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2019年3月 2日 (土)

米朝会談 非核化ではなく核軍縮になる寸前で止まった

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今回の米朝首脳会談は、双方がその気にさえなれば合意に持ち込めた可能性があります。 

神保謙氏はこのように述べています。

「米朝が段階的非核化の原則で合意し、北朝鮮が寧辺の核施設の廃棄と検証措置を受け入れ、米国が南北経済交流(開城工業団地と金剛山観光の再開)を制裁の例外とすれば米朝合意は可能だったように思う。
ニンビョンにもしかし寧辺以外のHEU施設廃棄と制裁の全面解除はおよそ取引不可能だったというのが実態ではないか」
https://twitter.com/kenj0126/status/1101184093113397250

北が出してきたカードは、①段階的非核化、②寧辺の核施設の廃棄と検証措置の2枚でした。 

このうち①の段階的非核化はCVIDに向けた工程表が付いて初めて意味をもつのであって、ただポンとだされてもねぇ、なにから始めるの、というのが米国の意見です。 

米国は、今回大きなカードを切ってきました。それがヨンビョン(寧辺)核施設以外のHEU施設でした。 これが北の意表をついたようです。

HEU施設とは高濃縮ウラン製造プラントのことです。 

201808220858511中央日報https://s.japanese.joins.com/article/252/244252.html

 上の写真が米国の高濃縮ウラン製造プラントの遠心分離機です。
関連記事「独自核武装はやってやれなくはないが、そう簡単なことではない」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-b0b9.html 

数百から2千基の遠心分離機を連結して、原発の副産物として作られる不純物の多いプルトニウム240から兵器級プルトニウム239に濃縮します。 

日本はプルトニウムを持っていますが、この高濃縮プラントを持っていません。ですから、日本の保有するすべてプルトニウムは240であって、これでは原爆は作れません。 

北はこのプラントを保有しています。おそらく最低で10箇所存在すると推測されます。 

正確な実態は分かっていませんが、米国の国際戦略研究所(CSIS)はこのように推測しています。

北朝鮮は、寧辺(ヨンビョン)核施設をはじめ平安北道(ピョンアンブクド)の博川(パクチョン)と泰川(テチョン)、天魔山(チョンマサン)付近で数百坪規模のウラン濃縮施設を運用していると推定される。両江道(ヤンガンド)ヨンジョ里や慈江道下甲(チャガンド・ハガプ)などのミサイル基地も、数百~2千余りの遠心分離機を備えた濃縮施設を稼動しているという疑惑を受けている。
韓米情報当局は、特殊偵察機や偵察衛星などで証拠を収集してきた。しかし、ウラン濃縮施設は規模が小さく、ほとんど地下に設置されているため、特定が難しい。これまで実体が確認されたのは、北朝鮮が2010年に核専門家ヘッカー米スタンフォード大教授に公開した寧辺核施設の濃縮施設が唯一」(東亜日報2018年11月14日)
http://japanese.donga.com/Home/3/all/27/1541374/1

下図で核マークがついているのがウラン濃縮施設です。 

Northkoreanuclearロイターhttps://matome.naver.jp/odai/2145205056190507901/2

これが始末に困るのは、大規模な施設ではないことです。電力を多消費する事以外は、町工場程度の施設を地下に作って、遠心分離機を千基もつなげばできてしまいます。 

しかもこの施設は山岳地域に建設され、それもご丁寧にも地下に作っているために、隠蔽が簡単です。 

かつて2010年に北は米国の核専門家ヘッカー米スタンフォード大教授にヨンビョンの濃縮ウラン施設を公開したことがあり、それが唯一の目撃例です。 

それから8年以上たって、北はこの秘密高濃縮ウラン製造プラントから、毎年3~4個の核を製造し、最低で30個以上の原爆を得たと推測されています。 

の高濃縮ウラン施設によって、北は効率よく核兵器を製造することが可能となりました。

当然のことですが、米国はかなり前からこの高濃縮ウランプラントの存在を察知していました。 

オバマ時代からケリー国務長官はその存在を指摘しており、トランプ政権になってからも当然のこととして廃棄要求を出しています。

「トランプ米大統領が((2018年8月20日に示唆した北朝鮮の非核化「追加措置」に関連し、核施設の稼働縮小である可能性が提起されている。
トランプ大統領はこの日、ロイター通信のインタビューで「核実験場の爆破のほかに北朝鮮が具体的な非核化措置を取ったのか」という質問に対し、「私は彼ら(北朝鮮)がそのようにしたと信じる」と答えた。
しかし「追加措置」には具体的に言及しなかった」(中央日報2018年8月22日)
https://s.japanese.joins.com/article/252/244252.html 

この「追加措置」とは、すべての高濃縮ウラン製造プラントの廃棄を指すと理解されていますが、今回わかったのは北はとっくに米国人科学者にすら見せているヨンビョンの老朽施設だけの廃棄しか考えていなかったわけです。 

ところで今回の正恩が犯した致命的失敗は、金王朝の伝統芸である瀬戸際戦術を過信したことでした。 

先代のように、米国の要求を強硬に突っぱねてこれ以上びた一文まけられない、さもなくば戦争だ、崩壊してやるぞ、さぁ困るのはお前だ、という脅しをしょうこりもなく使ったことです。 

そしておもむろに最小限譲歩のカード(スモールディール)を懐からだすというわけですが、今回トランプの「恋の罠」に引っかかって非核化をテーマにしてしまったことです。 

おおむねいままでは、「北の非核化は極めて困難である」というのが専門家やメディアの共通認識でしたから、少しの譲歩であっても貴重な収穫だということで、米国側が折れていました。 

ところが、今回のトランプは表面的にはスウィートな態度を示しながら、実際の交渉では一転して北のスモールディール戦術を一蹴し、ビッグディール以外では合意しないとしたのです。 

これを意識的にやったなら、たいしたネゴシエーターですが、ちょっと違うような気もします。

この場合のビッグディールとは、非核化措置の範囲を「寧辺核施設+その他すべての核施設」としたことです。 

具体的には、昨日も書いたように、北がいう寧辺核施設の解体などは当然の前提にすぎず、そんなていどの譲歩ではただのスモールディールにすぎないと、米国は考えています。 

あくまでも米国が譲れない一線としたのは以下です。

①高濃縮ウラニウム施設申告・査察受けいれ・廃棄・解体
②核弾頭の申告、査察受けい廃棄・解体
③核物質の申告・査察受けいれ・廃棄

Wor1902280081p1https://www.sankei.com/world/news/190228/wor190228...

しかも正恩は瀬戸際戦術の常として、自分はまったく譲歩せずに相手には最大限の譲歩を迫るのですからタチが悪い。 

今度は制裁の全面解除です。おそらくはトランプが顧問弁護士の一件で揺らいでいると見て、足元を狙ったのでしょうが、トランプというビジネスマンのしぶとさを忘れていました。 

ここでスモールディールで譲歩をしてしまったら、ほんとうにトランプにとって政治生命がなくなるところでした。危ない危ない。 

北のイ外相(そんなシャレたもんがいたんだ)は全面解除なんか要求していないと、時間もあろうに深夜2時の会見で言い出しました。

「李外相はトランプ氏の発言を否定し、北朝鮮は全面的な制裁解除ではなく、一部の制裁解除を求めただけだと強調した。
北朝鮮は、アメリカの査察のもとで寧辺(ヨンビョン)核施設を完全に廃棄するなど、 「現時的な」提案をしたと主張した。
「現在の朝鮮民主主義人民共和国とアメリカの間の信頼度を考慮すると、この提案は、我々が現段階で実行できる最大級の非核化措置だった」
北朝鮮はその見返りとして、民間の経済と北朝鮮国民の暮らしを妨げている制裁のみを解除するよう求めたのだと、李氏は述べた」(BBC3月1日)
https://www.bbc.com/japanese/47411190

まぁ、深夜に緊急記者会見をするくらいですから、そういうことにしておきましょう(笑い)。 

とまれ、正恩は、トランプが事前交渉で出していた①経済協力②平壌の連絡事務所の設置③朝鮮戦争の終結宣言④経済制裁の緩和ていどで手をうっておくべきでした。

これだったら美味い昼食が食えて、ブイブイいわせて国に錦を飾れたのですから。 

おそらくこの線で合意文書は作成されてきたのであって、もはやこの米国の妥協も含めて全てが吹き飛んだということになります。

わが国にとっては、こんな妥協されなくて本当によかった。 

20190301oyt1i500031https://www.yomiuri.co.jp/world/20190301-OYT1T5001...

今回トランプが珍しく言葉少なく自己賛美なしで、「金正恩氏が寧辺の核施設を廃棄すると言ったが、公にしていない核施設を廃棄しない限り、非核化ではなく、核保有を認めた上での核軍縮交渉になってしまう」と述べたのは、まさに正解です。 

とまれ、いかにボロくなっていようと3代かけて作ってきたヨンビョン核施設を廃棄してもいいというのは、裏返せば米国の経済制裁が極めて効いていることだとわかりました。

それはただの制裁ではなく、2017年9月から始まったセカンダリーボイコットと呼ばれる制裁方式が功をそうしつつあるからです。

セカンダーボイコットとは、制裁当該国と経済関係をもったことだけで、その国の金融機関 も同じく制裁対象にするという手法ですが、これによって北が得意とする抜け道はほぼすべて塞がれてしました。

「米国が明らかにしたセカンダリーボイコットの内容は大きく3つある。まず北朝鮮と金融取引をする第3国のいかなる金融機関も米国金融網への接近が遮断される可能性がある。
北朝鮮に入った第3国の船舶と航空機は180日間、米国に入ることはできない。また相当な水準の商品やサービス、技術を取引した個人や機関も制裁対象となる。北朝鮮の金脈をふさぎ、対北朝鮮封じ込めもあるということだ。
北朝鮮と取引するだけで制裁が可能な史上最高レベルだ。2日前に「必要ならば北朝鮮を完全破壊する」というトランプ大統領の発言は口先だけでないという点を見せている。
北朝鮮としては耐え難い状況に向かっている。米国と北朝鮮のうち二者択一という米国の最後通告に北朝鮮を選択する国はほとんどないだろう。その間、北朝鮮を支えてきた中国も困惑している。
北朝鮮企業の9割近くが中国の金融機関を利用するなど北朝鮮と取引する個人・企業の大半が中国系であるため、今回の措置の事実上のターゲットは中国という声まで出ている」
」(中央日報2017年9月23日)
https://japanese.joins.com/article/747/233747.html

長くなりましたので、詳細は省きますが、この米国のセカンダリー・ボイコットによって、今まで半ば公然となされてきた中国からの制裁破りは激減したしたといわれています。

ですから、今の北は外洋での瀬取りで凌いでいるありさまです。その瀬取りすら国際監視の下に置かれて、各国哨戒機が厳しい 活動をしています。

このままでは、自慢の高濃縮ウラン施設が必要とする大量な電源も遠からず枯渇することでしょう。

その時期を見て、また話会えばよいのです。 長期戦は覚悟しましょう。

トランプも再選などという俗気を払って、北の非核化という長期戦の礎を作った偉大なタフネゴシエーターと呼ばれることに軸足を移したほうが賢明です。

 

 

 

 

 

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コメント

日本の立場は当初から、終戦宣言は「時期尚早」、制裁解除には「反対」で、会談二日前にはわざわざ「(拉知問題解決前の)経済援助はしない」と言明しました。
まるっきり文在寅と反目した立場ですが、これがトランプ氏の非合意決断の大きな要素にもなったと言えるのではないでしょうか。

報道ではよく下院公聴会の事をトランプ氏の決断と結びつけるきらいがありますが、コーエンは「ロシアとの共謀があったとは言えない」としているし、トランプタワーの名義貸しの件もトランプからの「直接の指示はなかった」と証言しています。 

公聴会はおおむね失敗だし、それを「トランプが過度に心配しているので、妥協するだろう」と読んだ正恩も失敗しました。
けれど、「決裂」ではなさそうなので、今後の展開も目が離せません。

 管理人より
ueyonabaruさんです。かならずHNを入れて下さい。

トランプ大統領はアホでなはなくて、稀にみる利口者、正直男かも知れません。女性問題など多少のやましいところは男の性質上あったかもしれませんが、基本的に根っからのウソつきではなさそうです。
  
 ロシア疑惑もアメリカの左翼、マスコミの方がむしろ批判されるべきかもしれません。彼らには、トランプ大統領の大きな志など理解できないのかもしれませんね。トランプ大統領はホントに中国の体制すら壊しかねない力があるのかもしれません。私は期待しております。

 

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