたいあまり、中国の顔色を見るのをつい忘れたようです。

習はさぞかしこの大名行列を苦い顔をして見ていたことでしょう。

どうでもいいですが、さっさと帰らないとクーデター起こされてしまいますよ、正恩さん。

2019022700000008jct0002view出典不明

一方、北というワントップに対してはこのような豪華絢爛な国際舞台をしつらえてやることもあるていどは効果的だったのは事実でしょうし、とりあえずは「非核化」の言質を取り付けたことはまずまずの成果でした。

しかし、トランプはその後の詰めを誤りました。

交渉は緩急自在にするもの、妥協と圧力を交互に使い分けねばなりません。甘い顔だけしていると、今回のように田舎の王様にまでなめられることになります。

北が会談に応じたのは、あくまでも軍事的圧力と経済制裁が確実に北を締め上げていたからであって、トランプの甘言の効果ではないのです。

それをトランプは自分のディールが成功したと勘違いして、多くを望みすぎました。

その結果、北に対して、トランプ組み易すしという誤った外交シグナルを出してしまいました。

トランプの性格の悪い面である独裁バイアスが、真の独裁者である正恩と妙に平仄があってしまったことによる悲喜劇です。

これではなにひとつ非核化は進みません。

この調子で3回目会談をやっても、まったく同じことの繰り返しのはずです。

とまれ米国は路線を転換し、元の圧力強化路線に復する時期です。

蛇足ですが、今回の会談の最大の敗者はムン・ジェインでした。

ムンは第2回会談をわくわくして見守っていたはずで、一挙に米朝和解・制裁解除・平和条約に持ち込み、3・.1記念日を南北和解・反日共闘の場としてぶち上げる算段だったようですが、残念をしました(苦笑)。

北からは3・1記念日の共催を断られるし、ここのところムン閣下はろくなことがありませんね。

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コメント

まさしくタイトルのとおりだと思います。
北はヨンビョンの廃棄・査察だけで経済の完全解除を主張したのは舐めているとしか言えませんね。

北にとって今回の会談の成否は専門家の間でも分かれています。

文在寅大統領が三・一独立運動100周年記念で演説をぶったらしいですが
米朝会談が決裂していなければ、さぞかし違った面持ちで迎えていたことでしょう。
株価は大幅に下がり、経済も明かりが見えない状況でありながら
さらに北に傾倒し続けるようだと、この人の足下もかなり危うくなるように思えます。
現に軍OBが何やらキナ臭い動きを見せているとかいないとか。
大統領就任から二年もたたない状況で家族にスキャンダラスな噂が流れるのも
ある意味危険信号とも思えるんですが。

 米北会談、悲観的な見解があふれる中で一縷の円満解決を願っていた私としては大変にショックでありました。キムジョンウンの強気な態度は容認できませんね。トランプさんの意志の強さで再びの緊張状態を圧倒的に乗り切ってもらいたいですね。それには、日本の軍事力も効果的に使えるとアメリカにとっても支援になる筈です。国会でそれについて与野党で協議するといいのですが・・・・・。

 当座、北朝鮮への対応は進まなくなるはずですが、今度は中国とアメリカの経済戦争の本格化の時がやってくるのでしょうか。中国は経済的に苦境にあるようですが、日本や台湾への侵略意図を隠さないほどに高圧的なので、この際、アメリカに強く締め上げてもらいたい。この大国を弱くしないことには、東アジアの不安定さはなくならない。韓国の反日、反米も収まらないだろう。

 それに、日本の安全のためには、ロシアとの平和条約の締結を急ぎたい。できれば、安全保障条約まで行きたい。そうなると、日本の安全保障は格段に進むだろう。

 チャンネル桜の水島氏は、アメリカが今般の米朝会談を決裂させたのは、トランプ大統領にとって全くの想定外のことではなくて、今後の北朝鮮のみならず中国との対応を考えたときには想定していたことでもあるという意味のことを述べております。駆け引きです。

 アメリカの今後の相手としての中国への対応を考えている意味が大きい。


 チャンネル桜 水島総の直言極言から

レースとしては、北朝鮮が米国本土まで到達できる長距離核ミサイル
を実戦配備するのが早いか、米国が北朝鮮を締めあげて内部崩壊
させるのが早いか、です。このレースの本質は、当初から変わってい
ないように思います。もちろん北が早いとなれば、米国は直ちに行動
に出るのはガチです。ただ、ムン様というピエロ(にしか見えないです)
が登場してから、米朝双方の調子が少しギコちなくなったようです。

この人、韓国史上初の、自国民から糾弾されるわ、米朝双方から恨
まれるわ、日中露からはアホウにされる、珍しい大統領になるのでは
ないでしょうか?彼の真意は不明です、本当にルーピー鳩なみの困
ったチャンで、彼自身にも自分が何をしたいのか何をしているのかが
解っていないのかも知れません。

トランプ親ビンは、やっぱりクセ者ですわ。どこまでがマジでどこまで
がディールなのかシッポを出しません。4回破産した不動産屋のオヤジ
なので、ジョンウン君みたいなボンボンを手玉に取っているのか、実
は出たトコ勝負なのか? その著書に「これという不動産は仕込んだ
ら、値下がりしたとしてもジッと待つ、当初の自分の見込みを信じてジッ
と待てば、最後には何倍にも価格が跳ね上がって儲けられる」と書
いてあったので、国際政治にもそのセオリーを持ち込んでいるのか?

まあ日中露も入れて、物凄い駆け引きをしているんだろうなぁー、と
思いますわ。それなのに、マスゴミに出て来る日本の外交専門?家
という人達は、シロートの考えと同じようなモンで、まったく常識的な
ツマラナイ当たり前の意見で頼りになりません。ムン様以上にガッカリ
しているのは、そんな日本の専門?家かも知れません。管理人さん
の記事の方が、よっぽど色々考えさせられますわ。

 拉致問題を散りあげるマスゴミはほぼ皆無だったのでは?
 会談前から「首脳会談は北主導で進むだろう」と一体何処のメディア化と思う位北びいきの願望報道ばかり目立ったのにはドン引きしましたよ。そして事実上の会談決裂になってお通夜状態の各報道番組。でも「拉致問題が蔑にされては困る」とコメントを出した番組はどれだけあった事やら。
 日本のマスゴミはガン細胞以外の何物でもありません。

米国接近を好まない幹部を粛正してのぞんだ会談、手ぶらで帰る先にどんな展開が待ち受けているのかちょっと想像がつかないのですが、高望みしてコケてくれたのは日本にとって朗報ですね。
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/16093069/
この臨時政府が今後大運動を巻き起こす可能性は低いけれど、半島南北の混沌が極まった際にお国入りする可能性はあるのではと思いました。親日の顔を持っているかもしれませんが、この半島スパイラルにこそ日本は巻き込まれてはいけないです。
北も南も臨時政府も、ついた味方を裏切る事で生きる糧を得るという特性に変わりはないと私は考えています。

とにかく今回の会談でわかったのは

・トランプはポンペオ&ボルトンの意見はしっかり聴いている
・北朝鮮への経済制裁は間違いなく効いている
・それにもかかわらず北は方針を変える気はない
・北は今回の結果はかなり想定外だった
・文大統領は米、朝どちらからも全く信用されていない

こんなところでしょうか?

とりあえずトランプの交渉の基本路線は事前に持ち上げるだけ持ち上げて本番で要望に満たない内容であれば簡単に手のひらを返すというのは間違いないようですね。
中国に続いて2度目です。
いい加減に国内のメディアや専門家の方々は先入観を排除した冷静なトランプ分析を行って欲しいものです。
特に宮家氏とか分析以前に個人的な好き嫌いが優先されてしまって全く的外れなものばかりです。
外務省経験者って専門であるはずの外交に関して「はぁ?」と思わされる発言を聞かされる事が多いのは僕の気のせいでしょうか?

今回の管理人さんの見解に完全同意します。日本にとって最悪の結果は避けられたとはいえまだまだ余談を許さない状況です。しばらく悶着あったあとで北の核を実質的に黙認する方向に向かう可能性はまだまだ高いと思います。

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