イスカンデルの目標は韓国ですが、どうしましょうムン閣下
安全保障という分野を、日本人はえてして外交や社会福祉や経済、教育などのインフラと並列して並べてしまいがちです。
間違っていると思います。
安全保障は並列概念ではなく、もっと国の基層にあるインフラのようなものだからです。
だからここが揺るぎだすと、地層の深部で起きた地震のように、初めは体感できませんがやがて広範囲を揺るぎだし、最期には地表に乗っている経済や文化といった建物が大揺れになってしまいます。
その典型的現象を今の韓国に見ることができます。
今の韓国の大揺れは、一見日本がとったホワイト国除外措置から始まったように見えますが、それは単なるきっかけにすぎません。
実は中国と交わしたTHAAD配備に関する三不政策から始まった離米路線が遠因にあります。
安全保障は並列概念ではなく、もっと国の基層にあるインフラのようなものだからです。
だからここが揺るぎだすと、地層の深部で起きた地震のように、初めは体感できませんがやがて広範囲を揺るぎだし、最期には地表に乗っている経済や文化といった建物が大揺れになってしまいます。
その典型的現象を今の韓国に見ることができます。
今の韓国の大揺れは、一見日本がとったホワイト国除外措置から始まったように見えますが、それは単なるきっかけにすぎません。
実は中国と交わしたTHAAD配備に関する三不政策から始まった離米路線が遠因にあります。
さすがに朝鮮日報(2017年11月11日)もそれには気がついてこんなことを書いていました。
「「韓半島有事の際、韓国を支援する米軍部隊の多くは日本を拠点としており、逆に日本に米軍が駐留している理由は、韓国を支援するためだといっても過言ではない。また日本は潜水艦の監視などでは韓国よりも優れた技術を有しており、だからこそ韓日秘密軍事情報保護協定が締結されたのだ。ところが、韓国外交部の康京和長官が三不政策を表明した際に懸念されたことが、早くも現実となりつつある」
この時点で韓国は米国の同盟国である事を止めると宣言したに等しいと、少なくとも米国はそう取りました。
米国は表向きは沈黙していますが、もはや韓国に対しては同盟国とは見ていないかもしれません。
いつ裏切るのか、どのように後ろ足で砂をかけていくのか興味深く観察しているといったところでしょうか。
米国は表向きは沈黙していますが、もはや韓国に対しては同盟国とは見ていないかもしれません。
いつ裏切るのか、どのように後ろ足で砂をかけていくのか興味深く観察しているといったところでしょうか。
ですから、牽制球は投げてきますが、自分からあばよとは言い出しません。
言わせたいとムンが思っているのを知っているだけに、米国からそれを言う時は、ほんとうに彼らが朝鮮半島を敵対的地域としてゾーニングすると決意した時で、それまで米国がとる制裁手段は徹底した経済的締めつけです。
言わせたいとムンが思っているのを知っているだけに、米国からそれを言う時は、ほんとうに彼らが朝鮮半島を敵対的地域としてゾーニングすると決意した時で、それまで米国がとる制裁手段は徹底した経済的締めつけです。
それも経済的に韓国経済の急所を握っている日本を矢面に立てました。
したがって、今の日本の輸出管理規制強化は、日米合作の制裁で、それを知らないのはムン政権だけです。
さてこの状況の中で、先日北朝鮮がKN-23 イスカンデルミサイルを2発発射しました。
1発は430km、もう1発が690km飛翔し、双方ともに到達高度は50km。690kmでした。
1発は430km、もう1発が690km飛翔し、双方ともに到達高度は50km。690kmでした。
いうまでもなく、国連安全保障理事会決議1695、1718、1874への違反であって、国連が大好きな人たちが騒がないのが不思議なくらいです。
こう書くと、いやあれは大陸間弾道ミサイル(ICBM)や中距離弾道ミサイル(IRBM)ではないから、ミサイル発射凍結(モラトリアム)違反ではないということを口にする人もいますが、なにを言ってるんだか。
人工衛星すら禁止なのに、短距離ミサイルがいいはずがないでしょう。
トランプは思惑があって黙っているだけで、日本政府が抗議したのは正解です。
国連安全保障理事会決議1874を押えておきます。
外務省: 国際連合安全保障理事会決議第1874号 和訳(官報告示外
国際連合憲章第7章の下で行動し、同憲章第41条に基づく措置をとって、
1 北朝鮮が、関連する決議(特に決議第1695号(2006年)及び第1718号(2006年))及び2009年4月13日の議長声明(S/PRST/2009/7)に違反し、甚だしく無視して、2009年5月25日(現地時間)に実施した核実験を最も強い表現で非難する。
2 北朝鮮に対し、いかなる核実験又は弾道ミサイル技術を使用した発射もこれ以上実施しないことを要求する。
3 北朝鮮が、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を停止し、かつ、この文脈において、ミサイル発射モラトリアムに係る既存の約束を再度確認することを決定する」
つまり国連安保理事会決議は、長距離であるかないかという飛距離など初めから問うていません。
すべて凍結禁止(モラトリアム)です。
すべて凍結禁止(モラトリアム)です。
韓国は知らんぷりをしていますが、イスカンデル発射はムンが「外交天才」の名をほしいままにした(笑)2018年4月の「板門店宣言」に違反しています。
板門店宣言の肝はこの一項だったはずですが、ムン閣下はお忘れだと見えます。
板門店宣言全文 :日本経済新聞
板門店宣言の肝はこの一項だったはずですが、ムン閣下はお忘れだと見えます。
板門店宣言全文 :日本経済新聞
「(1)南と北は、地上と海上、空中をはじめとするあらゆる空間で、軍事的緊張と衝突の根源となる相手に対する一切の敵対行為を全面的に中止することにした」
イスカンデルの射程は、朝鮮半島全域が入ります。まさに「地上と海上、空中における軍事的緊張」そのものです。
下図でわかるように、日本にも弾道を変えるなどすれば到達可能ですが、日本に対しては既にノドンや北極星シリーズが存在し、日本は対策としてSM-3とPAC-3を保有しています。
ですから、今回のイスカンデルは完全に韓国を対象としたものだといえます。
下図でわかるように、日本にも弾道を変えるなどすれば到達可能ですが、日本に対しては既にノドンや北極星シリーズが存在し、日本は対策としてSM-3とPAC-3を保有しています。
ですから、今回のイスカンデルは完全に韓国を対象としたものだといえます。
(5th LD) N. Korea fires 2 short-range missiles into East Sea: JCS(2019/7/25 聯合ニュース)
ではこのイスカンデル・ミサイルとは何者なのでしょうか。
ひとことで言えば、タチの悪い性格の弾道ミサイルです。
ひとことで言えば、タチの悪い性格の弾道ミサイルです。
黒井文太郎氏はこう述べています。
「ロシアのイスカンデルと同様、今回の北朝鮮ミサイルも最大高度50キロメートルという低い軌道をとり、野球でいえばライナーのように飛んだ。70キロメートル以上の高度で迎撃する米海軍イージス艦発射のSM-3では迎撃ができず、40キロメートル以上で迎撃する在韓米軍配備のTHAADでも、迎撃範囲内では高度が下がっているため、まず対応できないだろう」(JBプレス7月29日)https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57144?page=2
黒井氏が「野球のライナーのような弾道」と呼んだのが、打ち出し角度20度のディプレスト軌道と呼ばれる低い軌道を飛ぶものです。
下図は、「海国防衛ジャーナル」様が政策した中距離弾道ミサイル「火星12」の弾道側視図ですが、上からロフテッド軌道、最小エネルギー軌道(MET)、ディプレスト軌道となります。
「KN-23(イスカンデル)も同様に、低い弾道軌道をとることが運用上の要のようです。
ルイス氏と同じMIISのFerenc DV (@ferencdv) 氏は、低軌道KN-23は、(1)THAADのAN/TPY-2レーダーに探知されない、(2)巡航ミサイル「トマホーク」(マッハ0.75)を大きく超える速度によってTHAADシステム・パトリオットシステムをかいくぐる、(3)弾道ミサイルなので巡航ミサイルのような自律的な回避軌道をとるわけではなく、変化球でいうとナックルボールのような予測不可能な軌道をとりえる、というような特徴を指摘しています」(海国防衛ジャーナル)
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50819012.html
このような日本に届かない短距離ミサイルを撃つ目的を北は自らこう語っています。
ここまで明瞭に自分の意図を公表するのは弾道ミサイル実験で初めてではないか、と黒井氏は述べています。
ここまで明瞭に自分の意図を公表するのは弾道ミサイル実験で初めてではないか、と黒井氏は述べています。
「朝鮮中央通信(7月26日付)には、金正恩委員長の言葉として「南朝鮮の当局者らが、世界の人々の前では平和の握手を演出して共同宣言や合意書のような文書をいじり、振り返っては最新攻撃型兵器の搬入と合同軍事演習の強行のような変なことをする二重的振る舞いを見せている」「われわれはやむをえず南方に存在するわが国家安全の潜在的、直接的脅威を取り除くための超強力兵器システムを力強く開発していかなければならない」
読み間違いする余地なくムン政権似対しての当てつけです。
自分は国連決議違反をしておきながら、韓国に対しては板門店宣言に違反して米韓合同演習などやって軍事的緊張を高めるのはけしからんということのようで、毎度のことながら勝手なものです。
自分は国連決議違反をしておきながら、韓国に対しては板門店宣言に違反して米韓合同演習などやって軍事的緊張を高めるのはけしからんということのようで、毎度のことながら勝手なものです。
ここから先は、おそらく水中発射弾道ミサイル(SLBM)が メニューに乗ってくるでしょうが、それをすればさすが正恩には大甘なトランプも怒るしかないでしょうから、どうなりますことやら。
いずれにしても、正恩に抱きつき心中も辞さないムン閣下、もはや米国にすがって米韓合同演習を止めてもらって機嫌をなおしてもらうしかありませんが、そんなことをしても北はイスカンデルの実戦配備はやめないでしょうがね。
一方、米韓合同同演習を中止すれば、日本の輸出規制強化に対する唯一の命綱である米国の仲介も同時に泡と消える、というわけで悩ましいことではあります。
一方、米韓合同同演習を中止すれば、日本の輸出規制強化に対する唯一の命綱である米国の仲介も同時に泡と消える、というわけで悩ましいことではあります。
というわけで、ムン閣下の四面楚歌の苦悩はどこまでも続くのでありました。
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コメント
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記事とは関係ありませんが、ここのとこころコメントがスパム扱いされて弾かれるのが頻発している様子。私は初めてでしたが数日前の記事に拙い文章を懸命に書いたけどスパム認定されました(泣)
管理人さん、毎日の良記事を私も欠かさず読まさせていただいてます。コメント少ない日でも懲りずに更新よろしくお願いします。
投稿: ナビー@沖縄市 | 2019年7月31日 (水) 12時46分
ナビーさん、コメントありがとう子ざいます。
いや、こういう安全保障関係の記事って入れようがないみたいですね。(笑)。めげませんから、ご安心を。
スパム扱いの原因はまったくわかりません。ニフティが勝手に設定しているもので、私にはどうしようもないのですよ(涙)。
ほんとうにお手数ですが、時間を置いて入れていただければと思います。
投稿: 管理人 | 2019年8月 1日 (木) 03時45分
今週始めにどうもまたニフティが何か弄ったっぽいですね。
半年前の大混乱の時と同じようなフォーマットの変化やフォントサイズが一時やたら大きくなったり。
すぐに収まったようですが、
コメント弾かれるってのは当時も多発しましたね。なんらかのアルゴリズム変更があったのかと。。
投稿: 山形 | 2019年8月 1日 (木) 06時25分