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2019年5月18日 (土)

イラン情勢緊迫

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イラン情勢が沸点を迎えようとしています。

「ロウハニ大統領はテレビ演説で、英国、フランス、ドイツ、中国、ロシアに書簡を送り、濃縮ウランと重水の他国への売却をもはや行わないと通知したことを明らかにした。濃縮ウランと重水の輸出は核合意で義務付けられていた。
これら5カ国はイランの石油・銀行セクターを米国の制裁から守るという約束を60日以内に履行する必要があると訴え、果たされなければ高レベルのウラン濃縮を再開すると明言した。
5カ国が交渉の場に戻って合意が成立し、石油と銀行セクターにおけるイランの利益が守られるなら、同国は義務の履行を再開すると表明した。
ロウハニ大統領はテレビ演説で、英国、フランス、ドイツ、中国、ロシアに書簡を送り、濃縮ウランと重水の他国への売却をもはや行わないと通知したことを明らかにした。濃縮ウランと重水の輸出は核合意で義務付けられていた。
これら5カ国はイランの石油・銀行セクターを米国の制裁から守るという約束を60日以内に履行する必要があると訴え、果たされなければ高レベルのウラン濃縮を再開すると明言した。
5カ国が交渉の場に戻って合意が成立し、石油と銀行セクターにおけるイランの利益が守られるなら、同国は義務の履行を再開すると表明した」
(ロイター5月8日)
https://jp.reuters.com/article/usa-iran-rouhani-idJPKCN1SE0N8

米国は1年前にイラン核合意の枠組みから離脱していますが、これが1年後のイランの回答ということになります。
これでイラン核合意は事実上廃棄されたに等しい状態になりました。

2015年に締結されたいわゆる「イラン核合意」は、正式には「包括的共同行動計画(JCPOA)」と呼ばれ、共同という冠名称でわかるように核合意に参加した国々はオバマ時代の米国、ロシア、中国、ドイツ、英国、フランス、EUで構成されています。
ですから、米国の離脱に対して英仏独は厳しい批判をしています。

まぁ、他の締結国からすれば、渋るイランを交渉の場に引き出し、飲みたくない水を呑ませるのに実に13年もかかっていますから、トランプ流「思いつき」でつぶされたらたまらんということです。
そもそも壊しておきながらトランプに代替案があるのかないのかわからないわけで、あるのはCVID一直線です。
締結国からすれば冗談じゃないというのもわからないではありませんし、ちゃぶ台返しされた側のイランが怒るのも無理なからぬ側面もあります。

 

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産経

このイラン核合意は、オバマ時代に進められたもので、オバマ流現実主義が濃厚で、有体に言えば再びイランが核武装できる余地を残したあいまいな妥結でした。
内容を見てみましょう。トランプの怒りも理解できますよ。

728_41_nenpyo_i外務省http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics...

①イランは濃縮ウラン活動を25年間制限する。この期間は国際原子力機関(IAEA)の監視下に置く。
②兵器級核物質を作る遠心分離機数は1万9000基から約6000基に減少させる。兵器級にはウラン濃度が90%必要だが、3・67%までに制限する。
③既に濃縮済みのウラン量を15年間で1万キロから300キロに減少させる。
④ウラン濃縮活動は既にあるナタンツ濃縮施設で実施し、アラークの重水製造施設は核兵器用のプルトニウムが製造出来ないように変え、フォルド濃縮関連施設は核研究開発センターとする。
⑤以上の条約にイランが反した場合、経済制裁を再度導入するが、遵守すれば経済制裁を段階的に解除する。

読んでお分かりのように、一見イランが兵器級核物質をつくれないようにみえますが、時限条約なことに気がつかれたでしょうか。
たとえば③をご覧ください。イランは核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを15年間は生産しないといいますが、裏を返せば15年後には許されるわけです。
条約発効が2015年ですから、2030年まで、あと正味10年間イランが辛抱すれば再び晴れて核兵器開発に乗り出せるわけで、その時には国際社会はしょーがねぇなとぶつくさ言いながら容認せざるを得ないというわけです。 

また、②の遠心分離機も1万千基あったのを10年間は6104基に限定するというものにすぎません。 
これでは10年後にまた遠心分離機を元の数に戻して下さい、といわんばかりにもみえます。
つまり、いかにもオバマが作りそうな初めから腰が引けて妥協を急いだザル条約なのです。

その上に、核兵器と一体となったその運搬手段の弾道ミサイルについては、なんの規制もないまま無条約状態のままです。

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「米国が主張する最も重要な項目は、イランによる弾道ミサイル開発を制限することに「失敗」した点だ。非核ミサイル開発の継続を許したことで、この合意による核開発制限が期限切れとなった場合、イランはすぐに核弾頭を搭載することが可能だと批判派は指摘している」
(ロイター2018年5月9日)

https://jp.reuters.com/article/iran-us-deal-idJPKBN1HG14O

「欧州諸国がいかなる懲罰的な対応を取ろうとも、イランが、ミサイルの射程距離に表面的な「上限」を設ける以上のミサイル開発規制に同意することは考えにくい。(イラン政府はこれまで、射程距離2000キロを超えるミサイル開発を自粛すると示している。これは、何らかの軍事衝突が起きた場合に、イスラエル中心部や中東地域の米軍基地を狙える射程だ。) 」(前掲)

整理すると、イラン核合意の問題点はこんなことです。 

①核物質製造装置・核原料については時限つき制限を受けているだけにすぎない。
②条約失効後には、イランの核開発に歯止めをかける者がいなくなる。
③弾道ミサイルが合意に含まれていないために、野放し状態である。

その上に、イランは中東の覇権国になる野望を隠そうともせずに、中東の火薬庫に火種をくべて回っています。
たとえばシリアでは、ロシアと並んで凶悪なアサド政権の事実上の主力軍事力です。
イランは革命防衛隊という準正規軍を派兵して、反アサドの市民を大量虐殺していることが分かっています。

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イランが支援するハマス

イエメン、レバノンでも軍事支援してきました。
イエメン内戦では、サウジ正規軍とイラン革命防衛隊が交戦関係にあるといわれています。
もっとも米国が神経を尖らせているのが、パレスチナガザ地区を統治しているハマスがイスラエルにロケット砲を打ち込むなどの軍事挑発を続けていることです。
ジハードの主力であるハマスは、イラン革命防衛隊のパレスチナ出張所のようなもので、物心共に大きな支援を受けてきました。

とりあえずハマスとイスラエルは停戦合意をしましたが、同じくイランから軍事支援を受けるイスラム聖戦(PIJ)は停戦に合意していません。
この5月の停戦発効前にガザ地区から700発以上のロケット砲がイスラエル領土に打ちこまれましたが、これの武器を供給しているのがイランです。

もしイランが核兵器を手にしたら、イスラエルはイランの核の射程内に入ることになります。
その場合、イスラエルは宿敵イランに自らの生命を預けることは拒否するでしょうから、いままで隠然と保有いるといわれた核を公然と登場させることでしょう。

また、イランのもう一つの宿敵であるサウジも核武装に走る可能性が高いと言われています。
つまり、イランの核を容認すれば、イスラエル、サウジへと核の連鎖が始まることになります。
地域の複数国が核武装に走った場合、米国にも止められません。

一方イラクにおけるイランの浸透ぶりは、すさまじいものがあります。

「米国は、イラクで兵士5800人と複数の軍事基地を擁している。一方、イランは、公式には95人の軍事顧問を置いているだけだが、イランの勢力は米国の5倍はあると、アバディ首相顧問は言う。安全保障の専門家も、「イランの影響力は、イラクのあらゆる機関に浸透している」と述べる」
(エコノミスト2017年4月12日)

「これら民兵組織は、イラン革命防衛隊の助けを借りてバグダッド陥落を防ぐと、国を「守る」ため、残された国家機構の大半を事実上掌握した。既にバグダッドの大半は約100の民兵組織の間で山分けされている。ほとんどのイラク・シーア派は自国のシスタニ師に忠誠を誓うが、民兵組織の指導者の多くはイランの最高指導者ハメネイ師に従うと言う。一部の民兵組織は議会に代表がおり、2018年の選挙に向けて親イラン連合を結成する可能性もある」
(岡崎研究所 前掲)http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9603

イラクはありとあらゆる国家機関・軍隊に親イランの勢力が浸透され、事実上イランの属国状態となっています。
おそらく次の選挙で親イラン政権が成立するでしょう。
かくして駐イラク米軍はイランの海に浮かぶ孤島にすぎないまでに追い込まれ、先日来のイラン情勢の緊迫を受けて大使館員の一部の国外脱出が進められました。

このような中東の覇権国への意志をむき出しにしたイランが、核を手にしたらどうなるのか、これが米国の強い危機意識です。

さて米国は、最大12万人の兵力を投入する計画を持っているとNYタイムスが報じています。

「国防総省の対イラン攻撃計画は何年も前から更新され続けてきたが、今回の新たな計画は政権一の対イラン強硬派であるボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当の指示で策定された。
きっかけはイラン並びにその配下のアラブ人武装組織が中東地域の米軍に攻撃を仕掛ける危険性が高い、との情報があったためだ。計画にはイランが本格的に核開発に乗り出したケースへの対処も含まれている。
計画の最も重要なポイントは米部隊がイランに侵攻するのかどうかだが、侵攻までは考慮されていない。
米国は過去のイラク戦争で約4000人の兵士を失った。うち600人以上はイラン支援のイラク民兵の攻撃によるものだ。地上侵攻は避けたいはずだ 」(NYタイムス2019年5月13日)

直ちに陸上兵力の侵攻が行われる可能性は低いと思われます。この状況て先に手をだすほどイランは馬鹿とは思えません。
ありえるのは偶発的衝突が局地的戦闘となり、さらには戦争に発展するケースです。
衝突シナリオとしては、第1に先述した親イラン武装勢力による米国軍人・米政府関係者・民間人へのテロが起きた場合、第2にホルムズ海峡における小競り合いから軍事衝突に発展する場合です。

既にイランは原油の主要ルートであるホルムズ海峡付近で対艦ミサイルを発射するなど軍事姿勢を強めていますが、このホルムズ海峡に面するカタールのアルウデイド米空軍基地には1万3千人の米軍兵士が駐留しているとポンペオは認めています。
また5月13日にはこのカタールの基地にB52戦略爆撃機が到着し、エーブラハム・リンカーン空母打撃群も中東海域に到着しています。

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ホルムズ海峡 出典不明

ホルムズ海峡はもっとも狭い部分で30キロ余りしかありませんが、5月12日、ホルムズ海峡付近でサウジの石油タンカー2隻、ノルウェーのタンカーとUAEのタンカーそれぞれ1隻が何者かの攻撃を受け、船体の一部を破壊されるという事件が起きました。
イランは否定していますが、米国はイランの仕業だとみていますが、決定的拠がないようです。

この情勢で、イランから米国に軍事攻撃をかける理由は乏しいと考えられますが、偶発的衝突から本格的軍事衝突へと発展する可能性はよりいっそう高まったと思われます。

 

 

 

 

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コメント

管理人様、毎日ご苦労様です。
中国、イラン、昔の日本もそうですが、米国や欧州の民主主義・資本主義・科学主義に対しては、各国の千年以上の間に培われた存在哲学・宗教に相容れない、アレルギーがあると思います。
しかし、結局軍事力・その根底の経済力・科学技術力で圧殺され、植民地にされました。当初は武器の輸入、それから経済・科学基盤の模倣導入(精神的には伝統思想を堅持)、軍事力強化、周辺地域を植民地化する、そして欧米の思想に我慢ならなくなり、戦争する。科学技術力の差で、コテンパンにやられる。表面的に欧米化して、再度経済・科学基盤を建て直し、リベンジを目指す。

コーランを読んだことがありますが、宗教・道徳書としてはすごく完成されていると思います。ユダヤ教とキリスト教から進化した、最新の神の啓示であり、民法・商法・刑法のような生活を規制する細かな規定もあったと思います。中国の儒教や日本の神道・仏教も優れた思想だと思います。

イスラム教徒が我慢ならないのも分かるような気もしますし、中国・日本も同様に思っているかもしれません。

そういう意味では、宗教・伝統的思想の戦争という面もあると思います。科学と欧米思想は結合しているため、科学だけをいただこうとしても難しいと思います。

「油断」が起きる事は無いのでしょうか?エネルギーの安全保障という事が言われなくなりましたね。災いを忘れていればやって来ないのか?

2018.5.18 相模吾です。
 アメリカのイラン制裁が始まります。六か国合意を離脱した時からイランの核開発停止に真剣さが欠けていると見ていたのでしょう。イランも北朝鮮も核開発をやめる意思は確かに見えない。それぞれバックにロシア、中国が控えているので最悪、戦争は避けられるとみているようです。イランは中東情勢不安定化の最大要因です。親イスラエルのトランプさんにしてみれば、まず許せないはずです。イランをたたけばロシア、中国のメンツもつぶれることにもなるし。 これでアメリカ外交はイラン7割、北朝鮮3割ぐらいの比重になって、困るのは日本です。26日に来日するトランプさんとの会談で安倍さんは拉致問題と日本のイラン原油輸入をどのように話すのでしょう。ただでさえ鉄鋼・アルミ・加えて自動車輸出にもめているときですから。残念ながら拉致問題イラン問題はさらっと流して対米通商交渉に全力投球になりそうです。がんばれ、阿部さん。

いつも為になる記事ありがとうございます。
記事後ろの方に書かれている12日のタンカー攻撃のちょい前には中国が制裁破ってイラン原油を積み出していたようで、各国入り乱れて火種がどんどん増えているのだけど、日本では抑えた報道が続いていますね。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190518-00000012-kyodonews-int

日本在住のイラン人の奥さんと話した際、お互いが持っている情報の量と中身に相当な隔りを感じました。日本に住む限り私に入ってくる情報は米国バイアスから逃れられず、彼女の場合はネットで中東バイアスがかった現地発の情報を優位に取ります。
反米一色で育った訳で、日本人と結婚して日本に住みよく己を抑制されているなあと思いながら話を聞きました。信じるかはまた別ですが。

中東イスラム圏の覇権国をどう作るかで米中露が手を入れ続けている中、当事国(イランサウジトルコなど)は持ち前のしたたかさと攻撃力を駆使して自国拡大を目指しています。中露が好む独裁系のイスラム覇権国が誕生する脅威と、米英好みの微妙な対立継続(サウジ&イスラエル諸々)、イランが核をどうしても持ちたい訳は宗教対立というよりやはり覇権の問題ではないかとこの記事を読んで今一度私は思いました。

中東を航行する船舶に対してイランまたはイランの代理組織が攻撃を加える可能性を予てアメリカが警告していた通り、エントリー本文にあるサウジアラビアやノルウェーのタンカー攻撃に先立って、UAEの船舶4隻が攻撃を受けたとUAEが発表しています。
サウジアラビアのハリド・ファリハ エネルギー相は、「UAEが安全と国益のために取るあらゆる措置を支持する」と表明しました。
ノルウェーの保険会社は確かに、サウジ船舶への攻撃にイラン革命防衛隊の関与が疑われると表明していますね。
今日、日曜のニュースは、GCC湾岸協力会議諸国が部隊を湾岸に展開したいとのアメリカからの要請を承認、ポンペオ米国務長官とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子兼国防相が協議、サウジアラビア外相が「サウジアラビアは戦争を望まず、戦争を回避するためにあらゆる事をするが、他の勢力が戦争を選ぶならば、我が国と国益を守る対応を確実に取る」と述べるなど、目まぐるしいです。
当のイランは「戦争は望んでいない」と外相が言い(じゃぁホルムズ海峡近辺のタンカー攻撃は誰がなぜ?)、インドと日本と中共に話を聞いて貰いに足を運び、特に中共には合意協力を要請していて、これはアメリカの対イラン制裁のセカンダリー・サンクションを通じての「対中共」とも繋がっていくわけで。
もういろんな角度から話を追わないとならなくて大変です。

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