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2019年6月20日 (木)

ホルムズ海峡タンカー襲撃事件その2

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ホルムズ海峡タンカー襲撃事件について続けます。
米中央軍が今回「コクラ・カレージャス」爆破に使われたと見られる吸着機雷の部品を公開しました。

「[フジャイラ(アラブ首長国連邦) 19日 ロイター] - 米海軍は19日、ホルムズ海峡付近で攻撃を受けた石油タンカーの1隻から回収した吸着型機雷の破片を公開した。破片の数は9個で、イランの機雷に酷似しているという」(ロイター6月19日)

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米中央軍サイト JSF氏ツイッターより引用

上の米国中央軍画像右側にあるサンショウウオのような金属物体が底部のマグネット部分のようです。
これはリムペットマインと呼ばれる吸着機雷で、イラン軍が2015年に使ったことがあると、米軍は指摘しています。
ちなみに、メディアはただ「機雷」と報じている場合がみられますが、機雷は海底に係留して使うもので、吸着機雷は船腹に張り付けて使用しますので、まったく別物です。
第1次大戦時から使われてきた人が携帯できるサイズのもので、遠隔操作で爆破します。
いまや古典的水中兵器の範疇に属しており、名称にあるリムペットとは海岸の岩に着くカサガイのことです。
リムペットマイン - Wikipedia

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船底にも吸着させることができますが、航行中の船底にダイバーが取り付けるのは無理があるために、航行中の船舶が速度を緩めた頃合いを見計らって船で近寄って喫水線上に張り付けます。
今回は、ホルムズ海峡の最も狭い水域を抜けるために減速したところを狙ったことが考えられます。
不発となった吸着機雷が残存していれば、動かぬ証拠になったのですが、何者かが持ち去ってしまいました。

さて、米中央軍は船腹の破孔の写真も公開しています。

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破孔をみると外からのエネルギーで破られて外板が内側にめれていますから、船内からの爆発ではありません。
これで船体にあらかじめ爆発物を仕掛けた可能性は否定されました。

また、RPG7のような成形炸薬を使った対戦車ロケット弾にしては破孔が大きすぎます。
RPGは目標に当たると小さな破孔から高温のメタルジェットを噴出させて内部を焼き尽くすので、このような大きな孔は開きません
これで事件当初、国華産業が乗組員が飛来した物体を見たと発表したことから、沿岸からのロケット砲攻撃かとも言われていましたが、これも否定されました。
もっとも、国華産業の証言は右舷と左舷を間違えているくらいなので、そうとうにパニくっていたのかもしれません。

したがって、爆発物は吸着機雷であることはほぼ断定できます。
すると、誰が着けたのかです
この吸着機雷はかんたんな工業技術でできるので、初歩的工業力があればどの国でも国内生産できます。
国内生産しなくても、国際武器マーケットに出物はいくらでもありますから、ゲリラ勢力でも入手できます。
彼らはスポンサー国から供与されているでしょう。
ちなみにイラン革命防衛隊は、イエメンのフーシ派や、パレスチナガザ地区のヒズボラ、シリアのアサド政権などに大量の武器を供与しています。
ですから、この地域のすべての国、すべての武装組織が保有可能ということになります。

ただし、ここでこの事件が起きた場所を考えねばなりません。

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https://www.asahi.com/articles/ASM6F63YMM6FUTIL02W

タンカーが襲撃を受けた位置はホルムズ海峡の最狭部33キロの水域を抜けた付近で、昨日も追加でアップしましたが、この場所はイラン革命防衛隊のバンダーラ・ジャークス海軍基地の目の前です。

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出所 黒井文太郎氏ツイート

このホルムズ海峡には6箇所ものイラン革命防衛隊の海軍基地が展開していて、いわばイランの縄張りです。
このイラン革命防衛隊は正規軍ではありませんから、こことは別に正規軍のほうのイラン海軍も哨戒活動をしているはずで、この狭い海域には濃密なイランの監視網が光っています。
こんなイラン親分が仕切っている縄張りで、他の組がテロをすることは、ないとは言いませんが、やっぱりありえないでしょうね。

しかもここは、イラン革命防衛隊海軍基地の目の前です。革命防衛隊は他に5箇所の基地を沿岸に持っていて、このチョークポイントには精鋭を配置しているはずです。
こんな海の関所のような場所で、他国海軍(ないしはゲリラ勢力)が小型船舶を使って同時に2隻のタンカーに接近し、吸着機雷を取り付けるのを、イラン革命防衛隊という武闘派が指をくわえて眺めているとは思えません。
そのような破壊活動をすれば、イランは「この海域の安全に責任をっている」と豪語しているのですから、軍事的に排除したことでしょう。

次に問題となるのは、吸着機雷の破孔の場所です。喫水線から離れた位置にあいています。
この位置で爆破しても火災は発生しますが、沈没には至りません。沈没させる気なら、浸水させねばならないからです。
そのためには取り付けるならタンカーの喫水線下がベストですが、それは航行しているタンカーでするのは困難ですから、ギリギリ喫水線の上で取り付けねばなりません。

そのように見ると、憶測の域を出ませんが、これは単なる技術的失敗ではなく、この位置にあえて沈まない位置に吸着機雷を仕掛けたのだと思います。
犯人はタンカーを沈める気など初めからなかったのです。

ここまでを整理します。

①爆発物は吸着機雷である。
②これを保有する国は多数あるが、取り付けるためには小型船舶を使用するしかない。
③最もタンカーの速度が落ちるのは最狭部であるために、襲撃ポイントに選ばれた。
④襲撃ポイントはイラン革命防衛隊の海軍基地の眼前である。
⑤喫水線のかなり上に着けられている。

これらをまとめて考えると、イラン革命防衛隊が引き起こしたのはかなり確実であり、その目的は撃沈することではなく、なんらかの示威行為ではなかっのかと推測することが可能です。

 

 

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コメント

えーっと。
綺麗に纏めてあるので記事内容にはコメントしづらいのですが・・・

これ関係ですがタイトルだけ衝撃的な東洋経済オンラインのウチダさんというフリージャーナリストの記事があまりにも酷い。
Yahooニュースにアップされてるくらいだから読んでる人も多いかと。。対海ミサイルなんて言葉初めて見たわ。
軍艦はフリゲートでも駆逐艦でも「戦艦」!
キャタピラついてる車両は「戦車」!
と呼ぶ人の代表ですね。

無知と出鱈目ばかりでもう笑い過ぎてお腹痛いレベル。
よくまああんなのを東洋経済はカネ払って載せるなあ、と。恥ずかしくないのかと。
で、当ジャーナリストさんの記事を自動検索したら、ヒデエ!
陰謀論ばっかりじゃねーか!とね。

こちらの記事には関係無くてすいません。。削除してくれてもかまいません。

気走日記をもう一度読み直してから、ここのブログへ帰ってゆっくり読み直した。良く分からん。イスラエルの攻撃が起きる可能性が高い核開発をイランはするのか?日本に居て、遠い国の核には関心が薄い事に気づかされた。

雪男さん。木走りさんですね。そうとうに私とは違うのでとまどわれたでしょう。

こういう時は事実らしきものをふるいにかけて、なにが起きたのかを積み重ねるしかないのですよ。
退屈だし手間かかかるし、メリハリがなくてパッとしないから訪問者も減るしね(苦笑)。

こういう時によくでるのが陰謀論です。なんつうても分かりやすいですからねぇ。
米国の陰謀だ、いやイランは核開発をしている、イスラエルはイランを核攻撃するぞ、みたいなやつです。
事実関係を洗えば、そんな陰謀論は誇大妄想だと分かりますよ。
一種のポジショントークです。

裏情報なんか私たちにはとりようがないのですから、公開情報を精査してみるしかありません。
退屈かもしれませんが、それが私の流儀です。

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