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2019年3月12日 (火)

ドイツの脱原発に見習えですって?

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3.11の頃になると、なにを勘違いしたのか、ドイツの脱原発を見習えと主張する人たちがまたぞろ出てきます。

昨日の放射能についてもそうでしたが、彼らには致命的に実証精神が欠落しています。

ドイツが脱原発をやってどうなったのか、今どのようになっているのか、あるいはドイツを模倣したFIT制度の現状はどうなったのか、検証しようとしていません。

現実に立脚しない、現実を見ようとしない、現実とは無関係な「原発ゼロ」イデオロギーに浮かされた熱病の産物なのです。

2014年7月23日の記事を再掲載します。

                                              ~~~~~~

安直に原発を止めて、その勢いで温暖化ガスである化石燃料発電もやめてしまい、いっそ全部をクリーンな再生可能エネルギーにしてしまえば「安全・安心」だと言う人がいます。

もっぱら言っているのは、反原発派の人たちと野党ですが、たぶん原発問題を政局としてしか捉えておらずに、エネルギー問題だと考えていていないのではないのでしょうか。

菅直人氏の置き土産である、再生可能エネルギーの固定価格買い上げ制度(FIT)は崩壊の淵にあります。

直接の原因は電力会社の買い取り制限です。

太陽光による電力の急増による送電設備の容量オーバー、発電の気象条件による周波数の乱れによって大規模停電などの怖れが出たからです。

既に大手電力10社のうち、中部、北陸、中国以外の7社が、受け入れ中断、あるいは、制限を実施する事態となっています。これを受けて経産省は、固定買い取り制度の見直しに着手しました。

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そもそも菅首相は、「友人」である孫正義氏を「忖度」して、孫氏の言うがままに世界一高い買い取り価格を設定しました。

当初はなんと40~42円/kWh、現在は下がって32~37円/kWhです。

こんな馬鹿げた投機的価格をつければ持続可能エネルギーどころか、持続不可能エネルギーに堕するのは目に見えると、私は初めから指摘していましたが、そのとおりとなってしまいました。

●2014年に行われた経産省の見直しの内容
①太陽光による電力の価格を大幅に下げ、地熱などを相対的に優遇する。
②地熱発電による電力を優先的に買い取らせる。
③大規模太陽光発電につき、FIT適用のための認定を一時停止する。
④太陽光発電への新規参入や発電施設の新増設の凍結。
⑤買取価格に入札制度を導入する。
⑥電力会社が再生可能エネルギーによる電力を受け入れなくてもよい期間を30日からさらに延長する。

しかし歯止めが掛からず、いまや半分本気で「発電税」をかけるしかないという声すらあがっています。

当初のウルトラ高値の買い取り価格を、市場価格にみあって平準化し、新規参入を抑制させることが狙いです。

それにしても当初から予測可能なことばかりで、初めから政治的に押し込まずに専門家が検討を繰り返していればよかったことばかりです。

たとえば、次の目玉とするつもりの地熱発電を電源の0.3%(2012年)であったのを、2030年までに1%にまで引き上げるということを言っていますが、これも失敗に終わるでしょう。

確かに太陽光や風力と違って安定していますが、火山地帯に集中すれば当然限られた水蒸気は枯渇し地盤沈下の恐れがあるとして温泉業者団体から強い反対があります。

2030年度までに再生可能エネルギーを2割にするなどという空論は止めて、一定の枠内で丁寧に育てていく方針に切り換えるべきです。

原子力発電はあたりまえですが、エネルギー問題であって思想問題ではありません。

エネルギーは社会インフラの基本中の基本なので、抽象的にイエスノーを言ってはいけない問題なのです。

電気が来なければ社会の生産活動がすべて止まります。来たり来なかったりすれば、工場のラインはそのつど停止、再起動をするためにオシャカの山を築きます。

周波数の安定が要求されている社会でこんなことが起きれば、日本の製造部門は壊滅状態になるでしょう。

実際にドイツは原発を半分止めただけで、企業の国外移転が相次ぎました。

それでもドイツはヨーロッパ広域送電網によって周辺国から電気をもらえるからマシでしたが、日本はそれもできません。

こんな国からは生産部門は逃げ出し、やがて人も逃げ出すことでしょう。

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再生可能エネルギーが化石燃料や原発に代わる基幹エネルギーにするというのはファンタジーに過ぎません。

再生可能エネルギーは正しく社会に位置づければ有意義な電源ですが、過剰な期待をかければ社会的ダメージは計り知れません。

それは自然由来故の、克服しようがない「ブレ」があるからです。これではベースロード電源になるはずがありません。

ですから、風力発電を持つ地域の電力会社は、大風が吹くと大量に送り込まれる電気を拒否したり、逆に風がなければ火力を増加させるというバックアップに振り回されています。

まぁ、制度の心配もさることながら、いまや太陽光パネルの大部分を占める中国製の安物が、簡単に故障しては修理部品もなくなっているようですので、野山にはパネルの残骸が醜く放置され環境破壊と自然災害のの原因となっています。

また太陽光発電を名目にした、中国の土地買い占めが大変な面積に登っていることもわかりました。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170604-00000017-pseven-soci&p=1

「昨年1年間で外国資本に買われた森林は実に“東京ディズニーランド15個分”(777ヘクタール)
4月28日、農林水産省が発表した調査結果が永田町や霞が関に衝撃を走らせている。買収された森林の多くは北海道で、香港・台湾を含む中国系の土地取得者による買収面積が81%にものぼる。実は本州でも今、ある事業を名目とした中国系資本による土地取得が進んでいる。それが「太陽光発電」だ。電力事業関係者が説明する」
 

さて、再エネ(再生可能エネルギー)がなぜ基幹エネルギーにならないのか、考えてみましょう。 

結論から言えば、発電量の「ブレ」の激しさが致命的なのです。「自然を資源」としているわけですから、気まぐれが激しいのです。  

下図は、東京電力浮島太陽光発電所の発電量の時間推移のグラフです。12時頃をピークとして崖型に発電量が推移するのがわかります。  

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 (図 東電による) 

6時以前と4時以降はまったく発電を停止します。曇りと雨でも稼働しなくなります。 

ちなみに、このグラフは太陽光発電が活発な春3月のグラフです。 

冬や梅雨などはもっと悲惨なことになって底浅フライパンのような形になりますが、反原発の皆さんがショックを受けるといけないのでいちばんいい季節を選びました。  

春は太陽光のベストシーズンで、利用側もエアコン使用がないため電力需要にも余裕があります。  

ただ残念ながら、これからの夏の気温上昇はパネル内の温度上昇により電気抵抗が増すので効率が下がる季節です。  

燦々と太陽が降り注いでいるのに案外発電をしません。にかかわらず、ご承知のように1年でもっとも電力需要がピークを迎える季節です。  

つまり、太陽光は一番必要とされる時には発電が減るという宿命的な欠陥を持っているクセのある電源だということです。  

ですから、「発電量」公称1メガワット(100万ワット)と発表されていても、実態の実発電量はその7から10分の1にすぎません。  

中とって8分の1として、公称1MW太陽光発電所の実発電量は0.12MW(メガワット)にすぎません。  

ここまでを整理しておきます。

①再エネの「定格出力」、あるいは「最大出力」はカタログデータ。実際はその時間ごとの発電量にすぎない。実効発電量は、定格出力の約8分の1から10分の1ていど
②太陽光発電は6時以前、4時以降は発電しない。冬や梅雨、夏の盛り、曇りや雨の日は絶望的
発電量が極端に貧弱。日本最大の浮島・扇島発電所の1年間の発電実績は、柏崎原発1号機のわずか16時間分ていど
④発電量を人為的にコントロールできないので、必ず火力などのバックアップ電源が必要
⑤出力と周波数調整のために、大容量NAS(ナトリウム・硫黄)電池が必要

発電量のブレは宿命だとしても、最大の問題は蓄電コストてす。

つまりメーカーの日本ガイシさんに言わせれば、大規模蓄電なんてやりゃやりますが、とんでもなく金がかかりますよ、ということです。  

kWh単価(コスト)は、リチウムイオン電池20万円、ニッケル水素電池10万円、鉛電池5万円、もっとも安いNAS電池で2.5万円 です。  

したがって、1万人規模の街の電気を蓄電するためには、もっとも安いNAS電池ですら1日で約15億7千万円ほどかかってしまいます。  

1か月で約532億円ていどかかります。 もちろんこんな計算もまた机上の空論にすぎません。 

というのは、本来の再エネにおける蓄電技術は、丸々蓄電する目的に作られたものではなく、再エネ特有の出力や周波数の「ブレ」の調整の為にあるからです。 

その日の予定以上に多く発電した場合は、多少貯めておいて、まったく発電できない時にそれを出すというような目的です。 

蓄電池もそれに応じた規模のものをつけてやればいいし、現実にもそうなっています。  

そもそも、反原発派には、原発問題をエネルギー問題として捉えていません。彼らの主張は、結局は「原発は危ない。だから原発ゼロ」のただ一点だけです。  

それが故に、予想される大災害時、あるいは夏のピーク時に必要なライフライン確保のためには、ギリギリの電力予備率では危険だという自覚がないのです。 

現在(2014年現在)、夏の電力予備率は関西電力で3%を切り1.8%という危機的状況です。  

まして、わが国が脱原発政策のために再エネが6割(※ドイツの目標値)などという頭のネジが飛んでしまったような政策をとったら、絶望的な事態になります。 

電源予備率はまちがいなく大幅マイナスになっているでしょうから、ピーク時や災害に極端に脆弱な国になっています。

産業が国外に流出し、国民生活が高い電気代によって圧迫されては、なんのための「原発ゼロ」だかわかりません。

国破れて太陽光パネルあり、では困るのです。

このように再生可能エネルギーは、とうてい原子力の置き換えには不向きな電源にすぎないのです。

申し添えておきますが、再エネは国家規模の代替エネルギーには不向きですが、限られた地域内で、しっかりした定量を発電し続け、なおかつ調整可能な電源にバックアップされれば有望な電源ではあります。

急進的にエネルギーの過半を再エネにしてしまおうとするから、かえって自然エネルギーの良さを取り出せないのではないでしょうか。

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コメント

  私は(左右イデオロギーに汚染されていない)当分野の専門家です。貴記述は全体的に正しく賛同致します。「原子力発電はあたりまえですが、エネルギー問題であって思想問題ではありません。」いつもそう思います。技術はイデオロギーではない。貴記事のように数字と単位で論ずることが重要です。そうするとイデオロギー論者は反論出来ないでしょう。
  記事中に破壊された太陽光パネルの写真があります。設置場所の状態によって異なるのですが、建設時、太陽光パネルと同程度の費用が架台にかかります。特に山の斜面では基礎工事に多額の費用がかかります。そこで建築用の足場で手抜き工事するので、写真のようになってしまうのです。
 「まして、わが国が脱原発政策のために再エネが6割(※ドイツの目標値)などという頭のネジが飛んでしまったような政策をとったら、絶望的な事態になります。」全くそのとうりです。出力がゼロになる時がある再エネの6割のバックアップは、出力調整が容易な火力発電しかなく、それは常時待機する6割の余剰設備となるので、電力価格は必ず上昇しますね。ベースロードは原子力、出力調整に火力、再エネは数%でよいのです。

原発に関しては構造上の問題よりも運用や管理面、特に緊急時での対応や、不備があった時のバックアップといった責任の所在を明確化するなど、扱う側の問題の方が大きいと感じています。

「原発は危ない」で思考停止するのではなく
「より安全に運用する方法はないのか?」という踏み込んだ議論になかなか発展していかないのは歯がゆく思えてなりません。
近年の環境問題はビジネス臭がきつ過ぎるものが多すぎて、本当に問題なのかすら怪しいものすらあり、それら声の大きな者たちによって本当に深刻な問題が隠されてしまうのではないかという懸念すら感じる事があります。

他国の良い所有れば取り入れるべきですが、物理的な条件が異なる国の制度を無理に真似ても上手く行かないでしょう。

そもそも欧州では電力系統は国を越えて繋がり、時差があるから電力消費ピークが異なり発電所の効率良い運転が可能。
欧州全体で日本の様に国土が細長く無いから基幹送電網が正に網型(日本は串型)でこれも発送電の効率が良い。

更に自然エネルギーって聞こえ良いけど、風力水力は自然界の万物を循環させる力(風水)を奪ってるし、太陽光で地面暖め→その地面が地上の空気暖め→空気膨張→軽くなり上昇(低気圧)→上で冷える→縮む→重くなり下降(高気圧)なので全く気象に影響無しとまでは言い切れない?とも思います(建物の屋根程度なら兎も角)

こんな技術面を説明しても、私学文系卒で事務系の方は高校レベルの物理、化学の知識があまり無い(入試が原則英国社、センター試験は生物等選択多い)からマイケルファラデーの電磁誘導の原則(発電機の原理)ボルタの電池(化学電池の原理)等を理解してません。
更に交流電力なら三角関数、虚数等の数学も必要。
これら高校レベルの内容は200年以上前の技術、いわば江戸時代の古典?ですがこれが解らないで電力事情を技術的に正しく理解は難しいです。
以前「三相交流は120度サインカーブずらすから三本線で送電」との説明に「電気はプラス、マイナス、工学部出てるのに馬鹿か」と返されました。
私も社会系知識ショボいから大きな事言えませんが、某有名私大卒なのに理数の知識は中学生程度です。

理工系の内容を解りやすく説明出来るサイエンスライターみたいな人材が必要ですね。

「現実に立脚しない、現実を見ようとしない、現実とは無関係」な人に成るのは教育に問題があったのだろうか?学歴だけは立派だったのにね。

Siさん。

お気持ちお察しします。。
まあ理系文系問わず、いくら高学歴でも立場が上だと偉くなるバカの類いですね。普通にコミュニケーション取れれば
「こうなって、こうです。」
「あっ、そうなのかー!」
で済む話。しかも中学3年理科とか高校数1で習うようなレベルだったりします。
「お前理系の癖に・・・」なんて言ってるのは、工業高校出より知識無かったりしますね。
まあディスコミュニケーションは職場となると文理問わず起こりますし、感情ばかりで喋る人もいますしね。。

3相モーターの話は分かりやすかったです。
一応理系ながら農学系なので、物理や数学苦手な頭は文系な私ですが、学生時代に産業用サーボモーターの製造会社で短期バイトして、むしろ色々教わったものです。有り難い体験。
その後も食品加工製造現場とか長かったんで、まあ~そのテの理不尽はウンザリしまくるほど見てきてますし。。

エネルギー問題は重要ですね。大平洋戦争も結局これ確保の面もありましたし…
しかしですね、その根本は科学の問題ですよ。
今の統計問題のように、データ等を上手く細工すれば、数式は完全でも結果はどうにでもなります。
原発のメンテナンスは結局人間がやるんでんすよ。化学プラントのように配管が複雑にあり、バルブ等も老朽化して、耐えずメンテが必要です。放射線に当たるんですから、腐食も早いようです。
メンテが滞れば、そのうち重大事故に繋がります。メンテの人的技術が下がれば、リスクが上がりますが、そういうリスクは考慮されないんですよね。
放射線の専門家の方は、外部被曝の放射線量のみ重視され、内部被爆は外部被曝に似せた危険率で考慮します。公的な国際組織で、そう決めてる訳ですが…、米国の原子力戦略と深い結びつきがあり、内部被爆は隠蔽するようになっていますよね。ロシア、中国などは、すべてのリスクを情報統制して、エネルギー・軍事でどんどん原子力を進めてます。
三角関数、虚数ですか、今はヒルベルトが言われた、せんけん的なものをすべて排除し、例えばユークリッド幾何学などの偶像的な手法、すべて数理論理的に考えなければならないんです。ゲーテルのような批判もありますが、IT 社会とは、このことですよ。
原発を科学的に考えるなら、危険でとんでもない。政治・軍事的に考えると、未だに王様です。
一人一人が数理論理的に独立して、真に科学的に考えにと、福島原発事故のようなことになります、また。原爆、死の灰ばらまきより強力な科学兵器を開発すれば、原発すべて廃止しても良いと思いますが…中国に占領され、チベット化されるよりも、原発公害の方がマシですかね。

 毎月の電力会社からの請求書を見る度に血圧が上がります。何せ「再エネ賦課金」が料金の一割以上を占めるのですからバカバカしくなります。しれこそ一握りの連中しか恩恵に与れない「ソーラー利権」の為に、ソーラーパネルを設置してない多数の仮定や企業が負担を強いられるのですからこんな不公平かつ理不尽な話はないでしょう。
 脱原発派にこそ私たちの分も負担して欲しいですな。「まず隗より始めろ」と言う諺通りに。

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