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2019年5月15日 (水)

グラフで見る中国の貿易構造にみる米中貿易戦争の行方

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中国は米国の制裁関税に対して報復措置を発表しました。

「発表の数時間前には、トランプ米大統領が報復行動をけん制するコメントを発したものの、中国はこうした米国の圧力には屈さない立場を明示し、米中貿易摩擦は一層エスカレートする様相を呈している。
中国財政省によると、対象は米国から輸入する5140品目。中国は昨年9月、米国が発動した追加関税への報復措置として600億ドル分の米国製品に対し5%および10%の関税を上乗せしたが、今回この税率を5─25%とした。
液化天然ガスや大豆、落花生油、石油化学製品、冷凍野菜、化粧品など2493品目に対する追加関税は25%に、その他の1078品目は20%とする。ただ、原油や大型航空機などは、今回の追加関税の対象には含まれていない」(ロイター5月13日)
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-tariffs-idJPKCN1SJ1QC

報復関税600億ドルの内訳はご覧のとおり 液化天然ガスや大豆、落花生油、石油化学製品、冷凍野菜、化粧品など2493品目です。
原油や航空機はまた別だと言っていますが、中国には気の毒ですが、これでは初めから中国の負けは決まったようなものです。

まず中国の貿易構造を押えておきましょう。
中国は世界最大の輸出大国です。2009年にドイツを抜いて世界一に躍り出ました。

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典拠 経済産業研究所 「世界一の輸出大国となった中国― 貿易大国から貿易強国へ ―」
https://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/100224world.html

さらに先日も述べましたが、中国の輸出に占める外資系企業の比率が実に3割という大きな割合を占めています。

「中国における貿易拡大の担い手は外資企業である。1979年から2009年までの30年間、香港と台湾の企業を含む外資による対中投資の累計は9,400億ドルに達している。外資企業は中国において工業生産の30%のシェアを持つようになっており、中国の輸出全体に占める工業製品の割合も90%を超えている」(経済産業研究所前掲)

これは、アップルやナイキ、あるいはホンハイなどのような米国や台湾の企業が中国の輸出の主力になっていることを現しています。
言い換えれば、ファーウェイのような海外で大きなシェアを持つ製造業はまだ少なく、外資頼みだということです。
ですから、米国の制裁関税第4弾は、これら外資ブランドの消費財を直撃したために、大きな打撃となります。

第3に中国の輸出は基本的に、日本の生産財に頼ってきました。言ってみれば、かつての高度成長期前の日本を思わせる加工貿易をしているのが現在の中国です。

「部品と機械を主に日本から輸入し、製品を主に米国に輸出するという「三角貿易」を反映して、中国にとって米国は最大の輸出相手国である一方で、日本は最大の輸入相手国である」(経済産業研究所 前掲)

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典拠 同上

これは日本の立場からすれば、中国が最大の輸出相手国ということになります。

中国の輸出の3割を占める外資系企業の部品・製造装置などの中間財を輸出しているのは日本ですから、今回の米国の制裁関税で最も大きな影響を受ける可能性があるのはわが国ですので、心しておいたほうがよいでしょう。

第4に、中国の上位の輸出相手国・地域を見ると、先進工業国がその大半を占めています。これは中国における外資主導の加工貿易の主要輸出先が先進国市場であることを表しています。

では、中国の最大の貿易相手国である米国の貿易構造をみてみましょう。

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典拠 海外投資データバンク 「アメリカの貿易相手国(輸出・輸入別)
http://www.world401.com/data_yougo/usa_boueki.html

「80~90年代の日米貿易摩擦のイメージから、アメリカの貿易相手は「日本の割合が相当多いだろう」と思っている人が多いかもしれませんが、現実は全く違います。ご覧のように、日本はアメリカの輸入内訳で第四位(金額ベースで6%)にすぎません。為替が円高・円安に関わらず、90年代以降は日本からの輸入比率は漸減傾向にあります」(上グラフと同じ)

日本は米国にとってカナダ、メキシコからの輸入額より少ない位置を占めています。これは日本の経済力が平成年間衰退の一途を辿ったことだけではなく、NAFTAで進出した米国企業が大きな位置を占めていることを物語っています。

しかしなんといっても輸入のダントツは中国です。
米中間の貿易で大きいのは中国から米国への流れで、米国から中国の流れはさほど大きくありません
トランプのいう貿易不均衡は、日本に対しては間違いですが、中国に対しては当たっているともいえます。
ただしこの米国の貿易赤字は、米国の好景気によってもたらされたものであって、貿易赤字の額のみに注目するのは間違っています。
ただし、今回のように米中間で貿易戦争をした場合、米国よりも中国が失うものが比較にならないほど大きいということは確かです。

しかも、米国が中国へ輸出しているのは下図のように、中国に進出した米国系資本の作ったPCや携帯などの電子機器だけで3割を占めています。
機械設備とあるのは、「キャタピラ」などのように米国企業ありながら中国メイドで本国に輸出している米国ブランドも多いからです。
これがトランプが、中国進出の米国企業に「さっさと帰ってこい」という理由です。

中国は米国への報復関税で「原油と航空機は別に考える」としていますが、言い換えれば代替がないということを白状しています。
中国が暗に認めるように米国は原油の輸出先に困っていません。
国際原油市場の難点は、かつてはOPECによる原油統制でしたし、その統制が緩んだ今は世界の火薬庫中東に依存しているし危うさがネックでした。
しかし、シェールガスの実用化により世界一の産油国となった米国は、原油供給の不安定さに嫌気を持つ国々にとって政治状況に左右されない米国原油は福音です。
こんな米国は、あえて中国に買ってもらわなくともかまわないのです。

https://eetimes.jp/ee/articles/1902/15/news029.html

一方、中国が米国に輸出しているのは、下図のようにほぼすべてが生活必需物資であり、他の国からの代替えがそれほど容易ではありません。

米国から中国への輸出品は中国で生産できない中間財や穀物などの食糧関連です。
中国の国際穀物市場での爆買いは有名で、下図のように今や中国は国際穀物市場を独占する勢いで毎年増加し続けています。

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戦略検討フォーラム http://j-strategy.com/opinion2/1457

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戦略検討フォーラム 前掲

「特に、大豆の輸入については7,900万トンと、過去最高となった2014/15年度の7,700万トンを更新する輸入見通しだ。これは、世界の大豆貿易量1億2,392万トンの内の64%になる。
中国の通関(海関)統計によれば、2015年8月の大豆輸入量は、前年同月比+29%の780万トンとなった。1-8月累計では、同+9.8%の5,240万トンで、国別内訳ではブラジル2,790万トン(シェア53.2%)、米国1,700万トン(同32.4%)、アルゼンチン530万トン(同10.1%)である」(戦略検討フォーラム 前掲)

このように見てくると、、今回の中国による報復関税の引き上げは、中国自らの消費者物価を直撃することになる可能性が非常に高いといえるでしょう。
中国は中華バブル期に14億人がかつての自力更生路線から白米と肉に走りました。
結果は自給国家からの転落と、輸入大国です。しかも米国産のです。

このように食糧輸入においても米国穀物の3割を穴埋めする国は現れない以上、代替は存在せず、そのまま小売り物価値上げにスライドしていきます。。
中国は去年以来の景気減速下の物価上昇ということに見舞われるかもしれません。
これによる民衆の不満がどこに向かうのか予断を許しません。

またこのことによって生じるであろう中国国内の消費市場の低迷は、「14億市場」を夢見て進出した外国系企業の熱を覚ますものと思われます。

 

※桜も散ったので、デザインを変更しました。今回はシンプルな新緑カラーです。

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

まあ、こういう言い方は悪いと思いますが、モンスター中国共産党を作ってしまったのは日本の功績が大きいですね。毛沢東を助け、戦後もODAや経済そのものを教えた(盗まれた)。日本にはイデオロギー(左右とも)的に中国に陶酔している人も多いと思います。米国に逆襲するための、謀略的な考えもあったのではないでしょうか。
そういう意味では、隠れ中国援助者の日本も叩く意味もあるんですかね。いまのところ、米国のようなイエローパージは行われていないようですが…

中国共産党の暴発か内乱が近づいているようですね。共産党関係者の犯罪裁判では、酷いことになると思いますが…

当たり前のことなのかもしれませんが、中国が米国から食料品を得ることが難しくなれば、安価に買える国からの輸入を考えるようになりますよね。
それが韓国になるか日本になるか、インドになるか欧州になるか、その辺りは分かりませんが。

中国が買わないから日本がその分だけ安く手に入るなんて事にはならないので、そうなれば、日本の食料品も今までより更に値が上がる事が予想されるわけで。
なによりこれを商売のチャンスと見て、中間マージン目当てで中国に食料品を持ち出す輩や、中国に「売っちゃまずいもの」を売ろうとする阿呆も増えるんじゃないかと思うと、ウンザリする思いです。
農作物の種とか牛の受精卵とか……今まで以上に確り管理しないと大変な事になるでしょうね。

 中国からの輸入品のすべてに関税を30%にするというのは、輸入をしないというに等しいものがある。戦前に、アメリカは日本への石油禁輸をしたことがあり、これにより日米の戦争は起きたが、今の米中の状況がそれに似ている。

 アメリカは日本との戦争を望んで石油の日本への輸出を止めたが、今アメリカは中国と戦争をしたいのだろうか。武力的な戦争をしたいとは今考えてはいないのだろうが、貿易戦争を仕掛けて中国の国力を削ごうとしているのは間違いのないところである。中国がこれまでのように自由貿易を続けることができて国力が右肩上がりに伸びてゆくのであれば、やがてはアメリカの覇権を脅かすことになる。それでトランプ大統領は貿易戦争を仕掛けたのである。経済的に中国が伸びることを拒否したのだ。

 私は、アメリカの政策に賛成する。横暴な中国が東アジアの覇権を握ることを絶対に望まない。親中派と言われる日本の勢力にも反対する。中国的価値観(中共的価値観)を拒否してゆきたい。また、中国の共産党支配が中国人民を幸福にするとも思えない。ウイグル、チベット、南モンゴルの惨状を看過できないし、中国人民が共産党政権下では決して幸福ではないと思う。中国人自身は今豊かに生活できているので満足する人々も多かろうと思うが、やがては自由を求めるようになるし、いつまでも共産党統治を望むことはありえないと思っている。

 アメリカの強引、横暴な中国の扱いは酷いと思う面がないとはいえないが、日本人としては中国よりアメリカの方を選択するのがベタ-だと思う。軍事的にも強化し、アメリカにも協力したいと思う。

中国の対米貿易黒字は米国内の旺盛な需要が根本にありますが、米国から中国への「富の移転」に他なりません。他の国々では対中国貿易で黒字を出しているところもあるくらいで、米国一人でしょっている感じでしょう。

ところで先に行わた関税引き上げ分では、まだ米国内の中国関連物品の値上げは見られていないようです。これは中共政府により人為的に元安に誘導して吸収しているからで、今のところ米国民が負担しているわけではないようです。その原資は積みあがった外貨準備高からの切り崩しです。

さすが中国というか、共産国は資本主義の原理を超えて人工的に処置可能なので、一旦はバブルも糊塗できる。でも、結局は外資頼りが致命傷になりそうです。
ハッキリ中共がギブアップするのは数年かかるでしょうから、その間は泳ぎ切ろうというのが日本政府のスタンスなのか、と思いますがどうでしょう。

中国からしたら一帯一路やAIIBによって発展途上国を半植民地化することによって米国依存の体質改善を図ろうとしていたタイミングでの関税強化という「あと10年いや数年あればグヌヌ…」という気持ちでしょう。

むしろ問題は日本がこの状況に対する備えや覚悟ができているのか疑問です。
法人減税をエサにあっさり消費増税賛成を掲げる経団連を見ていると
「きっとなんとか丸く収まるんじゃないかなぁ」という根拠無き楽観論が政財界に蔓延しているのが透けて見えています。
米国はあくまで自国利益のために行動を起こしているのであってそれを勘違いして「米国ガンバレー」とのんきにながめていて振り返ったら我が家が大火事になっていたという事になりやしないかとても危惧しています。

中国と米国の対立関係がどのように推移するのかはまだまだ予断を許さない状況ですが、それにしても我が国の経済か衰退の一途を辿ったのは悔しい限りです。もし我が国が元気であれば中共もこれほど増長することはなかったでしょう。その意味でここ数十年間経済政策を誤ってきた我が国の指導層はある意味世界史的な犯罪を犯したといえるでしょう。

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