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2019年6月18日 (火)

タンカー襲撃事件で日本のイランとの仲介者の立場は強まった

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イラン情勢について、多少情報が集まってきていますから、まとめておきます。
明日あたりからホルムズ海峡タンカー襲撃事件についてもう少し詳しく見ていきますが、今日は大枠だけ押えておくことにします。

今回、わが国のメディアの論評を見ているとアベ嫌いにひっぱられ過ぎていますね。ま、毎度のことですが。
たとえばこんな毎日の記事です。

「イランの最高指導者ハメネイ師は13日、公式ツイッター(英語版)で声明を発表し、同日会談した安倍晋三首相を介して、トランプ米大統領から「米国との交渉がイランの発展につながる」とのメッセージを受け取ったことを明らかにした。
しかし、トランプ氏について「意見交換するにふさわしい相手ではない。私からの返答はないし、今後、答えることもない」と突き放し、対話を拒否。相互不信が根深い米国とイランの仲介の難しさが改めて浮き彫りになった」(毎日6月16日)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190613-00000085-mai-int

5d021219250000a013e27a89

ハフィントンポスト https://www.huffingtonpost.jp/entry/iran_jp_5d020f...

会談直後に日本関係タンカーへの攻撃事件が発生したために、米国のメッセンジャーなんていいほうで、パシリ、子供の使い、政府専用機の燃料代はアベが払え、なんてことを言っていた人たちもいましたね。やれやれ。
どうぞ、頭を冷やして下さいな。何を焦っているのですか。
いじらしいばかりに、アベ氏に手柄をたてさせてはならんの一心のようです。

安倍氏は天使でもなければ、神通力の持ち主でもありませんよ。
初手はテーブル作りに決まっています。
今回安倍氏が作ったのはテーブルであって、そこでどんな解決を計るのかは、あたりまえですが自ずとまた別の次元なのです。
そもそもイラン核合意調印国も入れて話合わねばなりませんし、ウチの国だけで決められるはずがないでしょうに。

さてご承知かと思いますが、自由主義陣営の主要国でイランに対話チャンネルを持つのは唯一わが国しかありません。
欧州は歴史的な悪行のために憎悪の対象ですし、米国もイスラエルとの関係から対中東外交の選択肢の幅が極めて狭いのです。
となると、日章丸事件以降、イランと強い友情を維持し続け、今もなお制裁に加わっていない国など日本以外にありません。

しかも安倍氏は父親の安倍晋太郎外相秘書官として1983年にイランを訪問しています。
この時は、イラン・イラク戦争でイラクを支持していた米国の隠微な反対を受けたようですが、晋太郎氏は孤立を覚悟の上で、当時大統領だったハメネイ氏と会談しています。
ちなみに、イラン外相の秘書官だったのが、現在のイラン外相のベラヤティ外相でした。

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おそらく世界の首脳を見渡しても、かくも濃密な人間関係をイラン政府内部に保有している政治家は、安倍氏以外にいないでしょう。こういうことを外交資産を持っていると言います。

ですから、仲介の労をとることができるのは日本の、あえて限定するなら安倍氏以外いないし、火中の栗を拾ったのは事実ですが、中東和平のキイパーソンに躍り出たともいえます。
この流れから見れば、今後、イランと米国との間に新たな核合意が成立した場合、その交渉場所は東京以外に考えられません。

このハメネイ・安倍会談で、「核兵器の製造も保有も使用もしない」という言質を取り出しました。

①2015年の「核合意」(米英仏独中露・EUが締結)を遵守する意志がある。
②2018年の米国の核合意離脱と、経済制裁を撤回しろ。

この上に立って、ハメネイはトランプとの対話拒否と言ったのです。
ここでご注意頂きたいのですが、では日本との対話も拒否したのかといかば、正反対でむしろ歓迎しています。
そもそも今回のイラン訪問は安倍氏の思いつきではありません。
おそらく膝詰めでトランプと綿密な打ち合わせをしたことは容易に想像がつきます。
つまり、日本の仲介者の立場はいささかも揺らいでいないし、初回の話しあいなど額面どおりのことをいわないと国内勢力が許しませんから、しょせんこんなものなのです。
いちいち勝ったの負けたの、アベが尻にトランプの親書を敷いているぞ(太郎外相が直ちに否定)なんてどうでもいいことでケチをつけないで下され。

さらにイランは間が悪いことには、故意か偶然か安倍・ハメネイ会談と同時にホルムズ海峡でタンカー襲撃事件を引き起こしてしまった疑惑をもたれてしまいました。
イランは否定していますが、現在で浮かび上がった証拠の数々からすれば、8割方は大変に怪しいと言われてもやむを得ません。
イラン国内の一部分子がしたとしても、誰がなんの目的でしたのかについては憶測の域をでません。

となると、イランにとって極めて不利な状況となります。
イランは強固な宗教国家である思われていますが、一枚岩どころか内部分裂しているじゃないかと、国際社会はみるからです。

国家意志としてタンカー襲撃をしたなら、イランはかつてのイラン・イラク戦争時のように堂々と「文句あっか。ホルムズ海峡通ればどいつもこいつも撃沈だ」と宣言してはばからないでしょう。
あの時も、イランは船籍に関係なく、ホルムズ海峡を通るタンカーを無差別に攻撃したという「実績」がありますから、今回も国家意志に沿った軍事行動ならそれ相応の対応をするはずです。

しかし、今回はゲリラ襲撃でした。使用されたのは、革命防衛隊がよく使う小型船舶です。
米中央軍が公開した映像では、イスラム革命防衛隊が不発のリムペット・マイン(吸着水雷)をタンカーから回収している(とみられる)様子が写し出されていています。
これは吸着機雷がついたままだと犯人が特定できてしまうために、はずしに来たのだと米国は主張しています。

Kuroi_tanker_movie

https://www.businessinsider.jp/post-192878

ただし、これだけでイランの仕業と特定するのは早計です。
小川和久氏はこのように述べています。(『NEWSを疑え!』第778号(2019年6月17日)

「しかし、よほどの証拠を示さないかぎり、イランと決めつけるのは無理があるかもしれません。
それというのも、2隻のタンカーともホルムズ海峡からアラビア海に出るところで船腹に攻撃を受けていますが、確かに「コクカ・カレイジャス」(船籍パナマ)は左舷に2発被弾し、これはイラン側からの攻撃に見えます。しかし、「フロント・アルタイル」(船籍マーシャル諸島)は右舷に被害を受けており、対岸はオマーンです。
 それに、被害個所を画像で見る限り、大型の火砲や対艦ミサイルなど威力の大きなものではなく、どこの武装勢力も備えている肩打ち式の対戦車ロケットRPG-7のレベルのものではないかという印象です。喫水線から上に被害を受けていることから、魚雷や通常の機雷ではないこともわかります」。
 RPG-7のレベルの火器だと、よほど沿岸近くを航行していないかぎり、射程距離的に無理があります。
 そう考えると、小型の高速ボートでの接近攻撃が可能性として浮かび上がってきます。(略)
革命防衛隊であったにせよ、どこかの武装勢力であったにせよ、タンカー攻撃によってペルシャ湾の緊張をかき立て、原油価格の高騰を狙う勢力による犯行という可能性まで視野に入れておいたほうがよいでしょう」

つまり、イラン革命防衛隊はかぎりなくクロに近いグレイではあるが、米国が追加して決定的証拠を開示しなければ、断定は困難であるということです。
さらには革命防衛隊が国家指導部の命令でしたのかどうかすら判然としません。
政府の命令を受けて襲撃したなら文句なしに制裁対象でしょうし、違うなら国が分裂していることになります。

このように見てくると、不利な状況になったのは日本ではなく(ありりまえだ)、イランです。
今後どのような展開になるのか予断を許しませんが、イランに直接交渉できるのは日本だけであることは揺らがないと思われます。

現時点でトランプは戦争の意志はありません。仮にそんなものがあれば、盟友の安倍氏に仲介役を依頼しないはずです。
またトンキン湾事件のような、すぐバレる謀略などを仕掛ける気はありません。
イラク戦争時の大量破壊兵器がまちがいだったことから、今回もまた陰謀にちがいないという人も出ましたが、あれは米国の分析ミスであって陰謀をしかけたわけではありません。

安倍氏のイラン訪問を市民語に翻訳すれば、こんなところでしょうか。

「まぁまぁアメリカさんそう怒らないで。イランさんもこのままじゃ済みませんよ。
トランプと対話しないと、国内反対派ひとつ押えられない弱体政権かと足元を見られますよ。
緊張を緩和するためには、お土産がいるかもしれませんね。
イランが売られたケンカを買って核合意を離脱するなんていいだすのは損ですから、ハメネイさんの口から否定してくださいな。
経済制裁緩和がご要望なことは重々理解していますが、まずはそこからです」

とまれ、むしろイランが窮地に陥ったたことによって、唯一の仲介者であるわが国の立場はいっそう貴重なものとなったはずです。

明日はもう少し細かくタンカー襲撃事件の詳細をみていきます。

 

 

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コメント

馬鹿正直な日本人と言われる事をを承知の上で、安倍さんはイランに行った。何があったのか?何が起きたのか?明らかになるには時間がかかるだろう。いずれにしても昨日の事は簡単に無かった事にする国の人たちの所へ行った事は応援したい。たとえうまくいかなかったとしても。

日本外交は、今やハメネイ師と会談出来るほどになったんですね。これは感涙ものです。
たった一度の会談でここまで約束出来れば、まず十分に及第点でしょう。

革命防衛隊が関与している事はまず間違いなく、ロウハニ大統領は知らなかったにしても、ハメネイ師の指示か、少なくとも暗黙の了解を与えた可能性が大だと思います。
ただし、船籍も所有者も日本ではなく乗組員も日本人はない事から、日本の船だと認識していなかった可能性も高いと思います。

日本政府は無能な国連にでも真相解明はまかせておいて、糾弾姿勢を取らない事だと思います。
言い方はアレですが、船舶保険もあるので実害はないでしょうし。

また、米国と日本の認識がずれる事をもって「日米間の溝」などというマスゴミがありますが、ぜんぜん的外れです。
トランプさんにイラク攻撃の意思など最初から皆無で、イラン側の逸りを防ぐ最大目的は日米で一致しているのですから。

池内恵氏
「『核兵器は違法』というハメネイ師のこれまでの発言を、米国やサウジやイスラエルは全く取り合わず『現体制は嘘をつくから信じられない』という立場で圧力をかけているのだが、日本はこの言葉を少なくとも反証が出るまでは真実と受け止めますよ、という姿勢を示していることをイランが評価した形」

「ハメネイの核兵器は違法とのファトワーを、反証がない限りは評価する姿勢は従来から日本が日頃の二国間外交で示してきたことだし、イランが従来から核兵器を作る意図がないし宗教的にも違法と表明してきたことも従来通りなのだが、多国間の緊張緩和を目指す文脈で双方に再確認したのは象徴的な一歩」

「日本の首相との間で再確認して、なおかつイラン側が『嘘をついていた』と後に分かったら二国間関係は最悪になりますね。とはいえイランは近い将来に核兵器を持つ能力はない。米国やイスラエルやサウジはイランの『意思』を疑い、能力さえつけば核兵器を持つに違いないという判断の上で制裁している」

「『イランが核兵器を持つ』のはもし嘘をついていたとしても何年も先にならないと分からない話だが、安倍ロウハーニー会談と安倍ハメネイ会談の間に謎のタンカー襲撃事件が起こったので、イランがやったのなら現政権は究極の邪悪な人たちなのか、強硬派あるいは混乱を望む勢力を抑えられていないことに」

この辺りは押さえておく基本かと思いますが、アベガーな人たちにはなぜか辿り着けない(笑制裁したい方の国々も戦争は望んでいないわけで、腹に一物も二物もある国々や勢力の駆け引きを広くフラットに注視して考えるよりないですよね。

まあいくら日本がこの問題で貢献できると言っても限界があるでしょうね。左翼は力を嫌いますが力がなければ良いことすらできないということをいい加減国民の共通認識とすべきです。

一応時系列を整理しておくと、
ロウハニ師が安倍総理を招待して、安倍総理はトランプ大統領と手筋を確認の上イランを訪問した。という事のようです。
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.sankei.com/politics/amp/190613/plt1906130005-a.html%3Fusqp%3Dmq331AQOKAGYAYKCpavr7q2F-wE%253D

米国防総省やCIA、イランの政府筋はまたそれぞれ別の思惑で動いているはずで、今回日本はロウハニ師ラインのとば口に片足をかけました。イランの顔だけたてると余計にこじれる地域なので、紐一本通してキープしながら日本はアジア担に精を出す感じではと思います。
国内法で手をつけてない事沢山あるまま外に手を広げて良いのかと超心配ですが。

すみません、まだスマホに書き込みが反映されてないのでちゃんとコピペ修正できないのですが、私、産経の「ロウハニ師」をコピったせいでロウハニ&ハメネイ両氏混同した事書いてますね。
ロウハニ大統領が安倍総理を招待して、安倍総理がトランプ大統領と手筋を確認の上、イランへ向かい、ロウハニ大統領→ハメネイ師の順に会談。

 今日の記事のタイトルには少し驚いた。普通には何の朗報もないので仲介は失敗だったと言うべきでしょうから。もっとも誰もが友好関係にある日本、イランだからといって一回の会談でうまくいくだろうと思わなかった筈である。今後も会談を続けるということになるので積極的な評価を ありんくりん さんはなさったに違いない。

 これまで核合意はトランプ大統領の懸念どおり、私も、立派なもの現実的なものとは思えない。その場しのぎであり、当事者たちがなんらかの合意をしなければならないという強迫観念がありそれに基づいてできた合意ではないかと思っている。

 イランとイスラエルの対立は根深いものがあると思う。これは深層心理において宗教的、文化的な対立であろうと思うのである。簡単には解決できない。従来アラブ人が住まっていたパレスチナの地から住民を無理やりに追い出しそこにイスラエルという国を第二次大戦後に創ったのである。世界各地で迫害を受けていたユダヤ人は可哀そうな民であり西欧側からすれば人道的な措置としてのユダヤ国家の創設であろうが、パレスチナに住まっていたアラブ人にとってはまったく許せない西欧キリスト教先進国の横暴だとなるのだろう。

 その上、アメリカはイスラエルに核兵器を供与しているのに、イランやその他のアラブ人国家には核兵器などまかりならんと言っているのだ、そんな不平等な構図となっている。このような状況を和解の方向へ持ってゆくのはホント難しいことだと思う。トランプ大統領にしてもこのように根深いアラブ社会とイスラエルの対立を、中国に仕掛けた貿易戦争、経済戦争と同じような手段で解決しようとしても無理があると判断した面があったのではないか。だから、西側でイランに話し合いができる日本に頼ってきたのではないか。

 イランもアメリカも公に言っているように、戦争はしたくないのだろう。このたびの安倍首相の接触を機に、イランとアメリカの何らかの形で対話、交渉ができればいいのだが・・・・・。

 

 上はueyonabaruでした、すみません。

ハメネイ師は以前から何度も同様の発言しているのに核発言を引き出せたのが(唯一の?)成果と無邪気に喜ぶ日本政府や保守層ですが、イランは「7月上旬までに米以外の核合意当事国が対応策を示さなければ、核合意の義務履行を徐々に停止する考えを示している」とのことで。
そもそも安倍総理がイラン訪問している最中に米国は追加で経済制裁を発表という有様で当然仲介どころではなくハメネイ師は怒りのツイート。トランプも時期尚早であるとツイートし安倍さんは思いきり梯子を外されてしまったわけです。
さらにタンカー攻撃はどちらサイドがやったのかはわかりませんが、イラン側ならポンペオの言うように日本は侮辱されたわけだし米側なら日本は利用されていることになります。どちらにしても緊張が高まる結果になり日本は米イランがお互いを非難するダシにされてしまいました。
そしてイランの再訪問は難しい状況に。
せっかくの親日国イランへの訪問がこんな結果になってしまって本当に残念です。

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