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2019年4月26日 (金)

パグアサ島でドゥテルテ吼える

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日本ではほとんど報道されていませんが、南シナ海が緊張しています。
日中間で一定の緊張緩和があったので勘違いする人が多いようですが、別に中国は南シナ海の膨張政策を止めたわけでもなんでもありません。
海洋膨張路線は既定方針どおりですし、その勢いはまったく止まる気配はありません。

「フィリピン政府は4月、南シナ海の係争地となっている島付近を数百隻の中国漁船が航行したことは「違法」であり、領域から退出するよう求めた。同軍司令官は、漁船乗船員について「中国の海上民兵と見なしている」とし、ときおり中国の沿岸警備艇が巡視しているという。(略)
フィリピン外務省の発表では、今年1~3月の3カ月間で、275隻の中国船がパグアサ島周辺を航行した。同島周辺には、中国が軍事拠点化するスービ礁がある。
フィリピン軍西部司令部情報補佐官エルピディオ・ファクター氏は3月29日、同3カ月間で657隻の中国船舶がパグアサ島周辺に接近し、旋回したという。同補佐官によれば、中国船の乗船員は「中国の海上民兵と見なされる。ときどき中国の沿岸警備艦が警備しており、中国領域であると主張する」と述べた。
軍司令部によれば、2月10日は最大87隻の中国漁船がパグアサ島周辺を航行した」(大紀元4月12日)
https://www.excite.co.jp/news/article/EpochTimes_41962/

この記事に出てくるスービ礁では、中国が既に軍事拠点化を完成させています。
まずはスービ礁の航空写真を見てみましょう。

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https://www.afpbb.com/articles/-/3219380?cx_part=logly AFP  スービ礁

更に拡大します。
既に2017年段階で撮影された下の衛星写真では、このスービ礁には滑走路と軍港が完成し、ミサイル基地やレーダー施設が出来上がっていました。
またビルが立ち並び、グラウンドすら備えた大規模な市街地すらできていることが確認されています。

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2017年2月22日公開された南シナ海のスービ礁の衛星写真。戦略国際問題研究所は屋根が可動式の施設とみている(CSISアジア海洋透明性イニシアチブ・デジタルグローブ提供、ロイター

「 米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は23日、最新の衛星写真に基づき、中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島に造成した人工島に、長距離地対空ミサイルを格納できる施設を建造中だと発表した。 ロイター通信が21日、複数の米政府当局者の情報に基づき、南沙諸島でミサイル格納施設がほぼ完成したと報じており、それを裏付ける内容。
 CSISによると、ミサイル格納用とみられる施設がスービ(中国名・渚碧)礁、ミスチーフ(美済)礁、ファイアリクロス(永暑)礁の3カ所で建設されているのが確認された。
 中国はこれまでに、パラセル(西沙)諸島のウッディー(永興)島に地対空ミサイルを配備している。(産経2017年2月24日)
https://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/170224/wor17022415520014-n1.html

スービ礁に建設された恒久的ビル群は約400棟。
ここが南シナ海で最初に中国の空軍部隊と海軍基地、そして陸上部隊が駐屯する場所になると専門家は見ています。

「安全保障専門家と外交関係者によれば、スービ礁には将来的に人民解放軍の海軍陸戦隊数百名が常駐する可能性があるだけでなく、中国が文民の存在によって領有権の主張を強化しようとしているため、行政拠点が置かれる可能性もあるという。(略)
シンガポールで活動する安全保障専門家のコリン・コー氏は、データと画像を見た後で、「信じがたいことに、バスケットボール・コートのすぐ下に、中国本土で標準的とされる人民解放軍の基地が見える」と語った。
「だが、何らかの部隊を派遣することが大きな一歩になる。その後は、その部隊の安全を守り、維持していく必要がある。つまり、軍事的なプレゼンスは現状に比べて大きくなっていく一方だろう」(ロイター2018年5月28日)
https://jp.reuters.com/article/china-southchinasea-idJPKCN1IT0AR

まだ軍事部隊は進駐していないようですが(先遣隊は入っているでしょうが)、いったん本格的に駐屯した場合、そこを守るためにいっそう多くの軍事的リソースを継続的に投入せねばならなくなります。
元来国際海図にはここはただの岩礁でしかありませんから、米軍は指をくわえて眺めているはずがありません。

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出典不明  スービ礁、バグアサ島は画面中央

このスービ礁に近いフィリピン領バグアツ島では、中国の275隻に及ぶ大規模漁船団が接近し、一部では沿岸警備隊同士の衝突も発生しました。

「パグアサ島(Pag-asa Island、中国名:中業島、Thitu Island)はフィリピンが実効支配しているが、同国軍によると、今年1~3月に同島周辺で中国の漁船と沿岸警備艇合わせて少なくとも275隻が確認されたという」(4月4日AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3219380?cx_part=logly

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新華社

おもわず皮肉な口調になってしまうのですが、今回怒っているのは、東南アジア諸国の中でも指折りの親中派で鳴らしたロドリゴ・ドゥテルテ大統領です。
彼は元々フィリピン共産党のジョナ・シナンに師事している共産党シンパでしたし、家系には中国系の血も入っているようです。

大統領になってからは「中国をだいじな友人とする」外交に徹し、ASEANの定めた海上ルールである「南シナ海行動規範」を中国有利に歪めました。
従来の米比合同訓練を止めた代わりに、新たに中国との中比合同訓練をしています。
自国領海を中国の軍事拠点にされる侵略を受けておきながら、とんだ売国ぶりです。

「2017年4月には予定されていた南シナ海での軍事作戦も「中国に頼まれ、大事な中国との友情を思って止めた」と発言して中止し、その後に開催された同年5月のASEAN首脳会議では議長声明から中国を非難する文言を削除し、習主席から電話会談で称賛された。また、同時期に長年 ASEAN 諸国が求めてきた「南シナ海行動規範」の枠組みが中国に有利な形で高官協議で合意され、同年8月のマニラのASEAN外相会議で承認された。
2017年5月1日に地元のダバオに寄港していた中国人民解放軍海軍蘭州級駆逐艦「長春」に中国海軍の軍帽[を被って乗艦し、中国とフィリピンの両国海軍による合同軍事演習を開始することで合意した」
ロドリゴ・ドゥテルテ - Wikipedia

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中国駆逐艦上で中国軍帽をかぶって敬礼をするドゥテルテ 。しまらない敬礼ですな。  出典不明

経歴を見る限り生粋のパンダハガーなことは確かで、国民はギャング退治の虎を選んだつもりで、実はチャイナに喉を鳴らすペットの猫を大統領にしてしまったということになります。

「ドゥテルテは政権は概して、対中貿易や中国からの投資を優先し、中国側の主張に対してかつてのような強硬姿勢で応じることは避けてきていた。」(2019年4月4日AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3219380?cx_part=logly

その彼が今回はこう叫びました。おっ、虎の復活でしょうか。

「友人同士でいよう」と呼びかけながらも「パグアサ島やその他の島に手を出してはならない」と強調。「それらの島々に向けてことを起こすなら、話は変わってくる。わが軍の兵士たちに『自爆任務の準備をせよ'prepare for suicide mission,'"』と命じることになるだろう」
パグアサ島に手を出すな。手を引かない場合、自爆任務を担う部隊を送り込むことも辞さない」(CNN)

「自爆部隊」とはisみたいでおだやかではありませんが、ダバオでギャングと戦ってきた頃の勢いの復活なんでしょうか。パチパチ。(なのか?)

パグアサ島は南シナ海のスプラトリー諸島の一部で、フィリピンが領有する9つの島の内、最大の島で、住民はおよそ100人ですが、今年2月4日、ロレンザーナ国防相が、この島の老朽化した港湾施設や空港施設の更新を表明しました。
なぜ建設大臣ではなく、国防相がインフラ整備を表明するのかはわかりませんが、バグアサ島がおそらく先ほど述べた中国が主張するスービ礁が見える位置にある為だと思われます。

このフィリピンの動きに敏感に反応したのが中国でした。昨年11月には、中国がなんとこんな工事は中止しろと言い出しました。

「フィリピン駐在中国大使がパグアサ島の港の整備計画中止を要求してきた」

おいおいです。他国のインフラ整備に介入する馬鹿がどこにいますか。ところがこれは初めてではなかったのです。中国は確信犯的にフィリピンのバグアサ島のインフラ改良工事にケチをつけ続けています。

2017年8月には、フィリピン漁民がバクアサ島の砂州に休憩用の小屋を建てれば、たかだか漁民の掘っ建て小屋ていどのことなのに即後に中国側は海軍を出して島を取り囲み、そのうえ100隻近い漁船の大群がわらわらと押し寄せました。
これに対してフィリピンも負けじと、米沿岸警備隊からもらったハミルトン級警備艇を派遣し対抗しました。

これが2017年5月でドゥテルテがダバオに入港した中国駆逐艦において、中国軍軍帽までかぶって媚を売ったわずか3カ月後のことなのですから失笑してしまいます。

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出典不明

これらの「漁船」は、おそらくいわゆる「海上民兵」という中国独特の準軍事組織であると考えられます。
普段は漁民として暮らし、軍の招集によって随時船団を組織して、命じられた海域に出動します。
当然のことながら、軍事教練を受けており、時には漁船からターゲットにされた島や岩礁に上陸し実効支配を狙うというぶっそうな集団です。
平時には船員や漁民、退役軍人から採用されて、軍によって軍事訓練と政治教育を受けます。
そして軍からいったん招集されれば、軍の指揮下で中国の海洋権益の尖兵として働くわけです。

海上民兵は建国初期から存在していましたが、近年の海洋大国化に伴い、世界有数の船団を有し、ここ数年は南シナ海への建設資材や物資輸送などに従事しているとみられています。
とくに海上民兵の出番として注目されるのが紛争初期で、海警やましてや海軍が登場すると国際社会の非難を受けると見た場合、中国は必ずこの海上民兵をあくまで民間船として前面に立てます。
もっともこの「民間漁船」とやらは、対空ミサイルや対艦ミサイルを持った小型海軍なのですが。
おそらく尖閣にはこの海上民兵が登場するはずで、日本は対応に苦労するはずです。

さて、「だいじな友人」に裏切られて怒れるドゥテルテに対して中国側外務省の反応は、同島の主権は中国にあると冷やかに対応しました。
あいも変わらぬ厚顔無恥ぶりで、今回も「非難されるのは心外」などとのたもうているようです。
いうまでもありませんが、上の南シナ海地図の赤い線で囲まれたいわゆる九段線は、2016年に国際司法裁判所から国際法違反と認定されて久しい海域です。
この裁定で、中国はフィリピンの領海を侵していると認定されているのですが、なにぶん国際社会では力が強ければ道理は引っ込むようです。
何を決めても、守らなければいい、非難されても力付くで押えつけたほうが勝ちというわけです。

これで多少は眼が覚めたのかドゥテルテは、いままであれほど嫌っていた米軍とフィリピン海軍の共同演習を命じました。
4月1日から12日まで、米海軍はワスプ級強襲揚陸艦、F35Bを10機、MV-22オスプレイを4機、MH-60Sシーホークヘリコプター2機を参加させたようです。おそらく沖縄海兵隊も参加していると思われます。
両軍はフィリピンの最大の島・ルソン島とパラワン島で、水陸両用訓練、実戦訓練、都市部訓練、空港作戦およびテロ対策訓練を実施するとのことです。

またこの件にかかわるのかどうか詳細は不明ですが、フィリピン政府は造船会社の再建計画から中国資本を安全保障上の理由で排除しました。

「マニラ=遠藤淳】フィリピン政府は、経営破綻した韓国・韓進重工業の造船子会社の再建企業の候補から中国企業を排除する方針を明らかにした。中国企業が海岸施設を利用することに安全保障上の懸念があるとして軍や国防省が反対していた。ドゥテルテ政権は中国に融和的な外交を進めているが、南シナ海を巡り中国を警戒する軍の意向に配慮する」(日経4月25日)

遅きに失しますが、眼が覚めないよりはましです。

 

 

 

 

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コメント

こんな状況で、宮古島の陸自配備がどうだの、弾薬庫の設計図がどうだのと言って反対してる連中の気がしれません。
自衛隊が来ると、現地の女子高生が襲われないか?などと言ってた某元議員は論外です。

国防などろくに考えていないか、既にオルグされた連中の類いだろうなあ。と。

いつも楽しく拝見させて頂いています。

家計には中国系の :家系
群の招集によって随時船団を久美 :軍の :組み
避難されるのは心外 :非難

だいぶお疲れのようです。目が滑って話が入ってきませんでした(笑)

root さん。直しました。疲れたというわけではなく、朝の仕事が迫っていて、校正がおろそかになっていて申しわけありませんでした。

こういう記事は、沖縄二紙(特に琉球新報)にこそ載るべきものです。
「諸悪の米軍が中華を圧迫するからこそ、沖縄が平和にならない」と勘違いしている善男善女が、沖縄では相当の比率で高く存在しています。

南沙諸島問題を見せかけの「中共との友情」で乗り切ろうとしたドゥテルテさんにも、汲むべき点は多々あります。
国内経済界を牛耳る華僑やそこから支援を受けている議員たちからの圧力が強く、安易な方向性での妥協をせざるを得なかった事情がありました。

これは今の日本の対中スタンスとも相当かぶる気がします。
それは米軍の力を利用しつつ、その実米国の力を削ぐような結果に成りやしないか?

どちらにしても「友好」の演出のあとには、必ず「打擲」が待っているのが大中華方式なので、安倍政権は今後どれだけ米国の戦略に貢献出来るのかにかかって来るのでしょう。

ありがとうございました。先のコメントと合わせ削除してください。

 、中国を南シナ海から駆逐しましょう。ドゥテルテ大統領、国際会議で吠えてください! 中国はASEAN諸国などを対等な主権国家として認めていないのです。13億の人口を持つ中国は、ASEANの国々より種々の面で優先してもいい地位にあると思っているのでしょう。時代遅れの中華思想からいまだ抜け切れない。

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