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2019年6月12日 (水)

国際問題化する香港引き渡し条例改正問題

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香港の引き渡し条例について、続けます。
なにもする気のない日本政府や、金融庁の広報ミスのほうが大事だと見える日本メディアと違って、国際社会は強い関心を寄せているようです。

ちなみに老後に2千万不足という話は、貯蓄が1800万円ある人をモデルに計算しただけのことで、国民全体が足りる足りないという次元のことではありません。
こんなただの金融庁が書いたモデルケースにすぎないことを、「第2の年金消失事件」と騒ぐほうがどうかしているというお粗末です。
あーあ、イヤになる。なら、内閣不信任案でも出して衆参同日選挙しますか。

それはさておき、まずは米国務省の反応です。

「【ワシントン=黒瀬悦成】米国務省のオルタガス報道官は10日の記者会見で香港政府が刑事事件などの容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を発表したことに関し、「重大な懸念」を表明した。 
オルタガス氏は香港が進める条例改正の動きについて「香港の『一国二制度』の枠組みが骨抜きにされ続けることで、国際的に長らく築き挙げられた香港の特別な地位が危機にさらされている」と批判した。
 その上で、現地で10日に展開された「100万人デモ」は「市民らが改正案に反対していることを明確に示すものだ」と指摘し、「米政府は、改正案が香港の自治権を侵害し、長きにわたって保護が図られてきた人権状況や基本的自由、民主的価値観に悪影響を及ぼす恐れがあるとする、多くの香港の人々の懸念を共有する」と強調した。
 また、条例改正による香港のビジネス環境の悪化や、香港を訪問・滞在中の米国民が中国の「予見困難な司法制度」にさらされることへの懸念も示した」(産経6月11日)
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-wor1906110007.html

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出典不明

とうとう米国が動き出したようです。
トランプはこの問題を、生きた人権問題として米中経済戦争の燃料に使うはずです。

旧宗主国で一国二制度の査察を求めたこともある英国も、黙殺するわけにはいかなくなりました。
英国はこの「高度な自治」を中国に約束させた当事国であるだけではなく、香港とはカナダ・豪・NZなどと同様にコモンロー(慣習法)で結ばれていました。
このことによって、英国は金融センターのネットワークでいまも強く香港と繋がっていますが、これが断ち切られることになりかねません。
いいんでしょうか、ブリテンさん。そうじゃなくてもブレグジットが及ぼす経済的マイナスが大きいのに、また悪い材料が増えてしまいますが。

一方中国は、この犯罪人引き渡し条例改正反対運動に、「海外勢力」がバックにいると考えているらしく、断固としてやり遂げると表明しています。

「【北京】中国は、香港で9日に大規模な市民デモが発生したにもかかわらず、犯罪容疑者の本土送還を可能にする「逃亡犯条例」の改正を断固として進める方針だ。 中国の国営メディアや当局者は10日、香港特別行政区政府による条約改正の取り組みを引き続き支持するとの立場を表明。デモは、地元の反体制派が外国勢力と共謀して市民の怒りをあおっていることが要因との見方を示した。
 中国外務省の耿爽報道官は定例会見で、条例改正への政府の支持を改めて表明した上で、「一部が無責任な発言を行っている」と指摘。「香港の立法への外部介入に断固として反対する」と述べ、名指しは避けながらも、中国に批判的な海外勢力による介入の可能性をほのめかした」(ウォールストリートジャーナル6月11日))
https://jp.wsj.com/articles/SB10964890201208694149804585357543531842292

中国国内では報道管制が敷かれていて、ほとんどの中国国民は知りません。さすがはデジタル共産主義の国だけあります。

「香港のデモは世界各地で大きく報じられたが、中国ではほとんど伝えられていない。ソーシャルメディア上でも厳しい検閲により、デモに関する話題はほぼ全く見られない状況だ」(WSJ前掲)

何を中国当局は恐れているのでしょうか。それは知れています。
国内でこの香港の反対運動に追随する動きが出て、連動した動きが出ることを恐れているからです。
だから、キャリー・ラム行政長官が仮に動揺しても、習はそれを許しません。

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ラム行政長官と習 https://www.afpbb.com/articles/-/3134142

ラムは揺れています。
なぜならこの条例をこれだけの強い反対にあいながら強硬すれば、アジア有数の金融センターとしての地位を揺るがしてしまうからです。

「もし林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官がメッセージを無視すれば、米国や欧州連合(EU)、そして他国の政府は、香港との関係を見直す可能性がある。それは香港と中国両方にとっての損失だ」(ロイター6月10日)
https://jp.reuters.com/article/hongkong-extradition-march-breakingviews-idJPKCN1TC0JC

冒頭に述べたように米国がこれを国際的人権問題だと認定した場合、香港はいままでの「中国とは区別された特別な地域」ではなく、中国の一部として同様の制裁の対象となりえます。

「最悪のシナリオは、米政府が香港の自治が損なわれたと判断することだ。
中経済安全保障検討委員会が5月に発表した報告書は、「逃亡犯条例」の改正案によって、1992年の米国・香港政策法が見直される可能性があると指摘している。この同法は香港を中国本土とは異なる地域として定義しており、これなしには香港は関税やビザ規制などの対象となる。とっぴな話に聞こえるかもしれないが、現在の貿易摩擦のありさまを見れば、絶対にないとは言い切れない」(ロイター前掲)

この可能性は非常に高まったといえます。中国が先述したように強硬突破する構えだからです。

「香港のキャリー・ラム行政長官は10日、条例改正案を進める方針を改めて表明した。改正案の審議は12日に再開される予定。 ただ、中国の専門家は、ラム長官が改正案の成立に失敗したとしても、中国当局が直接介入できると話している」(WSJ前掲)

条例案が可決されれば、仮に香港で条例反対デモで逮捕されば、中国本土へ移送されて中国の政治犯として国内法で裁かれることになります。
今回、日本のメディアは刑事犯引き渡しという部分のみを報じているようですが、真に問題なのは思想犯・政治犯といった非人道的な刑罰の範疇がある国との引き渡しだということです。

日本は世界で米韓二カ国としか犯罪人引き渡し条約を結んでいませんが、それは犯罪人の処遇を決めることは国の主権の一部だからです。
引き渡し要請に従って移送した結果、非人道的な政治裁判をされて処刑された場合、その責任の一端はわが国もあると理解されます。
ですから無条件に引き渡すのではなく、一件一件吟味せねばなりません。その権利を主権国が持つということです。

とまれ仮に否決されたとしても、中国はこの香港の自由の芽を完全に摘み取るまで手を緩めないことでしょう。
この場合、米国は香港の特権的な地位を見直し、「中国の一地域」とみなしますから、金融センターとしての香港がこのまま存続するかどうかはなはだ不透明となります。

反対派にとっての勝機はひとつしかありません。
国際社会の共感を得て、その支持を取り付けることです。
人権の根幹に関わっていると国際社会が認識するかどうか、国際社会が自らの責務として香港人の自由を共に守れるか否かに香港の未来はかかっています。

 

 

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コメント

なんというか、
日本のマスコミの扱いはずいぶん小さいですね。
「ただの犯罪者引き渡し条約の強要」程度にしか考えずに、そんなの大したことないじゃん。と日本人の多くは思っているかも知れませんが・・・

22年かけてジワジワ浸透されて、いつの間にか中国共産党に完全に乗っ取られてる最中です!
微妙に状況や歴史は違いますが、台湾も沖縄も他人事じゃなかろうに。

デモがより拡大して、共産党政府が30年前の天安門のように大量流血という映像が世界に流れなければ、中国の非道ぶりが実感できないのかも知れないですけど。。
ウイグルやチベットの情報も断片的にしか入ってこないし。
もし、本格的に中国共産党政府が軍事的に制圧するのならば、同時に香港全域にジャミングをかけるくらいの事は考えていそうですね。。

これだけやってまたもや国連が無反応となれば
もう存在する意味はありませんね。
玉城知事も中国と仲よくは結構な話ですが
この事案に対するコメントも欲しいところです。

年金の件はマスコミが政局の具にしようと必死になってますが、肝心の野党の皆様が問題の本質からズレた事ばかり口にして逆効果になりつつあるのでそろそろ鎮火しそうですね。

内陸部と違いここまで丸見えの香港で鎮圧は難しいのでは…と書こうとしていましたが、いきなり始まりしました。

私は悲観的に見てますわ。旧ソ連は「カネの切れ目が縁の切れ目」
で空中分解しましたが、中共はナンダカンダで資本主義を内蔵した
共産主義国家なので、ファーウェイなど舎弟企業が生きている限り
は旧ソ連のようにアッと言う間に立ち枯れしません。中共が旧ソ連の
失敗を分析した上で一国二制度としたのは、さすが中華帝国の末裔
ですわ。

香港からは、大富豪の李嘉誠さんらがその資産を欧米へ移している
そうですが、さすが目先の利く方々はもう香港の将来を見切っている
ようです。中共が民主化に舵をとるなど、日本の財政が健全化する
より有り得ないことだから、当然だと思います。

しかし歴史的に見ると、中国なんて国は古代からこんなことを繰り返
しているのだから、欧米的価値観から見たら大きな違和感を持ってし
まいますが、当の中国人にとっては自然な流れなのだと思います。
絶対的に正しい天命を受けた上層部が、アホな民衆を教化指導する
のは、儒教的に考えてこれ以上ない位に正しい行為です。

中共・南北朝鮮はワケわからない方達なので、将来どうなるのか?
なんて予想をしても詮無いことで、その予期できない将来に対して
日本は何を準備しておかないといけないのか?自分達に出来る事
を可及的速やかにやっておくべきです。でも、決められない日本なん
で、その日が来たら大混乱しそう。

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