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2019年5月13日 (月)

米中決裂

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米国の対中経済制裁第4弾が、今日、正式に発表されます。

「【ワシントン=河浪武史、シリコンバレー=白石武志】トランプ米政権は13日、中国からの輸入品すべてに制裁関税を拡大する「第4弾」の詳細案を公表する。スマートフォン(スマホ)やノートパソコンなど消費者に身近なハイテク製品にも25%の関税が上乗せされる懸念がある。日本や韓国、台湾などアジアに広がるサプライチェーン(供給網)への影響も避けられない。
トランプ大統領は残るすべての中国製品の関税を引き上げるよう指示した。金額はおよそ3000億ドル(33兆円)分になる」。米中閣僚級協議が平行線に終わった10日夕、米通商代表部(USTR)は急きょ声明を出した。産業界の意見を踏まえて発動日や対象品目を最終的に決める予定で、実際の発動には2カ月以上かかるのが通例だ 」(日経5月12日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44690520R10C19A5EA2000/

今回のことが衝撃的だったのは、その3000億ドル(33兆円)という数字そのものではなく、従来制裁対象外とされた輸入依存度が高い品目が対象となったことてす。
その多くは下図にあるように、スマホやPC・衣類などの一般消費財で、その多くは米国ブランドです。

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日経前掲

トランプは返り血を覚悟しています。でなければ、このような制裁関税のかけ方はしないでしょう。

「第4弾は家計を直撃する消費財が多いのも特徴だ。米ピーターソン国際経済研究所の分析によると、第4弾の対象品目のうち、IT製品や玩具など消費財は全体の40%を占める。消費者への直接の影響を避けるため、第1弾と第2弾は消費財の割合が1%と低く、家電・家具などを含む第3弾でも24%だった。
USTRは第1~3弾で対中依存度が5割を超える玩具や履物、布製品を対象から外すなど、他国品では代替しにくい品目をリストから除き物価上昇を極力避けてきた。だが第4弾で制裁対象が大幅に拡大すれば、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費が下振れするリスクも高まる」(日経前掲)

つまり、安価な労働力を目当てに中国に進出している米国系企業のみならず、世界各国の中国進出企業は、中国から輸出するに当たって製品に一律に25%の制裁関税がかかってくるということになります。
たとえば日経が記事の中で「象徴的」として紹介しているのはアップルです。

アップルの主力スマホiPhoneは、約200社に及ぶサプライチェーンからなっていますが、最終組み立ては中国です。
組み立てているのは、台湾の総統選にも出馬を宣言した郭台銘率いる鴻海(ホンハイ)精密工業です。

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ウォールストリートジャーナル

中国に進出した外国企業のビジネスモデルはこうです。
ダイソンやアップルの製品には、design by USAとかUKとか書いてありますが、Assembly in Chinaとも併記してあります。
これは商品企画・設計・マネージメント・アフターサービスなどは本社の「川上」でやり、「川下」の生産は中国でしているということです。
利益率も川上のほうが遥かに大きいですから、今回の第4弾の追加制裁は川上を直撃します。

また川下を握るのもこれまたホンハイのような外国系企業ですが、ここも上の写真のように産業用ロボットを導入せずに内陸部の安い労働力を使って労働集約型で利益を出しています。

ですから、今回の第4弾の制裁関税でこの中国進出企業のビジネスモデルが根本的に崩壊しかねません。
ホンハイはインドに逃避しようとしていますが、そう簡単に拠点工場を移すのは困難だとみられています。
郭さん、足元が燃えだしましたよ。総統選なんかでカネ使っている場合じゃないと思いますが。

また同じことはユニクロにも言えます。ユニクロは、従来の第1弾から3弾までの制裁関税では革ベルていどしか引っかからなかったのですが、この第4弾でほぼすべての製品が対象となる予想です。
ユニクロはかねてから中国シフトを縮小し、東南アジアや南アジアに分散を開始していましたが、これか決定的な中国離れの後押しとなることでしょう。

米国メディアによれば、アップルの場合、この第4弾の25%追加関税を食らった場合、主力モデルで160ドル(約1万7600円)もの値上げになるとの試算が出ているといいます。
常識的に考えて、1万7千円もスマホが値上がりしたら、ただでさえ高いので有名なiPhoneの価格競争力はゼロに等しくなります。

トランプの目的ははっきりしています。日経の見立てのように世界のサプライチェーンから中国を切り離し干上がらせることです。
過度なグローバル化が中国の急成長の秘密でしたが、ここから中国を追い出すと決意したことになります。
そのためには、米国企業であろうとも例外はないということになります。

影響はもちろん米国・中国のみならず、世界的なものとなるでしょう。

アップルのiPhoneの需要が低迷した場合、表面的には日本はiPhoneの完成品を生産していないため、日米二国間の輸出入金額には大きな影響が出ませんが、中国に向けて輸出される日本産部品への需要は縮小し、結果として日本経済にもマイナスの影響が及びます。

また、日本からの輸出だけではなく中国広州に新工場をつくってしまったトヨタを先頭に、多くの企業が中国進出していますから、受けるか影響はより大きく、かつ複雑なものになるはずです。

今日の株式相場は週明けからナイアガラとなるでしょうし、先行きはまったく読めなくなります。
当然、消費税など上げている場合かということになるはずです。

下の図表はやや古いのですが、OECDにより2015年に発表された国際産業連関表(2011年)に基づき、アジア各国と米国の「国内外最終需要依存度」を算出したものです。
各国の自国最終需要への依存度をみています。

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典拠 大和総研

ご覧のように、棒グラフの青色が自国消費分ですから、米国と日本は並んで9割弱が自国消費です。
この国内需要が鉄板であることが日本経済の強みです。
ただしこれを支える6割の個人消費次第が景気の不透明感に嫌気をさすと、デフレ帝国の逆襲となります。

一方、アジア諸国も、内需主体といわれるインドネシア・フィリピンは自国への依存度が8割に迫っているのに対し、韓国は6割、タイやベトナムは5割強にとどまり、国外需要への依存が相対的に大きいといえます。

国外依存のうち中国が占める割合を見てみましょう。

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典拠 大和総研

台湾、マレーシア、韓国が高い比率を示しています。
今回、早くも第4弾制裁が発表されると、中国依存度が高い韓国ウォンなどの通貨が投げ売られているようです。
事次第では、第2次アジア通貨危機に連鎖する可能性も捨てきれません。

特にウォン安が止まらない韓国にとって、更にホットマネーが売り浴びせられた場合、これが最後の一撃となるかもしれません。
その場合、既に外貨が払底しているうえに、通貨スワップもないに等しく(もっていてもジャンク債)、おまけにヒダリ特有の重度の経済オンチであられるムン閣下が座っている韓国はどうするのでしょうか。(まぁ、知ったこちゃありませんがね)

米国は返り血をあびる覚悟で、中国に進出した米国企業を国内に力づくで呼び戻そうとしています。
トランプのツイートはこう言っています。まぁ、そのとおりですな。

「関税を避けるためのそのような簡単な方法は? 古き良きアメリカであなたの商品や製品を作るか生産してください。 とても簡単です」
Such an easy way to avoid Tariffs? Make or produce your goods and products in the good old USA. It’s very simple!

中国の発展は、トランプにいわせれば、米国の技術と富を盗むことから始まりました。

●中国経済発展のビジネスモデル
①外国に低賃金で資本投下をさせる
②同時に技術移転を強要させる
③その外国技術を違法コピーし類似品を国内製造し、安価で輸出する
④中国から輸出品は為替操作による元安に助けられ、シェアを独占する
⑤外国企業は中国市場では資本移動を禁止され、経営介入されて中国市場から駆逐される

スマホのファーウェイが典型ですが、先端産業は米国が技術の主要な原産国であるにもかかわらず、いまや衰退の途を歩むことになります。
これは目先の利益に目が眩んだグローバル企業にも問題があるんだよ、アップルよ、自分の国に回帰しろ、そうトランプは言っているわけです。 

トランプはさらにFRBに1%利下げしろと命じました。
大統領のFRBへの命令権はないのですが、想定される対中経済戦争による景気後退の歯止めであることは間違いありません。

今後ですが、正直よくわかりません。
いちおう2カ月の猶予期間が設けてありますが、それは貿易の国際的慣習に従ったまででのことで、トランプはソンナものが役に立つとはおもってもいないでしょう。

というのは、ここまで強烈な第4弾を出した対中要求理由は、経済分野だけでもこんなにあります。

●米国の中国への要求
①資本取引規制・移動の自由化
②中国市場への自由なアクセスの完全保障
③外国企業経営への介入禁止
④為替操作の禁止
⑤知的財産権の剽窃防止と保護
⑥不正な輸出補助金の完全撤廃
⑦国営企業への保護の禁止
⑥労働教育施設を用いた奴隷労働の禁止
⑨以上が法律により担保され、行政による恣意的運用ができない環境づくり

更にこれに交渉項目には入っていませんが、今後中国との交渉で出てきそうなものは、南シナ海の人口島の解体、一帯一路政策の中止、国内の少数民族保護や人権尊重なども加わってくるでしょう。
これは中国共産党が自ら築いてきた利権を手放さねばならないことが故に、中国は絶対に呑めません。

これをすべて呑んだら、中国共産党のビジネスモデルそのものが根本的に瓦解し、晴れて「普通の国」となります。
「普通の国」とは、中華帝国はいくつかの自由主義の国家群に分解し、自由選挙が行われ、少数民族と人民の自由が回復することです。
あまりにも当たり前のことですが、それが中国国民と周辺国にとっては最良のことなのです。
しかし、かの国がそれを易々と呑むような可愛いタマでないことは誰もが知っています。

 

 

 

 

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コメント

 トランプさんハッキリとしております。対する中国もずいぶんとハッキリした性格である。周囲の懸念を顧みることなく堂々と南シナ海を奪ってしまった。尖閣ももともと中国領だとウソを公言しこれを奪おうとしている。。その意図たるや明白である。重要地点を占領しアジアに覇権を打ち立てようとしているのだ。こんなにあからさまなことをするとアメリカのトランプ大統領は決して許さない。そう、それが自由世界のリ-ダ-としての強いアメリカだ、トランプ頑張れと叫びたい。

 いまアメリカは非常に景気がよい。経済が強いアメリカ、軍事力一番のアメリカと日本は歩調を合わせることが大事だ。中国という非人道国家をつくる共産党政権は早晩滅びてもらいたいものだ。中国人民にもホントはその方が良いのだ。ウイグルもチベットも南モンゴルも独立すればいい。中国も分裂してもかまわまない。1億の国家が14個もあってよいのだ。

 アメリカの制裁関税に賛成したい。これは日本にも悪影響があるかもしれないが、中国が覇権を握ることを防ぐことができるのなら、それも我慢しよう。

今回の関税引き上げに関してトランプを避難する意見がマスコミから出ていますが、引きあげの最終トリガーとなったのは米国の要求に対して
「やるつもりはありますが、いつそれをやるかは決まってません」
といったお得意の有耶無耶戦略を取った結果です。
習近平もこれまでの付き合いでトランプ政権がどのような性格をしているのか思い知らされていたはずなのに、なんだかんだで最後一線では拳を降り下ろして来る事はないだろうと舐めていました。
本当にアホですね。

トランプの視点でみたら「もうヘイト溜めまくってる西海岸の主幹産業とか多少ダメージ喰らってもいいか」ぐらいの気持ちでいるのかもしれません。
火を付けられた中国からしたら管理人様の指摘されているように生産拠点の海外流出に拍車がかかることが命取りですね。
仮に関税が元に戻っても一度逃げ出した拠点は戻ってくる事はありませんし。

これで中国共産党は暴発するでしょうか。じり貧になって国民から吊るしあげられくらいなら、軍事行動に出て、愛国心を煽るしか方法がなくなる。中国が奇襲攻撃するとなると、日本ですかね。在留中国人がゲリラ活動を行い、その隙に○○を各個攻撃するとか。残念ながら…アウトになるかもしてません。
ある元自衛官のブログに、中国は旧満州地方とそれ以外に分裂、チベット・ウイグルはもちろん独立すると米国インテリジェンスの人が言っていたようです。
中国のバブルの崩壊は史上空前絶後らしいですから…日本の比ではないようです…

 記事にそう言われてみるならば、なるべく中国製品を買わないように心がけている私であってさえ、今手の届く周辺の物を見るだけでも、何と中国でアッセンブリーされた商品が多い事か。
値段が下がり続けるこれらの商品を私は適正価額と考えていましたが、中共政府による労働力の搾取による成果物なんですよねぇ。つまり、その「奴隷労働」に協力しているのです。

今回の米中間の決裂は前哨戦か幕開けにすぎず、これから日本にも途方もない影響が出る事が考えられます。
日銀の黒田さんは追加金融緩和にふれ、菅官房長官も経済対策の必要性を言い始めてます。
ですが、どこか本気度が足りないと思わざるを得ません。

今は消費増税など考える余地はなく、来るべき被害は食い止められないとしても、緩和させる方向が大事です。
あれだけ景気がよい米国では利上げするどころか、利下げの観測も強まっています。

萩生田発言にもあるように政府にも「予見」はあるのでしょうが、それを伝える方法に乏しいし、予見を政策に結びつける事が出来ずらいのが日本政治の特徴です。
ハッキリ落ち込んでからの対策では、またまた「失われた20年」の再来です。

中国の不当廉売が止まると、物不足で一時的には深刻なスタグフレーションに陥りそうですね。麻薬から離脱するときの禁断症状みたいに。

この時のために日本の企業は多額の内部留保を抱えているはずで、速やかに国内や東南アジアに組み立て工場を整備して乗り切って欲しいです。

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