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2019年6月 6日 (木)

安定の日米関係 ・グラつく米英関係

062

 トランプさんの外遊は続いています。今度は英国です。
米英は、世界の国数あれど「特別な関係」(Special Relationship)と呼びならわされててきました。

このスペシャル・リレーションシップという表現は英国首相のチャーチルが、冷戦の開始を告げたフルトン演説で使ったのが初めと言われています。
この両国が、ただのアングロサクソン族つながりではないことを知るために、押えておきます。

"Neither the sure prevention of war, nor the continuous rise of world organization will be gained without what I have called the fraternal association of the English-speaking peoples.
This means a special relationship between the British Commonwealth and Empire and the United States of America."
私が英語を話す人々の間の友愛による連帯を呼ぶものなしには、戦争の確実な防止や世界組織の継続的な立ち上がりは得られません。
これは、英連邦と帝国とアメリカ合衆国との特別な関係を意味します。

East_west_europe_map

http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/nichukou/sub/sub_gens...

いきなり「英語を話す人々」ときました。これでもチャーチルは気をつかっているのです。
ほんとうはアングロサクソンと言いたかったのでしょうが、これからソ連相手に鉄のカーテンを張ろうという時に、うかつにそんな言葉を使えば、ソ連の下腹であるトルコはイスラム、その先のギリシアはギリシャ語、アジアで太平洋に立ちふさがる日本は日本語、東側と国境を接するドイツはドイツ語ですから、なんだ自由主義同盟はアングロサクソンのものかということになってしまいます。

当時、英国は第2次大戦を、大西洋を超えた米国の支援でどうにか戦勝国に滑り込みましたが、続く冷戦を一国で戦う気力体力も尽き果てていました。
そこで出てきたのが、この米国に向けての「英語を話す人々」の同盟で冷戦を戦おうや、という言葉です。
では、このアングロサクソン同盟の中軸である米英が、ずっと仲がよかったのかといえばそんなことはありません。
そもそも大喧嘩して当時世界最強国家だった大英帝国をおん出たのが始まりで、以後米英戦争では英軍にホワイトハウスを焼かれたりしています。
なまじ同じ英語国民だけに腹が立つ、という同族嫌悪といったほうが近いのではないでしょうか。

アングロサクソン同盟が言葉化されたのは、第2次大をはさんだこの冷戦期が最初のはずで、米国もソ連との大喧嘩の真っ最中でしたから、「そうそうオレらは特別な二国間だかんね」、というふに調子を合わせてくれました。
ただし、細谷雄一氏は「『特別な関係(the special relationship)』という概念は、とても問題がある。というのも、一般的にはそれは、より力の小さい国がそれを必要としているからだ」(『米英関係とアメリカ外交―「特別な関係」の歴史と実際』)と述べているように、この「特別な関係」はより国力の小さな英国が遥かに巨大な世界の覇者たる米国に対してよく使う表現なのです。http://www2.jiia.or.jp/pdf/resarch/h22_nichibei_kankei/08_Chapter1-6.pdf

この両国間は、基本的には細谷氏の指摘のように常に非対称であって、イコールパートナーではありませんでした。
というか、この表現自体が登場したのが大英帝国衰退期であって、「七つの海の支配者」を懐かしむノスタルジーの香りがプンプン漂っているのです。

かといって、今でもアングロサクソン同盟とでもいうべきものは隠然と存在します。
先日記事にした「ファイブアイズ」、つまりは5ツの情報共有グループは、米・英・加・豪・NZという英語圏だけで構成されていました。
フランスやドイツ、そして日本は、プラス3という形で付け足されているにすぎません。
NZはちいさな島国ですが、英語国家であることで、ファイブアイズに加わっています。

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ニューズウィークhttps://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/post-12270.php

前置きが長なりました。トランプの訪英でしたね(汗)。
ホスト(いやホステスかな?)は1週間後辞めると言っているテリーザ・メイ首相ですから、よりもよって辞める人相手をナニを話しても無駄だとは思うのですが、まぁとっく行くことが決まってたんでしょうね。

現在、米英関係は良好とはいえません。降雨確率80%といったところです。
なにせ野党は来るなと言っていました。
野党であったとしても日本とは違って「政争は水際まで」が徹底している労働党までが、反トランプデモをしたのですからシャレになりません。
労働党は女王主催晩餐会に欠席し(ありえない非礼ですが)、左派出身のコービン党首は下の写真のようにデモにまで参加しています。
労働党は日本の野党諸雑派とちがって、政権党になる可能性もじゅうぶんあるわけですから、いいんですかね、こんなことやったら首相になったらさぞかし米国と気まずいと思うんですが、ま、とっくに気まずいからいいのか(苦笑)。

実はトランプも負けてはおらず、他国の最大野党の党首のコービン党首をつかまえてクソミソに言っていますし、イスラム系のロンドン市長までやり玉に上げていますから、内政干渉もいいところで、どちらもどちらです。

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https://www.afpbb.com/articles/-/3228453?pid=21337...

ところで、英米両国は次の4点を巡って完全に物別れ状態です。

①ファーウェイ5Gネットワークの英国参入問題
②英国のEU離脱交渉とその後の英米貿易協定
③)米国のイラン核合意廃棄問題
④気候変動問題

①のファーウェイ排除は部分的だと英国国防相がリークしてしまい大騒ぎになったように、英国は既にファーウェイに5G基地局工事の一部を発注してしまっています。
シティの金融業が主力産業の英国にとって、中国は下にもおかないお客様で、チャイナマネーとのねっとり、かつ隠微な関係は強固に続いています。
いまさらファーウェイ止めろと言われてもねぇ、というのが英国の本音のはずです。

②のEU離脱については、トランプはとうぜんのこととして反EU断固支持立場で、ブレグジットもっとやれ、とことんやれ、米英でFTA作ろうぜ、と檄を飛ばしています。
トランプに応援されているのがボリス・ジョンソンで、合意なき離脱もかまわんからさっさと離脱しろと叫んでいますが、もちろん具体策があるわけでもなく、自分が首相にでもなったらメイさん以上にふざまなことになるのは必定です。

③のイラン核合意に関しては英国はまぁまぁとなだめるしかできず、フランス・ドイツなどの他のヨーロッパ諸国とも絡んでくることなので、そうそう簡単に米国の尻馬には乗れません。
これは④の温暖化対策も同じことで、EU全体で結んだ協定な以上、ブレグジットかどうなるのかわからない現状では英国の発言権はなきが如しなのです。

つまりは、両国間にとっくに解決済みの貿易問題ていどしかない、いわば降雨確率10%以下の日米関係と違って、新味のある回答を出せる状況に英国はありません。
お気の毒、メイさん。イヤな時に困った奴が来たと内心思っていたでしょう。
とリあえず女王陛下がいたからとりつくろえたわけで、持つべきものは王室です。
皇室(王室)がいかに大きな外交資産かわかりますね。

このように見ると、トランプにとって安心して頼れるパートナーは、日本しかないとわかるでしょう。
こんなくったくない笑顔ができるのも日本だけかも。

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ここまで良好だとかえって気味が悪いくらいですが、とまれ、英国に代わって今やスペシャル・リレーションシップなのは我が国なのです。

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

>一般的にはそれは、より力の小さい国がそれを必要としているからだ


 つまり日本がアメリカを必要とするということですね。

1さん。はいそうです。
ただし、米国も日本を必要不可欠の戦略パートナーと位置づけています。

ボリス・ジョンソンってのは元ロンドン市長でブレグジットの旗降り役。
が、外相になってすぐに立場がよくわからなくなった途端に辞任して逃げたヤツです。

ついでに外相当時に日本の某新聞の風刺画を持ち出したどっかの野党議院さんが、安倍総理だと勘違いして大恥かいたなんてこともありましたね。。


ちなみに当方かつてのBBCトップギアの視聴者でした!
今はいないことにされてるメインのジェイミーがボリスとは犬猿の仲で、それもドキュメント放送するBBC。
日本で言うところの大河ドラマやってるNHKの日曜夜8時に国営放送があんなアホ番組をやってて高視聴率だったというのが、ブリテンの憎めないトコ。

モンティパイソンもやってましたもんね
あれで検閲済みの内容だったのが驚きでしたよ……手加減してアレって
 
それはさておき、中国がオバマ時代にG2を主張するような痛恨のミスが無く、調略を続けていたら……この冷戦も起こらず、10年後には取り返しのつかないことになっていたかもしれませんね
そういった戦略面のミスがあるにもかかわらず、日米と利害の共通している国すら取り込んでいるほどの、作戦・戦術面での能力は、やはり脅威です
ただ、図体が大きい国の宿命なのか、肝心なところで他国の分析をミスっているのが救いでしょうか。国の代表の視点が、非常に内向きな印象を受けるのですよね

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