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2019年6月 7日 (金)

中国、米国相手に「警告しなかったとはいわせない」と言い出す

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中国という国は決して外交が上手とはいえない国です。
特に状況が悪くなればなるほど、おいおい大丈夫か、また悪手かよ、ということを繰り返すようになります。

たぶん、日本のヒダリの人たちと一緒で、彼らの価値観は一にも二にも党内権力闘争にあるからです。

勝てば他党派の息の根を止め、負ければ今度は自分が豚の糞掃除に励むとなります。
なにせ、中国の場合、ほんとうに命がかかっていますから、彼らの力の8割はこれに費やされますから、余力で外国に対応しているというところです。

今回もしかりです。米国に負けて要求を呑んでしまえば、他の党内派閥からこの日和見主義者めとクソミソに批判されて、下手をすると権力の座から引きずり下ろされかねません。
ですから米国への対応は、イヤでもつっぱったゆとりのないものにならざるをえないのです。

さて、今回、中国は「オレを甘く見んなよ」とすごんでみせました。

「5月29日付の中国共産党機関紙「人民日報」が第3面の「国際論壇」のコーナーで、「アメリカは中国の反撃能力を甘く見るな」という見出しで、「勿謂言之不預」という言葉を用いた。
 これは直訳すれば、「警告しなかったと言うこと勿(なか)れ」だが、平たく言えば「中国が警告しなかったとは言わせない」となる。
 中国が本気で戦闘を開始する前に「開戦警告」ときには「開戦宣言」として使われてきた常套句だ」(遠藤誉 6月6日)https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20190606-00129067/

遠藤氏は、中国が「勿謂言之不預」(警告しなかったというな)という人民日報の一句を、事実上の中国による米国に対する 「開戦宣言をした」という見立てのようです。
遠藤氏は1969年の中印国境紛争時や、1978年の中越戦争を例にとっていますが、相手がまったく違います。
強力な軍隊をもつインドが相手だとはいえ、たかだか高山の国境線をめぐる紛争にすぎなかったケースや、まちがっても負けるはずがないとタカをくくって侵攻したあげく戦争馴れしたベトナム軍に追い返された2回目と、今回の米国とは格が違います。
同じ「警告しなかったとはいわせない」という決めゼリフを吐いたからといって、前例と並べるべきではありません。
遠藤女史は、狭い意味の軍事衝突ではなく、「本気度」のことだと注釈を入れていますが、中印、中越と並べるから誤解を招くのです。

言いすぎたと思ったのか、文末で氏は「戦争はしない」と書いてはいますが、これもまたどうでしょうか。
戦争は中国が望まなくても、偶発的に始まってしまう場合もあるし、米国が先に中国に一発目を撃たせるように仕向けて来る場合すらあるのです。
だから後述する弾道ミサイルの発射のような軍事的緊張を高めるようなことは、この緊迫した状況下では厳に慎むべきです。

米国が経済戦争の隠し味にしているのは、米国の太平洋艦隊とグアムの空軍力です。
今回、トランプが米海軍が嫌がるのを承知で、母港の佐世保から横須賀に回航して「かが」と並べ、日米両首脳がそこに降り立つというパーフォーマンスをした相手は、北などはどうでもよく、直接に中国に対する外交メッセージでした。

一方、中国もまたその返答として、6月2日に新型SLBMを発射してみせました。

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https://www.litenews.hk/%E3%80%90%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E7%89%B9%E7%A8%BF%E3%80%91william%EF%BC%9A%E5%B7%A8%E6%B5%AA3%E5%9E%8B%E5%AF%86%E9%9B%86%E8%A9%A6%E5%B0%84%E6%89%80%E9%80%8F%E9%9C%B2%E7%9A%84%E8%A8%8A%E6%81%AF/

中国が「新型SLBMという以上、配備済みのJL-2(巨浪2)ではなく、JL-3(巨浪3)ではないかと見られています。
ただし、今回の新型と称するJL3の飛距離は、推定で水平距離にして2000キロとされています。

これでは旧型のJL2の射程が7200キロあるのですから、かえって短くなっています。
ポンっと垂直に打ち上げるロフテッド軌道の可能性もありますが、なぜ短くなってしまったのか分かりません。
失敗した可能性もあります。

核戦力は、一般的にICBM、空中発射ミサイル、水中発射弾道ミサイルの三枚が揃わないと役に立たないと言われています。
中国は、この3枚目の水中発射弾道ミサイルが苦手です。
JL2は射程が短く、それを載せた原潜は、日米の哨戒機が常時パトロールしている日本海北部まで進出しないと、米本土には届きません。

おまけに、この米国を狙う核ミサイルを搭載した094型原潜は、2015年12月から核抑止パトロール航海を行っているとされますが、そのあまりの騒音のひどさは有名で、「ドラを鳴らして奴が来る」と揶揄されているほどです。
秘匿性がない潜水艦は潜水艦とは呼ばれません。

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094型原潜

では、どうしたらよいのかといえば、自分のホームグランドの周辺海域でジッと息をひそめて動かないことです。
そのためには射程が1万2000キロ~1万5000キロの水中発射弾道ミサイルが必要です。
これがないことには、仮に習が切れて米国への核攻撃を命じた場合、第1撃の地上発射型ICBMは発射できても(ほぼ完全に米国のミサイルディフェンスで撃墜されるでしょうが)、直ちに米国の報復核攻撃を全土に浴びることになります。

そうならないためには、そうそう簡単に日米の哨戒機に捕まらない場所に、第2撃を隠しておかねば、ほんとうの核抑止力となりえないのです。

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煎じ詰めていえば、完全な3枚の核戦力のカードを持っている2国間が対峙しているケースだと、共に滅びてしまうために戦争にはなりません。
この戦争は通常兵器の戦争も含めてです。
旧ソ連と米国との関係がこれでした。現代でこの拮抗関係が世界で唯一成立しているのは、米露関係だけです。
結局、体力勝負となって、冷戦は一発の弾丸も交えずにソ連が敗北したのです。

しかし一方だけが完全な3枚を持っていても、片方が2枚しかもっていない場合、片方は生き残るが、片方は滅びてしまうことになります。
このケースの場合、通常兵器も核戦争も起きる可能性がありえます。
しかもミサイルディフェスが高度化した現在は、この非対称性は高まる一方なのです。
この片方だけが滅びるケースが、現在の米中関係、あるいは米朝関係です。
この場合、前者とは違って、通常兵器の戦争を含めて戦争はありえます。

核戦争という歯止めがないからです。
皮肉にも核兵器は、大国間の通常兵器の戦争をも封じ込める「ピースキーパー」(米国のICBMの名称ですが)として機能したからです。
逆に言えば、この相互確証破壊の考え方に沿えば、いくつかの条件が整えば米中戦争は起きてしまうことになります。
中国には、前述したように、この相互確証破壊の3枚のカードが揃わないからです。

したがって、仮に米中間で偶発的に戦闘となっても局地的戦闘で終結し、本格的な核を用いた全面戦争には発展しないという担保がありません。
ですから、中国は米国に向かってキャンキャン吼えることはできても、本当に戦争を構えられないのです。
戦争というこん棒を持たないのに「警告は言った」とイキがっても、あんたバカですかと言われるだけです。

にもかかわらず戦争に踏み切れば、遠藤氏がいうように、こういうことになります。

「中国が今、武器を使った戦争をアメリカとなど出来るはずがなく、もし武器を使った戦争などをしたら、現状で言うならば、「100%!」中国が敗けるのは明白だ。だから中国が「武器を使った戦争」をアメリカとなどやるはずがないし、またそのようなことをすれば一党支配体制崩壊につながるので、さらにやらないと断言してもいい」((遠藤前掲)

そのとおりです。戦争になった場合、中国の勝機はかぎりなくゼロです。
通常戦争でも勝てませんし、核戦争ではなおさら勝てません。
だから、正面戦で勝てないから、61398部隊と呼ばれるサイバーアタックに特化した独立軍やファーウェイを使って搦手から混乱をさせようと狙っているのです。

いま中国がしていることは、米国の同盟国を恫喝して回ることや、フォードに罰金をかけたような米国企業への嫌がらせ、あるいはファーウェイとの関係を切った企業のブラックリスト作りていどすぎません。
レアアースはいかにも切り札のように報じられていますが、それは10年前に日本の尖閣国有化の時にやったでしょうに。
一時的には価格が高騰しますが、中国製以外にも入手可能であり、需要が満たされればたちどころに暴落して、自らの首を締めることになります。
どうして側近たちはこんなわかりきったことをこと習に教えてやらないんでしょうか。
習はとっくに裸の王様になっているのかもしれませんね。

これらの水中発射弾道ミサイル実験、米国企業への不当な締めつけ、レアアースの禁輸措置などは、ことごとく悪手です。
やればやるほど、確実に米国にさらなる報復措置の理由を提供しているにすぎません。
しかもこの対中強硬方針は、日本のメディアの報じ方のようにトランプが独断でやっているわけではなく、議会も全面支持しているのですから、逃げ場なしです。

老婆心ながら中国に忠告すれば、恥も外聞なくここは柔軟な譲歩をすることです。
妥協する以上、前回の米中合意文書を丸呑みする以外ありません。
悪知恵をつければ、実施段階でサボタージュしてグダグダにすればいいのですから(得意でしょう、こういうの)、文書の3分の1を削除しろなどというようなちゃぶ台返しはやるべきではありませんでした。

これで決定的に米国を怒らせて報復の口実を作ってしまったのに、今度はさらに勝つ戦略もないのに「警告は発した」ですか。
中国さん、拳をふり上げるのは簡単ですが、握った拳を下ろすほうがよほど難しいのですよ。

こんなに状況が悪化したのは、党内の敵対派閥が恐ろしくてエスカレーションゲームを下りれない習の弱さに起因します。
ですから、この「警告」うんぬんの台詞は、中国の対外パーフーマンスにすぎず、国内向け、いやもっと狭い党内向けにすぎません。

 

 

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コメント

軍事力的にはソ連の方がアメリカと拮抗していたわけですね。
ヨーロッパはもちろん、アラスカもアメリカの爆撃機や偵察機が常に旋回していたわけですし。

「博士の異常な愛情」のように核戦争が突発的に起きてもおかしくなかった時代です。

ソ連の方がアメリカと軍事力的には拮抗していたということですね。

ヨーロッパはもちろん、アラスカの周辺はアメリカの爆撃機や偵察機が常に旋回していましたし。

「博士の異常な愛情」のように突発的に核戦争が起きる可能性もありました。

2個目のコメントはミスです。すみません

無駄に吠えるのは小者か疚しい者と昔から相場は決まっておりまして。

5月31日バンコクで、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの高級事務レベルの協議がありました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007482.html
「自由で開かれ包摂的なインド太平洋」であると同時に、ルール・国際スタンダード・国際法というワードで遵法の上での各種取り組みが強調されてもいます。
先日の中共人民解放軍艦船シドニー入港では、ABCやシドニー・モーニングヘラルドが「このご時世に連邦政府による事前告知が無かった」ことを批判しているのはその通りに思いますし、アデン湾からの帰り道には不便なのにシドニーに来る不自然さを指摘する豪専門家もありますが、入港自体は4月23日の中共人民解放軍海軍国際観艦式の際にオーストラリア海軍艦船HMASメルボルンが青島港に入港したことに対する相互儀礼の入港で、4月から要請を受けて計画したとオーストラリア軍はいっています。
こういうのも言ってみれば、自由で開かれルールや国際スタンダードに適うやり方ではあります。
但し、実力の伴わない上昇志向が強い小者ほど常に狡猾に相手の穴を探し崩そうと狙うので、我々にはバランス意識、目配りの広さを持ち続けることが、致命的事態を避けるために欠かせないわけですね。

独裁国家は、その結束力ゆえに民主主義国家に優越すると危惧していたのですが、内実はヤンキー達が円陣組んで武勇伝を披露し合っているのと変わらないのですね。北の方がまだしも安定的のように思えます。

それにしても、中国の三枚目を抑えるのに日本が大きな役割を果たしているというのは誇らしいです。

譲歩したら中国的面子が丸潰れな展開にここまで追い込むとは、大統領就任後に紫禁城で大アテンドしていた頃に予想していた人は少ないのではと思います。
物理的に厳しいのは経済制裁ですが、ここへきて人権弾圧批判を前面に押し出しているのは怖いですよ。
日本がかつて慰安婦などでやられたのは濡れ衣な上、私達はそんな人権侵害行為があったならけしからんという共通理解がありました。今回中国共産党の面々は、批判の重さを感じられないで、反発するほど弾圧人殺しイメージが増幅しています。アメリカ人はここに火が付くと長いです。
無辜の民を虐殺しながら「私達とビジネスするほど得があるよ」とNYタイムズでアピールする者達。コテコテの悪玉に自ら志願しているようなものです。

虎造の「清水の次郎長」を聴いていて、日本の明治維新前夜という
のは、博徒の大親分の方が幕府の役人より精神的に優れていたと
いう、当時の日本の個人レベルの徳性の高さゆえに可能だったのだ
と思いましたわ、そんな人達が多くいた。もちろん、浪曲は史実のみ
でなく多分にフィクションが加えられているのですが、大本のところは
あまり変えられていません。そりゃ、徳川時代生まれもまだ大勢存命
だった時代の浪曲だもんで、ハナからの作り話では臨場感なく飽きら
れてしまいますから。

で、中国が共産党という、かつての日本における封建社会の徳川家
に相当する体制から脱するには、中国にいる個人個人の精神の成熟
度というものが必要だと思われます。かつての徳川幕府内では派閥
争いが絶えないありさまでしたし、地方の藩は財政破綻していて本音
では藩運営など投げ出したいと思っていた大名家も少なくなかった。
その状況で藩の役人どもにもヤル気がなくて、趣味に走るような人物
が多く、ヤクザが跋扈しても見て見ぬふりでワイロに手を付けた。そ
んな世の中なのに、だからというべきか、個人の少なくない者が気高
い精神を持っていた。どうもかつての日本はそのような状況で、それ
で欧米の植民地にされる事なく、前時代的な士農工商・・の封建国家
から四民平等の近代国家へとワープできた。

現在の中国人民はどうなんだろな?中共に上手に教化されてしまい、
盲目の家畜同然にされてしまっているのか?これは代々の王朝の農
民の扱いと同じということです。

私の意味する変革は、あの天安門事件とは性質が違います。都市部
のインテリが民主化を求めてデモをするというのではなく、もっと深くて、
中国マフィアの連中が彼らより遥かに堕落した中共を見限るという、
中国の言い方をすれば徳の高い個人はクソ組織の保持に汲々として
いる人物が実は下品下生の者であるという事を露わにしてしまうと、
そういう意味での人間性のルネッサンスというか、そういう変革ですわ。

中共の存在は、ホント信じがたい。14億人も収容されてるなんて・・

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